JP2007002898A - 樹脂ブーツ - Google Patents

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栄一 今津
Takenori Oshita
武範 大下
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Abstract

【課題】 大径取付け部がアウターケースに及ぼす面圧を周方向に均一化して、高いシール性を確保することができる樹脂ブーツを提供すること。
【解決手段】 本体部11から張出壁部14を径方向内方へ向けて張り出させると共に、その張出壁部14と内側壁部13との間を、中央壁部15aと一対の側方壁部15bとで連結する構成とした。これにより、本体部11に作用する締結バンド80からの締結力を、中央壁部15a及び側方壁部15bを介して、内側壁部13へ効率良く伝達させることができる。その結果、内側壁部13とアウターケースとの間に周方向均一に面圧を発生させ、シール性の向上を図ることができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、等速ジョイントの一方の伝達軸のアウターケースに取り付けられる大径取付け部と、前記等速ジョイントの他方の伝達軸に取り付けられる小径取付け部と、前記大径取付け部と前記小径取付け部とを互いに連結すると共に谷部と山部とが反復的に連続して形成される蛇腹部とを備えた樹脂ブーツに関するものである。
自動車の駆動軸(ドライブシャフト)や推進軸(プロペラシャフト)等に使用される等速ジョイントの一つに、軸芯方向に伸縮可能かつ回転力を伝達可能に構成されたトリポートタイプの等速ジョイントがある。
この等速ジョイントCVJは、図7及び図8に示すように、出力側(又は入力側)の伝達軸50から3本のトラニオン51が軸直角方向に突設され、各トラニオン51には、複数本のニードルベアリング52を介して、リング状のローラ部材53が外嵌されている。
一方、入力側(又は出力側)の伝達軸60には、開口を有する筒状のアウターケース61が固着されている。このアウターケース61の内周面には、3本の案内溝61aが軸芯方向(図7左右方向)に延設され、案内溝61aには、上記したローラ部材53が摺動可能に嵌め込まれている。これにより、両伝達軸50,60が角度付けされた状態で、回転力の伝達が可能に構成されている。
等速ジョイントCVJの連結部には、潤滑に必要なグリースを連結部内に封じ込めると共に、連結部への水や泥等の異物の浸入を防止するブーツ100が装着されている。ブーツ100は、大径取付け部101及び小径取付け部102がそれぞれアウターケース61及び伝達軸50に外嵌され、締結バンド80により締結固定される。大径取付け部101と小径取付け部102との間には、谷部と山部とが反復的に連続して形成され軸芯方向に伸縮可能な蛇腹部103が形成されている。
ところで、アウトーケース61の外周面には、軽量化の要請より、凹部61bが凹設されている。凹部61bは、図8に示すように、案内溝61aの配置に対応して、周方向3箇所に均等配置され、これにより、アウターケース61は、周方向に凹凸形状をなす非円形の外周形状を有する。
そのため、ブーツ100の大径取付け部101は、その内周形状がアウターケース61の外周形状に対応した非円形とされている。即ち、大径取付け部101の内周面には、アウターケース61の凹部61bに対応して、図8に示すように、周方向3箇所に中実の膨出部101aが膨出形成されている。
しかしながら、ブーツ100は、上述したように、大径取付け部101の周方向に厚肉部と薄肉部とが交互に形成されるため、締結バンド80により強固に締結した場合でも、アウターケース61との間で十分なシール性を確保することが困難であるという問題点があった。
特に、ブーツ100を樹脂材料から構成した場合には、膨出部101aの剛性が高くなり過ぎて、十分に弾性変形させることができなくなるため、シール性の著しい低下を招くという問題点があった。更に、ブーツ100を樹脂材料から構成した場合には、成形後の収縮に起因して、膨出部101aにヒケが発生し易く、このヒケによる陥没がアウターケース61とのシール面に発生することによっても、シール性が損なわれるという問題点があった。
そこで、例えば、特開2003−329057号公報には、大径取付け部における内方への張り出し部(膨出部)を、内方に湾曲状に張り出す内側壁部と、外周側における円弧状の外側壁部と、これら内側壁部と外側壁部とを両者の周方向中央において連結する単一の支持壁とで構成した樹脂製ジョイントブーツ(樹脂ブーツ)が開示されている(特許文献1)。
特開2003−329057号
しかしながら、上述した従来の樹脂ブーツのように、内側壁部と外側壁部とを周方向中央における単一の支持壁で連結する構成では、成形後の収縮(ヒケ)による陥没の発生は比較的抑制することができるものの、大径取付け部を締結バンドで締結した際、内側壁部がアウターケースに及ぼす面圧を周方向に均一化することが困難となり、面圧を及ぼすことができない箇所が発生するという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、大径取付け部がアウターケースに及ぼす面圧を周方向に均一化して、高いシール性を確保することができる樹脂ブーツを提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の樹脂ブーツは、等速ジョイントの一方の伝達軸のアウターケースに取り付けられる大径取付け部と、前記等速ジョイントの他方の伝達軸に取り付けられる小径取付け部と、前記大径取付け部と前記小径取付け部とを互いに連結し谷部と山部とが反復的に連続して形成される蛇腹部とを備えると共に、前記大径取付け部と前記小径取付け部と前記蛇腹部とが樹脂材料から一体に構成され、前記大径取付け部の外周面に巻回された締結部材の締結力により、前記大径取付け部の内周面に突設されたリップ部をアウターケースの外周面に密着させるように構成されたものであり、前記大径取付け部は、円環状に形成される本体部と、前記本体部の内周面から径方向内方へ向けて膨出されると共に前記アウターケースの外周面に凹設された凹部に嵌合する膨出部とを備え、前記膨出部は、径方向内方へ向けて前記本体部から湾曲状に張り出す内側壁部と、前記内側壁部と前記本体部との間に位置すると共に前記径方向内方へ向けて前記本体部から直線状に張り出す張出壁部と、前記張出壁部と前記内側壁部とを連結する連結壁部と、前記連結壁部と前記内側壁部と前記張出壁部と前記本体部とに囲まれて形成される中空状の肉抜き穴部とを備え、前記張出壁部は、前記本体部からの張り出し寸法が最大となる最大張出部が前記膨出部の周方向中央に位置するV字状に形成され、前記連結壁部は、前記膨出部の周方向中央に位置すると共に前記本体部の軸芯を通過する仮想線に沿って直線状に延設され前記張出壁部の最大張出部に連結される中央壁部と、前記中央壁部に対して対称に位置すると共に前記仮想線に対して傾斜を有する直線状に延設される一対の側方壁部とを備えると共に、前記一対の側方壁部は、前記径方向内方へ向かうほど前記中央壁部から離間するように傾斜されている。
請求項2記載の樹脂ブーツは、請求項1記載の樹脂ブーツにおいて、前記肉抜き穴部は、前記張出壁部と前記本体部とに囲まれて形成される幅広穴部を備えており、前記側方壁部は、前記幅広穴部の端部よりも前記中央壁部側となる位置において、前記張出壁部に連結されている。
請求項3記載の樹脂ブーツは、請求項2記載の樹脂ブーツにおいて、前記中央壁部の前記仮想線に沿う方向の長さ寸法が前記張出壁部の最大張出部における張り出し寸法と同等の寸法値に設定されている。
請求項4記載の樹脂ブーツは、請求項2又は3に記載の樹脂ブーツにおいて、前記中央壁部の厚み寸法が前記側方壁部の厚み寸法よりも大きな寸法値に設定されると共に、前記側方壁部の厚み寸法が前記内側壁部および前記張出壁部の厚み寸法と同等の寸法値に設定されている。
請求項5記載の樹脂ブーツは、請求項2から4のいずれかに記載の樹脂ブーツにおいて、前記側方壁部の延設方向と前記張出壁部の延設方向とが互いに直交するように設定されている。
請求項1記載の樹脂ブーツによれば、膨出部は、内側壁部及び張出壁部を本体部から張り出させると共に、内側壁部と張出壁部とを連結壁部で連結し、それら各壁部と本体部との間に中空状の肉抜き穴部を形成する構成とされているので、従来品のように、中実の厚肉部として構成される膨出部と比較して、成形後の収縮による陥没の発生を抑制することができるという効果がある。その結果、内側壁部の形状を高精度に成形することができるので、アウターケースとの間のシール性の向上を図ることができる。
特に、本発明の樹脂ブーツでは、内側壁部と張出壁部との間を連結壁部により連結する一方、張出壁部と本体部との間は、連結壁部による連結を省略するように構成したので、張出壁部と本体部との間に形成される肉抜き穴部(幅広穴部)の容積を十分に確保することができる。これにより、成形時には、張出壁部及び本体部を適正に冷却させることができるので、その分、膨出部全体としての形状をより高精度に成形することができるという効果がある。
また、張出壁部と本体部との間を連結壁部により連結しない構成とすることで、その分、張出壁部の厚み寸法が不均一となることを抑制して、成形時の主縮を抑制することができるという効果がある。即ち、張出壁部と本体部との間にも連結壁部を設けたのでは、張出壁部の両側に連結壁部が連結され、張出壁部全体としての均肉化が阻害される。よって、上記構成により、張出壁部の均肉化を図ることで、成形時には、張出壁部の冷却速度を均一化して、その分、膨出部全体としての形状をより高精度に成形することができる。
このように、張出壁部と本体部との間を連結壁部により連結しない構成として、成形性を確保しつつも、以下の構成により、内側壁部からアウターケースに及ぼされる面圧の周方向への均一化を図ることもできる。
即ち、張出壁部が本体部から直線状に張り出すように構成したので、張出壁部が湾曲状に構成される場合と比較して、本体部の外周面に作用する締結部材の締結力を、張出壁部を介して、本体部から最も離間する中央壁部に最も効率良く伝達することができ、その結果、内側壁部の中央部からアウターケースへより大きな面圧を及ぼさせることができるという効果がある。
また、張出壁部は、本体部からの張り出し寸法が最大となる最大張出部が膨出部の周方向中央に位置するV字状に形成されているので、本体部の外周面に作用する締結部材の締結力を、中央壁部を挟んで位置する左右の張出壁部を介して、中央壁部へ偏らせることなく均等に伝達させることができる。更に、上記のように、張出壁部が直線状に構成されているので、内側壁部をアウターケースに対して垂直に押し当てる方向の力成分を中央壁部に効率的に発生させることができる。
その結果、本体部の外周面に作用する締結部材の締結力を、張出壁部及び中央壁部を介して、本体部から最も離間する内側壁部の周方向中央部に効率良く伝達させることができ、内側壁部の周方向中央部からアウターケースに及ぼされる面圧をより大きくすることができる。即ち、内側壁部からアウターケースへ面圧を及ぼすことが最も困難となる部位における面圧の増加を効果的に図ることができる。
また、中央壁部は、本体部の軸芯を通過する仮想線に沿って直線状に延設されている。よって、この中央壁部の構成と上記張出壁部の構成とにより、本体部の外周面に作用する締結部材の締結力であって、張出壁部から中央壁部へ伝達されてきた力を、かかる中央壁部を介して、内側壁部に作用させる際には、内側壁部をアウターケースに対して垂直に押し当てて、内側壁部がアウターケースに及ぼす面圧を効果的に増加させるという作用を相乗的に向上させることができる。
また、本発明の樹脂ブーツによれば、中央壁部に対して対称に位置すると共に前記仮想線に対して傾斜を有する直線状に延設される一対の側方壁部を備えるので、本体部の外周面に作用する締結部材の締結力を、一対の側方壁部を介して、内側壁部の周方向全域に分散させて伝達させることができる。その結果、内側壁部からアウターケースへ及ぼす面圧を周方向に均一化させて、シール性の向上を図ることができるという効果がある。
更に、一対の側方壁部は、径方向内方へ向かうほど中央壁部から離間するように傾斜されているので、側方壁部と内側壁部とがなす角度を90度に近づけることができる。そのため、本体部に締結部材が締結され、本体部から張出壁部を介して一対の側壁部へ締結力が伝達されると、内側壁部を外方へ押し拡げる(膨らませる)方向の力成分を一対の側方壁部により発生させることができるという効果がある。これにより、側方壁部との連結部近傍においては、内側壁部をアウターケースに対して垂直に押し当てて、より大きな面圧をアウターケースに及ぼさせることができ、その結果、シール性のより一層の向上を図ることができる。
即ち、側方壁部の延設方向が、例えば、中央壁部と平行とされている、或いは、径方向内方へ向かうほど中央壁部に近づくように傾斜されていると、本体部から張出壁部を介して一対の側方壁部に伝達された力は、内側壁部を両側から周方向中央へ寄せ集める方向の力として作用してしまう。そのため、内側壁部をアウターケースに対して垂直方向へ押し当てるための力が発生せず、側方壁部との連結部近傍において、十分な面圧を発生させることができなくなる。本発明の構成によれば、このような不具合を効果的に解決することができる。
請求項2記載の樹脂ブーツによれば、請求項1記載の樹脂ブーツの奏する効果に加え、側方壁部は、幅広穴部の端部よりも中央壁部側となる位置において、張出壁部に連結されているので、本体部の外周面に作用する締結部材の締結力を、張出壁部を介して、中央壁部と側方壁部との両者へ偏ることなく伝達させることができるという効果がある。
即ち、側方壁部と張出壁部との連結位置が幅広穴部の端部よりも中央壁部と反対方向側とされていると、側方壁部が、張出壁部における本体部への付け根部において、張出壁部に連結される。そのため、本体部の外周面に締結部材が締結された際には、本体部から張出壁部に伝達された締結力を側方壁部が直接受け止めてしまい、かかる側方壁部が張出壁部の付け根部近傍の変形を抑制してしまう。
その結果、本体部から張出壁部を介して中央壁部と側方壁部とに伝達されるべき力が、側方壁部のみへ偏って伝達されるため、張出壁部を介した中央壁部への力の伝達が阻害されることとなる。これにより、内側壁部からアウターケースへ面圧を及ぼすことが最も困難であった部位(本体部から最も離間する中央壁部近傍)における面圧が更に減少してしまう。
これに対し、上記のように、側方壁部が、幅広穴部の端部よりも中央壁部側となる位置において、張出壁部に連結されていれば、本体部の外周面に締結部材が締結された際、本体部から張出壁部に伝達された締結力を側方壁部が受け止めてしまうことを抑制し、張出壁部の付け根部近傍の変形性を確保することができる。
これにより、本体部から張出壁部に伝達された力を、側方壁部だけでなく、中央壁部にも十分に伝達することができ、その結果、内側壁部からアウターケースへ面圧を及ぼすことが最も困難であった部位(本体部から最も離間する中央壁部近傍)における面圧の増加を効果的に図ることができる。よって、アウターケースへ及ぼす面圧の周方向への均一化を図り、シール性の向上を図ることができる。
請求項3記載の樹脂ブーツによれば、請求項2記載の樹脂ブーツの奏する効果に加え、中央壁部の前記仮想線に沿う方向の長さ寸法が張出壁部の最大張出部における張り出し寸法と同等の寸法値となるように構成したので、幅広穴部の容積を十分に確保して、成形後の収縮による陥没の発生を抑制することができると共に、内側壁部からアウターケースへ及ぼす面圧を十分に確保しつつその面圧を周方向へ均一化して、シール性の向上を図ることができるという効果がある。
即ち、中央壁部の上記長さ寸法を張出壁部の上記張り出し寸法よりも短くし過ぎると、幅広穴部の容積は確保することができるが、その分、中央壁部の両側の肉抜き穴部の容積が減少して、成形後の収縮による陥没が発生し易くなるため、中央壁部近傍での寸法精度の低下を招くという問題点が生じる。
また、この場合には、張出壁部の傾斜が大きくなり過ぎるため、本体部から張出壁部を介して伝達される力が中央壁部へ集中してしまい、張出壁部を介して側方壁部に伝達される力が減少する。そのため、側方壁部との連結部において、内側壁部をアウターケースに押し付ける力が不足して、かかる部位において十分な面圧を発生させることができなくなるという問題点が生じる。
一方、中央壁部の上記長さ寸法を張出壁部の上記張り出し寸法よりも長くし過ぎると、幅広穴部の容積を確保することが困難となり、成形後の収縮による陥没が発生し易くなるため、膨出部全体における寸法精度の低下を招くという問題点が生じる。
また、この場合には、張出壁部の傾斜が小さくなり過ぎるため、本体部から張出壁部を介して中央壁部へ伝達された力に基づいて、内側壁部をアウターケースへ押し付ける方向の力成分を中央壁部において生成することが困難となる。そのため、内側壁部をアウターケースに押し付ける力が不足するため、中央壁部近傍において、十分な面圧を発生させることができなくなるという問題点が生じる。
これに対し、本発明の樹脂ブーツのように、中央壁部の上記長さ寸法を張出壁部の上記張り出し寸法と同等の寸法値とすることで、上記問題点を解消することができる。
請求項4記載の樹脂ブーツによれば、請求項2又は3に記載の樹脂ブーツの奏する効果に加え、中央壁部の厚み寸法が側方壁部の厚み寸法よりも大きな寸法値となるように構成したので、張出壁部との連結領域、及び、内側壁部との連結領域を共に確保することができる。これにより、本体部の外周面に締結部材が締結された場合には、本体部から張出壁部を介して伝達される力を中央壁部が効率良く受け止めると共に、その受け止めた力を内側壁部からアウターケースに効率良く作用させることができるという効果がある。
その結果、本体部から最も離間する部位であるためアウターケースへ面圧を及ぼすことが最も困難であった中央壁部近傍(内側壁部の周方向中央)における面圧の増加を効果的に図ることができるという効果がある。即ち、張出壁部を介して伝達される力が、側方壁部に集中して伝達されることを抑制すると共に、中央壁部へ伝達される成分をより確保することができる。これにより、アウターケースへ及ぼす面圧の周方向への均一化を図り、シール性の向上を図ることができる。
ここで、本体部の外周面に作用する締結部材の締結力は、中央壁部を挟んで位置する左右の張出壁部を介して、中央壁部へ左右から伝達される。そのため、例えば、製造上の寸法精度ばらつきなどに起因して、中央壁部へ伝達される力が左右一方に偏った場合には、内側壁部をアウターケースに対して垂直に押し当てる方向の力成分が減少して、面圧の減少を招く。
これに対し、上記のように、中央壁部の厚み寸法が大きな寸法値とされていれば、伝達される力の偏りを緩和して、内側壁部をアウターケースに対して垂直に押し当てる方向の力成分を確保することができるという効果がある。その結果、内側壁部の周方向中央部からアウターケースに及ぼされる面圧をより大きく確保することができる。
また、側方壁部の厚み寸法が張出壁部及び内側壁部の厚み寸法に対して大き過ぎる寸法値とされると、張出壁部と内側壁部との間に形成される肉抜き穴部の容積を十分に確保することができなくなるため、成形後の収縮が発生し易くなり、寸法精度の悪化を招くと共に、側方壁部及びその近傍における剛性が高くなり過ぎ、張出壁部等を適正に弾性変形させることができなくなるため、特に内側壁部の周方向中央部近傍におけるシール性の低下を招く。張出壁部及び内側壁部の厚み寸法を側方壁部の厚み寸法に対して大き過ぎる寸法値とする場合も同様である。
一方、側方壁部の厚み寸法が張出壁部及び内側壁部の厚み寸法に対して小さ過ぎる寸法値とされると、張出壁部及び内側壁部との間の力の作用領域を確保することができなくなると共に、その剛性が弱くなり過ぎ、本体部に作用する締結部材の締結力を内側壁部へ伝達する際に屈曲変形してしまう。そのため、内側壁部と側方壁部との連結部近傍において、アウターケースへ及ぼされる面圧の不足や不安定化を招く。
これに対し、本発明の樹脂ブーツのように、側方壁部の厚み寸法が内側壁部および張出壁部の厚み寸法と同等の寸法値となるように構成することで、肉抜き穴部の容積を確保することができるので、成形後の収縮を抑制して、寸法精度の向上を図ると共に、内側壁部及び張出壁部との間の力の作用領域の確保と側方壁部自身の剛性の確保とを図り、アウターケースに及ぼす面圧の増加と安定化とを達成することができる。
請求項5記載の樹脂ブーツによれば、請求項2から4のいずれかに記載の樹脂ブーツの奏する効果に加え、側方壁部の延設方向と張出壁部の延設方向とが互いに直交するように構成したので、本体部に締結部材が締結され、本体部から張出壁部を介して一対の側壁部へ締結力が伝達された場合に、内側壁部を外方へ押し拡げる(膨らませる)方向の力成分を効率良く発生させることができるという効果がある。これにより、側方壁部との連結部近傍において、内側壁部をアウターケースに対して垂直に押し当てて、より大きな面圧をアウターケースに及ぼさせることができる。その結果、シール性のより一層の向上を図ることができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明の第1実施の形態における樹脂ブーツ10の縦断面図であり、図1(b)は、図1(a)の矢印Ib方向視における樹脂ブーツ10の正面図である。
また、図2は、樹脂ブーツ10を等速ジョイントCVJの連結部に装着した状態を示す部分断面図である。なお、図2では、樹脂ブーツ10及び伝達軸50,60の軸芯O,P,Qが一致した状態を図示している。また、上記背景技術で説明した等速ジョイントCVJと同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
まず、図1及び図2を参照して、樹脂ブーツ10の全体構成について説明する。樹脂ブーツ10は、図1及び図2に示すように、アウターケース61に取り付けられる大径取付け部1と、伝達軸50に取り付けられる小径取付け部2と、これら大径取付け部1と小径取付け部2とを互いに連結する蛇腹部3と、その蛇腹部3と大径取付け部1との間に位置する張出部4とを主に備え、これら各部位が熱可塑性エラストマー樹脂材料から一体に構成されている。
大径取付け部1は、図1及び図2に示すように、外周面が後述する小径取付け部2と同心の円形に形成される一方、内周面がアウターケース61の外周面に対応した凹凸形状に形成されており、アウターケース61の外周面に密着可能に構成されている。
即ち、大径取付け部1は、軸芯Oに対して円環状に形成される本体部11と、その本体部11の内周面から径方向内方へ向けて膨出して形成される膨出部12とを備える。膨出部12は、周方向等間隔(120度間隔)に3個が分散して配置されており、これら各膨出部12は、アウターケース61の外周面に凹設された凹部61bにそれぞれ外嵌される(図5参照)。
なお、大径取付け部1及び小径取付け部2の外周面には、締結バンド80の巻回部となる締結溝1b,2bが全周にわたって凹設されると共に、内周面には、凸条状に形成された2本のシールリップ1c,2cが全周にわたって延設されている。
樹脂ブーツ10は、締結溝1b,2bに巻回された締結バンド80の締結力により、リップ部1c,2cを伝達軸50及びアウターケース61の外周面に密着させ、これにより、伝達軸50及びアウターケース61に対するシール性を確保している。
蛇腹部3は、図1及び図2に示すように、軸芯O方向に反復的に連続して形成される谷部と山部とを備え、軸芯O方向へ向けて伸縮可能に構成されると共に、大径取付け部1側から小径取付け部2側へ向かうに従って小径となるテーパ状に形成されている。この蛇腹部3により形成される内部空間がグリースの封入空間となる。
張出部4は、アウターケース61内から伝達軸50の先端部(ローラ部材53等)が抜け落ちることを防止するための部位であり、図1及び図2に示すように、大径取付け部1と蛇腹部3との間に位置し、大径取付け部1の内周面側から伝達軸50へ向けて張り出して形成されている。
ここで、軸芯Oから張出部4の張り出し方向先端4aまでの距離寸法L1は(図1参照)、軸芯O(即ち、軸芯P,Q)からローラ部材53の端面までの距離寸法L2(図2参照)よりも短い距離寸法に設定されている(L1<L2)。
これにより、例えば、図2に示す状態から、等速ジョイントCVJの伝達軸50,60が互いに離間する方向へ相対移動されると、張出部4の側面(図2右側面)にローラ部材53の側面(図2左側面)を当接させ、伝達軸50の移動を規制することができるので、伝達軸50の先端部(ローラ部材53等)がアウターケース61内から抜け落ちてしまうことを回避することができる。
このように、伝達軸50の先端部がアウターケース61から抜け落ちることを防止することができれば、抜け落ちを回避するべく、組み立て品の姿勢を保持しつつ搬送作業や組み付け作業を行う必要がなく、搬送や組み付け時の組み立て品の姿勢の自由度を拡大することができるので、その分、作業性の向上を図ることができる。
また、上記抜け落ちを回避することができれば、抜け落ちた伝達軸50をアウターケース61内に再度挿入して連結させるという無駄な作業や、抜け落ちた伝達軸50が樹脂ブーツ10の蛇腹部3に損傷を与えるという不具合を未然に回避することができるので、その分、従来品と比較して、工数の減少と歩留まりの向上とを共に図ることができる。
なお、本実施の形態では、図1(a)に示すように、張出部4の厚み寸法t1が蛇腹部3の厚み寸法t2よりも厚肉に構成されている(t2<t1)。これにより、張出部4に十分な剛性を与えることができるので、ローラ部材53を張出部4により強固に受け止めさせて、伝達軸50の先端部がアウターケース61内から抜け落ちることをより確実に抑制することができる。
次いで、図3から図6を参照して、膨出部12の詳細構成について説明する。図3は、図1(a)のIII−III線における樹脂ブーツ10の部分拡大断面図であり、図4は、図3のIV−IV線における樹脂ブーツ10の部分拡大断面図である。また、図5は、図2のV−V線における樹脂ブーツ10及び等速ジョイントCVJの断面図であり、図6は、樹脂ブーツ10からアウターケース61の外周面に及ぼされるシール面圧を示した模式図である。
ここで、図6の横軸は、図5に示す位置P1を基準位置(角度0度)とて定義される樹脂ブーツ10の周方向角度θを示し、図6の縦軸は、基準位置(位置P1)から120度だけ移動した位置P2までの範囲におけるシール面圧の変化を示している。
なお、図6中の実線は、本実施の形態における樹脂ブーツ10がアウターケース61に及ぼすシール面圧を示している。一方、図6中の2点鎖線は、従来のブーツ100(図6及び図7参照)を樹脂材料から構成した場合のシール面圧を示している。
膨出部12は、図3及び図4に示すように、径方向内方へ向けて本体部11から湾曲状に張り出す内側壁部13と、その内側壁部13と本体部11との間に位置すると共に径方向内方へ向けて本体部11から直線状に張り出す張出壁部14と、その張出壁部14と内側壁部13とを連結する連結壁部15と、これら本体部11、内側壁部13、張出壁部14及び連結壁部15に囲まれて形成される中空状の肉抜き穴部16とを備えて構成されている。
張出壁部14は、図3に示すように、本体部11から仮想線LN2に沿って直線状に張り出すと共に、張り出し方向先端(最大張出部14a)が後述する中央壁部15aに連結され、これにより、軸芯O方向視において、V字状に形成されている。なお、仮想線LN2は、張出壁部14の幅方向中央を通過する直線である。
また、張出壁部14は、最大張出部14aが膨出部12の周方向中央に位置するように、仮想線LN1に対して線対称となる形状に形成されている。なお、最大張出部14aは、張り出し寸法h1で本体部11から径方向内方(図3下方)へ張り出されている。また、張り出し寸法h1は、本体部11と張出壁部14との間の対向面間距離として定義される。
連結壁部15は、図3に示すように、中央壁部15aと、その中央壁部15aの左右に対称に配設される一対の側方壁部15bとを備える。中央壁部15aは、膨出部12の周方向中央に位置すると共に、本体部11の軸芯Oを通過する仮想線LN1に沿って直線状に延設され、張出壁部14の最大張出部14aに連結されている。
一対の側方壁部15bは、図3に示すように、仮想線LN3に沿って直線状に延設されると共に、径方向内方(図3下方)へ向かうほど中央壁部15aから離間するようにハ字状に傾斜されている。なお、一対の側方壁部15bは、中央壁部15a(即ち、仮想線LN1)に対して線対称となる形状に形成されている。また、仮想線LN3は、側方壁部15bの幅方向中央を通過する直線である。
肉抜き穴部16は、図3に示すように、張出壁部14と本体部11とに囲まれ略三角形状に形成される幅広穴部16aと、中央壁部15aに隣接し長円状に形成される中央穴部16bと、側方壁部15bと本体部11との間に位置し長円状に形成される側方穴部16cとを備えて構成されている。
このように、膨出部12は、内側壁部13及び張出壁部14を本体部11から張り出させると共に、内側壁部13と張出壁部14とを連結壁部15で連結し、それら各壁部13〜15と本体部11との間に中空状の肉抜き穴部16を形成する構成とされている。
よって、従来品のように、中実の厚肉部として構成される膨出部と比較して、成形後の収縮による陥没の発生を抑制することができる。その結果、内側壁部13の形状を高精度に成形することができるので、アウターケース61との間のシール性の向上を図ることができる。
特に、本発明の樹脂ブーツ10では、図3に示すように、内側壁部13と張出壁部14との間を連結壁部15で連結する一方、張出壁部14と本体部11との間は、連結壁部15による連結を省略するように構成されている。
よって、張出壁部14と本体部11との間に形成される肉抜き穴部16(幅広穴部16a)の容積を十分に確保することができるので、成形時には、張出壁部14及び本体部11を適正に冷却させることができるので、その分、膨出部12全体としての形状をより高精度に成形することができる。
また、図3に示すように、張出壁部14と本体部11との間が連結壁部15により連結されていない構成であれば、その分、張出壁部14の厚み寸法が不均一となることを抑制して、成形後の収縮を抑制することもできる。
即ち、張出壁部14と本体部11との間も連結壁部15で連結したのでは、張出壁部14の両側(図3上側及び下側)に連結壁部15が連結され、張出壁部14全体としての均肉化が阻害される。よって、上記構成により、張出壁部14の均肉化を図ることで、成形時には、張出壁部14の冷却速度を均一化して、その分、膨出部12全体としての形状をより高精度に成形することができる。
ここで、張出壁部14は、上述したように、直線状に形成されているので、湾曲状に形成される場合と比較して、本体部11の外周面に作用する締結バンド80の締結力を、張出壁部14を介して、本体部11から最も離間する中央壁部15aに最も効率良く伝達することができる。その結果、内側壁部13の周方向中央部からアウターケース61へより大きな面圧を及ぼさせることができる。
また、張出壁部14は、上述したように、最大張出部14aが膨出部12の周方向中央(即ち、仮想線LN1上)に位置するV字状に形成されているので、本体部11の外周面に作用する締結バンド80の締結力を、中央壁部15aを挟んで位置する左右の張出壁部14を介して、中央壁部15aへ偏らせることなく均等に伝達させることができる。
更に、この場合には、張出壁部14自体が直線状に形成されているので、内側壁部13をアウターケース61に対して垂直に押し当てる方向の力成分を中央壁部15aに効率的に発生させることができる。
その結果、本体部11の外周面に作用する締結バンド80の締結力を、張出壁部14及び中央壁部15aを介して、本体部11から最も離間する内側壁部13の周方向中央部に効率良く伝達させることができ、内側壁部13の周方向中央部からアウターケース61に及ぼされる面圧をより大きくすることができる。即ち、内側壁部13からアウターケース61へ面圧を及ぼすことが最も困難となる部位における面圧の増加を効果的に図ることができる。
また、中央壁部15aは、上述したように、仮想線LN1に沿って直線状に延設されている。よって、この中央壁部15aの構成と張出壁部14の構成とにより、本体部11の外周面に作用する締結バンド80の締結力であって、張出壁部14から中央壁部15aへ伝達されてきた力を、かかる中央壁部15aを介して、内側壁部13に作用させる際には、内側壁部13をアウターケース61に対して垂直に押し当てて、内側壁部13がアウターケース61に及ぼす面圧を効果的に増加させるという作用を相乗的に向上させることができる。
また、一対の側方壁部15bは、上述したように、中央壁部15a(即ち、仮想線LN1)に対して対称に位置すると共に、仮想線LN1に対して傾斜を有する直線状に延設されている。これにより、本体部11の外周面に作用する締結バンド80の締結力を、一対の側方壁部15bを介して、内側壁部13の周方向全域に分散させて伝達させることができる。その結果、内側壁部13からアウターケース61へ及ぼす面圧を周方向に均一化させて、シール性の向上を図ることができる。
更に、一対の側方壁部15bは、上述したように、径方向内方(図3下方)へ向かうほど中央壁部15aから離間するように傾斜されているので、側方壁部15bと内側壁部13とがなす角度を90度に近づけることができる。
これにより、本体部11に締結バンド80が締結され、本体部11から張出壁部14を介して一対の側方壁部15bへ締結力が伝達されると、内側壁部13を外方へ押し拡げる(膨らませる)方向の力成分を一対の側方壁部15bにより発生させることができる。
その結果、側方壁部15bと内側壁部13との連結部近傍においては、内側壁部13をアウターケース61に対して垂直に押し当てて、より大きな面圧をアウターケース61に及ぼさせることができ、その結果、シール性のより一層の向上を図ることができる。
即ち、側方壁部15bの延設方向が、例えば、中央壁部15aと平行とされている、或いは、径方向内方(図3下方)へ向かうほど中央壁部15aに近づくように傾斜されていると、本体部11から張出壁部14を介して一対の側方壁部15bに伝達された力は、内側壁部13を両側から周方向中央へ寄せ集める方向の力として作用してしまう。
そのため、この場合には、内側壁部13をアウターケース61に対して垂直方向へ押し当てるための力が発生せず、側方壁部15bと内側壁部13との連結部近傍において、十分な面圧を発生させることができなくなる。本発明の樹脂ブーツ10によれば、このような不具合を効果的に解決することができる。
ここで、側方壁部15bは、図3に示すように、幅広穴部16aの端部eよりも中央壁部15a側となる位置において、張出壁部14に連結されている。即ち、側方壁部15bの側壁部は、仮想線LN3に直交する方向において、幅広穴部16aの端部eとの間に隙間t3を有するように構成されている。
例えば、側方壁部15bと張出壁部14との連結位置が幅広穴部16aの端部eよりも中央壁部15aと反対方向側とされていると、側方壁部15bが、張出壁部14における本体部11への付け根部において、張出壁部14に連結される。
そのため、本体部11の外周面に締結バンド80が締結された際には、本体部11から張出壁部14に伝達された締結力を側方壁部15bが直接受け止めてしまい、かかる側方壁部15bが張出壁部14の付け根部近傍の変形を抑制してしまう。
その結果、本体部11から張出壁部14を介して中央壁部15aと側方壁部15bとに伝達されるべき力が、側方壁部15bのみへ偏って伝達されるため、張出壁部14を介した中央壁部15aへの力の伝達が阻害されることとなる。これにより、内側壁部13からアウターケース61へ面圧を及ぼすことが最も困難であった部位(本体部11から最も離間する中央壁部15a近傍)における面圧が更に減少してしまう。
これに対し、本発明の樹脂ブーツ10では、上述のように、側方壁部15bが、幅広穴部16aの端部eよりも中央壁部15a側となる位置において、張出壁部14に連結されるように構成したので、本体部11の外周面に締結バンド80が締結された際には、本体部11から張出壁部14に伝達された締結力を側方壁部15bが受け止めてしまうことを抑制し、張出壁部14の付け根部近傍の変形性を確保することができる。
これにより、本体部11から張出壁部14に伝達された力を、側方壁部15bだけでなく、中央壁部15aにも十分に伝達することができるので、内側壁部13からアウターケース61へ面圧を及ぼすことが最も困難であった部位における面圧の増加を効果的に図ることができる。その結果、アウターケース61へ及ぼす面圧の周方向への均一化を図り、シール性の向上を図ることができる。
ここで、中央壁部15aの仮想線LN1に沿う方向の長さ寸法h2は、張出壁部14の最大張出部14aにおける張り出し寸法h1と同等の寸法値に設定されている(h1=h2)。なお、長さ寸法h2は、仮想線LN1と仮想線LN2との交点から仮想線LN1と仮想線LN4との交点までの距離寸法である。また、仮想線LN4は、内側壁部13の幅方向中央を通過する曲線である。
これにより、幅広穴部16aの容積を十分に確保して、成形後の収縮による陥没が膨出部12に発生することを抑制することができると共に、内側壁部13からアウターケース61へ及ぼす面圧を十分に確保しつつその面圧を周方向へ均一化して、シール性の向上を図ることができる。
即ち、中央壁部15aの長さ寸法h2を張出壁部14の上記張り出し寸法h1よりも短くし過ぎると、幅広穴部16aの容積は確保することができるが、その分、中央壁部15aの両側に位置する肉抜き穴部16(中央穴部16b)の容積が減少して、成形後の収縮による陥没が発生し易くなる。そのため、中央壁部15a近傍での寸法精度の低下を招くという問題点が生じる。
また、この場合には、張出壁部14の傾斜が大きくなり過ぎるため、本体部11から張出壁部14を介して伝達される力が中央壁部15aへ集中してしまい、張出壁部14を介して側方壁部15bに伝達されるべき力が減少する。そのため、側方壁部15bと内側壁部13との連結部において、内側壁部13をアウターケース61に押し付ける力が不足して、かかる部位において十分な面圧を発生させることができなくなるという問題点が生じる。
一方、中央壁部15aの長さ寸法h2を張出壁部14の上記張り出し寸法h1よりも長くし過ぎると、幅広穴部16aの容積を確保することが困難となり、成形後の収縮による陥没が発生し易くなるため、膨出部12全体における寸法精度の低下を招くという問題点が生じる。
また、この場合には、張出壁部14の傾斜が小さくなり過ぎるため、本体部11から張出壁部14を介して中央壁部15aへ伝達された力に基づいて、内側壁部13をアウターケース61へ押し付ける方向の力成分を中央壁部15aにおいて生成することが困難となる。そのため、内側壁部13をアウターケース61に押し付ける力が不足するため、中央壁部15a近傍において、十分な面圧を発生させることができなくなるという問題点が生じる。
これに対し、本発明の樹脂ブーツ10では、中央壁部15aの長さ寸法h2を張出壁部14の上記張り出し寸法h1と同等の寸法値したので、上述した各問題点を効果的に解消することができる。
なお、請求項3に記載した「同等の寸法値に設定されている」とは、長さ寸法h2と張り出し寸法h1とが完全に同値であることを要求する趣旨ではなく、±30%程度の範囲での差異を許容する趣旨である。但し、かかる差異は、±15%程度の範囲内にあることが好ましく、±10%程度の範囲内にあることがより好ましい。これにより、上記効果を確実に得られるからである。
ここで、中央壁部15aの厚み寸法t4は、側方壁部15bの厚み寸法t5よりも大きな寸法値となるように構成されている(t5<t4)。これにより、中央壁部15aと張出壁部14との連結領域、及び、中央壁部15aと内側壁部13との連結領域を共に確保することができる。
よって、本体部11の外周面に締結バンド80が締結された場合には、本体部11から張出壁部14を介して伝達される力を中央壁部15aが効率良く受け止めると共に、その受け止めた力を内側壁部13からアウターケース61に効率良く作用させ、より大きな面圧を発生させることができる。
その結果、本体部11から最も離間する部位であるためアウターケース61へ面圧を及ぼすことが困難であった中央壁部15a近傍(内側壁部13の周方向中央)における面圧の増加を効果的に図ることができる。即ち、張出壁部14を介して伝達される力が、側方壁部15bに集中して伝達されることを抑制すると共に、中央壁部15aへ伝達される成分をより確保することができる。これにより、アウターケース61へ及ぼす面圧の周方向への均一化を図り、シール性の向上を図ることができる。
なお、本体部11の外周面に作用する締結バンド80の締結力は、中央壁部15aを挟んで位置する左右の張出壁部14を介して、中央壁部15aへ左右から伝達される。そのため、例えば、製造上の寸法精度ばらつきなどに起因して、中央壁部15aへ伝達される力が左右一方に偏った場合には、内側壁部13をアウターケース61に対して垂直に押し当てる方向の力成分が減少して、面圧の減少を招く。
これに対し、上述のように、中央壁部15aの厚み寸法t4が大きな寸法値とされていれば、伝達される力の偏りを緩和して、内側壁部13をアウターケース61に対して垂直に押し当てる方向の力成分を確保することができる。その結果、内側壁部13の周方向中央部からアウターケース61に及ぼされる面圧をより大きく確保することができる。
ここで、側方壁部15bの厚み寸法t5が張出壁部14及び内側壁部13の厚み寸法t6,t7に対して大き過ぎる寸法値とされると、張出壁部14と内側壁部13との間に形成される肉抜き穴部16(中央穴部16b及び側方穴部16c)の容積を十分に確保することができなくなるため、成形後の収縮が発生し易くなり、寸法精度の悪化を招く。
同時に、側方壁部15b及びその近傍の剛性が高くなり過ぎ、張出壁部14等を適正に弾性変形させることができなくなるため、特に内側壁部13の周方向中央部近傍におけるシール性の低下を招く。なお、張出壁部14及び内側壁部13の厚み寸法t6,t7を側方壁部15bの厚み寸法t5に対して大き過ぎる寸法値とする場合も同様の不具合が生じる。
一方、側方壁部15bの厚み寸法t5が張出壁部14及び内側壁部13の厚み寸法t6,t7に対して小さ過ぎる寸法値とされると、張出壁部14及び内側壁部13との間の力の作用領域を確保することができなくなる。
更に、側方壁部15b及びその近傍における剛性が弱くなり過ぎ、本体部11に作用する締結バンド80の締結力を内側壁部13へ伝達する際に屈曲変形してしまう。そのため、内側壁部13と側方壁部15bとの連結部近傍において、アウターケース61へ及ぼされる面圧の不足や不安定化を招く。
これに対し、本発明の樹脂ブーツ10では、側方壁部15bの厚み寸法t5が内側壁部13及び張出壁部14の厚み寸法t6,t7と同等の寸法値となるように構成した。これにより、肉抜き穴部16(中央穴部16b及び側方穴部16c)の容積を確保することができるので、成形後の収縮を抑制して、寸法精度の向上を図ることができる。
更に、内側壁部13及び張出壁部14との間の力の作用領域の確保と側方壁部15b自身の剛性の確保とを図り、アウターケース61に及ぼされる面圧の増加と安定化とを同時に達成することができる。
なお、請求項4に記載した「同等の寸法値に設定されている」とは、厚み寸法t5〜t7が互いに完全に同値であることを要求する趣旨ではなく、±30%程度の範囲での差異を許容する趣旨である。但し、かかる差異は、±15%程度の範囲内にあることが好ましく、±10%程度の範囲内にあることがより好ましい。これにより、上記効果を確実に得られるからである。
ここで、側方壁部15の延設方向(即ち、仮想線LN3方向)は、張出壁部14の延設方向(即ち、仮想線LN2方向)と直交するように設定されている。よって、本体部11に締結バンド80が締結され、本体部11から張出壁部14を介して一対の側方壁部15bへ締結力が伝達された場合には、伝達された力に基づいて、内側壁部13を外方へ押し拡げる(膨らませる)方向の力成分を効率良く発生させることができる。
これにより、側方壁部15bと内側壁部13との連結部近傍においては、内側壁部13をアウターケース13に対して垂直に押し当てて、より大きな面圧をアウターケース61に及ぼさせることができるので、シール性のより一層の向上を図ることができる。
なお、請求項5に記載した「直交するように設定されている」とは、側方壁部15の延設方向と張出壁部14の延設方向とが完全に直交していることを要求する趣旨ではなく、±20°程度の範囲での差異を許容する趣旨である。但し、かかる差異は、±15°程度の範囲内にあることが好ましく、±10°程度の範囲内にあることがより好ましい。これにより、上記効果を確実に得られるからである。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
また、上記実施の形態では、側方壁部15bと内側壁部13との連結位置についての説明を省略したが、内側壁部13における中央壁部15aとの連結部と本体部11への付け根部との中間位置において、側方壁部15bが内側壁部13に連結されるように構成することが好ましい。
これにより、中央穴部16bと側方穴部16cとの容積を均一化することができるので、成形時には、各壁部13〜15及び本体部11の冷却速度を均一化して、成形精度の向上を図ることができる。同時に、内側壁部13からアウターケース61に及ぼされる面圧を周方向に均一化して、高いシール性を確保することができる。
また、上記実施の形態では、各壁部13〜15の厚み寸法t4〜t7と中央穴部16b及び側方穴部16cの幅寸法w1,w2との寸法関係についての説明を省略したが、中央穴部16b及び側方穴部16cの幅寸法w1,w2は、内側壁部13、張出壁部14又は側方壁部15bの幅寸法t5〜t7よりも大きく(t5〜t7<w1、t5〜t7<w2)、かつ、中央壁部15aの厚み寸法t4よりも小さい(w1<t4、w2<t4)寸法値となるように設定されていることが好ましい。
これにより、中央穴部16b及び側方穴部16cの容積を確保して、中央穴部16b及び側方穴部16cの容積と幅広穴部16aの容積とのバランスを保つことができるので、成形時には、膨出部12全体としての冷却速度のアンバランスを抑制することができ、その結果、膨出部12全体としての成形精度の向上を図ることができる。
(a)は、本発明の一実施の形態における樹脂ブーツの縦断面図であり、(b)は、図1(a)の矢印Ib方向視における樹脂ブーツの正面図である。 等速ジョイントの連結部に樹脂ブーツが装着された状態を示す部分断面図である。 図1(a)のIII−III線における樹脂ブーツの部分拡大断面図である。 図3のIV−IV線における樹脂ブーツの部分拡大断面図である。 図2のV−V線における樹脂ブーツ及び等速ジョイントの断面図である。 樹脂ブーツからアウターケースの外周面に及ぼされるシール面圧を示した模式図である。 従来の樹脂ブーツを示す図であり、等速ジョイントの連結部に樹脂ブーツが装着された状態を示す部分断面図である。 図7のVIII−VIII線における樹脂ブーツの断面図である。
符号の説明
10 樹脂ブーツ
1 大径取付け部
1c シールリップ(リップ部)
11 本体部
12 膨出部
13 内側壁部
14 張出壁部
14a 最大張出部
15 連結壁部
15a 中央壁部(連結壁部の一部)
15b 側方壁部(連結壁部の一部)
16 肉抜き穴部
16a 幅広穴部(肉抜き穴部の一部)
16b 中央穴部(肉抜き穴部の一部)
16c 側方穴部(肉抜き穴部の一部)
2 小径取付け部
3 蛇腹部
CVJ 等速ジョイント
50 伝達軸(他方の伝達軸)
60 伝達軸(一方の伝達軸)
61 アウターケース
61b 凹部
80 締結バンド(締結部材)
O 軸芯
e 幅広穴部の端部
LN1 本体部の軸芯を通過する仮想線
LN2 仮想線(張出壁部の延設方向)
LN3 仮想線(側方壁部の延設方向)
h1 本体部からの最大張出部の張り出し寸法
h2 仮想線に双方向の中央壁部の長さ寸法
t4 中央壁部の厚み寸法
t5 側方壁部の厚み寸法
t6 張出壁部の厚み寸法
t7 内側壁部の厚み寸法
w1 中央穴部の幅寸法
w2 側方穴部の幅寸法

Claims (5)

  1. 等速ジョイントの一方の伝達軸のアウターケースに取り付けられる大径取付け部と、前記等速ジョイントの他方の伝達軸に取り付けられる小径取付け部と、前記大径取付け部と前記小径取付け部とを互いに連結し谷部と山部とが反復的に連続して形成される蛇腹部とを備えると共に、前記大径取付け部と前記小径取付け部と前記蛇腹部とが樹脂材料から一体に構成され、前記大径取付け部の外周面に巻回された締結部材の締結力により、前記大径取付け部の内周面に突設されたリップ部をアウターケースの外周面に密着させるように構成された樹脂ブーツにおいて、 前記大径取付け部は、円環状に形成される本体部と、前記本体部の内周面から径方向内方へ向けて膨出されると共に前記アウターケースの外周面に凹設された凹部に嵌合する膨出部とを備え、
    前記膨出部は、径方向内方へ向けて前記本体部から湾曲状に張り出す内側壁部と、前記内側壁部と前記本体部との間に位置すると共に前記径方向内方へ向けて前記本体部から直線状に張り出す張出壁部と、前記張出壁部と前記内側壁部とを連結する連結壁部と、前記連結壁部と前記内側壁部と前記張出壁部と前記本体部とに囲まれて形成される中空状の肉抜き穴部とを備え、
    前記張出壁部は、前記本体部からの張り出し寸法が最大となる最大張出部が前記膨出部の周方向中央に位置するV字状に形成され、
    前記連結壁部は、前記膨出部の周方向中央に位置すると共に前記本体部の軸芯を通過する仮想線に沿って直線状に延設され前記張出壁部の最大張出部に連結される中央壁部と、前記中央壁部に対して対称に位置すると共に前記仮想線に対して傾斜を有する直線状に延設される一対の側方壁部とを備えると共に、前記一対の側方壁部は、前記径方向内方へ向かうほど前記中央壁部から離間するように傾斜されていることを特徴とする樹脂ブーツ。
  2. 前記肉抜き穴部は、前記張出壁部と前記本体部とに囲まれて形成される幅広穴部を備えており、
    前記側方壁部は、前記幅広穴部の端部よりも前記中央壁部側となる位置において、前記張出壁部に連結されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂ブーツ。
  3. 前記中央壁部の前記仮想線に沿う方向の長さ寸法が前記張出壁部の最大張出部における張り出し寸法と同等の寸法値に設定されていることを特徴とする請求項2記載の樹脂ブーツ。
  4. 前記中央壁部の厚み寸法が前記側方壁部の厚み寸法よりも大きな寸法値に設定されると共に、前記側方壁部の厚み寸法が前記内側壁部及び前記張出壁部の厚み寸法と同等の寸法値に設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の樹脂ブーツ。
  5. 前記側方壁部の延設方向と前記張出壁部の延設方向とが互いに直交するように設定されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の樹脂ブーツ。
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