JP2007000127A - 農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】農業用ハウス域への侵入害虫を低減させ、ハウス栽培に必須な、農業用ハウス内における殺虫剤による害虫処理の回数頻度を低減化することが可能となる農業用ハウスの形成方法の提供。
【解決手段】農業用ハウス内に、害虫非好性剤を内包する袋形パケット20、あるいは害虫非好性剤を内包する立体開口容器22を、ほぼ等間隔に複数個設置する。これらの気散包体から害虫非好性物質が気散され、農業用ハウス域を害虫非好性空域とする。気散包体を数日から数十日の間隔で追加することにより、農業ハウス内の空域を害虫非好性空域に維持する。
【選択図】図2

Description

本発明は、農作物などのハウス栽培における農業用ハウス、さらに詳しくは農業害虫防除対策を具備している農業用ハウスに係わる。
農業用ハウスを対象とした農業害虫(以下、害虫と称する)の防除法に関しては、各種方法や仕組みが知られているが、大別して二つの方法に分類される。
一方は、農業ハウス内に殺虫剤や害虫忌避剤を配する方法や仕組みであり、他方は主として物理的に農業ハウス内への害虫の侵入を防ぐ方法や仕組みである。
次に、前記する農業ハウスなどを対象とした害虫防除の関連文献の例を示す。
実用新案登録3101986 特開2002−160728 特開2002−125481 特開平8−231289 なお、引用文献からの引用文、およびその説明は、前記引用文の表現をそのまま用いるものとする。
「特許文献1」の考案者は、本発明の発明者と同一人であり、「特許文献1」の段落番号「0012」に、「図1に描く如く、ポ−ラス(微多孔)構造で通気性が高い、不織布、紙、編織布、あるいは微細穿孔樹脂シ−トから成る袋状パケット1の部分に、少なくとも防虫効能を有し、必要に応じ、加えて抗菌効能あるいは小動物忌避効能、あるいは加えて抗菌効能および小動物忌避効能を有するハ−ブ精油が、図2に描くように、チップ基材に含浸されて成る、偏平形、顆粒形、あるいはペレット形のハ−ブ精油含浸チップ9が内包されている。」、と開示している。
また、「特許文献1」の段落番号「0031」には、「次に本考案に適用できるハ−ブ、ハ−ブ精油、およびハ−ブ精油含浸チップについて説明する。」とし、前記説明を開示している段落番号「0003」〜「0008」に、ハ−ブ精油の記載があり、前記記載を要約すると、シトロネラ、スペアミント、カユプテ、ゼラニウム、パチュリ、ニ−ムからの植物精油、またテレピン油の7種の例をあげ、単独または複数種ブレンドしたもの、と記載している。
「特許文献1」は、少なくとも防虫効能を有し、あるいは、加えて抗菌効能あるいは小動物忌避効能、あるいは、抗菌効能および小動物忌避効能を有するハ−ブ精油が存在することの開示であり、またこれを利用したパケットの開示である。
「特許文献2」の「要約」項の「解決手段」に、「通常の差込みサック式と通称する直方体状の紙箱において、後面板3の上辺に、上面板5と同形の傾斜板8と差込み片6と同形の繋止切込みa、aがない吊下げ片9とを、折り目線b、cを介して順に連設して、その差込み片6と吊下げ片9との中央部に、吊下げ孔d、dを設けて、加えて前面板3との適宜の位置に、それぞれつまみe付の適宜の開口切れ目線f、fを設けた吊下げ式の紙箱である」、と開示されている。
また、前記紙箱の効果として、「特許文献2」の段落番号「0027」に、「・・前面板、後面板を垂直に吊下げることによって、吊下げ式紙箱の前面板に、収容した内容物が密着する恐れがなく・・」、と開示されている。
「特許文献2」は、栽培ハウス内において、防虫剤、防黴剤などの農薬を収容し、吊下げて散布又は揮散させる紙箱に関する開示である。
「特許文献3」の段落番号「0008」に、「・・屋根に設けられた開閉機能を有する排気手段、土壌面の上方に位置し土壌面にほぼ平行にある暖冷気分離用カ−テン、外気導入用ファン、外気濾過用フィルタ−、出入り用暗室および水封式排水手段とを備えていることを特徴とする無農薬用グリ−ンハウス・・」、と開示されている。
また、「特許文献3」の段落番号「0009」に、「・・グリ−ンハウス内に、外気導入用ファンを用いて、外気濾過用フィルタ−を通して病害虫を除去した清浄な外気を送り込み、該ハウス内を常に正圧に保ちながら排気手段の開閉を行う・・」、と開示されている。
「特許文献3」は、農業ハウス内への害虫の侵入を防ぐ方法に関する開示であり、ハウス外部と前記ハウス内部との境界に、外気濾過用フィルタ−などを設置するなどして、物理的方法でハウス内に害虫の侵入を防ぐ方法の開示である。
「特許文献4」の段落番号「0008」に、「昇華性を有する葉面吸収栄養剤と防虫剤とを、ビニルハウス等の中で同時に空気中に気化拡散させ、農作物の葉面から栄養分を吸収させると共に、ビニルハウス内の害虫等を駆除することを特徴とする・・」、との開示がある。
また、「特許文献4」には、前記葉面吸収栄養剤と防虫剤に関し、段落番号「0010〜0016」に、「上記葉面吸収栄養剤を炭酸アンモニウムとした。上記葉面吸収栄養剤を重炭酸アンモニウムとした。上記葉面吸収栄養剤を酢酸アンモニウムとした。上記葉面吸収栄養剤を尿素とし、加熱により気化させた。上記防虫剤をパラクロルベンゼンとした。上記防虫剤を樟脳とした。上記防虫剤をナフタリンとした。」、と開示されている。
また、「特許文献4」に、前記混合薬剤のビニルハウス内への設置方法に関し次の開示がある。
すなわち、段落番号「0027」に、「上記育成剤3をビニルハウス1内に吊下あるいは載置する場合の容器としてはいかなるものでも構わない。例えば、吊下する場合は一般に市販されているビニル袋4を使用することができる。使用に際しては、ビニル袋4の上方に通気孔5を開ければよい。」、と開示されている。
また、段落番号「0028」には、「例えばボウル状の容器6を使用することができ、図1に示すように、ビニルハウス1の側壁側に棚7を設けて載置するか、あるいは直接地面に載置してもよい。」、と開示されている。
「特許文献4」は、葉面吸収栄養剤と防虫剤との混合薬剤を使用し、ビニルハウス等の中で、同時に空気中に気化拡散させる農作物育成方法であり、前記混合薬剤を農作物に直接的に作用させる方法の開示である。
野菜、果実などの農作物用のハウス栽培の目的は、冬季の寒冷期における保温や加温によって栽培農作物の栽培に適しない季節における栽培とその収穫の確保、春秋季においてはさらなる加温を行って、栽培農作物の生育促進、収穫量の増大などである。
春夏秋冬の四季毎の気温差が明確で、激しく変動するわが国の農業用ハウスは、冬季の寒冷期にはハウス内の気温が保たれるように密閉性を上げ、夏季の高温期には天井部や壁面を殆ど開放状態にして外気にさらし、この間の春秋季には外気温の変化に応じて天窓部や壁窓部の開放度をきめ細かく調整しなければならない。
トマト栽培の例では40℃以上になると枯死してしまうので、一般的には、高温側で云えば大凡35℃程度以下に保つように調整しなければならない。
かような措置をとることによって、異種農作物、同種農作物の周年栽培が可能になる。
したがって農業用ハウスでは、比較的簡単に開閉できる天窓部や壁窓部などを設けることが行われている。
しかしながら、天窓部や壁窓部を開放すると、農業用ハウス内に害虫の侵入を伴うことになる。
害虫が農業用ハウス内へ侵入するのを防止するため、前記農業用ハウスの天窓部や壁窓部の内側に防虫ネットを設置し、その外側に跳ね窓や巻き上げ式シ−トなどを設けることが行われている。
壁窓部について具体的な例を記せば、織物の防虫ネットのメッシュ(密度)を、隣合う糸間のピッチ(長さ)で示すと、一般に0.8〜0.2mmピッチ程度のメッシュの防虫ネットが使われている。
また、わが国の農業害虫で一般的に主要なものは、葉、茎、果実を食害するニカメイチュウ、トヨウガ、コガネムシなど。
吸汁の害、また病原を伝えるウンカ、ヨコバイ、アブラムシなど。
産卵の害を与えるカミキリ、ハバチなど。
営巣の害を与えるアリ、ハチなど。
その他、農業用ハウス内で発生・増殖する、シルバ−リ−フコナジラミや、オンシツコナジラミ、アザミウマ系のスリップスなどの害虫も存在する。
前記防虫ネットのピッチが粗であると、外気との換気性は大きいが、害虫の侵入防止には効果が不十分であり、逆にピッチが密であると、害虫の侵入防止には効果が高いが、外気との換気性が劣る。
近年の傾向としては、0.4〜0.2mmピッチ程度の密な防虫ネットを使用し、窓の面積を大きくとる傾向にある。
しかしながら防虫ネットを採用しても、風力などによって前記防虫ネットをすり抜ける害虫が存在する。
また、農業用ハウスは通常の建築物とは異なり、合成樹脂製の硬質あるいは軟質シ−トなどのハウジング材を躯体の骨組みにラフに貼るだけの構造ゆえ、前記シ−ト間に生じる隙間、複数連棟の場合における屋根部の棟間に生じる隙間など、害虫の侵入を完全に防除することはできない。
さらに、防虫ネットの外側には多くの害虫が留まっていることが知られていて、風の吹く方向によっては、前記害虫がネットの間隙から風に押し込まれるように農業ハウス内に侵入することが知られている。
また、連棟ハウスの場合には、屋根部境界の間隙では、外気温とハウス内気温との差によって生じる呼吸作用の如き空気の出入りが生じ、外気の吸気に伴って前記農業害虫がハウス内に侵入する。さらに、農業用ハウス内で発生・増殖する害虫も存在する。
したがって農業用ハウスによるハウス栽培においても、農薬つまり、殺虫剤による害虫処理を定期的に行う必要があり、一般的にその頻度は大凡3〜4回/月程度である。
かような頻度で殺虫剤による害虫処理を行うことは、農業用ハウス内が夏季を除いて準密閉空間であるので、作業者の健康上の問題、土壌やハウジングの農薬汚染など、環境負荷の問題などが生じることになる。
なお、害虫処理を目的とする農薬には、用語としては殺虫剤と忌避剤とがあるとされるが、忌避剤と呼ばれている前記農薬の多くは殺虫剤で、殺虫機能に加えて害虫が近寄ることを忌避する効能のあるものを、特に忌避剤と称しているものと考えられる。
農業用ハウス内での作業者の健康上の問題、土壌やハウジングの農薬汚染、環境負荷の問題などを低減化するためには、殺虫剤による農業用ハウス内の害虫処理の頻度を少なくすることがその課題となる。
かような現実から、ハウス栽培を採用する農業者において、ハウス内の殺虫剤による害虫処理の頻度の減少化、つまり前記害虫処理のインタ−バル(間隔期間)を極力長くすることが望まれているところである。
本発明は、上記従来の課題を考慮し、農業用ハウス域に害虫を接近し難くし、農業用ハウス内の害虫を低減させる農業用ハウスの提供である。
しかして、ハウス栽培に必須な農業用ハウス内における殺虫剤による害虫処理の回数頻度を少なくすること、すなわち、殺虫剤による前記害虫処理のインタ−バルを極力長くすることが可能な、農業用ハウスを提供することを目的とする。
発明者は、前記発明の目的に鑑み、次の如き気散物質と内容について鋭意検討した。
すなわち、気散物質としては、殺虫剤や、殺虫性のある害虫忌避剤の如き害虫の殺傷作用は全くなく、栽培農作物に無害で、害虫が近寄ることをためらうが如き、害虫が好まない香気などの気散物質とした。
また、農業用ハウス域について、害虫が好まない空域を形成する方法を検討した。
また、前記空域において、害虫が好まない香気などの気散物質を、一定の濃度状態に実質的に維持するシステムを検討した。
また、前記農業用ハウス域を前記気散物質の利用で害虫が好まない空域とはするが、害虫が好まない空域に居ついている虫類については、殺傷することがない前記気散物質であることを前提とした。
つまり、前記空域に居ついている交配用の蜂や天敵などの益虫や虫類が、普通に生物活動し続けることができる程度の気散物質であり、且つ、極めて僅かな気散濃度状態であることを前提とした。この空域を、害虫非好性空域と名付けた。
例えて説明すると、前記害虫非好性空域は、喫煙者の近傍がタバコ煙臭のある空域を形成していて、タバコ嫌煙者は前記空域を好まないので、タバコ嫌煙者が前記空域に近寄ることをためらうが如き空域である。
しかしながら、タバコ嫌煙者が前記空域に居合わせたとしても、病人や特異体質者でない限りにおいて、タバコ嫌煙者には実害を及ぼさないので、実質的に無害な空域である。
前記害虫非好性空域は、害虫にとって、あたかも見えない防虫ネットの存在で仕切られているような空域であって、決して殺虫空域ではなく、また従来の意味での忌避空域とも一線を画するべき空域である。
一方、前記害虫非好性空域での虫類の生物行動については、居合わせた虫類に対しては前記生物行動を妨げるものではない。
つまり、前記害虫非好性空域は、タバコ嫌煙者に対するタバコ煙臭のある空域に相当し、タバコ煙臭がある空域にタバコ嫌煙者が居合わせたとしても、前記タバコ嫌煙者の行動などを殆ど制限しないのと同様である。
以上の如き、害虫非好性空域を作り出す方法を狙って検討した。
ある種のハ−ブ(香草)は、害虫忌避物質を含有していて、これを周辺空域に気散させると、害虫が忌避することが知られている。
発明者は、この内のさらに特定のハ−ブが、害虫の殺傷性は全くないにも拘らず、多くの害虫が好まない香気を気散することを見いだした。
「特許文献1」の項に、防虫効能を有し、あるいは、加えて抗菌効能あるいは小動物忌避効能、あるいは、抗菌効能および小動物忌避効能を有する、7種類のハ−ブ精油類を例示している。
「特許文献1」の考案者は、本発明の発明者と同一人であり、発明者は前記ハ−ブ精油類について精緻に検討した結果、さらに特定のハ−ブ精油が、虫類の殺傷効能は全く無く、虫類の生物活動を不活発にする効能もないところの、多くの害虫が好まない香気を気散する性質があることを見いだした。
発明者は、かように害虫を殺傷する作用は全くないにも拘らず、害虫が好まない香気や臭いの気散物質として、ハ−ブ精油ではシトロネラ精油などであり、また、化学物質ではジエチルトリアミドなどであることを見いだした。
例示した前記気散物質は、香気や臭いなどにより害虫が近寄らないだけの作用であり、害虫の殺傷作用はないので、殺虫剤や、殺虫作用のある忌避剤と区別するために、本発明では、かかる前記気散物質を「害虫非好性物質」と称し、前記害虫非好性物質を使用し易いように製剤化したものを「害虫非好製剤」と称する。
本発明は、発明者と同一人考案者による「特許文献1」の考案を、発展的に展開した発明である。
すなわち、発明者は前記害虫非好製剤を利用し、農作物栽培期間中、農業用ハウス空域を安定した害虫非好性空域とする方法と、システムについて鋭意検討の結果、以下の発明に至ったものである。
すなわち、農業用ハウスにおいて、害虫非好製剤を内包する通気性シ−トによる袋形のパケットの形態、あるいは前記害虫非好製剤を内包する立体開口容器の形態であるところの気散包体に、害虫非好製剤が内包されていて、前記気散包体が、前記農業用ハウス内に互いにほぼ等間隔で複数個設置されている。
前記農業用ハウス内において、前記気散包体から害虫非好性物質が気散され、前記気散濃度が実質的に一定に維持されるように、前記気散包体を数日から数十日の間隔で追加するシステムとすることによって、前記農業用ハウスの内部の空域、および前記農業用ハウスの外側至近空域の一部からなる農業用ハウス空域を、前記害虫非好性物質の気散状態が実質的に一定に維持される空域とすることで、前記農業用ハウス空域を、あたかも見えない防虫ネットが存在するが如く、害虫非好性空域とする方法を特徴とする、農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法の発明に至ったものである。
また、前記システムは、栽培農作物の定植後の初回に、前記農業用ハウスの内部農土の単位面積当たり特定個数の前記気散包体を設置し、引き続き、前記気散包体を前記特定個数の半数程度、数日から数十日の間隔で、追加設置して行くシステムで、前記農業用ハウスの内部空域における害虫非好性物質の気散濃度を、実質的に一定に維持する方式であることを特徴とする、農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法の発明である。
さらに、前記害虫非好製剤の形状において、前記気散包体の包体部が、前記通気性シ−トによる袋形のパケットの形態の場合は、前記害虫非好性物質を含有している、偏平形チップ、ペレット形チップ、あるいは顆粒形チップの害虫非好製剤。
また、前記気散包体の包体部が、前記立体開口容器の形態の場合は、前記害虫非好性物質を含有している偏平形チップ、ペレット形チップ、顆粒形チップ、あるいは前記害虫非好性物質を主成分とする液、またはペ−ストである害虫非好製剤。
かような害虫非好製剤であることを特徴とする、農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法の発明である。
さらに、前記害虫非好性物質が害虫非好性のハ−ブ精油であって、前記ハ−フ精油が、シトロネラ精油またはニ−ム精油主体の害虫非好性物質、あるいはシトロネラ精油およびニ−ム精油の混合物主体の害虫非好性物質であることを特徴とする、農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法の発明である。
また、前記害虫非好製剤が、偏平形チップ、ペレット形チップ、あるいは顆粒形チップにおいて、前記チップの外層部が実質的に油性物質層に覆われている害虫非好製剤。
あるいは、前記害虫非好製剤が、偏平形チップ、ペレット形チップ、顆粒形チップにおいて、前記油性物質と前記害虫非好性物質との混合物が前記チップに含有されている害虫非好製剤。
あるいは、前記害虫非好製剤が液、またはペ−ストである場合は、前記油性物質と前記害虫非好性物質との混合物からなる害虫非好製剤。
かような害虫非好製剤であることを特徴とする、農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法の発明である。
害虫非好性製剤を収容する前記パケットの包袋の材料が、不織布、紙、編織布、あるいは微細穿孔樹脂シ−トであることを特徴とする、農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法の発明である。
(1) 農業用ハウス内において、害虫非好性物質を気散させ、この気散状態を実質的に一定の濃度状態に保つシステムで、前記農業用ハウス内、あるいは前記農業ハウスの外側至近空域の一部からなる農業用ハウス空域を、害虫非好性空域とする。
かようにすることで、害虫が、前記農業ハウスに近寄ることをためらい、また侵入をためらうことで、農業用ハウス内への侵入を低減させる効果がある。
したがって、ハウス栽培における必須条件であるところの、農業用ハウス内の殺虫剤による定期的な害虫処理を行う回数頻度を著しく低減化することができる。
(2) 本発明の大きな特性的な効果は、本発明の害虫非好性空域は、害虫が好まない空域ではあるが、前記空域に居ついている益虫や虫類が普通に生物活動できている程度の、極めて僅かな害虫非好性物質の気散濃度状態であることである。
前記益虫とは交配用の蜂や天敵などを指すが、これ等が普通に生物活動できる程度の状態であることがその特性である。
したがって、前記害虫非好性空域は、外部からの害虫にとって好まない空域ではあるが、忌避性のある殺虫剤の作用の如く、その空域の虫類について益虫も含めて全て抹殺してしまう如き空域とは全く異なる空域である。
(3) 農業用ハウス栽培に必須な、殺虫剤による害虫処理は、農業用ハウスが準密閉空間であることから、農業用ハウス内での作業者の健康上の問題、土壌やハウジング材の農薬汚染、環境負荷の問題などの弊害が生じる。
本発明の適用によって前記害虫処理の回数頻度を減らすことができるので、前記弊害が著しく低減する。
(4) 本発明で用いる害虫非好性のハ−ブ精油や害虫非好性化学薬剤は、殺虫性がないこと、また極めて微量の気散で害虫非好作用を発揮することなどから、極めて安全性が高いといい得る。
これは、あたかもタバコ嫌煙者が、喫煙者の空域に短期間居合わせたとしても、多くの場合、前記タバコ嫌煙者に実害を及ぼさないのと同様に、実質的に人畜や虫類にとって無害な空域である。
また、害虫非好性物質の使用による環境負荷の増大を殆ど伴わない。
(5) 本発明の農業用ハウス空域を害虫非好性空域化するシステムの採用によって、殺虫剤による害虫処理の回数が、従来の3〜4回/月程度が、本考案の適用によって1回/月程度に低減化できる。
つまり、殺虫剤による害虫処理の回数頻度を大凡1/3〜1/4程度に低減化できるので、殺虫剤コスト、害虫処理作業コストなどを勘案すると、総合的に大幅なコストダウンとなる。
発明の実施の形態を、実施例にもとづき図面を参照して説明する。
図1は、本発明の害虫非好性空域を形成した農業用ハウスの一部分を描く、斜視略図である。
図1は、農業用ハウス1が農土12に設置されている二連棟式の農業用ハウスの部分略図で、そのハウジング部は、梁23などから成る躯体、側壁部2、前壁部3、屋根部4からなり、前壁部3には作業者の出入り用、あるいは機材などの搬入出用の出入口扉部5が付設されている。
また、側壁部2、および扉部5には壁窓部6が付設されていいて、屋根部4には天窓部7が付設されている。
壁窓部6には、その全面に防虫ネットが取付けられていて、前記壁窓部の外側には、引戸の機能の役割をする巻上げ式開閉シ−ト8が付設されている。
天窓部7にも、防虫ネットが取付けられていて、前記天窓部の外側には、片開き戸板の機能の跳ね板10が付設されている。
図1の二連棟式の農業用ハウス1において、ハウス内部透視部分15は、前壁部3と前記内部透視部分との波形線で描く境界線16で囲まれた部分で、前記農業用ハウスの内部の一部分を透視で示している。
内部透視部分15において、前記農業用ハウス内の農土17に、支柱18に支えられている栽培農作物19を描いている。
図1の農業用ハウスの梁23には、害虫非好製剤が内包された気散包体であるところの、吊下げ式パケット20が取付けられていて、前記吊下げ式パケットの周辺空域に害虫非好性物質が気散されている。
また、側壁部2のハウス内側には、棚部21が設けられ、害虫非好製剤が内包された前記気散包体であるところの、上部に開口部を有する立体開口容器22が置かれていて、前記立体開口容器の周辺空域に害虫非好性物質が気散されている。
図1においては、前記気散包体として、吊下げ式パケット20あるいは立体開口容器22は、その一部しか描かれてないが、かような前記気散包体が農業用ハウス1内の農土17の単位面積当たり特定の個数密度になるように、また、農業用ハウス内全域に相互がほぼ均等間隔になるように複数個設置されている。
かような仕組みにすることによって、農業用ハウス1の前記ハウス内の空域、および前記ハウスの外側至近空域の一部からなる農業用ハウス空域が、害虫非好性空域となる。
図2は、農業用ハウスの内部の一部分の略図で、トマト栽培の場合における気散包体を適用した例を示す。
図2において、前記農業用ハウス内の農土17に、栽培トマト26が支柱18に支えられて栽培されている。
図2における農業用ハウスの梁23には、前記気散包体を設置する3例を描いている。
図2において、梁23の左側部には、害虫非好製剤を内包した吊下げ式パケット20が、梁23に吊り紐28で直接吊下げられている例を描いている。
梁23の中央部には、吊下げ式パケット20が、梁23に備えられているフック27に吊り紐28で吊下げられている例を描いている。
梁23の右側部には、害虫非好製剤内包の立体開口容器22が、吊り紐28で吊下げられている例を描いている。
なお、前記気散包体の設置場所は、これ以外に、例えは、前記農業用ハウス躯体である柱部、ハウジングの壁部、天井部、農業用ハウスの農土上、あるいは前記農土の畝の法面上など、任意の場所でよい。
しかしながら、前記気散包体の設置場所として、栽培農作物の支柱18は、栽培農作物の生育に伴って隠されてしまったり、前記農作物に気散包体が接触する恐れがあり、止むを得ない場合以外には取付けない方がよい。
図3は、気散包体の一つである害虫非好製剤内包の吊下げ式パケットの略図である。
図3において、左図30は、害虫非好製剤を内包した吊下げ式パケット20のままの使用形態であり、右図31は吊下げ式パケット20に、散水時などの場合の水濡れ緩和カバ−34を装着している使用形態である。
図3において、パケット20は、前記パケットの隅にある通し孔33に通した吊り紐28が取り付けられている。
パケット20の包袋材料35は、通気性が高いシ−ト状材料で、不織布、紙、布、あるいは微細穿孔樹脂シ−トなどの表裏二枚からなり、端縁部36は前記表裏が接合していて袋体となっている。
なお、前記包袋材料の表裏二枚のうちどちらか一方のみが、通気性が高いポ−ラス構造の材料で、他方は通気性がなくてもよい。
前記袋体の内部には、害虫非好製剤が内包されているが、前記害虫非好製剤の形状は、偏平形、顆粒形、あるいはペレット形などのチップ形状である。
吊り紐28は、パケット20を吊り下げるための紐で、図2に描く吊り紐28は、柱体、梁などに結び付けて吊り下げるタイプの吊下げ式パケットの一例である。
吊り紐28が、フックなどに掛けられるようなル−プ状でも差し支えない。
図4は、図3の左図30に描くパケット20のA−A断面略図である。
図4において、吊下げ式パケット20の包袋材料である通気性のあるシ−ト35の表裏二枚が周囲の端縁部36で接合して成る袋体となっている。
前記パケット内には、偏平形、ペレット形、あるいは顆粒形など、チップ状の害虫非好性物質を含有する害虫非好製剤40が内包されている。
図1ないし図2に示す、害虫非好製剤を内包する立体開口容器22は、紙、不織布、樹脂シ−ト、樹脂成形品などによる立体開口容器で、内包する害虫非好製剤からの気散物質の出口のための開口部があって、前記開口部から害虫非好製剤そのものが散逸しない容器であれば適用できる。
また、図1の棚部21に載せて設置する立体開口容器形でも、図2の梁23の右側部に示す吊下げて設置する立体開口容器形でも、その他の任意の形式の何れでもよい。
一例として、「特許文献2」に示されている如き箱体でもよい。
図5は、本発明の農業用ハウスにおける害虫非好空域形成の説明図である。
図5は、農地12に建つ二連棟の農業用ハウスの横断面略図であり、前記農業用ハウスのハウジングとして側壁部3、屋根部4、および農業用ハウス内部45を描いている。
図5の農業用ハウス内部45において、図1ないし図2に示す吊下げ式パケット20、あるいは立体開口容器22の如き気散包体が、農業用ハウス1内の農土17の単位面積当たり特定の個数密度になるように、大凡均等間隔に複数個備えられている。
また、数日から数十日の間隔で、特定ル−ルで前記気散包体が追加さるシステムによって、常に害虫非好性物質が気散されている。
したがって、農業用ハウス内部45の中の空域全体が害虫非好性空域を形成している。
さらに、前記農業用ハウスの外側については、図1に図示する側壁部3の壁窓部6から漏れる害虫非好性物質の気散分、および屋根部4の天窓部7から漏れる同気散分、ハウスの屋根の棟間境界部や、農業用ハウスのハウジング材の隙間などの空隙部から漏れる同気散分が、前記側璧部および前記屋根部の外側至近空域の一部に常に存在する。
したがって、農業用ハウス内部および外側至近空域を「農業用ハウス空域」とすれは、前記農業用ハウス空域が、害虫非好性空域を形成していると云い得る。
前記害虫非好性空域は、害虫が好まない空域ではあるが、その大きな特性として、前記空域に居ついている益虫や虫類が普通に生物活動できる害虫非好性物質であって、さらに極めて僅かな気散濃度状態であることである。
例えば、前記益虫とは交配用の蜂や天敵などを指すが、これ等が普通に生物活動できる程度の状態であることがその特性である。
したがって、前記害虫非好性空域は、外部からの害虫にとって好まない空域ではあるが、忌避性のある殺虫剤の作用の如く、その域の虫類について益虫を含めて全て抹殺してしまう如き空域とは全く異なる空域である。
したがって、前記害虫非好性空域をモデル的に示せば、図5の農業用ハウスの外側至近部の破線46で示す境界の内側が、ほぼ害虫非好性空域を形成しているといえる。
図5の破線46で示す内側は、本発明でいう害虫非好性空域で、あたかも見えない防虫ネットが存在しているが如く、前記防虫ネットの内側の如き空域を形成している。
かように、農業用ハウス内において害虫非好性物質を気散させ、前記農業用ハウス空域を害虫非好性空域とすることで、害虫が農業用ハウスに近寄ることをためらい、また侵入し難くしている。
農業用ハウスの農土の単位面積当たりの前記気散包体の設置個数の目安は、図3の左図30の吊下げ式パケットでいえば、定植後の初回には、1000m(大凡1反)当たり30個程度である。
しかしながら、前記目安はあくまでも一例としての目安であって、起用する害虫非好性物質の種類、濃度、害虫非好製剤の形態、処方、仕様、また適用栽培農作物、適用季節、あるいは地域条件などを勘案して、前記目安の大凡1/3程度から3倍程度までの個数範囲で適宜定めるものとする。
気散包体は、使用に当たって密封包装から取り出して農業用ハウス内に設置すると、前記気散包体内の害虫非好製剤から害虫非好性物質の外への気散が開始され、日数の経過に伴って、前記害虫非好性物質の気散量が級数的に減衰して行き、気散が殆ど終了する期間は、気温などにもよるが大凡2ケ月程度である。
しかしながら、害虫非好性物質の気散量は、害虫が好まない空域を形成するという実質的な効果を発揮する一定濃度になるように維持されなければならない。
したがって、農作物栽培の全期間中、農業用ハウス内を害虫非好性空域として効果のある状態に維持するシステムが必要がある。
農業用ハウス内の害虫非好性物質の気散濃度を実質的に一定に維持する一つのシステムとして、次の如きシステムを案出した。
すなわち、栽培農作物の定植後の初回に、前記農業用ハウスの内部農土の単位面積当たり、特定個数の気散包体を設置し、引き続き、前記気散包袋を前記特定個数の大凡半数程度を、数日から数十日の間隔で、追加設置して行くシステムである。
図6は、前記した初回1000m当たり30個設置の例の場合の、初回設置からの経過日数、前記吊下げ式パケットの追加設置数、ならびに農業用ハウス内の害虫非好性物質の気散濃度との関係を示すグラフである。
図6に示すグラフにおいて、横軸は定植後の経過日数Tで、原点は初回設置日を示す。
また縦軸は、前記農業ハウス内の害虫非好性物質の気散濃度Cを示し、数値化は困難であるが、香気の強さなどで推定して、ppb(parts per billion;十億分率)オ−ダ−の指標であり、高い位置ほど前記気散濃度が概念的に高いことを示している。
また、図6のグラフにおいて、縦軸上部の(N)の位置の縦軸右隣の括弧内の数字(30)は、前記パケットの農業用ハウス内に設置した初回の個数30個を示し、経過日数15日以降の括弧内の数字(15)は、追加個数15個を示していて、図6のグラフは15日(約半月)毎に追加設置した場合の例である。
このように、前記パケットを追加して行くシステムによって、前記農業用ハウス内の害虫非好性物質の気散濃度は、図6のグラフに示す如く、鋸歯状ではあるが、害虫に作用を及ぼすべき害虫非好性物質の気散濃度を、実質的に一定に維持させることができる。
なお、前記システムは、害虫が発生しやすい気温の高い時期、害虫が多い年、虫害を受けやすい農作物の場合など、過酷な環境や条件の場合には、追加設置は数日の間隔で行うなど、追加設置の頻度を多くする。
逆に、害虫が発生し難い気温の低い時期、害虫が少ない年、虫害を受にくい農作物の場合などは、数十日の間隔で追加設置の頻度を少なくする。
したがって、前記吊下げ式パケットの場合、初回設置は1000m当たり30個を設置目安とし、前記設置目安の大凡1/3程度から3倍程度までの個数範囲で適宜定めるものとする。
また、追加設置は、初回設置数の大凡半数程度を目安に、数日から数十日の間隔で設置して行く。
以上は、一つの設置目安であり、実務としては、実績からの予測、経験などから定めるべきである。
また、追加設置の期間インタ−バルが長いので、設置の確実性を高めるために、ビジュアルな設置日程計画表などを作成して、活用することが肝要である。
また、設置した個々の気散包袋に、設置日付などの簡潔な情報を付するなど、前記システムを管理する方式を採用すると、設置の確実性がより高まる。
本発明は、かように農業用ハウス内空域および前記農業用ハウスの外側至近空域からなる農業ハウス空域を、実質的に害虫非好性物質の一定の気散濃度状態とすることによって得られる、あたかも見えない防虫ネットが存在するが如く、害虫非好性空域とすることで、害虫をハウスに近づき難く、また侵入し難くする。
したがって、ハウス栽培に必須な農業用ハウス内の、殺虫剤による害虫処理を行う回数頻度を著しく低減化することができる。
前記害虫非好製剤から気散する害虫非好性物質は、ppbオ−ダ−の極めて微量の気散量で、害虫非好性を発揮する効果がある。
また、害虫が好まないだけの害虫非好性物質を選定するので、安全性が高いといえ、作業者への悪影響、あるいは環境負荷などの増大を殆ど伴わない。
かようなことから、本発明の農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法の適用によって、殺虫剤による害虫処理の回数が大幅に減らすことができるので、殺虫剤コスト、防除作業のコストなどを勘案すると、総合的にコストダウンにつながる。
次に、本発明に適用できる害虫非好性物質からなる害虫非好製剤について説明する。
本発明の発明者と同一人である考案者による「特許文献1」の項に、防虫効能を有し、あるいは、加えて抗菌効能あるいは小動物忌避効能、あるいは、抗菌効能および小動物忌避効能を有する、7種類のハ−ブ精油類を例示している。
発明者は、これ等のハ−ブ精油のうち、精緻なトライアンドエラ−検討などによって、さらに特定のハ−ブが、害虫の殺傷能力が全く無いにも拘らず、多くの害虫が好まない香気を気散する性質があることを見いだした。
具体的には、前記特定のハ−ブからの精油は、シトロネラ精油、ニ−ム精油、パチュリ精油などであり、これらを複数種ブレンドしたものなども効果的な作用があることも見いだした。
また、害虫の殺傷能力は無いが、多くの害虫が好まない臭いを気散する性質がある化学物質として、ジエチルトリアミド、ブチルカルビト−ルアセテ−ト、ジメチルフタレ−ト、エチルヘキサンジオ−ルなどであることも見いだした。
このように、前記例示の気散物質は、害虫の殺傷作用がないのにも拘わらず、その香気や臭いなどにより、害虫が好まないだけの物質である。
前記気散物質は、香気や臭いなどにより害虫が近寄らないだけの作用であり、香りや臭いを害虫が感知する気散濃度は、ppbオ−ダ−程度であり、特にかような濃度のもとでは、害虫の殺傷効果は全くないとみてよい。
本発明では、このことが前記気散物質を「害虫非好性物質」と称し、使用しやすいように製剤化したものを「害虫非好製剤」と称する所以である。
かような、害虫非好性を示す合成化学物質や、害虫非好性を示す天然ハ−ブの成分は、相互に混用することによって、非好害虫の種類が拡大し、その効果が増大することがあることも見いだした。
また、天然のハ−ブの一部の成分は、現在では合成することが可能になっていて、害虫非好性の合成化学物質と、天然のハ−ブとの境界が明確でないものも存在するようになってきている。
これらの事象については、科学的や化学的に解明されてないことが多く、農業用ハウスの立地条件、周囲環境、季節、栽培農作物の種類などを勘案の上、トライアンドエラ−によって最適な害虫非好性物質にアプロ−チして行かざるを得ない面がある。
次に、本発明に適用する害虫非好性化学薬剤、ならびにハ−ブ精油からの製剤品である、害虫非好製剤について説明する。
植物であるハ−ブから、ハ−ブ精油を採取する方法としては、空気あるいは酸素のない状態で高温処理し、液体などに分解する乾留法が一般的であるが、水蒸気蒸留法なども採用される。
しかしながら、ハ−ブ中の薬効成分を破壊しないように、温度、時間などハ−ブ種ごとに留意して乾留などを行うのが一般的である。
害虫非好性の化学薬剤あるいは害虫非好性のハ−ブ精油を、偏平形、ペレット形、顆粒形などのチップ基材に含浸させ、チップ状製剤としたものは、前記パケットあるいは前記立体開口容器に内包する、前記両用の害虫非好製剤である。
偏平形チップの害虫非好製剤とする場合には、偏平なチップ基材であるところの、紙あるいは不織布の如き薄いシ−ト状繊維集合体に、浸漬法、あるいはロ−ラ式塗工加工法などで、前記薬剤あるいは前記精油を含浸させる。
かような、偏平形チップの害虫非好製剤を内包して気散包体としたときには、前記薬剤含浸の個々のチップ製剤の表面と周囲空気との接触面積が大きくなり、また、偏平形チップ状の製剤の集合体としての機能で、薬剤成分の効率よい調整的な気散状態が得られる。
前記偏平形チップの害虫非好製剤用のチップ基材は、前記薬剤あるいは前記精油の浸透性および生分解性の観点から、和紙などセルロ−ス(繊維素)からなる紙、あるいはセルロ−ス繊維を主成分とする不織布が望ましい。
セルロ−ス繊維同士の混用例として、前記含浸加工のときの強度保持、あるいは前記内包パケットの使用時の湿潤強度を上げるため、パルプに湿潤強度の高い麻あるいは棉を10〜30%程度混用した複合紙を用いることによって、含浸のときの加工性や製品の耐久性において良好な評価が得られた。
前記偏平形チップ基材は、前記薬剤あるいは前記精油の浸透性が高いことが重要で、必ずしもセルロ−スに限定されることはなく、合成繊維のシ−ト状繊維集合体でもよい。
また、前記チップ基材は、単位面積当たりの質量が40〜150g/m程度で、前記薬剤あるいは前記精油を、前記チップ基材の質量に対して30〜60%程度含浸させる。
含浸したシ−トは、シュレッダ(細断機)などで細断としてから切断加工して、大凡、輻3〜10mm程度、大凡長さ10〜50mm程度の偏平チップ形の害虫非好製剤とする。
気散包体に内包し易さの観点、あるいは薬剤の気散速度を調整するなどの目的で、前記薬剤あるいは前記精油の含浸チップの形状を、ペレット形、あるいは顆粒形のチップとしてもよい。
前記ペレット形あるいは顆粒形のチップの場合におけるチップ基材は、生分解性のある木粉、おがくず、パルプ、セルロ−ス繊維細片、コットンリンタ−(綿実に生じる短い繊維)などの材料が望ましいが、合成繊維集合体、あるいは連続発泡のポ−ラスな合成樹脂なども適用できる。
顆粒形やペレット形にする方法は、例えは、前記おのおのの基材と前記害虫非好性の前記薬剤あるいは前記ハ−ブ精油と、ワックスなどのつなぎ剤などと混練して、押出成形法などで線材状に成形して後、細片状にカットするなどして得られる。
また、前記チップ基材をつなぎ剤で練って、予め欲する形状のペレット形のチップ、あるいは顆粒形チップとしてから、前記チップに所定の前記薬剤あるいは前記精油を、ロ−タリ−タンブラ−処理法などで、含浸を行うことによっても得られる。
ペレット形のサイズを断面円形の前記線材状のカット形式での製品例でいえは、直径が大凡1〜5mm程度、長さが大凡3〜20mm程度がそのサイズの目安である。
顆粒形のサイズは、前記ペレット形の下限サイズ以下で、粉体迄に至らないサイズで、強いて例えれば芥子粒、胡麻粒などのイメ−ジである。
前記各種チップ基材への前記薬剤あるいは前記精油の付着性向上、薬剤の粘度調整など、また前記薬剤あるいは前記精油を含浸して内包し、気散包体として使用するときの、前記薬剤あるいは前記精油の成分の気散速度の調整など目的のため、前記薬剤あるいは前記精油に油性物質などを添加混合してもよい。
前記油性物質としては、パラフィン、パラフィン蝋、ワックス、流動パラフィンなどがあげられる。
前記薬剤あるいは前記精油への前記油性物の添加量は、前記薬剤あるいは前記精油の質量の大凡5〜25%程度がその目安である。
しかしながら、油性物質の量はその種類や分子量、また処理するときの温度などによって性状が異なるので、用いる薬剤との親和性などを勘案して混合量を調整する。
また、薬剤との親和性を向上するため界面活性剤を併用してもよい。
また、前記薬剤あるいは前記精油を含有するチップ状の害虫非好製剤からの薬剤成分の気散速度の調整目的のみであれば、前記薬剤含浸チップへの前記油性物質の併用は、前記薬剤あるいは前記精油の含浸チップとしてから後、前記油性物質をその外層に塗工してもよい。
かようにして、油性物質を併用すれば、前記薬剤あるいは前記精油のチップ状の害虫非好製剤からの成分の気散速度を緩和でき、長期間使用できる。
また前記気散包体が、前記立体開口容器である場合は、内包する害虫非好製剤は、液、あるいはペ−ストでもよい。
液やペ−ストの場合は、前記立体開口容器は、合成樹脂、防水性加工紙、防水性不織布、防水性編織布などの濡れ耐久性のある材料製である必要があり、内包する害虫非好製剤が散逸しない形態であればよい。
液、ペ−ストの場合は、前記薬剤あるいは前記精油の成分の気散速度の調整など目的のため、前記薬剤あるいは前記精油に前記油性物質などを添加混合し、さらにペ−ストの場合は、増粘剤であるメタクリル酸アルキル重合体、ポリイソブチレンなどの添加で、ペ−スト状にすることができる。
以上が、本発明に適用する害虫非好製剤についての説明である。
次に、図1あるいは図2に描く、害虫非好製剤内包の気散包体の一形態である吊下げ式パケット20の場合における、パケット自体の要件について説明する。
吊下げ式パケット20のサイズは、図3に描くパケット20の如き正方形の場合、見かけのサイズにおいて、一辺が大凡50〜300mm程度がその目安である。
大きなパケットの場合は、その内部を複数に隔て、内包する害虫非好製剤が前記パケット内部で片寄らないようにしてもよい。
また、吊下げ式パケットの形状は、図3に描く如き正方形でなくて、長方形、円形、楕円形など、形状は任意である。
かような吊下げ式パケットに内包する害虫非好製剤の内包質量は、前記パケットの見かけ平面の面積0.01m(一辺10cmの正方形)当たり、大凡2〜10g程度がその目安であるが、害虫非好製剤の及ぼす期待効果によって任意に定めるものとする。
図3、および図4に示すパケット20の材料である包袋材料35は、通気性のある不織布、編織布、紙、あるいは微細穿孔樹脂シ−トなどから選定する。
前記パケットの材料は、通気性の感じを織物の例でいえば、折り目の細かいガ−ゼのイメ−ジで、通気性の高いパケット材料であることを要する。
前記通気性を数値で示せば、ISO 9237対応、JIS L 1096:1999、付属書17(規定)による通気性で示して、大凡500mm/s程度以上である。
なお、評価条件は、圧力差は工業用生地に適用する200Pa(1.5mmHg)、面積20cmの場合である。
前記パケットの材料の材質は、生分解性高分子材料であることが望ましい。
セルロ−ス繊維は生分解性であり、綿の編織布、レ−ヨンやキュプラ糸など再生繊維のの編織布、これらセルロ−ス繊維による不織布などが含まれる。
また、PLA(ポリ乳酸)系繊維、ポリサクシネ−ト系繊維など生分解性合成繊維も適合する材料である。
前記パケットの材料が微細穿孔樹脂シ−トである場合は、PLA系樹脂、ポリサクシネ−ト系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂などの生分解性樹脂製が適用でき、当業者に知られている生分解性樹脂製が含まれる。
しかしながら、一般的に多用されているPP(ポリプロピレン)不織布、PE(ポリエチレン)不織布、PET(ポリエステル)不織布などが適用でき、前記不織布の中でもPPやPETのスパンボンド形不織布が、生分解性でないことを除けばコスト的に有利であり、本考案の前記パケットの袋体材料として適用できる。
前記パケット材料の単位面積当たりの質量の目安は、PETスパンボンド不織布の例で示せば、大凡30〜100g/m程度である。
表裏二枚のパケット材料を、包袋状とするための周囲の端縁部の接合は、前記パケット材料が熱溶融性である場合は、ヒ−トシ−ル法が適用できる。
セルロ−スなどの非熱溶融性材料である場合は接着剤によるが、熱溶着性の接着剤、さらには生分解性の接着剤が望ましい。
以上が、気散包体の一形態である、害虫非好製剤を内包する吊下げ式パケット自体の説明である。
前記気散包袋における非使用時の保管は、気散防止のためにガス透過度の低い、ある程度の厚みのある合成樹脂シ−ト、例えばPETあるいはPVDC(ポリ塩化ビニリデン)樹脂の二軸延伸シ−トなどで、密封包装することが必要である。
前記気散包体は、密封包装の包袋から取り出し、農業用ハウス内の農土の単位面積当たり特定の個数密度で、複数個を大凡等間隔になるように設置する。
また、パケットの場合には、使用に当たっての散水時、降雨時などによって、内包するチップ製剤の成分が流出する懸念がある場合は、図3の右図31に描くように、濡れ緩和カバ−34によって、チップ製剤の成分が流れることを緩和するタイプとしてもよい。
前記緩和カバ−は、例えは笠形やカッパ形の樹脂フィルム覆いなど、簡単な形状のものが考えられる。
幅が20m、奥行きが50mの三連棟タイプの、ハウス農土面積1000m(約1反)の農業用ハウスを設置した。
栽培作物はトマトとし、晩秋の収穫ものとして、9月初旬に苗を定植した。
使用した気散包体は、害虫非好製剤を内包した吊下げ式パケットで検討し、前記吊下げ式パケットの設置は、図1ないし図2に示す如く、農業用ハウスの梁23を利用して吊り下げた。
害虫非好性物質としては、シトロネラ精油主体のハ−ブ精油とし、付着性向上、粘度調整、気散速度の調整など目的のため、有機ワックスを前記精油の質量の20%を添加混合し、使用精油とした。
含浸用シ−ト材料としては、パルプ80%、麻20%の特殊紙とし、前記特殊紙は単位面積当たりの質量(坪量)が80g/mで、前記特殊紙の質量に対し、前記使用精油を40%含浸させた。
前記使用精油を含浸させた特殊紙を、シュレッダで細断し、切断加工して、幅7mm程度、長さ40〜60mm程度の偏平形チップ状の、害虫非好製剤とした。
吊下げ式パケットの包袋材料は、単位面積当たり質量が40g/mのPET繊維不織布とし、そのサイズは、図3の左図30に描くの如き正方形とし、一辺は150mmとした。
前記パケットに挿入する害虫非好製剤、つまり前記使用精油の含浸特殊紙による偏平形チップの内包質量は、1パケット当たり12g(紙面積0.01m当たり5.3g)として、図3の左図30に描く如くの吊下げ式パケットとした。
前記農業用ハウスに前記吊下げ式パケットを、図2におけるように梁23の中央部に図示する如くフック27を設け、吊り下げて設置した。
前記吊下げ式パケットの設置方法は、トマトの苗の定植時の初回に30個を互いにほぼ等間隔になるように設置し、引き続き、15日毎に15個づつ追加するシステムで実施した。
前記害虫非好製剤は独特な香気があり、香気の強さ感から勘案して、図6のグラフに示す如く、気散濃度が害虫が好まない作用のある濃度で、鋸歯状ではあるが実質的に一定に維持されているものと考えられた。
初冬におけるトマトの収穫時開始時までに、本発明を適用してない他方のハウスの場合は、栽培植物に対する殺虫剤による害虫処理を大凡3回/月程度実施していた。
これに対し、本発明を適用した農業用ハウスにおいては、大凡1回/月程度の殺虫剤による害虫処理の実施で、本発明を適用していない他方の農業用ハウス場合に見合う効果が得られた。
つまり、トマトの栽培においては、この植物の上位に伸びる節毎に果実が実って行くので、収穫開始後約1.5ケ月間に逐次収穫があるが、本発明の農業用ハウスにおいては、11月の初収穫後には、殺虫剤による害虫処理は行わなかったのにも拘わらず、トマト果実や葉部における害虫の食害を殆ど受けなかった。
これに対し、本発明を適用してない他方の農業用ハウスの場合には、同様な条件で観察した結果、害虫による若干の食害を蒙った。
また、出荷可能な果実の品位であることを前提とした、本発明適用の農業用ハウスでの合計収穫量は、従来の農業用ハウスの場合の収穫量の大凡20%増の結果であった。
このように、本発明の農業用ハウス空域を害虫非好性空域化する方法を適用したことによって、害虫が近寄ることをためらうが如き効果を発揮して、農作物が害虫の被害を蒙ることを防ぐ効果があった。
また、農作物のハウス栽培に必須な殺虫剤による定期的な害虫処理回数を大幅に低減化する効果があることなどが分かった。
本発明は、農業用ハウス内において、害虫非好製剤を内包する気散包体を、特定の個数密度で設置し、さらに数日から数十日の間隔で、これを追加設置するシステムの採用によって、農作物の栽培期間中に前記農業用ハウス空域について、害虫非好性物質の気散濃度が実質的に一定になるようにし、前記農業用ハウス空域を害虫非好性空域化するシステムである。
前記農業用ハウス空域を害虫非好性空域化することで、害虫をハウスに近づき難くし、また侵入し難くなる。
したがって、ハウス栽培において必須条件の、農業用ハウス内の殺虫剤による定期的な害虫処理を行う回数頻度を著しく低減化することができるので、農作業負担の軽減化が可能になる。
本発明の大きな特性効果は、本発明の害虫非好性空域は、害虫が好まない空域ではあるが、前記空域に居ついている益虫や虫類が普通に生物活動できている程度の、害虫が好まないだけの香気や臭気の気散物質で、極めて僅かな気散濃度状態であることである。
前記益虫とは交配用の蜂や天敵などを指すが、これ等が普通に生物活動できる程度の状態であることがその特性である。
したがって、ハウス栽培における生物を利用する農法を妨げる要素は全くない。
したがって前記害虫非好性空域は、外部からの害虫にとって好まない空域ではあるが、忌避性のある殺虫剤の作用の如く、その域の虫類について益虫を含めて、全て抹殺してしまう如き空域とは全く異なる空域である。
害虫非好製剤から気散する害虫非好性物質は、害虫が好まない香気や臭いを気散するだけで、さらにppbオ−ダ−の非常に僅かな気散濃度である。
したがって、害虫が好まない環境にするたけで、害虫は殺傷されないので、安全性が高いといえ、農業作業者の作業環境が良好になり、環境負荷の増大を殆ど伴わない。
農業用ハウス栽培において、必須条件である殺虫剤による害虫処理は、農業用ハウスが準密閉空間であることから、ハウス内での作業者の健康上の問題、土壌やハウス部材の農薬汚染、環境負荷の問題などの弊害が生じるが、殺虫剤による前記害虫処理の回数頻度を減らすことによって、前記弊害が著しく低減する。
本発明の農業用ハウス空域を害虫非好性空域化する方法の適用によって、ハウス栽培上必須な殺虫剤による害虫処理の回数が、従来の3〜4回/月程度から、1回/月程度に、つまり殺虫剤による害虫処理の回数頻度を、大凡1/3〜1/4程度に減少させることができるので、殺虫剤コスト、害虫処理作業のコストなどを勘案すると、総合的に大きなコストダウンとなる。
以上、本発明の農業用ハウス空域を害虫非好性空域化する方法の考え方は、露地栽培の場合にも援用して適用可能である。
また、害虫が農業用ハウスに近寄ることをためらう環境を作り出すという、ソフトな新規性のある農法であるので、農業技術の進歩へのヒントの提供、農作業労力の低減化、農作業環境の改善など、農業分野への利用や応用の途に資するところが大きい。
害虫非好空域を形成する農業用ハウスの部分斜視略図 害虫非好製剤を内包する気散包体を設置した農業用ハウス内部の一部分の斜視略図 害虫非好製剤を内包する吊下げ式パケットの略図 害虫非好製剤を内包する吊下げ式パケットの断面略図 害虫非好性空域を形成した農業用ハウス空域の説明略図 農業用ハウス内における経過日数と気散濃度との関係の説明用グラフ
符号の説明
1 二棟式農業用ハウスの一部分
2 側壁部
3 前壁部
4 屋根部
5 出入口扉部
6 壁窓部
7 天窓部
8 巻上げ式シ−ト
9 巻上げ部
10 天窓部の跳ね板
11 屋根の棟間境界部
12 農土
15 ハウス内部透視部分
16 前壁部と内部透視部分との境界線
17 ハウス内の農土
18 栽培農作物の支柱
19 栽培農作物
20 害虫非好製剤内包の吊下げ式パケット
21 棚部
22 害虫非好製剤内包の立体開口容器
23 農業用ハウスの梁
26 栽培トマト
27 梁に取付けたフック
28 吊り紐
30 左図;吊下げ式パケット
31 右図;水濡れ緩和カバ−付き吊下げ式パケット
33 通し孔
34 水濡れ緩和カバ−
35 パケットの包袋材料
36 パケットの端縁部
40 チップ状の害虫非好製剤
45 農業用ハウス内部
46 破線;害虫非好性空域を示す境界
C 縦軸;害虫非好性物質の気散濃度
N 気散包体の設置個数あるいは追加設置個数
T 横軸;気散包体の初回設置からの経過日数

Claims (6)

  1. 農業用ハウスにおいて、
    害虫非好製剤を内包する通気性シ−トによる袋形のパケットの形態、あるいは前記害虫非好製剤を内包する立体開口容器の形態であるところの気散包体に、害虫非好性物質を気散する前記害虫非好製剤が内包されていて、
    前記気散包体が、前記農業用ハウス内に互いにほぼ等間隔で複数個設置されていて、
    前記農業用ハウス内において、前記気散包体から前記害虫非好性物質が気散され、
    気散濃度が実質的に一定に維持されるように、前記気散包体を数日から数十日の間隔で追加するシステムとすることによって、
    前記農業用ハウスの内部の空域、および前記農業用ハウスの外側至近空域の一部からなる、農業用ハウス空域を、前記害虫非好性物質の気散状態が実質的に一定に維持される空域とすることで、
    前記農業用ハウス空域を、あたかも見えない防虫ネットが存在するが如く、害虫非好性空域とする方法を特徴とする、
    農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法。
  2. 前記システムは、栽培農作物の定植後の初回に、前記農業用ハウスの内部農土の単位面積当たり特定個数の前記気散包体を設置し、
    引き続き、前記気散包体を前記特定個数の半数程度を、数日から数十日の間隔で、追加設置して行くシステムで、
    前記農業用ハウスの内部空域における害虫非好性物質の気散濃度を、実質的に一定に維持する方式であることを特徴とする、
    請求項1に記載する、農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法。
  3. 前記害虫非好製剤の形状において、
    前記気散包体の包体部が、前記通気性シ−トによる袋形のパケットの形態の場合は、前記害虫非好性物質を含有している、偏平形チップ、ペレット形チップ、あるいは顆粒形チップの害虫非好製剤であり、
    前記気散包体の包体部が、前記立体開口容器の形態の場合は、前記害虫非好性物質を含有している偏平形チップ、ペレット形チップ、顆粒形チップ、あるいは前記害虫非好性物質を主成分とする液、またはペ−ストである害虫非好製剤であることを特徴とする、
    請求項1、および2に記載する、農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法。
  4. 前記害虫非好性物質が害虫非好性のハ−ブ精油であって、
    前記ハ−ブ精油が、シトロネラ精油またはニーム精油主体の害虫非好性物質、あるいはシトロネラ精油およびニーム精油の混合物主体の害虫非好性物質であることを特徴とする、
    請求項1、2、および3に記載する、農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法。
  5. 前記害虫非好製剤が、偏平形チップ、ペレット形チップ、あるいは顆粒形チップにおいて、前記チップの外層部が実質的に油性物質層に覆われている害虫非好製剤、
    あるいは、前記害虫非好製剤が、偏平形チップ、ペレット形チップ、顆粒形チップにおいて、前記油性物質と前記害虫非好性物質との混合物が前記チップに含有されている害虫非好製剤、
    あるいは、前記害虫非好製剤が液またはペ−ストである場合は、前記油性物質と前記害虫非好性物質との混合物からなる害虫非好製剤、であることを特徴とする、
    請求項1、2、3、および4に記載する、農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法。
  6. 害虫非好性製剤を収容する前記パケットの包袋の材料が、不織布、紙、編織布、あるいは微細穿孔樹脂シ−トであることを特徴とする、
    請求項1、2、3、4、および5に記載する、農業用ハウスにおける害虫非好性空域の形成方法。
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