JP2006528959A - 金属多座配位子触媒を使用したカルボニル化プロセス - Google Patents

金属多座配位子触媒を使用したカルボニル化プロセス Download PDF

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Abstract

水素存在下におけるアルコールおよび/またはその反応性誘導体の液体位相カルボニル化プロセスであって、多座配位子を配位したイリジウムのロジウムを含有する触媒が使用されているプロセス。

Description

発明の詳細な説明
本発明は一般に、アルコールおよび/またはその反応性誘導体を液相カルボニル化するプロセスに関する。特に本発明は、水素の存在下におけるアルコールおよび/またはその反応性誘導体の液相カルボニル化、および多座配位子が配位されたロジウムまたはイリジウムを含有する触媒に関する。
ロジウム触媒カルボニル化プロセスによるカルボン酸の調製は既知であり、例えば欧州特許出願公開第0632006号明細書および米国特許第4,670,570号明細書に記載されている。
欧州特許出願公開第0632006号明細書は、メタノールまたはその反応性誘導体の液相カルボニル化プロセスを開示し、該プロセスは一酸化炭素を、メタノールまたはその反応性誘導体を含有する液体反応組成物、ハロゲンプロモータと、ロジウム成分と二座リン硫黄配位子を含有するロジウム触媒系とを接触させることを含み、該配位子は二つの結合炭素原子または一つの結合炭素および一つの結合リン原子を含有する略非反応性骨格構造によって、硫黄配位または陰イオン中心に結合されたリン配位中心を含有する。
イリジウム触媒カルボニル化プロセスによるカルボン酸の調製は、既知であり、例えば欧州特許出願公開第0786447号明細書、欧州特許出願公開第0643034号明細書および欧州特許出願公開第0752406号明細書に記載されている。
欧州特許出願公開第0643034号明細書は、メタノールまたはその反応性誘導体のカルボニル化による酢酸の生成プロセスを記載し、該プロセスは、メタノールまたはその反応性誘導体をカルボニル化リアクタ中の液体反応組成物中の一酸化炭素と接触させることを含み、該液体組成物は、(a)酢酸、(b)イリジウム触媒、(c)ヨウ化メチル、(d)少なくとも有限量の水、(e)酢酸メチルおよび(f)プロモータとしてルテニウムとオスミウムのうち少なくとも一つを含有する。
カルボニル化プロセスにおけるリンまたはヒ素の二座キレート配位子は、例えば英国特許第2,336,154号明細書、米国特許第4,102,920号明細書および米国特許第4,102,921号明細書より既知である。
英国特許第2,336,154号明細書は、化学式RX−Z−YRから成り、XおよびYが独立してN、P、As、SbまたはBiであり、Zが二価の結合基である二座配位子の存在下で、カルボン酸を生成する、アルコールおよび/またはその反応性誘導体の液相カルボニル化プロセスを記載する。
米国特許第4,102,920号明細書は、多座ホスフィンまたはヒ素キレート配位子を備えたロジウム錯体の存在下で、アルコール、エステル、エーテルおよびハロゲン化合物のカルボニル化プロセスを記載する。米国特許第4,102,921号明細書は、多座ホスフィンまたはヒ素キレート配位子を備えたイリジウム錯体の存在下での、類似のプロセスを記載する。
酢酸を生成するためにメタノールのカルボニル化、水素の存在の結果、アセトアルデヒド、エタノールおよびプロピオン酸等の望ましくない液体副生成物を形成することが知られている。プロピオン酸を酢酸生成物から分離するためには、高価でエネルギー集約的な蒸留塔を必要とする。さらにアセトアルデヒドは、最終的に高有機のヨウ化化合物を生成するために、一連の縮合およびその他の反応を経ることもある。これら物質のうちのいくつか、特に例えばヨウ化ヘキシルは従来の蒸留では除去が困難であり、十分な純度の酢酸を生成するためにはさらなる処理ステップが必要なこともある。メタノールを酢酸にカルボニル化するイリジウム触媒プロセスを記載する欧州特許出願公開第0849251号明細書は、一酸化炭素供給物中の水素量は好適には1モル%未満であり、リアクタ中の水素分圧は好適には1バール未満と記載している。同じように、メタノールを酢酸にカルボニル化するロジウム触媒プロセスを記載する欧州特許出願公開第0728727号明細書は、リアクタ中の水素分圧は好適には2バール未満であると記載している。
メタノールをカルボニル化する所定のロジウム触媒を使用すると、一酸化炭素供給物中に水素が存在すると、酢酸の生成量がごくわずかであるエタノールおよびアセトアルデヒドを生成することもまたこれまでわかっている。
米国特許第4,727,200号明細書は、例えば、合成ガスとの反応によるロジウム含有触媒系を使用したアルコールの増炭プロセスを記載している。合成ガス供給物と一緒に形成される主要な生成物は、エタノール、酢酸であり相対的にあまり主要でない。
Moloyら(Organometallics、1989、8、pp2883〜2893)は、ジホスフィン配位子の存在下で合成ガスを使用して、メタノールのロジウム触媒還元的カルボニル化を行って、高レベルのアセトアルデヒドを生成するプロセスを記載している。触媒にルテニウムを添加することによって、水素化を促進してエタノールを生成する。
このように、アルコールおよび/またはその反応性誘導体の触媒カルボニル化によって、カルボン酸および/またはカルボン酸のアルコールエステルを生成する改善されたプロセスへの必要性が依然として残っている。特に、液体水素化副生成物の生成量がごく少量または皆無であるという点において、水素の存在に対し耐性を有するカルボニル化プロセスに対する必要性が依然として残っている。
改善されたカルボニル化プロセスは、多座配位子を配位したロジウムまたはイリジウムを含有する触媒を使用することによって達成できることがこれまでわかってきた。該多座配位子は、少なくとも145°の侠角を有するか、あるいは剛直な構造的立体構造中のロジウムまたはイリジウム金属が配位されている。有利には、本発明のプロセスにおいて採用された触媒は、カルボニル化プロセス中に存在する水素に対して、ごく少量または皆無の液体水素化副生成物を該プロセス中で生成するという点において、より改善した耐性を持つことがわかった。さらに、本発明による金属多座配位子錯体は、非剛直金属配位子錯体または侠角が145°未満の配位子を有する錯体よりも、カルボニル化プロセス中においてより高い安定性を有することがある。さらに、本発明のプロセスは、ヨウ化リチウム等、従来の安定剤化合物の非存在下でも実施することができる。
したがって、本発明はカルボン酸および/またはカルボン酸のアルコールエステルを生成するプロセスを提供し、該プロセスは、カルボニル化リアクタ中の液体反応組成物中の一酸化炭素によってアルコールおよび/またはその反応性誘導体をカルボニル化することを含み、前記液体反応組成物はアルコールおよび/またはその反応性誘導体と、カルボニル化触媒およびハロゲン化アルキル共触媒と、オプションで有限濃度の水とを含有し、前記触媒は多座配位子が配位されるロジウムまたはイリジウムのうち少なくとも一つを含有し、前記多座配位子は少なくとも145°の侠角を有するか剛直なRhまたはIrの金属配位子錯体を形成し、前記多座配位子は少なくとも二つの配位基を含有し、該配位基はそれぞれその少なくとも二つの配位原子としてP、N、AsまたはSbを独立して含有し、前記プロセスにおいて少なくとも1:100の水素:一酸化炭素モル比で水素が維持されおよび/またはカルボニル化リアクタへの一酸化炭素供給物が少なくとも1モル%の水素を含有する。
該多座配位子は、配位基のうち少なくとも二つにおいてP、N、AsまたはSbを配位原子(ドナー原子)として独立して含有する少なくとも二つの配位基を含有する。この二つの配位基はそれぞれL1およびL2として表してもよい。
多座配位子は、ロジウムまたはイリジウム金属中心(原子)と錯体を形成する場合、金属原子と、配位P、N、AsまたはSb原子と、配位子骨格とから成る環構造骨格を形成するであろう。本明細書で使用される「剛直金属配位子錯体」は、環構造が剛直な立体構造を有することを意味する。金属配位子錯体の剛直さの程度は、該配位子の構造およびその推定される結合構造に基づいて当業者によって導き出すことができる。剛直性は、形成される配位子金属錯体の構造を検討することによって、一般的な用語で定義することができ、あるいは、より正確な定義としては、剛直性は数学的に、例えば、配位子の用語「柔軟度範囲」において定義してもよい。本明細書において使用される「柔軟度範囲」は、例えば最小エネルギー3kcal/モル内におけるL1−M−L2角に対して使用可能な侠角の範囲として定義される。(ここで、L1−M−L2角は二つの配位基と金属中心Mによって形成される角であり、MはRhまたはIrである。)二座配位子のための侠角および柔軟度範囲は、Israel Journal of Chemistry、Vol.30(1990)、p.299〜304に記載されたCaseyらの方法にしたがって計算される電位エネルギー図から導き出すことができ、この文献の内容は参照により本明細書に包含される。好適には本発明の触媒としては、柔軟度範囲は40°未満であり、好適には30°未満である。同じような計算を利用して、非二座配位子用の柔軟度範囲を定義してもよい。
好適には配位基L1およびL2はそれぞれ、リンを配位原子として含有する。これらリン含有基は、本明細書において以降P1およびP2と言及され、好適には一般式RPおよびRPを有し、該一般式においてRPおよびRPはそれぞれ、置換または非置換アルケニル基、アルキル基およびアリル基、特にフェニル基からそれぞれ選択される。好適には、R、R、RおよびRはそれぞれフェニル基である。フェニル基のうち一つまたは複数は置換基であっても非置換基であってもよい。例えばP1およびP2はそれぞれ、ジフェニルホスフィン基(PPh)であってもよい。あるいは、P1基およびP2基中のR、R、R、Rフェニル基のうち一つまたは複数は置換されていてもよい。適切には、フェニル基は、一つまたは複数のオルト位において、アルキル、アリル、アルキルオキシ(alkyloxy)(OR)基から選択される少なくとも一つの基によって置換してもよい。特に好適なオルト置換基は、Me、CF、Et、iso−PrおよびOMeである。
液体反応組成物中の多座配位子、ひいては触媒の溶解性を向上させるために、配位基上のR、R、RおよびR基のうち一つまたは複数を、一つまたは複数の親水性基および/または極性基で置換してもよい。これら基の例には、−COH、−COMe、−OH、−SOH、−SONa、−NH、−NH および−NRが含まれる。
配位子構造が、多座金属配位子錯体の剛直な立体構造の直接的原因であろう。特に多座配位子が二座配位子である場合は、配位子骨格回りの回転を配位子が抑制したはずである。本明細書中に定義される配位子骨格は、金属配位子錯体中に(金属原子および配位(ドナー)原子を含有する)環構造を形成する配位子のうち一つまたは複数の部分である。例えば、配位基L1とL2との間のビニル骨格または芳香族骨格によって剛直な立体構造が形成されてもよく、該芳香族骨格によって配位子骨格の回転が抑制または阻止される。あるいは、またはさらには、配位子骨格の回転を抑制する立体効果を理由に、配位子金属錯体が剛直であってもよい。
適切な剛直ホスフィン含有二座配位子は以下1から3の一般構造式を含み、該構造式においてP1およびP2はそれぞれRPおよびRPであり、R〜Rは以下に定義されるとおりである。
Figure 2006528959
Figure 2006528959
Figure 2006528959
それぞれの構造(1から3)は、剛直な立体構造を備えた金属二座配位子錯体を形成するであろう。例えば、一般構造1の配位子は金属中心を備えた五員環を形成し、この構造はビニル骨格があるため剛直である。構造1におけるRおよびRは、H、アルキル、アリルから独立して選択されてもよい。RおよびRは結合して、芳香環、例えば下記の構造1aに示すフェニル環を形成してもよい。
Figure 2006528959
一般構造2および3の配位子は、それぞれ剛直な六員環および七員環を形成する。特に、構造3の配位子の単架橋結合回りの回転は、構造内で重なり合う水素原子の立体的障害によって阻止される。
適切には、上記の構造1、1a、2および3は、P1基および/またはP2基の置換をはじめ、例えば一つまたは複数のアルキル基等、一つまたは複数の置換基に置換されてもよい。
特に構造1、1a、2および3中に存在するP1基およびP2基のR、R、RおよびRはそれぞれ独立して、好適には、フェニル基および置換フェニル基から選択されている。より好適には、R、R、RおよびR基のうち一つまたは複数が、好適には一つまたは複数のオルト位において置換される。好適なオルト置換基には、アルキル、アリル、アルキルオキシ(OR)基が含まれる。特に好適なオルト置換基は、Me、CF、Et、iso−PrおよびOMeである。
液体反応組成物中における上記構造1、1a、2、3によって表される二座配位子、ひいては触媒の溶解性を向上させるために、二座配位子は一つまたは複数の親水性基および/または極性基によって置換してもよい。好適には、二座配位子の一つまたは複数のリン含有基が置換される。適切な置換基の例として、−COH、−COMe、−OH、−SOH、−SONa、−NH、−NH および−NRが含まれる。
好適なヒ素二座配位子およびスチビン二座配位子は、上述の構造1、1a、2および3、または上述のこれらの変異体によって表されてもよく、リン原子がヒ素原子またはアンチモン原子によって置換されている。好適な混合二座配位子には、上述の構造1、1a、2および3、またはこれらの変異体であって、リン含有基、ヒ素含有基およびアンチモン含有基から選択される二つの基の組み合わせを含有するものが含まれる。
好適な窒素含有二座配位子は、ドナー原子として窒素を含有する芳香環系である。芳香環は置換されても置換されなくてもよく、該環系は酸素等、ヘテロ原子を含有してもよい。適切な環系の例としては、置換または非置換ビピリジンが含まれる。
また、本発明の多座配位子は三座配位子であってもよい。
三座配位子は三つの配位基を有し、該配位基を通って配位子がロジウムまたはイリジウム金属中心に配位されている。この三つの配位基は、すでに記載したL1およびL2、および好適にはP、As、Sb、O、N、Sまたはカルベンをドナー(配位)原子として含有する第3の配位基L3によって表してもよい。
好適には三座配位子は、化学式L1(R)L3(R)L2によって表され、該化学式においてRとRは、それぞれL1をL3に、およびL3をL2に結合させる結合基である。結合基RおよびRは、アリル基、アルケニル基、好適にはビニル基またはフェニル基からそれぞれ選択される。RおよびRそれ自体も、L3を含有する少なくとも一つの環構造を形成してもよく、該構造は以下の一般構造式Aで表してもよい。
Figure 2006528959
好適には、三座配位子は上述の化学式L1(R)L3(R)L2によって表され、L1およびL2は金属中心に対して互いにトランス位となるよう、架橋立体構造中のロジウムまたはイリジウム触媒金属中心に配位される。本明細書中全体にわたって使用される「互いにトランス位となる」は、二つの配位子と金属中心によって形成される角度L1−M−L2であり、MがRhまたはIrの金属中心である角度が、少なくとも145°、好適には少なくとも150°であることを意味する。この角度は、例えばX線結晶学等、従来の技術を用いて測定してもよい。
好適には、三座配位子は、L1基、L2基およびL3基のドナー原子が金属中心に対してメリジオナル(mer−)位の配位様式となるよう配位される。より好適には三座配位子は、L1基、L2基およびL3基のドナー原子が、金属中心に対し略平面構成となるよう配位される。
好適にはL1およびL2はリン含有基であり、L3は酸素であり、その結果三座配位子は化学式P1−R−O−R−P2を有し、該化学式においてP1およびP2は一般化学式RPおよびRPから成るリン含有基であり、R、R、RおよびRは、置換または非置換アルケニル基、アルキル基、アリル基、特にフェニル基からそれぞれ独立して選択される。好適には、三座配位子中のR、R、RおよびRはそれぞれフェニル基である。フェニル基はそれぞれ置換または非置換であってもよい。P1およびP2はそれぞれジフェニルフォスフィン(PPh)であってもよい。あるいは、P1基およびP2基中のR、R、RおよびRフェニル基のうち一つまたは複数が置換されている。適切にはフェニル基は、一つまたは複数のオルト位において、アルキル基、アリル基、アルキルオキシ(OR)基から選択される少なくとも一つの基によって置換してもよい。特に好適なオルト置換基はMe、CF、Et、iso−PrおよびOMeである。
液体反応組成物中の三座配位子、ひいては触媒の溶解性を高めるため、三座配位子上にあるR、R、R、R、R、およびR基のうち一つまたは複数は、一つまたは複数の親水基および/または極性基によって置換してもよい。適切な置換基の例として、−COH、−COMe、−OH、−SOH、−SONa、−NH、−NH および−NRが含まれる。
配位子の構造が三座金属配位子錯体の剛直立体構成の直接原因であってもよく、あるいは金属配位子錯体の構造が原因であってもよい。例えば剛直な立体構成は、キサントフォス(下記の構造4)等の全配位子の剛直構造を原因としてもよい。こうして、キサントフォス三座配位子は、ロジウムまたはイリジウム金属中心(原子)と錯体を形成する場合、金属原子と、配位原子P、AsまたはSbと、(第3のドナーとして酸素を有する)配位子骨格とを含有する剛直環構造を形成する。
あるいは、RおよびRが剛直な立体構造の直接の原因であってもよく、ここでは、該RおよびRはそれぞれ独立してビニル骨格または芳香族骨格のいずれかであり、それぞれがL1とL3との間、およびL3とL2との間の配位子骨格の回転を抑制または阻止するものの、全配位子は金属中心に配位される場合のみ剛直となる。このような構造の一例には、DPEフォスがあり、下記の構造5に示す。この例において、配位子がロジウムまたはイリジウム金属中心に配位される場合、配位子金属錯体に対して全般的に剛直性を提供する二つの剛直な5員環から成る剛直な環構造を形成する。あるいは、または追加的には、構造3に関して記載したように、配位子骨格の回転を抑制する立体効果が理由となって、配位子金属錯体は剛直となってもよい。
本発明における用途に適切なホスフィン含有三座配位子の具体的な例としては、下記に記載する構造4〜14を有するキサントフォス、チキサントフォス、シキサントフォス、ホモキサントフォス、ホスキサントフォス、イソプロプキサントフォス、ニキサントフォス、ベンゾキサントフォス、DPEフォス、DBFフォスおよびR−ニキサントフォスが含まれる。R−ニキサントフォスのR基は好適には、アルキル基またはアリル基から選択され、より好適にはメチル、エチル、プロピルおよびベンジルから選択される。
Figure 2006528959
適切には、上記の構造4から14は、例えば一つまたは複数のアルキル基等、一つまたは複数の置換基によって置換してもよい。t−Bu−キサントフォスの構造は、下記の構造15に示すとおりである。
Figure 2006528959
構造4から15によって表されるリン含有三座配位子において、ジフェニルフォスフィン基はすでに定義したようにP1基およびP2基によって置換してもよい。特に、好適なP1基およびP2基はRPおよびRPであり、ここではR、R、RおよびRはそれぞれフェニル基類および置換フェニル基類からそれぞれ独立して選択され、R、R、RおよびR基のうち一つまたは複数が、好適には一つまたは複数のオルト位において、アルキル基、アリル基またはアルキルオキシ(OR)基によって置換されている。特に好適なオルト置換基はMe、CF、Et、iso−PrおよびOMeである。
液体反応組成物中の構造4から15によって表される三座配位子、ひいては触媒の溶解性を向上させるため、該三座配位子上は、一つまたは複数の親水基および/または極性基、特に三座配位子上の一つまたは複数のホスフィン基上で置換してもよい。適切な置換基の例として、−COH、−COMe、−OH、−SOH、−SONa、−NH、−NH および−NRが含まれる。
適切には、上記構造4から15のうち任意、または上述のこれらの置換変異体を含有するホスフィン含有三座配位子は、L3における酸素原子を硫黄原子または窒素原子で置換してもよい。
好適なヒ素含有およびスチビン含有三座配位子は、上記構造4から15または本明細書中に記載のこれらの異性体を含み、リン原子はヒ素原子またはアンチモン原子によって置換されている。好適な混合三座配位子は、上記構造4から15または本明細書中に記載のこれらの異性体を含み、L1およびL2として、リン、ヒ素およびアンチモン含有基から選択される二つの基の組み合わせを含有する。
例えば、As,As−t−Bu−キサントフォスおよびP,As−t−Bu−キサントフォスの構造はそれぞれ構造16および17として以下に示される。
Figure 2006528959
Figure 2006528959
好適な窒素含有三座配位子は、ドナー原子として窒素を含有する芳香環系である。芳香環は置換でも非置換でもよく、該環系は酸素等の他のヘテロ原子を含有してもよい。適切な環系の例には、置換または非置換テルピリジンが含まれる。
二座配位子および三座配位子は、商業利用可能なものであってもよく、あるいは当業者において既知の方法にしたがって合成されてもよい。より具体的には、構造4から17によって表される三座配位子および上述のこれらの異性体は、上記の方法にしたがって合成してもよく、あるいはvan der Veenら、Chem.Commun、2000、333に記載されるこれらの類似体にであってもよく、該文献の内容は参照により本明細書中に包含される。
剛直な構造的立体構造中の多座配位子が配位されたロジウムまたはイリジウムを含有する触媒、あるいは本発明により少なくとも145°の侠角を有する触媒を使用することによって、水素の存在下では、カルボン酸生成物に対する感度が上昇すること、およびアルコールおよびアルデヒド等の液体水素副生成物に対する感度が低下することがこれまでわかっている。
好適には、本発明の触媒はロジウムを含有する。提唱するロジウム触媒カルボニル化および還元的カルボニル化の機序は、例えば、Moloyら、Organometallics、Vol.8,No.12、1989において見出すことができ、該文献は参照によって本明細書中に包含される。理論にとらわれずに、本発明による金属配位子錯体の剛直な立体構造は、立体構造を変化させる金属配位子錯体の能力を阻止するかあるいは少なくとも抑制し、次いで金属配位子錯体への水素添加を少なくとも抑制するか少なくとも抑制するかカルボニル化中に形成された金属アシル種(例:M−COCH)からのアルデヒド(例:アセトアルデヒド)の脱離を阻止すると考えられている。該脱離は、例えば、Hがアシル基に対する空位のcisに進入することを要する脱離反応、または互いにcisである(H添加によって形成される)金属ハロゲン化物と金属アシル配位子との間の還元的脱離反応のいずれかを要求する脱離反応である。例えば金属錯体が、一つの頂点のアシル基(例COMe)と二つのハロゲン化物配位子(例:I)を有する剛直な二座配位子を含有する四角錐構造を有する場合、空位はアシル基に対してトランス位置に固定され、このため水素と反応してアルデヒドを形成する反応を阻止する。
さらに、また再び理論に縛られることなく、三座配位子は3個のドナーを配位することによって、追加的な立体阻害効果を有し、金属配位子錯体に対する水素添加を阻止または抑制してもよい。
本発明の触媒は、イリジウムまたはロジウム含有化合物に多座配位子を配位することによって調製してもよい。該触媒は、イリジウムまたはロジウム含有化合物と多座配位子とを液体反応組成物に個別に添加することによって、液体反応組成物中においてin−situで形成してもよい。該イリジウムまたはロジウム含有化合物は、液体反応組成物に溶解するか溶解可能な形態に変換可能であれば任意の適切な形態で添加してもよい。しかし好適には触媒は、多座配位子がイリジウムまたはロジウム含有化合物に配位された形成前金属多座配位子錯体の形態で、液体反応組成物に添加される。形成前金属多座配位子錯体は、液体反応組成物への添加に先立って、例えばエタノール等適切な溶媒中の多座配位子と置換可能な基を有する、例えば適切なイリジウムまたはロジウム含有化合物と混合することによって調製してもよい。
形成済のイリジウム−三座配位子錯体の例には、[{L1(R)L3(R)L2}Ir(COMe)I]、[{L1(R)L3(R)L2}Ir(CO)I]、[{L1(R)L3(R)L2}Ir(CO)]および[{L1(R)L3(R)L2}IrI(CO)Me]があげられ、この場合L1(R)L3(R)L2は上記に記載された三座配位子を表す。
形成済のロジウム−三座配位子錯体の例には、[{L1(R)L3(R)L2}Rh(COMe)I]、[{L1(R)L3(R)L}Rh(CO)I]、[{L1(R)L3(R)L2}Rh(CO)]および[{L1(R)L3(R)L2}RhI(CO)Me]があげられ、この場合L1(R)L3(R)Lは例えば[{キサントフォス}Rh(COMe)I]等、上記に記載された三座配位子を表す。
好適には、イリジウムまたはロジウム含有化合物は、酢酸塩等塩素を含有しない化合物であり、一つまたは複数の液体反応組成物成分中に溶解し、このため反応組中の反応に溶液として添加してもよい。
適切なイリジウム含有化合物の例としては、IrCl、IrI、IrBr、[Ir(CO)I]、[Ir(CO)Cl]、[Ir(CO)Br]、[Ir(CO)、[Ir(CO)Br、[Ir(CO)、[Ir(CH)I(CO)、Ir(CO)12、IrCl・4HO、IrBr・4HO、Ir(CO)12、イリジウム金属、Ir、IrO、Ir(acac)(CO)、Ir(acac)、酢酸イリジウム、[IrO(OAc)(HO)][OAc]およびヘキサクロロイリジウム酸、H[IrCl]、好適には酢酸類、シュウ酸塩類、アセトアセテート類等の塩素のないイリジウム錯体が含まれる。
適切なロジウム含有化合物の例としては、[Rh(CO)Cl]、[Rh(CO)I]、[Rh(Cod)Cl]、塩化ロジウム(III)、塩化ロジウム(III)三水和物、臭化ロジウム(III)、ヨウ化ロジウム(III)、酢酸ロジウム(III)、ロジウムジカルボニルアセチルアセトン錯体、RhCl(PPhおよびRhCl(CO)(PPhなどが含まれる。
好適には、液体反応組成物中のイリジウム濃度は、イリジウム重量比で100〜6000ppmの範囲内にあり、より好適には400〜5000ppmの範囲内、例えば重量比500〜3000ppmの範囲内にある。
好適には、液体反応組成物中のロジウム濃度は、ロジウム重量比で25〜5000ppmの範囲内にあり、より好適には250〜3500ppmの範囲内にある。
リアクタ中におけるロジウムまたはイリジウムの多座配位子に対するモル比は、特に形成済の金属配位子錯体が使用される場合、最適には約1:1である。あるいは、特に、例えば金属配位子錯体がin−situで形成される場合、余剰の配位子が液体反応組成物中には存在する可能性がある。このように、多座配位子に対するロジウムまたはイリジウム金属のモル比は、1:1未満であってもよく、適切には1:1から1:2の範囲にあってもよい。
また金属反応組成物はプロモータ金属を含有してもよい。適切なプロモータは、ルテニウム、オスミウム、レニウム、カドミウム、水銀、亜鉛、ガリウム、インジウムおよびタングステンから選択される。好適なプロモータは、ルテニウムおよびオスミウムから選択され、最も好適にはルテニウムである。プロモータは、液体反応組成物中に溶解する任意の適切なプロモータ金属含有化合物を含有していてもよい。プロモータは、液体反応組成物中に溶解するかまたは溶解形態に変換可能な任意の適切な形態において、カルボニル化反応を行うために液体反応組成物に添加されてもよい。
プロモータの生成源として使用してもよい適切なルテニウム含有化合物の例としては、塩化ルテニウム(III)、塩化ルテニウム(III)三水和物、塩化ルテニウム(IV)、臭化ルテニウム(III)、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、ギ酸ルテニウム(III)、[Ru(CO)]−H、[Ru(CO)、[Ru(CO)]、[Ru(CO)、テトラ(アセト)クロロルテニウム(II、III)、酢酸ルテニウム(III)、プロピオン酸ルテニウム(III)、ブチルルテニウム(III)、ペンタカルボニルルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、および例えば、ジクロロトリカルボニルルテニウム(II)二量体、ジブロモトリカルボニルルテニウム(III)二量体等の混合ルテニウムハロカルボニル類、および例えばテトラクロロビス(4−シメン)ジルテニウム(II)、テトラクロロビス(ベンゼン)ジルテニウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5ジエン)ルテニウム(II)重合体、トリス(アセチルアセトネート)ルテニウム(III)等その他有機錯体が含まれる。
プロモータの生成源として使用してもよい適切なオスミウム含有化合物の例としては、塩化オスミウム(III)水和物および無水物、オスミウム金属、四酸化オスミウム、ドデカカルボニルトリオスミウム、[Os(CO)]、[Os(CO)、[Os(CO)]-H、ペンタクロロ−μ−ニトロジオスミウム、および例えばトリカルボニルジクロロオスミウム(II)二量体等の混合オスミウムハロカルボニル類、およびその他オルガノオスミウム錯体が含まれる。
プロモータの生成源として使用してもよい適切なルテニウム含有化合物の例としては、Re(CO)10、Re(CO)Cl、Re(CO)Br、Re(CO)I、ReCl.xHO、[Re(CO)I]、Re(CO)およびReCl.yHOが含まれる。
使用してもよい適切なカドミウム含有化合物の例としては、Cd(OAc)、CdI、CdBr、CdCl、Cd(OH)およびカドミウムアセチルアセトネートが含まれる。
使用してもよい適切な水銀含有化合物の例としては、Hg(OAc)、HgI、HgBr、HgCl、HgおよびHgClが含まれる。
使用してもよい適切な亜鉛含有化合物の例としては、Zn(OAc)、Zn(OH)、ZnI、ZnBr、ZnClおよび亜鉛アセチルアセトネートが含まれる。
使用してもよい適切なガリウム含有化合物の例としては、ガリウムアセチルアセトネート、酢酸ガリウム、GaCl、GaBr、GaI、GaClおよびGa(OH)が含まれる。
使用してもよい適切なインジウム含有化合物の例としては、インジウムアセチルアセトネート、酢酸インジウム、InCl、InBr、InIおよびIn(OH)が含まれる。
使用してもよい適切なタングステン含有化合物の例としては、W(CO)、WCl、WCl、WBr、WI、C12W(CO)、および任意のタングステンのクロロカルボニル、ブロモカルボニル、ヨードカルボニル化合物が含まれる。
好適には、プロモータは、液体組成物中および/またはカルボン酸回収段階からカルボニル化リアクタへと回収される任意のプロセス液体における、溶解性の範囲となる有効量存在する。プロモータは、プロモータのロジウムまたはイリジウムに対するモル比0.1:1〜20:1で、好適には0.5:1から10:1で、さらに好適には2:1〜10:1で、液体反応組成物中に存在する。適切なプロモータ濃度は8000ppm未満、例えば400〜7000ppmである。
液体反応組成物は、アルカリ金属ヨウ化物、アリカリ土類金属ヨウ化物、I−生成能を有する金属錯体類、I−生成能を有する塩類およびこれらのうち二つまたはそれ以上からなる混合物から選択される、有効量の安定剤および/またはプロモータ化合物もまた含有してもよい。適切なアルカリ金属ヨウ化物の例としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウムおよびヨウ化カリウム、好適にはヨウ化リチウムが含まれる。適切なアルカリ土類金属ヨウ化物の例としては、ヨウ化カルシウムが含まれる。I−生成能を有する金属錯体の例としては、例えばサマリウムおよびガドリニウム、セリウム等、ランタニド金属、およびモリブデン、ニッケル、鉄、アルミニウム、クロミウム等、他の金属の錯体が含まれる。I−生成能を有する塩類の例としては、in−situでのI−への変換能を有する例えばアセテートが含まれる。これらは、典型的にはLiOAc、および例えば、四級アンモニウムヨウ化物およびヨウ化ホスホニウム等の有機塩類等であり、上記のように添加可能である。
適切には、使用される安定化合物の量は、触媒系の溶解性の向上に有効な量であり、好適には、カルボニル化反応速度を大幅に低下させない量である。
反応速度に対して影響を及ぼす可能性がある例えばクロム、鉄、モリブデン等の腐食金属は、適切な耐腐食性構造である物質を使用することによって最小化することができる。腐食性金属および他のイオン性不純物は、液体反応組成物または好適には触媒回収液を処理する適切なイオン交換樹脂床の使用によって低減することができる。このようなプロセスは、米国特許第4,007,130号明細書に記載されている。
ハロゲン化アルキル共触媒は、適切にはより低級の、例えばCからCハロゲン化アルキルであってもよい。好適にはハロゲン化アルキルは、例えばヨウ化メチル等、ヨウ化アルキルである。液体反応組成物中のハロゲン化アルキル共触媒の濃度は、適切には1〜30重量%、例えば1〜20重量%の範囲にある。
本発明のプロセスでは、アルコールおよび/またはその反応性誘導体から選択される反応剤は、一酸化炭素によってカルボニル化され、カルボン酸および/またはカルボン酸のアルコールエステルを生成する。
適切なアルコール反応剤は、1〜20個の炭素原子と一つの任意のヒドロキシ基を有する任意のアルコールである。好適には、アルコールは単官能脂肪族アルコールであり、好適には1〜8個の炭素原子を有する。最も好適にはアルコールはメタノール、エタノールおよび/またはプロパノールである。二つ以上のアルコールを含有する混合物を使用してもよい。アルコールのカルボニル化生成物は、アルコールおよび/またはアルコールおよびカルボン酸生成物のエステルよりも炭素原子が1個多いカルボン酸となるであろう。特に好適な反応剤はメタノールであり、このカルボニル化生成物は酢酸および/または酢酸メチルである。
アルコールの適切な反応性誘導体には、エステル類、ハロゲン化物類およびエーテル類が含まれる。
適切なエステル反応剤は、アルコールおよびカルボン酸の任意のエステルである。好適には、エステル反応剤はカルボン酸およびアルコールのエステルであり、該アルコールは1〜20個の炭素原子を有する。より好適には、エステル反応剤はカルボン酸および単官能脂肪族アルコールのエステルであり、該アルコールは1〜8個の原子を有する。最も好適には、エステル反応剤はカルボン酸、メタノール、エタノールまたはプロパノールのエステルである。好適にはエステル反応剤は、アルコールおよびカルボン酸生成物のエステルである。好適にはエステル反応剤は20個までの炭素原子を有する。エステル反応剤の混合物を使用してもよい。エステル反応剤のカルボン酸カルボニル化生成物は、エステル反応剤のアルコール成分よりも炭素原子が1個多いカルボン酸であろう。特に好適なエステル反応剤は、酢酸メチルであり、そのカルボニル化生成物は酢酸である。
適切なハロゲン化反応剤は、炭素原子を20個まで有する任意のヒドロカルビルハロゲン化物である。好適には該ハロゲン化反応剤は、ヨウ化物または臭化物である。より好適には、ヒドロカルビルハロゲン化物反応剤のハロゲン化物成分は、ハロゲン化アルキル共触媒の反応剤と同じハロゲン化物である。最も好適には、ヒドロカルビルハロゲン化物はヨウ化ヒドロカルビルであり、最も好適にはヨウ化メチル、ヨウ化エチルまたはヨウ化プロピルである。ヒドロカルビルハロゲン化物の混合物を使用してもよい。ヒドロカルビルハロゲン化物のエステルカルボニル化生成物は、ヒドロカルビルハロゲン化物およびヒドロカルビルハロゲン化物よりも炭素原子が1個多いカルボン酸のエステルであろう。
適切なエーテル反応物は、炭素元素を20個まで有するヒドロカルビルエーテルである。好適にはエーテル反応物はジアルキルエーテルであり、最も好適にはジメチルエーテル、ジエチルエーテルまたはジプロピルエーテルである。エーテルの混合物を使用してもよい。エーテル反応物のカルボニル化生成物は、エーテルおよび/またはそのエステル誘導体のヒドロカルビル基のそれぞれよりも炭素原子が1個多いカルボン酸であろう。特に好適なエーテル反応物は、ジメチルエーテルでそのカルボン酸生成物は酢酸である。
アルコール、エステル、ハロゲン化物およびエーテル反応剤の混合物を、カルボニル化プロセスに使用してもよい。二つ以上のアルコール、エステル、ハロゲン化物および/またはエーテルを使用してもよい。特に好適な反応剤は、メタノールおよび/または酢酸メチルであり、これらのカルボニル化生成物は酢酸である。
液体反応組成物は無水であってもよいが、好適には有限濃度の水を含有する。本明細書に使用される無水とは、液体反応組成物に実質上水が存在せず、液体反応組成物が0.1重量%未満の水を含有することを意味する。本明細書中に使用される有限濃度の水は、液体反応組成物が少なくとも0.1重量%の水を含有することを意味する。好適には、水は液体反応組成物の全重量に基づく重量比で、0.1〜30%の範囲内の濃度で、例えば1〜15%の範囲内で、より好適には1〜10%の範囲内で存在してもよい。
水は所望であれば液体反応組成物に添加してもよく、あるいはin−situでのカルボニル化反応において形成されてもよい。例えば、メタノールのカルボニル化において、水はメタノール反応剤と酢酸生成物とのエステル化反応によって形成してもよい。
水は、例えば酢酸メチル等、エステルといった他の反応剤といっしょにまたは別々に、カルボニル化リアクタに導入してもよい。液体反応組成物中における所要濃度を維持するために、水を、液体反応組成物から分離し、リアクタから離脱させ、その管理量を回収してもよい。
カルボン酸生成物、例えば酢酸は、本発明の液体反応組成物における溶媒として存在してもよい。
本発明に使用される一酸化炭素は(水素供給物に別々に供給される場合)、概ね純粋であってもよく、あるいは二酸化炭素、メタン、窒素、希ガス、水およびCからCパラフィン系炭化水素等、不活性な不純物を含有してもよい。
リアクタ内の一酸化炭素の分圧は、適切には1〜70bargの範囲内にあってもよい。
水素は一酸化炭素供給物とは別個にリアクタに供給してもよいが、好適には一酸化炭素との混合物としてリアクタに供給される。好適には、一酸化炭素と水素の混合物は、炭化水素の改質等、商業的な供給源から入手される。炭化水素の商業的な改質によって、CO、水素およびCOの混合物を生成し、この混合物は一般に合成ガスと言及される。合成ガスは典型的には水素を、COに対するモル比1.5:1〜5:1の範囲で含有している。
混合された水素/一酸化炭素供給物は、少なくとも1モル%の水素、例えば少なくとも2モル%の水素、より好適には少なくとも5モル%の水素を含有する。供給物における水素の対COモル比は最も好適には1:100〜10:1、例えば1:20〜5:1である。
水素がCOと一緒にリアクタに供給される場合、リアクタ内のCO消費によって、一般に、リアクタ内の水素の対COモル比は、リアクタへの供給物中の水素の対COモル比よりも高くなる。リアクタに供給される水素に加えて、水素は水素ガスシフト反応によってin−situで生産することができる。このように、水素が、リアクタへの供給物中に存在し、例えばバッチプロセス等、高いCO変換率で作動するカルボニル化プロセスを行うために存在する場合、リアクタ内のCO濃度は非常に低くなり、リアクタ内水素の対COモル比も、例えば100:1以上等、これに応じて高くなる。しかし好適には、リアクタ内の水素の対COモル比は100:1未満に維持されている。好適にはカルボニル化リアクタ中において、水素は少なくとも1:100の水素:COモル比に維持されている。より好適にはカルボニル化リアクタ中において、水素は、少なくとも水素:COモル比1:10で、最も好適には少なくとも1:1に維持されている。リアクタ中の水素分圧は、好適には1バールよりも大きく、最も好適には2バールよりも大きい。
カルボニル化反応は、全圧10〜100bargの範囲内で実行してもよい。温度は適切には50〜250℃の範囲内、典型的には120〜200℃の範囲内にあってもよい。
プロセスはバッチ処理でまたは継続的に、好適には継続的に作動してもよい。
蒸気および/または液体をカルボニル化リアクタから分離し、分離した物質からカルボン酸を回収することによって、液体反応物から分離してもよい。好適には、カルボニル化リアクタから継続的に液体反応組成物を分離し、一つまたは複数の蒸留段階の一瞬および/または一部によって分離した液体反応組成物からカルボン酸を回収することによって、カルボン酸は液体反応組成物から回収される。該蒸留段階では、酸は、ロジウムまたはイリジウム触媒、ハロゲン化アルキル共触媒、オプションでのプロモータ、カルボン酸エステル、未反応アルコール、水およびカルボン酸溶媒等、液体反応組成物の他の成分から分離され、これら成分はリアクタに回収されてもよい。
カルボン酸を生成する従来のプロセスでは、水素をリアクタ内の低い分圧に維持するために、通常はパージを行っている。(in−situで形成される一酸化炭素供給物および水素中の不純物のレベルが原因となって、水素が蓄積する。)わずか低濃度の水素だけが容認できるため、多くの場合パージは低濃度の水素および、廃棄される高濃度の一酸化炭素を含有している。本発明のプロセスが、リアクタ内の水素が高濃度である場合に作動可能なことがわかってきたため、パージ液は高濃度の水素を含有するであろう。したがってリアクタからパージする必要がある一酸化炭素は大幅に少なく、このため全CO生成量を増加させる。
本発明のプロセスのさらなる利点は、水素の存在下においては所望の液体生成物に対して高い感度を達成することができることであり、これによってカルボニル化プロセスでは、水素含有量の高い一酸化炭素の液体供給物を使用することができる。これによって大幅な費用の節約が可能である。特に、1%Hよりも大きい一酸化炭素供給物を利用することによって、例えば膜分離技術等、より低価格で極低温の合成ガス分離方法を採用することができる。
次に、以下の実施例をほんの一例として、および以下の実施例を参照して、本発明を説明する。
実施例
一般反応法
メタノール、ヨウ化メチル、RuCl−水和物およびdppp(dppp=ビス−1,3−ジフェニルフォスピンプロパン)をAldrichから入手した。(acac)Rh(CO)、キサントフォスおよびBINAPはStrem Chemicalsから入手した。RuClはJohnson Mattheyから入手した。
実験は、ガス分散推進装置と、液体触媒注入装置と冷却コイルとを備えた磁気駆動攪拌器を有する300mlのジルコニウムオートクレーブを用いて実施した。オートクレーブへのガス供給はバラスト容器から供給され、供給ガスは、オートクレーブを反応中に一定圧に維持するために供給されている。
比較実施例A
この実験は、水素と、ロジウム触媒と、dpppとルテニウムプロモータとの存在下において、メタノールと一酸化炭素との2時間の実行時間中の反応を示す。dpppは、ホスフィン二座配位子である。H:COモル比2:1で水素と炭素を含有する合成ガスが使用された。(合成ガス中にはCOは存在しなかった。)2.031グラムの(dppp)Rh(COMe)Iおよび2.115グラムのRuClをメタノール投入液の一部に懸濁させ、オートクレーブに投入した。リアクタは次に、窒素で圧力検査を行い、ガス採取装置を介して放出され、合成ガスで3回洗い流した。反応組成物の残りの液体成分(残存するメタノールおよびヨウ化メチル)を、液体添加ポートを介してオートクレーブに投入した。次にオートクレーブを5bargの合成ガスで加圧し、ゆっくりと放出した。次にオートクレーブを、合成ガス(約20barg)で加圧し、攪拌(1220r.p.m.)によって反応温度140℃まで加熱した。ひとたび温度が安定すると(約15分)、バラスト容器から合成ガスを供給することによって、全圧を所望の作動圧力まで上昇させた。実験全体にわたってバラスト容器から気体を供給することによってリアクタ圧を一定値に維持した。バラスト容器から取り込んだ気体を、実験の過程全体にわたってデータログを使用して測定した。Eurotherm(商標)制御システムに接続された加熱用マントルによって、反応温度を所望の反応温度から±1℃以内に維持した。適切な時間T(表1bを参照)の後、バラスト容器を分離し、冷却コイルを使用してリアクタを急速に冷却した。
生成物分布データを表2に示し、生成物感度データを表3に示す。多く見られる液体生成物は、エタノールおよびその誘導体(EtOMeおよびEtO)ならびにその前駆体のアセトアルデヒドである。比較的少量の酢酸およびその誘導体MeOAeが形成される。
比較実施例B
この実験は、水素と、ロジウム触媒と、dpppとルテニウムプロモータとの存在下において、メタノールと一酸化炭素との30分の実行時間中の反応を示す。H:COモル比2:1で水素と炭素を含有する合成ガスを使用した。(合成ガス中にはCOは存在しなかった。)
この実験では、ホスフィン−ロジウム錯体をin−situで生成した。メタノール投入液(約60g)の一部に、1.114グラムのdpppと0.658グラムの(acac)Rh(CO)とを配置し、触媒前駆体懸濁液を生成した。オートクレーブ内に2.590グラムのRuCl.3HOを約5グラムのメタノールとともに配置し、オートクレーブの圧力を検査した。MeI共触媒をオートクレーブに添加し、引き続き触媒前駆体懸濁液を添加した。残存するメタノールを添加し、オートクレーブを合成ガス(約20barg)で加圧した。次に比較実施例Aに対する実験を実施した。反応条件を表1bに示す。生成物分布データを表2に示し、生成物感度データを表3に示す。多く見られる液体生成物はエタノールおよびその前駆体であるアセトアルデヒドである。比較的少量の酢酸およびその誘導体MeOAcもまた形成される。
比較実施例C
この実験は、水素と、ロジウム触媒と、dpppは存在するがルテニウムプロモータが存在しない場合、メタノールと一酸化炭素との2時間の実行時間中の反応を示す。H:COモル比2:1で水素と炭素を含有する合成ガスが使用された。(合成ガス中にはCOは存在しなかった。)
下記表1aおよび1bに示す投入物組成および反応条件を用いて比較実施例Bの使用法にしたがって実行した。生成物分布データを表2にします。生成物感度データを表3に示す。ルテニウムの非存在下において、よく見られる液体生成物はアセトアルデヒドである。比較的少量の酢酸およびその誘導体MeOAcもまた形成される。
実施例1
この実施例は、水素と、ロジウム系キサントフォス触媒とルテニウムプロモータの非存在下での、メタノールと一酸化炭素との反応を示す。H:COモル比2:1で水素と炭素を含有する合成ガスを使用した。(合成ガス中にはCOは存在しなかった。)
この実験では、ホスフィンロジウム錯体をin−situで生成した。メタノール投入液(約60g)の一部に、1.571グラムのキサントフォスを0.646グラムの(acac)Rh(CO)と2.084グラムのRuClをと一緒に配置し、触媒前駆体懸濁液を生成した。MeI共触媒を少量のメタノール(5グラム)と一緒に触媒注入システムに添加した。触媒前駆体懸濁液、続いて残存するメタノールをオートクレーブに添加し、オートクレーブを合成ガス(約20barg)で加圧した。次に、下記の表1aおよび1b中に示す投入物組成および反応条件を用いて、比較実施例A用の実験を実施した。生成物分布データを表2に示し、生成物感度データを表3に示す。
実施例2
この実施例は、水素とロジウムキサントフォス系触媒の存在下で、およびルテニウムプロモータの非存在下での、メタノールと一酸化炭素との反応を示す。H:COモル比2:1で水素と炭素を含有する合成ガスを使用した。(合成ガス中にはCOは存在しなかった。)
反応は、下記の表1aおよび1b中に示す投入物組成および反応条件を用いて、比較実施例Cの方法にしたがって実行した。生成物分布データを表2に示す。生成物感度データを表3に示す。
実施例3〜13
実施例3〜11を、下記の表1aおよび1b中に示す投入物組成および反応条件を用いて、比較実施例Bの方法にしたがって実行した。生成物分布データを表2に示す。生成物感度データを表3に示す。
Figure 2006528959
実施例3〜4および6〜13の配位子の構造は以下のとおりである。
Figure 2006528959
Figure 2006528959
Figure 2006528959
Figure 2006528959
Figure 2006528959
(a)メタノール変換率は、液体生成物中の回収されたメタノール(変換率%=100*(MeOHinitモル−MeOHrecovモル)/MeOHinitモル)から求めた。典型的な質量平衡は80〜90%の範囲にあり、主要損失はオートクレーブを排気する際の揮発性DMEの損失である。計算目的において、化合物MeOEt、MeOAcおよびジメトキシエタン中のDME基およびOMe基は未反応エタノールと考える。
(b)エタノールおよび誘導体に対する感度は、回収された全液体生成物のうちEtO、MeOEtおよびEtOAc中のEtOH基およびエチル基に対する感度の合計を基本とした。
(c)酢酸および誘導体に対する感度は、回収された全液体生成物中のうちAcOH、MeOAcおよびEtOAc中の酢酸および酢酸基に対する感度の合計を基本とした。
(d)アセトアルデヒドおよび誘導体に対する感度は、回収された全液体生成物中のうちジメトキシエタン中のアセトアルデヒドおよびエチリデン基に対する感度の合計を基本とした。
(e)メタンに対する感度は、反応終了時のオートクレーブのヘッドスペースで解析されるメタンの量を基本とした。
表2および3の検査から、剛直な金属配位子触媒を用いる実施例1〜11および少なくとも145°の侠角を有する触媒を用いる実施例12〜13において、エタノールおよびエタノール誘導体が、比較例AおよびBで得られた結果と比較して大幅に減少することが明らかにわかる。さらに、主なカルボニル化の液体生成物は酢酸と酢酸メチルの混合物である。
実施例3および4から、BINAPおよびo−トル−キサントフォス含有触媒の場合、メタノール形成が実施例1および2のキサントフォス系触媒と比較して大幅に減少することもわかる。

Claims (50)

  1. カルボン酸および/またはカルボン酸のアルコールエステルを生成するプロセスであって、前記プロセスは、カルボニル化リアクタ中の液体反応組成物中の一酸化炭素によってアルコールおよび/またはその反応性誘導体をカルボニル化することを含み、前記液体反応組成物はアルコールおよび/またはその反応性誘導体と、カルボニル化触媒およびハロゲン化アルキル共触媒と、オプションで有限濃度の水とを含有し、前記触媒は多座配位子が配位されるロジウムまたはイリジウムのうち少なくとも一つを含有し、前記多座配位子は少なくとも145の侠角を有するか剛直なRhまたはIrの金属配位子錯体を形成し、前記多座配位子は少なくとも二つの配位基を含有し、該配位基はそれぞれその少なくとも二つの配位原子としてP、N、AsまたはSbを独立して含有し、前記プロセスにおいて少なくとも1:100の水素:一酸化炭素モル比で水素が維持されおよび/またはカルボニル化リアクタへの一酸化炭素供給物が少なくとも1モル%の水素を含有するプロセス。
  2. 触媒の柔軟度の範囲が40°未満である請求項1記載のプロセス。
  3. 多座配位子が二座配位子または三座配位子である請求項1または請求項2記載のプロセス。
  4. 多座配位子が、二つの配位基のそれぞれが配位原子としてリンを含有する二座配位子である請求項3記載のプロセス。
  5. 二つの配位基が化学式RPおよびRPから成り、R、R、RおよびRは、非置換または置換アルケニル基、アルキル基およびアリル基からそれぞれ独立して選択される請求項4記載のプロセス。
  6. 一つまたは複数のアリル基が置換または非置換フェニル基である請求項5記載のプロセス。
  7. からRがそれぞれ、非置換または置換フェニル基である請求項5または6記載のプロセス。
  8. 多座配位子が化学式1から3および1aの構造から選択され、
    Figure 2006528959
    P1およびP2はそれぞれRPおよびRPであり、R、R、RおよびRは、非置換または置換アルケニル基、アルキル基およびアリル基からそれぞれ独立して選択され、RおよびRは、水素、アルキル基、アリル基からそれぞれ選択されるか結合して芳香環を形成する請求項1から5のいずれか記載のプロセス。
  9. からRのうち少なくとも一つが置換または非置換フェニル基である請求項8記載のプロセス。
  10. 多座配位子が三座配位子である請求項1から3のいずれか記載のプロセス。
  11. 配位基の配位原子がロジウムまたはイリジウム金属中心に対してメリジオナル配位モードにある請求項10記載のプロセス。
  12. 配位基の配位原子がロジウムまたはイリジウム金属中心に対して略平面構造である請求項10記載のプロセス。
  13. 第3の配位基がP、As、Sb,酸素、窒素、硫黄およびカルベンから選択される配位原子を有する請求項10記載のプロセス。
  14. 配位基のうち二つが請求項5から7のいずれかに記載のとおりである請求項13記載のプロセス。
  15. 三座配位子が化学式L1(R)L3(R)L2から成り、L1からL3はそれぞれ配位基であり、L1およびL2はそれぞれP、N、AsまたはSbを配位原子として含有し、RおよびRはアリル基またはアルケニル基からそれぞれ選択されるかあるいはRおよびRが一緒になって環構造を形成する請求項10記載のプロセス。
  16. およびRがビニル基およびフェニル基からそれぞれ選択される請求項15記載のプロセス。
  17. L1およびL2が金属中心に対して互いにトランスとなるよう、三座配位子が架橋立体構造中のロジウムまたはイリジウム金属中心に対して配位される請求項15記載のプロセス。
  18. L1およびL2が配位原子としてリンをそれぞれ含有し、L3が酸素、窒素および硫黄から選択される配位原子を有する請求項15記載のプロセス。
  19. L3の配位原子が酸素である請求項18記載のプロセス。
  20. L1およびL2がそれぞれRPおよびRPとして表され、R、R、RおよびRはそれぞれ、非置換または置換アルケニル基、アルキル基およびアリル基から選択される請求項18または請求項19記載のプロセス。
  21. からRのそれぞれが置換または非置換フェニル基である請求項20記載のプロセス。
  22. からRのそれぞれが非置換フェニル基である請求項21記載のプロセス。
  23. L1、L2およびL3がそれぞれ窒素原子である請求項15記載のプロセス。
  24. 三座配位子が、キサントフォス、チキサントフォス、シキサントフォス、ホモキサントフォス、ホスキサントフォス、イソプロプキサントフォス、ニキサントフォス、ベンゾキサントフォス、DPEフォス、DBFフォスおよびこれらのアルキル誘導体およびアリル誘導体から成る群から選択される請求項10記載のプロセス。
  25. 三座配位子の酸素原子が窒素または硫黄に置換される請求項24記載のプロセス。
  26. リン配位原子のうち少なくとも一つがヒ素原子またはアンチモン原子によって置換される請求項25記載のプロセス。
  27. 三座配位子は置換または非置換テルピリジンである請求項23記載のプロセス。
  28. 触媒がロジウムを含有する請求項1から27のいずれか記載のプロセス。
  29. 触媒が形成済の金属多座配位子錯体として液体反応組成物に添加されるか、あるいは液体反応組成物中でin−situで形成される請求項1から28のいずれか記載のプロセス。
  30. イリジウムまたはロジウム金属の多座配位子に対するモル比が1:1〜1:2の範囲内にある請求項1から29いずれか記載のプロセス。
  31. 液体反応組成物が触媒プロモータをさらに含有する請求項1から30いずれかに記載のプロセス。
  32. プロモータがルテニウム、オスミウム、レニウム、カドミウム、水銀、亜鉛、ガリウム、インディウムおよびタングステンから選択される請求項31記載のプロセス。
  33. 液体反応組成物が、アルカリ金属ヨウ化物、アルカリ土類金属ヨウ化物、I−生成能を有する金属錯体、I−生成能を有する塩類およびこれらの混合物から成る群から選択される有効量の化合物をさらに含有する請求項1から32のいずれか記載のプロセス。
  34. ハロゲン化アルキル共触媒がCからCハロゲン化アルキルである請求項1から33のいずれか記載のプロセス。
  35. アルコールがCからC脂肪族アルコールである請求項1から34のいずれか記載のプロセス。
  36. アルコールがメタノール、エタノール、プロパノールおよびこれらの混合物である請求項35記載のプロセス。
  37. アルコールの反応性誘導体がエステル、ハロゲン化物、エーテルおよびこれらの混合物である請求項1から36のいずれか記載のプロセス。
  38. 液体反応組成物が0.1〜30重量%の範囲内にある濃度の水を含有する請求項1から37のいずれか記載のプロセス。
  39. 水濃度が1〜10重量%の範囲内にある請求項38記載のプロセス。
  40. 一酸化炭素と水素が別々にまたは混合物としてリアクタに対して供給される請求項1から39記載のプロセス。
  41. 一酸化炭素と水素が混合物としてリアクタに対して供給される請求項40記載のプロセス。
  42. 水素と一酸化炭素の混合物を炭化水素の改質から得る請求項41記載のプロセス。
  43. 一酸化炭素に対する水素の比率が1.5:1〜5:1の範囲内にある請求項42記載のプロセス。
  44. 混合物が少なくとも2モル%の水素を含有する請求項41または請求項42記載のプロセス。
  45. 一酸化炭素に対する水素のモル比が1:100〜10:1の範囲内にある請求項41記載のプロセス。
  46. プロセスにおいて水素が、少なくとも1:10の一酸化炭素に対する水素モルに維持されている請求項1から45いずれかに記載のプロセス。
  47. 水素:一酸化炭素モル比が少なくとも1:1である請求項46記載のプロセス。
  48. 水素分圧が1バールを超える請求項1から47のいずれかに記載のプロセス。
  49. 侠角が少なくとも150°である請求項1記載のプロセス。
  50. カルボニル化プロセスの生成物が酢酸、酢酸メチルおよびこれらの混合物から選択される請求項1から49のいずれか記載のプロセス。
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