JP2007000929A - 半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物とその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも高温で半田付けが行われる場合、具体的には、例えば、鉛フリーのクリーム半田を用いてリフロー半田付けを行った場合であっても、高いフラックス這い上がり防止能を有する半田用フラックス這い上がり防止剤組成物の提供。
【解決手段】下記式(1)で示されるポリフルオロアルキル基を有するリン酸エステル化合物(A)と溶剤とを含む半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
【化1】
Figure 2007000929

ただし、式(1)において、R、R、R、M、mおよびlは以下の意味を示す。R:ポリフルオロアルキル基、または、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基。R:単結合または2価連結基。R:炭素数1〜5のアルキル基。M:水素原子、アンモニウム基、置換アンモニウム基またはアルカリ金属原子。m:1または2。l:0または1。ただし、m+l<3。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気接点を有する電子部品または電気接点を有するプリント基板等を半田付けする場合の前処理に用いられる組成物であって、半田用フラックスの這い上がりを防止する組成物に関する。また、本発明は前記組成物を用いた半田付け方法、および前記組成物からなる被膜を有する電子部品またはプリント基板、さらにこれらを用いた電気製品に関する。
プリント基板等に各種部品を半田付けする、またはICをICソケットに半田付けする場合、半田の接着性を向上させるために、予めプリント基板をフラックスで処理することが行われる。
しかし、一般に、フラックスは酸性成分を含み腐食性があるので、コネクタ、スイッチ、ボリューム、半固定抵抗等の電子部品の電気接点部分や、プリント基板における半田付けが不必要な部分には、フラックスが浸透したり付着するのを防ぐ必要がある。
特に、フラックスは、電子部品のスルーホール部分等において毛細管現象により這い上がり、電子部品の不要な部分に付着または浸透する性質を有しているので、これを防止する必要がある。
このようなフラックスの這い上がりの防止を目的として、従来からフラックス這い上がり防止剤組成物が使用されてきた。そして、具体的には、ポリフルオロアルキル基含有の重合体を含有する組成物が好ましく使用されてきた。
これは、従来において半田用フラックスは溶剤としてIPA(イソプロピルアルコール)を用いており、ポリフルオロアルキル基含有の重合体は撥IPA性能が高いからである。この撥IPA性能は従来からフラックス這い上がり防止性能の指標とされてきた。
このような従来のフラックス這い上がり防止剤の主なものとして、例えば、特許文献1に記載のポリフルオロアルキル基を含有する重合体を含むことを特徴する半田用フラックスの這上り防止剤が挙げられる。しかし、この特許文献1に記載の這上り防止剤は、HCFC(Hydrochlorofluorocarbon)等の有機溶剤中に分散又は溶解させて使用する。このHCFC等はオゾン層破壊物質であるので厳しく規制されている。
また、特許文献2には、特許文献1のようなオゾン層破壊物質を用いないフラックス這い上がり防止剤を提供することを目的とし、HFC(Hydrofluorocarbon)やHFE(Hydrofluoroether)などの代替フロンを溶剤として用いたフラックス這い上がり防止剤について記載されている。
また、特許文献3では、ポリフルオロアルキル基を含む重合体と水系媒体とを含むことを特徴とする半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物が提案されている(特許文献3参照)。
このように、従来からフラックス這い上がり防止剤組成物として、ポリフルオロアルキル基含有の重合体が好ましく使用されてきた。
ところで、近年、半田付け技術は大きく変化している。最近の処理技術としては、半田付け部品の小型化の流れもあり、プリント基板等の上にクリーム状の半田を印刷し、その上に表面実装部品を配置し、その後、赤外線や熱風加熱で半田を溶融して半田付けをするリフロー半田付けが主流になっている。
このようなリフロー半田付けにおいて、フラックス這い上がり防止剤組成物は、従来のフロー半田付けを適用する場合と比較して、より高温度下に曝される。
さらに、半田自体も大きく変化しており、環境への配慮から鉛フリー半田が主流となりつつある。鉛フリー半田の融点は、従来の半田の溶融温度(183℃)に対し、約35℃も高温である。
従って、鉛フリー半田を用いた半田付けにおいて、フラックス這い上がり防止剤組成物は、従来の半田を用いた場合と比較して、より高温度下に曝される。
特開昭60−049859号公報 特開平10−303536号公報 特開2001−135926号公報
このように、近年の半田付け技術および半田自体の変化により、フラックス這い上がり防止剤組成物は、従来よりも高温での這い上がり防止能が必要とされるようになってきた。
しかしながら、特許文献1〜3に代表される従来のポリフルオロアルキル基含有の重合体を含有するフラックス這い上がり防止剤は、高温において這い上がり防止能が低下してしまい、要求する性能を満たさないことを、本発明者は見出した。
また、近年、主流となっているリフロー半田付けでは、クリーム半田用フラックスの溶剤としてIPAはほとんど使用されなくなった。
従って、従来、指標とされてきた撥IPA性は、半田用フラックス這い上がり防止性能の指標にはなりえなくなっており、この指標が優れているポリフルオロアルキル基含有の重合体は、必ずしも有効ではなくなってきた。
従って、本発明の目的は、従来よりも高温で半田付けが行われる場合、具体的には、例えば、鉛フリーのクリーム半田を用いてリフロー半田付けを行った場合であっても、高いフラックス這い上がり防止能を有する半田用フラックス這い上がり防止剤組成物を提供することにある。
また、例えば特許文献3に記載の、溶剤として水系媒体を用いた従来のフラックス這い上がり防止剤組成物は、オゾン層破壊、地球温暖化の心配がなく、さらに引火性を有しないが、濡れ性に大きな課題をもっていた。
従って、本発明の目的は、さらに濡れ性を改善した半田用フラックス這い上がり防止剤組成物を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、本発明のフラックス這い上がり防止剤組成物からなる被膜を形成した電子部品やプリント基板の半田付け方法、および、前記電子部品やプリント基板を提供することにある。
本発明者は、従来よりも高温で半田付けした場合であってもフラックス這い上がり防止能が低下せず、高いフラックス這い上がり防止能を有する半田用フラックス這い上がり防止剤組成物について研究した。そして、特定の構造を有するポリフルオロアルキル基を有するリン酸エステル化合物を含む組成物が、上記の課題を解決することを見出した。
すなわち、本発明は、以下の(a)〜(k)である。
(a)下記式(1)で示されるポリフルオロアルキル基を有するリン酸エステル化合物(A)と溶剤とを含む半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
Figure 2007000929
ただし、式(1)において、R、R、R、M、mおよびlは以下の意味を示す。
:ポリフルオロアルキル基、または、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基。
:単結合または2価連結基。
:炭素数1〜5のアルキル基。
M:水素原子、アンモニウム基、置換アンモニウム基またはアルカリ金属原子。
m:1または2。
l:0または1。ただし、m+l<3
(b)前記溶剤が水系媒体(B)および/またはフッ素系溶剤である上記(a)に記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
(c)不引火性を具備する上記(a)または(b)に記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
なお、本発明において「不引火」とは、消防法危険物第4類の危険物判定の際に使用される、引火点の測定方法に沿った測定により、引火点が確認されないことを指す。
(d)表面張力が40mN/m以下である上記(a)〜(c)のいずれかに記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
(e)表面実装(リフロー)による半田付けに使用される半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物である上記(a)〜(d)のいずれかに記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
(f)鉛フリー半田による半田付けに使用される半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物である上記(a)〜(e)のいずれかに記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
(g)電子部品またはプリント基板の表面の一部または全部に、上記(a)〜(f)のいずれかに記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物からなる被膜を形成した後、半田付けする電子部品またはプリント基板の半田付け方法。
(h)クリーム半田を用いて半田付けする上記(g)に記載の電子部品またはプリント基板の半田付け方法。
(i)上記(a)〜(f)のいずれかに記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物からなる被膜を有する、半田用フラックス這い上がり防止性能を具備する電子部品またはプリント基板。
(j)上記(i)に記載の電子部品またはプリント基板を半田付けした電気製品。
(k)クリーム半田を用いて半田付けした上記(j)に記載の電気製品。
本発明の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物は、従来よりも高温で半田付けが行われる場合、具体的には、例えば、鉛フリーのクリーム半田を用いてリフロー半田付けを行った場合であっても、高いフラックス這い上がり防止能を有する。
また、本発明の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物においては、用いる溶剤が水系媒体であることが好ましい。このような場合、オゾン層破壊、地球温暖化の心配がなく、不引火性を具備するという効果を奏する。
また、本発明の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物においては、用いる溶剤がフッ素系溶剤であることも好ましい。このような場合、低濃度でも安定した性能を示しやすく、複雑な形状の部品においても本組成物が隅々まで浸透させることが容易で、処理後の乾燥性にも優れる、という効果を奏する。
また、本発明の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物においては、表面張力が40mN/m以下であることが好ましい。このような場合、さらに濡れ性を改善するという効果を奏する。
本発明は、下記式(1)で示されるポリフルオロアルキル基を有するリン酸エステル化合物(A)と溶剤とを含む半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物である。
Figure 2007000929
ただし、式(1)において、R、R、R、M、mおよびlは以下の意味を示す。
:ポリフルオロアルキル基、または、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基。
:単結合または2価連結基。
:炭素数1〜5のアルキル基。
M:水素原子、アンモニウム基、置換アンモニウム基またはアルカリ金属原子。
m:1または2。
l:0または1。ただし、m+l<3
このような半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物を、以下では「本発明の組成物」ともいう。
また、本発明の組成物は、上記式(1)で示されるポリフルオロアルキル基を有するリン酸エステル化合物(A)をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて含むことができる。その場合であっても、その組成物は本発明の範囲内である。
まず、式(1)で示されるポリフルオロアルキル基を有するリン酸エステル化合物(A)(以下、「含フッ素化合物(A)」ともいう)について説明する。
式(1)において、Rはポリフルオロアルキル基、または、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基を意味する。
以下、このポリフルオロアルキル基および炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基を総称して「R基」と記すことがある。
また、以下において、この炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基を「エーテル性酸素原子を含むR基」と記し、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されていないポリフルオロアルキル基を「エーテル性酸素原子を含まないR基」と記すことがある。
従って、「R基」は「エーテル性酸素原子を含むR基」と、「エーテル性酸素原子を含まないR基」との総称でもある。
このようなR基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基である。
さらに、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル基を「R基」と記すことがある。単にR基と記すときには、R基が含まれる。
このようなR基は、R基であることが好ましい。この場合、本発明の組成物を電子部品やプリント基板等(以下、「処理物」ともいう)の表面に塗布して形成された被膜表面(処理物の表面に形成された本発明の組成物からなる被膜の表面)の表面張力がより低くなることにより、本発明の組成物のフラックス這い上がり防止能がより高くなるからである。
また、R基のパッキングを良くするために構造的により高い剛直性を必要とする場合には、R基はエーテル性酸素原子を含まないR基であることが好ましく、エーテル性の酸素原子を含まないR基であることがさらに好ましい。
また、R基の炭素数は1〜20であり、4〜14が好ましく、6〜12がより好ましい。R基は、直鎖構造または分岐構造のいずれであってもよいが、直鎖構造が好ましい。
基の炭素数がこのような範囲であると、本発明の組成物は、処理物に塗布され被膜を形成した際に、フルオロアルキル基に由来する結晶構造を形成するため、より高い這い上がり防止性能を発揮することができる。
一般的に、水や油などに対するR基の動的接触角の挙動については、前進接触角は、R基の炭素数が大きくなるに従い大きくなり、炭素数4以上でほぼ一定となる。また、後退接触角は、R基の炭素数が6までは、ほとんど変わらず、炭素数7以上になって大きくなり始め、炭素数10のときに最大になる事が知られている。フラックス這い上がり防止についても類似の作用が及ぶものと、本発明者は推測する。
また、R基が分岐構造である場合には、R基の配向性の面から、分岐部分がR基の末端部分に存在し、かつ、側鎖の炭素数が1〜3程度の短鎖であることが好ましい。
一方、R基がR基である場合には、R基の配向性の面から、F(CF2n−[nは6〜12の整数]で表される直鎖構造が好ましい。
また、R基は末端部分に塩素原子が存在してもよい。R基の末端部分の構造としては、例えば、CF3CF2−、CF3−、CF2Cl−、(CF32CF−等の構造が挙げられる。
エーテル性酸素原子を含まないR基の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、以下の具体例中には、構造異性の基に相当する基も含まれる。具体例としては、例えば、C25−、C37−[F(CF23−、および(CF32CF−の両者を含む]、C49−[F(CF24−、(CF32CFCF2−、(CF33C−、F(CF22CF(CF3)−を含む]、C511−[F(CF25−、(CF32CF(CF22−、(CF33CCF2−、F(CF22CF(CF3)CF2−等の構造異性の基を含む]、C613−[F(CF23C(CF32−等の構造異性の基を含む]、C817−、C1021−、C1225−、C1531−、HCt2t−(tは1〜18の整数)、(CF32CFCs2s−(sは1〜15の整数)が挙げられる。
エーテル性酸素原子を含むR基としては、オキシポリフルオロエチレン、オキシポリフルオロプロピレン等のオキシポリフルオロアルキレン部分を有するR基が挙げられる。
また、より具体的には以下のものが例示できるが、これらに限定されるものではない。なお、以下の具体例中には、構造異性の基に相当する基も含まれる。具体例としては、例えば、F(CF25OCF(CF3)−、F[CF(CF3)CF2O]CF(CF3)CF2CF2−、F[CF(CF3)CF2O]CF(CF3)−、F[CF(CF3)CF2O]uCF2CF2−、F(CF2CF2CF2O)vCF2CF2−、F(CF2CF2O)wCF2CF2−(qおよびrは、それぞれ独立に1〜10の整数であり、1〜3の整数が好ましい。uは2〜6の整数である。vは1〜11の整数であり、1〜4の整数が好ましい。wは1〜11の整数であり、1〜6の整数が好ましい。)が挙げられる。
上記式(1)において、Rは単結合または2価連結基である。
式中のRの例としては以下のものが挙げられるが、単結合、2価の原子または2価の連結基であれば適宜選択可能であり、以下の例示に限定されるものではない。
としては、例えば、−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−N(O)=N−、−COO−、−COS−、−CONR−、−SONR−、-COCH2−、−CH2CH2−、−CH2−、−CH2CH2O−、−CH2O−、−CH2NH−、−CH2−、−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−CO−、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基やアルケニレン基、アルキレンオキシ基、2価の4、5、6または7員環置換基、またそれら構成される縮合置換基、6員環芳香族基、4、5、6員環の飽和または不飽和の脂肪族基、5または6員環複素環基、またはそれらの縮合環や、これら2価の連結基の組み合わせから構成される基が挙げられる。なお、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を意味する。
また、Rは、後述する水系媒体(B)への溶解性を上げるために、親水性の高い構造を含んでいても構わない。中でも水系媒体(B)へ溶解させたときに、低い表面張力を発現することから、「−CH2CH(OH)CH2−」がより好ましい。
このようなR、および前述のR基は、上記式(1)に示したように「R−R−O」のように結合し、酸素原子を介してリン原子に結合している。そして、この「R−R−O」がリン原子に結合している数がmであり、mは1または2である。
上記式(1)においてRは、炭素数1〜5の1価のアルキル基である。
つまり、式中のRはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、またはペンチル基である。
このようなRは、上記式(1)に示したように「R−O」のように結合し、酸素原子を介してリン原子に結合している。そして、この「R−O」がリン原子に結合している数がlであり、lは0または1である。ただし、m+l<3であるので、上記のmが2であれば、l=0である。なお、l=0とは、上記式(1)に「R−O」がないことを意味する。
上記式(1)においてMは、水素原子、アンモニウム基、置換アンモニウム基またはアルカリ金属原子(ナトリウム原子、リチウム原子など)である。Mは水素が好ましい。水酸基が金属表面に吸着し、フラックス這い上がり防止性能が向上すると考えられるからである。
このようなMは、上記式(1)に示したように「M−O」のように結合し、酸素原子を介してリン原子に結合している。そして、この「M−O」がリン原子に結合している数が3−m−lである。
このような上記式(1)で示されるR基を有するリン酸エステル化合物(A)(含フッ素化合物(A))の具体例を表1に示すが、本発明の組成物に含有される含フッ素化合物(A)は、これらに限定されるものではない。また、以下の具体例中には、構造異性の基に相当する基も含まれる。なお、表1中のRfはC2n+1−(nは6〜12の整数)を意味する。
Figure 2007000929
なかでも、フラックスの這い上がり防止性能により優れるという観点から、リン酸エステル化合物(A)は、RfCHCHO−P(O)(OH)のジエタノールアミン塩、C817CHCH(OH)CHO−P(O)(OH)2および[C817CHCH(OH)CHO]2−P(O)(OH)からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
リン酸エステル化合物(A)は、その製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明の組成物は、上記の含フッ素化合物(A)と溶剤とを含む半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物である。
次に、溶剤について説明する。
本発明の組成物に含有される溶剤は、特に限定されず、上記の含フッ素化合物(A)を均一に溶解、または分散させる溶剤であればよい。たとえば、水系媒体(B)、フッ素系溶剤、極性の高い有機溶剤が挙げられる。
本発明の組成物において、溶剤は、水系媒体(B)および/またはフッ素系溶剤であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
フッ素系溶剤および極性の高い有機溶剤は、特に制限されない。具体的には、例えば、表2に示すような溶剤が使用可能であるが、これに限定されるものではない。また、これらの溶剤を複数混合して使用することも可能である。
Figure 2007000929
表2中、n、mは、それぞれ独立に1〜20の整数である。
使用される溶剤がフッ素系溶剤の場合、リン酸エステル化合物(A)が低濃度でも安定した性能を示しやすいため好適である。
また、溶剤がフッ素系溶剤の場合、溶剤自体の表面張力が非常に低く、複雑な形状の部品においても、本組成物が隅々まで浸透させることが容易である。また、フッ素系溶剤は揮発性が高く、処理後の乾燥性にも優れる。
また、本発明の組成物に使用される溶剤は、オゾン層破壊、地球温暖化の心配がなく、さらに不引火性を具備するという観点から、水系媒体(B)であるのが好ましい。
水系媒体(B)としては、水、または水に水溶性有機溶剤(C)を含ませたものが挙げられる。また、水系媒体(B)中は、水溶性有機溶剤(C)を2種類以上含んでいてもよい。
水溶性有機溶剤(C)としては、ケトン類、エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類、アルコール類等が挙げられ、なかでもケトン類、グリコール類、グリコールエーテル類、アルコール類が好ましく、アセトンやイソプロピルアルコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが例示されるが、これに限定されず、上記の含フッ素化合物(A)を均一に溶解、または分散させるものであればよい。
また、水系媒体(B)中への水溶性有機溶剤(C)の添加量を下げ、水の比率を高めれば、不引火性を具備し、使用時の安全性が非常に優れた本発明の組成物を得ることができる。
このような不引火性を具備する本発明の組成物を得るための水溶性有機溶剤(C)の添加量は、水溶性有機溶剤(C)の種類により異なる。例えば、アセトンやエタノールなどでは、5質量%含有していても不引火性を具備しないが、これらの水溶性有機溶剤でも添加量を1質量%以下に抑えることで、不引火性を具備する本発明の組成物を得ることができる。
本発明の組成物において、前述の含フッ素化合物(A)は、組成物中の0.001〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることが好ましい。この範囲内であると、フラックス這い上がり防止剤としての効果を充分に発揮するとともに、接触抵抗や処理ムラなども生じにくいため好ましい。
本発明の組成物において、前述の溶剤、つまりフッ素系溶剤や水系媒体(B)は、組成物中に90質量%以上含まれることが好ましく、特に95質量%以上含まれることが好ましく、更に好ましくは99質量%以上含まれることが好ましい。溶剤がこの範囲であると、塗布などの部品への処理が容易となる。
また、本発明の組成物は、表面張力が40mN/m以下であることが好ましい。
従来、フラックス這い上がり防止剤は、リード線の部分に処理に用いられてきたが、近年は部品の小型化により部品全体が処理される場合がほとんどである。そのため、小型な複雑な部品処理するために、処理液の濡れ性は非常に重要な要素である。
また、電子部品は主にプラスチック等を主材としており、一般的なプラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等)の固体の表面張力は40mN/m超である。
従って、半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物の表面張力は40mN/m以下であることが好ましい。
また、本発明の組成物は、塗布などの部品への処理性の容易性の観点から、動粘性率が1×10−3m/s以下であることが好ましい。
本発明の組成物には、溶解または分散安定性、這い上がり防止性能、基材への濡れ性、または外観等に悪影響を与えない範囲で、上述した以外の他の成分を含めても良い。
このような他の成分としては、具体的には、処理物の被塗布面の腐食を防止するためのpH調整剤、防錆剤や、本発明の組成物の表面張力を低下させるための界面活性剤、本発明の組成物を希釈して使用する場合に組成物中の重合体の濃度管理をする目的や未処理部品との区別をするための染料、およびこの染料の安定剤を加えてもよい。さらに、難燃剤、消泡剤、または帯電防止剤等も挙げられる。
本発明の組成物は、その製造について特に制限されない。例えば、リン酸エステル化合物(A)と溶剤とを上述の量比で混合することによって製造することができる。リン酸エステル化合物(A)と溶剤との混合は特に制限されない。
本発明の組成物は、その用途について、半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物として使用されるものであれば特に制限されない。
特に、本発明の組成物は、表面実装技術に対応可能なものである。つまり、表面実装による半田付けに使用可能な半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。従来のフラックス這い上がり防止剤組成物では対応困難であったリフロー半田付けに対して、高い性能を発揮するものである。
また、本発明の組成物は、鉛フリー半田用または表面実装用フラックスの這い上がり防止剤組成物であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。このような場合にも、充分に適応可能なフラックスの這い上がり防止剤組成物である。
また、本発明の組成物は、半田付けに使用される半田付け用フラックスに対して特に制限されるものではない。半田付けで使用されるフラックスの具体例としては、例えば、ロジン系フラックスなどが挙げられる。
本発明の組成物を使用することができる処置物(「基材」ともいう。)は、特に制限されない。例えば、電子部品、プリント基板が挙げられる。
本発明の組成物は、その使用方法について、特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。具体的には、以下で述べる方法で処置物の表面に被膜を形成することができる。
ここで、本発明の組成物を処理物の表面に被覆する方法を説明する。
具体的には、例えば、処理物(例えば、電子部品、プリント基板)の表面の一部または全部に、本発明の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物からなる被膜を形成する(以下、「被膜形成工程」ということがある。)。
まず、上記範囲内の組成を有する本発明の組成物を調製する。調製は上述のとおりである。
そして、本発明の組成物を、一般的な被覆加工方法や、浸漬法(全浸漬、半浸漬)を採用して、処理物表面に被覆する。
本発明の組成物を処理物表面に被覆する方法としては、例えば、浸漬塗布、スプレー塗布、または本発明の組成物を充填したエアゾール缶による塗布等の方法がある。
基材としては、例えば、コネクタ、スイッチ、ボリューム、または半固定抵抗等の電気接点を有する電子部品、電気接点を有するプリント基板が挙げられる。
本発明の組成物を被覆する箇所としては、例えば、プリント基板にコネクタ等の電子部品を半田付けする際に、フラックスの這い上がりが起こりうる箇所が挙げられる。より詳しくは、プリント基板に取り付けるコネクタ等の電子部品の付け根部分、プリント基板の電子部品本体が実装される側の基板表面、または電子部品を取り付けるためのプリント基板に設けられたスルーホール等が挙げられる。
また、電子部品またはプリント基板の表面全体に被覆してもよい。
本発明の組成物を被覆物に塗布した後は、溶剤の沸点以上の温度で乾燥を行うことがより好ましい。
無論、被処理物の材質などにより、加熱乾燥が困難な場合には、加熱を回避して乾燥すべきである。
なお、熱処理の条件は、塗布する本発明の組成物の組成や、塗布面積等に応じて選択すればよい。
このような被膜形成工程により、処理物としての電子部品またはプリント基板の表面の一部または全部に、本発明の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物からなる被膜を形成して、半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物の被膜を有する電子部品またはプリント基板(以下、「被膜形成された電子部品またはプリント基板」ということがある。)を得ることができる。
被膜形成された電子部品またはプリント基板は、半田で半田付けすることができる。
次に、本発明の半田付け方法について説明する。
本発明の半田付け方法は、
電子部品またはプリント基板の表面の一部または全部に、本発明の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物からなる被膜を形成した後、半田付けする電子部品またはプリント基板の半田付け方法である。
本発明の半田付け方法において、電子部品またはプリント基板の表面の一部または全部に、本発明の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物からなる被膜を形成する方法は、上記の被膜形成工程と同様である。
また、本発明の半田付け方法において使用される半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物は、本発明の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物であれば特に制限されない。
本発明の半田付け方法において使用される電子部品、プリント基板は、特に制限されない。
次いで、上記の被膜形成工程後に半田付けが行われる(以下、「半田付け工程」ということがある。)
半田付けは、電子部品またはプリント基板の表面の一部または全部に、本発明の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物からなる被膜を形成したものを使用して半田付けするものであれば、その方法について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。具体的には例えば、被膜形成された電子部品またはプリント基板の表面の一部または全部にクリーム半田を用いてリフロー半田付けを行う方法、被膜形成された電子部品または前記プリント基板の表面の一部または全部を半田用フラックスで処理し、その後、通常の半田を用いて半田付けを行う方法が挙げられる。
半田付け工程において使用される、半田は、特に制限されず、例えば、フラックスを含有したクリーム半田が挙げられる。
上記のクリーム半田は通常フラックスを含有している。フラックスを含有したクリーム半田を用いる場合、フラックス処理した後半田付けする場合と比較して、操作、作業が簡便化できるので好ましい。
また、本発明の半田付け方法において使用される半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物は、使用する半田付け用フラックスに特に制限されるものではない。
また、半田付け工程に使用される半田用フラックスは、特に制限されるものではない。半田付けで使用されるフラックスの具体例としては、例えば、ロジン系フラックスなどが挙げられる。
また、半田用フラックスを、あらかじめ被膜形成された電子部品またはプリント基板の表面の一部または全部に塗布する場合において、その塗布方法は、半田用フラックスをIPA等の有機溶剤に溶解させ、発泡塗布方式、噴流塗布方式、スプレー塗布方式、回転ブラシ塗布方式、回転メッシュドラム塗布方式、超音波塗布方式などが挙げられるが、特に限定されるわけではない。
さらに、半田付け方法も特に限定されない。クリーム半田を用いて半田付けする場合であれば、例えば、プリント基板等の上にクリーム状の半田を印刷し、その上に表面実装部品を配置し、その後、赤外線や熱風加熱で半田を溶融して半田付けをするという方法で半田付けを行うことができる。
クリーム半田以外の半田を用いて半田付けを行う場合であれば、例えば、溶融された半田槽に部品のリード足の端末処理やプリント配線基板を浸漬するディップ式という方法で半田付けを行うことができる。
本発明の電子部品またはプリント基板の半田付け方法は、電子部品またはプリント基板の表面の一部または全部に本発明の組成物の被膜を有するものを用いることによって、半田用フラックスの這い上がり防止性能に優れる電子部品またはプリント基板を製造することができる。
次に、本発明の電子部品またはプリント基板を説明する。
本発明の電子部品またはプリント基板は、
本発明の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物からなる被膜を有する、半田用フラックス這い上がり防止性能を具備するものである。
本発明の電子部品またはプリント基板は、上記の本発明の組成物からなる被膜を有する、半田用フラックス這い上がり防止性能を具備し、フラックスによる腐食が防止された電子部品またはプリント基板である。ここで、本発明の組成物からなる被膜の形成は、上記の方法により行う。
次に、本発明の電気製品について以下に説明する。
本発明の電気製品は、本発明の電子部品またはプリント基板を半田付けしたものである。
本発明の電気製品は、この半田用フラックス這い上がり防止剤組成物を具備した電子部品またはプリント基板を、半田付けした電気製品である。
本発明の電気製品において使用される電子部品またはプリント基板は、本発明の電子部品またはプリント基板であれば特に制限されない。
ここで、クリーム半田を用いて半田付けした電気製品であることが好ましい。フラックスを含有したクリーム半田を用いた電気製品の場合、フラックス処理した後半田付けした電気製品の場合と比較して、より小型で複雑な部品の半田付けを精度よく半田付けできるという点で優れているからである。
このような電子部品またはプリント基板は種々の電気製品に用いられる。この電気製品は、フラックスによる腐食が原因で起こる障害が防止され、優れた品質の電気製品である。
また、この電気製品の具体例としては、例えば、コンピュータ用機器、テレビ、オーディオ用機器(ラジオカセット、コンパクトディスク、ミニディスク)等に用いられる機器用、携帯電話などが挙げられる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、特に断わりの無い限り、以下の実施例の記載において「%」で表示されるものは「質量%」を表すものとする。また、以下で表記されるR基とは、C2n+1−でnの値の平均が9のものを意味する。
<実施例1>
オキシ塩化リン120質量部を反応容器に入れ、液温を90℃とした。そこへF(CF2n CH2 CH2OH(nの平均値が約9)605質量部を5時間かけて滴下し、さらに水21.7質量部を4時間かけて滴下した。そして窒素気流を5時間流すことにより、生成した塩化水素ガスを除去し、反応生成物を得た。
次に、ジエタノールアミン120質量部と水3120質量部とを、前記とは別の反応容器に入れ、液温を90℃とした。そして、ここに前記反応生成物の全量を1時間かけて滴下して加えて、さらに2時間撹拌することにより含フッ素化合物(A1)を含む分散液を得た。
この分散液を、含フッ素化合物(A1)の濃度が0.5%となるようにイオン交換水で希釈したものを「組成物1」とする。
<実施例2>
オルトリン酸9.8質量部、3−パーフルオロオクチル−1,2−エポキシプロパン(以下、FOEPと記す)47.6質量部およびメタキシレンヘキサフルオリド100質量部を反応容器入れ、加熱還流下で3時間反応を行った。ここで、ガスクロマトグラフィーでFOEPが完全に消失したことを確認し反応を終了した。
その後、得られた反応液を蒸発乾固し、白色固体56.0質量部を得た。この白色固体を含フッ素化合物(A2)とする。
この含フッ素化合物(A2)50質量部とIPA50質量部とを混合し、含フッ素化合物(A2)の50%IPA溶液を得た。
そして、このIPA溶液を、含フッ素化合物A2の濃度が0.5%となるようにイオン交換水で希釈したものを「組成物2」とする。
<実施例3>
上記実施例2で用いたFOEPの添加量を95.2質量部に変更した以外は、実施例2と同じ操作を行った。そして、得られた含フッ素化合物(A3)50質量部とIPA50質量部とを混合し、含フッ素化合物(A3)の50%IPA溶液を得た。
そして、このIPA溶液を、含フッ素化合物A3の濃度が0.5%となるようにイオン交換水で希釈したものを「組成物3」とする。
<実施例4>
上記実施例2で得られた含フッ素化合物(A2)の50%IPA溶液を、含フッ素化合物A2の濃度が0.5%となるようにC49OC25で希釈したものを「組成物4」とする。
実施例1、2、3および4の含フッ素化合物(A1)、(A2)、(A3)の主成分構造を表3に示す。
Figure 2007000929
<比較例1>
ポリフルオロアルキル基含有重合体とメタキシレンヘキサフルオロライドとからなるセイミケミカル株式会社製SFコートSNF-190C(ポリフルオロアルキル基含有重合体が0.5%、メタキシレンヘキサフルオロライドが99.5%)を「組成物5」とする。
<比較例2>
ポリフルオロアルキル基含有重合体とメタキシレンヘキサフルオロライドとからなるセイミケミカル株式会社製SFコートSR-2000A(ポリフルオロアルキル基含有重合体が1.0%、メタキシレンヘキサフルオロライドが99.0%)を、専用希釈剤SRソルベントで濃度0.5%に希釈したものを「組成物6」とする。
<表面張力の測定>
上記の実施例1〜4の方法により調製された組成物1〜4について、25℃における表面張力の測定を行った。表面張力の測定は、ウィルヘルミー表面張力計(製品番号:CBVP−3A型、協和界面科学株式会社製)を用いた。結果を表4に示す。
<フラックス這い上がり防止性能の比較>
銅板に銀メッキ(メッキ厚3μm)処理したテストピースを、組成物1〜6に10秒間浸漬し、その後110℃で5分間乾燥した。
そして、各々のテストピースにクリーム半田(エコソルダーペーストM705−GRN360、千住金属工業株式会社製)をマスク印刷した(円形、Φ=3mm、厚さ=0.3mm)。このクリーム半田は、フラックスを含有している。
これらのクリーム半田をマスク印刷したテストピースを約75度の傾斜で固定し、ソルダーチェッカー(SAT−5100、株式会社レスカ製)を用いて昇温させた(2℃/秒で220℃まで昇温。220℃で120秒保持した後、再び2℃/秒で260℃まで昇温。260℃で60秒保持させた)。
冷却後、流れ落ちたフラックスの移動距離を測定し、フラックス這い上がり防止性能の比較を行った。結果を表4に示す。また、いずれの組成物も用いず、クリーム半田をマスク印刷しただけのものも、同様に試験を行った。これを表4では「未処理」と示した。
なお、表4の「フラックスの濡れ広がり長さ」とはフラックスおよび半田の上端から下端の距離を意味する。
また、「フラックス移動距離」は「フラックスの濡れ広がり長さ−マスクの径(3.0mm)」である。
Figure 2007000929
この表4から明らかなように、組成物1〜4のフラックスの濡れ広がり長さ、およびフラックス移動距離は、組成物5、6と比較して小さくなった。また、未処理場合は、テストピースの下までフラックスが濡れ広がった。
また、組成物1〜3の表面張力は、全て40mN/m以下であった。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で示されるポリフルオロアルキル基を有するリン酸エステル化合物(A)と溶剤とを含む半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
    Figure 2007000929

    ただし、式(1)において、R、R、R、M、mおよびlは以下の意味を示す。
    :ポリフルオロアルキル基、または、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基。
    :単結合または2価連結基。
    :炭素数1〜5のアルキル基。
    M:水素原子、アンモニウム基、置換アンモニウム基またはアルカリ金属原子。
    m:1または2。
    l:0または1。ただし、m+l<3
  2. 前記溶剤が水系媒体(B)および/またはフッ素系溶剤である請求項1に記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
  3. 不引火性を具備する請求項1または2に記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
  4. 表面張力が40mN/m以下である請求項1〜3のいずれかに記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
  5. 表面実装による半田付けに使用される半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物である請求項1〜4のいずれかに記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
  6. 鉛フリー半田による半田付けに使用される半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物である請求項1〜5のいずれかに記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物。
  7. 電子部品またはプリント基板の表面の一部または全部に、請求項1〜6のいずれかに記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物からなる被膜を形成した後、半田付けする電子部品またはプリント基板の半田付け方法。
  8. クリーム半田を用いて半田付けする請求項7に記載の電子部品またはプリント基板の半田付け方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の半田用フラックスの這い上がり防止剤組成物からなる被膜を有する、半田用フラックス這い上がり防止性能を具備する電子部品またはプリント基板。
  10. 請求項9に記載の電子部品またはプリント基板を半田付けした電気製品。
  11. クリーム半田を用いて半田付けした請求項10に記載の電気製品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015071552A (ja) * 2013-10-02 2015-04-16 Agcセイミケミカル株式会社 パーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの製造方法
JP2018108965A (ja) * 2017-01-04 2018-07-12 Agcセイミケミカル株式会社 化合物、該化合物の製造方法、表面処理剤および物品

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