JP2007000365A - 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 - Google Patents
血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007000365A JP2007000365A JP2005183984A JP2005183984A JP2007000365A JP 2007000365 A JP2007000365 A JP 2007000365A JP 2005183984 A JP2005183984 A JP 2005183984A JP 2005183984 A JP2005183984 A JP 2005183984A JP 2007000365 A JP2007000365 A JP 2007000365A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- filament
- wire
- foreign matter
- matter removing
- intravascular foreign
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Surgical Instruments (AREA)
Abstract
【課題】血管内の異物を確実に捕捉、除去することができる血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具を提供すること。
【解決手段】血管内異物除去用ワイヤ1は、可撓性を有する長尺なワイヤ本体2と、ワイヤ本体2の先端側に設けられ、血管内の異物を捕捉する異物捕捉空間31を有する捕捉部3とを備えたものである。この血管内異物除去用ワイヤ1の捕捉部3は、ワイヤ本体2の先端から分岐する2つの分岐ワイヤ部4aおよび4bと、これらの分岐ワイヤ部4aおよび4b間に架設された3つの第1のフィラメント部5a、5bおよび5cと、第1のフィラメント部5bの途中から分岐した第2のフィラメント部7aおよび7bと、第1のフィラメント部5cの途中から分岐した第2のフィラメント部7cおよび7dとを有している。
【選択図】図1
【解決手段】血管内異物除去用ワイヤ1は、可撓性を有する長尺なワイヤ本体2と、ワイヤ本体2の先端側に設けられ、血管内の異物を捕捉する異物捕捉空間31を有する捕捉部3とを備えたものである。この血管内異物除去用ワイヤ1の捕捉部3は、ワイヤ本体2の先端から分岐する2つの分岐ワイヤ部4aおよび4bと、これらの分岐ワイヤ部4aおよび4b間に架設された3つの第1のフィラメント部5a、5bおよび5cと、第1のフィラメント部5bの途中から分岐した第2のフィラメント部7aおよび7bと、第1のフィラメント部5cの途中から分岐した第2のフィラメント部7cおよび7dとを有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、血管内の塞栓物を除去する血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具に関する。
厚生労働省の人口動態統計によれば、日本人の死因の一位は癌、二位は心臓病、三位は脳卒中であり、特に脳卒中による死亡や後遺症が増加し、治療方法の確立が急務となっている。
近年、脳卒中の治療において急性期の脳梗塞治療に血栓溶解剤を用いた血栓溶解療法が開発され治療効果をあげているがその限界も指摘されている。すなわち、血栓溶解剤では血栓溶解に長時間を要したり、小さくなった血栓がさらに飛んで新たな塞栓部位を形成したり、また、血栓溶解剤で溶解しない血栓があることが医師の経験から認められている。
脳梗塞の場合、梗塞発症後3時間以内に血流が再開できれば救命の確率が高くなるばかりか、後遺症を少なくすることが米国や欧州で証明され、脳血管内に挿入可能で血栓を直接取ることができる医療器具の開発が強く求められている。このような医療器具としては、例えば、特許文献1に記載された血管内異物除去用ワイヤが知られている。
この血管内異物除去用ワイヤは、ワイヤ本体と、ワイヤ本体から分岐する2つの分岐ワイヤと、分岐ワイヤ間に架設される複数のフィラメント部とを有している。分岐ワイヤ部とフィラメント部とにより、血管内の異物を捕捉する異物捕捉空間が形成される。
しかしながら、このような構成の血管内異物除去用ワイヤでは、血管内の異物を捕捉する際、例えば異物の大きさによっては、この異物を確実に捕捉できない場合があった。
例えば、異物の大きさが異物捕捉空間の大きさよりも小さいとき、異物の捕捉中に、この異物がフィラメント同士の隙間(間)から離脱(脱落)する場合があった。そのような場合は、捕捉する異物の大きさにあった血管内異物除去用ワイヤに交換する等の操作が必要となり、手技が煩雑となるという問題が生じる。
本発明の目的は、血管内の異物を確実に捕捉、除去することができる血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 可撓性を有する長尺なワイヤ本体と、該ワイヤ本体の先端側に設けられ、血管内の異物を捕捉する異物捕捉空間を有する捕捉部とを備える血管内異物除去用ワイヤであって、
前記捕捉部は、
前記ワイヤ本体の先端から分岐する少なくとも2つの分岐ワイヤ部と、
前記2つの分岐ワイヤ部間に架設された複数の第1のフィラメント部と、
少なくとも1つの前記第1のフィラメント部において、その途中から分岐した複数の第2のフィラメント部とを有することを特徴とする血管内異物除去用ワイヤ。
(1) 可撓性を有する長尺なワイヤ本体と、該ワイヤ本体の先端側に設けられ、血管内の異物を捕捉する異物捕捉空間を有する捕捉部とを備える血管内異物除去用ワイヤであって、
前記捕捉部は、
前記ワイヤ本体の先端から分岐する少なくとも2つの分岐ワイヤ部と、
前記2つの分岐ワイヤ部間に架設された複数の第1のフィラメント部と、
少なくとも1つの前記第1のフィラメント部において、その途中から分岐した複数の第2のフィラメント部とを有することを特徴とする血管内異物除去用ワイヤ。
(2) 前記複数の第2のフィラメント部は、互いの分岐点の位置がほぼ一致している上記(1)に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(3) 前記複数の第2のフィラメント部は、互いの分岐点の位置が異なっている上記(1)に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(4) 前記捕捉部は、少なくとも1つの前記第2のフィラメント部において、その途中から分岐した第3のフィラメント部を有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(5) 少なくとも1つの前記第2のフィラメント部には、複数の前記第3のフィラメント部が設けられている上記(4)に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(6) 前記複数の第3のフィラメント部は、互いの分岐点の位置が異なっている上記(5)に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(7) 前記捕捉部は、捕捉した前記異物が滑るのを防止する滑り止め手段を有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(8) 前記捕捉部は、前記異物捕捉空間に突出し、可撓性を有する細繊毛を複数有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(9) 前記捕捉部は、生体内で超弾性を示す合金で構成されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(10) 前記ワイヤ本体は、その長手方向に沿って剛性が変化した部分を有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤと、該血管内異物除去用ワイヤを収納可能なルーメンを備えたカテーテルとを有することを特徴とする医療器具。
(12) 前記ルーメンの先端開口部から前記捕捉部を突出させたとき、前記分岐ワイヤ部の先端部同士が離間しており、
前記ルーメン内に前記捕捉部を収納したとき、前記分岐ワイヤ部の先端部同士が、前記ルーメンを画成する内壁面に規制されて接近する上記(11)に記載の医療器具。
前記ルーメン内に前記捕捉部を収納したとき、前記分岐ワイヤ部の先端部同士が、前記ルーメンを画成する内壁面に規制されて接近する上記(11)に記載の医療器具。
本発明によれば、捕捉部が複数の分岐ワイヤ、第1のフィラメント部および第2のフィラメント部を有していることにより、当該捕捉部における血管内の異物に接触する接触面積が大きくなる。これにより、血管内の異物を確実に捕捉、除去することができる。
第3のフィラメント部を設けた場合には、捕捉部における血管内の異物に接触する接触面積がより大きくなり、よって、血管内の異物をより確実に捕捉、除去することができる。
以下、本発明の血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の血管内異物除去用ワイヤの第1実施形態(自然状態)を示す斜視図、図2は、図1に示す血管内異物除去用ワイヤの側面図、図3ないし図6は、それぞれ、図1に示す血管内異物除去用ワイヤの使用方法を順を追って説明するための図である。
図1は、本発明の血管内異物除去用ワイヤの第1実施形態(自然状態)を示す斜視図、図2は、図1に示す血管内異物除去用ワイヤの側面図、図3ないし図6は、それぞれ、図1に示す血管内異物除去用ワイヤの使用方法を順を追って説明するための図である。
なお、以下の説明では、図1、図2中(図7〜図10も同様)の上側を「先端」、下側を「基端」と言い、図3〜図6中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
図1に示す血管内異物除去用ワイヤ1は、血管100内の血栓、血餅等の塞栓の原因となる異物(以下、「塞栓物200」と言う)を捕捉して除去するものである。
この血管内異物除去用ワイヤ1は、長尺なワイヤ本体2と、ワイヤ本体2の先端側に設けられた捕捉部3とを有している。
以下、各部の構成について説明する。
図1に示すワイヤ本体2は、全長に渡って適度な剛性および弾性(可撓性)を有している。
図1に示すワイヤ本体2は、全長に渡って適度な剛性および弾性(可撓性)を有している。
ワイヤ本体2の構造としては、特に限定されず、例えば、単線からなるもの、複数本を束ねたもの、中空状のもの、多層構造のもの、芯材とその外周に巻回されたコイルとを有するもの、これらを組み合わせたものなどであってもよい。
ワイヤ本体2の構成材料としては、特に限定されず、各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。
また、ワイヤ本体2の長さは、適用する血管100の位置、太さ等の症例によってもその好ましい値は異なるが、通常、500〜4000mm程度が好ましく、1500〜2200mm程度がより好ましい。
また、ワイヤ本体2の外径(太さ)は、適用する血管100の位置、太さ等の症例によってもその好ましい値は異なるが、通常、平均外径が0.1〜2.0mmであるのが好ましく、0.25〜0.9mmであるのがより好ましい。
また、ワイヤ本体2は、基端側に位置し、比較的硬い第1の部位と、先端側に位置し、比較的柔軟な第3の部位と、前記第1の部位と前記第3の部位との間に位置し、可撓性が変化する第2の部位とを有するものであることが好ましい。換言すれば、ワイヤ本体2は、剛性(曲げ剛性、ねじり剛性等)が基端から先端に向かって、すなわち、長手方向に沿って、漸減(変化)するようなものであるのが好ましい。これにより、手元での操作がワイヤ本体2の先端部24まで確実に伝達し、血管100内での走行性や屈曲部での操作性に優れるとともに、先端部24の柔軟性を向上し、血管100の損傷を防ぐことができる。すなわち、ワイヤ本体2のトルク伝達性、押し込み性(プッシャビリティ)、耐キンク性(耐折れ曲がり性)を維持しつつ、より高い安全性を確保することができる。
ワイヤ本体2の外面(表面)には、後述するカテーテル8の内面との摩擦抵抗を軽減する被覆層が設けられていてもよい。これにより、カテーテル8に対する挿入・抜去をよりスムーズに行うことができる。この被覆層としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂の被覆層(テフロンコート(「テフロン」は登録商標))や、湿潤時に潤滑性を有する親水性ポリマーコート等が挙げられる。
捕捉部3は、塞栓物200を捕捉する異物捕捉空間31を有するものである。
図1に示すように、捕捉部3は、ワイヤ本体2の先端から分岐する2つの分岐ワイヤ部4a、4bと、分岐ワイヤ部4aと分岐ワイヤ部4bとの間に架設された複数(本実施形態では、3つ)の第1のフィラメント部5a、5b、5cと、第1のフィラメント部5bの途中から分岐した複数(本実施形態では、2つ)の第2のフィラメント部7a、7bと、第1のフィラメント部5cの途中から分岐した複数(本実施形態では、2つ)の第2のフィラメント部7c、7dとを有している。
図1に示すように、捕捉部3は、ワイヤ本体2の先端から分岐する2つの分岐ワイヤ部4a、4bと、分岐ワイヤ部4aと分岐ワイヤ部4bとの間に架設された複数(本実施形態では、3つ)の第1のフィラメント部5a、5b、5cと、第1のフィラメント部5bの途中から分岐した複数(本実施形態では、2つ)の第2のフィラメント部7a、7bと、第1のフィラメント部5cの途中から分岐した複数(本実施形態では、2つ)の第2のフィラメント部7c、7dとを有している。
図1に示すように、本実施形態では、分岐ワイヤ部4a、4bと、第1のフィラメント部5a、5b、5cとにより、ワイヤ本体2の先端からループ状(環状)に設けられた3本のループワイヤ6a、6b、6cがそれぞれ構成されている。ループワイヤ6a、6b、6cは、それぞれ、ワイヤ本体2の先端から先端方向に延び、ループを描いて基端方向に折り返してワイヤ本体2の先端に戻るように設けられている。
図1に示すように、分岐ワイヤ部4aは、ループワイヤ6a、6b、6cの一方の基端側の部分が撚り合わされて一体的に集合して撚り線部を形成し、この撚り線部により構成されている。
また、分岐ワイヤ部4bは、分岐ワイヤ部4aとほぼ同様に、ループワイヤ6a、6b、6cの他方の基端側の部分が撚り合わされて一体的に集合して撚り線部を形成し、この撚り線部により構成されている。
第1のフィラメント部5a、5b、5cは、ループワイヤ6a、6b、6cの先端側の部分が互いに離間するよう構成されている。すなわち、図2に示すように、ループワイヤ6a、6cは、それぞれ、途中で外側(図2中の左・右)に向かって屈曲(または湾曲)しており、この屈曲部から先端側の部分がそれぞれ第1のフィラメント部5b、5cを形成している。
なお、図示の構成では、分岐ワイヤ部4a、4bの先端からループワイヤ6b、6cが外側に屈曲しているが、本発明はこれに限定されず、分岐ワイヤ部4a、4bの先端と、後述する第1のフィラメント部5b、5cの頂部51との間の途中における1箇所または複数箇所(数箇所)で屈曲するものであってもよく、また、分岐ワイヤ部4a、4bの先端から第1のフィラメント部5b、5cの頂部51にかけて、なだらかに(徐々に)外側に向って湾曲するものであってもよい。
前述したように、第1のフィラメント部5bには、第2のフィラメント部7a、7bが設けられている。また、第1のフィラメント部5cには、第2のフィラメント部7c、7dが設けられている。
以下、分岐ワイヤ部4a、4bと、第1のフィラメント部5a、5b、5cと、第2のフィラメント部7a、7b、7c、7dとの構成について説明する。
図1に示すように、分岐ワイヤ部4a、4bは、それぞれ、形状が線状をなしており、基端部42がワイヤ本体2の先端部24に固定(固着)されている。この固定の方法は、特に限定されないが、例えば、分岐ワイヤ部4a、4bの基端部42をそれぞれワイヤ本体2の先端部24に編み付け(巻き付け)、ろう接、溶接、接着剤による接着等を施すことにより固定することができる。
本実施形態では、ワイヤ本体2の先端部24には、分岐ワイヤ部4a、4bのワイヤ本体2に対する固定部(ロウ付け部)を覆うコイル21が設けられている。コイル21の外表面は、平滑になっており、これにより、より高い安全性が得られる。コイル21は、例えば、プラチナ(白金)線等を巻回して形成されたものであることが好ましい。
このような分岐ワイヤ部4a、4bは、それぞれ、弾性的に変位(変形)するよう構成されており、柔軟性を有している。
図1に示すように、分岐ワイヤ部4aの先端部41aと分岐ワイヤ部4bの先端部41bとの間には、線状をなす3本の第1のフィラメント部5a、5b、5cが架け渡されるように設けられている。これらの第1のフィラメント部5a、5b、5cは、それぞれ、その中央部分が先端側に張り出すように湾曲したアーチ状(湾曲形状)をなし、このアーチ状の頂部51同士が互いに離間しつつ、分岐ワイヤ部4aの先端部41aと分岐ワイヤ部4bの先端部41bとを接続している(図2参照)。
このように第1のフィラメント部5a、5b、5cがそれぞれアーチ状をなしていることにより、血管100の内壁100aにダメージを与えるのを防止することができ、より高い安全性が得られる。
図2に示すように、第1のフィラメント部5aは、ほぼ、ワイヤ本体2の中心軸23の延長線を通る平面(図2の紙面に垂直な平面)上に位置している。すなわち、第1のフィラメント部5aは、ワイヤ本体2の中心軸23の延長線にほぼ重なって見える。
また、第1のフィラメント部5b、5cは、それぞれ、ワイヤ本体2の中心軸23からの距離が先端方向に向かって増大するように傾斜している。すなわち、図2に示す側面視で、第1のフィラメント部5bは、左先端側に向って傾斜しており、第1のフィラメント部5cは、右先端側に向って傾斜している。
このように、第1のフィラメント部5b、5cがそれぞれ、第1のフィラメント部5aに対して傾斜していることにより、第1のフィラメント部5bの頂部51が間隙32を介して第1のフィラメント部5aの頂部51に隣接することとなり、第1のフィラメント部5cの頂部51が間隙33を介して第1のフィラメント部5aの頂部51に隣接することとなる。これにより、異物捕捉空間31が大きくなり、当該異物捕捉空間31に塞栓物200を容易に捕捉することができる。
図1に示すように、第1のフィラメント部5bには、2つの分岐点54a間に架設された第2のフィラメント部7aと、2つの分岐点54b間に架設された第2のフィラメント部7bとが設けられている。
第2のフィラメント部7aは、一方の分岐点54aから先端方向に延び、ループを描いて基端方向に折り返して他方の分岐点54aに戻るように設けられている。図2に示すように、第2のフィラメント部7aは、第1のフィラメント部5bの図2中左側の空間に突出している。
第2のフィラメント部7bは、第2のフィラメント部7aとほぼ同様に、一方の分岐点54bから先端方向に延び、ループを描いて基端方向に折り返して他方の分岐点54bに戻るように設けられている。この第2のフィラメント部7bは、第1のフィラメント部5bの図2中右側の空間(間隙32)に突出している。
換言すれば、第2のフィラメント部7aおよび7bは、それぞれ、第1のフィラメント部5bに対して枝状に形成されており、第1のフィラメント部5bの両側の空間を埋めるように設けられている(図2参照)。
また、図1(図2も同様)に示すように、第2のフィラメント部7aの分岐点54aと、第2のフィラメント部7bの分岐点54bとは、第1のフィラメント部5bにおけるそれらの位置がほぼ一致している。これにより、血管内異物除去用ワイヤ1を製造する工程(過程)において、第2のフィラメント部7aおよび第2のフィラメント部7bをバランスよく設けることができる。
なお、分岐点54a(分岐点54b、54cおよび54dも同様)の位置は、特に限定されないが、側面視において、第1のフィラメント部5bの基端部(分岐ワイヤ部4bの先端部41b)からの距離をT、第1のフィラメント部5bの基端部から頂部51までの距離をT’としたとき、T/T’が、例えば、1/20〜19/20であるのが好ましく、1/3〜2/3であるのがより好ましい(図2参照)。
また、第1のフィラメント部5cには、第1のフィラメント部5bと同様に、2つの分岐点54c間に架設された第2のフィラメント部7cと、2つの分岐点54d間に架設された第2のフィラメント部7dとが設けられている。
第2のフィラメント部7cは、一方の分岐点54cから先端方向に延び、ループを描いて基端方向に折り返して他方の分岐点54cに戻るように設けられている。図2に示すように、第2のフィラメント部7cは、第1のフィラメント部5bの図2中左側の空間(間隙33)に突出している。
第2のフィラメント部7dは、第2のフィラメント部7cとほぼ同様に、一方の分岐点54dから先端方向に延び、ループを描いて基端方向に折り返して他方の分岐点54dに戻るように設けられている。この第2のフィラメント部7bは、第1のフィラメント部5bの図2中右側の空間に突出している。
換言すれば、第2のフィラメント部7cおよび7dは、それぞれ、第1のフィラメント部5cに対して枝状に設けられている(図2参照)。
また、図1(図2も同様)に示すように、第2のフィラメント部7cの分岐点54cと、第2のフィラメント部7dの分岐点54dとは、それらの位置がほぼ一致している。これにより、前述した分岐点54aと分岐点54aとが一致していることによる効果とほぼ同様の効果を得る。
このように、捕捉部3では、分岐ワイヤ部4aおよび4bに対して第1のフィラメント部5a、5bおよび5cが設けられており、この関係とほぼ同様に、第1のフィラメント部5bおよび5cのそれぞれに対して第2のフィラメント部7a、7b、7cおよび7dが設けられている。
以上のような構成の捕捉部3(血管内異物除去用ワイヤ1)では、例えば間隙32から血管100の末梢側(先端側)へ塞栓物200が脱落するのが、第2のフィラメント部7bにより確実に防止される(例えば、図6参照)。これにより、捕捉部3が塞栓物200を確実に捕捉するこができ、また、一旦捕捉された塞栓物200を血管100内から確実に除去することができる。
また、捕捉部3が当該捕捉部3(異物捕捉空間31)内の塞栓物200に接触する接触面積が大きくなるため、塞栓物200が捕捉部3に確実に絡みつくこととなり、よって、塞栓物200を確実に捕捉、除去することができる。
なお、第2のフィラメント部7a、7b、7c、7dは、それぞれ、線状体で構成されており、当該線状体に対応する第1のフィラメント部5bまたは5cに固定(固着)されている。この固定の方法は、特に限定されないが、例えば、各線状体の基端部をそれぞれ、第1のフィラメント部の途中に編み付け(巻き付け)、ろう接、溶接、接着剤による接着等を施すことにより固定することができる。
また、第2のフィラメント部7a、7b、7c、7dは、それぞれ、第1のフィラメント部5bおよび5cより、柔軟性が高いのが好ましい。これにより、捕捉部3のトルク伝達性、押し込み性を確保することができる。
また、第2のフィラメント部7a、7b、7c、7d(線状体)の外径φD2(図2参照)は、特に限定されないが、例えば、脳血管内にある塞栓物200(血栓)を捕捉する際には、通常、0.02〜0.3mm程度が好ましく、0.02〜0.1mm程度がより好ましい。
また、分岐ワイヤ部4a、4bの長さは、特に限定されないが、例えば、脳血管内にある塞栓物200(血栓)を捕捉する際には、通常、1.0〜10.0mm程度が好ましく、2.5〜9.0mm程度がより好ましい。
また、分岐ワイヤ部4a、4bの外径φd(図2参照)は、特に限定されないが、例えば、脳血管内にある塞栓物200(血栓)を捕捉する際には、通常、0.04〜0.5mm程度が好ましく、0.06〜0.2mm程度がより好ましい。
また、捕捉部3の長さH(図2参照)は、直径が7mmの塞栓物200を捕捉する場合、7mm以上であるのが好ましく、7〜10mmであるのがより好ましい。
また、第1のフィラメント部5a、5b、5cの外径φD1(図2参照)は、特に限定されないが、例えば、脳血管内にある塞栓物200(血栓)を捕捉する際には、通常、0.05〜0.5mm程度が好ましく、0.1〜0.4mm程度がより好ましい。
また、捕捉部3(分岐ワイヤ部4a、4bと、第1のフィラメント部5a、5b、5cと、第2のフィラメント部7a、7b、7c、7d)の構成材料としては、放射線不透過材料であるのが好ましい。この放射線不透過材料としては、特に限定されないが、例えば、金、プラチナ(白金)、プラチナ−イリジウム合金、タングステン、タンタル、パラジウム、鉛、銀、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金、化合物等が挙げられる。
このような放射線不透過材料を用いることにより、X線などの透視下において、捕捉部3における塞栓物200の捕捉状況を容易に確認することができる。
また、捕捉部3の構成材料としては、生体内(少なくとも生体温度(37℃付近))で擬弾性を示す合金(超弾性を示す合金(以下、「超弾性合金」と言う)を含む)であるのが好ましい。
擬弾性を示す合金(以下、「擬弾性合金」と言う)には、引張りによる応力−ひずみ曲線のいずれの形状も含み、As、Af、Ms、Mf等の変態点が顕著に測定できるものも、できないものも含み、応力により大きく変形(歪)し、応力の除去により元の形状にほぼ戻るものは全て含まれる。
擬弾性合金には、超弾性合金が含まれる。この超弾性合金の好ましい組成としては、49〜59原子%NiのNi−Ti合金等のNi−Ti系合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(Xは、Be、Si、Sn、Al、Gaのうちの少なくとも1種)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等が挙げられる。このなかでも特に好ましいものは、上記のNi−Ti系合金である。
このような擬弾性合金を用いることにより、捕捉部3は、十分な柔軟性と曲げに対する復元性が得られ、捕捉部3が変形を繰り返しても、優れた復元性により曲がり癖が付くのを防止することができる。
また、捕捉部3の表面には、捕捉した塞栓物200が捕捉部3から滑る(離脱する)のを防止する滑り止め手段が設けられているのが好ましい。これにより、捕捉部3と塞栓物200との摩擦を増加させることができ、よって、捕捉した塞栓物200をより確実に保持(捕捉)することができる。
この滑り止め手段としては、特に限定されないが、例えば、比較的摩擦係数の高いゴム等の弾性材料を被覆したり、微小の凹凸(粗面も含む)を例えばサンドブラスト等により形成したりすることができる。
また、捕捉部3の外面(表面)には、ワイヤ本体2についての説明で挙げたような被覆層が設けられていてもよい。これにより、カテーテル8に対する挿入・抜去をよりスムーズに行うことができる。
図1に示すように、第1のフィラメント部5aには、異物捕捉空間31に突出する突起11が複数設けられている。
各突起11の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、可撓性を有する線状体(ワイヤ)の一端側を第1のフィラメント部5aに巻き付け、他端部を微小に突出させる等の方法が挙げられる。
なお、各突起11の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。
また、各突起の長さ(平均)は、特に限定されないが、例えば、0.1〜5mmであるのが好ましく、0.5〜2mmであるのがより好ましい。
図1に示すように、第1のフィラメント部5aには、異物捕捉空間31に突出し、可撓性を有する細繊毛12が複数設けられている。各細繊毛12は、突起11より軟質であるのが好ましい。
各細繊毛12の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、細繊毛12を有する繊毛体を第1のフィラメント部5aに巻き付けたり、電子植毛をしたりする等の方法が挙げられる。
なお、各細繊毛12の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ダクロン(Dacron)(ポリエステル)、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、フルオロポリマー(ポリテトラフルオロエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、綿や絹のような放射線透過性の繊維、またはポリマー(放射線透過性を有する繊維で被覆された金属糸や放射線不透過性を有する繊維で被覆された金属糸)等を用いることができる。
また、各細繊毛12の長さ(平均)は、特に限定されないが、例えば、0.1〜5mmであるのが好ましく、0.5〜3mmであるのがより好ましい。
このような構成の突起11および細繊毛12が形成されて(設けられて)いることにより、例えば、塞栓物200が比較的硬質の場合には、この塞栓物200が突起11によって穿刺(係止)され、異物捕捉空間31から離脱するのを確実に防止することができ、よって、塞栓物200をより確実に捕捉することができる。また、塞栓物200が比較的軟質の場合には、この塞栓物200が細繊毛12によって絡みつかれ(係止され)、異物捕捉空間31から離脱するのを確実に防止することができ、よって、塞栓物200をより確実に捕捉することができる。
なお、突起11は、第1のフィラメント部5aのみに設けられているのに限定されず、例えば、第1のフィラメント部5b、5cと、第2のフィラメント部7a、7b、7c、7dとにも設けられていてもよいし、これらの部位のうちの1つ以上の部位に設けられていてもよい。
また、細繊毛12は、第1のフィラメント部5aのみに設けられているのに限定されず、例えば、第1のフィラメント部5b、5cと、第2のフィラメント部7a、7b、7c、7dとにも設けられていてもよいし、これらの部位のうちの1つ以上の部位に設けられていてもよい。
また、本実施形態では、分岐ワイヤ部4a、4bと、第1のフィラメント部5a、5b、5cとが連続したループワイヤ6a、6b、6cにより形成されたものとなっているが、本発明では、分岐ワイヤ部4a、4bと第1のフィラメント部5a、5b、5cとは、別個のものを接続(連結)して形成されたものであってもよい。その場合、第1のフィラメント部5a、5b、5cの分岐ワイヤ部4a、4bに対する固定方法は、いかなる方法でもよく、例えば、ろう接、溶接、接着剤による接着等の方法等が挙げられる。
また、分岐ワイヤ部4a、4bを構成する部分のループワイヤ6a、6b、6cは、本実施形態のように、撚り合わせられていなくてもよく、単に集合した状態(束ねられた状態)であってもよい。
なお、本発明の医療器具9は、このような血管内異物除去用ワイヤ1と、ルーメン82が形成されたカテーテル8とを有するものである。
次に、本発明の血管内異物除去用ワイヤ1の使用方法の一例について詳細に説明する。
[1] 図3は、血管100内に血栓等の塞栓物200が詰まり、血流を阻害している状態を示している。塞栓物200は、血圧により血管100の内壁100aに押し付けられ、容易に移動しない状態になっている。
[1] 図3は、血管100内に血栓等の塞栓物200が詰まり、血流を阻害している状態を示している。塞栓物200は、血圧により血管100の内壁100aに押し付けられ、容易に移動しない状態になっている。
カテーテル(マイクロカテーテル)8と、そのルーメン82内に挿通されたガイドワイヤ10とを、血管100内に挿入し、カテーテル8の先端開口部81から突出させたガイドワイヤ10の先端部101を塞栓物200より奥(末梢側)まで挿入する。すなわち、ガイドワイヤ10の先端部101が塞栓物200と血管100の内壁100aとの隙間を通り抜けて、塞栓物200を越えた状態とする。この操作は、ガイドワイヤ10として、例えば潤滑性に優れるマイクロガイドワイヤを使用することにより、より容易に行うことができる。
[2] ガイドワイヤ10の先端部101が塞栓物200を越えたら、ガイドワイヤ10に対しカテーテル8を前進させ、図4に示すように、カテーテル8の先端部を塞栓物200と血管100の内壁100aとの隙間に入り込ませる。このとき、カテーテル8の先端部は、ガイドワイヤ10に沿って円滑に隙間に入り込むので、この操作は容易に行うことができる。
なお、従来の治療としては、この状態でカテーテル8を介して逆行性に血栓溶解剤を流し、血栓溶解を速めることが行なわれてきたが、血栓溶解剤で溶けない血栓があることや溶解に長時間かかることがしばしば医師により経験されている。本発明は、そのような場合にも有用である。
[3] 図4に示す状態から、ガイドワイヤ10を抜去し、カテーテル8のルーメン82に本発明の血管内異物除去用ワイヤ1を挿入する。このとき、図5に示すように、捕捉部3は、ルーメン82内に収納されており、分岐ワイヤ部4aの先端部41aおよび分岐ワイヤ部4bの先端部41bが、ルーメン82を画成する内壁面821に規制されて、接近した状態となっている。すなわち、間隔pが自然状態(図1参照)より小さくなっている(以下、この状態を「収縮状態」という)。また、このとき、第1のフィラメント部5a〜5cおよび第2のフィラメント部7a〜7dの頂部同士が接近(近接)している。ここで、「自然状態」とは、分岐ワイヤ部4aおよび4bに外力を付与しない状態をいう。
[4] 捕捉部3をカテーテル8の先端開口部81から突出させる(図6参照)と、収縮状態でカテーテル8内にあった捕捉部3は、自身の弾性により先端部41aと先端部41bとが互いに離間する、すなわち、間隔pが大きくなる。また、このとき、第1のフィラメント部5a〜5cおよび第2のフィラメント部7a〜7dの頂部同士が離間する。結果、捕捉部3は、自然状態となる。このような状態の異物捕捉空間31により、塞栓物200を確実に(容易に)捕捉することができる。
[5] 前述したような、捕捉部3をカテーテル8の先端開口部81から突出させた状態から、カテーテル8を僅かに基端方向に移動させ、カテーテル8の先端部を塞栓物200の手前に引き戻すと、図6に示すように、捕捉部3の異物捕捉空間31に塞栓物200がすくい取られるようにして、捕捉(収納)される。すなわち、塞栓物200は、図6中の上側から異物捕捉空間31に入り込む。この異物捕捉空間31に入り込んだ塞栓物200の先端部は、第1のフィラメント部5a〜5cおよび第2のフィラメント部7a〜7dによって、確実に覆われることとなる。これにより、塞栓物200が捕捉部3(異物捕捉空間31)から特に血管100の末梢側へ離脱するのが確実に防止される。
[6] 捕捉部3に塞栓物200が収納されたら、カテーテル8に対しワイヤ本体2を基端方向に牽引する。これにより、分岐ワイヤ部4a、4bの基端部42、42が先端開口部81(の縁部)に当接して互いの間隔を狭めつつカテーテル8内に引き込まれ、分岐ワイヤ部4a、4b(ループワイヤ6a、6b、6c)の形成するループが小さくなる。よって、塞栓物200は、分岐ワイヤ部4a、4bによって締め付けられる。
[7] 前記の締め付け状態を維持しつつ、血管内異物除去用ワイヤ1をカテーテル8とともに抜去する。これにより、親のガイディングカテーテルまたはシースイントロデューサー(図示せず)内に塞栓物200が回収(除去)される。
なお、[6]の締め付けの操作を行わず、捕捉部3内に塞栓物200が収納されたら、そのまま血管内異物除去用ワイヤ1をカテーテル8とともに抜去して、塞栓物200を除去してもよい。
また、収縮状態の間隔pは、0.021インチ以下となるのが好ましく、0.018インチ以下となるのがより好ましい。
<第2実施形態>
図7は、本発明の血管内異物除去用ワイヤの第2実施形態(自然状態)を示す斜視図、図8は、図7に示す血管内異物除去用ワイヤの側面図である。
図7は、本発明の血管内異物除去用ワイヤの第2実施形態(自然状態)を示す斜視図、図8は、図7に示す血管内異物除去用ワイヤの側面図である。
以下、これらの図を参照して本発明の血管内異物除去用ワイヤの第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第1のフィラメント部に対する第2のフィラメント部の設置位置が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図7および図8に示すように、本実施形態の血管内異物除去用ワイヤ1Aは、第1のフィラメント部5bの途中から分岐した第2のフィラメント部7e、7fと、第1のフィラメント部5cの途中から分岐した第2のフィラメント部7g、7hとを有している。
第2のフィラメント部7eは、2つの分岐点54e間に架設されている。また、第2のフィラメント部7fは、2つの分岐点54f間に架設されている。
分岐点54eと分岐点54fとは、第1のフィラメント部5b上における互いの位置が異なっている、すなわち、分岐点54fは、分岐点54eより先端側に位置している。これにより、第2のフィラメント部7eおよび7fのそれぞれのループの大きさを変えることができ、よって、例えば、塞栓物200の大きさに応じた第2のフィラメント部7eおよび7fを設けることができる。
また、図8に示すように、第2のフィラメント部7fの頂部71は、第1のフィラメント部5bの頂部51より先端側に位置している。これにより、異物捕捉空間31を前記第1実施形態の異物捕捉空間31より大きく設定することができ、よって、当該異物捕捉空間31内に塞栓物200をより容易に収納することができる。
また、第2のフィラメント部7gは、2つの分岐点54g間に架設されている。また、第2のフィラメント部7hは、2つの分岐点54h間に架設されている。
分岐点54gと分岐点54hとは、互いの位置が異なっている、すなわち、分岐点54gは、分岐点54hより先端側に位置している。これにより、前述した分岐点54eと分岐点54fとの位置が異なっていることによる効果とほぼ同様の効果を得る。
<第3実施形態>
図9は、本発明の血管内異物除去用ワイヤの第3実施形態(自然状態)を示す斜視図、図10は、図9に示す血管内異物除去用ワイヤの側面図である。
図9は、本発明の血管内異物除去用ワイヤの第3実施形態(自然状態)を示す斜視図、図10は、図9に示す血管内異物除去用ワイヤの側面図である。
以下、これらの図を参照して本発明の血管内異物除去用ワイヤの第3実施形態について説明するが、前述した第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第3のフィラメント部が設けられていること以外は前記第2実施形態と同様である。
図9および図10に示すように、本実施形態の血管内異物除去用ワイヤ1Bの捕捉部3では、第2のフィラメント部7e〜7hのぞれぞれに、当該第2のフィラメント部の途中から分岐した第3のフィラメント部13a〜13fが設けられている。
第2のフィラメント部7eには、2つの分岐点131a間に架設された第3のフィラメント部13aと、2つの分岐点131b間に架設された第3のフィラメント部13bとが設けられている。
第3のフィラメント部13aは、一方の分岐点131aから先端方向に延び、ループを描いて基端方向に折り返して他方の分岐点131aに戻るように設けられている。図10に示すように、第3のフィラメント部13aは、第2のフィラメント部7eの図10中下側の空間に突出している。
第3のフィラメント部13bは、第3のフィラメント部13aとほぼ同様に、一方の分岐点131bから先端方向に延び、ループを描いて基端方向に折り返して他方の分岐点131bに戻るように設けられている。この第3のフィラメント部13bは、第2のフィラメント部7eの図10中上側の空間に突出している。
また、分岐点131aと分岐点131bとは、第2のフィラメント部7e上における互いの位置が異なっている、すなわち、分岐点131aは、分岐点131bより第2のフィラメント部7eの頂部71側に位置している。これにより、第3のフィラメント部13aおよび13bのそれぞれのループの大きさを変えることができ、よって、例えば、塞栓物200の大きさに応じた第2のフィラメント部7eおよび7fを設けることができる。
第2のフィラメント部7fには、2つの分岐点131c間に架設された第3のフィラメント部13cが設けられている。
第3のフィラメント部13cは、一方の分岐点131cから先端方向に延び、ループを描いて基端方向に折り返して他方の分岐点131cに戻るように設けられている。図10に示すように、第3のフィラメント部13cは、第2のフィラメント部7fの図10中左側の空間に突出している。
第2のフィラメント部7gには、2つの分岐点131d間に架設された第3のフィラメント部13dが設けられている。
第3のフィラメント部13dは、一方の分岐点131dから先端方向に延び、ループを描いて基端方向に折り返して他方の分岐点131dに戻るように設けられている。図10に示すように、第3のフィラメント部13dは、第2のフィラメント部7gの図10中左側の空間に突出している。
第2のフィラメント部7hには、2つの分岐点131e間に架設された第3のフィラメント部13eと、2つの分岐点131f間に架設された第3のフィラメント部13fとが設けられている。
第3のフィラメント部13eは、一方の分岐点131eから先端方向に延び、ループを描いて基端方向に折り返して他方の分岐点131eに戻るように設けられている。図10に示すように、第3のフィラメント部13eは、第2のフィラメント部7hの図10中上側の空間に突出している。
第3のフィラメント部13fは、第3のフィラメント部13eとほぼ同様に、一方の分岐点131fから先端方向に延び、ループを描いて基端方向に折り返して他方の分岐点131fに戻るように設けられている。この第3のフィラメント部13fは、第2のフィラメント部7hの図10中下側の空間に突出している。
また、分岐点131eと分岐点131fとは、互いの位置が異なっている、すなわち、分岐点131eは、分岐点131fより第2のフィラメント部7hの頂部71側に位置している。これにより、前述した分岐点131aと分岐点131bとの位置が異なっていることによる効果とほぼ同様の効果を得る。
以上のような構成の第3のフィラメント部13a〜13fが設けられていることにより、捕捉した塞栓物200の先端部をより確実に覆うことができる。これにより、塞栓物200が捕捉部3(異物捕捉空間31)から特に血管100の末梢側へ離脱するのがより確実に防止される。従って、血管内異物除去用ワイヤ1Bは、塞栓物200をより確実に捕捉、除去することができる。
なお、第3のフィラメント部13a、13b、13c、13d、13eおよび13fの平均外径φD3(図10参照)は、特に限定されないが、例えば、脳血管内にある塞栓物200(血栓)を捕捉する際には、通常、0.02〜0.2mm程度が好ましく、0.02〜0.1mm程度がより好ましい。
以上、本発明の血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
例えば、第1実施形態の第2のフィラメント部に、第3実施形態の第3のフィラメント部を設けてもよい。
また、分岐ワイヤ部は、2つであるのに限定されず、3つ以上であってもよい。
また、第1のフィラメント部の形成数(設置数)は、3つのに限定されず、2つまたは4つ以上であってもよい。
また、第1のフィラメント部の形成数(設置数)は、3つのに限定されず、2つまたは4つ以上であってもよい。
また、第2のフィラメント部の形成数は、2つに限定されず、例えば、3つ以上であってもよい。
また、第3のフィラメント部は、複数の第2のフィラメント部にそれぞれ設けられているのに限定されず、例えば、1つの第2のフィラメント部に設けられていてもよい。
また、第3のフィラメント部の形成数は、2つに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。
また、第3のフィラメント部が複数設けられている場合、これらの分岐点の位置が異なっているのに限定されず、ほぼ一致していてもよい。
1、1A、1B 血管内異物除去用ワイヤ
11 突起
12 細繊毛
2 ワイヤ本体
21 コイル
23 中心軸
24 先端部
3 捕捉部
31 異物捕捉空間
32、33 間隙
4a、4b 分岐ワイヤ部
41a、41b 先端部
42 基端部
5a、5b、5c 第1のフィラメント部
51 頂部
54a、54b、54c、54d、54e、54f、54g、54h 分岐点
6a、6b、6c ループワイヤ
7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g、7h 第2のフィラメント部
71 頂部
8 カテーテル
81 先端開口部
82 ルーメン
821 内壁面
9 医療器具
10 ガイドワイヤ
101 先端部
13a、13b、13c、13d、13e、13f 第3のフィラメント部
131a、131b、131c、131d、131e、131f 分岐点
100 血管
100a 内壁
200 塞栓物
11 突起
12 細繊毛
2 ワイヤ本体
21 コイル
23 中心軸
24 先端部
3 捕捉部
31 異物捕捉空間
32、33 間隙
4a、4b 分岐ワイヤ部
41a、41b 先端部
42 基端部
5a、5b、5c 第1のフィラメント部
51 頂部
54a、54b、54c、54d、54e、54f、54g、54h 分岐点
6a、6b、6c ループワイヤ
7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g、7h 第2のフィラメント部
71 頂部
8 カテーテル
81 先端開口部
82 ルーメン
821 内壁面
9 医療器具
10 ガイドワイヤ
101 先端部
13a、13b、13c、13d、13e、13f 第3のフィラメント部
131a、131b、131c、131d、131e、131f 分岐点
100 血管
100a 内壁
200 塞栓物
Claims (12)
- 可撓性を有する長尺なワイヤ本体と、該ワイヤ本体の先端側に設けられ、血管内の異物を捕捉する異物捕捉空間を有する捕捉部とを備える血管内異物除去用ワイヤであって、
前記捕捉部は、
前記ワイヤ本体の先端から分岐する少なくとも2つの分岐ワイヤ部と、
前記2つの分岐ワイヤ部間に架設された複数の第1のフィラメント部と、
少なくとも1つの前記第1のフィラメント部において、その途中から分岐した複数の第2のフィラメント部とを有することを特徴とする血管内異物除去用ワイヤ。 - 前記複数の第2のフィラメント部は、互いの分岐点の位置がほぼ一致している請求項1に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
- 前記複数の第2のフィラメント部は、互いの分岐点の位置が異なっている請求項1に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
- 前記捕捉部は、少なくとも1つの前記第2のフィラメント部において、その途中から分岐した第3のフィラメント部を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
- 少なくとも1つの前記第2のフィラメント部には、複数の前記第3のフィラメント部が設けられている請求項4に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
- 前記複数の第3のフィラメント部は、互いの分岐点の位置が異なっている請求項5に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
- 前記捕捉部は、捕捉した前記異物が滑るのを防止する滑り止め手段を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
- 前記捕捉部は、前記異物捕捉空間に突出し、可撓性を有する細繊毛を複数有する請求項1ないし7のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
- 前記捕捉部は、生体内で超弾性を示す合金で構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
- 前記ワイヤ本体は、その長手方向に沿って剛性が変化した部分を有する請求項1ないし9のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
- 請求項1ないし10のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤと、該血管内異物除去用ワイヤを収納可能なルーメンを備えたカテーテルとを有することを特徴とする医療器具。
- 前記ルーメンの先端開口部から前記捕捉部を突出させたとき、前記分岐ワイヤ部の先端部同士が離間しており、
前記ルーメン内に前記捕捉部を収納したとき、前記分岐ワイヤ部の先端部同士が、前記ルーメンを画成する内壁面に規制されて接近する請求項11に記載の医療器具。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005183984A JP2007000365A (ja) | 2005-06-23 | 2005-06-23 | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 |
US11/455,794 US20060293697A1 (en) | 2005-06-23 | 2006-06-20 | Wire for removing an intravascular foreign body and medical instrument |
DE602006016893T DE602006016893D1 (de) | 2005-06-23 | 2006-06-21 | Draht zur Entfernung intravaskulärer Fremdkörper und medizinisches Instrument |
EP06115797A EP1736106B1 (en) | 2005-06-23 | 2006-06-21 | Wire for removing an intravascular foreign body and medical instrument |
AT06115797T ATE481040T1 (de) | 2005-06-23 | 2006-06-21 | Draht zur entfernung intravaskulärer fremdkörper und medizinisches instrument |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005183984A JP2007000365A (ja) | 2005-06-23 | 2005-06-23 | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007000365A true JP2007000365A (ja) | 2007-01-11 |
Family
ID=37686506
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005183984A Pending JP2007000365A (ja) | 2005-06-23 | 2005-06-23 | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007000365A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112334083A (zh) * | 2018-06-19 | 2021-02-05 | 斯瑞克公司 | 具有多个栓子切除术结构的栓子切除术装置 |
KR20220134064A (ko) * | 2021-03-26 | 2022-10-05 | 인제대학교 산학협력단 | 3d 올가미 형태의 혈전 제거용 기구 |
-
2005
- 2005-06-23 JP JP2005183984A patent/JP2007000365A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112334083A (zh) * | 2018-06-19 | 2021-02-05 | 斯瑞克公司 | 具有多个栓子切除术结构的栓子切除术装置 |
CN112334083B (zh) * | 2018-06-19 | 2024-04-16 | 斯瑞克公司 | 具有多个栓子切除术结构的栓子切除术装置 |
KR20220134064A (ko) * | 2021-03-26 | 2022-10-05 | 인제대학교 산학협력단 | 3d 올가미 형태의 혈전 제거용 기구 |
KR102541457B1 (ko) * | 2021-03-26 | 2023-06-12 | 인제대학교 산학협력단 | 3d 올가미 형태의 혈전 제거용 기구 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4926055B2 (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
JP2006075233A (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
EP1736106B1 (en) | Wire for removing an intravascular foreign body and medical instrument | |
JP2005160648A (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
JP4567918B2 (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
US8926650B2 (en) | Mechanically detachable vaso-occlusive device | |
JP2006087630A (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
EP1632189B1 (en) | Wire for removing intravascular foreign body and medical instrument | |
CN113181513B (zh) | 导丝 | |
JP4112911B2 (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
JP2007000365A (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
WO2004073528A1 (ja) | 塞栓形成用体内留置具 | |
JP2006087473A (ja) | ガイディングカテーテルおよび血管内異物除去用ワイヤセット | |
JP4177230B2 (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
JP2007082953A (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
JP2006095095A (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
JP2005124821A (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
WO2008018309A1 (fr) | Fil métallique et dispositif médical pour retirer une matière intravasculaire étrangère | |
JP2005160951A (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
JP2008054857A (ja) | 血管内異物除去用ワイヤ | |
JP2008295833A (ja) | 血管内異物除去用長尺体および医療器具 | |
JP2008006110A (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
JP2008006109A (ja) | 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 | |
WO2008013155A1 (fr) | Fil et dispositif médical, permettant d'extraire un corps étranger intravasculaire | |
JP2013146496A (ja) | 塞栓物掻き取りデバイスおよび塞栓物掻き取りキット |