JP2007000996A - 構造体の製造方法、構造体、振動子および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造に要する時間の増大を防止しつつ、優れた特性を有する構造体を得ることができる構造体の製造方法、この製造方法によって製造された構造体、振動子、および、かかる振動子を備える電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の構造体の製造方法は、静電引力により駆動する可動部4を有する1つの単位構造体を形成し、その周囲を切断することにより構造体(マイクロレゾネータ1)を得るものであって、可動部4の少なくとも一部を覆うように、保護層6を形成し、保護層6により保護された状態で、切断を行って、構造体を得る。
【選択図】図7
【解決手段】本発明の構造体の製造方法は、静電引力により駆動する可動部4を有する1つの単位構造体を形成し、その周囲を切断することにより構造体(マイクロレゾネータ1)を得るものであって、可動部4の少なくとも一部を覆うように、保護層6を形成し、保護層6により保護された状態で、切断を行って、構造体を得る。
【選択図】図7
Description
本発明は、構造体の製造方法、構造体、振動子および電子機器に関するものである。
ある振動電流の周波数に同調して機械的に振動する振動子は、携帯電話等の通信機器用のバンドパスフィルター、基準クロック、振動式センサ等に応用されている。
このような振動子としては、シリコン基板に、半導体製造プロセスを利用したマイクロマシニング技術により、振動を発生するための構造(可動部を有する構造)を形成する方法が提案されている(特許文献1参照。)。
このような微小な構造体は、一般に、比較的大きなウエハ状の基板から作られる。例えば、ウエハ状の基板をエッチングによりパターンニングして、可動部を有する1つの単位構造体を形成した後、その周囲をレーザカッタやダイシングカッタなどにより切断して、個片化(チップ化)することにより、構造体を得る。
このような振動子としては、シリコン基板に、半導体製造プロセスを利用したマイクロマシニング技術により、振動を発生するための構造(可動部を有する構造)を形成する方法が提案されている(特許文献1参照。)。
このような微小な構造体は、一般に、比較的大きなウエハ状の基板から作られる。例えば、ウエハ状の基板をエッチングによりパターンニングして、可動部を有する1つの単位構造体を形成した後、その周囲をレーザカッタやダイシングカッタなどにより切断して、個片化(チップ化)することにより、構造体を得る。
しかし、エッチングの後に基板をレーザカッタやダイシングカッタなどにより切断するため、切断時に生じた切り屑などの不要物やダイシング時に用いる水が微細なパターンの可動部に付着して、得られる構造体の特性を低下させてしまう場合がある。また、その結果、構造体の製造の歩留まりが低下してしまう。
これを防止するために、仮に、チップ化した後に、各チップに対しエッチングを行うと、多数の微小なチップに対しそれぞれ処理を行わなければならず、取り扱い性が悪く、構造体の製造に長時間を要してしまう。
これを防止するために、仮に、チップ化した後に、各チップに対しエッチングを行うと、多数の微小なチップに対しそれぞれ処理を行わなければならず、取り扱い性が悪く、構造体の製造に長時間を要してしまう。
本発明の目的は、製造に要する時間の増大を防止しつつ、優れた特性を有する構造体を得ることができる構造体の製造方法、この製造方法によって製造された構造体、振動子、および、かかる振動子を備える電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の構造体の製造方法は、静電引力により駆動する可動部を有する1つの単位構造体を形成し、その周囲を切断することにより構造体を得る構造体の製造方法であって、
前記可動部の少なくとも一部を覆うように、保護層を形成し、
前記保護層により保護された状態で、前記切断を行って、前記構造体を得ることを特徴とする。
本発明の構造体の製造方法は、静電引力により駆動する可動部を有する1つの単位構造体を形成し、その周囲を切断することにより構造体を得る構造体の製造方法であって、
前記可動部の少なくとも一部を覆うように、保護層を形成し、
前記保護層により保護された状態で、前記切断を行って、前記構造体を得ることを特徴とする。
これにより、1つの単位構造体の周囲をダイシング等により切断(チップ化)する際に、可動部が保護層により保護されているので、切り屑等の不要物やダイシング時に用いる水が可動部に付着するのを防止することができる。また、可動部の形成後はチップ化の前に行われるので、取り扱い性に優れ、構造体の製造時間の長時間化を防止することができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記切断の前に、前記可動部の少なくとも一部を覆う第1のカバー層と、前記第1のカバー層を覆う第2のカバー層とを形成した後、前記第1のカバー層を除去することにより、前記可動部の駆動を許容するための空間を形成するとともに、前記第2のカバー層が前記保護層を構成することが好ましい。
これにより、切断後(チップ化後)に保護層を残したままとし、可動部の駆動時における汚れ等の付着を防止することができる。これにより、得られる構造体は、長期にわたり優れた特性を発揮することができる。
これにより、切断後(チップ化後)に保護層を残したままとし、可動部の駆動時における汚れ等の付着を防止することができる。これにより、得られる構造体は、長期にわたり優れた特性を発揮することができる。
本発明の構造体の製造方法では、第1の層、第2の層、第3の層の順でこれらが積層されてなる基体を用意し、
前記第1の層をエッチングにより前記可動部に対応する形状にパターンニングし、
前記第1のカバー層を形成し、
前記第2のカバー層を形成し、
前記第1のカバー層をエッチングにより除去して、残存する前記第2のカバー層を前記保護層とするとともに、前記第2の層の一部をエッチングにより除去して、前記可動部を形成し、
前記切断を行うことが好ましい。
これにより、比較的簡単に、構造体を得ることができる。
前記第1の層をエッチングにより前記可動部に対応する形状にパターンニングし、
前記第1のカバー層を形成し、
前記第2のカバー層を形成し、
前記第1のカバー層をエッチングにより除去して、残存する前記第2のカバー層を前記保護層とするとともに、前記第2の層の一部をエッチングにより除去して、前記可動部を形成し、
前記切断を行うことが好ましい。
これにより、比較的簡単に、構造体を得ることができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記第1のカバー層の除去の前に、前記第1のカバー層に通ずる通液部を形成し、前記通液部からエッチング液を流入することにより、前記第1のカバー層を除去することが好ましい。
これにより、比較的簡単に、切断時に保護層がその機能を損なわれるのを防止しつつ、可動部の駆動を許容するための空間を形成することができる。
これにより、比較的簡単に、切断時に保護層がその機能を損なわれるのを防止しつつ、可動部の駆動を許容するための空間を形成することができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記通液部は、前記第2のカバー層に形成されていることが好ましい。
これにより、より簡単に、通液部を形成することができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記通液部は、前記基体の前記第3の層に形成されていることが好ましい。
これにより、切断時に保護層の機能をより効果的に発揮させることができる。
これにより、より簡単に、通液部を形成することができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記通液部は、前記基体の前記第3の層に形成されていることが好ましい。
これにより、切断時に保護層の機能をより効果的に発揮させることができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記第1のカバー層を除去した後に、前記通液部を塞ぐように、前記基体に基板を接合する工程を有することが好ましい。
これにより、可動部を気密空間内に配することができる。そのため、得られる構造体の特性をより優れたものとすることができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記基板は、アルカリ金属イオンを含むガラスを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、基体の第3の層と基板とを陽極接合により簡単かつ強固に接合することができる。その結果、得られる構造体の信頼性をより高いものとすることができる。
これにより、可動部を気密空間内に配することができる。そのため、得られる構造体の特性をより優れたものとすることができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記基板は、アルカリ金属イオンを含むガラスを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、基体の第3の層と基板とを陽極接合により簡単かつ強固に接合することができる。その結果、得られる構造体の信頼性をより高いものとすることができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記第1のカバー層は、前記第2の層の一部の除去に用いるエッチングにより除去可能な材料で構成され、前記第1のカバー層の除去と前記第2の層の一部の除去とを同一のエッチング処理により行うことが好ましい。
これにより、製造工程の簡略化を図ることができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記第1のカバー層は、SOGを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、第1の層がシリコンを主材料として構成されている場合であっても、第1のカバー層の形成後に、熱処理により、可動部にリン分を拡散させて導電性を付与する(すなわち、低抵抗とする)ことができる。
これにより、製造工程の簡略化を図ることができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記第1のカバー層は、SOGを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、第1の層がシリコンを主材料として構成されている場合であっても、第1のカバー層の形成後に、熱処理により、可動部にリン分を拡散させて導電性を付与する(すなわち、低抵抗とする)ことができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記第2のカバー層は、シリコンを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、得られる構造体に保護層を残した状態とした場合に、保護層の耐久性を優れたものとすることができる。その結果、得られる構造体の特性を長期にわたり優れたものとすることができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記基体は、SOI基板であることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、高精度な構造体を得ることができる。
これにより、得られる構造体に保護層を残した状態とした場合に、保護層の耐久性を優れたものとすることができる。その結果、得られる構造体の特性を長期にわたり優れたものとすることができる。
本発明の構造体の製造方法では、前記基体は、SOI基板であることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、高精度な構造体を得ることができる。
本発明の構造体は、本発明の構造体の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
これにより、優れた特性を有する構造体を安価に提供することができる。
本発明の振動子は、本発明の構造体の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
これにより、優れた特性を有する振動子を安価に提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の振動子を備えることを特徴とする。
これにより、優れた特性を有する電子機器を安価に提供することができる。
これにより、優れた特性を有する構造体を安価に提供することができる。
本発明の振動子は、本発明の構造体の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
これにより、優れた特性を有する振動子を安価に提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の振動子を備えることを特徴とする。
これにより、優れた特性を有する電子機器を安価に提供することができる。
以下、本発明の構造体の製造方法、構造体、振動子および電子機器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
以下では、本発明の構造体の製造方法を用いて構造体として振動子を製造する場合を一例にして説明する。また、振動子の一例としてマイクロレゾネータを説明する。
以下では、本発明の構造体の製造方法を用いて構造体として振動子を製造する場合を一例にして説明する。また、振動子の一例としてマイクロレゾネータを説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の構造体の製造方法によって製造されたマイクロレゾネータを説明する。
図1および図2は、本発明の振動子をマイクロレゾネータに適用した場合の実施形態を示す平面図、図3は、図1および図2中のA−A線断面図、図4は、図1および図2中のB−B線断面図、図5は、図1および図2に示すマイクロレゾネータに備えられた支持部の形状を示す図である。なお、以下の説明では、図1および図2中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」、図3および図4中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
まず、本発明の構造体の製造方法によって製造されたマイクロレゾネータを説明する。
図1および図2は、本発明の振動子をマイクロレゾネータに適用した場合の実施形態を示す平面図、図3は、図1および図2中のA−A線断面図、図4は、図1および図2中のB−B線断面図、図5は、図1および図2に示すマイクロレゾネータに備えられた支持部の形状を示す図である。なお、以下の説明では、図1および図2中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」、図3および図4中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
図1ないし図4に示すマイクロレゾネータ1は、基部2と、この基部2に固定された一対の固定電極31、32と、固定電極31、32同士の間で振動可能に設けられた可動部4と、固定電極31、32および可動部4の一部を覆う保護層6とを有している。
可動部4は、各固定電極31、32にそれぞれ対向する可動電極41、42と、基部2に支持部51、52(図3ないし図5参照)を介して固定された固定部45、46と、各可動電極41、42と各固定部(アイランド部)45、46とを連結する梁部43、44とを有している。
可動部4は、各固定電極31、32にそれぞれ対向する可動電極41、42と、基部2に支持部51、52(図3ないし図5参照)を介して固定された固定部45、46と、各可動電極41、42と各固定部(アイランド部)45、46とを連結する梁部43、44とを有している。
各可動電極41、42は、それぞれ、複数の電極指411、421が並設された櫛歯形状をなしている。すなわち、可動部4は、互いに平行に延びて櫛歯状をなす複数の電極指411、421を有している。
一方、各固定電極31、32は、それぞれ、並設された電極指311、321と、固定部312、322とを有している。この固定部312、322の上面のうち、後述する保護層6との接合部に、例えばSiO2で構成された絶縁部(図示せず)が形成されている。これにより、可動部4と固定電極31、32とが保護層6によって短絡するのを防止することができる。
そして、各固定部312、322は、それぞれ、枠状の支持部53(図3ないし図5参照)を介して基部2に固定されている。なお、支持部53の形状は図示のものに限定されない。
一方、各固定電極31、32は、それぞれ、並設された電極指311、321と、固定部312、322とを有している。この固定部312、322の上面のうち、後述する保護層6との接合部に、例えばSiO2で構成された絶縁部(図示せず)が形成されている。これにより、可動部4と固定電極31、32とが保護層6によって短絡するのを防止することができる。
そして、各固定部312、322は、それぞれ、枠状の支持部53(図3ないし図5参照)を介して基部2に固定されている。なお、支持部53の形状は図示のものに限定されない。
固定電極31と可動電極41とは、電極指311と電極指411とが交互に位置するように、すなわち、互いに噛み合うようにして配置されている。また、固定電極32と可動電極42とも、固定電極31と可動電極41と同様に配置されている。
マイクロレゾネータ1では、これらの電極指311、321および411、421の幅、間隔、厚さ等を調整することにより、共振周波数等の特性を所望のものに設定することができる。
マイクロレゾネータ1では、これらの電極指311、321および411、421の幅、間隔、厚さ等を調整することにより、共振周波数等の特性を所望のものに設定することができる。
本実施形態では、可動部4を構成する各部のうち、各可動電極41、42および各梁部43、44が、また、各固定電極31、32を構成する各部のうち、各電極指311、321が、それぞれ、複数の帯状体を組み合わせたような形状をなしている。そして、これらの部分は、基部2から浮いた状態、すなわち、所定の距離(支持部51、52の厚さ)離間した状態となっている。
一方、可動部4を構成する各部のうち、各固定部45、46が、基部2に固定された状態となっている。この固定部45、46の上面のうち、後述する保護層6との接合部に、例えばSiO2で構成された絶縁部451、461が形成されている。これにより、可動部4と固定電極31、32とが保護層6によって短絡するのを防止することができる。
一方、可動部4を構成する各部のうち、各固定部45、46が、基部2に固定された状態となっている。この固定部45、46の上面のうち、後述する保護層6との接合部に、例えばSiO2で構成された絶縁部451、461が形成されている。これにより、可動部4と固定電極31、32とが保護層6によって短絡するのを防止することができる。
本発明にかかるマイクロレゾネータ1にあっては、図1ないし図4に示すように、可動部4の固定部45、46の一部および固定電極31、32の固定部312、322を露呈しつつ、可動部4および固定電極31、32を覆うように、保護層6が形成されている。
この保護層6は、可動部4の動作(振動)を許容するように、可動部4の電極指411、421および梁部43、44に対し間隔を隔てて設けられている。すなわち、この保護層6は、可動部4の駆動(振動)に際し、可動部4が外部からの悪影響を受けるのを防止する機能を有する。また、この保護層6には、後述する製造工程にて利用された複数の孔61が形成されている。なお、保護層6および孔61については、後に詳述する。
この保護層6は、可動部4の動作(振動)を許容するように、可動部4の電極指411、421および梁部43、44に対し間隔を隔てて設けられている。すなわち、この保護層6は、可動部4の駆動(振動)に際し、可動部4が外部からの悪影響を受けるのを防止する機能を有する。また、この保護層6には、後述する製造工程にて利用された複数の孔61が形成されている。なお、保護層6および孔61については、後に詳述する。
このようなマイクロレゾネータ1では、固定電極31と可動電極41との間に電圧を印加すると、両電極31、41間に静電引力が発生し、可動電極41が固定電極31に接近するように移動する。
一方、この固定電極31と可動電極41との間への電圧の印加を停止するとともに、固定電極32と可動電極42との間に電圧を印加すると、両電極32、42間に静電引力が発生し、可動電極42が固定電極32に向かって移動する。
このように、固定電極31と可動電極41との間、および、固定電極32と可動電極42との間に、交互に電圧を印加することにより、可動電極41、42が一定の周波数で往復動する。この周波数(振動周波数)は、可動電極41、42の合計質量と、梁部43、44のバネ定数で定まる変位に対する復元力によって定まる。
一方、この固定電極31と可動電極41との間への電圧の印加を停止するとともに、固定電極32と可動電極42との間に電圧を印加すると、両電極32、42間に静電引力が発生し、可動電極42が固定電極32に向かって移動する。
このように、固定電極31と可動電極41との間、および、固定電極32と可動電極42との間に、交互に電圧を印加することにより、可動電極41、42が一定の周波数で往復動する。この周波数(振動周波数)は、可動電極41、42の合計質量と、梁部43、44のバネ定数で定まる変位に対する復元力によって定まる。
<マイクロレゾネータの製造方法>
次に、図1ないし図4に示すマイクロレゾネータの製造方法の一例を説明する。
図6および図7は、それぞれ、図1ないし図4に示すマイクロレゾネータの製造方法を説明するための図である。なお、図6および図7は、図1および図2におけるB−B線断面図に対応する断面図である。
また、以下の説明では、図6および図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
次に、図1ないし図4に示すマイクロレゾネータの製造方法の一例を説明する。
図6および図7は、それぞれ、図1ないし図4に示すマイクロレゾネータの製造方法を説明するための図である。なお、図6および図7は、図1および図2におけるB−B線断面図に対応する断面図である。
また、以下の説明では、図6および図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
このマイクロレゾネータ1の製造方法は、[1]基体を用意する工程と、[2]この基体にエッチングにより可動部4に対応する形状のパターンニングを行う工程と、[3]第1のカバー層を形成する工程と、[4]第2のカバー層を形成する工程と、[5]第1のカバー層および前記第2の層の一部をエッチングにより除去する工程と、[6]ダイシングを行う工程とを有している。以下、各工程について、順次説明する。
[1]基体を用意する工程
まず、図6(a)に示すように、第1の層71、第2の層72、第3の層73がこの順で積層されてなる基体7を用意する。この基体7にあっては、第1の層71が後述する工程[2]でのエッチングによりエッチングされる層であり、第2の層72は工程[2]でのエッチングにより実質的にエッチングされない層である。
まず、図6(a)に示すように、第1の層71、第2の層72、第3の層73がこの順で積層されてなる基体7を用意する。この基体7にあっては、第1の層71が後述する工程[2]でのエッチングによりエッチングされる層であり、第2の層72は工程[2]でのエッチングにより実質的にエッチングされない層である。
この基体7を構成する各層のうち、第1の層71は、前述したマイクロレゾネータ1の可動部4および各固定電極31、32に、第2の層72は、各支持部51、52、53に加工される部分であり、第3の層73は、基部2となる部分である。
この基体7としては、各層71、72、73の組み合わせで各種のものが挙げられるが、特に、主としてSiで構成された第3の層73上に、主としてSiO2で構成された第2の層72と、主としてSiで構成された第1の層(活性層)71とがこの順で積層されてなるSOI基板が好適である。これにより、比較的簡単に、高精度な構造体(マイクロレゾネータ1)を得ることができる。
この基体7としては、各層71、72、73の組み合わせで各種のものが挙げられるが、特に、主としてSiで構成された第3の層73上に、主としてSiO2で構成された第2の層72と、主としてSiで構成された第1の層(活性層)71とがこの順で積層されてなるSOI基板が好適である。これにより、比較的簡単に、高精度な構造体(マイクロレゾネータ1)を得ることができる。
より具体的には、基体7としてSOI基板を用いることにより、第1の層71の厚さが比較的厚いものを作製することができるようになる。このため、形成される各電極指311、321、411、421の厚さを大きくすることができるので、各電極指311、321、411、421の断面積(長手方向に対して垂直な方向での面積)を大きくすることができる。これにより、マイクロレゾネータ1では、静電容量を大きくすることができ、その結果、印加電圧に対する可動部4の変位量を増大させることができる。
また、各電極指311、321、411、421の厚さを大きく設定することができるので、必要とする断面積を確保しつつ、その幅を小さくすることができる。これにより、各固定電極31、32、41、42の小型化、ひいては、マイクロレゾネータ1全体の小型化を図ることができる。
また、各電極指311、321、411、421の厚さを大きく設定することができるので、必要とする断面積を確保しつつ、その幅を小さくすることができる。これにより、各固定電極31、32、41、42の小型化、ひいては、マイクロレゾネータ1全体の小型化を図ることができる。
第1の層71の厚さ(平均)は、特に限定されないが、0.2〜100μm程度であるのが好ましく、20〜60μm程度であるのがより好ましい。第1の層71の厚さが薄過ぎると、第1の層71の構成材料等によっては、マイクロレゾネータ1において、可動部4の印加電圧に対する変位量を十分に大きくするのが困難となるおそれがあり、一方、第1の層71の厚さを前記上限値を超えて大きくしても、それ以上の効果の増大が期待できないばかりでなく、エッチングを深く垂直に行うことが難しくなる。
[2]可動部4に対応する形状のパターンニングを行う工程
次に、このような基体7の第1の層71上(第2の層72と反対側)のエッチング領域内に、例えばフォトリソグラフィー法等を用いてマスクを形成する。
なお、マスクとしては、レジスト材料で構成されるマスク(レジストマスク)に代えて、例えばAl等の金属材料で構成されるマスク(メタルマスク)を用いることもできる。
次に、このような基体7の第1の層71上(第2の層72と反対側)のエッチング領域内に、例えばフォトリソグラフィー法等を用いてマスクを形成する。
なお、マスクとしては、レジスト材料で構成されるマスク(レジストマスク)に代えて、例えばAl等の金属材料で構成されるマスク(メタルマスク)を用いることもできる。
そして、形成されたマスクを用いて、第1の層71に対して第1のエッチングを施す。これにより、第1の層71は、図6(b)に示すように、固定電極31および可動部4に対応した形状にパターニングされる。
なお、第2の層72は、この第1のエッチングにより実質的にエッチングされないものであり、第1のエッチングに際して、その侵攻を阻止するストップ層として機能する。
なお、第2の層72は、この第1のエッチングにより実質的にエッチングされないものであり、第1のエッチングに際して、その侵攻を阻止するストップ層として機能する。
第1のエッチングには、例えば、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチングのようなドライエッチング、ウェットエッチング等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ドライエッチング、特に、反応性イオンエッチングを用いるのが好適である。
第1のエッチングとしてドライエッチング(特に、反応性イオンエッチング)を用いることにより、第1の層71に対して異方性の高いエッチングを行うことができ、第1の層71のパターニングを寸法精度よく行うことができる。
そして、図6(c)に示すように、熱処理等により、絶縁部451、461を形成する。絶縁部451、461の形成は、省略してもよい。
本工程[2]により、第1の層71がパターニング(加工)され、可動部4、各固定電極31、32が形成される。
第1のエッチングとしてドライエッチング(特に、反応性イオンエッチング)を用いることにより、第1の層71に対して異方性の高いエッチングを行うことができ、第1の層71のパターニングを寸法精度よく行うことができる。
そして、図6(c)に示すように、熱処理等により、絶縁部451、461を形成する。絶縁部451、461の形成は、省略してもよい。
本工程[2]により、第1の層71がパターニング(加工)され、可動部4、各固定電極31、32が形成される。
[3]第1のカバー層を形成する工程
次に、図6(d)に示すように、パターンニングされた第1の層71A上を一様に覆うように膜8を形成した後、図6(e)に示すように、膜8の一部を除去して、保護層6の内部空間に対応する形状をなす第1のカバー層8Aを形成する。
膜8は、後述する工程[6]でのエッチングにより除去されるものである。したがって、膜8の構成材料としては、工程[6]でのエッチング(すなわち、第2の層72の一部の除去に用いるエッチング)により除去可能な材料が用いられる。
次に、図6(d)に示すように、パターンニングされた第1の層71A上を一様に覆うように膜8を形成した後、図6(e)に示すように、膜8の一部を除去して、保護層6の内部空間に対応する形状をなす第1のカバー層8Aを形成する。
膜8は、後述する工程[6]でのエッチングにより除去されるものである。したがって、膜8の構成材料としては、工程[6]でのエッチング(すなわち、第2の層72の一部の除去に用いるエッチング)により除去可能な材料が用いられる。
特に、膜8の構成材料としては、SOGを主材料とするものが好ましい。これにより、第1の層71がシリコンを主材料として構成されている場合であっても、第1のカバー層8Aの形成後に、熱処理により、可動部4等にリン分を拡散させて導電性を付与する(すなわち、低抵抗とする)ことができる。
この膜8の一部を除去する方法としては、特に限定されず、例えば、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチングのようなドライエッチング、ウェットエッチング等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この膜8の一部を除去する方法としては、特に限定されず、例えば、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチングのようなドライエッチング、ウェットエッチング等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[4]第2のカバー層を形成する工程
次に、図7(a)に示すように、第1のカバー層8Aを一様に覆うように膜9を形成した後、図7(b)に示すように、膜9の一部を除去して、保護層6の全体形状に対応した形状をなす膜9Aを形成する。そして、図7(c)に示すように、膜9Aの一部を除去して、通液部である孔61を有する保護層6(第2のカバー層)を形成する。
次に、図7(a)に示すように、第1のカバー層8Aを一様に覆うように膜9を形成した後、図7(b)に示すように、膜9の一部を除去して、保護層6の全体形状に対応した形状をなす膜9Aを形成する。そして、図7(c)に示すように、膜9Aの一部を除去して、通液部である孔61を有する保護層6(第2のカバー層)を形成する。
膜9の構成材料としては、特に限定されないが、後述する工程[6]でのエッチングにより実質的にエッチングされないものであるのが好ましい。特に、膜9の構成材料、すなわち第2のカバー層の構成材料は、シリコンを主材料として構成されているものが好ましい。これにより、得られる構造体(マイクロレゾネータ1)に保護層6を残した状態とした場合に、保護層6の耐久性を優れたものとすることができる。その結果、得られる構造体(マイクロレゾネータ1)の特性を長期にわたり優れたものとすることができる。
この膜9の一部を除去する方法および膜9Aの一部を除去する方法としては、特に限定されず、前述した膜8の一部を除去する方法と同様に、例えば、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチングのようなドライエッチング、ウェットエッチング等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[5]第1のカバー層および前記第2の層の一部をエッチング(第2のエッチング)により除去する工程
次に、前述したマスクを除去する。第2のエッチング工程に先立って、マスクを除去することにより、第2のエッチング工程において、ウェットエッチングを用いる場合には、マスク材料(レジスト材料や、金属材料)の溶解によるエッチング液の汚染を防止または抑制することができる。
このマスクの除去方法としては、例えば、マスクがレジスト材料で構成される場合には、レジスト剥離液、マスクが金属材料で構成される場合には、リン酸溶液のようなメタル剥離液等を用いることができる。
次に、前述したマスクを除去する。第2のエッチング工程に先立って、マスクを除去することにより、第2のエッチング工程において、ウェットエッチングを用いる場合には、マスク材料(レジスト材料や、金属材料)の溶解によるエッチング液の汚染を防止または抑制することができる。
このマスクの除去方法としては、例えば、マスクがレジスト材料で構成される場合には、レジスト剥離液、マスクが金属材料で構成される場合には、リン酸溶液のようなメタル剥離液等を用いることができる。
次に、通液部である孔61を通じてエッチング液を流入させることにより、図7(d)に示すように、第1のカバー層8Aと第2の層72の一部とを除去する。これにより、可動部4の駆動を許容するように空間が形成されて、可動部4が可動な状態となる。
すなわち、この第2のエッチングでは、第2の層72に対して、第1の層71が実質的にエッチングされず、第2の層72をエッチング可能なエッチングを施す。これにより、図7(d)に示すように、第2の層72の一部を除去して、支持部51、52を形成する。
すなわち、この第2のエッチングでは、第2の層72に対して、第1の層71が実質的にエッチングされず、第2の層72をエッチング可能なエッチングを施す。これにより、図7(d)に示すように、第2の層72の一部を除去して、支持部51、52を形成する。
この第2のエッチングには、例えば、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチングのようなドライエッチング、ウェットエッチング等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ウェットエッチングを用いるのが好適である。
これにより、通液部である孔61を通じてエッチングを行うことができる。
これにより、通液部である孔61を通じてエッチングを行うことができる。
第2のエッチングとしてウェットエッチングを用いることにより、第2の層72を等方的にエッチングすることができる。このため、マスク除去において加工されて残存する第1の層71直下の第2の層72も効率よく除去することができる。
このウェットエッチングに用いるエッチング液としては、例えばフッ酸等が挙げられる。
このようなエッチング液に基体7を浸漬すると、まず、残存する第1の層71(可動部4、各固定電極31、32)によって覆われていない第2の層72は、上面からエッチングが開始し、等方的にエッチングが進行する。
このウェットエッチングに用いるエッチング液としては、例えばフッ酸等が挙げられる。
このようなエッチング液に基体7を浸漬すると、まず、残存する第1の層71(可動部4、各固定電極31、32)によって覆われていない第2の層72は、上面からエッチングが開始し、等方的にエッチングが進行する。
次に、可動部4および各固定電極31、32の直下の第2の層72も、それぞれ、露出した側面側からエッチングが進行して、徐々に除去される。
そして、第2の層72が除去されていくことにより、第3の層73と第1の層71との間には、間隙が形成されていく。
ここで、固定部45、46は、それぞれ、平面視において、各可動電極41、42および各梁部43、44を構成する帯状体の面積(最大)より面積が大きく設定されている。このため、これらの面積の差により、固定部45、46以外の部分(各可動電極41、42および各梁部43、44)の直下の第2の層72がほぼ完全に除去された時点では、各固定部45、46の直下の第2の層72の一部が残存した状態となる。
このような時点(状態)で、第2のエッチングを終了すると、残存した第2の層72が支持部51、52となり、この支持部51、52を介して、可動部4は、各固定部45、46において第3の層73(基部2)に、それぞれ固定される。一方、可動部4の他の部分は、第3の層73から浮いた状態となる。
そして、第2の層72が除去されていくことにより、第3の層73と第1の層71との間には、間隙が形成されていく。
ここで、固定部45、46は、それぞれ、平面視において、各可動電極41、42および各梁部43、44を構成する帯状体の面積(最大)より面積が大きく設定されている。このため、これらの面積の差により、固定部45、46以外の部分(各可動電極41、42および各梁部43、44)の直下の第2の層72がほぼ完全に除去された時点では、各固定部45、46の直下の第2の層72の一部が残存した状態となる。
このような時点(状態)で、第2のエッチングを終了すると、残存した第2の層72が支持部51、52となり、この支持部51、52を介して、可動部4は、各固定部45、46において第3の層73(基部2)に、それぞれ固定される。一方、可動部4の他の部分は、第3の層73から浮いた状態となる。
[6]ダイシングを行う工程
次に、可動部4等を有する1つの単位構造体の周囲を切断(ダイシング)して、支持部53および基部2を形成する。
以上のような工程を経て、マイクロレゾネータ1が製造される。
次に、可動部4等を有する1つの単位構造体の周囲を切断(ダイシング)して、支持部53および基部2を形成する。
以上のような工程を経て、マイクロレゾネータ1が製造される。
以上説明したように、本実施形態にかかるマイクロレゾネータ1の製造方法では、静電引力により駆動する可動部4を有する1つの単位構造体を形成し、その周囲を切断することによりマイクロレゾネータ1を得る際に、可動部4の少なくとも一部を覆うように、保護層6を形成し、保護層6により保護された状態で、ダイシング(切断)を行って、マイクロレゾネータ1を得る。
これにより、1つの単位構造体の周囲をダイシング等により切断(チップ化)する際に、可動部4が保護層6により保護されているので、切り屑等の不要物やダイシング時に用いる水が可動部4に付着するのを防止することができる。また、可動部4の形成後はチップ化の前に行われるので、取り扱い性に優れ、構造体の製造時間の長時間化を防止することができる。
また、切断の前に、可動部4の少なくとも一部を覆う第1のカバー層8Aと、第1のカバー層8Aを覆う第2のカバー層(膜9、膜9A)とを形成した後、第1のカバー層8Aを除去することにより、可動部4の駆動を許容するための空間を形成するとともに、第2のカバー層が保護層6を構成する。
これにより、切断後(チップ化後)に保護層6を残したままとし、可動部4の駆動時においても汚れ等の付着を防止することができる。これにより、得られるマイクロレゾネータ1は、長期にわたり優れた特性を発揮することができる。
これにより、切断後(チップ化後)に保護層6を残したままとし、可動部4の駆動時においても汚れ等の付着を防止することができる。これにより、得られるマイクロレゾネータ1は、長期にわたり優れた特性を発揮することができる。
また、前述したような工程[1]〜[6]によりマイクロレゾネータ1を製造すると、比較的簡単に、マイクロレゾネータ1を得ることができる。
また、第1のカバー層8Aの除去の前に、第1のカバー層8Aに通ずる通液部として孔61を形成し、孔61からエッチング液を流入することにより、第1のカバー層8Aを除去する。
これにより、比較的簡単に、切断時に保護層6がその機能を損なわれるのを防止しつつ、可動部4の駆動を許容するための空間を形成することができる。
また、第1のカバー層8Aの除去の前に、第1のカバー層8Aに通ずる通液部として孔61を形成し、孔61からエッチング液を流入することにより、第1のカバー層8Aを除去する。
これにより、比較的簡単に、切断時に保護層6がその機能を損なわれるのを防止しつつ、可動部4の駆動を許容するための空間を形成することができる。
その際、通液部である孔61を第2のカバー層9Aに形成する、すなわち保護層6が孔61を有しているので、より簡単に、通液部を形成することができる。
また、第1のカバー層8Aは、第2の層72の一部の除去に用いるエッチングにより除去可能な材料で構成され、第1のカバー層8Aの除去と第2の層72の一部の除去とを同一のエッチング処理により行うので、製造工程の簡略化を図ることができる。
また、第1のカバー層8Aは、第2の層72の一部の除去に用いるエッチングにより除去可能な材料で構成され、第1のカバー層8Aの除去と第2の層72の一部の除去とを同一のエッチング処理により行うので、製造工程の簡略化を図ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の構造体の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明のマイクロレゾネータの第2実施形態を示す平面図、図9は、図8に示すマイクロレゾネータの基部の形状を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図8中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
以下、第2実施形態のマイクロレゾネータについて、前述した第1実施形態のマイクロレゾネータとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
次に、本発明の構造体の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明のマイクロレゾネータの第2実施形態を示す平面図、図9は、図8に示すマイクロレゾネータの基部の形状を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図8中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
以下、第2実施形態のマイクロレゾネータについて、前述した第1実施形態のマイクロレゾネータとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態のマイクロレゾネータ1Aの製造方法は、通液部の形成の仕方が異なる以外は、第1実施形態のマイクロレゾネータ1とほぼ同様である。
まず、本実施形態のマイクロレゾネータ1Aの構成について説明すると、マイクロレゾネータ1Aにあっては、基部2Aには開口部21が形成されており、その開口部21を塞ぐように、基板10が設けられているとともに、孔の形成されていない保護層6Aが設けられている。したがって、可動部4は、保護層6Aと基板10との間に形成された気密空間内に配されている。
これにより、マイクロレゾネータ1Aは、より優れた特性を有する。
このようなマイクロレゾネータ1Aを製造するに際しては、前述した第1実施形態のマイクロレゾネータ1の製造方法における図7(c)〜(e)に示す工程に代えて、図10(a)〜(d)に示す工程を行う。
まず、本実施形態のマイクロレゾネータ1Aの構成について説明すると、マイクロレゾネータ1Aにあっては、基部2Aには開口部21が形成されており、その開口部21を塞ぐように、基板10が設けられているとともに、孔の形成されていない保護層6Aが設けられている。したがって、可動部4は、保護層6Aと基板10との間に形成された気密空間内に配されている。
これにより、マイクロレゾネータ1Aは、より優れた特性を有する。
このようなマイクロレゾネータ1Aを製造するに際しては、前述した第1実施形態のマイクロレゾネータ1の製造方法における図7(c)〜(e)に示す工程に代えて、図10(a)〜(d)に示す工程を行う。
図10は、図8および図9に示すマイクロレゾネータ1Aの製造方法を説明するための図である。
具体的に説明すると、まず、図7(b)に示すような構造体の第3の層73の一部を除去して、図10(a)に示すように、通液部として開口部21を形成する。
開口部21の形成方法としては、特に限定されず、例えば、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチングのようなドライエッチング、ウェットエッチング等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的に説明すると、まず、図7(b)に示すような構造体の第3の層73の一部を除去して、図10(a)に示すように、通液部として開口部21を形成する。
開口部21の形成方法としては、特に限定されず、例えば、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチングのようなドライエッチング、ウェットエッチング等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
次に、通液部である開口部21を通じてエッチング液を流入させることにより、図10(b)に示すように、第1のカバー層8Aと第2の層72の一部とを除去する。これにより、可動部4の駆動を許容するように空間が形成されて、可動部4が可動な状態となる。
第1のカバー層8Aと第2の層72の一部とを除去には、前述した第2のエッチングと同様のものを用いることができる。
第1のカバー層8Aと第2の層72の一部とを除去には、前述した第2のエッチングと同様のものを用いることができる。
次に、図10(c)に示すように、開口部21の一端を塞ぐように、第3の層73に対し基板10Aを接合する。
基板10A(基板10)は、アルカリ金属イオンを含むガラスを主材料として構成されているのが好ましい。これにより、基体7の第3の層73と基板10Aとを陽極接合により簡単かつ強固に接合することができる。その結果、得られるマイクロレゾネータ1Aの信頼性をより高いものとすることができる。
基板10A(基板10)は、アルカリ金属イオンを含むガラスを主材料として構成されているのが好ましい。これにより、基体7の第3の層73と基板10Aとを陽極接合により簡単かつ強固に接合することができる。その結果、得られるマイクロレゾネータ1Aの信頼性をより高いものとすることができる。
その後、前述した工程[6]と同様に、ダイシングを行って、図10(d)に示すように、基板10が形成される。これにより、マイクロレゾネータ1Aが得られる。
このようなマイクロレゾネータ1Aの製造方法では、通液部として基体7の第3の層73に開口部21を形成するので、切断時に、孔の形成されていない保護層6Aにより可動部4の上方を保護するため、保護層の機能をより効果的に発揮させることができる。
このようなマイクロレゾネータ1Aの製造方法では、通液部として基体7の第3の層73に開口部21を形成するので、切断時に、孔の形成されていない保護層6Aにより可動部4の上方を保護するため、保護層の機能をより効果的に発揮させることができる。
また、第1のカバー層8Aを除去した後に、通液部である開口部21を塞ぐように、基体7に基板10Aを接合する工程を有するので、可動部4を気密空間内に配することができる。そのため、得られるマイクロレゾネータ1Aの特性をより優れたものとすることができる。
なお、マイクロレゾネータ1、1Aにおいて、各部の寸法、形状等は任意に変更することができる。
上述したようなマイクロレゾネータ1、1Aは、各種の電子機器に適用することができ、得られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。
なお、マイクロレゾネータ1、1Aにおいて、各部の寸法、形状等は任意に変更することができる。
上述したようなマイクロレゾネータ1、1Aは、各種の電子機器に適用することができ、得られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。
次に、このような電子機器(本発明の振動子を備える電子機器)について、図11〜図13に示す実施形態に基づき、詳細に説明する。
図11は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピュータ1100には、例えば、基準クロック、計時用クロック、無線機器の発振回路、フィルタ等として機能するマイクロレゾネータ1や、アンテナ1101が内蔵されている。
図11は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピュータ1100には、例えば、基準クロック、計時用クロック、無線機器の発振回路、フィルタ等として機能するマイクロレゾネータ1や、アンテナ1101が内蔵されている。
図12は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、アンテナ1201、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部が配置されている。
このような携帯電話機1200には、例えば、搬送波、検波用の発振回路、フィルタ、マイコン用クロック、計時用クロック等として機能するマイクロレゾネータ1が内蔵されている。
この図において、携帯電話機1200は、アンテナ1201、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部が配置されている。
このような携帯電話機1200には、例えば、搬送波、検波用の発振回路、フィルタ、マイコン用クロック、計時用クロック等として機能するマイクロレゾネータ1が内蔵されている。
図13は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリ1308に転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリ1308に格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
このようなディジタルスチルカメラ1300には、例えば、マイクロコンピュータ用クロック、計時用クロック等として機能するマイクロレゾネータ1が内蔵されている。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリ1308に格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
このようなディジタルスチルカメラ1300には、例えば、マイクロコンピュータ用クロック、計時用クロック等として機能するマイクロレゾネータ1が内蔵されている。
なお、本発明の電子機器は、図11のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図12の携帯電話機、図13のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ等に適用することができる。
以上、本発明の構造体の製造方法、構造体、振動子および電子機器について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の振動子は、マイクロレゾネータへの適用に限定されず、例えば、MEMS応用のセンサ(圧力、加速度、角速度、姿勢)等に適用することができる。
また、前述した実施形態では、製造工程後に保護層が残存させた形態について説明したが、製造工程時に保護層(第2のカバー層)を除去してもよい。その際、第2のカバー層を設けなくてもよい。また、第1のカバー層を保護層としてもよい。
例えば、本発明の振動子は、マイクロレゾネータへの適用に限定されず、例えば、MEMS応用のセンサ(圧力、加速度、角速度、姿勢)等に適用することができる。
また、前述した実施形態では、製造工程後に保護層が残存させた形態について説明したが、製造工程時に保護層(第2のカバー層)を除去してもよい。その際、第2のカバー層を設けなくてもよい。また、第1のカバー層を保護層としてもよい。
1、1A……マイクロレゾネータ 2、2A……基部 31、32……固定電極 311、321……電極指 312、322……固定部 4……可動部 41、42……可動電極 411、421……電極指 43、44……梁部 45、46……固定部 451、461……絶縁部 51、52、53……支持部 6、6A……保護層 61……孔(通液部) 7……基体 71……第1の層 72……第2の層 73……第3の層 8……膜 8A……第1のカバー層 9……膜 9A……第2のカバー層 10、10A……基板 1100‥‥パーソナルコンピュータ 1101‥‥アンテナ 1102‥‥キーボード 1104‥‥本体部 1106‥‥表示ユニット 1200‥‥携帯電話機 1201‥‥アンテナ 1202‥‥操作ボタン 1204‥‥受話口 1206‥‥送話口 1300‥‥ディジタルスチルカメラ 1302‥‥ケース(ボディー) 1304‥‥受光ユニット 1306‥‥シャッタボタン 1308‥‥メモリ 1312‥‥ビデオ信号出力端子 1314‥‥データ通信用の入出力端子 1430‥‥テレビモニタ 1440‥‥パーソナルコンピュータ
Claims (15)
- 静電引力により駆動する可動部を有する1つの単位構造体を形成し、その周囲を切断することにより構造体を得る構造体の製造方法であって、
前記可動部の少なくとも一部を覆うように、保護層を形成し、
前記保護層により保護された状態で、前記切断を行って、前記構造体を得ることを特徴とする構造体の製造方法。 - 前記切断の前に、前記可動部の少なくとも一部を覆う第1のカバー層と、前記第1のカバー層を覆う第2のカバー層とを形成した後、前記第1のカバー層を除去することにより、前記可動部の駆動を許容するための空間を形成するとともに、前記第2のカバー層が前記保護層を構成する請求項1に記載の構造体の製造方法。
- 第1の層、第2の層、第3の層の順でこれらが積層されてなる基体を用意し、
前記第1の層をエッチングにより前記可動部に対応する形状にパターンニングし、
前記第1のカバー層を形成し、
前記第2のカバー層を形成し、
前記第1のカバー層をエッチングにより除去して、残存する前記第2のカバー層を前記保護層とするとともに、前記第2の層の一部をエッチングにより除去して、前記可動部を形成し、
前記切断を行う請求項2に記載の構造体の製造方法。 - 前記第1のカバー層の除去の前に、前記第1のカバー層に通ずる通液部を形成し、前記通液部からエッチング液を流入することにより、前記第1のカバー層を除去する請求項2または3に記載の構造体の製造方法。
- 前記通液部は、前記第2のカバー層に形成されている請求項4に記載の構造体の製造方法。
- 前記通液部は、前記基体の前記第3の層に形成されている請求項4に記載の構造体の製造方法。
- 前記第1のカバー層を除去した後に、前記通液部を塞ぐように、前記基体に基板を接合する工程を有する請求項6に記載の構造体の製造方法。
- 前記基板は、アルカリ金属イオンを含むガラスを主材料として構成されている請求項7に記載の構造体の製造方法。
- 前記第1のカバー層は、前記第2の層の一部の除去に用いるエッチングにより除去可能な材料で構成され、前記第1のカバー層の除去と前記第2の層の一部の除去とを同一のエッチング処理により行う請求項3ないし8のいずれかに記載の構造体の製造方法。
- 前記第1のカバー層は、SOGを主材料として構成されている請求項9に記載の構造体の製造方法。
- 前記第2のカバー層は、シリコンを主材料として構成されている請求項3ないし10のいずれかに記載の構造体の製造方法。
- 前記基体は、SOI基板である請求項3ないし11のいずれかに記載の構造体の製造方法。
- 請求項1ないし12のいずれかに記載の構造体の製造方法によって製造されたことを特徴とする構造体。
- 請求項1ないし12のいずれかに記載の構造体の製造方法によって製造されたことを特徴とする振動子。
- 請求項14に記載の振動子を備えることを特徴とする電子機器。
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JP2005187192A JP2007000996A (ja) | 2005-06-27 | 2005-06-27 | 構造体の製造方法、構造体、振動子および電子機器 |
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TWI561337B (en) * | 2013-09-11 | 2016-12-11 | Hon Hai Prec Ind Co Ltd | Feeding mechanism and double-spindle machine using the same |
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2005
- 2005-06-27 JP JP2005187192A patent/JP2007000996A/ja active Pending
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