JP2007008919A - 熱酸発生剤、酸の発生方法、および熱硬化性組成物 - Google Patents

熱酸発生剤、酸の発生方法、および熱硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱により短時間で酸硬化性化合物を硬化させることができる熱酸発生剤を提供し、熱硬化性が大幅に改良され、特に密着性など優れた硬化物物性を有し、かつ室温時での保存安定性に優れた熱硬化性組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式で表記されるスルホニウム塩からなる熱酸発生剤。
Figure 2007008919

【選択図】なし

Description

本発明は、熱酸発生剤と該熱酸発生剤からの酸の発生方法、さらにはそれらを利用した熱硬化性組成物および硬化物に関する。さらに詳しくは、加熱を行うことで酸を発生し、発生した酸を触媒とした重合反応あるいは架橋反応により硬化性化合物を短時間に確実に重合させて良好な物性を有する硬化物を得ることが可能な材料に関し、さらには、成形樹脂、注型樹脂、ダイオード、トランジスタ、IC等の半導体の電子部品や、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンス(以下、EL)素子等の表示素子、光磁気ディスク等の高密度記録媒体、太陽電池、光導波路等の封止材料、印刷インキ、塗料、印刷用カラープルーフ、絶縁材、導波路用材料、オーバーコート剤、接着剤、粘着剤、粘接着剤、剥離コート剤、ダイボンディングテープ、ダイシングテープ、半導体表面保護膜等の分野で良好な物性を有する硬化物を得るための熱酸発生剤、熱硬化性組成物および該硬化性組成物を使用した硬化物に関する。
従来、熱酸発生剤として、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6)。
熱酸発生剤は、対アニオンが六フッ化アンチモン酸以外のオニウム塩では、硬化性が悪く、硬化物の架橋密度が上がらない場合が多い。この解決方法として、使用する熱酸発生剤の量をかなり多く用いることが挙げられるが、硬化物中にイオン物質が多量に残ることによる懸念やコストアップにつながる点で実用的ではない。
また、対アニオンが六フッ化アンチモン酸のオニウム塩の場合でも、アンモニウム塩やホスホニウム塩の場合は、一般に硬化温度が高くなったり、硬化性が悪く、硬化物の架橋密度が上がらない場合がある。更に、六フッ化アンチモン酸は毒性が高いこと、酸硬化性化合物に対する溶解度が低いことから、できれば他の対アニオンの熱酸発生剤を使用することが望ましいと言われている。これらのことから、現状では熱カチオン重合開始剤を使用した熱硬化系では、実用性を満足する硬化性や密着性などの硬化物物性を得ることは困難な場合が多い。
スルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウム塩等のアリールスルホニウム塩が知られている。アリールスルホニウム塩は、アルキルスルホニウム塩と比較して、加熱時に分解し、ベンゼン等の人体に有毒なガスを排出する恐れがある。
また、トリアルキルスルホニウム塩や、ベンジルスルホニウム塩が知られているが(特
許文献7、特許文献8)、貯蔵安定性が十分ではなく、特に反応性の高い脂環式エポキシ
類との熱硬化性組成物は、貯蔵安定性が悪い。
特開2003−277353号公報 特開平2−1470号公報 特開平2−255646号公報 特開平3−11044号公報 特開2003−183313号公報 特開2003−277352号公報 特開昭58−37003号公報 特開昭58−198532号公報
本発明の目的は、加熱により短時間で酸硬化性化合物を硬化させることができる熱酸発生剤を提供し、熱硬化性が大幅に改良され、特に密着性など優れた硬化物物性を有し、かつ室温時での保存安定性に優れた熱硬化性組成物を提供することである。
上記の課題を解決するため、本発明者は、鋭意研究の結果、上記課題をすべて解決する材料を開発するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表記されるスルホニウム塩からなる熱酸発生剤に関する。
一般式(1)
Figure 2007008919
(ただし、R1は、下記一般式(2)で表記される基、置換基を有してもよいアリル基、
置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基より選ばれる基を、
2 およびR3 はそれぞれ独立に、下記一般式(2)で表記される基、置換基を有してもよいアリル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキル基、または、置換基を有してもよいアルケニル基より選ばれる基を示す。
また、R1 、R2 およびR3はその2個以上の基が結合して環状構造となってもよい。)
一般式(2)
Figure 2007008919
(ただし、Ar1は置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環
基を示し、
4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基または置換基を有してもよいアルケニル基を表す。
また、Ar1、R4、およびR5は一体となって、環を形成してもよい。)
更に本発明は、R1が、一般式(2)で表記される基である、上記熱酸発生剤に関する
更に本発明は、R4およびR5が水素原子である請求項2記載の熱酸発生剤に関する。
更に本発明は、Ar1が、置換基を有してもよい炭素数10〜18のアリール基または
置換基を有してもよい炭素数8〜18の複素環基である、上記熱酸発生剤に関する。
また本発明は、R2 およびR3が、置換基を有してよい炭素数1〜6のアルキル基であ
る上記熱酸発生剤に関する。
また本発明は、下記一般式(3)で表記されるスルホニウム塩からなる熱酸発生剤に関する。
一般式(3)
Figure 2007008919

(ただし、R6は、はそれぞれ独立に、下記一般式(2)で表記される基、置換基を有し
てもよいアリル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキル基、または、置換基を有してもよいアルケニル基より選ばれる基を示し、
Ar2およびAr3はそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基および置換基を有してもよい複素環基を示す。
また、R6、Ar2およびAr3はその2個以上の基が結合して環状構造となってもよい。
一般式(2)
Figure 2007008919




(ただし、Ar1は置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環
基を示し、
4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基または置換基を有してもよいアルケニル基を表す。
また、Ar1、R4、およびR5は一体となって、環を形成してもよい。)
また本発明は、上記熱酸発生剤に、50℃から250℃の加熱を行うことを特徴とする、酸の発生方法に関する。
また本発明は、上記熱酸発生剤(A)と、酸硬化性化合物(B)とを含む熱硬化性組成物に関する。
また本発明は、上記熱硬化性組成物に、50℃から250℃の加熱を行うことで硬化させることを特徴とする硬化物の製造方法に関する。
また本発明は、上記熱硬化性組成物に、50℃から250℃の加熱を行うことで硬化させてなる硬化物に関する。
本発明の熱酸発生剤は、スルホニウムカチオンに特定の置換基を導入することで、非常に高感度かつ、室温での保存安定性に優れ、基材に対する密着性の優れた熱酸発生剤として機能することが可能となっている。そのため、本発明の熱酸発生剤を使用すれば、従来公知のスルホニウム塩系の熱酸発生剤から発生する酸を触媒とする重合反応、架橋反応、などをより短時間に確実に実現することが可能となり、結果としてこれらの反応を応用した各種用途の大幅な高感度化や密着性等の特性向上を実現することが可能となる。
以下、詳細にわたって本発明の実施形態を説明する。
まず初めに、本発明で用いられる熱酸発生剤(A)について説明する。本発明で用いられる熱酸発生剤(A)は加熱することにより酸を発生する材料であり、熱酸発生剤(A)から発生した酸が酸硬化性化合物(B)のカチオン重合による架橋を開始かつ促進させる
機能を有している。
次に、本発明で用いられる熱酸発生剤(A)の構造について詳細に説明する。
本発明の熱酸発生剤(A)は、一般式(1)で表記される構造を有しており、スルホニウムカチオンと、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートとからなるオニウム塩である。
本発明の熱酸発生剤(A)のアニオンとしては、非求核性アニオンが好ましい。アニオンが非求核性の場合、分子内に共存するカチオンや併用される各種材料における求核反応が起こりにくいため、結果として一般式(1)で表記される熱酸発生剤(A)自身やそれを用いた組成物の経時安定性を向上させることが可能である。ここでいう非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が低いアニオンを指す。このようなアニオンとして、テトラキスペンタフルオロボレートが好適に用いられる。
さらに、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートは、熱硬化性組成物の硬化性が良いこと、毒性がないこと、酸硬化性化合物(B)に対しての溶解度が高いことから、最も優れたアニオンである。
次にスルホニウムカチオンについて説明する。
本発明の一般式(1)中の置換基R1とR2とR3および一般式(3)中の置換基R6において、置換基を有してもよいアリル基とは、具体的には一般式(4)で示される構造であり、置換基を有してもよいアルコキシル基、および置換基を有してもよいアリールオキシ基とは、具体的には一般式(5)で示される構造である。

一般式(4)
Figure 2007008919
一般式(5)
Figure 2007008919
(ただし、Ar4は、一般式(2)におけるAr1と同義である。
7およびR8は、一般式(2)におけるR4およびR5と同義である。また、Ar4、R7およびR8は一体となって、環を形成してもよい。
9は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表す。)
本発明のAr1〜Ar4における、置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜18の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、1−アセナフチル基、9−フルオレニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,5−キシリル基、メシチル基、p−クメニル基、p−ドデシルフェニル基、p−シクロヘキシルフェニル基、4−ビフェニル基、o−フルオロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、m−カルボキシフェニル基、o−メルカプトフェニル基、p−シアノフェニル基、m−ニトロフェニル基、m−アジドフェニル基等を挙げることができるがこれらに限定されるものではなく、また、これらのアリール基は上記以外の置換位置で炭素原子と結合していてもよく、それらも本発明のAr1〜Ar4で表記される置換基の範疇に含まれる。
本発明のAr1〜Ar4における、置換基を有してもよい複素環基としては、炭素数2〜24の窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族あるいは脂肪族の複素環基が挙げられ、2−チエニル基、2−ベンゾチエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、3−チアントレニル基、2−チアンスレニル基、2−フリル基、2−ベンゾフリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、2−アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、3−フェニキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基、4−キノリニル基、4−イソキノリル基、3−フェノチアジニル基、2−フェノキサチイニル基、3−クマリニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また、これらの複素環基は上記以外の置換位置で炭素原子と結合していてもよく、それらも本発明のAr1〜Ar4で表記される置換基の範疇に含まれる。
本発明のR2〜R9におけるアルキル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のR4〜R9におけるアリール基としては、Ar1〜Ar4で例示した、置換基を有してもよい炭素数4から18の単環または縮合多環アリール基と同一の置換基を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のR2、R3およびR6におけるアルケニル基としては、炭素数1から18の直鎖
状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルケニル基が挙げられ、それらは構造中に複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよく、具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のR4、R5、R7、およびR8におけるアルケニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルケニル基が挙げられ、それらは構造中に複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよく、具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のR4、R5、R7、およびR8におけるアルコキシル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルコキシル基があげられ、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、sec−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のR4、R5、R7、およびR8におけるアリールオキシ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェノキシ基、1ーナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基、3−クマリニルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上述した本発明のR2〜R9におけるアルキル基、R4〜R9におけるアリール基、R4
8におけるアルケニル基、R4、R5、R7、およびR8におけるアルコキシル基、R4、R5、R7、およびR8におけるアリールオキシ基は、さらに他の置換基で置換されていても
よく、そのような他の置換基としては、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等を挙げることができる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基としては炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基などが挙げられる。
アリール基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1ーナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、1−アセナフチル基、9−フルオレニル基、2−フラニル基、2−チエニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−アクリジニル基等が挙げられる。
アシル基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニル基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニル基が挙げられ、それらは構造中に不飽和結合を有していてもよく、具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、シンナモイル基、3−フロイル基、2−テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、9−アンスロイル基、5−ナフタセノイル基などを挙げられる。
アルコキシル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルコキシル基があげられ、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、sec−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、等を挙げることができる。
アリールオキシ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェノキシ基、1ーナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基、2−フラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−インドリルオキシ基、3−インドリルオキシ基、2−ベンゾフリルオキシ基、2−ベンゾチエニルオキシ基、2−カルバゾリルオキシ基、3−カルバゾリルオキシ基、4−カルバゾリルオキシ基、9−アクリジニルオキシ基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニルオキシ基、あるいは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4から18の単環状あるいは縮合多環状芳香族が結合したカルボニルオキシ基が挙げられ、具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ラウロイルオキシ基、ミリストイルオキシ基、パルミトイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、オレオイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフトイルオキシ基、2−ナフトイルオキシ基、シンナモイルオキシ基、3−フロイルオキシ基、2−テノイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基、イソニコチノイルオキシ基、9−アンスロイルオキシ基、5−ナフタセノイルオキシ基などを挙げることができる。
アルキルチオ基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルチオ基が挙げられ、具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリールチオ基が挙げられ、具体例としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基、9−フェナントリルチオ基、2−フリルチオ基、2−チエニルチオ基、2−ピロリルチオ基、6−インドリルチオ基、2−ベンゾフリルチオ基、2−ベンゾチエニルチオ基、2−カルバゾリルチオ基、3−カルバゾリルチオ基、4−カルバゾリルチオ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のR2およびR3は、R4、R5、R7〜R9およびAr4のいずれかと結合し、環構
造を形成していてもよい。また、置換基R4およびR5は、Ar1と結合し、環構造を形成
していてもよく、置換基R7およびR8はAr4と結合し、環構造を形成してもよい。
また、本発明のR6、Ar2およびAr3のうちの少なくとも2つが結合し、環構造を形
成してもよい。
この内、置換基R1として好ましいものは、一般式(6)で表された置換基である。
一般式(6)
Figure 2007008919
(ただし、Ar5はAr1と同義である。)
さらに、本発明のAr1〜Ar5において、より好ましいのは、置換基を有してもよい炭素数10〜18のアリール基および置換基を有してもよい炭素数8〜18の複素環基である。具体的には、1ーナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、9−アンスリル
基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−インデニル基、2−フルオレニル基、9−フルオレニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−アクリジニル基、2−チアンスレニル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−キノリニル基、4−イソキノリル基、3−フェノチアジニル基、2−フェノキサチイニル基、3−フェニキサジニル基、3−チアントレニル基、3−クマリニル基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また、これらのアリール基および複素環基は上記以外の置換位置で炭素原子と結合していてもよく、それらも本発明のAr1〜Ar5で表記される置換基の範疇に含まれる。
現時点では詳細は明らかではないが、置換基Ar1〜Ar5が置換基を有してもよい炭素数10〜18のアリール基および置換基を有してもよい炭素数8〜18の複素環基の場合、本発明の熱硬化性組成物を基材上で硬化させた場合、基材との密着性が、他の置換基と場合と比較して向上している。
また、本発明のAr1〜Ar5は、さらに他の置換基で置換されていてもよく、そのような他の置換基としては、R2〜R9におけるアルキル基、R4〜R9におけるアリール基、R4〜R8におけるアルケニル基、R4、R5、R7、およびR8におけるアルコキシル基、R4
、R5、R7、およびR8におけるアリールオキシ基の説明で例示したものと同一の置換基
を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
さらに、一般式(3)で表されるスルホニウム塩の様に、分子中にアリールカルボニル基に置換されたメチル基を2個以上有する場合、150℃以下の低温での硬化が可能となるが、現時点では詳細は明らかではない。
本発明で用いられる熱酸発生剤(A)は上記で例示したスルホニウムカチオンとテトラキスペンタフルオロフェニルボレートとの組み合わせからなる。
以下に具体的な構造を示すが、本発明の酸発生剤の構造はそれらに限定されるものではない。
ただし、下記構造式中のX-はテトラキスペンタフルオロフェニルボレートである。

Figure 2007008919
Figure 2007008919
Figure 2007008919
Figure 2007008919
Figure 2007008919
これらの中では、R2、R3およびR6が、置換基を有してもよいアルキル基である場合
が、入手のしやすさ、合成のしやすさ、酸硬化性化合物(B)に対する溶解度の点で好ましい。さらに、好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、さらに、好ましくは、炭素数1または2のアルキル基である。
本発明の熱酸発生剤(A)を得るための合成方法は特に限定されず、従来公知の化学反応、後処理方法、精製方法および分析方法を適宜、組み合わせることにより、容易に合成して構造確認することが可能である。フェナシルスルホニウム塩の合成方法としては、Journal of Polymer Science :Part A :Polymer Chemistry誌 第38巻 1433−14
42頁(2000年)、Macromolecules誌 第33巻 825−832頁(2000年)などに記載の方法等が挙げられ、これらに記載の合成に使用されている原料を適宜、置き換えることにより、本発明の熱酸発生剤(A)を合成することが可能である。
合成方法の一例を挙げると、アセトフェノン誘導体のアセチル基を臭素などの臭素化試薬によって臭素化し、次いで、この誘導体とスルフィドを反応させることにより、本発明の熱酸発生剤(A)のカチオン部位に相当する、スルホニウムのブロマイド塩を得ることができる。このようにして得られたスルホニウム・ブロマイド塩は、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートを有する金属塩と容易にイオン交換を行うことができ、本発明の熱酸発生剤(A)を得ることができる。
本発明で用いられる熱酸発生剤(A)は、1種または2種以上を組み合わせて使用される。
本発明で用いられる熱酸発生剤(A)の使用量は、100重量部の酸硬化性化合物(B)に対して、0.01重量部〜20重量部の範囲内が好ましく、特に好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。熱酸発生剤(A)の添加量が0.01重量部未満の場合、カチオン重合による重合または架橋が十分に進行せず、良好な硬化度合が得られない場合がある。また、熱酸発生剤(A)の添加量が20重量部より多い場合、熱硬化性組成物中の低分子成分が多すぎるため、十分な凝集力や硬化度合が得られない場合があること、硬化物中にイオン物質が多量に残ることによる懸念やコストアップにつながる点で実用的ではない。
[酸硬化性化合物(B)]
次に酸硬化性化合物(B)について説明する。酸硬化性化合物(B)は、加熱により熱酸発生剤(A)から発生する酸により重合または架橋する。酸硬化性化合物(B)は、分子内にカチオン重合性の官能基、例えば、ビニルエーテル基、エポキシ基、脂環式エポキシ基、オキセタニル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基、水酸基を有する種々のモノマー、オリゴマーまたはポリマーを用いることができる。また、これらの官能基を有するポリマーについても限定されず、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリエーテル系、天然ゴム、ブロック共重合体ゴム、シリコーン系などの各ポリマーを用いることができる。
上記酸硬化性化合物(B)は、単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。上記酸硬化性化合物(B)としては、カチオン重合可能な化合物あるいはその混合物をあげることができる。ここでいうカチオン重合可能な化合物とは、例えば、エポキシ化合物、スチレン類、ビニル化合物、ビニルエーテル類、スピロオルソエステル類、ビシクロオルソエステル類、スピロオルソカーボナート類、環状エーテル類、ラクトン類、オキサゾリン類、アジリジン類、シクロシロキサン類、ケタール類、環状酸無水物類、ラクタム類およびアリールジアルデヒド類などがあげられる。また、これらの重合性基を測鎖に有する重合性あるいは架橋性ポリマーおよびオリゴマーも酸硬化性化合物(B)に含まれる。好ましくは、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基を有する化合物が用いられる。特に好ましくは、エポキシ基、オキセタニル基を有する化合物が用いられる。これらの官能基の重合は比較的反応性が高く、かつ硬化時間が短いため、加熱工程の短縮を図ることができる。
エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのアルコール型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂などのハロゲン化エポキシ樹脂、ゴム
変成エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂等を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は常温で液体であっても良いし、固体であっても良い。また、エポキシ基含有オリゴマーも好適に用いることができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシオリゴマー(例えば、油化シェルエポキシ社製、エピコート1001、1002等)を挙げることができる。さらに、上記エポキシ基含有モノマーやオリゴマーの付加重合体を用いてもよく、例えば、グリシジル化ポリエステル、グリシジル化ポリウレタン、グリシジル化アクリルなどを挙げることができる。
上記脂環式エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、4−ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ノルボルネンモノエポキサイド、リモネンモノエポキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチレン)アジペート、ビス−(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、BHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製、脂環式エポキシ樹脂(軟化点71℃)等があげられるが、これらに限定されるものではない。
脂肪族エポキシ樹脂の具体例としては、例えば1,4−ブタンジオールジクリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールモノグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グルセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等があげられるが、これらに限定されるものではない。
オキセタニル基を有する化合物としては、例えば、フェノキシメチルオキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン等があげられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いられる熱酸発生剤(A)は酸発生剤として十分高い感度を有しているが、他の酸発生剤と併用して用いることも可能である。熱酸発生剤(A)と併用することが可能な酸発生剤は特に限定されず、「TAG」、「PAG」、「酸発生剤」、「光酸発生剤」、「光重合開始剤」、「カチオン重合開始剤」、「重合触媒」等の名称で業界公知の材
料を適宜選択して使用することできる。また、他の酸発生剤を使用する場合は、単独または複数組み合わせて使用することも可能である。
本発明で用いられる熱酸発生剤(A)と併用することが可能な他の酸発生剤としては、まず、オニウム塩系化合物が挙げられる。このようなオニウム塩系化合物の例としては、スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、ホスホニウム塩系、ジアゾニウム塩系、ピリジニウム塩系、ベンゾチアゾリウム塩系、スルホキソニウム塩系、フェロセン系の化合物が挙げられ、これらの構造は特に限定されず、ジカチオンなどの多価カチオン構造を有していてもよく、カウンターアニオンも公知のものを適宜、選択して使用することができる。
また、本発明で用いられる熱酸発生剤(A)と併用することが可能なオニウム塩以外の酸発生剤としては、ニトロベンジルスルホナート類、アルキルまたはアリール−N−スルホニルオキシイミド類、ハロゲン化されていてもよいアルキルスルホン酸エステル類、1,2−ジスルホン類、オキシムスルホナート類、ベンゾイントシラート類、β−ケトスルホン類、β−スルホニルスルホン類、ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタン類、イミノスルホナート類、イミドスルホナート類、トリハロメチルトリアジン類などのトリハロアルキル基を有する化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いられる熱酸発生剤(A)と併用する他の酸発生剤の比率は特に限定されないが、本発明の熱酸発生剤(A)100重量部に対して0〜99重量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして基材上に塗布して用いることができる。ここで使用する溶媒は、本発明の熱硬化性組成物を均一に溶解できるものであれば特に限定されない。具体例としては1,1,2,2−テトラクロロエタン、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルメトキシプロピオナート、エチルエトキシプロピオナート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、エチレングリコールモノエチルエ一テルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエ一テル、プロピレングリコールモノメチルエ一テルアセテート、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、乳酸メチル、乳酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、N,N一ジメチルホルムアミド、N,N一ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどが好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
本発明の熱硬化性組成物には、カップリング剤として、シランカップリング剤またはチタネートカップリング剤を用いることもできる。これらを用いることで、本発明の熱硬化性組成物による硬化物と基材との密着性をより高めることができる。
ここで、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラ
ン等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
特に、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシランが好ましい。
一方、チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
これらのカップリング剤は、単独で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用することもできる。このときカップリング剤の使用量は、酸硬化性化合物(B)100重量部に対して0.1〜1重量部の範囲が好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、耐熱性、密着性、硬度などの特性を向上する目的で無機充填剤を配合してもよい。具体的には、溶融シリカ粉末、結晶シリカ粉末、アルミナ、ジルコン、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリウム、ジルコニア、タルク、クレー、水酸化アルミニウム等の粉体、またはこれらを球形化したビーズ、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化ケイ素、アルミナ等の単結晶繊維、ガラス繊維等を1種類以上配合して用いることができる。これら無機充填剤の中で、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。その使用量は、熱硬化性組成物100重量部に対して0〜2000重量部が好ましい。また、無機充填剤は予め充分混合しておくことが好ましい。
さらに必要に応じて、接着性をより向上させるための接着性付与剤、粘度を調整するための粘度調整剤、チキソトロープ性(揺変性)を付与するためのチキソトロープ剤(揺変性付与剤)、引張り特性等を改善されるための物性調整剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、熱硬化性を向上させるための「ラジカル重合性不飽和基を有する化合物とラジカル開始剤」等を用いても良い。
上記難燃剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化モリブテン、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、赤燐、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミン酸カルシウム等の無機難燃剤、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル等の臭素系難燃剤、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート等のリン酸系難燃剤等、従来公知のものが挙げられる。その使用量は、熱硬化性組成物100重量部に対して0〜100重量部が好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、加熱を行うことで熱酸発生剤(A)から酸を発生させ、酸硬化性化合物(B)を重合または架橋させることで、硬化することができる。硬化に必要な温度は、硬化が十分に進行し、基材を劣化させない範囲であれば特に限定されるものではないが、好ましくは50℃から250℃、より好ましくは60℃から160℃の範囲であり、加熱時間は加熱温度に依存するものの、生産性の面から数分から数時間が好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、ロールコーター、スピンコーター、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイコーター、インクジェットプリンターなどを用いて基材上に塗布し、加熱することによって皮膜を形成することができる。
本発明の熱硬化性組成物を塗布もしくは充填する対象物は特に限定されず、平面状のもの、立体状のもの、凹凸のあるものなどあらゆるものに塗布して使用することが可能である。
ここで、本発明の基材について説明する。本発明の熱硬化性組成物を塗布もしくは充填するために使用する基材は特に限定されず、公知の材料はいかなるものも使用可能である。例えば、PETフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリイミドに代表される合成樹脂フィルム、各種紙類、布、不織布、アルミ箔に代表される金属箔、アクリル版等の樹脂板、金属板、木材、発泡体、ガラス、ガラスエポキシ基板などの回路基板材料などが挙げられる。
さらに、光源、検出、受動などのオプトデバイスや、発光ダイオード素子、トランジスタ、集積回路、大規模集積回路、サイリスタなどの半導体素子も本発明の基材に含まれる。また、有機EL素子基板のように、上記記載の基材上に積載または形成された素子、回路も本発明の基材に含まれる。
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例のみになんら限定されるものではない。
本発明の実施例および比較例に使用した熱酸発生剤の構造を以下に示した。
Figure 2007008919
(合成例1)
化合物(1)の合成
4−メトキシアセトナフトンの合成
1−メトキシナフタレン53.9gを二硫化炭素450mlに溶解し、さらに塩化アルミニウム44.7gを添加して0℃にて攪拌下、アセチルクロライド26.6gを二硫化炭素50mlに溶解した溶液を30分かけて添加した。添加終了後、25℃で20時間攪拌した。反応液を氷水1000gにあけ、ジエチルエーテル400mlにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤をろ過して溶媒を溜去し、得られた固体をメタノールから再結晶し、4−メトキシアセトナフトンを44.8g得た(収率65%)。
4−ブロモアセチル−1−メトキシナフタレンの合成
4−メトキシアセトナフトン35.0gをジクロロメタン300mlに溶解し、テトラブチルアンモニウムトリブロマイド80.1gおよび反応触媒として少量の塩化アルミニウムを添加し、40℃にて12時間攪拌した。この溶液を氷水にあけ、有機層を水にて抽出洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤を除去して溶媒を溜去し、得られた固体をエタノール−ヘキサンから再結晶して、4−ブロモアセチル−1−メトキシナフタレンを26.11g得た(収率53%)。
ジメチル(2−(4−メトキシナフチル)−2−オキソエチル)スルホニウム・ブロマイドの合成
4−ブロモアセチル−1−メトキシナフタレン25.0gをジクロロメタン200mlに溶解して、ジメチルスルフィド6.7gを添加し、室温にて24時間攪拌した。この溶液にジエチルエーテル100ml添加し、溶液中に析出した結晶をろ過し、得られた結晶をジエチルエーテルにて洗浄した後、乾燥し、白色結晶としてジメチル(2−(4−メトキシナフチル)−2−オキソエチル)スルホニウム・ブロマイド19.9gを得た(収率65%)。
ジメチル(2−(4−メトキシナフチル)−2−オキソエチル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化合物(1))の合成
ジメチル(2−(4−メトキシナフチル)−2−オキソエチル)スルホニウム・ブロマイド19.0gをイオン交換水4000mlに溶解し、ナトリウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート水溶液(重量濃度3.99%)930.7gを室温にて40分かけて滴下し、滴下終了後室温のまま2時間攪拌した。析出物をろ過し、得られた固体をジクロロメタン250mlに溶解して水にて抽出洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を除去後、0℃に冷却してヘキサン1000mlを滴下した。生成した結晶をろ過し、ヘキサンで洗浄後、乾燥してジメチル(2−(4−メトキシナフチル)−2−オキソエチル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化合物(1))を白色結晶として28.9g得た(収率58%)。
(合成例2)
化合物(2)の合成
1−ブロモアセチルナフタレンの合成
1−アセトナフトン29.8gをジクロロメタン300mlに溶解し、テトラブチルアンモニウムトリブロマイド80.1gを添加し、25℃にて12時間攪拌した。この溶液を氷水にあけ、有機層を水にて抽出洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、乾燥剤を除去して溶媒を溜去し、得られた固体をエタノール−ヘキサンから再結晶して、1−ブロモアセチルナフタレンを26.5g得た(収率61%)。
ジメチル(2−ナフタレン−1−イル−2−オキソエチル)スルホニウム・ブロマイドの合成
1−ブロモアセチルナフタレン22.3gをジクロロメタン200mlに溶解して、ジメチルスルフィド6.7gを添加し、室温にて24時間攪拌した。この溶液にジエチルエーテル100ml添加し、溶液中に析出した結晶をろ過し、得られた結晶をジエチルエーテルにて洗浄した後、乾燥し、白色結晶としてジメチル(2−ナフタレン−1−イル−2−オキソエチル)スルホニウム・ブロマイド19.8gを得た(収率71%)。
ジメチル(2−ナフタレン−1−イル−2−オキソエチル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化合物(2))の合成
ジメチル(2−ナフタレン−1−イル−2−オキソエチル)スルホニウム・ブロマイド17.3gをイオン交換水500mlに溶解し、ナトリウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート水溶液(重量濃度3.99%)930.7gを室温にて40分かけて滴下し、滴下終了後室温のまま2時間攪拌した。析出物をろ過し、得られた固体をジクロロメタン250mlに溶解して水にて抽出洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を除去後、0℃に冷却してヘキサン1000mlを滴下した。生成した結晶をろ過し、ヘキサンで洗浄後、乾燥してジメチル(2−ナフタレン−1−イル−2−オキソエチル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化合物(2))を白色結晶として34.4g得た(収率68%)。
(合成例3から合成例6)
上記した合成例1から合成例2の方法を応用することにより、本発明の熱酸発生剤である化合物(3)、化合物(4)、化合物(5)、化合物(6)も得ることができた。
(合成例7)
化合物(7)の合成
メチル−ビス−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)スルホニウム・パークロレートの合成
ビス(ベンゾイルメチル)スルホニウム27.0gをアセトン300mlに溶解し、ヨードメタン15.6gを室温にて20分かけて添加し、さらに、過塩素酸銀20.4gとアセトン200mlを添加し、室温にて18時間攪拌した。溶液中の固形分をろ過して除き、溶媒を留去し、得られた固体をアセトニトリル−ジエチルエーテルから再結晶して、メチル−ビス−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)スルホニウム・パークロレートを20.3g得た(収率53%)。
メチル−ビス−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化合物(7))の合成
メチル−ビス−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)スルホニウム・パークロレート18.4gをアセトニトリル400mlに溶解し、ナトリウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート水溶液(重量濃度3.99%)838.7gを室温にて40分かけて滴下し、滴下終了後にイオン交換水2500mlを加えて、室温のまま2時間攪拌した。析出物をろ過し、得られた固体をジクロロメタン200mlに溶解して水にて抽出洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を除去後、室温にてヘキサン1200mlを滴下した。生成した結晶をろ過し、ヘキサンで洗浄後、乾燥してメチル−ビス−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)(化合物(7))を白色結晶として40.5g得た(収率88%)。
(合成例8)
化合物(8)の合成
トリス−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)スルホニウム・パークロレートの合成
ビス(ベンゾイルメチル)スルホニウム20.4gをアセトン250mlに溶解し、フェナシルブロマイド16.5gを添加し、さらに、過塩素酸銀15.4gとアセトン150mlを添加し、室温にて24時間攪拌した。溶液中の固形分をろ過して除き、溶媒を留去し、得られた固体をアセトニトリル−ジエチルエーテルから再結晶して、トリス−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)スルホニウム・パークロレートを17.0g得た(収率46%)。
トリス−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化合物(8))の合成
トリス−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)スルホニウム・パークロレート15.0gをアセトニトリル450mlに溶解し、ナトリウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート水溶液(重量濃度3.99%)538.2gを室温にて40分かけて滴下し、滴下終了後にイオン交換水2000mlを加えて、室温のまま2時間攪拌した。析出物をろ過し、得られた固体をジクロロメタン300mlに溶解して水にて抽出洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を除去後、室温にてヘキサン1000mlを滴下した。生成した結晶をろ過し、ヘキサンで洗浄後、乾燥してトリス−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化合物(8))を白色結晶として24.2g得た(収率74%)。
(合成例9および10)
上記した合成例7から合成例8の方法を応用することにより、本発明の熱酸発生剤である化合物(9)、化合物(10)も得ることができた。
上記合成例1から合成例10で合成した本発明の熱酸発生剤の元素分析の結果を表1として示した。

表1
Figure 2007008919
<溶解度試験>
(実施例1)
熱酸発生剤(A)として、化合物(1)を10重量部と、酸硬化性化合物(B)としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)を100重量部とを室温で混合した後、外観を目視で判定したところ、均一に溶解していた。
(実施例2〜20および比較例1〜4)
実施例1の熱酸発生剤(A)10重量部を表2に示した酸発生剤それぞれ10重量部、酸硬化性化合物(B)100重量部を表2に示した化合物それぞれ100重量部とした以外は、実施例1と全く同一の所作にて溶解度試験を行った。結果を表2に示した。
Figure 2007008919
※樹脂C:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「エピコート828」、ジャパン
エポキシレジン社製)
樹脂D:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサンカ
ルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノマー
、製品名UVR−6110)
実施例1〜20のように、本発明の熱酸発生剤(A)は、酸硬化性化合物(B)である樹脂の種類に関わらず、高い溶解度を有している。一方、比較例1〜4のように、本発明以外の熱酸発生剤は、酸硬化性化合物(B)に対する溶解度が一様に低い。
<熱硬化性試験>
(実施例21)
熱酸発生剤(A)として、化合物(1)を3重量部と、酸硬化性化合物(B)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノマー、製品名UVR−6110)を100重量部とを混合し、熱硬化性組成物を作製した。この熱硬化性組成物をサンプル瓶に0.5g秤量し、150℃のオーブンに30分間放置した。30分後、熱硬化性組成物は硬化した。
(実施例22〜30および比較例5〜6)
実施例21の酸発生剤(A)3重量部を、表3に示した酸発生剤それぞれ3重量部、酸硬化性化合物(B)100重量部を表3に示した化合物それぞれ100重量部とした以外は、実施例21と全く同一の所作にて熱硬化性試験を行った。結果を表3に示した。
Figure 2007008919
※樹脂D:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサ
ンカルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノマー
、製品名UVR−6110)
実施例21〜30のように、本発明の熱酸発生剤(A)を用いた熱硬化性組成物は所定の加熱で十分に硬化した。一方、比較例6のように本発明以外の熱酸発生剤(A)を用いた熱硬化性組成物の場合、十分に硬化しなかった。
(実施例31)
熱酸発生剤(A)として、化合物(7)を3重量部と、酸硬化性化合物(B)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノマー、製品名UVR−6110)を100重量部とを混合し、熱硬化性組成物を作製した。この熱硬化性組成物をサンプル瓶に0.5g秤量し、100℃のオーブンに30分間放置した。30分後、熱硬化性組成物は硬化した。
(実施例32〜34および比較例7〜8)
実施例31の酸発生剤(A)3重量部を、表4に示した酸発生剤それぞれ3重量部、酸硬化性化合物(B)100重量部を表4に示した化合物それぞれ100重量部とした以外は、実施例31と全く同一の所作にて熱硬化性試験を行った。結果を表4に示した。
Figure 2007008919
※樹脂D:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサ
ンカルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノマー
、製品名UVR−6110)
実施例31〜34のように、本発明の熱酸発生剤(A)を用いた熱硬化性組成物は所定の加熱で十分に硬化した。一方、比較例7〜8のように本発明以外の熱酸発生剤(A)を用いた熱硬化性組成物の場合、十分に硬化しなかった。
<密着性試験>
(実施例35)
熱酸発生剤(A)として、化合物(1)を3重量部と、酸硬化性化合物(B)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノマー、製品名UVR−6110)を100重量部とを混合し、熱硬化性組成物を作製した。この熱硬化性組成物をガラス基板上に硬化後の膜厚が30μmとなるように塗布した後に150℃のオーブンに30分間放置した。その後、碁盤目セロハンテープ剥離試験で密着性試験を行ったところ、硬化物は残存した。
(実施例36〜44および比較例9〜10)
実施例35の酸発生剤(A)3重量部を、表5に示した酸発生剤それぞれ3重量部、酸硬化性化合物(B)100重量部を表5に示した化合物それぞれ100重量部とした以外は、実施例35と全く同一の所作にて密着性試験を行った。結果を表5に示した。
Figure 2007008919
※樹脂D:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサン
カルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノ
マー、製品名UVR−6110)
実施例35〜44のように、本発明の熱酸発生剤(A)を用いた熱硬化性組成物を加熱することで得られた硬化物は、剥離することなく十分な密着性を示した。一方、比較例9〜10のように本発明以外の熱酸発生剤(A)を用いた熱硬化性組成物を加熱することで得られた硬化物の場合、基板との密着性は十分ではなく、剥離してしまった。
<保存安定性試験>
(実施例45)
熱酸発生剤(A)として、化合物(1)を3重量部と、酸硬化性化合物(B)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノマー、製品名UVR−6110)を100重量部とを混合し、熱硬化性組成物を作製した。この熱硬化性組成物をサンプル瓶に100g秤量し、25℃のオーブンに1ヶ月置いた。1ヶ月後、この熱硬化性組成物の粘度は初期の2倍以下であった。
(実施例46〜54および比較例11〜12)
実施例45の酸発生剤(A)3重量部を、表6に示した酸発生剤それぞれ3重量部、酸硬化性化合物(B)100重量部を表6に示した化合物それぞれ100重量部とした以外は、実施例45と全く同一の所作にて熱硬化性試験を行った。結果を表6に示した。
Figure 2007008919
※樹脂D:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキサン
カルボキシレート(ダウ・ケミカル日本株式会社製、脂環式エポキシモノ
マー、製品名UVR−6110)
実施例45〜54のように、本発明の熱酸発生剤(A)を用いた熱硬化性組成物は、十分な保存安定性を有するが、比較例11のように本発明以外の熱酸発生剤(A)を用いた熱硬化性組成物では、粘度上昇や硬化が起こり、十分な保存安定性が得られない。
本発明は、スルホニウムカチオンに特定の置換基を導入することで、非常に高感度かつ
、室温での保存安定性に優れ、基材に対する密着性に優れた熱酸発生剤を提供するものである。従って本発明の熱酸発生剤は、従来より用いられてきた加熱により発生する酸を触媒とした重合、架橋反応などを迅速かつ確実に進行させることができ、その結果として各種用途の高感度化、あるいは反応が十分進行することによる各種用途の特性向上等が期待できる。本発明により、高感度化や特性向上が期待できる用途の例としては、成形樹脂、注型樹脂、ダイオード、トランジスタ、IC等の半導体の電子部品や、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンス(以下、EL)素子等の表示素子、光磁気ディスク等の高密度記録媒体、太陽電池、光導波路等の封止材料、印刷インキ、塗料、印刷用カラープルーフ、絶縁材、導波路用材料、オーバーコート剤、接着剤、粘着剤、粘接着剤、剥離コート剤、ダイボンディングテープ、ダイシングテープ、半導体表面保護膜等が挙げられる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表記されるスルホニウム塩からなる熱酸発生剤。
    一般式(1)
    Figure 2007008919

    (ただし、R1は、下記一般式(2)で表記される基、置換基を有してもよいアリル基、
    置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基より選ばれる基を、
    2 およびR3 はそれぞれ独立に、下記一般式(2)で表記される基、置換基を有してもよいアリル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキル基、または、置換基を有してもよいアルケニル基より選ばれる基を示す。
    また、R1 、R2 およびR3はその2個以上の基が結合して環状構造となってもよい。)
    一般式(2)
    Figure 2007008919


    (ただし、Ar1は置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環
    基を示し、
    4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基または置換基を有してもよいアルケニル基を表す。
    また、Ar1、R4、およびR5は一体となって、環を形成してもよい。)
  2. 1が、一般式(2)で表記される基である、請求項1記載の熱酸発生剤。
  3. 4およびR5が水素原子である請求項2記載の熱酸発生剤。
  4. Ar1が、置換基を有してもよい炭素数10〜18のアリール基または置換基を有しても
    よい炭素数8〜18の複素環基である、請求項3記載の熱酸発生剤。
  5. 2 およびR3が、置換基を有してよい炭素数1〜6のアルキル基である、請求項1〜4
    いずれか記載の熱酸発生剤。
  6. 下記一般式(3)で表記されるスルホニウム塩からなる熱酸発生剤。
    一般式(3)
    Figure 2007008919



    (ただし、R6は、はそれぞれ独立に、下記一般式(2)で表記される基、置換基を有し
    てもよいアリル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキル基、または、置換基を有してもよいアルケニル基より選ばれる基を示し、
    Ar2およびAr3はそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基および置換基を有してもよい複素環基を示す。
    また、R6、Ar2およびAr3はその2個以上の基が結合して環状構造となってもよい。

    一般式(2)
    Figure 2007008919






    (ただし、Ar1は置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環
    基を示し、
    4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基または置換基を有してもよいアルケニル基を表す。
    また、Ar1、R4、およびR5は一体となって、環を形成してもよい。)
  7. 請求項1〜6いずれか記載の熱酸発生剤に、50℃から250℃の加熱を行うことを特徴とする、酸の発生方法。
  8. 請求項1〜6いずれか記載の熱酸発生剤(A)と、酸硬化性化合物(B)とを含む熱硬化性組成物。
  9. 請求項8記載の熱硬化性組成物に、50℃から250℃の加熱を行うことで硬化させることを特徴とする硬化物の製造方法。
  10. 請求項8記載の熱硬化性組成物に、50℃から250℃の加熱を行うことで硬化させてなる硬化物。

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