JP3692659B2 - フラックス組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、電気・電子分野において洗浄性、信頼性が良好なフラックス組成物、及びこのフラックス組成物と溶融温度が40〜450℃の金属粉とを配合してなるクリームはんだを提供する。
【0002】
【従来の技術】
フラックスは、はんだ付け、銀ロウ付け、電気溶接などの分野において、金属基材表面の酸化物の溶解と除去、加熱中の再酸化防止、あるいははんだの表面張力を低下させてぬれ性を向上させてはんだ付けを良好にする目的で用いられる。
フラックスは樹脂、活性剤およびその他の添加物を含有する組成物である。
【0003】
流動性を有するフラックス組成物に金属粉末を添加してペースト状にしたものがクリームはんだである。クリームはんだは、スクリーンやマスクでプリント基板のはんだ付け部に印刷塗布され、その上に電子部品を設置した後、赤外線、レーザー光線、熱風、高温蒸気等の加熱装置で加熱処理されてはんだ付けされる。また、プリント基板の銅箔を長期間放置しておくと空気中の酸素と結びついて表面に酸化物を生成したり、銅箔の表面に油や汚れ等が付着する事がある。銅箔表面の酸化や汚れは、はんだ付け時にはんだが完全に付着せずに不良の原因になる。この酸化や汚れを防ぐためにプリント基板表面に液状のフラックスで被覆するものがプリフラックスである。
【0004】
一方、フラックス組成物と金属粉を混合して魂状、線状等の固体状にしたものはヤニ入りはんだである。
電子部品等のプリント基板は近年ますます小型化される傾向があり、部品の微小化、実装密度の上昇、高密度集積化が進められ、電子材料の電極間距離やパターンの間隔はますます狭くなっている。従って、従来のはんだ付け性、非腐食性、ぬれ性に加えて高い絶縁性の確保、接合強度に関してフラックス組成物に対して高度な要請がなされるに至っている。
【0005】
電子部品の分野において、フラックス組成物としては、従来からアビエチン酸などを主成分とするロジン系フラックスが主として使用されている。これはロジン、グリコールエーテル、油脂、および活性剤として塩酸アミン等の各種のアミン塩を含むものである。
特開平2−205296号公報には、炭素数が8以下のモノカルボン酸、ポリカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸から成る群から選ばれた1種または2種以上のカルボキシル基含有化合物とトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートとの反応生成物である樹脂状物質を含有するフラックスとはんだ粉とを配合したクリームはんだが開示されている。
【0006】
特開平4−71797号公報には、水溶性の液状またはペースト状フラックスと粉末はんだを混和したクリームはんだにおいて、該フラックス中に固有粘度が0.05〜3.0であるポリビニルピロリドンを、0.01〜5重量%添加した事を特徴とするクリームはんだが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のロジン系フラックスはフラックス残渣がはんだ付け後に残りやすく、クリームはんだでははんだボールの生成が起こり、ピンコンタクト不良や腐食、短絡などの原因となり信頼性の低下や不良を招く。この為はんだ付け後のフラックス残渣の除去のため、ハロゲン系溶剤による洗浄が施されている。
【0008】
ここで、本明細書中の「信頼性」と言う語は、はんだ付け後の劣化、腐食等のはんだ付けの確実性を表現する単語として用いる。
近年フラックス組成物では、地球を取り巻くオゾン層の破壊や地下水の汚染等の重篤な公害問題を引き起こすために、従来使用されてきたフロン系、ハロゲン系溶剤の使用が制限され、水洗浄への移行が強く求められている。
【0009】
水洗浄は、有機溶剤洗浄と比較した場合に次の利点がある。
(1)溶剤としては不燃性で取り扱いが極く簡便である。(2)環境破壊が無い。(3)有機溶剤より安価である。(4)クリームはんだに使われる活性剤等のイオン性物質の溶解、洗浄にとっては最良である。
クリームはんだを例にとると要求される一般的な特性として、(a)適度な粘稠性を有し、印刷性が良好であること。(b)はんだ付け性が良いこと。(c)毒性や臭気が無いこと。(d)長期間に粘度変化がなく、表面の皮はり等が無く保存安定性に優れていることがあげられる。
【0010】
油溶性クリームはんだにおいては、前記(a)〜(d)の性能をほぼ満足するものが製品化されているが、水溶性クリームはんだの場合は、まだ不十分で特に印刷性、洗浄性、腐食性、耐熱性が問題となっている。
この原因の一つは、フラックスのベースキャリアーに求めることが出来る。
すなわち、油溶性クリームはんだではフラックスのベースキャリアーにロジンが使用されているのに対し、水溶性クリームはんだのフラックスでは、上記の諸性能を同時発現し、なおかつ水に溶けるベースキャリアとなる好適な材料の選定が極めて難しい。
【0011】
現在の水溶性クリームはんだでは、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールが常用されているが、しかし、これらをベースキャリアーとしたクリームはんだは、スキージでスクリーンマスク上を移動させた場合、粘稠性並びに粘着力に欠けるため、十分にローリングせず、横滑りして、スクリーン開口部へのはんだの充填が不十分となり、基板への印刷塗布性を悪くしている。
【0012】
本発明の目的は、はんだ付け終了後、フロン等の有機溶剤を一切用いず、水によってフラックス成分を洗浄・除去することが出来、更に腐食性や耐熱性に優れたフラックス組成物、又はフラックス組成物と溶融温度が40〜450℃の金属粉とを配合してなるクリームはんだを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願第1観点は、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを含有するはんだ用フラックス組成物である。また、本願第2観点は、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを含有するはんだ用フラックス組成物と、40〜450℃の溶融温度を有する金属粉とを配合してなるクリームはんだである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本願発明に用いられるトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートは式(1);
【0015】
【化1】
Figure 0003692659
【0016】
で表される多価アルコール化合物である。
上記のトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートは、如何なる製法で得られるものも使用する事が出来る。
例えば、シアヌル酸と式(2):
【0017】
【化2】
Figure 0003692659
【0018】
で表されるプロピレンオキシドとを、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン又は第4級ホスフォニウム塩を触媒として溶媒中で反応させて得られるトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを使用する事が出来る。
上記製法で使用されるシアヌル酸(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオール、C3333)は、互変異性体であるイソシアヌル酸と平衡関係にあり、上記製法ではシアヌル酸、イソシアヌル酸又は両者の混合物を使用することが出来る。
【0019】
上記プロピレンオキシドはシアヌル酸の1モルに対して、3.0〜3.6モル、好ましくは3.1〜3.3モルの比率で用いる。
上記製法に使用する触媒は、式(3):R345Pで表されるトリアリールホスフィン、式(4):R678Pで表されるトリアルキルホスフィン、又は式(5):R9101112+-で表される第4級ホスフォニウム塩を用いることが好ましい。
【0020】
式(3):R345Pで表されるトリアリールホスフィンにおいて、R3、R4及びR5は炭素数6〜10のアリール基であり、例えばフェニル基、トリル基が挙げられる。R3、R4及びR5の3個のアリール基は、同一の有機基とする事も異なる有機基とする事も出来る。これらトリアリールホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンが挙げられる。
【0021】
式(4):R678Pで表されるトリアルキルホスフィンにおいて、R6、R7及びR8は炭素数2〜10のアルキル基であり、例えばブチル基、ヘキシル基、オクチル基が挙げられる。R6、R7及びR8の3個のアルキル基は、同一の有機基とする事も異なる有機基とする事もできる。これらトリアルキルホスフィンとしては、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィンが挙げられる。
【0022】
式(5):R9101112+-で表される第4級ホスフォニウム塩において、R9、R10、R11及びR12は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であるが、好ましくはR9、R10、R11及びR12の4つの有機基の内で3つの有機基がフェニル基又は置換されたフェニル基であり、例えばフェニル基やトリル基を例示することが出来る。また他の1つの有機基は炭素数1〜18のアルキル基又はアラルキル基である。また、陰イオン(Y-)は、塩素イオン(Cl-)、臭素イオン(Br-)、ヨウ素イオン(I-)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO-)、スルホナート(−SO3 -)、アルコラート(−O-)等の酸基を挙げることができる。式(4)の第4級ホスフォニウム塩は、例えばハロゲン化テトラn−ブチルホスフォニウム、ハロゲン化テトラn−プロピルホスフォニウム等のハロゲン化テトラアルキルホスフォニウム、ハロゲン化トリエチルベンジルホスフォニウム等のハロゲン化トリアルキルベンジルホスフォニウム、ハロゲン化トリフェニルメチルホスフォニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスフォニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスフォニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスフォニウム、ハロゲン化テトラフェニルホスフォニウム、ハロゲン化トリトリルモノアリールホスフォニウム、或いはハロゲン化トリトリルモノアルキルホスフォニウム(ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)が挙げられる。
【0023】
上記製法に用いる触媒としては、式(5)の第4級ホスフォニウム塩が好ましい。特に、好ましい触媒としては、ハロゲン化トリフェニルメチルホスフォニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスフォニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスフォニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスフォニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアラルキルホスフォニウム、ハロゲン化トリトリルモノメチルホスフォニウム等のハロゲン化トリトリルモノアルキルホスフォニウム(ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)を例示する事が出来る。
【0024】
上記のトリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン又は第4級ホスフォニウム塩は、シアヌル酸とプロピレンオキシドの反応における触媒として作用する。トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン又は第4級ホスフォニウム塩は、シアヌル酸とプロピレンオキシドの合計量に対して0.03〜5重量%の割合で存在させることが好ましい。0.03重量%未満では反応速度の促進が期待できず、また5重量%を越えて添加してもそれ以上の効果は期待できない。
【0025】
シアヌル酸は殆どの有機溶媒に不溶乃至僅かに溶解する為に、円滑に反応を進行させるため種々の反応媒体が提案されている。例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、脂肪族ニトリル、モルホリン、ジメチルスルホキシド、水、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、エーテル、テトラヒドロフラン、アルキレンハライド、ジアルキルカーボネート等がある。
【0026】
シアヌル酸とプロピレンオキシドを反応させてトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを製造する時に、反応途中乃至反応終点付近で分解反応が起こることが知られている。特に溶媒としてジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドを用いた場合は、分解物が多量に生成し収率も低下する。
溶媒としてアルコール、グリコール、グリコールエーテル、ケトン、エーテル或いは水等が提案されている。これらは溶媒自身がオニウム塩を形成しシアヌル酸のプロピレンオキシド付加体を接触的に分解するような心配はないが、やはり化学量論量のプロピレンオキシドを反応させようとしたり、熱履歴が長い場合は多量の循環使用の出来ない分解物が生成し、安定な操業が困難でしかも純度と収率が向上しない。
【0027】
上記製法ではグリコールエーテル、即ちセロソルブを溶媒に用いることが純度と収率を向上させる点で好ましい。セロソルブとしては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−フェノキシエタノールが挙げられる。
上記のシアヌル酸とプロピレンオキシドとの反応は、ステンレス製オートクレーブ等の反応容器を用い、1気圧〜10気圧の圧力下で、60〜150℃の温度で、5〜50時間で行うことが出来る。
【0028】
本願発明に用いるトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートは、クリームはんだ用フラックスのみならず、プリフラックス、又はヤニ入りはんだ用フラックスの有効成分として使用することが出来る。
本願発明のフラックス組成物は、必須成分としてトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを含有し、更に任意成分として樹脂、活性剤、及び溶媒を添加する事が出来る。しかし、流動性を有するクリームはんだ用フラックスやプリフラックスとする場合は溶媒を添加して、所望の粘度を有するペースト状ないし液状のフラックス組成物とする。
【0029】
本願発明のはんだ付け用フラックス組成物中のトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートの配合量はフラックスの種類、用途により異なる。クリームはんだ用フラックスの場合はフラックス組成物中で3〜60重量%、好ましくは10〜60重量%である。プリフラックスの場合はフラックス組成物中で3〜80重量%、好ましくは15〜60重量%である。ヤニ入りはんだ用フラックスの場合はフラックス組成物中で3〜80重量%、好ましくは15〜60重量%である。
【0030】
本発明のフラックス組成物に配合される樹脂および活性剤は、従来のはんだ付け用フラックスに常用されている一般成分を使用することが出来る。その配合量は使用成分、用途に基づいて適時選定される。樹脂としては例えばロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン、マレイン化ロジン、重合ロジンなどが例示される。その配合量はクリームはんだ用フラックスの場合はフラックス全量の5〜80重量%、好ましくは5〜50重量%である。プリフラックスの場合はフラックス全量の3〜80重量%、好ましくは15〜60重量%である。ヤニ入りはんだ用フラックスの場合はフラックス全量の3〜80重量%、好ましくは15〜60重量%である。
【0031】
活性剤としては例えば、含窒素塩基のハロゲン化水素塩、有機酸塩、有機酸、アミノ酸等が例示される。その配合量はクリームはんだ用フラックスの場合はフラックス全量の0〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%である。プリフラックスの場合はフラックス全量の3〜80重量%、好ましくは15〜60重量%である。ヤニ入りはんだ用フラックスの場合はフラックス全量の0〜10重量%、好ましくは0.2〜4重量%である。
【0032】
本発明のフラックス組成物をクリームはんだ用フラックス、プリフラックスとして調整する際は、常法のごとく溶媒や粘度調整剤を用いることが出来る。これらの含有量は使用成分、用途に基づいて適時選定される。溶剤としては、有機溶剤、アルコール類、脂肪族および芳香族炭化水素類縁体、テルペン類、エステル、エーテル類、グリコールエーテル類が例示される。その配合量はクリームはんだ用フラックスの場合はフラックス全量の5〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。プリフラックスの場合はフラックス全量の0〜40重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0033】
粘度調整剤としては、硬化ヒマシ油等のワックス類、超微粒子シリカ等が例示される。これらの配合量は使用成分、用途によって適時選択される。
さらに本発明のフラックス組成物には、酸化防止剤(例えば2,6−ジブチル−p−クレゾール等)、可塑剤(例えばフタル酸ジオクチル等)、および消泡剤(例えばシリコン系消泡剤等)等、通常用いる添加剤を適宜配合してもよい。
【0034】
本願発明によれば、はんだ付け終了後、水によってフラックス成分を洗浄・除去することの出来るクリームはんだとすべく、フラックス成分に使用する樹脂状物質は、水溶性であることはもちろんのこと、クリームはんだに使用する有機溶剤にも溶解すると言う、両親媒性でなければならず且つ、はんだの溶融加熱時に分解することのないものでなければならない。
【0035】
従って、この条件を満たすものとして本願発明では、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを使用する事が好ましい。
すなわち、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートは1分子中に3個の水酸基を有しているため水溶性に優れ、更にトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートは1分子中に3個のメチル基を有することから、有機溶剤への溶解性にも優れる。更に、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートは分子中に剛直なトリアジン環を有することから耐熱性にも優れる。第1表にトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートの各種溶媒への溶解性を示した。
【0036】
【表1】
表1
溶媒\成分 THPI PEG NR
水 任意の割合に可溶 可溶 不溶
MeOH 可溶 可溶 可溶
THF 易溶 可溶 可溶
n−HX 不溶 不溶 可溶
表1中で、MeOHはメタノール、THFはテトラヒドロフラン、n−HXはヘキサン、THPIはトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、PEGはポリエチレングリコール、及びNRは天然ロジンを示す。
【0037】
本願発明のフラックス組成物は、攪拌機付きのガラス製又はステンレス製の容器を用いて混合する事により得られる。これらの混合は、20〜150℃の温度で、0.5〜2時間で行うことが出来る。
【0040】
本願発明のクリームはんだは、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを含有した流動性のあるフラックス組成物と、これに金属粉(はんだ粉)を配合したペースト状態で得られる。本願発明のクリームはんだは、ディスペンサー等のはんだ付け装置やスクリーン印刷機等で使用することが出来る程度の粘度にする事が好ましい。
【0041】
本願発明のクリームはんだは、撹拌機付きのガラス製又はステンレス製の容器を用いて混合する事により得られる。これらの混合は、20〜150℃の温度で、0.5〜2時間で行うことが出来る。
本願発明で使用する金属粉は特に限定されるものではなく、通常クリームはんだにおいて使用される同様の種類、粒度のものであるが、溶融温度は40〜450℃、好ましくは150〜350℃の範囲のものを使用する事が出来る。この金属粉は例えば、Sn−Pb、Sn−Pb−Ag、Sn−Ag、Sn−Pb−Si、Pb−In等の合金が用いられる。これらのはんだ合金の粒度は、200〜400メッシュのふるい目を通過する粒子に相当するものである。
【0042】
本願発明のクリームはんだは、フラックス組成物の5〜50重量%と、金属粉の95〜50重量%を混合して得られる。更に好ましくは、フラックス組成物の8〜20重量%と、金属粉の92〜80重量%を混合して得られる。
従来のフラックス組成物中に存在する塩素イオンは、洗浄後、フラックス残渣として基板に残り絶縁性の低下や配線腐食の原因となる。しかしながら本願発明に用いられるトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート中には、それら塩素イオンは含まれず絶縁性の低下や配線腐食の危険は無い。
【0043】
本願発明では、本願のプリフラックス組成物で処理した上に、本願のクリームはんだではんだ付けした場合は、両者のフラックス成分は相溶性が良く、また水によってこれらのフラックス成分を容易に除去することができる。
【0044】
【実施例】
下記の材料を準備してフラックス組成物を作製した。
A1:トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート〔日産化学工業(株)製〕
A2:ポリエチレングリコール〔市販の試薬、数平均分子量約1500〕
A3:ポリエチレングリコール〔市販の試薬、数平均分子量約600〕
A4:ジエタノールアミン〔市販の試薬〕
A5:ブチルカルビトール〔市販の試薬〕
A6:ジエチルアミン・HCl〔市販の試薬〕
A7:りんご酸〔市販の試薬〕
A8:乳酸〔市販の試薬〕
実施例1
60gのトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、36.5gのブチルカルビトール、1.5gのジエチルアミン塩酸塩、及び2gのりんご酸を60℃の温度で1時間、反応フラスコで混合してフラックス組成物を得た。
【0045】
実施例2〜3
実施例1と同様に表2記載の配合組成で混合してフラックス組成物を得た。
比較例1
40gのポリエチレングリコール(数平均分子量約1500)、20gのポリエチレングリコール(数平均分子量約600)、10gのジエタノールアミン、26.5gのブチルカルビトール、1.5gのジエチルアミン塩酸塩、及び2gのりんご酸を60℃の温度で1時間、反応フラスコで混合してフラックス組成物を得た。
【0046】
比較例2
比較例1と同様に表2記載の配合組成で混合してフラックス組成物を得た。
【0047】
【表2】
表2
成分\例 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2
A1 60 60 60 − −
A2 − − − 40 40
A3 − − − 20 20
A4 − − − 10 10
A5 36.5 35 35 26.5 25
A6 1.5 − − 1.5 −
A7 2 5 − 2 5
A8 − − 5 − −
実施例4
実施例1で得られたフラックス組成物10重量部と、金属粉(Sn/Pb重量比が63/37、200メッシュのふるい目通過品、球状粉末)90重量部を40℃の温度で撹拌機付きステンレス製容器で混合してクリームはんだを得た。
【0048】
実施例5
実施例1のフラックス組成物の代わりに、実施例2で得られたフラックス組成物を用いる以外は、実施例4と同様に行いクリームはんだを得た。
実施例6
実施例1のフラックス組成物の代わりに、実施例3で得られたフラックス組成物を用いる以外は、実施例4と同様に行いクリームはんだを得た。
【0049】
比較例3
比較例1で得られたフラックス組成物10重量部と、金属粉(Sn/Pb重量比が63/37、200メッシュのふるい目通過品、球状粉末)90重量部を40℃の温度で撹拌機付きステンレス製容器で混合してクリームはんだを得た。
比較例4
比較例1のフラックス組成物の代わりに、比較例2で得られたフラックス組成物を用いる以外は、比較例3と同様に行いクリームはんだを得た。
【0050】
上記実施例4〜6及び比較例3〜4で得られたクリームはんだを、下記試験で評価した。
試験(1);スクリーン印刷性試験
基板上に実施例4〜6及び比較例3〜4で得られたクリームはんだをメタルマスクで印刷し、にじみ、かすれ、ブリッジ(銅箔回路間をはんだが短絡する事による不良)等の印刷不良の有無を目視で観察した。上記の印刷不良が全く存在していなければ記号(○)を、僅かでも印刷不良があれば記号(△)を、基板上に全面的に印刷不良があれば記号(×)を表3に記載した。
【0051】
試験(2);はんだ付け性試験
実施例4〜6及び比較例3〜4で得られたクリームはんだを基板上にメタルマスクで印刷した後、加熱によりリフローさせて基板上に広げ、はんだの濡れ性とはんだボール(十分にリフローせずに魂状のはんだとして残る現象)の発生量を調べ目視で観察した。上記の濡れ性不良やはんだボールが全く存在していなければ記号(○)、僅かでも濡れ性不良やはんだボールがあれば記号(△)、基板上に全面的に濡れ性不良やはんだボールがあれば記号(×)を表3に記載した。
【0052】
試験(3);洗浄性試験
実施例4〜6及び比較例3〜4で得られたクリームはんだを基板上にメタルマスクで印刷した後、加熱によりリフローさせて基板上に広げ、60℃の温水に5分間浸漬してからすすぎ洗いを行い、フラックス残渣の有無を目視で調べた。フラックス残渣が全く存在していなければ記号(○)、僅かでもフラックス残渣があれば記号(△)、多くのフラックス残渣が存在していれば(×)を表3に記載した。
【0053】
試験(4);耐熱性試験
実施例4〜6及び比較例3〜4で得られたクリームはんだを、アルミナ基板上にアプリケーターを用いて厚さ1mmに塗布した。これらを350℃のオーブン炉中で3分間加熱し、炉から取り出し冷却後に塗布されたクリームはんだの変色の有無を目視で調べた。全く変色が無ければ記号(○)、僅かでも変色していれば記号(△)、大きく変色していれば記号(×)で表3に記載した。
【0054】
試験(5);加熱後の洗浄性試験
試験(4)が終了した後のサンプルを、40℃の水で30秒間の振動させながら洗浄を行い、水に不溶な物質が存在するか否か(フラックス残渣の有無)を目視で調べた。フラックス残渣が全く存在していなければ記号(○)、僅かでもフラックス残渣があれば記号(△)、多くのフラックス残渣が存在していれば(×)を表3に記載した。
【0055】
【表3】
表3
試験番号\例 実施例4 実施例5 実施例6 比較例3 比較例4
試験(1) ○ ○ ○ △〜× △〜×
試験(2) ○ ○ ○ △ △
試験(3) ○ ○ ○ △ △
試験(4) ○ ○ ○ × ×
試験(5) ○ ○ ○ × ×
本願発明のフラックス組成物によって得られたクリームはんだは、上記各試験で良好な結果が得られた。
【0056】
【発明の効果】
本願発明では、化学式(1)で示される多価アルコール化合物であるトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを使用することによりクリームはんだ用フラックス、プリフラックス、ヤニ入りはんだ用フラックスを作製する事が出来る。特に、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートに有機溶媒を添加してペースト状にしたフラックスは、クリームはんだ用フラックスに用いる事が出来る。このペースト状フラックスと金属粉を混合して得られるクリームはんだは、従来品のクリームはんだより印刷性、耐熱性に極めて優れた特性を示すと共に、水のみで容易に洗浄除去することが出来るので、有機溶剤洗浄タイプのクリームはんだのような環境破壊の心配がなく、労働衛生上の面からも安全である。
【0057】
また、耐熱性、洗浄性等の特徴から電気溶接、ワイヤーボンディング、銀ロウ付け等の前処理用のフラックスとしても好適であるばかりでなく、金属表面の洗浄剤としても良好なフラックス組成物である。
また近年のファインピッチ化に伴い開発されたパッケージであるボールグリッドアレイ用のフラックスとしても好適である。

Claims (2)

  1. トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを含有するはんだ用フラックス組成物。
  2. トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートを含有するはんだ用フラックス組成物と、40〜450℃の溶融温度を有する金属粉とを配合してなるクリームはんだ。
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