JP2007002326A - ピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置 - Google Patents

ピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高温下において高速回転で使用しても長寿命なピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置を提供する。
【解決手段】プラネタリギヤ装置のピニオンギヤ3を回転自在に支持するピニオンシャフト5を、かしめによってキャリヤ4に固定した。このピニオンシャフト5は、高炭素クロム軸受鋼で構成されている。そして、浸炭窒化処理、高温焼鈍し処理に続いて、ピニオンシャフト5の外周面のうち転走面となる部分のみに高周波焼入れ処理が施されている。ピニオンシャフト5の表層部の窒素濃度N%は0.05質量%以上0.6質量%以下であり、窒素濃度N%と炭素濃度C%の和は0.7質量%以上1.4質量%以下である。また、表層部の窒素濃度N%と炭素濃度C%とが(N%+0.23)/C%≧0.33なる式を満足する。さらに、表層部の残留オーステナイト量は15体積%以上30体積%以下である。さらに、長手方向端部の表面硬さはHv300以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置に関する。
例えば自動車の自動変速機に用いられるプラネタリギヤ装置は、サンギヤ,リングギヤ,及びキャリヤを備えており、これらの回転要素は出力軸の周りに同心に配されている。また、サンギヤ及びリングギヤに噛み合うピニオンギヤが、キャリヤに固定されたピニオンシャフトに、軸受用ころを介して回転自在に支持されている。そして、各回転の遠心力によって各回転要素に潤滑油が供給されるように、油路が備えられている。
しかしながら、プラネタリギヤ装置の構造は、ピニオンギヤが自転しながら公転するという複雑なものであるので、十分な潤滑油をピニオンシャフト及び軸受用ころに供給することは困難であった。また、各回転要素の中ではピニオンギヤの回転速度が最も高いので、ピニオンギヤを支持するピニオンシャフトには、ピニオンギヤに作用する遠心力を支えるために大きな荷重が負荷される傾向があった。
したがって、従来のプラネタリギヤ装置においては、ピニオンシャフトはJIS鋼種SK5等で構成され、焼入れが施されて転動部材として必要な硬さ(Hv650以上)が付与されていた。そして、焼入れ法として高周波焼入れ法を採用することにより、軸受用ころが転走する部分(転走面)のみに高周波焼入れが施され、高周波焼入れが施されていない端部をかしめることによってピニオンシャフトがキャリアに固定されていた。
近年、自動車の低燃費化の要求がますます強まっており、低燃費化を目的としてトランスミッションの小型化や高効率化が行われている。そのため、ピニオンギヤの回転速度が高まっているので、ピニオンシャフトに負荷される荷重が増大し且つ温度が上昇し、さらに潤滑油量が減少する傾向となっている。
その結果、前述のような従来のピニオンシャフトでは、潤滑不良等による剥離寿命が問題となる場合があった。このような場合には、ピニオンシャフトをJIS鋼種SUJ2で構成し、浸炭窒化処理等を施して寿命を確保していたが、そうすると、ピニオンシャフトをかしめによってキャリアに固定することができないので、キャリヤにねじ穴を加工してピニオンシャフトをねじで固定する必要があることから、プラネタリギヤ装置のコストが高くなるという問題点があった。
また、前述した荷重の増大及び温度の上昇のために、変形や早期剥離(滑りの増大に伴って摩耗が生じ、その摩耗による面荒れから早期剥離が生じる)が発生しやすく、寿命が不十分となるという問題があった。
これに対して、使用条件の高温化,高速化に伴う滑りの発生や潤滑不良による早期剥離を防止するためには、摩耗による面荒れを抑制するため表面の窒素濃度を高くすることが有効である。窒素は、浸炭窒化処理によって表面に容易に添加することが可能であるが、オーステナイトを安定化させる元素であるので、焼入れ後の残留オーステナイト量が高くなる。
特許文献1,2には、浸炭窒化処理後に放冷するか、あるいは、焼入れ処理後に高温での焼戻し処理を施すことにより、芯部の残留オーステナイトを分解させ、さらに、外周面のうち軸受用ころの転走面となる部分に高周波焼入れ処理を施して、ピニオンシャフトを製造する方法が開示されている。このようにして製造されたピニオンシャフトは、長手方向端部には高周波焼入れ処理が施されておらず硬化されていないから、端部をかしめてキャリアに固定することができ、且つ、残留オーステナイトにより耐久性も十分に備えている。また、この方法によれば、プラネタリギヤ装置を安価に製造することができる。
特開2002−4003号公報 特開2004−340221号公報 日本熱処理技術協会編,「熱処理技術入門」,大河出版,p.278
しかしながら、トランスミッションの多段化による空間容積の減少に伴い、ピニオンシャフトがますます小径化しており、油穴の存在を考慮すると、有効肉厚は非常に薄くなっている。また、かしめ性を考慮して浸炭窒化処理後に炭化物が球状化するほどの焼鈍し処理が施されているので、高周波焼入れ処理の際には球状化炭化物を溶かすために十分な熱量が必要であり、そのため焼入れ時間を長くする必要があった。
さらに、高周波焼入れ処理の際には、最表面に発生した熱が内部に伝導しやすく内部まで硬化してしまうため、適切な焼入れを行うことは容易ではなかった。さらに、ピニオンシャフトのかしめ広げる部分は角部であるため、平行部よりも侵入した炭素が集まりやすく巨大な初析炭化物を形成しやすい。角部の表面を初析炭化物が覆うと、延性が低下したり不均一な変形が生じたりするなどの問題があった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高温下において高速回転で使用しても長寿命なピニオンシャフト、及び、高温下において高速回転で使用しても長寿命で安価なプラネタリギヤ装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のピニオンシャフトは、プラネタリギヤ装置において使用され、同心に配されたサンギヤ及びリングギヤに噛み合うピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトであって、下記の6つの条件を満足することを特徴とする。
条件1:軸受鋼で構成されている。
条件2:浸炭窒化処理、高温焼鈍し処理、転走面となる部分への高周波焼入れ処理の順序で熱処理が施されている。
条件3:窒素濃度N%が0.05質量%以上0.6質量%以下であり、且つ、窒素濃度N%と炭素濃度C%の和が0.7質量%以上1.4質量%以下である表層部を備えている。
条件4:前記表層部の窒素濃度N%と炭素濃度C%とが、下記式を満足する。
(N%+0.23)/C%≧0.33
条件5:前記表層部の残留オーステナイト量が15体積%以上30体積%以下である。
条件6:長手方向端部の表面硬さがHv300以下である。
なお、本発明における表層部とは、ピニオンシャフトの表面から深さ50μmの位置までの部分を意味する。
また、本発明に係る請求項2のプラネタリギヤ装置は、サンギヤと、該サンギヤと同心に配されたリングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに噛み合う1個以上のピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトと、前記サンギヤ及び前記リングギヤと同心に配され前記ピニオンギヤが固定されたキャリヤと、を備えるプラネタリギヤ装置において、前記ピニオンシャフトを請求項1に記載のピニオンシャフトとし、このピニオンシャフトを前記キャリヤにかしめによって固定したことを特徴とする。
本発明のピニオンシャフトは、高温下において高速回転で使用しても長寿命である。また、本発明のプラネタリギヤ装置は、高温下において高速回転で使用しても長寿命であり且つ安価である。
本発明に係るピニオンシャフト及びプラネタリギヤ装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すプラネタリギヤ装置は、図示しない軸が挿通されたサンギヤ1と、該サンギヤ1と同心に配されたリングギヤ2と、サンギヤ1及びリングギヤ2に噛み合う1個以上(図1においては3個)のピニオンギヤ3と、サンギヤ1及びリングギヤ2と同心に配されピニオンギヤ3を回転自在に支持するキャリヤ4と、を備えている。
ピニオンギヤ3の中心には、かしめによりキャリヤ4に固定されたピニオンシャフト5が挿通されており、また、ピニオンシャフト5の外周面とピニオンギヤ3の内周面との間には図示されない複数の針状ころが配されていて、これによりピニオンギヤ3はピニオンシャフト5を軸として回転自在とされている。
このピニオンシャフト5は、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)で構成されている。そして、浸炭窒化処理、変態点直下での高温焼鈍し処理に続いて、ピニオンシャフト5の外周面のうち前記針状ころが転走する部分(転走面)のみに高周波焼入れ処理が施されている。
なお、ピニオンシャフト5を製造する際には、高炭素クロム軸受鋼で構成された鋼材を所定の寸法(例えば外径8mm、長さ35mm)に旋削加工した後に、前述のような一連の熱処理を施し、さらに仕上げ研削加工を施すとよい。
このような熱処理が施された結果、ピニオンシャフト5には表層部と芯部とが形成され、表層部の窒素濃度N%は0.05質量%以上0.6質量%以下、表層部の窒素濃度N%と炭素濃度C%の和は0.7質量%以上1.4質量%以下となっており、これら窒素濃度N%と炭素濃度C%とは下記式を満足する。
(N%+0.23)/C%≧0.33
また、表層部の残留オーステナイト量は15体積%以上30体積%以下となっている。さらに、転走面となる部分の表面硬さはHv700以上であり、長手方向端部の表面硬さはHv300以下である。
ピニオンシャフト5の長手方向端部には高周波焼入れ処理が施されておらず、硬化されていないので(硬さはHv300以下である)、前述したようにピニオンシャフト5はその端部をかしめることによってキャリヤ4に固定することができる。よって、このプラネタリギヤ装置は、安価に製造することができる。
次に、ピニオンシャフトに施す熱処理について説明する。非特許文献1によれば、高周波焼入れ処理を施す前に組織の調整を行うことにより、硬化層の硬さ勾配を変化させることができる。これは、焼入れ前の組織における炭化物の存在状態によって、高温短時間の加熱時の非平衡な炭化物の溶解量が変化することに起因する。
一般に、焼戻しマルテンサイト組織が、炭化物の分散状態が微細均一で最も優れ、粗大な球状炭化物組織は好ましくないとされている。これは、炭化物の溶解に大きな熱量が必要であることを意味している。しかし、大きな熱量が供給されると内部への熱伝導が生じてしまうため、目的の硬化層を得ることは難しい。
これに対して、最表面に炭素よりも窒素を優先的に存在させることにより焼鈍し処理を施しても粗大な球状炭化物が生成しないようにすれば、粗大な球状炭化物による溶解不足問題を解決できる。また、炭素が少ないために巨大な初析炭化物の発生も低減されるので、延性を阻害することなく、良好なかしめ性を付与することができる。
具体的には、炭素原子と窒素原子が表面からオーステナイト格子間に侵入する浸炭窒化処理時に、カーボンポテンシャルを低くし、アンモニアの流量を増加させると、窒素原子は優先的に表面に侵入し、炭素原子はほとんど侵入しないようにすることができる。さらに、窒素原子が侵入した部分の炭素原子は、さらに内部へと押しやられるように拡散していくため、表面の炭素濃度は減少する。
このような現象を利用すると、浸炭窒化処理時に初析炭化物が生成することなく、且つ、転走面の炭素濃度も減少するため、後の高温焼鈍し処理において表面に球状炭化物が生成しにくくなる。その結果、残留オーステナイトが最も必要な表面の焼鈍し組織を最適化することができ、高周波焼入れ処理時に十分な残留オーステナイトを得ることができる。よって、一般的な高炭素クロム軸受鋼を使用して、耐久性及びかしめ性に優れた小径のピニオンシャフトを製造することができる。
次に、前述した窒素濃度,炭素濃度,残留オーステナイト量,表面硬さ等の数値の臨界的意義について説明する。
〔表層部の窒素濃度について〕
鋼中の窒素はMs点を低下させ、残留オーステナイト量を増加させる作用が強い。窒素濃度が0.05質量%未満であると前述の作用が不十分となって、残留オーステナイトを安定的に得ることが困難となり、耐久性の低下を招くおそれがある。ただし、0.6質量%超過としても、前述の作用は飽和する。
〔表層部の窒素濃度と炭素濃度の和について〕
表層部の窒素濃度と炭素濃度の和が0.7質量%未満であると、十分な残留オーステナイトを得ることができず、耐久性が低下するおそれがある。一方、1.4質量%超過であると、初析炭化物の析出が生じるので、かしめ性が低下するおそれがある。
〔表層部の窒素濃度と炭素濃度の関係について〕
炭素は、高温焼戻し処理時に球状化炭化物を形成する。その結果、高周波焼入れ処理時にマトリックスへの炭素の固溶が遅れ、残留オーステナイト量が少なくなるので、表層部の炭素濃度は低い方が好ましい。一方、窒素濃度が高いと、高温焼鈍し処理時に球状化炭化物が形成されないので、高周波焼入れ処理時に十分な残留オーステナイト量が確保されない等の問題は生じない。
表層部の窒素濃度N%と炭素濃度C%の関係が、前述の窒素濃度と炭素濃度の和の条件を満たした上で、下記式を満足すれば、かしめ性に有害な初析炭化物の生成が抑制され、且つ、転走面に十分な残留オーステナイトを確保することができる。
(N%+0.23)/C%≧0.33
〔表層部の残留オーステナイト量について〕
残留オーステナイトは生地のマルテンサイトよりも軟質なため、ピニオンシャフトの表層部に残留オーステナイトが多く存在すると、表面損傷を与える負荷条件下においては効果的に変形エネルギーを吸収し、転走面へのダメージを抑えて高い耐久性を付与する効果がある。十分な耐久性を得るためには、表層部の残留オーステナイト量は15体積%以上とする必要がある。ただし、表層部の残留オーステナイト量が30体積%を超えると、前記効果が飽和してしまうばかりか、高温での寸法安定性が低下するおそれがある。
〔長手方向端部の表面硬さについて〕
ピニオンシャフトのかしめ性に影響を与える要素として、前述の初析炭化物の他に長手方向端部の表面硬さがある。長手方向端部の表面硬さがHv300を超えると、延性のみならず変形抵抗も増加するので、上限をHv300とする必要がある。
〔軸受鋼について〕
本発明のピニオンシャフトを構成する軸受鋼は、炭素を0.5質量%以上1.2質量%以下含有する鋼であり、このような鋼としては、例えば、高炭素クロム軸受鋼や高清浄度の炭素合金鋼があげられる。また、非金属介在物の量を少なくするためには、軸受鋼中の酸素の含有量は12ppm以下とすることが好ましく、9ppmとすることがより好ましい。さらに、軸受鋼中の硫黄の含有量は150ppm以下とすることが好ましく、80ppmとすることがより好ましい。
〔実施例〕
以下に、さらに具体的な実施例を示して、本発明を説明する。高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)製の鋼材を所定の寸法に旋削加工した後、後述する熱処理を施し、さらに仕上げ研削加工を施すことにより、表1に示すような11種のピニオンシャフト(外径8mm、長さ35mm)を製造した。そして、これらのピニオンシャフトの耐久試験を行った。なお、表1中の式値とは、前述の式(N%+0.23)/C%から算出される値である。
Figure 2007002326
熱処理の内容は以下の通りである。旋削加工した鋼材に820〜860℃で3時間の浸炭窒化処理(カーボンポテンシャル0.8〜1.3、アンモニアの流量15〜30m3 /h)を施した後に、高温焼鈍し処理を施した。なお、高温焼鈍し処理の条件は、以下の通りである。実施例1〜6及び比較例1〜4については、680℃以上720℃以下の温度で2〜4時間であり、比較例5については600℃で4時間である。
続いて、外周面のうち転走面となる部分のみに高周波焼入れ処理を施した後に、焼戻し処理を施した。この高周波焼入れ処理は、高周波誘導加熱(周波数120kHz、電圧80kV、電流60A)により800〜950℃に3〜10秒間加熱した後、噴射冷却するというものである。さらに、焼戻し処理は、180℃で2時間保持した後に冷却するというものである。
次に、耐久試験の方法について、図2を参照しながら説明する。キャリアに相当する部材(図示せず)にかしめにより固定されたピニオンシャフト10が外輪11に挿通されており、ピニオンシャフト10の外周面と外輪11の内周面との間に転動自在に介装された複数のニードルローラー12(外径2mm、長さ15mm)によって、ピニオンシャフト10が回転可能とされている。このピニオンシャフト10には図示のように潤滑油の給油孔10aが設けてあり、端面の開口部10bに注入された潤滑油が円筒面に開口する給油孔10aから転走面に給油されるようになっている。
ラジアル荷重5500N、回転速度8000min-1、潤滑油の温度130℃の条件でピニオンシャフト10を回転させ、ピニオンシャフト10に剥離が生じるまでの時間を寿命として評価した。なお、ラジアル荷重は、図示しないサポート軸受を介して外輪11に負荷した。
耐久試験の結果を表1に示す。なお、表1中の寿命の数値は、従来例である比較例5の寿命を1とした場合の相対値で示してある。この比較例5については、かしめではなくピンによりピニオンシャフトをキャリアに相当する部材に固定した。また、後述するかしめ性の悪いものについては、耐久試験を行わなかった。さらに、表層部の窒素濃度及び炭素濃度は、表面から深さ50μmの位置までの部分についての平均値であり、ピニオンシャフトの断面を電子線マイクロアナライザーで測定したものである。さらに、表層部の残留オーステナイト量(γR 量)は、研磨後の転走面をX線回折装置で測定した値である。
さらに、表1中のかしめ性は、かしめ時にピニオンシャフトの変形部に破断が発生するか否かを評価したものである。100個のピニオンシャフトについてかしめ加工を行って、破断が全く発生しなかった場合は合格とし○印で示し、破断が1個以上発生した場合は不合格とし×印で示した。また、金型の摩耗が大きかった場合は、破断が発生しなくても不合格とし×印で示した。なお、このかしめ性の評価においては、炭化物の影響を明確にするために、通常の1.5倍のかしめ荷重でかしめ加工を行った。
表1から分かるように、実施例1〜6のピニオンシャフトは、このような高温下においても優れた寿命を有していた。また、かしめ性も優れていた。これに対して、比較例1は窒素濃度と炭素濃度の和が大きいため、初析炭化物の影響でかしめ性が悪かった。また、比較例2は前述した窒素濃度と炭素濃度の関係が前記式を満足していないため、初析炭化物の影響でかしめ性が悪かった。さらに、比較例3は窒素濃度が低いため、耐久性が不十分であった。さらに、比較例4は窒素濃度と炭素濃度の和が小さいため、耐久性が不十分であった。
なお、図3のグラフは、表層部の窒素濃度と炭素濃度の和と残留オーステナイト量との関係をプロットしたものであり、図4のグラフは、表層部の残留オーステナイト量とピニオンシャフトの寿命との関係をプロットしたものである。
本発明は、自動車,工作機械等の減速機や変速機に適用可能である。
本発明の一実施形態であるプラネタリギヤ装置の分解斜視図である。 ピニオンシャフトの耐久試験の方法を説明する断面図である。 表層部の窒素濃度と炭素濃度の和と残留オーステナイト量との関係を説明するグラフである。 表層部の残留オーステナイト量とピニオンシャフトの寿命との関係を説明するグラフである。
符号の説明
1 サンギヤ
2 リングギヤ
3 ピニオンギヤ
4 キャリヤ
5,10 ピニオンシャフト
12 ニードルローラー(ころ)

Claims (2)

  1. プラネタリギヤ装置において使用され、同心に配されたサンギヤ及びリングギヤに噛み合うピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトであって、下記の6つの条件を満足することを特徴とするピニオンシャフト。
    条件1:軸受鋼で構成されている。
    条件2:浸炭窒化処理、高温焼鈍し処理、転走面となる部分への高周波焼入れ処理の順序で熱処理が施されている。
    条件3:窒素濃度N%が0.05質量%以上0.6質量%以下であり、且つ、窒素濃度N%と炭素濃度C%の和が0.7質量%以上1.4質量%以下である表層部を備えている。
    条件4:前記表層部の窒素濃度N%と炭素濃度C%とが、下記式を満足する。
    (N%+0.23)/C%≧0.33
    条件5:前記表層部の残留オーステナイト量が15体積%以上30体積%以下である。
    条件6:長手方向端部の表面硬さがHv300以下である。
  2. サンギヤと、該サンギヤと同心に配されたリングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに噛み合う1個以上のピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトと、前記サンギヤ及び前記リングギヤと同心に配され前記ピニオンギヤが固定されたキャリヤと、を備えるプラネタリギヤ装置において、
    前記ピニオンシャフトを請求項1に記載のピニオンシャフトとし、このピニオンシャフトを前記キャリヤにかしめによって固定したことを特徴とするプラネタリギヤ装置。
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