JP2007006643A - 電動機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電機子は、電機子軸8に設けられた軸方向移動制限手段(段差8bとワッシャ12)により、軸方向の移動が制限されている。また、ブラシ3を保持するブラシ保持装置は、ホルダプレート15がエンドフレーム6の軸方向端面に当接した状態でエンドフレーム6に固定され、電機子を反エンドフレーム側へ最も寄せた状態でも、ブラシ3がブラシホルダ16に当たることはなく、両者間に隙間Aが確保されている。これにより、電機子が軸方向に振動しても、ブラシ3がブラシホルダ16に当たらないため、ブラシホルダ16の強度アップは不要であり、ホルダプレート15が共振することもない。
【選択図】図2
Description
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、電機子の軸方向移動を制限することにより、電機子が軸方向に振動した時にブラシホルダへの衝撃を低減でき、且つホルダプレートの共振を抑制できる電動機を提供することにある。
本発明は、一端側の端部が軸受を介してエンドフレームに回転自在に支持される電機子軸を有すると共に、この電機子軸の一端側に円筒状に構成される整流子を備えた電機子と、整流子の表面(整流子面と呼ぶ)上に配置され、電機子の回転によって整流子面上を摺動するブラシと、このブラシを保持するブラシホルダと、このブラシホルダが取り付けられるホルダプレートとを有し、このホルダプレートが、エンドフレームを含むケーシングに固定されており、整流子面には、ブラシの摺動方向と直交する軸方向に複数の凹凸形状が形成され、その凹凸形状が整流子面の全周に設けられている電動機であって、電機子軸の一端側には、エンドフレームに対して電機子の軸方向移動を制限する軸方向移動制限手段が設けられていることを特徴とする。
また、電機子と一体に振動するブラシの軸方向移動も制限されるため、ブラシが叩きつけられることによるブラシホルダへの衝撃を低減できる。その結果、ブラシホルダを必要以上に強度アップしなくても良く、ブラシホルダの薄型化が可能である。
請求項1に記載した電動機において、ホルダプレートは、電機子軸と直交して配置されると共に、板厚方向の一表面がエンドフレームの軸方向端面に当接しており、ブラシホルダは、ブラシの反エンドフレーム側で、ブラシと軸方向に対向するホルダ壁面を有し、電機子を反エンドフレーム側へ最も寄せた場合でも、ブラシとホルダ壁面との間に隙間が確保されていることを特徴とする。
更に、電機子が最も反エンドフレーム側へ移動した時でも、ブラシがブラシホルダに当たらないため、電機子の振動による衝撃がブラシホルダに加わることはなく、ブラシホルダの強度アップは不要である。また、軸方向移動制限手段がブラシホルダに近い電機子軸の一端側に設けられるため、ブラシとホルダ壁面との間の隙間を決定するための部品点数を少なくでき、部品の積み上げ寸法公差を小さくできるので、ブラシとホルダ壁面との間の隙間を最小限に設定できる。
請求項1に記載した電動機において、ブラシホルダは、ブラシのエンドフレーム側で、ブラシの一側面と軸方向に対向するホルダ後壁面と、ブラシの反エンドフレーム側で、ブラシの他側面と軸方向に対向するホルダ前壁面とを有し、電機子をエンドフレーム側へ最も寄せた場合でも、ブラシの一側面とホルダ後壁面との間に隙間が確保され、且つ電機子を反エンドフレーム側へ最も寄せた場合でも、ブラシの他側面とホルダ前壁面との間に隙間が確保されていることを特徴とする。
更に、軸方向移動制限手段がブラシホルダに近い電機子軸の一端側に設けられるため、ブラシとブラシホルダとの間の隙間を決定するための部品点数を少なくでき、部品の積み上げ寸法公差を小さくできるので、ブラシとブラシホルダとの間の隙間を最小限に設定できる。
請求項3に記載した電動機において、ホルダプレートは、磁気回路を形成するヨークとエンドフレームとの間に外周部が挟持されて、電機子軸と直交して配置され、ブラシホルダは、ホルダプレートのエンドフレーム側に配置されていることを特徴とする。
上記の請求項3に記載した発明では、電機子が軸方向に振動しても、ブラシがブラシホルダに当たることはなく、ホルダプレートが共振しないので、例えば、ホルダプレートの一表面をエンドフレームの軸方向端面に当接させる、あるいホルダプレートの板厚を厚くして強度アップを図る等の共振対策が不要である。これにより、ホルダプレートをブラシの反エンドフレーム側に配置して、自身の外周部をヨークとエンドフレームとの間に挟持させて固定することができるため、容易にホルダプレートをケーシングへ固定することができ、組み付け性が向上する。
請求項1〜4に記載した何れかの電動機において、電機子軸は、軸受に支持される一端側の端部(軸端部と呼ぶ)が電機子軸の本体(軸本体と呼ぶ)より細く形成され、軸本体と軸端部との間に段差が設けられて、この段差によって電機子のエンドフレーム側への移動が制限されると共に、軸端部の先端部がエンドフレームを貫通してエンドフレームの外側に取り出され、抜け止め手段によってエンドフレームの内側への移動が制限されることにより、軸方向移動制限手段として構成されていることを特徴とする。
なお、抜け止め手段は、例えば、エンドフレームの外側に取り出された電機子軸の軸端部(先端部)に周溝を形成し、その周溝にワッシャ等を嵌め合わせることで実現できる。あるいは、エンドフレームの外側に取り出された電機子軸の軸端部(先端部)を塑性加工(例えばカシメ加工)することもできる。
請求項1〜4に記載した何れかの電動機において、電機子軸の一端側の端部(軸端部と呼ぶ)を支持する軸受は、軸方向移動制限手段として機能するボールベアリングであり、そのボールベアリングの内輪が軸端部の外周に圧入固定され、ボールベアリングの外輪がエンドフレームに設けられる軸受部の内周に圧入固定されることで、電機子の軸方向移動が制限されていることを特徴とする。
請求項1〜6に記載した何れかの電動機は、内燃機関を始動するためのスタータモータであることを特徴とする電動機。
スタータモータは、内燃機関より振動が伝達されて電機子が軸方向に振動するので、請求項1〜6に記載した何れかの技術を採用することにより、電機子の軸方向移動が制限されて、ブラシホルダへの衝撃を低減でき、且つホルダプレートの共振を抑制できる。
スタータモータ1は、磁界を形成する界磁と、この界磁の内周側に回転自在に配置される電機子2と、この電機子2に通電するためのカーボンブラシ3等を有する周知の直流電動機である。
界磁は、磁気回路を形成するヨーク4の内周に複数の永久磁石5(界磁コイルでも良い)を配置して構成される。ヨーク4は、円筒形状を有し、一端側の開口部にエンドフレーム6が組み合わされ、そのエンドフレーム6と共にスタータモータ1のケーシングを兼ねている。
電機子軸8の軸端部8aを支持する軸受7は、単純な円筒形状を有する滑り軸受であり、エンドフレーム6に設けられた軸受部6aの内周に圧入固定されている。この軸受7は、図2に示す様に、軸受部6aの端面より電機子2側(図示左側)へ突き出ることはなく、軸受7の端面が軸受部6aの端面と軸方向に略同位置に設けられている。
ブラシ3は、以下に説明するブラシ保持装置に保持されて、整流子面上に配置されると共に、図示しないブラシスプリングにより整流子面に押圧され、電機子2の回転によって整流子面上を摺動する。
ホルダプレート15は、中空孔を有する円板形状に設けられて、図2に示す様に、電機子軸8と直交して配置され、板厚方向(図示左右方向)の一表面がエンドフレーム6の軸方向端面に当接した状態でエンドフレーム6に固定されている。このホルダプレート15は、金属製であり、負極ブラシ3のリード線(図示せず)がアース接続されている。
上記のスタータモータ1は、整流子面に凹凸形状14を設けて、ブラシ3との接触状態(摺動状態)を安定化させることにより、性能向上を図ることができる。
但し、ブラシ3の摺動面が整流子11の凹凸形状14に食い込むことで、整流子11に対して軸方向にブラシ3の移動が規制されるため、エンジンの振動が電機子2に伝達されて電機子2が軸方向に振動すると、電機子2と一体にブラシ3も軸方向に振動する。これに対し、実施例1に記載したスタータモータ1は、電機子軸8に設けられた段差8bとワッシャ12とで電機子2の軸方向移動が制限され、電機子2が最も反エンドフレーム側へ移動した状態でも、ブラシ3がブラシホルダ16のホルダ壁面16aに当たることはなく、両者間に隙間Aが確保されている。
なお、実施例1に記載したワッシャ12は、電機子軸8の軸端部8aに周溝8cを形成し、その周溝8cにワッシャ12等を嵌め合わせる構成であるが、例えば、エンドフレーム6の外側に取り出された電機子軸8の軸端部8aを塑性加工(カシメ加工)して、エンドフレーム6に対する抜け止め機能を持たせることもできる。
この実施例2に示すスタータモータ1は、実施例1と同じく、電機子軸8に設けられた段差8bとワッシャ12とで構成される軸方向移動制限手段を有している。但し、ブラシ保持装置は、図3に示す様に、ホルダプレート15がブラシ3の反エンドフレーム側に配置されて、自身の外周部がヨーク4とエンドフレーム6との間に挟持されて固定されている。また、ブラシホルダ16は、ブラシ3のエンドフレーム6側で、ブラシ3と軸方向に対向するホルダ壁面16b(本発明のホルダ後壁面)を有し、電機子2をエンドフレーム6側へ最も寄せた状態、つまり、図4に示す様に、電機子軸8の段差8bが軸受7の端面および軸受部6aの端面に当接している状態でも、ブラシ3がホルダ壁面16bに当たることはなく、両者間に隙間Bが確保されている。更に、電機子2を反エンドフレーム側へ最も寄せた状態(図5に示す状態)でも、ブラシ3がホルダプレート15に当たることはなく、両者間に隙間Cが確保されている。
更に、軸方向移動制限手段がブラシホルダ16に近い電機子軸8の一端側に設けられるため、上記の隙間B、Cを決定するための部品点数を少なくでき、部品の積み上げ寸法公差を小さくできるので、ブラシ3とブラシホルダ16との間の隙間B、およびブラシ3とホルダプレート15との間の隙間Cを最小限に設定でき、ブラシ保持装置の大型化を回避できる。
この実施例3に示すスタータモータ1は、図6に示す様に、電機子軸8の軸端部8aを支持する軸受をボールベアリング17とし、そのボールベアリング17に軸方向移動制限手段の機能を持たせている。つまり、ボールベアリング17は、電機子軸8の軸端部8aの外周に内輪17aが圧入固定され、エンドフレーム6の軸受部6aの内周に外輪17bが圧入固定されることで、電機子2の軸方向移動を制限している。
上記の構成によれば、規格品であるボールベアリング17によって軸方向移動制限手段を構成できるので、軸方向移動制限手段に掛かるコストを低く抑えることができる。また、電機子軸8の軸端部8aをエンドフレーム6の外側に取り出す必要はなく、エンドフレーム6に孔を開ける必要もないため、防水性、防塵性等の対環境性にも優れている。
実施例1に記載したブラシ保持装置は、電機子2が最も反エンドフレーム側へ移動した状態でも、ブラシ3とブラシホルダ16(ホルダ壁面16a)との間に隙間Aが確保される構成であるが、必ずしも隙間Aを設ける必要はなく、ブラシ3がホルダ壁面16aに接触する構成でも良い。この場合でも、軸方向移動制限手段により電機子2の軸方向移動が制限されるので、電機子2の振動によってブラシ3がホルダ壁面16aに当たった時の衝撃を低く抑えることはできる。
実施例1では、本発明の電動機をスタータモータ1に適用した一例を説明したが、スタータモータ1に限定されるものではなく、整流子11とブラシ3を有する電動機に広く適用できる。
2 電機子
3 ブラシ
4 ヨーク(ケーシング)
6 エンドフレーム(ケーシング)
7 軸受
8 電機子軸
8a 電機子軸の軸端部(一端側の端部)
8b 段差(軸方向移動制限手段)
8c 周溝(抜け止め手段)
11 整流子
12 ワッシャ(抜け止め手段/軸方向移動制限手段)
14 凹凸形状
15 ホルダプレート
16 ブラシホルダ
16a ホルダ壁面
16b ホルダ壁面(ホルダ後壁面)
17 ボールベアリング(軸方向移動制限手段)
17a ボールベアリングの内輪
17b ボールベアリングの外輪
Claims (7)
- 一端側の端部が軸受を介してエンドフレームに回転自在に支持される電機子軸を有すると共に、この電機子軸の一端側に円筒状に構成される整流子を備えた電機子と、
前記整流子の表面(整流子面と呼ぶ)上に配置され、前記電機子の回転によって前記整流子面上を摺動するブラシと、
このブラシを保持するブラシホルダと、
このブラシホルダが取り付けられるホルダプレートとを有し、このホルダプレートが、前記エンドフレームを含むケーシングに固定されており、
前記整流子面には、前記ブラシの摺動方向と直交する軸方向に複数の凹凸形状が形成され、その凹凸形状が前記整流子面の全周に設けられている電動機であって、
前記電機子軸の一端側には、前記エンドフレームに対して前記電機子の軸方向移動を制限する軸方向移動制限手段が設けられていることを特徴とする電動機。 - 請求項1に記載した電動機において、
前記ホルダプレートは、前記電機子軸と直交して配置されると共に、板厚方向の一表面が前記エンドフレームの軸方向端面に当接しており、
前記ブラシホルダは、前記ブラシの反エンドフレーム側で、前記ブラシと軸方向に対向するホルダ壁面を有し、前記電機子を反エンドフレーム側へ最も寄せた場合でも、前記ブラシと前記ホルダ壁面との間に隙間が確保されていることを特徴とする電動機。 - 請求項1に記載した電動機において、
前記ブラシホルダは、前記ブラシのエンドフレーム側で、前記ブラシの一側面と軸方向に対向するホルダ後壁面と、前記ブラシの反エンドフレーム側で、前記ブラシの他側面と軸方向に対向するホルダ前壁面とを有し、前記電機子をエンドフレーム側へ最も寄せた場合でも、前記ブラシの一側面と前記ホルダ後壁面との間に隙間が確保され、且つ前記電機子を反エンドフレーム側へ最も寄せた場合でも、前記ブラシの他側面と前記ホルダ前壁面との間に隙間が確保されていることを特徴とする電動機。 - 請求項3に記載した電動機において、
前記ホルダプレートは、磁気回路を形成するヨークと前記エンドフレームとの間に外周部が挟持されて、前記電機子軸と直交して配置され、
前記ブラシホルダは、前記ホルダプレートの前記エンドフレーム側に配置されていることを特徴とする電動機。 - 請求項1〜4に記載した何れかの電動機において、
前記電機子軸は、前記軸受に支持される一端側の端部(軸端部と呼ぶ)が前記電機子軸の本体(軸本体と呼ぶ)より細く形成され、前記軸本体と前記軸端部との間に段差が設けられて、この段差によって前記電機子のエンドフレーム側への移動が制限されると共に、前記軸端部の先端部が前記エンドフレームを貫通して前記エンドフレームの外側に取り出され、抜け止め手段によって前記エンドフレームの内側への移動が制限されることにより、前記軸方向移動制限手段として構成されていることを特徴とする電動機。 - 請求項1〜4に記載した何れかの電動機において、
前記電機子軸の一端側の端部(軸端部と呼ぶ)を支持する前記軸受は、前記軸方向移動制限手段として機能するボールベアリングであり、そのボールベアリングの内輪が前記軸端部の外周に圧入固定され、前記ボールベアリングの外輪が前記エンドフレームに設けられる軸受部の内周に圧入固定されることで、前記電機子の軸方向移動が制限されていることを特徴とする電動機。 - 請求項1〜6に記載した何れかの電動機は、内燃機関を始動するためのスタータモータであることを特徴とする電動機。
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