JP2007002980A - ピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置 - Google Patents

ピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高温下において高速回転で使用しても長寿命なピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置を提供する。
【解決手段】プラネタリギヤ装置のピニオンギヤ3を回転自在に支持するピニオンシャフト5を、かしめによってキャリヤ4に固定した。このピニオンシャフト5は、高炭素クロム軸受鋼で構成されている。そして、窒化処理、該窒化処理の処理温度よりも高温での焼鈍し処理に続いて、ピニオンシャフト5の外周面のうち転走面となる部分のみに高周波焼入れ処理が施されている。ピニオンシャフト5の表層部の窒素濃度は0.05質量%以上0.6質量%以下であり、残留オーステナイト量は15体積%以上30体積%以下である。また、転走面となる部分の表面硬さはHv700以上であり、長手方向端部の表面硬さはHv300以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置に関する。
例えば自動車の自動変速機に用いられるプラネタリギヤ装置は、サンギヤ,リングギヤ,及びキャリヤを備えており、これらの回転要素は出力軸の周りに同心に配されている。また、サンギヤ及びリングギヤに噛み合うピニオンギヤが、キャリヤに固定されたピニオンシャフトに、軸受用ころを介して回転自在に支持されている。そして、各回転の遠心力によって各回転要素に潤滑油が供給されるように、油路が備えられている。
しかしながら、プラネタリギヤ装置の構造は、ピニオンギヤが自転しながら公転するという複雑なものであるので、十分な潤滑油をピニオンシャフト及び軸受用ころに供給することは困難であった。また、各回転要素の中ではピニオンギヤの回転速度が最も高いので、ピニオンギヤを支持するピニオンシャフトには、ピニオンギヤに作用する遠心力を支えるために大きな荷重が負荷される傾向があった。
したがって、従来のプラネタリギヤ装置においては、ピニオンシャフトはJIS鋼種SK5等で構成され、焼入れが施されて転動部材として必要な硬さ(Hv650以上)が付与されていた。そして、焼入れ法として高周波焼入れ法を採用することにより、軸受用ころが転走する部分(転走面)のみに高周波焼入れが施され、高周波焼入れが施されていない端部をかしめることによってピニオンシャフトがキャリアに固定されていた。
近年、自動車の低燃費化の要求がますます強まっており、低燃費化を目的としてトランスミッションの小型化や高効率化が行われている。そのため、ピニオンギヤの回転速度が高まっているので、ピニオンシャフトに負荷される荷重が増大し且つ温度が上昇し、さらに潤滑油量が減少する傾向となっている。
その結果、前述のような従来のピニオンシャフトでは、潤滑不良等による剥離寿命が問題となる場合があった。このような場合には、ピニオンシャフトをJIS鋼種SUJ2で構成し、浸炭窒化処理等を施して寿命を確保していたが、そうすると、ピニオンシャフトをかしめによってキャリアに固定することができないので、キャリヤにねじ穴を加工してピニオンシャフトをねじで固定する必要があることから、プラネタリギヤ装置のコストが高くなるという問題点があった。
また、前述した荷重の増大及び温度の上昇のために、変形や早期剥離(滑りの増大に伴って摩耗が生じ、その摩耗による面荒れから早期剥離が生じる)が発生しやすく、寿命が不十分となるという問題があった。
これに対して、使用条件の高温化,高速化に伴う滑りの発生や潤滑不良による早期剥離を防止するためには、摩耗による面荒れを抑制するため表面の窒素濃度を高くすることが有効である。窒素は、浸炭窒化処理によって表面に容易に添加することが可能であるが、オーステナイトを安定化させる元素であるので、焼入れ後の残留オーステナイト量が高くなる。
特許文献1,2には、浸炭窒化処理後に放冷するか、あるいは、焼入れ処理後に高温での焼戻し処理を施すことにより、芯部の残留オーステナイトを分解させ、さらに、外周面のうち軸受用ころの転走面となる部分に高周波焼入れ処理を施して、ピニオンシャフトを製造する方法が開示されている。このようにして製造されたピニオンシャフトは、長手方向端部には高周波焼入れ処理が施されておらず硬化されていないから、端部をかしめてキャリアに固定することができ、且つ、残留オーステナイトにより耐久性も十分に備えている。また、この方法によれば、プラネタリギヤ装置を安価に製造することができる。
特開2002−4003号公報 特開2004−340221号公報 特開2003−301933号公報 特開2004−99954号公報 日本熱処理技術協会編,「熱処理技術入門」,大河出版,p.278
しかしながら、トランスミッションの多段化による空間容積の減少に伴い、ピニオンシャフトがますます小径化しており、油穴の存在を考慮すると、有効肉厚は非常に薄くなっている。また、かしめ性を考慮して浸炭窒化処理後に炭化物が球状化するほどの焼鈍し処理が施されているので、高周波焼入れ処理の際には球状化炭化物を溶かすために十分な熱量が必要であり、そのため焼入れ時間を長くする必要があった。
さらに、高周波焼入れ処理の際には、最表面に発生した熱が内部に伝導しやすく内部まで硬化してしまうため、適切な焼入れを行うことは容易ではなかった。さらに、ピニオンシャフトのかしめ広げる部分は角部であるため、平行部よりも侵入した炭素が集まりやすく巨大な初析炭化物を形成しやすい。角部の表面を初析炭化物が覆うと、延性が低下したり不均一な変形が生じたりするなどの問題があった。
また、特許文献3,4には、窒化処理後に高周波焼入れ処理を施す技術が開示されているが、窒化処理は比較的低温で行われるため侵入深さが浅く、窒化に適する材料の選択が必要な上に、研磨後の品質を安定的に保つことが難しかった。さらに、窒化によってピニオンシャフトの長手方向端部(かしめ部)の硬さも高くなるので、かしめによるキャリアへの固定がやりにくかった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高温下において高速回転で使用しても長寿命なピニオンシャフト、及び、高温下において高速回転で使用しても長寿命で安価なプラネタリギヤ装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のピニオンシャフトは、プラネタリギヤ装置において使用され、同心に配されたサンギヤ及びリングギヤに噛み合うピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトであって、下記の6つの条件を満足することを特徴とする。
条件1:軸受鋼で構成されている。
条件2:窒化処理、前記窒化処理の処理温度よりも高温での焼鈍し処理、転走面となる部分への高周波焼入れ処理の順序で熱処理が施されている。
条件3:窒素濃度が0.05質量%以上0.6質量%以下である表層部を備えている。
条件4:前記表層部の残留オーステナイト量が15体積%以上30体積%以下である。
条件5:前記転走面となる部分の表面硬さがHv700以上である。
条件6:長手方向端部の表面硬さがHv300以下である。
また、本発明に係る請求項2のプラネタリギヤ装置は、サンギヤと、該サンギヤと同心に配されたリングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに噛み合う1個以上のピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトと、前記サンギヤ及び前記リングギヤと同心に配され前記ピニオンギヤが固定されたキャリヤと、を備えるプラネタリギヤ装置において、前記ピニオンシャフトを請求項1に記載のピニオンシャフトとし、このピニオンシャフトを前記キャリヤにかしめによって固定したことを特徴とする。
本発明のピニオンシャフトは、高温下において高速回転で使用しても長寿命である。また、本発明のプラネタリギヤ装置は、高温下において高速回転で使用しても長寿命であり且つ安価である。
本発明に係るピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すプラネタリギヤ装置は、図示しない軸が挿通されたサンギヤ1と、該サンギヤ1と同心に配されたリングギヤ2と、サンギヤ1及びリングギヤ2に噛み合う1個以上(図1においては3個)のピニオンギヤ3と、サンギヤ1及びリングギヤ2と同心に配されピニオンギヤ3を回転自在に支持するキャリヤ4と、を備えている。
ピニオンギヤ3の中心には、かしめによりキャリヤ4に固定されたピニオンシャフト5が挿通されており、また、ピニオンシャフト5の外周面とピニオンギヤ3の内周面との間には図示されない複数の針状ころが配されていて、これによりピニオンギヤ3はピニオンシャフト5を軸として回転自在とされている。
このピニオンシャフト5は、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)で構成されている。そして、窒化処理、変態点直下の高温焼鈍し処理に続いて、ピニオンシャフト5の外周面のうち前記針状ころが転走する部分(転走面)のみに高周波焼入れ処理が施されている。
なお、ピニオンシャフト5を製造する際には、高炭素クロム軸受鋼で構成された鋼材を所定の寸法(例えば外径8mm、長さ35mm)に旋削加工した後に、前述のような一連の熱処理を施し、さらに仕上げ研削加工を施すとよい。
このような熱処理が施された結果、ピニオンシャフト5には表層部と芯部とが形成され、表層部の窒素濃度は0.05質量%以上0.6質量%以下となっており、表層部の残留オーステナイト量は15体積%以上30体積%以下となっている。また、転走面となる部分の表面硬さはHv700以上であり、長手方向端部の表面硬さはHv300以下である。
ピニオンシャフト5の長手方向端部には高周波焼入れ処理が施されておらず、硬化されていないので(硬さはHv300以下である)、前述したようにピニオンシャフト5はその端部をかしめることによってキャリヤ4に固定することができる。よって、このプラネタリギヤ装置は、安価に製造することができる。
次に、ピニオンシャフトに施す熱処理について説明する。非特許文献1によれば、高周波焼入れ処理を施す前に組織の調整を行うことにより、硬化層の硬さ勾配を変化させることができる。これは、焼入れ前の組織における炭化物の存在状態によって、高温短時間の加熱時の非平衡な炭化物の溶解量が変化することに起因する。
一般に、焼戻しマルテンサイト組織が、炭化物の分散状態が微細均一で最も優れ、粗大な球状炭化物組織は好ましくないとされている。これは、炭化物の溶解に大きな熱量が必要であることを意味している。しかし、大きな熱量が供給されると内部への熱伝導が生じてしまうため、目的の硬化層を得ることは難しい。
これに対して、最表面に炭素よりも窒素を優先的に存在させることにより焼鈍し処理を施しても粗大な球状炭化物が生成しないようにすれば、粗大な球状炭化物による溶解不足問題を解決できる。また、巨大な初析炭化物の発生も低減されるので、延性を阻害することなく、良好なかしめ性を付与することができる。
具体的には、高炭素クロム軸受鋼の素材からピニオンシャフトの形状に粗成型した後に、窒化処理を施して表面の窒素濃度を高め、焼鈍し処理を施して窒素の拡散及び表面硬さの低減を行う。この状態では、残留オーステナイトの阻害要因である巨大な球状炭化物や、かしめ性の低下要因である初析炭化物及び硬化層は存在しなくなる。さらに、焼鈍し処理により窒素が内部に拡散することにより、従来技術における窒化層の厚さが薄いという問題を解決できる。
このような熱処理により、残留オーステナイトが最も必要な表層部の焼入れ処理の前組織を最適化することができ、高周波焼入れ処理時に十分な残留オーステナイトを得ることができるとともに、良好なかしめ性を付与することができる。よって、一般的な高炭素クロム軸受鋼を使用して、耐久性及びかしめ性に優れた小径のピニオンシャフトを製造することができる。
次に、前述した窒素濃度,残留オーステナイト量,表面硬さ等の数値の臨界的意義について説明する。
〔表層部の窒素濃度について〕
鋼中の窒素はMs点を低下させ、残留オーステナイト量を増加させる作用が強い。窒素濃度が0.05質量%未満であると前述の作用が不十分となって、残留オーステナイトを安定的に得ることが困難となり、耐久性の低下を招くおそれがある。ただし、0.6質量%超過としても、前述の作用は飽和する。
なお、本発明における表層部とは、ピニオンシャフトの外周面とピニオンギヤの内周面との間に配された針状ころの直径をDaとすると、ピニオンシャフトの表面からDaの2%の深さ位置までの部分を意味する。
〔表層部の残留オーステナイト量について〕
残留オーステナイトは生地のマルテンサイトよりも軟質なため、ピニオンシャフトの表層部に残留オーステナイトが多く存在すると、表面損傷を与える負荷条件下においては効果的に変形エネルギーを吸収し、転走面へのダメージを抑えて高い耐久性を付与する効果がある。十分な耐久性を得るためには、表層部の残留オーステナイト量は15体積%以上とする必要がある。ただし、表層部の残留オーステナイト量が30体積%を超えると、前記効果が飽和してしまうばかりか、高温での寸法安定性が低下するおそれがある。よって、表層部の残留オーステナイト量は30体積%以下とすることが好ましい。
〔転走面となる部分の表面硬さについて〕
ピニオンシャフトの耐久性を十分なものとするためには、転走面となる部分の表面硬さがHv700以上である必要がある。
〔長手方向端部の表面硬さについて〕
ピニオンシャフトのかしめ性に影響を与える要素として、前述の初析炭化物の他に長手方向端部の表面硬さがある。長手方向端部の表面硬さがHv300を超えると、延性のみならず変形抵抗も増加するので、上限をHv300とする必要がある。本発明における熱処理によりピニオンシャフトを製造すれば、長手方向端部の表面硬さは、高周波焼入れ処理が施された転走面となる部分(硬化層)以外の表面領域と同一の硬さとなる。
〔焼鈍し処理について〕
窒化処理後に、窒化処理温度よりも高温で焼鈍し処理を施すと、表面に濃化した窒素が内部へ拡散すると同時に、全ての窒素が窒化物として析出,成長することで軟化が起こる。十分な拡散と軟化を達成するためには、焼鈍し処理の温度は、窒化処理温度よりも高温且つAc1変態点以下の温度であることが好ましく、そのような温度の中でもより高温であることがさらに好ましい。
〔軸受鋼について〕
非金属介在物の量を少なくするためには、軸受鋼中の炭素の含有量を0.5質量%以上1.2質量%以下とすることが好ましい。このような軸受鋼としては、例えば、高炭素クロム軸受鋼や高清浄度の炭素合金鋼があげられる。また、軸受鋼中の酸素の含有量は12ppm以下とすることが好ましく、9ppmとすることがより好ましい。さらに、軸受鋼中の硫黄の含有量は150ppm以下とすることが好ましく、80ppmとすることがより好ましい。
〔実施例〕
以下に、さらに具体的な実施例を示して、本発明を説明する。高炭素クロム軸受鋼(SUJ)製の鋼材を所定の寸法に旋削加工した後、後述する熱処理を施し、さらに仕上げ研削加工を施すことにより、表1に示すような9種のピニオンシャフト(外径8mm、長さ35mm)を製造した。そして、これらのピニオンシャフトの耐久試験を行った。
Figure 2007002980
熱処理の内容は以下の通りである。旋削加工した鋼材に570℃で0.5〜2時間の窒化処理(タフトライド処理)を施した後に、650℃以上720℃以下の温度で焼鈍し処理を施した。続いて、外周面のうち転走面となる部分のみに高周波焼入れ処理を施した後に、焼戻し処理を施した。この高周波焼入れ処理は、高周波誘導加熱(周波数120kHz、電圧80kV、電流60A)により800〜950℃に3〜10秒間加熱した後、噴射冷却するというものである。さらに、焼戻し処理は、180℃で2時間保持した後に冷却するというものである。
なお、比較例3は焼鈍し処理は施さず、比較例4は窒化処理及び焼鈍し処理は施さなかった。
次に、耐久試験の方法について、図2を参照しながら説明する。キャリアに相当する部材(図示せず)にかしめにより固定されたピニオンシャフト10が外輪11に挿通されており、ピニオンシャフト10の外周面と外輪11の内周面との間に転動自在に介装された複数のニードルローラー12(外径2mm、長さ15mm)によって、ピニオンシャフト10が回転可能とされている。このピニオンシャフト10には図示のように潤滑油の給油孔10aが設けてあり、端面の開口部10bに注入された潤滑油が円筒面に開口する給油孔10aから転走面に給油されるようになっている。
ラジアル荷重5500N、回転速度8000min-1、潤滑油の温度130℃の条件でピニオンシャフト10を回転させ、ピニオンシャフト10に剥離が生じるまでの時間を寿命として評価した。なお、ラジアル荷重は、図示しないサポート軸受を介して外輪11に負荷した。
耐久試験の結果を表1に示す。なお、表1中の寿命の数値は、比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示してある。また、表層部の窒素濃度は、ピニオンシャフトの断面を電子線マイクロアナライザーで測定した値である。さらに、表層部の残留オーステナイト量(γR 量)は、研磨後の転走面をX線回折装置で測定した値である。
さらに、表1中のかしめ性は、かしめ時にピニオンシャフトの変形部に破断が発生するか否かを評価したものである。100個のピニオンシャフトについてかしめ加工を行って、破断が全く発生しなかった場合は合格とし○印で示し、破断が1個以上発生した場合は不合格とし×印で示した。また、金型の摩耗が大きかった場合は、破断が発生しなくても不合格とし×印で示した。なお、このかしめ性の評価においては、炭化物の影響を明確にするために、通常の1.5倍のかしめ荷重でかしめ加工を行った。
表1から分かるように、実施例1〜5のピニオンシャフトは、このような高温下においても優れた寿命を有していた。また、かしめ性も優れていた。これに対して、比較例1は窒素濃度が低いため、寿命が不十分であった。また、比較例2は軸方向端部の硬さが高いため、かしめ性が悪かった。さらに、比較例3は焼鈍し処理が施されていないため、軸方向端部の硬さが非常に高くかしめることができなかった。さらに、比較例4は窒化処理が施されていないため、寿命が不十分であった。
なお、図3のグラフは、表層部の窒素濃度と残留オーステナイト量との関係をプロットしたものであり、図4のグラフは、表層部の残留オーステナイト量とピニオンシャフトの寿命との関係をプロットしたものである。
本発明は、自動車,工作機械等の減速機や変速機に適用可能である。
本発明の一実施形態であるプラネタリギヤ装置の分解斜視図である。 ピニオンシャフトの耐久試験の方法を説明する断面図である。 表層部の窒素濃度と残留オーステナイト量との関係を説明するグラフである。 表層部の残留オーステナイト量とピニオンシャフトの寿命との関係を説明するグラフである。
符号の説明
1 サンギヤ
2 リングギヤ
3 ピニオンギヤ
4 キャリヤ
5,10 ピニオンシャフト
12 ニードルローラー(ころ)

Claims (2)

  1. プラネタリギヤ装置において使用され、同心に配されたサンギヤ及びリングギヤに噛み合うピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトであって、下記の6つの条件を満足することを特徴とするピニオンシャフト。
    条件1:軸受鋼で構成されている。
    条件2:窒化処理、前記窒化処理の処理温度よりも高温での焼鈍し処理、転走面となる部分への高周波焼入れ処理の順序で熱処理が施されている。
    条件3:窒素濃度が0.05質量%以上0.6質量%以下である表層部を備えている。
    条件4:前記表層部の残留オーステナイト量が15体積%以上30体積%以下である。
    条件5:前記転走面となる部分の表面硬さがHv700以上である。
    条件6:長手方向端部の表面硬さがHv300以下である。
  2. サンギヤと、該サンギヤと同心に配されたリングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに噛み合う1個以上のピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトと、前記サンギヤ及び前記リングギヤと同心に配され前記ピニオンギヤが固定されたキャリヤと、を備えるプラネタリギヤ装置において、
    前記ピニオンシャフトを請求項1に記載のピニオンシャフトとし、このピニオンシャフトを前記キャリヤにかしめによって固定したことを特徴とするプラネタリギヤ装置。
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