JP4567918B2 - 血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 - Google Patents

血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具 Download PDF

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武司 金丸
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テルモ株式会社
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    • A61B17/22Implements for squeezing-off ulcers or the like on the inside of inner organs of the body; Implements for scraping-out cavities of body organs, e.g. bones; Calculus removers; Calculus smashing apparatus; Apparatus for removing obstructions in blood vessels, not otherwise provided for
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    • A61B2017/2212Gripping devices in the form of loops or baskets for gripping calculi or similar types of obstructions having a closed distal end, e.g. a loop

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管内の塞栓物を除去する血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
厚生労働省の人口動態統計によれば、日本人の死因の一位は癌、二位は心臓病、三位は脳卒中であり、特に脳卒中による死亡や後遺症が増加し、治療方法の確立が急務となっている。
【0003】
近年、脳卒中の治療において急性期の脳梗塞治療に血栓溶解剤を用いた血栓溶解療法が開発され治療効果をあげているがその限界も指摘されている。すなわち、血栓溶解剤では血栓溶解に長時間を要したり、小さくなった血栓がさらに飛んで新たな塞栓部位を形成したり、また、血栓溶解剤で溶解しない血栓があることが医師の経験から認められている。
【0004】
脳梗塞の場合、梗塞発症後3時間以内に血流が再開できれば救命の確率が高くなるばかりか、後遺症を少なくすることが米国や欧州で証明され、脳血管内に挿入可能で血栓を直接取ることができる医療器具の開発が強く求められている。
【0005】
従来から、血管内の血栓または異物除去装置としてはフォガティー(Fogarty)の米国特許第3,435,826号等のフォガティーカテーテルまたは膨張可能な血栓除去バルーン、水流式血栓吸引装置、米国特許4,842,579号のアテロームカッター等が実用化され用いられてきた。これらは、構造が複雑で径が太く、単独使用あるいは太いガイドカテーテルを必要とするものであり、マイクロカテーテル内に挿入できるものは実用化されていない。
【0006】
例えば、代表的に特開平5−137729号公報(EP472368)に開示された、ワイヤバスケットを有する切除用カテーテルは、血管内壁から組織を切除するためワイヤケージの一部に鋭角部を有し、そのワイヤケージを支持するワイヤガイドを中心に持っているため、本質的に該ワイヤガイド以下の大きさにできないと言う欠点を有する。ワイヤガイドはワイヤケージを回転させ組織切除を行うため必須であり、従ってワイヤガイド以下の細径化は不可能である。
【0007】
特許2620881号公報(USP4890611)では、ワイヤーループを有する動脈内摘出装置が開示されているが、動脈硬化性堆積物を削り取る目的で設計されており、血管を閉塞している血栓を把持する事は構造的に難しい。中心ワイヤとらせんループでは大きな把持空間を形成できず、削り取った組織を把持する狭い空間を提供するのみとなる。つまり中心ワイヤが邪魔して、血栓は、らせんループ内に収納されづらい。わずかに切除組織を中心ワイヤとらせんループの間にはさむ事のみ可能となる。
【0008】
特表平8−509411号公報(WO95/31149)では、係蹄コイルからなる単ループの医療用回収具が開示されている。このものは、径の大きさが調節可能な単ループに異物を挟んで再配置または取り出すために用いられる。構造が単純で細径化が可能であるが、従来から単ループのグスーネックスネアと言われるタイプは、線材の輪に対象異物を挟み、ループを締める事により異物を捕捉・把持する訳であり、細長い棒状のものを捕捉するには向くが、血栓等の異物は滑って掴むのは難しい。ちょうど卵に1本ワイヤーのループを掛けて固定するのに等しく、原理的には用いることが可能と言えるが、相当の熟達した術者でないと異物の把持は難しいという問題点がある。
【0009】
特開平2000−126303号公報では、マイクロカテーテルに挿入可能な血管治療用多機能ワイヤが開示されている。このものは、従来バスケットカンシと言われたタイプで、ワイヤによる縮形・膨張可能な籠部を形成するものであり、従来からあるバスケットカンシをより細く洗練したタイプである。このものでは、放射状に分散膨大して収斂点に集結固着する構造とした膨大作用部を一体に備えるため、構成細線の自由度が奪われており、籠内に血栓を入れるのに不自由となることが危惧される。
【0010】
その他、特表平7−504595号公報(WO94/00178)では、カテーテルの先端に膨張可能な金網を取り付けたものが開示されているが、このものは、カテーテルの先端に金網を取り付ける構造上、カテーテル以下の細経化が困難であるという問題点を有する。
【0011】
また、特開平7−171156号公報(USP5370653)では、血栓をワイヤブラシで絡めて取る装置が提案されている。このものは、糊のようなフィブリンの軟質閉塞物を絡め取るのには有用だが、血管を塞栓している硬質の血栓等を除去するのは困難であり、むしろフィブリンの軟質閉塞物の場合、無理に除去するより、ストレプトキナーゼやウロキナーゼ等の溶解剤での溶解の方が除去に向いている。
【0012】
一方、閉塞している硬質の血栓を除去する方法として、UCLAのピエールゴバーンらは、マイクロカテーテルに挿入可能なスクリュー構造を先端に有するワイヤを開発中である。コルクボーラーで血栓にスクリュー部をねじ込み、ワインのコルク栓を抜く要領で血栓を回収するのであるが、血栓にスクリューがねじ込むとき滑って逃げやすく確実性がないばかりか、スクリューで血管を穿破しやすいという問題点を有し、いまだ実用化にいたっていない。
【0013】
特公平4−47574号公報(US5933196)では、共軸の中心鞘を有するワイヤバスケット型の医療用レトリバーが提案されている。このものは、多数のワイヤにより球根状の異物捕捉空間を形成することを特徴としているが、中心に軸鞘を有することを必須としており、軸鞘が邪魔となって大きな捕捉空間を提供し得ないという問題点を有している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単な構造で、縮径状態における細径化に有利であるとともに、血管にダメージを与えることなく、血管内の塞栓物を確実に捕捉して除去することができる血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
【0016】
(1) 可撓性を有する長尺なワイヤ本体と、
前記ワイヤ本体の先端から分岐する少なくとも2つの分岐ワイヤ部と、
前記分岐ワイヤ部間に架設された複数のフィラメント部とを有し、
前記分岐ワイヤ部および前記フィラメント部により、血管内の異物を捕捉する空間が形成され
前記分岐ワイヤ部および前記フィラメント部は、前記ワイヤ本体の先端からループ状に延設された複数のループワイヤから形成されており、
前記各ループワイヤの一方の基端部同士と、他方の基端部同士とは、それぞれ、一体に撚り合わされており、
前記ループワイヤの先端部同士は、互いに離間して前記フィラメント部を形成していることを特徴とする血管内異物除去用ワイヤ。
【0025】
(2) 前記ループワイヤの一体に撚り合わされた前記基端部が前記分岐ワイヤ部を構成している上記(1)に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
【0026】
(3) 前記ループワイヤの一体に撚り合わされた2つの前記基端部を束ねる部材を有する上記(1)または(2)に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
【0027】
(4) 前記束ねる部材は、前記ループワイヤの一体に撚り合わされた2つの前記基端部を覆うように設けられたコイルである上記(3)に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(5) 前記複数のループワイヤのうちの少なくとも1つのループワイヤは、前記2つの分岐ワイヤ部が存在する平面上に位置する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(6) 前記ループワイヤは、それぞれ、前記分岐ワイヤ部同士間と前記フィラメント部同士間とがそれぞれ狭まる縮径状態と、該縮径状態よりも前記分岐ワイヤ部同士間と前記フィラメント部同士間とがそれぞれ拡大して前記空間が形成され、該空間内に前記異物を捕捉可能な拡径状態とを取り得る上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(7) 前記分岐ワイヤ部は、それぞれ、前記各フィラメント部よりも剛性が高いものであり、前記捕捉部が前記縮径状態から拡径状態に復元する際、その復元力のほとんどを担っている上記(6)に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(8) 当該血管内異物除去用ワイヤは、カテーテルに挿入されるものであり、
前記ワイヤ本体の表面には、前記カテーテルの内周面との摩擦抵抗を軽減する被覆層が設けられている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
(9) 前記各分岐ワイヤ部および前記各フィラメント部の表面には、それぞれ、捕捉した前記異物が滑るのを防止する滑り止め手段が設けられている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
【0028】
(10) 上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤと、前記血管内異物除去用ワイヤを収納可能なルーメンを備えたカテーテルとを有することを特徴とする医療器具。
【0029】
(11) 前記ワイヤ本体を前記ルーメン内に収納し、かつ前記分岐ワイヤ部を前記ルーメンの先端開口部から突出させた状態から、前記ワイヤ本体を基端方向に牽引したとき、前記分岐ワイヤ部が前記先端開口部に当接することにより、前記分岐ワイヤ部同士の間隔が狭まる上記(10)に記載の医療器具。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0031】
<第1実施形態>
図1および図2は、それぞれ、本発明の血管内異物除去用ワイヤの第1実施形態を示す平面図および側面図、図3ないし図6は、それぞれ、図1および図2に示す血管内異物除去用ワイヤの使用方法を順を追って説明するための図である。
なお、以下の説明では、図1〜図6中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
【0032】
図1および図2に示す血管内異物除去用ワイヤ1Aは、血管内の血栓、血餅等の塞栓の原因となる異物(以下、「塞栓物」と言う)を捕捉して除去するものである。
【0033】
この血管内異物除去用ワイヤ1Aは、長尺なワイヤ本体2と、ワイヤ本体2の先端に設けられ、血管100内の塞栓物200を捕捉可能な捕捉部3とを有している。以下、各部の構成について説明する。
【0034】
ワイヤ本体2は、全長に渡って適度な剛性および弾性(可撓性)を有している。
【0035】
ワイヤ本体2の構造としては、特に限定されず、例えば、単線からなるもの、複数本を束ねたもの、中空状のもの、多層構造のもの、芯材とその外周に巻回されたコイルとを有するもの、これらを組み合わせたものなどであってもよい。
【0036】
また、ワイヤ本体2の構成材料としては、特に限定されず、各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。
【0037】
このワイヤ本体2としては、市販の(既存の)ガイドワイヤ(カテーテル等を生体内の目的部位に誘導するワイヤ)、公知のガイドワイヤを流用することもできる。例えば、超弾性合金のテーパー線を芯線に用いたプラスチックタイプガイドワイヤ(例えばテルモ(株)製の商品名「ラジフォーカスガイドワイヤ」等)や、特表平9−508538号に記載された超弾性遠端部を有するガイドワイヤ等を好適に用いることができる。
【0038】
ワイヤ本体2の長さは、適用する血管の位置、太さ等の症例によってもその好ましい値は異なるが、通常、500〜4000mm程度が好ましく、1500〜2200mm程度がより好ましい。
【0039】
また、ワイヤ本体2は、基端側に位置し、比較的硬い第1の部位と、先端側に位置し、比較的柔軟な第3の部位と、前記第1の部位と前記第3の部位との間に位置し、可撓性が変化する第2の部位とを有するものであることが好ましい。換言すれば、ワイヤ本体2は、剛性(曲げ剛性、ねじり剛性等)が基端から先端に向かって漸減するようなものであるのが好ましい。これにより、手元での操作が先端部まで確実に伝達し、血管内での走行性や屈曲部での操作性に優れるとともに、先端部の柔軟性を向上し、血管の損傷を防ぐことができる。すなわち、ワイヤ本体2のトルク伝達性、押し込み性(プッシャビリティ)、耐キンク性(耐折れ曲がり性)を維持しつつ、より高い安全性を確保することができる。
【0040】
ワイヤ本体2の外径(太さ)は、適用する血管の位置、太さ等の症例によってもその好ましい値は異なるが、通常、平均外径が0.1〜2.0mmであるのが好ましく、0.25〜0.9mmであるのがより好ましい。
【0041】
特に、マイクロカテーテルに挿入して使用する血管内異物除去用ワイヤ1Aの場合には、ワイヤ本体2の平均外径は、0.1〜0.53mm(0.004〜0.021インチ)程度が好ましく、0.25〜0.46mm(0.010〜0.018インチ)程度がより好ましい。
【0042】
ここで、マイクロカテーテルとは、外径4Fr.(フレンチ)未満の血管内処置診断用カテーテルを言い、4Fr.以上の血管造影カテーテル、ガイディングカテーテル等と明確に区別されるものである。なお、4Fr.=約1.33mmである。
【0043】
言うまでもなく、本発明は、前記マイクロカテーテルに適合するようなものに限らず、例えば造影カテーテルやガイディングカテーテルに適合するような、大血管における異物回収用等に用いるものに適用することができる。
【0044】
ワイヤ本体2の外面(表面)には、カテーテル8の内面との摩擦抵抗を軽減する被覆層が設けられていてもよい。これにより、カテーテル8に対する挿入・抜去をよりスムーズに行うことができる。この被覆層としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂の被覆層(テフロンコート)や、湿潤時に潤滑性を有する親水性ポリマーコート等が挙げられる。
【0045】
このようなワイヤ本体2の先端側には、捕捉部3が設けられている。
捕捉部3は、自然状態では、図1および図2に示すように幅が拡大した(開いた)状態(この状態を以下「拡径状態」と言う)になっている。この拡径状態では、捕捉部3は、血管100内の塞栓物200を捕捉可能な空間(凹部)31を有する形状をなす。
【0046】
捕捉部3は、拡径状態から、折り畳まれるようにして、カテーテル8内に収納可能な大きさ(幅)に縮小した状態(この状態を以下「縮径状態」と言う)に変形可能になっている。
【0047】
このような捕捉部3は、自身の弾性により、縮径状態から拡径状態へと変形可能になっている。
【0048】
以下では、特に断らない限り、捕捉部3の形状、大きさについての説明は、拡径状態におけるものである。
【0049】
捕捉部3は、ワイヤ本体2の先端から分岐するように(互いに離間するように)延設された2本の分岐ワイヤ部4a、4bと、分岐ワイヤ部4aと分岐ワイヤ部4bとの間に架設された複数のフィラメント部5とで構成されている。
【0050】
分岐ワイヤ部4a、4bの基端部は、それぞれ、ワイヤ本体2の先端部に固定(固着)されている。この固定の方法は、特に限定されないが、例えば、分岐ワイヤ部4a、4bの基端部をそれぞれワイヤ本体2の先端部に編み付け(巻き付け)、ロウ付け等の溶接、接着剤による接着等を施すことにより固定することができる。
【0051】
本実施形態では、ワイヤ本体2の先端部には、分岐ワイヤ部4a、4bのワイヤ本体2に対する固定部(ロウ付け部)を覆うコイル21が設けられている。コイル21の外表面は、平滑になっており、これにより、より高い安全性が得られる。コイル21は、例えばプラチナ(白金)線等を巻回して形成されたものであることが好ましい。
【0052】
図1に示すように、分岐ワイヤ部4a、4bの先端部同士は、接続されている。すなわち、分岐ワイヤ部4aの先端部は、分岐ワイヤ部4bの先端部に連続している。これにより、分岐ワイヤ部4a、4bは、全体としてループ状(環状)をなしている。これにより、塞栓物200を捕捉したとき、分岐ワイヤ部4a、4bの先端部が塞栓物200を先端側から覆うこととなり、塞栓物200をより確実に保持することができる。
【0053】
分岐ワイヤ部4aと分岐ワイヤ部4bとの間には、線状をなす複数(本実施形態では4本)のフィラメント部5が架け渡されるように設けられている。これらのフィラメント部5は、好ましくはほぼ等間隔で設置されている。
【0054】
このような構成により、捕捉部3は、図1に示す平面視でほぼ梯子状をなしている。
【0055】
また、フィラメント部5は、分岐ワイヤ部4a、4bに対し、図2中の下側に垂れ下がる(ぶら下がる)ように湾曲して設けられている。すなわち、フィラメント部5は、分岐ワイヤ部4aと分岐ワイヤ部4bとの間に懸架されている。
【0056】
分岐ワイヤ部4a、4bおよびフィラメント部5がこのように配置されていることによって、捕捉部3には、塞栓物200を捕捉する空間(凹部)31が形成されている。
【0057】
血管内異物除去用ワイヤ1Aは、この空間31に塞栓物200を収納するようにして捕捉する。これにより、一旦捕捉した塞栓物200が脱落(離脱)するようなことがなく、確実に塞栓物200を除去することができる。
【0058】
フィラメント部5の設置本数は、特に限定されないが、2〜20本であるのが好ましく、2〜6本であるのがより好ましい。
【0059】
本実施形態では、分岐ワイヤ部4a、4bは、それぞれ、複数(好ましくは、2〜6本程度)の素線(線状体)を撚り合わせてなる撚り線で構成されている。
そして、フィラメント部5の分岐ワイヤ部4a、4bに対する固定部(両端部)は、分岐ワイヤ部4a、4bを構成する撚り線に挟み込まれた(撚り合わされた)状態で固定されている。このような構成より、フィラメント部5を分岐ワイヤ部4a、4bに対し簡単かつ強固に固定することができる。
【0060】
本発明では、捕捉部3の大きさは、自由に設定することができ、その好ましい大きさは、適用する血管の太さ等の症例によっても異なるが、通常、次の通りである。図1中のLで示す捕捉部3の全長は、2〜40mmであるのが好ましく、4〜20mmであるのがより好ましい。また、図1中のWで示す捕捉部3の外径(幅)は、1〜30mmであるのが好ましく、2〜5mmであるのがより好ましい。
【0061】
特に、脳梗塞の頻発部位である中大脳動脈終末部(M1ポーション)に対して使用するものの場合には、捕捉部3の大きさは、全長(図1中のLで示す長さ)5〜10mm程度、外径(図1中のWで示す長さ)3〜5mm程度であるのが好ましい。中大脳動脈終末部においては、血管内径は4mm程度であり、医師らの経験によれば塞栓している血栓の大きさは外径4mm、長さ7mm程度のものが多いと言われている。
【0062】
前述したように、捕捉部3は、カテーテル8のルーメン(内腔)に挿通(挿入)可能な縮径状態に変形可能になっている。本発明では、捕捉部3が前述したような比較的簡単な構造になっていることから、縮径状態における捕捉部3の細径化に有利である。
【0063】
特に、本発明では、比較的高剛性な(比較的太い)分岐ワイヤ部4a、4bが捕捉部3の拡径状態への復元を確実に生じさせ、比較的柔軟な(比較的細い)フィラメント部5が塞栓物200の脱落等を防止して確実に保持することから、塞栓物200を捕捉する確実性と、縮径状態における細径化とを両立することができる。
【0064】
また、捕捉部3を通常のガイドワイヤとほぼ同じ程度に細径化することが可能であることから、血管内異物除去用ワイヤ1Aは、既存のマイクロカテーテルと組み合わせて使用可能なものとすることもできる。
【0065】
捕捉部3の拡径状態における外径(前記W)と、縮径状態における外径(幅)W’との比W/W’の値は、1〜20程度であるのが好ましく、1〜10程度であるのがより好ましい。
【0066】
また、特にマイクロカテーテルに挿入して用いられるものの場合には、縮径状態における外径W’は、0.53mm(0.021インチ)以下であることが好ましく、0.46mm(0.018インチ)以下であることがより好ましい。
【0067】
捕捉部3がカテーテル8内に収納された状態から、ワイヤ本体2をカテーテル8に対し前進させ、捕捉部3をカテーテル8の先端開口部81から突出(露出)させると、捕捉部3は、自身の弾性により、縮径状態から拡径状態に復元する。
【0068】
この状態から、ワイヤ本体2をカテーテル8に対し基端方向に牽引すると、分岐ワイヤ部4a、4bの基端部が先端開口部81(の縁部)に当接しつつ、カテーテル8内に入り込むことにより、分岐ワイヤ部4a、4b同士の間隔が狭まる。
【0069】
ワイヤ本体2をカテーテル8に対しさらに基端方向に牽引すると、捕捉部3は、分岐ワイヤ部4a、4bの間隔を狭めつつ、自動的に縮径状態となってカテーテル8内に再度収納される。
【0070】
このように、捕捉部3は、カテーテル8の先端開口部81から出入りするのに伴なって、自動的に拡径状態と縮径状態とに変形(変位)することができる。
【0071】
捕捉部3の構成材料としては、各種金属材料であるのが好ましく、例えば、ステンレス鋼(SUS304等)、βチタン鋼、Co−Cr合金、ピアノ線、プラチナ−イリジウム合金、ニッケルチタン合金等のバネ性を有する合金が挙げられる。
【0072】
前記各種金属材料の中でも、捕捉部3の構成材料としては、特に、生体内で超弾性を示す合金が好ましい。これにより、捕捉部3の縮径状態から拡径状態への変形(変位)をより確実に生起させることができるとともに、拡径状態においてより正確な復元形状が得られる。
【0073】
ここで、生体内で超弾性を示す合金とは、少なくとも生体温度(37℃付近)において、通常の金属が組成変形する領域まで変形(曲げ、引っ張り、圧縮)させても、ほぼ元の形に回復する性質を有するものを言い、形状記憶合金、超弾性合金等とも言われるものである。
【0074】
形状記憶合金、超弾性合金としては、特に限定されないが、例えば、チタン系(Ti−Ni、Ti−Pd、Ti−Nb−Sn等)や、銅系の合金が好ましい。
その好ましい組成としては、例えば、30〜52原子%程度のチタン、残量ニッケル、および10原子%以下の1つ以上の追加合金要素からなるものが挙げられる。前記追加合金要素としては、特に限定されないが、例えば、鉄、コバルト、白金、パラジウムまたはクロムそれぞれ3原子%以下、銅またはバナジウムそれぞれ10原子%以下、よりなる群から選択することができる。
【0075】
また、超弾性合金としては、常温または体温(37℃付近)でオーステナイト相であり、応力に付されるとマルテンサイト相に変態するもの(体温近傍で応力誘起オーステナイト−マルテンサイト相変態を示すもの)であるのが特に好ましい。
【0076】
また、フィラメント部5の構成材料としては前述したもののなかでも、細径化が図れることとX線造影性を付与することができることから、貴金属のバネ合金や、ニッケルチタン超弾性合金またはPtIr10と言われるプラチナ合金の極細線であるのが好ましい。フィラメント部5の構成材料としては、このほか、樹脂製のモノ・マルチ繊維やプラチナ合金線等も用いることができる。
【0077】
分岐ワイヤ部4a、4bの外径は、特に限定されないが、0.05〜0.9mmであるのが好ましく、0.3〜0.5mmであるのがより好ましい。ここで、分岐ワイヤ部4a、4bの外径とは、撚り線部については、全体の外径を言う。
【0078】
また、フィラメント部5の外径は、特に限定されないが、0.025〜0.2mmであるのが好ましく、0.05〜0.1mmであるのがより好ましい。
【0079】
また、捕捉部3の表面には、滑り止め手段が設けられていてもよい。これにより、捕捉した塞栓物200をより確実に保持することができる。この滑り止め手段としては、比較的摩擦係数の高いゴム等の弾性材料を被覆したり、微小の凹凸(粗面も含む)を例えばサンドブラスト等により形成したりすることができる。
【0080】
なお、本発明の医療器具9は、このような血管内異物除去用ワイヤ1A(1B〜1E)と、カテーテル8とを有するものである。
【0081】
次に、本発明の血管内異物除去用ワイヤ1Aの使用方法の一例について詳細に説明する。
【0082】
[1] 図3は、血管100内に血栓等の塞栓物200が詰まり、血流を阻害している状態を示している。塞栓物200は、血圧により血管100の内壁に押し付けられ、容易に移動しない状態になっている。
【0083】
カテーテル(マイクロカテーテル)8と、そのルーメン内に挿通されたガイドワイヤ10とを、血管100内に挿入し、カテーテル8の先端開口部81から突出させたガイドワイヤ10の先端部101を塞栓物200より奥(末梢側)まで挿入する。すなわち、ガイドワイヤ10の先端部101が塞栓物200と血管100の内壁との隙間を通り抜けて、塞栓物200を越えた状態とする。この操作は、ガイドワイヤ10として、例えば潤滑性に優れるマイクロガイドワイヤを使用することにより、より容易に行うことができる。
【0084】
[2] ガイドワイヤ10の先端部101が塞栓物200を越えたら、ガイドワイヤ10に対しカテーテル8を前進させ、図4に示すように、カテーテル8の先端部を塞栓物200と血管100の内壁との隙間に入り込ませる。このとき、カテーテル8の先端部は、ガイドワイヤ10に沿って円滑に隙間に入り込むので、この操作は容易に行うことができる。
【0085】
なお、従来の治療としては、この状態でカテーテル8を介して逆行性に血栓溶解剤を流し、血栓溶解を速めることが行なわれてきたが、血栓溶解剤で溶けない血栓があることや溶解に長時間かかることがしばしば医師により経験されている。本発明は、そのような場合にも有用である。
【0086】
[3] 図4に示す状態から、ガイドワイヤ10を抜去し、カテーテル8のルーメンに本発明の血管内異物除去用ワイヤ1Aを挿入する。図5に示すように、捕捉部3をカテーテル8の先端開口部81から突出させると、縮径状態でカテーテル8内にあった捕捉部3は、自身の弾性により自動的に展開し、拡径状態となる。捕捉部3が拡径状態になると、塞栓物200を捕捉する空間31が形成される。
【0087】
[4] 図5に示す状態から、カテーテル8を僅かに基端方向に移動させ、カテーテル8の先端部を塞栓物200の手前に引き戻すと、図6に示すように、捕捉部3の空間31に塞栓物200がすくい取られるようにして、捕捉(収納)される。すなわち、塞栓物200は、図5および図6中の上側から空間31に入り込む。
【0088】
[5] 捕捉部3に塞栓物200が収納されたら、カテーテル8に対しワイヤ本体2を基端方向に牽引する。これにより、分岐ワイヤ部4a、4bの基端部が先端開口部81(の縁部)に当接して互いの間隔を狭めつつカテーテル8内に引き込まれ、分岐ワイヤ部4a、4bの形成するループが小さくなる。よって、塞栓物200は、分岐ワイヤ部4a、4bによって締め付けられる。
【0089】
この締め付け力により、フィブリン等の軟質血栓は、破砕することができ、血管100の閉塞を解消することができる。破砕されない塞栓物200は、この締め付け力によって、より確実に捕捉部3に保持され、捕捉部3からの脱落(離脱)を防止しつつ、確実に回収することができる。
【0090】
[6] 前記の締め付け状態を維持しつつ、血管内異物除去用ワイヤ1Aをカテーテル8とともに抜去する。これにより、親のガイディングカテーテルまたはシースイントロデューサー(図示せず)内に塞栓物200が回収(除去)される。
【0091】
なお、[5]の締め付けの操作を行わず、捕捉部3内に塞栓物200が収納されたら、そのまま血管内異物除去用ワイヤ1Aをカテーテル8とともに抜去して、塞栓物200を除去してもよい。
【0092】
<第2実施形態>
図7および図8は、それぞれ、本発明の血管内異物除去用ワイヤの第2実施形態における捕捉部を示す平面図および側面図、図9は、図7および図8に示す血管内異物除去用ワイヤで塞栓物を捕捉した状態を示す図である。なお、以下の説明では、図7〜図9中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
【0093】
以下、これらの図を参照して本発明の血管内異物除去用ワイヤの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0094】
本実施形態の血管内異物除去用ワイヤ1Bは、捕捉部3の形状が異なる以外は前記第1実施形態と同様である。
【0095】
図7に示すように本実施形態の捕捉部3においては、分岐ワイヤ部4a、4bは、それぞれ、独立して形成されている。すなわち、分岐ワイヤ部4a、4bの先端部同士は、互いに接続されていない。
【0096】
分岐ワイヤ部4a、4bは、図8に示す側面視で、同じ方向(図8中上向き)に湾曲している。これにより、血管100から血管内異物除去用ワイヤ1Bを抜去する際等に、一旦捕捉した塞栓物200が脱落(離脱)するのをより確実に防止することができる。
【0097】
分岐ワイヤ部4aと分岐ワイヤ4bとの間には、複数(本実施形態では、4本)のフィラメント部5がそれぞれ架設されている。
【0098】
フィラメント部5は、図8に示す側面視で、分岐ワイヤ部4a、4bの湾曲外側に向かって突出するように、湾曲した形状をなしている。
【0099】
図9に示すように、捕捉部3に塞栓物200を捕捉したとき、フィラメント部5は、塞栓物200を先端側から覆う。これにより、塞栓物200をより確実に保持することができる。
【0100】
また、前記第1実施形態と同様に、捕捉部3に塞栓物200を捕捉した状態でカテーテル8に対しワイヤ本体2を基端方向に牽引することにより、塞栓物200を締め付けて破砕したり、より確実に保持したりすることができる。
【0101】
本実施形態では、分岐ワイヤ部4a、4bが湾曲した形状をなしていることにより、分岐ワイヤ部4a、4bの先端部で血管100の内壁にダメージを与えるのを防止することができる。
【0102】
また、分岐ワイヤ部4a、4bの先端部41a、41bは、それぞれ、内側に丸められるように折り曲げられている。これにより、より高い安全性が得られる。
【0103】
<第3実施形態>
図10および図11は、それぞれ、本発明の血管内異物除去用ワイヤの第3実施形態における捕捉部を示す平面図および側面図、図12は、図11中のX−X線での横断面図、図13は、図10および図11に示す血管内異物除去用ワイヤで塞栓物を捕捉した状態を示す図である。なお、以下の説明では、図10および図11中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
【0104】
以下、これらの図を参照して本発明の血管内異物除去用ワイヤの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0105】
本実施形態の血管内異物除去用ワイヤ1Cは、捕捉部3の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0106】
本実施形態の捕捉部3においては、分岐ワイヤ部4a、4bとフィラメント部5とは、ワイヤ本体2の先端からループ状(環状)に設けられた複数(本実施形態では6本)のループワイヤ6で形成されている。
【0107】
本実施形態では、図10〜図12に示すように、複数のループワイヤ6(の基端部)が並列的に(ほぼ平行に)配置されている。これにより、各ループワイヤ6の基端部がカテーテル8内に入り込んだとき、それぞれほぼ同じ方向に変位して間隔が狭まるため、塞栓物200を締め付ける力が同じ方向に作用し、より確実に塞栓物200を捕捉(保持)することができる。
【0108】
このような複数のループワイヤ6の一方の基端部は、一体的に集められて分岐ワイヤ部4aを形成し、他方の基端部は、一体的に集められて分岐ワイヤ部4bを形成している。このため、図12に示すように、ワイヤ本体2の中心軸23を挟んで分岐ワイヤ部4a、4bが反対側に(対向して)配置される。これにより、図11に示す厚みtを最小限にすることができ、捕捉部3の形状が極めてコンパクトになり、縮径状態における細径化に有利となる。なお、図示のように、ループワイヤ6の両方の基端部をそれぞれ密着させて一体に揃えることが好ましい。
【0109】
図11に示す側面視では、各ループワイヤ6は、途中で外側(図11中の上・下)に向かって屈曲(または湾曲)している。複数のループワイヤ6における、この屈曲部から先端側の部分は、互いに離間して、フィラメント部5を形成している。また、この屈曲角度(外側への反りの度合い)は、各ループワイヤ6によって異なっており、図示の構成では、外側のループワイヤ6ほど屈曲角度が大きくされている。
このような構成により、捕捉部3は、全体として、籠状に形成されている。
【0110】
なお、複数のループワイヤ6は、その少なくとも一部が途中で外側に屈曲(または湾曲)していればよい。例えば、外側のループワイヤ6のみ湾曲させ、これら外側のループワイヤ6に挟まれた(中央部の)ループワイヤ6は、湾曲していなくてもよい。
【0111】
また、図10に示すように、フィラメント部5の先端部は、滑らかに湾曲した形状をなしている。これにより、血管100の内壁にダメージを与えるのを防止することができ、より安全性が高い。
【0112】
本実施形態では、図11中の上・下の両側から塞栓物200を空間31に捕捉することができる。これにより、より容易な操作でより確実に塞栓物200を捕捉することができる。
【0113】
本実施形態では、ループワイヤ6の設置本数は、特に限定されないが、2〜20本であるのが好ましく、4〜10本であるのがより好ましい。また、ループワイヤ6の外径(平均外径)は、特に限定されないが、0.025〜0.2mmであるのが好ましく、0.05〜0.1mmであるのがより好ましい。
【0114】
<第4実施形態>
図14は、本発明の血管内異物除去用ワイヤの第4実施形態における捕捉部を示す斜視図である。
【0115】
以下、同図を参照して本発明の血管内異物除去用ワイヤの第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0116】
本実施形態の血管内異物除去用ワイヤ1Dにおける捕捉部3は、前記第3実施形態と同様に、複数(本実施形態では3本)のループワイヤ6で形成されている。
【0117】
前記第3実施形態との相違点は、分岐ワイヤ部4a、4bがそれぞれループワイヤ6の基端部を撚り合わせて形成されている点にある。すなわち、複数のループワイヤ6の一方の基端部同士は、一体に撚り合わされて分岐ワイヤ部4aを形成しており、他方の基端部同士は、一体に撚り合わされて分岐ワイヤ部4bを形成している。
【0118】
また、図14中上側と下側のフィラメント部5は、分岐ワイヤ部4a、4bに対して、外側に屈曲(または湾曲)して(傾斜して)設けられている。
【0119】
このような構成により、本実施形態では、前記第3実施形態と比べ、分岐ワイヤ部4a、4bを構成する複数のループワイヤ6が互いにバラけることがないことから、拡径状態における捕捉部3の形状をより正確に維持することができ、塞栓物200をより確実に保持することができる。
【0120】
<第5実施形態>
図15および図16は、それぞれ、本発明の血管内異物除去用ワイヤの第5実施形態を示す平面図および側面図である。なお、以下の説明では、図15および図16中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
【0121】
以下、同図を参照して本発明の血管内異物除去用ワイヤの第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0122】
本実施形態の血管内異物除去用ワイヤ1Eは、分岐ワイヤ部4a、4b(ループワイヤ6の一体に撚り合わされた2つの基端部)を束ねる部材を有すること以外は、前記第4実施形態と同様である。
【0123】
すなわち、本実施形態では、分岐ワイヤ部4a、4bの基端部(基端側の部位)を束ねるコイル32が設けられており、分岐ワイヤ部4a、4bの基端部は、このコイル32で覆われている。コイル32は、X線不透過材料で構成されている。これにより、捕捉部3の位置をX線透視下で確認することが可能になる。
【0124】
また、ワイヤ本体2の先端部外周には、コイル22が設けられている。
コイル32の基端部は、コイル22の先端部に対し、例えばロウ付け等の溶接、接着剤による接着等を施すことにより固定されており、コイル22の基端部は、ワイヤ本体2に対し例えばロウ付け等の溶接、接着剤による接着等を施すことにより固定されている。
【0125】
コイル32およびコイル22の外表面は、それぞれ平滑になっており、これにより、血管壁を傷つけるようなことがなく、より高い安全性が得られる。
【0126】
また、コイル32およびコイル22は、他に、例えばカテーテル8内での摺動抵抗低減によるワイヤ本体2の操作性を向上する機能を有している。
【0127】
このコイル32およびコイル22の外径は、それぞれ、特に限定されないが、0.3〜0.6mmであるのが好ましく、0.4〜0.5mmであるのがより好ましい。
【0128】
コイル32およびコイル22の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、各種金属材料であるのが好ましい。
【0129】
例えば、コイル32をプラチナ(白金)コイル、コイル22をステンレスコイルとすることができる。これにより、X線透視下における視認性を向上する効果が得られる。
【0130】
また、フィラメント部5の先端部は、屈曲することなく、滑らかに湾曲した形状をなしている。これにより、血管100の内壁にダメージを与えるのを防止することができ、より安全性が高い。
【0131】
なお、本実施形態では、分岐ワイヤ部4a、4bのほぼ全体がコイル32で覆われていてもよい。
【0132】
また、本実施形態では、前記第3実施形態および第4実施形態と同様に、複数のループワイヤ6(の基端部)が並列的に(ほぼ平行に)配置されている。これにより、各ループワイヤ6の基端部(分岐ワイヤ部4a、4b)がカテーテル8内に入り込んだとき、それぞれほぼ同じ方向に変位して間隔が狭まるため、塞栓物200を締め付ける力が同じ方向に作用し、より確実に塞栓物200を捕捉(保持)することができる。
【0133】
以上、本発明の血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、血管内異物除去用ワイヤおよび医療器具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
【0134】
例えば、分岐ワイヤ部は、ワイヤ本体の先端から3本以上に分岐するように設けられていてもよい。
【0135】
また、分岐ワイヤ部およびフィラメント部の配置は、図示のような構成に限らず、例えば、少なくとも2本のフィラメント部が互いに交差するように配置されているようなものであってもよい。
【0136】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、簡単な構造で、血管にダメージを与えることなく、血管内の塞栓物を確実に捕捉して除去することができる。
【0137】
また、縮径状態における細径化にも有利であり、細い血管に対しても適用可能である。
【0138】
また、カテーテルに対しワイヤ本体を基端方向に牽引したとき、分岐ワイヤ部がカテーテルルーメンの先端開口部に当接して分岐ワイヤ部同士の間隔が狭まるよう構成した場合には、捕捉部で塞栓物を締め付けることができ、これにより、塞栓物を破砕したり、塞栓物をより確実に保持したりすることができる。
【0139】
以上のようなことから、本発明は、特に、血栓溶解剤で溶解不能な血栓を短時間で回収することができ、一刻を争う脳塞栓の治療器具として、非常に有用である。
【0140】
また、本発明は、血栓溶解剤の利かない虚血性の疾患(静脈塞栓、動脈塞栓)にも有用であり、捕捉部の形態・大きさを適宜選択することにより、様々な血管内の塞栓物を除去するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血管内異物除去用ワイヤの第1実施形態を示す平面図である。
【図2】本発明の血管内異物除去用ワイヤの第1実施形態を示す側面図である。
【図3】図1および図2に示す血管内異物除去用ワイヤの使用方法を順を追って説明するための図である。
【図4】図1および図2に示す血管内異物除去用ワイヤの使用方法を順を追って説明するための図である。
【図5】図1および図2に示す血管内異物除去用ワイヤの使用方法を順を追って説明するための図である。
【図6】図1および図2に示す血管内異物除去用ワイヤの使用方法を順を追って説明するための図である。
【図7】本発明の血管内異物除去用ワイヤの第2実施形態における捕捉部を示す平面図である。
【図8】本発明の血管内異物除去用ワイヤの第2実施形態における捕捉部を示す側面図である。
【図9】図7および図8に示す血管内異物除去用ワイヤで塞栓物を捕捉した状態を示す図である。
【図10】本発明の血管内異物除去用ワイヤの第3実施形態における捕捉部を示す平面図である。
【図11】本発明の血管内異物除去用ワイヤの第3実施形態における捕捉部を示す側面図である。
【図12】図11中のX−X線での横断面図である。
【図13】図10および図11に示す血管内異物除去用ワイヤで塞栓物を捕捉した状態を示す図である。
【図14】本発明の血管内異物除去用ワイヤの第4実施形態における捕捉部を示す斜視図である。
【図15】本発明の血管内異物除去用ワイヤの第5実施形態を示す平面図である。
【図16】本発明の血管内異物除去用ワイヤの第5実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
1A〜1E 血管内異物除去用ワイヤ
2 ワイヤ本体
21、22 コイル
23 中心軸
3 捕捉部
31 空間
32 コイル
4a、4b 分岐ワイヤ部
41a、41b 先端部
5 フィラメント部
6 ループワイヤ
8 カテーテル
81 先端開口部
9 医療器具
10 ガイドワイヤ
101 先端部
100 血管
200 塞栓物

Claims (11)

  1. 可撓性を有する長尺なワイヤ本体と、
    前記ワイヤ本体の先端から分岐する少なくとも2つの分岐ワイヤ部と、
    前記分岐ワイヤ部間に架設された複数のフィラメント部とを有し、
    前記分岐ワイヤ部および前記フィラメント部により、血管内の異物を捕捉する空間が形成され
    前記分岐ワイヤ部および前記フィラメント部は、前記ワイヤ本体の先端からループ状に延設された複数のループワイヤから形成されており、
    前記各ループワイヤの一方の基端部同士と、他方の基端部同士とは、それぞれ、一体に撚り合わされており、
    前記ループワイヤの先端部同士は、互いに離間して前記フィラメント部を形成していることを特徴とする血管内異物除去用ワイヤ。
  2. 前記ループワイヤの一体に撚り合わされた前記基端部が前記分岐ワイヤ部を構成している請求項1に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
  3. 前記ループワイヤの一体に撚り合わされた2つの前記基端部を束ねる部材を有する請求項1または2に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
  4. 前記束ねる部材は、前記ループワイヤの一体に撚り合わされた2つの前記基端部を覆うように設けられたコイルである請求項3に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
  5. 前記複数のループワイヤのうちの少なくとも1つのループワイヤは、前記2つの分岐ワイヤ部が存在する平面上に位置する請求項1ないし4のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
  6. 前記ループワイヤは、それぞれ、前記分岐ワイヤ部同士間と前記フィラメント部同士間とがそれぞれ狭まる縮径状態と、該縮径状態よりも前記分岐ワイヤ部同士間と前記フィラメント部同士間とがそれぞれ拡大して前記空間が形成され、該空間内に前記異物を捕捉可能な拡径状態とを取り得る請求項1ないし5のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
  7. 前記分岐ワイヤ部は、それぞれ、前記各フィラメント部よりも剛性が高いものであり、前記捕捉部が前記縮径状態から拡径状態に復元する際、その復元力のほとんどを担っている請求項6に記載の血管内異物除去用ワイヤ。
  8. 当該血管内異物除去用ワイヤは、カテーテルに挿入されるものであり、
    前記ワイヤ本体の表面には、前記カテーテルの内周面との摩擦抵抗を軽減する被覆層が設けられている請求項1ないし7のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
  9. 前記各分岐ワイヤ部および前記各フィラメント部の表面には、それぞれ、捕捉した前記異物が滑るのを防止する滑り止め手段が設けられている請求項1ないし8のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤ。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の血管内異物除去用ワイヤと、前記血管内異物除去用ワイヤを収納可能なルーメンを備えたカテーテルとを有することを特徴とする医療器具。
  11. 前記ワイヤ本体を前記ルーメン内に収納し、かつ前記分岐ワイヤ部を前記ルーメンの先端開口部から突出させた状態から、前記ワイヤ本体を基端方向に牽引したとき、前記分岐ワイヤ部が前記先端開口部に当接することにより、前記分岐ワイヤ部同士の間隔が狭まる請求項10に記載の医療器具。
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