JP2007001378A - 複合体モデル解析装置、複合体モデル解析方法及び複合体モデル解析プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 複合体モデルの解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができる複合体モデル解析装置、複合体モデル解析方法及び複合体モデル解析プログラムを提供する。
【解決手段】 タイヤモデルを作成するタイヤモデル作成手段と、ホイールモデルを作成するホイールモデル作成手段と、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する性能解析手段とを備える複合体モデル解析装置であって、ホイール幅方向断面において、ホイールモデルのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面の少なくとも一部が、シェル要素によりモデル化され、ホイールモデルのディスク部が、ソリッド要素によりモデル化されていることを要旨とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 タイヤモデルを作成するタイヤモデル作成手段と、ホイールモデルを作成するホイールモデル作成手段と、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する性能解析手段とを備える複合体モデル解析装置であって、ホイール幅方向断面において、ホイールモデルのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面の少なくとも一部が、シェル要素によりモデル化され、ホイールモデルのディスク部が、ソリッド要素によりモデル化されていることを要旨とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、複合体モデル解析装置、複合体モデル解析方法及び複合体モデル解析プログラムに関する。
従来、有限要素法(Finite Element Method(FEM))等を用いて、空気入りタイヤ(以下、タイヤ)を有限個の要素でモデル化したタイヤモデルと、ホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルとを合成することにより、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
これにより、試作タイヤを設計・製造し、当該試作タイヤを車輌又はドラム試験器に装着して試験を行う必要がなくなり、試作タイヤの設計・製造や試験を行うための多大な時間、費用、労力及び設備などを低減することができる。
特開2002−350294(第2頁−第5頁、第2図)
ところで、合金製ホイールのように各部分の肉厚が大きく異なる場合、ホイール全体をシェル要素でモデル化された複合体モデルよりも、ホイール全体をソリッド要素でモデル化された複合体モデルの方が、ホイールの固有振動数等を精度良く解析することができるため、ホイール全体にソリッド要素が用いられることが一般的である。
しかしながら、上述した従来の技術では、ホイール全体を2次要素以上のソリッド要素でモデル化されたホイールモデルを備えた複合体モデルを用いて解析を行った場合、ホイールの固有振動数等を精度良く解析することが可能であるが、解析する際に掛かる時間(すなわち、数値解析に掛かる時間)が長くなってしまうという問題があった。
一方、ホイール全体を1次要素のソリッド要素でモデル化されたホイールモデルを備えた複合体モデルを用いて解析を行った場合、数値解析に掛かる時間を短縮することが可能であるが、ホイールの固有振動数等を精度良く解析することができないという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題を鑑みてなされたものであり、複合体モデルの解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができる複合体モデル解析装置、複合体モデル解析方法及び複合体モデル解析プログラムを提供することを目的とする。
本発明の特徴は、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデル(タイヤモデル10)を作成するタイヤモデル作成手段と、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデル(ホイールモデル100)を作成するホイールモデル作成手段と、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデル(複合体モデル1)の性能を解析する性能解析手段とを備える複合体モデル解析装置であって、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面に対応するホイールモデルのリム部(リム部101)におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面(リム外側面101a)の少なくとも一部が、シェル要素(シェル要素SH)によりモデル化され、ホイールのディスク部に対応するホイールモデルのディスク部(ディスク部102)が、ソリッド要素(ソリッド要素SO)によりモデル化されていることを要旨とする。
かかる発明によれば、複合体モデルは、ホイールモデルのリム外側面の少なくとも一部が、シェル要素によりモデル化されていることにより、ホイール全体がソリッド要素でモデル化された複合体モデルに比べ、節点数が大幅に少なくなるため、数値計算に掛かる時間を短縮することができる。
また、複合体モデルは、ホイールモデルのディスク部のように肉厚の異なる部分がソリッド要素によりモデル化されていることにより、ホイール全体がシェル要素でモデル化された複合体モデルに比べ、曲げ変形や固有振動数等を精度良く解析することができる。
ここで、ホイールモデルを作成する場合、解析精度を確保するために、タイヤとホイールとが接する面の形状を正確に定義する必要がある。このため、複合体モデルは、ホイールモデルのリム外側面の少なくとも一部が、幾何学形状を保持したままシェル要素によりモデル化されていることにより、ホイール全体をシェル要素でモデル化された複合体モデルや、ホイール全体をソリッド要素でモデル化された複合体モデルに比べ、解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができる。
また、本発明において、タイヤモデルとホイールモデルとが複合されている状態において、ホイールモデルのリム外側面の少なくとも一部に位置するシェル要素には、ホイールのリム部の厚さと、ホイールのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央と、リム中央からリム外側面までの距離とを少なくとも用いて算出される曲げ剛性が対応付けられていることが好ましい。
ホイールモデルのリム部の厚さ方向における中央がシェル要素によりモデル化されていない場合、実際のホイールと断面2次モーメントが異なるため、曲げ剛性が異なってしまうことがある。これを補正するために、複合体モデルは、ホイールのリム部の厚さとリム中央とリム中央からリム外側面までの距離とを少なくとも用いて算出される曲げ剛性がシェル要素に対応付けられていることにより、断面2次モーメントの算出等において補正を行うことができ、曲げ変形や固有振動数等をさらに精度良く解析することができる。
本発明の特徴は、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成手段と、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成するホイールモデル作成手段と、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する性能解析手段とを備える複合体モデル解析装置であって、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央に対応するホイールモデルのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央(リム中央101b)の少なくとも一部が、シェル要素によりモデル化され、ホイールのディスク部に対応するホイールモデルのディスク部が、ソリッド要素によりモデル化されていることを要旨とする。
かかる発明によれば、複合体モデルは、ホイールモデルのリム中央の少なくとも一部が、シェル要素によりモデル化されていることにより、ホイール全体がソリッド要素でモデル化された複合体モデルに比べ、節点数が大幅に少なくなるため、数値計算に掛かる時間を短縮することができる。
また、複合体モデルは、ホイールモデルのディスク部のように肉厚の異なる部分がソリッド要素によりモデル化されていることにより、ホイール全体がシェル要素でモデル化された複合体モデルに比べ、曲げ変形や固有振動数等を精度良く解析することができる。
このように、本発明に係る複合体モデルは、ホイール全体をシェル要素でモデル化された複合体モデルや、ホイール全体をソリッド要素でモデル化された複合体モデルに比べ、解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができる。
また、本発明において、タイヤモデルとホイールモデルとが複合されている状態において、ホイールモデルのリム中央の少なくとも一部に位置するシェル要素には、ホイールのリム中央から、ホイールのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面までの距離が対応付けられていることが好ましい。
シェル要素がホイールモデルのリム中央の少なくとも一部に位置することにより、曲げ剛性を精度良く解析することができる。このとき、タイヤとホイールとが接する面の形状を正確に定義する必要がある。そのため、例えばホイールのリム中央からリム外側面までの距離を求め、当該距離の位置でタイヤとホイールとが接触していることを定義することにより、タイヤとホイールとの接触等を精度良く解析することができる。
本発明の特徴は、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成手段と、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成するホイールモデル作成手段と、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する性能解析手段とを備える複合体モデル解析装置であって、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム部とタイヤとが接する面であるリム接触面に対応するホイールモデルのリム部とタイヤモデルとが接する面であるリム接触面の少なくとも一方が、シェル要素によりモデル化され、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム接触面以外のリム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央に対応するホイールモデルのリム接触面以外のリム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央の少なくとも一部が、シェル要素によりモデル化され、ホイールのディスク部に対応するホイールモデルのディスク部が、ソリッド要素によりモデル化されていることを要旨とする。
かかる発明によれば、複合体モデルは、ホイールモデルの接触面の少なくとも一方とリム中央とが、シェル要素によりモデル化されていることにより、ホイール全体がソリッド要素でモデル化された複合体モデルに比べ、節点数が大幅に少なくなるため、数値計算に掛かる時間を短縮することができる。
また、複合体モデルは、ホイールモデルのディスク部のように肉厚の異なる部分がソリッド要素によりモデル化されていることにより、ホイール全体がシェル要素でモデル化された複合体モデルに比べ、曲げ変形や固有振動数等を精度良く解析することができる。
このように、本発明に係る複合体モデルは、ホイール全体をシェル要素でモデル化された複合体モデルや、ホイール全体をソリッド要素でモデル化された複合体モデルに比べ、解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができる。
また、本発明において、タイヤモデルとホイールモデルとが複合されている状態において、ホイールモデルの接触面の少なくとも一方に位置するシェル要素には、ホイールのリム部の厚さと、リム中央と、リム中央からリム外側面までの距離とを少なくとも用いて算出される曲げ剛性が対応付けられ、タイヤモデルとホイールモデルとが複合されている状態において、ホイールモデルのリム中央に位置するシェル要素には、ホイールのリム中央からリム外側面までの距離が対応付けられていることが好ましい。
ホイールのリム部の厚さと、リム中央と、リム中央からリム外側面までの距離とを少なくとも用いて算出される曲げ剛性が対応付けられたシェル要素がホイールモデルの接触面の少なくとも一方に位置することにより、タイヤとホイールとの接触等を精度良く解析することができる。
また、ホイールのリム中央からリム外側面までの距離が対応付けられたシェル要素がホイールモデルのリム中央に位置することにより、曲げ変形や固有振動数等を精度よく解析することができる。
本発明の特徴は、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するステップAと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成するステップBと、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析するステップCとを少なくとも含む複合体モデル解析方法であって、ステップBでは、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面に対応するホイールモデルのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面の少なくとも一部を、シェル要素によりモデル化し、ホイールのディスク部に対応するホイールモデルのディスク部を、ソリッド要素によりモデル化することを要旨とする。
本発明の特徴は、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するステップAと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成するステップBと、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析するステップCとを少なくとも含む複合体モデル解析方法であって、ステップBでは、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央に対応するホイールモデルのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央の少なくとも一部を、シェル要素によりモデル化し、ホイールのディスク部に対応するホイールモデルのディスク部を、ソリッド要素によりモデル化することを要旨とする。
本発明の特徴は、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するステップAと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成するステップBと、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析するステップCとを少なくとも含む複合体モデル解析方法であって、ステップBでは、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム部とタイヤとが接する面であるリム接触面に対応するホイールモデルのリム部とタイヤモデルとが接する面であるリム接触面の少なくとも一方を、シェル要素によりモデル化し、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム接触面以外のリム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央に対応するホイールモデルのリム接触面以外のリム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央の少なくとも一部を、シェル要素によりモデル化し、ホイールのディスク部に対応するホイールモデルのディスク部を、ソリッド要素によりモデル化することを要旨とする。
本発明の特徴は、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成する手順Aと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成する手順Bと、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する手順Cとを少なくとも実行させる複合体モデル解析プログラムであって、手順Bでは、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面に対応するホイールモデルのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面の少なくとも一部を、シェル要素によりモデル化する手順B−1と、ホイールのディスク部に対応するホイールモデルのディスク部を、ソリッド要素によりモデル化する手順B−2とを含むことを要旨とする。
本発明の特徴は、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成する手順Aと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成する手順Bと、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する手順Cとを少なくとも実行させる複合体モデル解析プログラムであって、手順Bでは、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央に対応するホイールモデルのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央の少なくとも一部を、シェル要素によりモデル化する手順B−1と、ホイールのディスク部に対応するホイールモデルのディスク部を、ソリッド要素によりモデル化する手順B−2とを含むことを要旨とする。
本発明の特徴は、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成する手順Aと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成する手順Bと、タイヤモデルとホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する手順Cとを少なくとも実行させる複合体モデル解析プログラムであって、手順Bでは、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム部とタイヤとが接する面であるリム接触面に対応するホイールモデルのリム部とタイヤモデルとが接する面であるリム接触面の少なくとも一方を、シェル要素によりモデル化する手順B−1、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム接触面以外のリム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央に対応するホイールモデルのリム接触面以外のリム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央の少なくとも一部を、シェル要素によりモデル化する手順B−2と、ホイールのディスク部に対応するホイールモデルのディスク部を、ソリッド要素によりモデル化する手順B−3とを含むことを要旨とする。
本発明によれば、複合体モデルの解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができる複合体モデル解析装置、複合体モデル解析方法及び複合体モデル解析プログラムを提供することができる。
以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(複合体モデル解析装置の構成)
本実施形態における複合体モデル解析装置200について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における複合体モデル解析装置200の構成を示す図である。
本実施形態における複合体モデル解析装置200について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における複合体モデル解析装置200の構成を示す図である。
図1に示すように、複合体モデル解析装置200は、入力部211と、処理部212(CPU)と、記憶部213と、表示部214と、プログラム保持部215とを備えている。
入力部211は、キーボードやマウス等の機器であり、複合体モデル1(図1においては不図示、図7参照)をシミュレーションするときに必要な情報(後述する各種情報や境界条件など)が入力される。この入力部211に入力されたシミュレーションするときに必要な情報は、処理部212に伝達される。
処理部212は、各種情報設定部212aと、タイヤモデル作成部212b(タイヤモデル作成手段)と、ホイールモデル作成部212c(ホイールモデル作成手段)と、複合体モデル作成部212dと、境界条件設定部212eと、性能解析部212f(性能解析手段)と、結果出力部212gとを備えている。
各種情報設定部212aは、入力部211に入力された各種情報をデータとして記憶部213に設定(記憶)する。なお、「各種情報」とは、材料特性(例えば、タイヤに備えられるゴムやコード等の密度、剛性)や、タイヤやホイールの特性、設計データ(例えば、タイヤやホイールの形状、構造(トレッドパターン等))、後述するホイールの曲げ剛性やリム外側面からリム中央までの距離などである。
タイヤモデル作成部212bは、各種情報設定部212aにより設定されたデータ(各種情報)に基づいて、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデル10(図1においては不図示、図3参照)を作成する。
なお、「要素」とは、タイヤモデル10などの構造物を有限の大きさで多数の領域に区分けされた際の領域を示し、上述した各種情報が対応付けられている。
ホイールモデル作成部212cは、各種情報設定部212aにより設定されたデータ(各種情報)に基づいて、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデル100(図1においては不図示、図4参照)を作成する。
ここで、ホイールモデル100は、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面に対応するホイールモデル100のリム部101におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面101aの少なくとも一部が、シェル要素SHによりモデル化されている。また、ホイールモデル100は、ホイールのディスク部に対応するホイールモデル100のディスク部102が、ソリッド要素SOによりモデル化されている。
複合体モデル作成部212dは、タイヤモデル作成部212bにより作成されたタイヤモデル10と、ホイールモデル作成部212cにより作成されたホイールモデル100とを合成させることによって、タイヤモデル10とホイールモデル100との複合体である複合体モデル1を作成する。
境界条件設定部212eは、入力部211に入力された境界条件をデータとして記憶部213に設定(記憶)する。なお、「境界条件」とは、ドライ路面又はウエット路面等の路面条件や、空気圧や荷重、キャンバー角、スリップ角、速度等のタイヤ条件などである。
性能解析部212fは、有限要素法(FEM)を用いて、複合体モデル作成部212dにより作成された複合体モデル1をシミュレーションし、当該複合体モデル1の性能を解析する。
なお、「有限要素法(FEM)」とは、上述した要素に各種情報を対応付けて系全体(複合体モデル1)を解析するための手法である。また、「複合体モデルの性能」とは、曲げ剛性や曲げ変形、固有振動数などの総合的なタイヤとホイールとの複合体の性能を示す。
結果出力部212gは、性能解析部212fにより解析された複合体モデルの性能の解析結果を表示部214において表示させる指示(信号)を出力する。
記憶部213は、入力部211に入力された各種情報や境界条件、すなわち各種情報設定部212aにより設定された各種情報のデータや、境界条件設定部212eにより設定された境界条件のデータを記憶する。
表示部214は、結果出力部212gから複合体モデルの性能の解析結果を表示させる指示に従って、当該複合体モデルの性能を表示する。なお、表示部214は、入力部211によって入力された各種情報や境界条件等を表示することも可能である。
プログラム保持部215は、各種情報設定部212aやタイヤモデル作成部212b、ホイールモデル作成部212c、複合体モデル作成部212d、境界条件設定部212e、性能解析部212f、結果出力部212g等を処理部212に実行させるための複合体モデル解析プログラムを保持する記憶媒体である。
この複合体モデル解析プログラムは、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデル10を作成する手順Aと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデル100を作成する手順Bと、タイヤモデル10とホイールモデル100との複合体である複合体モデル1の性能を解析する手順Cとを少なくとも実行させるものである。
また、複合体モデル解析プログラムは、手順Bにおいて、ホイールモデル100のリム部101におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面101aの少なくとも一部を、シェル要素SHによりモデル化する手順B−1と、ホイールモデルのディスク部102を、ソリッド要素SOによりモデル化する手順B−2とを含むものである。
この記憶媒体は、例えばRAMやハードディスク、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、ICチップ、カセットテープ等が挙げられる。このようなプログラムを保持した記録媒体によれば、プログラムの保持、運搬、販売等を容易に行うことができる。
なお、本実施形態において、各種情報設定部212aと境界条件設定部212eとを分けて説明したが、必ずしも分ける必要はなく、各種情報設定部212aと境界条件設定部212eとが同一の設定部であってもよい。
(複合体モデル解析方法)
次に、図2を参照して、複合体モデル解析方法について説明する。図2は、本実施形態における複合体モデル解析方法を示すフロー図である。
次に、図2を参照して、複合体モデル解析方法について説明する。図2は、本実施形態における複合体モデル解析方法を示すフロー図である。
図2に示すように、まず、ステップ10において、処理部212(各種情報設定部212a)は、入力部211に入力された各種情報をデータとして記憶部213に設定(記憶)する処理を行う。
次に、ステップ20において、処理部212(タイヤモデル作成部212b)は、ステップ10で設定されたデータ(各種情報)に基づいて、タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデル10を作成する処理を行う。
具体的には、図3に示すように、タイヤモデル10は、有限個の要素E1によりモデル化されたものである。また、タイヤモデル10は、解析精度を向上させる上で、トレッド部を有限個の要素E2でモデル化したトレッドモデル11を備えていることが好ましい。
次に、ステップ30において、処理部212(ホイールモデル作成部212c)は、ステップ10で設定されたデータ(各種情報)に基づいて、ホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデル100を作成する処理を行う。
具体的には、図4に示すように、ホイールモデル100は、ホイールのリム部に対応するリム部101と、ホイールのディスク部に対応するディスク部102とによって構成される。このホイールモデル100のディスク部102には、ボルトやナット等を用いてホイールを車輌に固定するためのボルト孔に対応するボルト孔103が複数設けられている。
より具体的には、図5に示すように、ホイールモデル100は、ホイール幅方向断面において、ホイールのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面に対応するホイールモデル100のリム部101におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面101aの少なくとも一部が、シェル要素SHによりモデル化されている。
なお、ホイールモデル100のリム外側面101a少なくとも一部とは、ホイール幅方向断面において、ホイールモデル100のリム部101とディスク部102とがホイール径方向で重なり合っていない部分のうちの少なくとも一部を示すものとする。
また、ホイールモデル100は、ホイールのディスク部に対応するホイールモデル100のディスク部102が、ソリッド要素SOによりモデル化されている。
次に、ステップ40において、処理部212(複合体モデル作成部212d)は、タイヤモデル10とホイールモデル100との複合体である複合体モデル1を作成する処理を行う。具体的には、図6に示すように、処理部212は、ステップ20で作成されたタイヤモデル10と、ステップ30で作成されたホイールモデル100とを合成させることによって、複合体モデル1を作成する。
なお、図6においては、タイヤモデル10とホイールモデル100とが合成(接触)しているものとして示されているが、当該タイヤモデル10とホイールモデル100とが離れていた場合でも、有限要素法(FEM)を用いて解析を行うことが可能である。
ここで、タイヤモデル10とホイールモデル100とが複合されている状態(すなわち、複合体モデル)において、ホイールモデル100のリム外側面101aの少なくとも一部に位置するシェル要素SHには、ホイールのリム部の厚さと、リム中央と、リム中央からリム外側面までの距離とを少なくとも用いて算出される曲げ剛性などが対応付けられていることが好ましい。
具体的には、図7に示すように、まずホイールのリム部の厚さ(t)を設定する。その厚さ(t)を用いてリム中央101bを求めて、断面2次モーメントを算出する。この断面2次モーメントを“I”、1つのシェル要素SHの断面幅を“b(r)”、リム中央101bからホイール回転軸からの距離を“r”、微小距離を“dr”とした場合、
I=∫r2b(r)dr・・・式(I)
上記式(I)にて、断面2次モーメントが算出される。
I=∫r2b(r)dr・・・式(I)
上記式(I)にて、断面2次モーメントが算出される。
算出された断面2次モーメントに弾性率を掛け合わせることで曲げ剛性を算出する。すなわち、算出された曲げ剛性が、上述したホイールモデル100のリム外側面101aの少なくとも一部に位置するシェル要素SHに対応付けられていることとなる。
次に、ステップ50において、処理部212(境界条件設定部212e)は、入力部211に入力された境界条件をデータとして記憶部213に設定(記憶)する処理を行う。
なお、本実施形態において、ステップ10〜ステップ50の処理を行う順序は、必ずしもステップ10〜ステップ50の順序で行う必要はなく、順序を入れ替えてもよい。また、ステップ10とステップ50との処理は同時に行うものであってもよい。
次に、ステップ60において、処理部212(性能解析部212f)は、有限要素法(FEM)を用いて、ステップ40で作成された複合体モデル1をシミュレーションし、複合体モデルの性能を解析する処理を行う。
具体的には、処理部212は、入力部211に入力された各種情報や境界条件、すなわちステップ10で設定された各種情報のデータや、ステップ50で設定された境界条件のデータに基づいて、有限要素法(FEM)を用いて、ステップ40で作成された複合体モデル1をシミュレーションし、複合体モデルの性能を解析する。
次に、ステップ70において、処理部212(結果出力部212g)は、ステップ60で解析された複合体モデル1の性能の解析結果を表示部214において表示させる指示(信号)を出力する処理を行う。
(作用・効果)
以上説明した本実施形態に係る複合体モデル解析装置200、複合体モデル解析方法及び複合体モデル解析プログラムによれば、ホイール全体をシェル要素でモデル化された複合体モデルや、ホイール全体をソリッド要素でモデル化された複合体モデルが用いられた複合体モデル解析装置に比べ、解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができる。
以上説明した本実施形態に係る複合体モデル解析装置200、複合体モデル解析方法及び複合体モデル解析プログラムによれば、ホイール全体をシェル要素でモデル化された複合体モデルや、ホイール全体をソリッド要素でモデル化された複合体モデルが用いられた複合体モデル解析装置に比べ、解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができる。
ここで、ホイール全体をソリッド要素でモデル化する場合、解析精度を向上させる上で、2次要素以上のソリッド要素でホイール全体をモデル化することが一般的である。2次要素とは、例えば4面体要素の場合に4つの頂点を節点とするとともに、当該頂点を結ぶ辺上の中間にも節点を配置することによって、より細かく解析を行うことができる要素を示す。
しかしながら、ホイール全体を2次要素以上のソリッド要素でモデル化すると、ホイールの固有振動数等を精度良く解析することが可能であるが、数値解析に掛かる時間が長くなってしまう。また、ホイール幅方向断面において、リム部の厚さがディスク部と比べて薄く、当該リム部の厚さ方向には、1要素しか配置することができない場合がある。
このホイールのリム部に対応するホイールモデルのリム部を1次要素のソリッド要素でモデル化すると、リム部の厚さ方向の曲げ変形を精度良く解析することができないため、固有振動数を精度良く解析することができないという問題がある。
そこで、発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、ホイールモデル100のリム部101におけるリム外側面101aの少なくとも一部を、シェル要素SHよりモデル化し、ホイールモデル100のディスク部102を、ソリッド要素SOによってモデル化することによって、ホイール全体をソリッド要素でモデル化された複合体モデルと比べると、解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができると判明した。
具体的には、本発明に係る複合体モデル1は、ホイールモデル100のリム外側面101aの少なくとも一部が、シェル要素SHによりモデル化されていることにより、ホイール全体がソリッド要素でモデル化された複合体モデルに比べ、節点数が大幅に少なくなるため、数値計算に掛かる時間を短縮することができる。
また、本発明に係る複合体モデル1は、ホイールモデル100のディスク部102のように肉厚の異なる部分がソリッド要素によりモデル化されていることにより、ホイール全体がシェル要素でモデル化された複合体モデルに比べ、曲げ変形や固有振動数等を精度良く解析することができる。
さらに、本発明に係る複合体モデル1は、ホイールのリム中央からリム外側面までの距離の差を用いて算出された曲げ剛性等がシェル要素SHに対応付けられていることにより、断面2次モーメントの算出等において補正を行うことができ、曲げ変形や固有振動数等をさらに精度良く解析することができる。
(変更例1)
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきでない。
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきでない。
上述した実施形態では、ホイールモデル100のリム外側面101aの少なくとも一部がシェル要素SHによりモデル化されているが、変更例1では、ホイールモデル100のリム中央101bの少なくとも一部がシェル要素SHによりモデル化される。具体的には、図面を参照しながら説明する。なお、上述した本発明の実施形態に係るホイールモデル100と相違する部分を主として説明する。
図8は、本発明の変更例1に係るホイールモデル100を示す断面図である。図8に示すように、ホイールモデル100は、ホイールのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央に対応するホイールモデル100のリム部101の厚さ方向における中央の位置であるリム中央101bの少なくとも一部が、シェル要素SHによりモデル化されている。
なお、ホイールモデル100のリム中央101b少なくとも一部とは、ホイール幅方向断面において、ホイールモデル100のリム部101とディスク部102とがホイール径方向で重なり合っていない部分のうちの少なくとも一部を示すものとする。
また、タイヤモデル10とホイールモデル100とが複合されている状態(すなわち、複合体モデル)において、ホイールモデル100のリム中央101bの少なくとも一部に位置するシェル要素SHには、ホイールのリム中央からリム外側面までの距離(d1)などが対応づけられていることが好ましい。
このような変更例1に係るホイールモデル100を備えた複合体モデル解析装置200、複合体モデル解析方法及び複合体モデル解析プログラムによれば、ホイール全体をシェル要素でモデル化された複合体モデルや、ホイール全体をソリッド要素でモデル化された複合体モデルが用いられた複合体モデル解析装置に比べ、解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができる。
具体的には、シェル要素SHがホイールモデル100のリム中央101bの少なくとも一部に位置することにより、曲げ剛性を精度良く解析することができる。このとき、タイヤとホイールとが接する面の形状を正確に定義する必要がある。そのため、例えばホイールのリム中央からリム外側面までの距離を求め、当該距離の位置でタイヤとホイールとが接触していることを定義することにより、タイヤとホイールとの接触等を精度良く解析することができる。
(変更例2)
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきでない。
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきでない。
上述した実施形態では、ホイールモデル100のリム外側面101aの少なくとも一部がシェル要素SHによりモデル化されているが、変更例2では、ホイールモデル100のリム外側面101aの一部であるリム接触面101cとリム中央101bとがシェル要素SHによりモデル化される。具体的には、図面を参照しながら説明する。なお、上述した本発明の実施形態に係るホイールモデル100と相違する部分を主として説明する。
図9は、本発明の変更例2に係るホイールモデル100を示す断面図である。図9に示すように、ホイールモデル100は、ホイールのリム部とタイヤとが接する面であるリム接触面に対応するホイールモデル100のリム部101とタイヤモデル10とが接する面であるリム接触面101c(すなわち、リム外側面101aのうちタイヤとリムとが接する面)の少なくとも一方が、シェル要素SHによりモデル化されている。
なお、ホイールモデル100のリム接触面101cの少なくとも一方とは、ホイールモデル100のリム部101とディスク部102とがホイール径方向で重なり合っていない方のリム接触面101cを示すものとする。
さらに、タイヤモデル10とホイールモデル100とが複合されている状態(すなわち、複合体モデル)において、ホイールモデル100のリム接触面101cの少なくとも一方に位置するシェル要素SHには、ホイールのリム部の厚さと、リム中央と、リム中央からリム外側面までの距離とを少なくとも用いて算出される曲げ剛性などが対応付けられていることが好ましい。
また、ホイールモデル100は、ホイールのリム接触面以外のリム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央に対応するホイールモデル100のリム接触面101c以外のリム部101における厚さ方向の中央の位置であるリム中央101bが、シェル要素によりモデル化されている。
さらに、タイヤモデル10とホイールモデル100とが複合されている状態(すなわち、複合体モデル)において、ホイールモデル100のリム中央101bに位置するシェル要素SHには、ホイールのリム中央からホイールのリム外側面までの距離(d1)などが対応付けられていることが好ましい。
このような変更例2に係るホイールモデル100を備えた複合体モデル解析装置200、複合体モデル解析方法及び複合体モデル解析プログラムによれば、ホイール全体をシェル要素でモデル化された複合体モデルや、ホイール全体をソリッド要素でモデル化された複合体モデルが用いられた複合体モデル解析装置に比べ、解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができる。
具体的には、ホイールのリム部の厚さと、リム中央と、リム中央からリム外側面までの距離とを少なくとも用いて算出される曲げ剛性などが対応付けられたシェル要素がホイールモデルの接触面の少なくとも一方に位置することにより、タイヤとホイールとの接触等を精度良く解析することができる。
また、ホイールのリム中央からリム外側面までの距離(d1)などが対応付けられたシェル要素がホイールモデルのリム中央に位置することにより、曲げ変形や固有振動数等を精度よく解析することができる。
[その他の実施形態]
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。
具体的には、上述した実施形態では、数値解析手法として有限要素(FEM)を用いるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、境界要素法や差分法、有限体積法などを用いてもよい。
また、上述した実施形態では、タイヤモデル10とホイールモデル100との複合体である複合体モデル1の解析を行うものとして説明したが、これに限定されるものではなく、ホイールモデル100に関する解析のみを行うことも可能である。
この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、比較例及び実施例に係る複合体モデルを用いて行ったシミュレーションについて説明する。以下において、比較例及び実施例に係る複合体モデルの固有振動数及び数値解析に掛かる時間(以下、解析時間)について説明する。
なお、本実施例に関するデータは、以下に示す条件において測定されたものである。
・ タイヤモデルサイズ : PSR195/65R15
・ ホイールモデルサイズ : 6JJ×15
・ 内圧 : 200kPa
・ 荷重 : 4.0kN
比較例1に係る複合体モデルを構成するホイールモデルでは、図10に示すように、当該ホイールモデル100全体(リム部101及びディスク部102)が1次要素のソリッド要素SO1でモデル化されている。また、比較例2に係る複合体モデルを構成するホイールモデルでは、図11に示すように、当該ホイールモデル100全体(リム部101及びディスク部102)が2次要素のソリッド要素SO2でモデル化されている。
・ ホイールモデルサイズ : 6JJ×15
・ 内圧 : 200kPa
・ 荷重 : 4.0kN
比較例1に係る複合体モデルを構成するホイールモデルでは、図10に示すように、当該ホイールモデル100全体(リム部101及びディスク部102)が1次要素のソリッド要素SO1でモデル化されている。また、比較例2に係る複合体モデルを構成するホイールモデルでは、図11に示すように、当該ホイールモデル100全体(リム部101及びディスク部102)が2次要素のソリッド要素SO2でモデル化されている。
実施例1に係る複合体モデルを構成するホイールモデルでは、当該ホイールモデル100のリム外側面101aの少なくとも一部がシェル要素SHでモデル化されており、ディスク部102がソリッド要素SOでモデル化されている(図5参照)。また、実施例2に係る複合体モデルを構成するホイールモデルでは、当該ホイールモデル100のリム中央101bの少なくとも一部がシェル要素SHでモデル化されており、ディスク部102がソリッド要素SOでモデル化されている(図8参照)。
この比較例及び実施例に係る複合体モデルの固有振動数及び解析時間の結果を表1に示す。
<固有振動数>
実際のタイヤと実際のホイールとの複合体において、リム部の曲げ変形が発生する固有振動数を“100”とし、比較例1,2及び実施例1,2に係る複合体モデルの固有振動数を指数表示した。この結果、実施例1,2に係る複合体モデルは、実施例1に係る複合体モデルに比べ、精度良く解析することができると分かった。
実際のタイヤと実際のホイールとの複合体において、リム部の曲げ変形が発生する固有振動数を“100”とし、比較例1,2及び実施例1,2に係る複合体モデルの固有振動数を指数表示した。この結果、実施例1,2に係る複合体モデルは、実施例1に係る複合体モデルに比べ、精度良く解析することができると分かった。
<解析時間>
比較例1に係る複合体モデルの解析時間を“100”とし、比較例2及び実施例1,2に係る複合体モデルの解析時間を指数表示した。この結果、実施例1,2に係る複合体モデルは、比較例1,2に係る複合体モデルと比べ、数値解析に係る時間が短縮することができると分かった。
比較例1に係る複合体モデルの解析時間を“100”とし、比較例2及び実施例1,2に係る複合体モデルの解析時間を指数表示した。この結果、実施例1,2に係る複合体モデルは、比較例1,2に係る複合体モデルと比べ、数値解析に係る時間が短縮することができると分かった。
このように、複合体モデルの解析精度を確保しつつ、数値計算に掛かる時間を短縮することができる複合体モデル解析装置、複合体モデル解析方法及び複合体モデル解析プログラムを提供することができると分かった。
1…複合体モデル、10…タイヤモデル、11…トレッドモデル、100…ホイールモデル、101…リム部、101a…リム外側面、101b…リム中央、101c…リム接触面、102…ディスク部、103…ボルト孔、200…複合体モデル解析装置、211…入力部、212…処理部、212a…各種情報設定部、212b…タイヤモデル作成部、212c…ホイールモデル作成部、212d…複合体モデル作成部、212e…境界条件設定部、212f…性能解析部、212g…結果出力部、213…記憶部、214…表示部、215…プログラム保持部、E1,E2…要素、SH…シェル要素、SO,SO1,SO2…ソリッド要素
Claims (12)
- タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成手段と、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成するホイールモデル作成手段と、前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する性能解析手段とを備える複合体モデル解析装置であって、
ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面に対応する前記ホイールモデルのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面の少なくとも一部は、シェル要素によりモデル化され、
前記ホイールの前記ディスク部に対応する前記ホイールモデルのディスク部は、ソリッド要素によりモデル化されていることを特徴とする複合体モデル解析装置。 - 前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとが複合されている状態において、前記ホイールモデルの前記リム外側面の少なくとも一部に位置する前記シェル要素には、前記ホイールの前記リム部の厚さと、前記ホイールのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央と、前記リム中央から前記リム外側面までの距離とを少なくとも用いて算出される曲げ剛性が対応付けられていることを特徴とする請求項1に記載の複合体モデル解析装置。
- タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成手段と、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成するホイールモデル作成手段と、前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する性能解析手段とを備える複合体モデル解析装置であって、
ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央に対応する前記ホイールモデルのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央の少なくとも一部は、シェル要素によりモデル化され、
前記ホイールの前記ディスク部に対応する前記ホイールモデルのディスク部は、ソリッド要素によりモデル化されていることを特徴とする複合体モデル解析装置。 - 前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとが複合されている状態において、前記ホイールモデルの前記リム中央の少なくとも一部に位置する前記シェル要素には、前記ホイールの前記リム中央から、前記ホイールの前記リム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面までの距離が対応付けられていることを特徴とする請求項3に記載の複合体モデル解析装置。
- タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成手段と、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成するホイールモデル作成手段と、前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する性能解析手段とを備える複合体モデル解析装置であって、
ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム部と前記タイヤとが接する面であるリム接触面に対応する前記ホイールモデルの前記リム部と前記タイヤモデルとが接する面であるリム接触面の少なくとも一方は、シェル要素によりモデル化され、
前記ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム接触面以外の前記リム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央に対応する前記ホイールモデルの前記リム接触面以外の前記リム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央の少なくとも一部は、前記シェル要素によりモデル化され、
前記ホイールの前記ディスク部に対応する前記ホイールモデルの前記ディスク部は、ソリッド要素によりモデル化されていることを特徴とする複合体モデル解析装置。 - 前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとが複合されている状態において、前記ホイールモデルの前記リム接触面の少なくとも一方に位置する前記シェル要素には、前記ホイールの前記リム部の厚さと、前記リム中央と、前記リム中央から前記リム外側面までの距離とを少なくとも用いて算出される曲げ剛性が対応付けられ、
前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとが複合されている状態において、前記ホイールモデルの前記リム中央に位置する前記シェル要素には、前記ホイールの前記リム中央から前記リム外側面までの距離が対応付けられていることを特徴とする請求項5に記載の複合体モデル解析装置。 - タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するステップAと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成するステップBと、前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析するステップCとを少なくとも含む複合体モデル解析方法であって、
前記ステップBでは、
ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面に対応する前記ホイールモデルのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面の少なくとも一部を、シェル要素によりモデル化し、
前記ホイールの前記ディスク部に対応する前記ホイールモデルのディスク部を、ソリッド要素によりモデル化することを特徴とする複合体モデル解析方法。 - タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するステップAと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成するステップBと、前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析するステップCとを少なくとも含む複合体モデル解析方法であって、
前記ステップBでは、
ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央に対応する前記ホイールモデルのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央の少なくとも一部を、シェル要素によりモデル化し、
前記ホイールの前記ディスク部に対応する前記ホイールモデルのディスク部を、ソリッド要素によりモデル化することを特徴とする複合体モデル解析方法。 - タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するステップAと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成するステップBと、前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析するステップCとを少なくとも含む複合体モデル解析方法であって、
前記ステップBでは、
ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム部と前記タイヤとが接する面であるリム接触面に対応する前記ホイールモデルの前記リム部と前記タイヤモデルとが接する面であるリム接触面の少なくとも一方を、シェル要素によりモデル化し、
前記ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム接触面以外の前記リム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央に対応する前記ホイールモデルの前記リム接触面以外の前記リム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央の少なくとも一部を、前記シェル要素によりモデル化し、
前記ホイールの前記ディスク部に対応する前記ホイールモデルの前記ディスク部を、ソリッド要素によりモデル化することを特徴とする複合体モデル解析方法。 - タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成する手順Aと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成する手順Bと、前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する手順Cとを少なくとも実行させる複合体モデル解析プログラムであって、
前記手順Bでは、
ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面に対応する前記ホイールモデルのリム部におけるホイール径方向外側の面であるリム外側面の少なくとも一部を、シェル要素によりモデル化する手順B−1と、
前記ホイールの前記ディスク部に対応する前記ホイールモデルのディスク部を、ソリッド要素によりモデル化する手順B−2とを含むことを特徴とする複合体モデル解析プログラム。 - タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成する手順Aと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成する手順Bと、前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する手順Cとを少なくとも実行させる複合体モデル解析プログラムであって、
前記手順Bでは、
ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央に対応する前記ホイールモデルのリム部の厚さ方向における中央の位置であるリム中央の少なくとも一部を、シェル要素によりモデル化する手順B−1と、
前記ホイールの前記ディスク部に対応する前記ホイールモデルのディスク部を、ソリッド要素によりモデル化する手順B−2とを含むことを特徴とする複合体モデル解析プログラム。 - タイヤを有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成する手順Aと、リム部とディスク部とによって構成されるホイールを有限個の要素でモデル化したホイールモデルを作成する手順Bと、前記タイヤモデルと前記ホイールモデルとの複合体である複合体モデルの性能を解析する手順Cとを少なくとも実行させる複合体モデル解析プログラムであって、
前記手順Bでは、
ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム部と前記タイヤとが接する面であるリム接触面に対応する前記ホイールモデルの前記リム部と前記タイヤモデルとが接する面であるリム接触面の少なくとも一方を、シェル要素によりモデル化する手順B−1と、
前記ホイール幅方向断面において、前記ホイールの前記リム接触面以外の前記リム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央に対応する前記ホイールモデルの前記リム接触面以外の前記リム部における厚さ方向の中央の位置であるリム中央の少なくとも一部を、前記シェル要素によりモデル化する手順B−2と、
前記ホイールの前記ディスク部に対応する前記ホイールモデルの前記ディスク部を、ソリッド要素によりモデル化する手順B−3とを含むことを特徴とする複合体モデル解析プログラム。
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JP2007102623A (ja) * | 2005-10-06 | 2007-04-19 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 回転体モデルの作成方法、回転体モデルの作成用コンピュータプログラム及びタイヤ/ホイール組立体の転動解析方法、並びにタイヤ/ホイール組立体の転動解析用コンピュータプログラム |
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JP2009116879A (ja) * | 2007-11-07 | 2009-05-28 | Bridgestone Sports Co Ltd | ゴルフボールの力学的挙動の解析方法およびゴルフボール |
-
2005
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