JP2006528775A - 生物標識としての光ルミネセンスヘテロダイヤモンドイド - Google Patents

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Abstract

新規生物標識が本明細書で開示される。標識は生物学的プローブとして機能している官能化されたヘテロダイヤモンドイドを含み、このプローブは標的分析物分子に親和性を有する。入射励起照射を吸収すると、ヘテロダイヤモンドイド内に位置する色中心は発光させられる。発光された光を検出して分析し、分析物についての情報を得ることができる。ヘテロダイヤモンドイド内の色中心は一般的に窒素空位及び/又は窒素空孔複合体を含むが、希土類又は遷移金属元素などのドーパント不純物原子を含むこともできる。

Description

本出願は、2003年7月23日に出願の米国特許仮出願60/489550の利益を主張する。米国特許仮出願60/489550は参照により本明細書で完全に組み込まれている。
本発明の実施形態は、一般に生物系で使用する標識としてのヘテロダイヤモンドイドの使用を対象とする。具体的には、官能化されたヘテロダイヤモンドイドは、関心の生物学的標的(分析物)と結合することができるプローブの標識として機能することができ、この生物標識と呼ばれるプローブ−標的複合体はエネルギー源にさらされると発光が可能になる。
生物系の蛍光標識化は、バイオテクノロジー及び分析化学で使用される公知の分析手段である。そのような蛍光標識化の用途としては、蛍光顕微鏡検査法、組織学、フローサイトメトリー、蛍光in−situハイブリダイゼーション、DNA塩基配列決定、イムノアッセイ、結合アッセイ及び分離手法がある。従来は、蛍光標識化は、後に特定の生物系にコンジュゲートすることができる部分に結合する、有機色素分子の使用を含む。コンジュゲートされた有機色素の存在は、その後色素分子が励起して蛍光を発することによって特定される。
そのような従来の系に関するいくつかの問題がある。1つは、励起した色素分子からの可視域光の放出の特徴は、通常広い発光スペクトルが存在することである。その結果、広いスペクトルのために個々の物質を識別するのが困難であるので、分析において同時又は逐次使用される異なる色素分子の数が厳しく制限される。他の問題は、大部分の色素分子は比較的狭い吸収スペクトルを有し、したがって、複数の励起ビーム(複数波長プローブのために縦列に又は逐次使用される)、或いは広帯域スペクトル励起源(それぞれ異なる波長で励起される一連のプローブの逐次励起のために異なるフィルタで逐次使用される)を必要とすることである。
既存の色素分子標識でしばしば遭遇する第3の問題は、光安定性の問題である。吸光及び発光の周期を繰り返す条件下では、利用できる蛍光分子は退色するか又は不可逆的に発光を停止する。更に、電子顕微鏡法手法による系の研究で使用される分子プローブは、蛍光による研究で使用されるプローブと完全に異なる。したがって、電子顕微鏡法及び蛍光法の両方のために、1種類のプローブで物質を標識することは不可能である。
様々なアッセイを使用して生体分子の検出のためにとられてきた他の方法は、導体ナノ結晶、即ち当技術分野で公知である「量子ドット」である。当技術分野で公知の量子ドットの例は、合わせてCdXとして知られているCdSe、CdS及びCdTeを一般的に含む、コア物質を有する。CdX量子ドットは、通常、「シェル」と呼ばれる無機コーティングで不動態化される。コア量子ドットの表面の不動態化は、無機コーティングの性質によってはルミネセンス発光の量子収率の増加をもたらす。量子ドットを不動態化するために一般的に使用されるシェルは式YZによって表され、YはCd又はZnであり、ZはS又はSeである。CdXコア及びYZシェルを有している量子ドットは、当技術分野で記載されている。量子ドットを生物学的用途で有用にするためには、量子ドットは水溶性であることが望ましい。
ダイヤモンドイドは、当技術分野で公知である。元素炭素は電子構造1s2s2pを有し、外殻2s及び2pの電子は2つの異なるスキームによって混成する能力を有する。いわゆるsp混成は、四面体に配置された4つの同一のσ結合を含む。いわゆるsp混成は、π電子軌道を占めている混成していないp電子と共に、3つの三角形状の(並びにプレーナー)σ結合を含み、π電子軌道は、σ結合の平面に対して垂直方向の結合となる。ダイヤモンド及び黒鉛は、結晶形態の「両極端」にある。ダイヤモンドにおいては、炭素原子はsp混成で四面体状に結合している。黒鉛はsp混成した原子の平面「シート」を含み、そこではシートは垂直方向のπ結合を通してわずかに相互作用する。炭素は他の形態でも存在し、例えば「ダイヤモンド様炭素」(DLC)と呼ばれている非晶形態、並びに、それぞれ「フラーレン」及び「ナノチューブ」と呼ばれる高度に対称的な球状構造及び棒状構造がある。
ダイヤモンドはいくつかの異なるカテゴリーの特性において最上位(又は評価者の見解によっては、最下位)に評価されるので、特別な物質である。ダイヤモンドは、既知の最も硬い物質であるだけでなく、物質中で室温において、最も高い熱伝導度を有する。ダイヤモンドは赤外線から紫外線まで卓越した光透過性を示し、透明物質中で最も高い屈折率を有し、且つその非常に広いバンドギャップのために優れた絶縁体である。それは高い絶縁破壊強度、並びに非常に高い電子及び空孔の移動性も示す。
文献で広範に議論されていない炭素の形態は、「ダイヤモンドイド」である。ダイヤモンドイドはアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、及びアダマンタン(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)の四量体、五量体、六量体、七量体、八量体、九量体、十量体、その他を含む架橋環シクロアルカンであり、アダマンタンは化学量論的式C1016を有し、そこでは様々なアダマンタン単位が面で縮合してより大きな構造を形成する。これらのアダマンタン単位は、基本的にダイヤモンドイドのサブユニットである。これらの化合物は、炭素原子配列がFCC(面心立方)ダイヤモンド格子の断片上に重ね合わせることができるという点で、「ダイヤモンドイド」トポロジーを有する。本発明の実施形態によると、電子供与性及び電子吸引性のヘテロ原子をダイヤモンド格子に挿入することができ、それによって(それぞれ)n型及びp型の物質を作ることができる。このヘテロ原子は基本的にダイヤモンド格子内に「折り畳まれた」不純物原子であり、したがって先行技法の短所の多くは回避された。1つ又は複数のヘテロ原子を含むダイヤモンドイドは、「ヘテロダイヤモンドイド」と呼ぶことができる。
更に、これらの物質は、官能基がペンダント基としてダイヤモンドイド分子に結合するように、誘導体化することができる。官能化されたダイヤモンドイドは更なる反応、例えば重合が可能である。本明細書で報告されるように、官能基は生物学的分析物などと結合する特異反応に取り込むこともできる。
したがって、広い吸収スペクトルを有し、現行の色素分子の特徴である大きな発光テールの存在なしでエネルギーへの露出に応じて検出可能なシグナルを提供することができる、安定した蛍光団物質を生物学的用途に対して提供することが望ましい。試料を光学顕微鏡及び電子顕微鏡によって画像化するために使用することができる、単一の、安定したプローブ物質を提供することも同様に望ましい。
水溶性であり、且つ水溶液中での安定性を強化するために官能化されたヘテロダイヤモンドイドナノ結晶の必要性もある。望ましくは、生物学的プローブで使用される蛍光団は単一波長の光で励起され、その結果高量子収率の、分離した発光ピークを有する検出可能なルミネセンス発光が得られる。望ましくは、この生物学的プローブは水性のセッティングで安定であり、且つ様々な種類のリガンド、分子又は分析物と結合することができる。更なる利点としては、ダイヤモンドの生体物質との生体適合性がある。
本発明の実施形態は、ヘテロダイヤモンドイドに基づく新規蛍光標識に向けられる。従来の標識化手法は有機色素の蛍光発光に依存しているが、そのような分析系に関してはいくつかの問題がある。1つは、励起した色素分子からの可視域光の放出の特徴は、通常広い発光スペクトルが存在することである。他の問題は大部分の色素分子が比較的狭い吸収スペクトルを有し、したがって複数の励起ビームを必要とすることである。3番目の問題は光安定性の問題であり、吸光及び発光の周期を繰り返す条件下では、従来の蛍光分子は退色するか又は不可逆的に発光を停止する傾向がある。
本実施形態は、蛍光ダイヤモンドイド含有プローブ、エネルギーを生物標識に届けるための光源、及び生物標識から発生した光を処理するための検出システムを含む、包括的な生物標識系を含む。生物学的プローブは、少なくとも1つの色中心を有するダイヤモンドイド又はダイヤモンドイド含有物質を含むことができる。色中心はヘテロダイヤモンドイド内に少なくとも1つの窒素含有ヘテロ原子を含むことができ、このヘテロ原子は少なくとも1つの空位又は空孔に隣接して置かれてもよい。1つの作動様式において、プローブは生物学的標的を含む環境に導入され、プローブはプローブ上の官能基との特異反応、例えばハイブリダイゼーションその他を通して標的と結びつく。プローブ/標的複合体は、励起光源による複合体の放射によって分光学的に観察することができる。当然、複合体は他の形態の励起、例えば電気的、化学的、熱的又は摩擦的励起によって分光学的に励起することができる。標識化プローブ/標的複合体は、観察し且つ測定することができる、特徴のあるスペクトルを発する。
本発明の実施形態によると、ヘテロダイヤモンドイドプローブの官能基は、ヘテロダイヤモンドイドが関心の生体分子(即ち標的)と物理的に相互作用することを可能にする。本発明の範囲を限定することなく、ヘテロダイヤモンドイドの官能基はタンパク質、核酸、細胞、細胞内小器官、脂質、炭水化物、抗原、抗体、核酸、及び他の生体分子に結合することができる。ヘテロダイヤモンドイドプローブの官能基と標的分子(以下、標的分析物又は単に分析物と称す)との間の親和性は、異なる数の結合スキーム又は会合のいずれにでも基づくことができ、結合スキーム又は会合には、例えば、これらには限定されないが、ファンデルワールス誘引力、親水性誘引力、疎水性誘引力、イオン結合及び/又は共有結合、静電引力及び/又は磁気引力が含まれる。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの発光色中心を含む生物標識が提供され、この色中心は、少なくとも1つの空位又は空孔に隣接しているダイヤモンドイド格子部位に置換された窒素ヘテロ原子を含む。本発明の他の実施形態では、少なくとも1つの光学活性ドーパントを含む生物標識がダイヤモンドイド含有物質に挿入された。これらの実施形態では、ダイヤモンドイドはアダマンタン、ジアマンタン及びトリアマンタン、並びにそのヘテロダイヤモンドイド誘導体からなる群から選択される低級ダイヤモンドイドである。ダイヤモンドイドとしては、テトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン及びウンデカマンタン、並びにそのヘテロダイヤモンドイド誘導体からなる群から選択される高級ダイヤモンドイドを含めることができる。
本発明の他の実施形態は、標的分析物の検出方法であり、この方法は、
a)ヘテロダイヤモンドイド含有プローブを提供するステップと、
b)ヘテロダイヤモンドイド含有プローブを標的分析物に結合して生物標識を作製するステップと、
c)生物標識をエネルギーにより励起させて生物標識を発光させるステップと、
d)励起された生物標識から発生する光を検出するステップと、
を含む。
本方法は更に、ヘテロダイヤモンドイド含有プローブが標的分析物に結合した後に生物標識を細胞膜を通過させるステップ、又はヘテロダイヤモンドイド含有プローブを細胞膜を通過させ、次にヘテロダイヤモンドイド含有プローブを標的分析物と反応させるステップを含むことができる。
ヘテロダイヤモンドイド含有物質を含む生物標識は、特にサイズ、形、官能化の容易さ、及びそれらが正確に決められた構造を有する点に関して独特の性状を有する新規生物標識の作製を可能にする。大部分の高級ダイヤモンドイドの大きさは1〜2nmの間であるので、従来の物質と比較してそれらを生物標識で使用することの利点は、それらが他のナノ粒子ベースの標識、例えば量子ドット又は金属ナノスフィア(nanosphere)よりも潜在的に小さいということである。大きさがより小さいことは、より小さな生体分子と結合させるだけでなく、高級ダイヤモンドイドをベースにした生物標識の生体取込み量を増加することにより、高級ダイヤモンドイドをベースにした生物標識のより広い研究用途の発見を可能にする。本生物標識の発光ヘテロダイヤモンドイド含有物質が異なる形状を示すことは、様々な目的のための形状特異的な生物標識の作製を可能にする。更に、生物標識のドッキング又は非ドッキング現象はそれらの蛍光特性を変えることができ、細胞のメカニズムのための有用な指標の役目を果たす。
本ヘテロダイヤモンドイドの官能化の容易さは、特に当技術分野における公知の量子ドットをバイオコンジュゲートすることの困難性から見ると、特に魅力的な特徴である。量子ドットをバイオコンジュゲートすることの困難性は、それらの利用を制限する可能性がある。官能化の容易さにより、高級ダイヤモンドイドをベースにした生物標識を、細胞事象及び調節因子の潜在的にかなり大きなセットのためにバイオコンジュゲートすることができる。その上、本ヘテロダイヤモンドイドの正確に決められた構造は有利であるが、その訳は、量子ドット又はナノスフィアのようなナノ粒子と異なって高級ダイヤモンドイドは個々の分子であり、それらの構造は完全に公知であるからである。ダイヤモンドイド分子の正確な構造及び特性についての知識は、特異性の高い標識の作製を可能にする。
ナノ粒子をベースにした生物標識は色素ベースの標識に比べて強い発光特性という長所があるが、その訳は、それらには光退色が起こらないからである。対照的に、色素ベースの標識は単純な化学的性質のために、実験する上ではより簡単で且つより応用自在である。高級ダイヤモンドイドをベースにした生物標識は、可能性としてはナノ粒子の頑強なパフォーマンスと色素化学の実験上の簡易性とを組み合わせたものである。
本生物標識の色中心は、発光特性を有することが企図される。発光については、一般に、M.Foxにより「固体の光学的性質(Optical Properties of Solids)」(Oxford University Press、ニューヨーク、2001)の2頁で、固体物質内の励起原子による自発発光の過程と定義された。物質の原子は、自発発光の前にいくつかの異なるメカニズムを通して励起状態にすることができるが、そのメカニズムの1つは光吸収である。発光は、したがって吸収媒質内の光の伝播に伴って発生する。光は全ての方向に放射され、放射された光は入射光の周波数とは異なる周波数を有する。
Foxは、発光は必ずしも吸光に伴う必要はないとも指摘している。励起原子が自発発光により再発光するために特有の時間が必要であるので、放射発光過程が起こる可能性の前に励起原子が励起を熱として放散することが可能である。したがって、発光の効率は、その発光が望まれる物質及び系の性質と緊密な関連がある。
光ルミネセンスは、通常、蛍光事象が光子の入射光線(「励起放射」)に起因する現象を記載するために確保されている用語である。対照的に、エレクトロルミネセンスは類似した蛍光事象を記載するが、この場合、この事象は電子ビーム励起に起因する。蛍光事象は、他の種類の入力エネルギーに起因して起こることもある。例えば、注入エネルギーの形態が熱的手段、例えば加熱によるならば、適当な用語は熱ルミネセンスである。化学エネルギーを用いた場合は化学ルミネセンスになる。2つの物質間の摩擦的接触から生じるエネルギー入力は、摩擦ルミネセンスと呼ばれる。蛍光事象をもたらすこれらの種類のエネルギー入力のそれぞれは、本発明の実施形態で企図されている。
本開示は以下のように組織されている。第1に、ダイヤモンドイドがどのように単離され、官能化され、化学的修飾を受けて官能化されたヘテロダイヤモンドイドを提供するかの説明が提供される。次に来るのが結合化学の説明であり、換言すれば、官能化されたヘテロダイヤモンドイド(生物学的プローブ)がどのように標的分析物、即ちその存在、場所、分布及びその他の情報についての知識が所望される物質又は種と反応を起こすかについての説明が提供される。分析物はこうして「標識される」。官能化されたダイヤモンドイドの(標的分子との反応の前の)輸送、及び標識化分析物の(標的分子との反応の後の)輸送が議論される。標識化分析物(官能化したヘテロダイヤモンドイドプローブと標的分析物との複合体)は、次にエネルギーで励起して発光現象を起こすことができる。発光を検出するための系及び方法が提供され、検出系が簡単に議論される。
本発明の実施形態の概要を図1に示す。図1を参照すると、ダイヤモンドイドはステップ101で石油フィードストックから分離され、ダイヤモンドイド102を生じる。以下の一連のステップにより官能化されたヘテロダイヤモンドイド105が生じるが、この目標を達成するためには少なくとも2つの可能な経路がある。一実施形態では、ヘテロ原子(例えば窒素)はダイヤモンドイド102の炭素原子格子部位に挿入されることによってヘテロダイヤモンドイド103が生じる。次に官能基をヘテロダイヤモンドイド103に結合させて官能化されたヘテロダイヤモンドイド105を生成することができる。或いは、ダイヤモンドイド102は先ず官能基と反応させて官能化されたダイヤモンドイド104を生じ、次にヘテロ原子(例えば窒素)を格子部位に挿入して官能化されたヘテロダイヤモンドイド105を生成することができる。置換されたヘテロ原子を生成する目的は光ルミネセンス色中心を作ることであり、ダイヤモンドイド102を官能化する目的は、ダイヤモンドイド102が、その存在を決定及び/又は測定する予定の生物学的化合物(分析物)に結合することができる手段を提供することである。
したがって、官能化されたヘテロダイヤモンドイド105はステップ106で分析物と反応させてヘテロダイヤモンドイドプローブで標識した分析物を生成することができ、次に光電子放出が起こるようにステップ107でこれにエネルギーを付与して励起状態にすることができる。他の実施形態では、官能化されたヘテロダイヤモンドイド105はステップ108で結晶化して、分析物との反応のために個々のヘテロダイヤモンドイドが提供するよりも大きな種を作製することができる。更に、官能化されたヘテロダイヤモンドイド105をステップ109で重合させ、分析物との反応のためにより大きな種を作製することができる。
ダイヤモンドイドの定義
用語「ダイヤモンドイド」は、全ての異性体及び立体異性体を含めてアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、ウンデカマンタン、などを含むアダマンタン系列の置換及び非置換のケージ化化合物を指す。これらの化合物は「ダイヤモンドイド」トポロジーを有するが、その意味はそれらの炭素原子配置をFCCダイヤモンド格子の断片上に重ね合わせることができるということである。置換されたダイヤモンドイドは、その数が1から10、好ましくは1から4の独立に選択されたアルキル置換基を含む。
アダマンタン化学は、Fort,Jr.らによって、「アダマンタン:ダイヤモンドイド構造の結果(Adamantane: Consequences of the Diamondoid Structure)」、Chem.Rev.第64巻,277〜300頁(1964)で検討されている。アダマンタンは、ダイヤモンドイド系列で最も小さな構成メンバーであり、単一のケージ結晶サブユニットとみなすことができる。ジアマンタンは2つのサブユニットを含み、トリアマンタンは3つ、テトラマンタンは4つ、などである。アダマンタン、ジアマンタン及びトリアマンタンには1つの異性体だけがあるが、テトラマンタンには4つの異なる異性体があり(その2つは一組の鏡像異性体を表す)、即ち、4つのアダマンタンサブユニットを配置するには4つの異なる方法が可能である。可能な異性体の数は、ダイヤモンドイド系列の中で高級なほど、即ちペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、その他の順で非線形状に増加する。
アダマンタンは市販されており、広く研究されている。これらの研究の対象はいくつかの領域、例えば熱力学安定性、官能化及びアダマンタン含有物質の特性であった。例えば、以下の特許では、アダマンタンサブユニットを含む物質が議論されている。米国特許第3457318号は、アルケニルアダマンタンからのポリマーの調製を教示している。米国特許第3832332号は、アルキルアダマンタンジアミンからのポリアミドポリマー態を教示している。米国特許第5017734号は、アダマンタン誘導体からの熱安定樹脂の形成を議論している。米国特許第6235851号は、様々なアダマンタン誘導体の合成及び重合を報告している。
対照的に、ダイヤモンドイドテトラマンタン及びそれより高級の(「高級」ダイヤモンドイドとして知られる)ものは、科学文献では注目の程度が比較的低い。McKervayらは、「大きなダイヤモンドイド炭化水素への合成方法(Synthetic Approaches to Large Diamondoid Hydrocarbons)」、Tetrahedron、第36巻、971〜992頁(1980)において、忍耐を要する多段階式方法を使用しての低い収率でのアンチテトラマンタンの合成を報告している。発明者の知る限りでは、これは現在まで合成された唯一の高級ダイヤモンドイドである。Linらは、質量分析研究において分離はしなかったが深部油層中のテトラマンタン、ペンタマンタン及びヘキサマンタンの存在を提案し、「深部油層中のテトラマンタン(C2228)、ペンタマンタン(C2632)及びヘキサマンタン(C3036)の自然発生(Natural Occurrence of Tetramantane (C2228)、Pentamantane (C2632) and Hexamantane (C3036))」、Fuel、第74(10)巻、1512〜1521頁(1995)で報告した。ダイヤモンドイド含有フィードストックの蒸留後のポット物質中のテトラマンタン及びペンタマンタンの存在の可能性は、Chenらによって米国特許第5414189号で議論されている。
4つのテトラマンタン構造は、イソテトラマンタン[1(2)3]、アンチテトラマンタン[121]及びスキューテトラマンタン[123]の2鏡像異性体であり、これらのダイヤモンドイドの括弧付きの命名法は、Balabanらによって「ダイヤモンド炭化水素の体系的分類及び命名法I(Systematic Classification and Nomenclature of Diamond Hydrocarbons−I)」、Tetrahedron第34巻、3599〜3606頁(1978)において確立された規則に従う。4つ全てのテトラマンタンは式C2228(分子量292)を有す。10個のペンタマンタンが可能であり、9つは分子式C2632(分子量344)を有し、これらの9つのなかには、一般的に式[12(1)3]、[1234]、[1213]で表される3対の鏡像異性体があり、この9つの鏡像異性ペンタマンタンは[12(3)4]、[1(2,3)4]、[1212]で表される。また、分子式C2530(分子量330)で表されるペンタマンタン[1231]が存在する。
ヘキサマンタンは39の構造が可能であり、その28は分子式C3036(分子量396)を有し、このうち6つは対称性であり、10のヘキサマンタンは分子式C2934(分子量382)を有し、残りのヘキサマンタン[12312]は分子式C2630(分子量342)を有す。
ヘプタマンタンは160の可能な構造で存在すると推定され、その85は分子式C3440(分子量448)を有し、このうち7つはアキラルであって鏡像異性体を有さない。残りのヘプタマンタンのうち67は分子式C3338(分子量434)を有し、6つは分子式C3236(分子量420)を有し、残りの2つは分子式C3034(分子量394)を有す。
オクタマンタンはアダマンタンサブユニットのうちの8つを所有し、5つの異なる分子量が存在する。オクタマンタンの中で、18個は分子式C3438(分子量446)を有す。オクタマンタンは分子式C3844(分子量500)、C3742(分子量486)、C3640(分子量472)及びC3336(分子量432)も有す。
ノナマンタンには、以下の分子式を有する異なる分子量の6ファミリーが存在する:C4248(分子量552)、C4146(分子量538)、C4044(分子量524)、C3842(分子量498)、C3740(分子量484)及びC3436(分子量444)。
デカマンタンには7つの異なる分子量のファミリーが存在する。デカマンタンの中で、他のデカマンタンに比べて構造的にコンパクトであり分子式C3536(分子量456)を有する単一のデカマンタンがある。他のデカマンタンファミリーは以下の分子式を有す:C4652(分子量604)、C4550(分子量590)、C4448(分子量576)、C4246(分子量550)、C4144(分子量536)及びC3840(分子量496)。
ウンデカマンタンには8つの異なる分子量のファミリーが存在する。ウンデカマンタンの中で、他のウンデカマンタンに比べて構造的にコンパクトであり分子式C3940(分子量508)を有する2つのウンデカマンタンがある。他のウンデカマンタンファミリーは以下の分子式を有する:C4142(分子量534)、C4244(分子量548)、C4548(分子量588)、C4650(分子量602)、C4852(分子量628)、C4954(分子量642)及びC5056(分子量656)。
石油フィードストックからのダイヤモンドイドの分離
回収可能な量の高級ダイヤモンドイドを含むフィードストックとしては、例えばクラッキング、蒸留、コーキングプロセスなどから生じる天然ガス凝縮物及び精油ストリームがある。特に好ましいフィードストックは、メキシコ湾のNorphlet Formation及びカナダのLeDuc Formationに産する。
これらのフィードストックは、大きな割合(しばしば約2/3)の低級ダイヤモンドイド、及びそれよりも小さいがかなりの割合(しばしば約0.3から0.5重量パーセント)の高級ダイヤモンドイドを含む。そのようなフィードストックの、非ダイヤモンドイドを除去して(所望により)高級及び低級ダイヤモンドイドを分離するための処理は、例示のためだけに示すと、例えばサイズ分離手法、例えばメンブレン、モレキュラーシーブなど、常圧又は減圧下での蒸発及び熱による分離器、抽出器、静電分離器、結晶化、クロマトグラフィー、水源分離器などを使用して実行することができる。
好ましい分離法は、一般的にフィードストックの蒸留を含む。これにより低沸点の非ダイヤモンドイド成分を除去することができる。これにより、分離のために選択された高級ダイヤモンドイドの沸点よりも低い沸点を有する低級及び高級ダイヤモンドイド成分を除去又は分離することもできる。いずれの場合でも、低級留分では、低級ダイヤモンドイド及び低沸点非ダイヤモンドイド物質が濃縮される。蒸留を行って、関心の温度領域でいくつかの留分を提供して、特定された高級ダイヤモンドイドの初期分離を提供することができる。高級ダイヤモンドイド又は関心のダイヤモンドイドが濃縮された留分を保持して、更に精製を必要とすることがある。汚染物の除去及び濃縮されたダイヤモンドイド分画の更なる精製のための他の方法には、以下の非限定的例を更に含めることができる:サイズ分離手法、常圧又は減圧下での蒸発、昇華、結晶化、クロマトグラフィー、水源分離器、フラッシュ蒸留、固定床及び流動床リアクター、減圧、その他。
非ダイヤモンドイドの除去は、蒸留前又は後の熱処理ステップを含むこともできる。熱処理ステップとしては、水素処理ステップ、水素化分解ステップ、ハイドロプロセシングステップ又は熱分解ステップがある。熱処理はフィードストックから炭化水素系の非ダイヤモンドイド成分を除去するために有効な方法であり、その1つの実施形態である熱分解は、真空条件下又は不活性雰囲気でフィードストックを少なくとも約390℃の温度、最も好ましくは約410から450℃の範囲の温度に加熱することによって起こる。熱分解は、熱分解の前にフィード物質内にあった非ダイヤモンドイド成分の少なくとも約10重量パーセントを熱分解するのに十分な時間、また十分に高い温度で継続される。より好ましくは非ダイヤモンドイドの少なくとも約50重量パーセント、より好ましくは少なくとも90重量パーセントを熱分解する。
一実施形態では熱分解が好まれるが、ダイヤモンドイドの回収、分離及び精製を容易にするのに必ずしも必要ではない。直接精製法、例えば分取ガスクロマトグラフィー及び高速液体クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、結晶化、分別昇華などがダイヤモンドイドの分離のために使用することができるようなあるフィードストックが与えられたならば、他の分離法により十分に高い濃度のダイヤモンドイドが可能になる。
本発明で使用される組成物で使用するための選択されたダイヤモンドイドを提供するために、蒸留又は熱分解/蒸留の後でさえ物質の更なる精製が望まれるかもしれない。そのような精製手法としては、クロマトグラフィー、結晶化、熱拡散手法、ゾーン精製、進行性再結晶、サイズ分離、などがある。例えば、一方法では回収されたフィードストックは以下の更なる工程で処理される:1)硝酸銀含浸シリカゲルを使用する重力カラムクロマトグラフィー、2)ダイヤモンドイドを分離する二段カラム分取毛管ガスクロマトグラフィー、3)高度濃縮ダイヤモンドイドの結晶を提供するための結晶化。
別法は、関心のダイヤモンドイドを分離するために高速液体クロマトグラフィーなどの単一又は複数のカラムによる液体クロマトグラフィーを用いることである。上のように、異なる選択性の複数のカラムを使用することができる。これらの方法を使用した更なる処理により、実質的に純粋な成分をもたらすことができるより洗練された分離を可能にする。
フィードストックを処理して高級ダイヤモンドイド組成物を得るための詳細な方法は、2001年1月19日に出願の米国特許仮出願60/262842、2001年6月21日に出願の米国特許仮出願60/300148、及び2001年7月20日に出願の米国特許仮出願60/307063、並びに本出願の譲受人に譲られたB.Carlsonらによる「高級ダイヤモンドイドの濃縮方法(Processes for concentrating higher diamondoids)」という名称の同時係属出願で記載されている。これらの出願は、本明細書で参照により完全に組み込まれている。
図2はダイヤモンドイドが石油フィードストックから抽出することができるプロセスの流れを図解し、図3は本発明の実施形態から入手可能である様々なダイヤモンドイド異性体を列挙する。
ヘテロダイヤモンドイドの合成
本明細書で使用されるように用語「ヘテロダイヤモンドイド」は、ダイヤモンド結晶構造の格子部位に一般的には置換されたヘテロ原子を含むダイヤモンドイドを指す。ヘテロ原子は炭素以外の原子であり、本実施形態に従うとそれは窒素、リン、ホウ素、アルミニウム、リチウム及びヒ素でよい。「置換された」は、ヘテロ原子がダイヤモンド格子内の炭素宿主原子を置換したことを意味する。大部分のヘテロ原子は置換されるが、場合によっては格子間位置でも見つかることがある。
図4は例示的なヘテロダイヤモンドイドを図示し、ヘテロ原子を置換することのできる炭素位置の種類を示す。これらの位置は、図4の例示的なダイヤモンドイド内でC−2及びC−3と表示されている。用語「ダイヤモンドイド」は、本明細書では一般的な意味で使用され、ヘテロ原子が置換されたダイヤモンドイド及びヘテロ原子が置換されていないダイヤモンドイドを含む。上で開示されているように、ヘテロ原子は電子供与元素、例えばN、P又はAs、或いは空孔供与元素、例えばB又はAlであってもよい。この開示では、窒素含有ヘテロダイヤモンドイドが重視されるが、その訳は本光ルミネセンスプローブで利用されるのは窒素空孔又は窒素空位の色中心の特性であるからである。
そのようなヘテロダイヤモンドイドの合成例を次に議論する。いくつかのヘテロアダマンタン及びヘテロジアマンタン化合物は過去に合成され、これらは融合した2つ以上又は3つ以上のアダマンタンサブユニットを有するヘテロダイヤモンドイドの合成の出発点を提案しているかもしれないが、個々の反応及び全体の合成系の複雑度はアダマンタンサブユニットの数が増加するに従い増すことは、当業者ならば理解しよう。例えば、保護基を使用することが必要になるかもしれないし、又は反応物を可溶化することがより困難になるかもしれないし、又は反応条件がアダマンタンとの類似した反応で使用されたであろうものとは非常に異なるかもしれない。それにもかかわらず、アダマンタン又はジアマンタンを基質として使用したヘテロダイヤモンドイドの合成化学を議論することが有利であるのは、発明者の知る限りでは、これらは本出願の前にデータが利用できた唯一の系であったからである。
窒素ヘテロアダマンタン化合物は過去に合成されている。例えば、T.Sasakiらによる論文「アダマンタン誘導体の合成(Synthesis of adamantane derivatives)。39。2−アジドアダマンタンの合成及び酸分解(Synthesis and acidolysis of 2−azidoadamantanes)。4−アザホモアダマント−4−エンへの簡易経路(A facile route to 4−azahomoadamant−4−enes)」、Heterocycles、第7巻、1号、315頁(1977)で記載されている。これらの著者は、1−ヒドロキシアダマンタンからの1−アジドアダマンタン及び3−ヒドロキシ−4−アザホモアダマンタンの合成を報告した。この方法は、カルボカチオンの形成を通したアジド官能基によるヒドロキシル基の置換と、その後のアジド生成物の酸分解で構成された。
関連した合成系で、Sasakiらはアダマンタノンをシュミット反応の条件下に置き、転移生成物として4−ケト−3−アザホモアダマンタンを生成することができた。シュミット反応に関する詳細については、T.Sasakiら「アダマンタン誘導体の合成(Synthesis of Adamantane Derivatives)。XII。アダマンタン−2−オンのシュミット反応(The Schmidt Reaction of Adamantane−2−one)」、J.Org.Chem.、第35巻、12号、4109頁(1970)を参照。
或いは、1−ヒドロキシ−2−アザアダマンタンは、A.Gagneuxら「1−置換2−ヘテロアダマンタン(1−Substituted 2−heteroadamantanes)」、Tetrahedron Letters No.17、1365〜1368頁(1969)で報告されているように、1,3−ジブロモアダマンタンから合成することができる。これは多段階法であり、先ずジブロモ出発物質を加熱してメチルケトンを生成し、これを次にオゾン化によりジケトンにした。ジケトンを4等量のヒドロキシルアミンと共に加熱して、シス及びトランスジオキシムの1:1混合物を生成した。この混合物を水素化して化合物1−アミノ−2−アザアダマンタンジヒドロクロリドにした。最後に、亜硝酸によりジヒドロクロリドをヘテロアダマンタン1−ヒドロキシ−2−アザアダマンタンに転換した。
或いは、J.G.Henkel及びW.C.Faith「β−ハロアミン類における隣接基の効果(Neighboring group effects in the β−halo amines)。アンチ−4−置換2−アザアダマンチル系の合成及び加溶媒分解反応性(Synthesis and solvolytic reactivity of the anti−4−substituted 2−azaadamantyl system)」、J.Org.Chem.第46巻、24号、4953〜4959頁(1981)が報告しているように、2−アザアダマンタン化合物はビシクロ[3.3.1]ノナン−3,7−ジオンから合成することができる。ジオンは還元アミノ化(酢酸アンモニウム及びシアノホウ化水素ナトリウムの使用の方が収率は良かった)により中間体に変換することができ、この中間体は塩化チオニルを使用して他の中間体に変換することができる。この第2の中間体の2−アザアダマンタンへの脱ハロゲン化は、DME中のLiAlHを使用して好収率で達成された。
本発明で使用されるものに主に関連する合成系は、S.Eguchiら「エポキシ4−アザホモアダマンタンの光化学的環縮小を経た2−アザアダマンチル系への新規経路(A novel route to the 2−aza−adamantyl system via photochemical ring contraction of epoxy 4−azahomoadamantanes)」、J.Chem.Soc.Chem.Commun.、1147頁(1984)で報告された。この方法においては、2−ヒドロキシアダマンタンをNaNベースの試薬系と反応させてアザホモアダマンタンを形成し、次にこれをm−クロロ過安息香酸(m−CPBA)で酸化してエポキシ4−アザホモアダマンタンを得た。このエポキシを次に光化学的環縮小反応で照射してN−アシル−2−アザ−アダマンタンを得た。
窒素含有ヘテロイソテトラマンタンを合成する反応径路の例を図5Aで図示する。図5Aで表した経路の反応条件は、アダマンタンと比較したテトラマンタンの大きさ、溶解度及び反応性のためにEguchiのそれらとかなり異なることは、当業者にはわかるであろう。窒素含有ヘテロダイヤモンドイドを合成するために利用できる第2の経路を、図5Bで示す。
本発明の他の実施形態では、J.J.Meeuwissenらによって「1−ホスファアダマンタンの合成(Synthesis of 1−phosphaadamantane)」、Tetrahedron第39巻、24号、4225〜4228頁(1983)で概説された経路を応用することによって、リン含有ヘテロダイヤモンドイドを合成することができる。そのような経路により、ダイヤモンドイド構造に置換的に置かれた窒素原子及びリン原子を含むヘテロダイヤモンドイドを合成することができ、同じ構造内に異なる2種類の電子供与ヘテロ原子を有する利点があることを企図する。
不純物原子が含まれていないダイヤモンドイドからヘテロダイヤモンドイドを調製した後に、得られたヘテロダイヤモンドイドを官能化することにより、分析物と結合して標識種を形成することができる生物学的プローブを生成することができる。或いは、ダイヤモンドイド(不純物原子を有しない)を先ず官能化し、次に、ヘテロ原子態に変換することができる。
ヘテロダイヤモンドイドの合成に関する詳細情報は、本明細書で参照により完全に組み込まれている、2003年7月16日に出願された「ヘテロダイヤモンドイド(Heterodiamondoids)」という名称の米国特許出願10/622130で提供されている。
ヘテロダイヤモンドイドの官能化
上で議論したヘテロダイヤモンドイドは、化学的に活性な官能基を結合することによって、誘導体化(又は官能化)することができ、その官能基は、更に、標的分析物と結合することができる基と結合する。標的分析物それ自体は、他の分析物との更なる反応が可能である。例えば、ヘテロダイヤモンドイド上の官能基はヘテロダイヤモンドイドを抗原に結合することができ、このヘテロダイヤモンドイド−抗原物質は、その後抗体との反応が可能である。この場合、ヘテロダイヤモンドイドの初期の官能基はヘテロダイヤモンドイドと抗原との間の「連結剤」として振る舞うこと、(また、そのように記載することができた)ことを当業者は認めよう。
或いは、結合した官能基は、生物学的プローブを構築する前、かつ、分析物と反応させる前に、蛍光標識種を構築するために、いくつかのダイヤモンドイドを連結(又は重合)するために使用することができる。ダイヤモンドイドのこの共有結合複合体は、次に、標的分析物と結合することができる種と結合するために、更に官能化することができる。この一連の事象を、ヘテロダイヤモンドイドの四量体の調製を例に、図6で図示する。
図6を参照すると、ヘテロダイヤモンドイド670はカルボニルペンダント基を有するダイヤモンドイド671に酸化することができる。ステップ672において、2つのダイヤモンドイド671を結合して二量体677を形成することができる。同様に、2つの二量体677及び678を結合して四量体679を形成することができる。次にダイヤモンドイドのこの四量体は、標的分析物と結合することができる種との反応のために官能化することができ、又は更なる官能化の前にダイヤモンドイドの他のオリゴマーと重合させることができる。当然ながら、このオリゴマーを含むダイヤモンドイドの数(即ち4つ)はほとんど例示的であり、1から100,000又はそれより多くの数のダイヤモンドイドを使用してプローブを構築することができることは、当業者は認めるであろう。しかし、ダイヤモンドイドの数が1から100の大きさが適当であると考えられる。
ダイヤモンドイドの官能化、ダイヤモンドイド誘導体の形成方法、及び誘導体化したダイヤモンドイドを重合するための手法は、2001年12月4日に出願された「重合可能な高級ダイヤモンドイド誘導体(Polymerizable Higher Diamondoid Derivatives)」と題する米国特許出願60/334939でShenggao Lie、Jeremy E.Dahl及びRobert M.Carlsonによって既述されている。
誘導体化したダイヤモンドイド分子は、元の水素の1つを置換した少なくとも1つの官能基を有する。その出願で議論されているように、ヘテロダイヤモンドイドを誘導体化するために使用することができる2つの主反応系列がある。それらは求核(S1型)及び求電子(S2型)置換反応である。
1型反応はダイヤモンドイドカルボカチオンの生成を含み、これらはその後様々な求核試薬と反応する。ダイヤモンドイドの3級(橋頭)炭素はS1反応条件下では2級炭素よりかなり反応性が高いので、3級炭素位置での置換が好ましい。
2型反応は、5−配位カルボカチオン中間体を通したC−H結合の求電子置換を含む。ヘテロダイヤモンドイドの官能化のために使用することができる2つの主要な反応径路のうち、S1型は様々なヘテロダイヤモンドイド誘導体を生成するためにより広く利用することができる。1つ及び複数個臭素化されたヘテロダイヤモンドイドは、ヘテロダイヤモンドイドを官能化するための最も用途の広い中間体の一部である。これらの中間体は、例えばKoch−Haaf、Ritter及びFriedel−Craftsアルキル化及びアリール化反応で使用される。ヘテロダイヤモンドイドの直接臭素化は橋頭(3級)炭素位置が好ましいが、臭素化誘導体は2級炭素でも同様に置換することができる。後者のケースについては、合成が通常2級炭素の位置で望まれるとき、遊離基スキームがしばしば使用される。
上述の反応径路は本発明の一部の実施形態で好まれるが、ヘテロダイヤモンドイドを官能化するために他の多くの反応径路も確かに同様に使用することができる。これらの反応系列は、その誘導体がフッ素などの臭素以外の元素でハロゲン化されたヘテロダイヤモンドイド、アルキル化ダイヤモンドイド、ニトロ化ダイヤモンドイド、ヒドロキシル化ダイヤモンドイド、カルボキシル化ダイヤモンドイド、エテニル化ダイヤモンドイド、及びアミノ化ダイヤモンドイドを含むことができるように、様々な官能基を有する誘導体化されたヘテロダイヤモンドイドを生成するために使用することができる。ヘテロダイヤモンドイドに結合することができる例示的置換基のリストについては、同時係属出願「重合可能な高級ダイヤモンドイド誘導体(Polymerizable Higher Diamondoid Derivatives)」の表2を参照。
ダイヤモンドイド及びヘテロダイヤモンドイド、並びに、重合可能な反応に加わることのできる置換基を有するその誘導体は、ポリマーが生じるような適当な反応条件に置くことができる。このようなポリマーはホモポリマー又はヘテロポリマーでよく、重合可能なダイヤモンドイド及び/又はヘテロダイヤモンドイド誘導体は、非ダイヤモンドイド、ダイヤモンドイド及び/又はヘテロダイヤモンドイド含有モノマーと共重合させることができる。重合は、一般的に以下の方法の1つを使用して実行される:フリーラジカル重合、カチオン又はアニオン重合、及び重縮合。フリーラジカル、カチオン、アニオンの重合、及び重縮合反応を誘発するための方法は、当技術分野で公知である。
フリーラジカル重合は、十分な量の熱、紫外線又は高エネルギー照射の吸収後に、自然に起こることができる。しかし、一般的にこの重合プロセスは、少量のフリーラジカル開始剤、例えば過酸化物、アザ化合物、ルイス酸、及び有機金属試薬によって強化される。フリーラジカル重合では、誘導体化されていない又は誘導体化されたヘテロダイヤモンドイドモノマーを使用することができる。重合反応の結果、ダイヤモンドイド、非ダイヤモンドイド及びヘテロダイヤモンドイドのモノマーの間で共有結合が形成され、ダイヤモンドイド又はヘテロダイヤモンドイドはポリマー主鎖の一部になる。他の実施形態において、ダイヤモンドイド又はヘテロダイヤモンドイド上の置換基を含む官能基は、そのダイヤモンドイド又はヘテロダイヤモンドイドが最終的に側鎖基として主鎖に結合するように重合することができる。複数の官能基を有するダイヤモンドイド及びヘテロダイヤモンドイドは、ポリマー鎖を架橋することができる。
カチオン重合については、反応を進めるためにカチオン触媒を使用することができる。適当な触媒は、三フッ化ホウ素及び三塩化アルミニウムなどのルイス酸触媒である。これらの重合反応は、通常、低温溶液中で行われる。
アニオン重合においては、誘導体化されたダイヤモンドイド又はヘテロダイヤモンドイドのモノマーは、一般的に強い求核剤で処理される。そのような求核試薬としては、それには限定されないが、グリニャール試薬及び他の有機金属化合物がある。アニオン重合は、しばしば反応媒質からの脱水及び脱酸素によって促進される。
重縮合反応は、1つのダイヤモンドイド又はヘテロダイヤモンドイドの官能基が他のものの官能基と結合、例えば、1つのダイヤモンドイド又はヘテロダイヤモンドイドのアミン基が他のもののカルボン酸基と化学反応して、アミド連鎖を形成する場合に起こる。言い換えると、1つのダイヤモンドイド又はヘテロダイヤモンドイドが他と縮合することができるのは、最初のものの官能基がアルコール、アミン、又はチオール基などの適当な求核試薬であり、第2のものの官能基がカルボン酸又はエポキシ基などの適当な求電子試薬であるときである。重縮合反応経由で形成することのできるヘテロダイヤモンドイド含有ポリマーの例としては、ポリエステル、ポリアミド及びポリエーテルがある。
ダイヤモンドイドの官能化に関する更なる情報は、本明細書で参照により完全に組み込まれている、2002年12月6日に出願の「官能化高級ダイヤモンドイド(Functionalized Higher Diamondoids)」と題された米国特許出願10/313804で提供されている。
分子結晶
ダイヤモンドイドは固体へ結晶化させることができ、そこでは固体を構成する個々のダイヤモンドイドはファンデルワールス力(ロンドン力又は分散力とも呼ばれる)によって結合している。そのように結合している分子は、J.S.Moore及びS.Leeによって「分子ベースの固体の作製(Crafting Molecular Based Solids)」、Chemistry and Industry、1994年7月、556〜559頁で議論され、当技術分野では「分子固体」と呼ばれている。これらの著者は、伸張固体又はイオン結晶と対照的に、分子結晶内の分子の好ましい配置は、恐らく総自由エネルギーを最小にするものであり、したがって合成法と異なり、分子結晶の作製は熱力学的因子によって支配されると述べている。ペンタマンタン[1(2,3)4]を含む分子結晶の例を次に議論する。
例示的な実施形態において、[1(2,3)4]ペンタマンタンを含む分子結晶を上述のクロマトグラフィー及び結晶学的手法で形成した。ダイヤモンドイドのこれらの凝集はパックされて、格子及びベーシスを規定する点で、実際の結晶を形成する。この実施形態では、[1(2,3)4]ペンタマンタンは、単位セルサイズがそれぞれa=11.4706、b=12.6418、c=12.5169オングストロームの空間群Pnmaを有している斜方晶系にパックされることがわかっている。その回折データを得るために、0.71073オングストローム波長の照射を使用し、90Kの温度に維持してペンタマンタン結晶をBruker SMART 1000回折計で試験した。
ペンタマンタン分子結晶の単位セルは、図7で例示する。この図は、ヘテロダイヤモンドイドが本発明の実施形態に従って有用となるようにパックすることができる、一般化された方法を例示する。これらの分子結晶は明確な外結晶面を示し、また可視光線に対しては透明である。
図7を参照すると、[1(2,3)4]ペンタマンタンのパッキングが、同時に見ることができる2つの画像702、703を有するステレオグラムによって三次元で図示されている。分子結晶の各単位セルは4つのペンタマンタン分子を含み、これらの分子は単位セルにつき1つの中央孔又は空孔706が存在するように配置される。本発明の(全てではないにしても)多くの実施形態では、ダイヤモンドイド又はヘテロダイヤモンドイドの分子をパックして結晶にすることによって形成される孔は、遷移元素金属を収納するには小さすぎるが、金などの遷移元素周辺の結晶化は起こることができ、物質の伝導度が強化される。他のダイヤモンドイドの分子結晶には空孔は1つもないか又は複数あり、これらの空孔の大きさは異なってもよい。
図7で示した例示的な[1(2,3)4]ペンタマンタンのパッキングの重要性は、官能化の工程を除いてはクロマトグラフィーを使用する分離手法よりも少ない追加処理で生物学的プローブを作製することができ、このプローブがその表面に分析物の標的分子と結合するための活性化学基を有することである。
また、ある種の重合反応は、様々な量の上記分子結晶を含む固体を形成する際に有用であることが企図される。ダイヤモンドイド含有ポリマーの合成に関する更なる情報は、本明細書で参照により完全に組み込まれている、2002年1月16日に出願の「重合可能な高級ダイヤモンドイド誘導体(Polymerizable Higher Diamondoid Derivatives)」と題された米国特許出願10/046486で提供されている。
ダイヤモンド内の窒素空位及びドーパント原子色中心
ダイヤモンド内の窒素凝集は、I.Kiflawiら「ダイヤモンド内の窒素の集合の理論(Theory of aggregation of nitrogen in diamond)」、ダイヤモンドの性質、成長及び応用(Properties,Growth and Applications of Diamond)、M.H.Nazare及びA.J.Neves編(Inspec、ロンドン、2001年)の130〜133頁で議論されている。これらの著者は、窒素が天然及び合成のダイヤモンドの主要な不純物であることを教示している。窒素は、分散形態及び凝集形態の両方で見られる。異なる種類のダイヤモンド間の窒素凝集状態に基づく関係を示している流れ図を、図8で提供する。実際の窒素凝集系列においては、窒素はダイヤモンド格子部位上の単一の置換としてダイヤモンド格子に取り込まれている。窒素凝集系列が連続するに従い、より多くの数の空位と関係している他の窒素含有中心が生じる。そのような中心としては、H3中心、N3中心及びB中心がある。性質上、窒素凝集体(及びそれらの空位との結合)は、地球の上部マントルの普遍的温度において地質学的時間スケールで起こる過程の結果として形成される。この見解は、高温でアニールされたダイヤモンドが同じ集合体を示した研究室での実験で裏付けられている。
窒素空位結合も、R.Jonesら「ダイヤモンド内の窒素の凝集の理論(Theory of aggregation of nitrogen in diamond)」、ダイヤモンドの性質、成長及び応用(Properties,Growth and Applications of Diamond)、M.H.Nazare及びA.J.Neves編(Inspec、ロンドン、2001)の127〜129頁で議論されている。この論文は、そのような色中心の構造を研究するために、光遷移、局在振動モード及び振動共鳴のエネルギー及び寿命を含めた特性をレビューした。各種の凝集窒素及び窒素空位複合体を図9で例示する。単一の窒素原子及び単一の空格子点の間の結合はVN中心と命名され、H2中心とも呼ばれている。当業者は、窒素不純物原子は空位の周りに四面体状に配位された4つの炭素の1つを置換していることに注目するであろう。H3中心とも呼ばれるVN中心において、単一の空格子点は、ダイヤモンド格子部位に置換的に置かれた2つの窒素原子をそのまわりに四面体状に配位している。VN中心、別名N3中心は、単一の空位の周りに四面体状に置かれた3つの窒素原子からなる。VN中心又はB中心においては、単一の空位を囲んでいる四面体上の4つ全ての位置は、窒素原子で占められている。
ダイヤモンドの色中心は、Anthonyらによって米国特許第6377340号で議論されている。Anthonyは、紫外線はダイヤモンド内の色中心を励起させることができ、それらを可視スペクトルで発光又は蛍光発光させることを教示している。ダイヤモンドの色中心からの発光は、高濃度のA中心によって抑えることができる。A中心がダイヤモンドの色中心に近い場合、その色中心によって吸収される紫外線エネルギーは蛍光及び光ルミネセンスとして再放射することはない。むしろ、ダイヤモンドの色中心によって吸収される紫外線エネルギーは、A中心に移動して非放射性減衰の道を辿る。A中心が紫外線を吸収して励起した色中心に隣接している場合は、可視光よりむしろ格子振動(フォノン又は熱の形)がダイヤモンドから発せられるかもしれない。紫外線によって励起される可能性のあるダイヤモンドの典型的な色中心としては、N3中心及びH3中心がある。
ダイヤモンドの発光特性は、Satohらによって米国特許第4880613号で議論されている。不純物を含んでいない純粋のダイヤモンドは、紫外線波長の光でさえ吸収及び放射することはない。したがって、ダイヤモンド結晶内に色中心を形成しなければならない。そのような色中心を形成するために、ダイヤモンドに含まれる窒素原子は、下記4つの種類の1つ又は複数に変換される:
1) Ib型(孤立性の分散型)
2) IaA(2窒素原子集合)
3) IaB(4窒素原子集合)。
或いは、窒素原子及び不純物原子は、以下の種類の色中心を構築するために格子部位空位と結合することができる:
4) N−V色中心(Ib型窒素空位)
5) H3色中心(IaA型窒素空位)
6) H4中心(IaB型窒素空位)。
これらの種類の色中心からの発光の波長は、それぞれ638〜780nm、503〜600nm及び494〜580nmである。
Satohらは米国特許第4880613号において、N−V中心(窒素空位中心)はIb型窒素原子を格子部位空位と結合することによって形成することができることを開示している。ダイヤモンド内にN−V中心を形成するために、物質を電子ビーム又は中性子ビームによって照射して空格子点を生成する。その後、照射されたダイヤモンドを減圧下で加熱することによってアニールし、空格子点を窒素原子に隣接させ、N−V中心を形成する。
C.Kurtsieferらによる「単一光子の安定した固体供与源(Stable solid−state source of single photons)」と題された論文、Physical Review Letters、第85巻、2号、290〜293頁(2000年7月10日)において、ダイヤモンド内の単一の窒素空位中心から観察された蛍光が議論されている。そのような中心は強い光子反集群を示し、一度に1つの光子だけが放射される。窒素空位中心はよく局在化され、室温においてさえ光退色に対して安定していることが報告されている。
N−V中心はダイヤモンドにおいてよく研究された多くの発光欠陥の1つであり、それらは隣接した格子位置に閉じ込められた空位に窒素原子を置換により配置することによって形成されることを、Kurtsieferらは報告している。通常、Ib型合成ダイヤモンドでは中心が調製され、そこでは単一の置換型窒素不純物が均一に分散している。試料から明るい発光を得るために、電子照射又は中性子照射によって更なる空位が形成される。次に、900℃でアニーリングすることによって空位が窒素原子に拡散することが可能になる。しかしこれらの著者は、合成Ib型ダイヤモンドの未処理の試料は、個々の色中心の特性に対応するのに最適な濃度のN−V中心を提供すると報告している。近接時、室温においても高い放射性量子効率は、励起状態の短い減衰時間と共に、それらを単一光子の形成に適したものにしている。
レーザー処理媒体としてH3及びN3色中心を有するダイヤモンドを使用している光電装置が、Randらによって米国特許第4638484号で議論されている。Randは、300〜600nmの紫外線を発している光源を含む光ポンピング光源によって励起したときの、H3及びN3色中心を含む天然のI型ダイヤモンドにおけるレーザー作用の証明を開示している。高濃度のN3色中心は明るい青色蛍光を発したが、高濃度のH3中心は明るい緑黄色蛍光を発した。レーザー作用物質としての使用に適当なダイヤモンドは、少なくとも0.1原子パーセントレベルの窒素置換を含んでいた。H3中心の利得係数は0.09cm−1と計算され、N3中心の利得係数は約0.009cm−1と推定された。
H2中心を含む他の光電装置は、Satohらによって米国特許第4949347号で記載されている。レーザー作用は650から950nmで作動している外部光ポンピング光源によって、1000から1400nmの範囲でもたらされた。レーザー処理媒体物質を提供するための1つの方法は、1×1017〜8.5×1019原子/cmの範囲の窒素濃度を有する合成Ib型ダイヤモンドを供試し、窒素含有ダイヤモンドを5×1017電子/cm以上の電子線量で照射するステップと、その後の熱処理ステップを含んでいた。熱処理方法は、任意選択に3.0GPa以上の超高圧下及び1500℃以上の高温条件下で実施された。ダイヤモンドレーザーは、外部ポンピングの光源として半導体レーザーを使用して活性化された。H2中心を使用しているレーザー作用に関しては、H2中心の光学密度の最大値を0.01及び4の間で維持する必要があったが、光学密度は透射光強度に対する入射光強度の比率の自然対数と定義される。Satohらのダイヤモンドレーザーのポンピング波長を500〜1000nmの間で変化させたとき、レーザー作用は1000から1400nmの範囲で観察された。
合成Ib型(単一の置換的N)ダイヤモンドにおいて大量のH3中心でダイヤモンドレーザー結晶を調製する方法は、Nakashimaらによって米国特許第4950625号で開示されている。この方法は、先ず(111)成長面の少なくとも60パーセントを含む合成Ib型を調製すること、その後その物質を高温/高圧下で熱処理してIb型ダイヤモンドをIaA型(N原子の対;図8を参照)に変換することを含んでいた。次に、空位を生成するためにIaA型ダイヤモンドに電子ビームを照射した。最後に、IaA型窒素原子を空位と結合することによりH3中心を形成するために、アニーリング工程を実施した。VN中心の数は低かったが、これらは通常レーザー作用に対する障害であるので望ましいことであった。
ダイヤモンド内に色中心を生成するこれらの方法は厄介でしかも実施するのに高価であるかもしれなく、また物質内の色中心の種類、数及び分布を制御することは困難かもしれない。必要なものはダイヤモンド物質内の改善された種類の色中心、及びそれの製造方法であり、色中心の種類、数、質、均質性及び分布が容易に達成されるものである。
ヘテロダイヤモンドイド含有物質の発光
本発明の一実施形態では、窒素含有ヘテロダイヤモンドイドは、窒素原子が分子表面に置かれ、表面の状態は窒素の光ルミネセンスを可能にするという事実によって、光ルミネセンスが可能である。
本発明の他の実施形態によると、ダイヤモンドイド、窒素含有ヘテロ原子ダイヤモンドイド、誘導体化ダイヤモンドイド及び誘導体化ヘテロダイヤモンドイドを分子固体に結晶化させることにより、光ルミネセンスを呈する媒体を作ることができる。窒素ヘテロ原子は、孔又は空位に隣接した固体中に位置することができるので、窒素−空位(又は、窒素孔)結合が形成されると考えられ、色中心集合体における窒素の数及び空位(又は孔)の数は所望の特定の構造に従って設計することができる。このことは当然ながら放射光の特性を決定する。本発明の一実施形態では、H3又はN3構造は近似化されている。そのような光ルミネセンスの色中心は図10A及び10Bにおいて企図されているが、ファンデルワールス力によって実質的に一緒になっている分子結晶は図10Aで表され、共有結合で結合しているダイヤモンドイドポリマーは図10Bで表されている。
図10Aを参照すると、窒素空位又は窒素孔の色中心を有する生物標識としての使用に適当なダイヤモンドイド含有物質を、一般に1001で示す。個々のダイヤモンドイド1002、1003及び1004は、個々のヘテロダイヤモンドイド1005、1006及び1007とパックされ、通常、群の中央に孔1008を形成する。ヘテロダイヤモンドイド1005、1006及び1007は、それらの窒素ヘテロ原子が、通常、孔又は空位1008に隣接して置かれてN3色中心1009に類似している構造を形成するようにパックされ、集合し、又はそうでなければ構築される。孔径、各ヘテロダイヤモンドイド内のヘテロ原子結合の種類、ヘテロダイヤモンドイド内の各ヘテロ原子の原子価構造、ダイヤモンドイド及びヘテロダイヤモンドイドのお互いの幾何学的位置及び配置、ダイヤモンドイドのパッキング密度、その他の多くの可能な組合せが可能であることは、当業者にはよく理解されるであろう。したがって、所望の光ルミネセンス光特性を達成するために、分子結晶1001内の色中心1009の光学的性質を制御することは可能である。
図10Bに関しては、1010で一般的に示したダイヤモンドイド含有物質は、ヘテロダイヤモンドイド1011、1012及び1013とダイヤモンドイド1014を含む。ヘテロダイヤモンドイド1011、1012及び1013は、窒素ヘテロ原子を含んでいた。これらの4つのダイヤモンドイドは、図6でポリマーについて記載した手法に従って共有結合構造で保持することができる。重合合成は、ヘテロダイヤモンドイド1011、1012及び1013それぞれの窒素ヘテロ原子が孔、開口部、又は空位1015に隣接して置かれるように実行される。窒素ヘテロ原子及び孔1015は、実質的に共有結合構造の中心(この例では)に位置する色中心1016を形成する。孔は、構造の中央にある必要はない。共有結合構造、ヘテロダイヤモンドイドの選択、共有結合におけるsp対sp特性の程度、その他の多くの組合せが可能であることは、当業者には理解されるであろう。したがって、重合物質1010内の色中心1016の光学的性質を制御することは可能である。
本分子結晶及び重合ダイヤモンドイドの利点は、窒素空位含有色中心は「最初から」構築されること、即ち、色中心を構成する窒素ヘテロ原子及び空位は結晶化であれ重合であれ、集合化手法の細部によって正しい位置に置かれることである。このことは、窒素原子が、結晶に既に存在してそれらの密度又は分布に対する支配力が低下しているか、或いは、窒素原子が格子に欠陥を生じさせるインプランテーション手法によって挿入される、先行技術方法の欠陥を生じさせる手法と対比することができる。イオンビーム照射による空位挿入も、本実施形態の合成及び集合技術よりも結晶を損傷する可能性が高い。しかし、電子ビーム又は中性子ビーム照射を使用してダイヤモンドイド及び/又はヘテロダイヤモンドイドに格子部位空位を形成することは、まだ可能であろう。
本実施形態は、ダイヤモンドイド含有プローブ、エネルギーを生物標識に届けるための光源、及びこの生物標識から発生した光を処理するための検出システムを含むことができる、生物標識を含む。この生物学的プローブは、少なくとも1つの色を有するダイヤモンドイド又はダイヤモンドイド含有物質を含むことができる。この色中心はヘテロダイヤモンドイド内に少なくとも1つの窒素含有ヘテロ原子を含むことができ、このヘテロ原子は少なくとも1つの空位又は空孔に隣接して置かれてもよい。
本実施形態によって企図されるダイヤモンドイド含有物質は、個々のダイヤモンドイドと個々のヘテロダイヤモンドイド、分子結晶、重合物質及びその様々な組合せを含むことができる。このダイヤモンドイドは、アダマンタン、ジアマンタン及びトリアマンタン、並びにそのヘテロダイヤモンドイド誘導体からなる群から選択することができる。ダイヤモンドイドとしては、テトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン及びウンデカマンタン、並びにそのヘテロダイヤモンドイド誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの高級ダイヤモンドイドも含めることができる。
他の実施形態では、ダイヤモンドイド含有分子結晶又はポリマーの生物学的プローブは、光ルミネセンスのためにドーパント不純物を含むことができる。ドーパントは、希土類元素、遷移元素、アクチニド又はランタニドでよい。光ルミネセンスドーパントは、窒素空位色中心で使用されたものと類似の手法である、自己集合、結晶化、及び、重合手法によって、本実施形態のダイヤモンドイド含有物質に挿入することができる。生物標識での使用に適当な自己集合又は結晶化した物質の例を、一般的に図11Aの1100で示す。ダイヤモンドイド1102〜1107は、通常、光学活性ドーパント1108の周辺に置くことができる。光ルミネセンスドーパント1108は、希土類元素、遷移元素、アクチニド又はランタニド、或いはそれらの混合物でよい。光学活性ドーパントは、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ、金、水銀、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びウランからなる群から選択することができる。光学活性ドーパント1108を囲んでおりドーパントが置かれたポケットを構成しているダイヤモンドイドの一部は、それと接触してドーパント原子の直ぐ近くに置くこともできるし、或いはある方法、例えば共有結合若しくはイオン結合を通し、又はロンドン力を通してそれと結合することもできる。図11Aの例示的なダイヤモンドイドは、1103、1105及び1107である。ポケットを構成している他のダイヤモンドイドはドーパント原子からより遠くに置くことができ、そのようなダイヤモンドイドとしては1102、1104及び1106がある。これらのより遠くのダイヤモンドイドもドーパントに力を及ぼすことができるし、又は全く力を及ぼさないかもしれない。ドーパント原子は、そのダイヤモンドイド宿主に関して化学的に不活性でもよい。当然ながら、この開示におけるダイヤモンドイドの定義に合わせて、ダイヤモンドイドはヘテロダイヤモンドイド又はその誘導体であってもよい。
光学活性ドーパント原子を収納することができる重合ダイヤモンドイド含有物質を、一般的に図11Bの1110で示す。この例示的な物質は、その中に光学活性ドーパント原子1115が置かれる孔を形成する4つのダイヤモンドイド1111〜1114を含む。分子結晶1101と同様に、重合物質1110を構成するダイヤモンドイド1111〜1114のいずれもある方法でドーパント原子と接触又は結合させることができ、或いはそれらはドーパント原子に対して化学的に不活性であり、光学活性ドーパント原子1115は機械的に正しい位置に保持することができる。
発光周波数及び量子効率の制御
in vivo及びin vitroで生物学的化合物を検出するための従来の方法は、Bawendiらによって米国特許第6306610号で、及びBawendiらによって米国特許第6326144号で開示されている。これらの方法のいくつかは、化学的及び物理的制限を有する有機蛍光色素の使用を含む。例えば、制限の1つは、異なるカラー色素の励起波長の変動である。その結果、異なる励起波長を有する2つ以上の蛍光標識を同時に使用するには、複数の励起源を必要とする。有機色素を使うことの他の欠点は、励起光源への長期被曝による蛍光強度の劣化である。この退色は光退色と呼ばれ、励起光の強度及び照射時間に依存する。更に、色素の非蛍光種への変換は可逆性である。更に、有機色素の分解産物は検討中の生物学的プロセスを妨げる可能性のある有機化合物である。
Bawendiらは、有機色素の更なる欠点はある色素と他の色素との間にスペクトルの重なりがあることであることを開示している。これは、一部、有機色素の比較的広い発光スペクトル、及びいわゆるテーリング領域として知られている領域の近くのスペクトルの重なりによるものである。理想的な蛍光標識は、高い蛍光強度、吸光周波数及び蛍光周波数の間の少なくとも50nmの分離、水溶解度、他の分子と容易に結合する能力、厳しい条件及び高温に対する安定性、並びに、複数の光発光周波数を容易に逆重畳するための対称的かつガウス関数状のピーク形状などの要件を満たす必要がある。
量子ドットは当技術分野で公知であり、米国特許第6326144号でサイズ依存性の光学的性質及び電子的性質を有する半導体ナノ結晶として、Bawendiらによって定義されている。量子ドットの特に重要な特性は、それらのバンドギャップエネルギーは結晶の大きさによって異なることである。半導体ナノ結晶は特有のスペクトル放射を有し、それは量子の粒径の選択によって所望のエネルギーに調節することが可能である。
量子ドットの他の説明は、Bawendiらによって米国特許第6322901号で提供されている。Bawendiらは、半導体ナノクリスタライトはバルク励起子ボーア半径より小さい半径を有し、物質内で電子及び空孔両方の三次元的量子封じ込めを引き起こすことを教示している。これにより、クリスタライトの大きさの減少を必要とすることなく、その物質の有効バンドギャップの増加がもたらされる。そのような量子ドットの光吸収及び発光スペクトルは、クリスタライトの大きさが小さくなるに従い高エネルギーの方へ移行する。バルク内部のエネルギー的に禁止されたバンドギャップ内に置かれたクリスタライトの表面のエネルギーレベルのために、そのようなクリスタライトの光ルミネセンス収率は低い(即ち、放射による発光の強度は低い)。これらの表面エネルギー状態は、物質の発光特性を低下させる電子及び空孔のトラップの働きをする。
Bawendiらは、量子ドットの光ルミネセンス収率は、有機リガンドでその表面を不動態化してバンドギャップ内の禁止エネルギーレベルを除くことにより改善することができると、更に教示している。無機物質の使用による量子ドットの不動態化も報告されている。この特許は、狭い粒径分布を有する高い発光性のZnSでキャッピングされたCdSeナノクリスタライトの調製を教示する。
半導体コアの大きさ及び発光のスペクトル範囲との相関は、Barbara−Guillemへの米国特許第6309701号で報告されている。このデータは、群II〜VI半導体コア、例えばZnS又はCdSe、のピーク発光範囲を報告しており、半導体コアはYZで構成されるシェルで不動態化され、式中YはCd又はZn、ZはS又はSeである。例えば、2.5から2.68nmのサイズ範囲を有するコアは476から486nmの範囲の青色光を放射し、8.6から10.2のサイズ範囲を有するコアは644から654nmの範囲の赤色光を放射する。
本実施形態によって企図される官能化ヘテロダイヤモンドイドプローブは、特定のダイヤモンドイドの選択により調節可能な発光周波数を有する。或いは、プローブの大きさは、特定の分子固体内に結晶化されたヘテロダイヤモンドイドの数、又は特定のオリゴマー固体内に重合化されたヘテロダイヤモンドイドの数によって調節することができる。分子結晶の大きさ、即ち分子凝集の程度、結晶成長の程度及び/又はダイヤモンドイドの選択を変えることにより、所望の蛍光スペクトル分布を得ることができると考えられる。更に、バンドギャップ内の電子状態に寄与する不純物の使用は、発光周波数の調整を可能にする。本物質のバンドギャップは少なくとも約5eVでありバルクダイヤモンドの値に接近していると信じられるので、赤外光から可視光更そして紫外光に至る広い周波数スペクトルが利用可能と思われている。しかし、本物質のバンドギャップはそれぞれの実施形態において少なくとも約2eV、3eV、4eVとなるように、設計することもできる。高級ダイヤモンドイドのバンドギャップは、量子ドットのそれと類似の量子封じ込め効果を示すと考える。
更に、官能化されたヘテロダイヤモンドイド、官能化されたヘテロダイヤモンドイドを含む分子結晶、又は官能化されたヘテロダイヤモンドイドを含む重合固体の表面を不動態化剤の適当な選択により不動態化することによって、ヘテロダイヤモンドイドプローブの量子効率は影響されることが企図される。その上、そのような不動態化は、プローブの水溶性を強化することができる。
生物標識
本発明の実施形態は、生体の状態又は事象についての情報を提供することができる生物学的プローブを含む。このプローブは、生体部分の存在又は量;生体部分の構造、組成、及び、コンフォメーション;生体部分の環境中の位置;生体部分の相互作用;生体化合物の構造変化;並びに生体プロセスの変化を検出することができる。
このプローブは、光ルミネセンス事象を示すことができる、官能化されたヘテロダイヤモンドイドを含み、官能化されたヘテロダイヤモンドイドが生物標的に親和性を有する。このプローブは、その化合物と標的との親和性のために、生物標的と相互作用又は結合する。この段階で、標的は「標識された」。標識化標的の位置及び性質は、官能化されたヘテロダイヤモンドイドが標的と結合又は関連した状態の間にそれからの発光を監視することによって検出することができる。
作動状態のとき、プローブは生物標的を含む環境に導入され、プローブは標的と結びつく。プローブ/標的複合体は、励起光源による複合体の放射によって分光学的に観察することができる。この標識化標的は、観察し且つ測定することができる、特有のスペクトルを発する。
より大きな系の一部としての複数の官能化されたヘテロダイヤモンドイドは、通常、スペクトルの紫外又は青色領域の単一の光源で、同時に励起することができることを本発明では企図している。本発明の官能化されたヘテロダイヤモンドイド生物学的プローブは、先行技術の従来の有機蛍光色素より頑健であり、またそのような色素より光退色に抵抗性であることが企図されている。更に、本発明のプローブの頑健さは、使用されている有機色素の分解産物に起因する汚染問題を恐らく軽減するであろう。したがって、官能化されたヘテロダイヤモンドイドをベースにした生物標識は、生体分子及びそれらが辿る相互作用の検出のために、価値ある標識の独特の供与源となることが予想される。
本発明の実施形態によると、ヘテロダイヤモンドイドプローブの官能基は、ヘテロダイヤモンドイドが関心の生体分子(即ち標的)と物理的に相互作用することを可能にする。本発明の範囲を限定することなく、ヘテロダイヤモンドイドの官能基はタンパク質、核酸、細胞、細胞内小器官、脂質、炭水化物、抗原、抗体、及び他の生体分子に結合することができる。ヘテロダイヤモンドイドプローブの官能基と標的分子(以下、標的分析物又は単に分析物と称す)との間の親和性は、異なる数の結合スキーム又は結合、例えばそれには限定されないが、ファンデルワールス誘引力、親水性誘引力、疎水性誘引力、イオン結合及び/又は共有結合、並びに静電結合及び/又は磁気結合のいずれにでも基づくことができる。本明細書で使用されるように、「生物標的」又は「標的分析物」は、生物学的機能と関係している生物起源のいかなる化学部分、化合物、細胞又は亜細胞性の成分を意味する。生物標的としては、それには限定されないがタンパク質、抗原、抗体、核酸、細胞、細胞内小器官及び他の生体部分がある。
プローブの作用を図12に示す。図12を参照すると、ダイヤモンドイド1201はエネルギー尺度(エネルギーの増加は上方向を指す)、空の伝導帯1202(CB)及び空の価電子帯1203(VB)と比較して示されている。当然伝導帯に占領された電子状態が存在することは当業者ならば理解するであろうが、ダイヤモンド格子部位に置かれた炭素原子は四面体状の結合形成のための価電子のために互いを利用するので、バンドギャップ1204から価電子帯1203に至るまでに励起のために利用できる余剰の電子は室温で2、3が存在する。
処理工程1205において、ダイヤモンドイド1201はヘテロダイヤモンドイド1206に変換されるか、又は少なくとも1つの炭素において、ダイヤモンド格子部位は窒素によって置換される。窒素は周期表で炭素のコラム1つ右に位置しているので、炭素と比較して余剰の電子を有する。このことは、ヘテロダイヤモンドイド1206内の電子1207によって図示されている。先に述べたように、ヘテロダイヤモンドイド1206は少なくとも1つの官能基1208で誘導体化することができる。官能化されたヘテロダイヤモンドイド実体は、生物学的プローブ1209を構成する。
処理工程1211においてプローブ1209は分析標的1210と反応させてプローブ/標的複合体1212を形成することができる。本明細書で使用される命名法に従い、分析物1210はここで官能化ヘテロダイヤモンドイド(プローブ)1209と結合するので標識されることになる。
分析物1210の存在を検出するために、標識化分析物1212を励起放射1213及び工程1214で処理する。この結果、電子1207が、バンドギャップ1204を横切って、伝導帯1202から価電子帯1203に励起される。次の工程1215aにおいて、電子1207が伝導帯1202へ光ルミネセンス崩壊する結果として、光子1216がプローブ/標的複合体から放出される。価電子帯及び対流帯のエネルギー状態はエネルギーレベルでは非常にアバウトに表されており、模式図12では、エネルギー状態は厳密に解釈するべきではない点に留意する。言い換えると、図12のエネルギー図は1214で吸収されたエネルギー量が1215で放出されたエネルギー量と同じであることを示すものではなく、むしろ、図12は単に、エネルギーは吸収され、その後系によって放出されるという事実を伝えるだけのものである。
標的へのヘテロダイヤモンドイドのコンジュゲーション
G.T.Hermansonによって「バイオコンジュゲート手法(Bioconjugate Techniques)」(アカデミックプレス、サンディエゴ、1996年)の序文で議論されているように、バイオコンジュゲーションは2つ以上の分子が結合して個々の成分の特性の組合せを有する新規複合体が形成されることを含む。本実施形態のヘテロダイヤモンドイドは、タンパク質、多糖類、核酸、脂質及び化学的に官能化することができる他の考えられる実質的にいかなる分子などの標的分析物と結合することができると考える。
本ヘテロダイヤモンドイド含有生物標識のタンパク質への結合は、「バイオコンジュゲート手法」第1章で議論されている手法で実行することができる。この章では、タンパク質は側鎖を容易に誘導体化することができる最高9つのアミノ酸を含むことができ、この9つの残基は修飾反応のために十分な反応性を有する8つの主要な官能基、即ち一級アミン、カルボキシレート、スルフヒドリル(又は、ジスルフィド)、チオエーテル、イミダゾリル、グアニジニル基、フェノール環及びインドリル環を含むことが開示されている。
例えば、タンパク質のカルボキシレートはアミド結合形成剤の使用、又は活性エステル若しくは反応性カルボニル中間体を通して誘導体化することができることが、G.T.Hermansonによって開示されている。カルボキシレートは、修飾基に対してアシル化剤になる。アミン含有求核試薬は活性カルボキシレートと結合してアミド誘導体を生成することが更に開示されている。米国特許出願10/313804及び10/046486(本明細書で参照により完全に組み込まれている)で議論されているように、官能化された高級ダイヤモンドイドは−H、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−SH、−NH、−NHCOCH、−NHCHO、−COH、−COR’、−COCl、−CHO、−CHOH、=O、−NO、−CH=CH、−C≡CH及び−Cのいずれの基でも誘導体化することができ、但し式中R’はアルキル基、好ましくはエチルである。
ダイヤモンドイド上のこれらの官能基は、タンパク質との結合のために使用することができる化学的性質を提供する。ダイヤモンドイド官能基は、アミノ酸の側鎖官能基、又はN末端α−アミノ基及びC末端α−カルボキシレートと反応することができ、これらはタンパク質との結合のために使用することができる化学的性質を提供する。
コンジュゲーション目的のための炭水化物上の主要反応部位も、「バイオコンジュゲート手法」で議論されている。例えば、単糖官能基は、ケトン又はアルデヒド、いくつかのヒドロキシルからなり、アミン、カルボン酸基、硫酸基又はリン酸基は更なる反応の可能性として可能性がある。糖ヒドロキシル基はアシル化試薬又はアルキル化試薬によって誘導体化することができ、一級アミンの反応と類似している。官能化されたヘテロダイヤモンドイドと結合するために使用することができる他の反応例としては、反応性ギ酸基を形成するためのヒドロキシル基の酸化;還元アミノ化による炭水化物の元の還元末端とアミン含有ダイヤモンドイドとのコンジュゲーション;末端アリールアミン誘導体を形成するためのオリゴ糖還元末端の修飾;ヒドラゾン結合の形成;アルデヒド官能基の形成及び以降のアミン又はヒドラジドを含む他の分子によるその誘導体化などがある。多糖類のヒドロキシ残基を活性化して、求核置換のために適する脱離基を形成することができる。
同様に、核酸を官能化ヘテロダイヤモンドイドとコンジュゲートして本実施形態の生物標識を生成することができる。核酸は、3種類のピリミジン環系(ウラシル、シトシン又はチミン)、及び2種類のプリン誘導体(アデニン又はグアニン)のいずれか1つを、結合塩基単位にNグリコシド結合で結合している核酸糖残基と共に含むことができる。糖の基は、β−Dリボース単位(RNA)又はβ−D−2−デオキシリボース単位(DNA)からなる。DNA又はRNAの各ヌクレオチドモノマーにおいて、リン酸基は各糖残基のC−5ヒドロキシル基とエステル(無水)結合で結合している。リン酸基は次にそれらの3’−リボシルヒドロキシルを通してジエステル結合で隣接したヌクレオチドの近隣の糖基と結合し、オリゴヌクレオチドポリマー骨格を形成する。
G.T.Hermansonが更に指摘しているように、オリゴヌクレオチドへの検出可能な成分の化学的結合は、感度の良いハイブリダイゼーション試薬を構築するための基礎となる。ヘテロダイヤモンドイドの官能基と反応するように誘導体化することができる特定の部位が、核酸の塩基、糖又はリン酸基上にある。例えば、シトシン、チミン及びウラシルは、C−4及びC−6位置の求核攻撃に対して全て反応する。アデニン及びグアニン残基はC−2、C−6及びC−8位置の求核置換反応に感受性があり、修飾の最も一般的な標的はC−8である。コンジュゲーションは、デオキシリボ核酸の3’ヒドロキシ基、又はリボ核酸の2’、3’−ジオールを通して糖基上で行うことができる。リン酸基で可能な2つの可能性のあるコンジュゲーション反応は、カルボジイミドなどの縮合剤、及びホスホラミダイト誘導体へのリン酸基の変換を含む。
本ヘテロダイヤモンドイドのコンジュゲーションはタンパク質、炭水化物及び核酸に限定されるものではなく、他の多くの種類の標的分子が企図されている。これらには、それには限定されないが、細胞内小器官、脂質、抗原、抗体、色素及び他の生体分子が含まれる。
生物学的利用能及び膜輸送
本発明の生物標識は、細胞内又はin vitro状況で標的分析物をアッセイすることが所望される用途で使用されることが企図される。そのような用途において、本生物標識は、細胞膜を通過して能動的に又は受動的に輸送される能力を必要とする。この生物標識による細胞膜透過は本発明によって企図される一実施形態に過ぎなく、本生物標識の多くの細胞外及びin vitroの用途も想定されることが強調されなければならない。
アダマンタイン(1−アミノアダマンタン、C1017N)の細胞輸送特性はRoger K.Murrayによって議論され、「アマンタジンは、全ての細胞膜を通過し、血液脳関門を横切り、またほぼ理想的な薬物動態及び代謝のプロフィールを有する」と述べられている。膜透過の更なる考察はVerberら(GlaxoSmithKline)によって提供され、膜透過は能動輸送が存在しないときの経口生物学的利用能のための共通要件であり、これが成し遂げられないと通常経口生物学的利用能は劣ることが開示されている。Verberの研究には、ラットにおける1,100以上の候補薬の経口生物学的利用能の測定が含まれていた。結果によると、回転可能な結合数、低い極性表面積又は総水素結合数で測定される低い分子柔軟性などの重要な分子特性が経口生物学的利用能の良い予測因子であることを示した。
この所見は、大きさ又は分子量が生物学的利用能を決定する上で重要な因子であると一般に信じられていることと対照的である。平均すると、極性の生物標識の回転可能な結合の数及び表面積の量(又は水素結合数)は分子量の増加に伴い増加する傾向があり、このことは経口生物学的利用能を予測する際のパラメータとしての分子量の成功を、ある程度説明することができる。一般に適用される分子量500のカットオフ値は、それ自体では生物学的利用能の劣る化合物対生物学的利用能の優れた化合物の分離を有意にもたらすものではない。
本実施形態の生物標識は、一部には分子の物性で生物学的利用能を予測する方法のために、生物学的利用能に関して望ましい特性を有することが企図される。Verberらによって定義されているように、これらの特性としては生物標識が有する回転可能な結合数、水素結合ドナー又は受容体の数、及び標識の極性表面積の量を含めることができる。
Verberは回転可能な結合を環状ではなく、非末端の重い原子(即ち水素以外の原子)に結合しているいかなる単結合と定義し、本実施形態のヘテロダイヤモンドイド含有物質は回転可能な結合を実質的に含むことができない。CN結合はそれらの高い回転エネルギー障壁のために、Verberの分析から排除されていることが注目される。水素結合ドナーは少なくとも1つの結合した水素を有するいかなるヘテロ原子と定義され、水素結合受容体は正式な正電荷を有さないいかなるヘテロ原子と定義され、但し、ハロゲン原子、ピロール窒素、複素環式芳香族の酸素及び硫黄、並びに高原子価状態の窒素、亜リン酸及び硫黄は除外されるが、それらと結合した酸素は含まれる。
極性表面積は、Ertl、Rohde及びSelzerの「分子極性表面積の迅速計算は、断片ベースの寄与及びその薬剤輸送特性の予測への応用の総計として行われる(Fast calculation of molecular polar surface area is done as a sum of fragment−based contributions and its application to the prediction of drug transport properties)」と題する論文、J.Med.Chem.2000年、第43巻、3714〜3717頁内の原子に基づく方法によって計算することができる。計算された極性表面積は、総水素結合数、即ち水素結合ドナー及び受容体の合計と強く相関した。経口生物学的利用能データセットに関しては、rは0.93に等しいことがわかった。
本実施形態の生物標識は約10以下の回転可能な結合数、及び約140平方オングストローム未満の極性表面積、或いは12以下のH結合ドナー及び受容体数のVerberの要件を満たすので、有利な生物学的利用能特性を有すると考える。このことは、特に図10Bで示す生物標識に当てはまるが、その生物標識の蛍光部は、所望の光学的性質のために少なくとも1つの窒素ベースのヘテロ原子を有する4つのテトラマンタンのクラスターを含む。当然ながら、テトラマンタン以外のダイヤモンドイドも使用することができることは、当業者ならば認めるであろう。本生物標識の利点としては、標識のダイヤモンドイド部分の並外れた剛性、及び回転可能な結合などの柔軟な構造の相対的な欠如が挙げられる。
本発明の一実施形態では、生物標識は、約25未満の回転可能な結合、約500平方オングストローム未満の総極性表面積、或いは25以下のH結合のドナー及び受容体を有する、テトラマンタン又はより高級の少なくとも4つのダイヤモンドイド構造を含む。4つのテトラマンタン(C2228、それぞれ292の分子量を有する)及び蛍光色中心を提供するための少なくとも1つの窒素ヘテロ原子を含む生物標識の約1,200の推定分子量は、生物学的利用能の良い分子の重量制限(Verberの計算による)の範囲内であると考える。
光検出系
本発明のいくつかの実施形態によると、生物標識から放出される光は、当技術分野で公知の光学技術を使用して検出される。企図された蛍光ベースの検出系の基本的な段階は、以下の通りである。
1.励起光デリバリー、即ち、試料上の蛍光色素を励起すること;
2.発光収集、即ち、放出された光を集めること;
3.蛍光シグナルのデジタル画像の生成。
そのような画像を得るために、本実施形態では2つの一般的方法を使用することができる。光電子増倍管(PMT)検出器と連携したレーザー励起法、及び電荷結合素子(CCD)検出器によるフィルタ処理白色光励起法。更に、レーザーベースの系は、共焦点又は非共焦点の光路を使用することができる。本開示のこのセクションでは、励起光デリバリー系を先ず議論し、次に発光収集系及びデジタル画像生成手法を議論する。このセクションは、共焦点対非共焦点の光学及び本生物標識とのそれらの関連性の考察で結ぶ。
先ず励起光デリバリー系の議論については、レーザーベースの系は、直径2、3ミクロンの単波長レーザー光線を、試料上を前後に走査させて、一度に単一の画素を代表する1つの領域を励起させる場合に使用することができる。発光は励起レンズ中を戻り、PMTによって集められる。PMTは各光子からのシグナルを増幅し、次にシグナルは各画素位置における信号強度を表す画像を作製するために使用されるデジタル値に変換される。
白色光系においては、キセノン又は水銀灯のような広域スペクトル白色光源が励起光を提供する。励起波長は、白色光をより狭い波長範囲にフィルタ処理することによって選択される。ランプは試料の広域を照らし、全視界からの蛍光発光は固定CCDアレイによって集められる。画像化アパーチャーは、CCDが代表する画像の作製のために十分な光を試料から集めることができるように、様々な時間開口される。CCDアレイ上の各画素位置の信号強度は、次にデジタル画像に変換される。
レーザー照射は、試料表面の小さな点に強力な単色光を集める。より高出力の密度はより多くの光を蛍光分子に運ぶので、色素を励起させるのに要求される時間はフィルタ処理白色光より非常に少ない。試料を走査する間、レーザー光線は数マイクロ秒間各画素位置に「停滞する」。対照的に、白色光源は試料を数秒又は数分間照らし、その間CCDは全露出時間の間発光シグナルを集積する。
発光の収集手法に話を移すと、系全体のパフォーマンスに寄与する2つの重要な検出器特性は、直線飛程及び量子効率である。直線飛程は、検出器が正確に変化を測定することができ、したがって入力信号の与えられた変化の程度は出力信号で同じ変化の程度を生成するような入力信号強度の範囲を示す。PMTは、信号応答が最も正確である最適な作業直線飛程を有する。CCD検出器の直線飛程は、CCDアレイ上の各ウェルの容量の読み出し騒音レベル(即ち各画素測定値の変動によるランダム誤差)に対する比と規定されている。CCDの信号強度の範囲は、露出時間を変えることによって調節される。PMTと同様に、CCDアレイも積分時間の増加に対して直線的である。しかし、暗電流、即ち光がない状態で素子の中を流れるランダム電子によって生成する信号は露出に比例して増加するので、バックグラウンド信号を増やすかもしれない。
デジタル画像の生成に関する検出器の重要な特性は量子効率(QE)であり、これは素子が受け取る入射光子信号と比較してそれが放出する電子信号を測定したものである。スタンドアロン構成要素として、マイクロアレイイメージングシステムで使用される大部分のCCDは標準のPMTより約2倍大きなQEを有す。CCDイメージングシステムは通常、試料の複数のイメージを捕え、これらは次に縫い合わされて単一の画像をつくる。不正確な縫い合わせ、重複領域の複数回の露出による光退色、及び他の人為要素は正確な定量化を妨げる可能性がある。過剰な縫い合わせの可能な代替手段は、カメラ型のレンズを使用してマイクロアレイの比較的大きな領域をより小さなCCD面へ縮小することである。しかし、全ての光学系において、検出器が発生源より小さい場合、光収集効率の低下は避けられない。
レーザーベースの系は、共焦点又は非共焦点の光路デザインを使用することができる。共焦光学は、元々細胞又は組織などの厚い試料の薄切片を画像化するために開発された。共焦光学法は非常に浅い焦点深度を形成して、その浅い焦点面を越える信号を排除する。異なる深度で走査を繰り返すと複数の高品質光学切片が形成され、これらを用いて厚い試料の三次元画像を再構築することができる。
本出願で引用されている全ての出版物、特許及び特許出願は、本明細書において個々それぞれの出版物、特許出願又は特許の開示が参照により完全に組み込まれるように具体的に又は個々に示されているかのように、参照により完全に組み込まれている。
上で開示した本発明の例示的実施形態の多くの変更は、当業者には容易に思い付くことである。したがって、本発明は添付の請求項の範囲内にある全ての構造及び方法を含むものと解釈されたい。
ダイヤモンドイドを石油から分離するステップと、官能化されたヘテロダイヤモンドイドプローブを合成するステップと、プローブを標的分析物と結合させて標識化分析物を生成するステップと、標識化分析物を発光させるステップとを示している、本発明の一般課題の概要図である。 ダイヤモンドイドを石油から分離するための例示的なプロセスの流れを示す図である。 ダイヤモンド結晶格子とダイヤモンドイドの関係を示し、利用できるダイヤモンドイドの多くを化学量論的式により列挙した図である。 ヘテロ原子で置換することのできる例示的な格子位置を示す図である。 ヘテロダイヤモンドイドを合成的に生成するための例示的な経路を示す図である。 ヘテロダイヤモンドイドを合成的に生成するための例示的な経路を示す図である。 ヘテロダイヤモンドイドを合成的に生成するための例示的な経路を示す図である。 生物学的プローブを含むことができるヘテロダイヤモンドイドの例示的な四量体を示す図である。 どのようにして例示的なダイヤモンドイド[1(2,3)4]ペンタマンタンが詰め込められて生物学的プローブを含むことができる分子結晶を形成するかを示すステレオグラムである。 ダイヤモンド内の窒素ヘテロ原子を記載するために使用される専門用語を定義している図である(I.Kiflawiら「ダイヤモンド内の窒素の集合の理論(Theory of aggregation of nitrogen in diamond)」、ダイヤモンドの性質、成長及び応用(Properties,Growth and Applications of Diamond)、M.H.Nazare及びA.J.Neves編(Inspec、ロンドン、2001年)(130〜133頁)。 置換された窒素原子の様々な立体配置及び光ルミネセンス色中心となるダイヤモンド内の空位を示す図である(R.Jonesら「ダイヤモンド内の窒素の集合の理論(Theory of aggregation of nitrogen in diamond)」、ダイヤモンドの性質、成長及び応用(Properties,Growth and Applications of Diamond)、M.H.Nazare及びA.J.Neves編(Inspec、ロンドン、2001年)(127〜129頁)。 光ルミネセンス性窒素空位色中心を有することが企図される例示的なダイヤモンドイド含有物質の図である。 光ルミネセンス性窒素空位色中心を有することが企図される例示的なダイヤモンドイド含有物質の図である。 光電事象を形成するためのドーパント原子を含む例示的なダイヤモンドイド含有物質の図である。 光電事象を形成するためのドーパント原子を含む例示的なダイヤモンドイド含有物質の図である。 本発明によって企図される生物標識の作動的使用の例を示す図である。

Claims (40)

  1. 少なくとも1つの発光色中心を含む生物標識であって、色中心は少なくとも1つの空位又は空孔に隣接しているダイヤモンドイド格子部位に置換された窒素ヘテロ原子を含む生物標識。
  2. ダイヤモンドイドはアダマンタン、ジアマンタン及びトリアマンタン、並びにそのヘテロダイヤモンドイド誘導体からなる群から選択される低級ダイヤモンドイドである、請求項1に記載の生物標識。
  3. ダイヤモンドイドはテトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン及びウンデカマンタン、並びにそのヘテロダイヤモンドイド誘導体からなる群から選択される高級ダイヤモンドイドである、請求項1に記載の生物標識。
  4. 窒素ヘテロ原子及び空位又は空孔を含むダイヤモンドイド含有物質は分子結晶、重合物質及びその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の生物標識。
  5. ダイヤモンドイド含有物質に挿入された少なくとも1つの光学活性ドーパントを含む生物標識。
  6. ダイヤモンドイドはアダマンタン、ジアマンタン及びトリアマンタン、並びにそのヘテロダイヤモンドイド誘導体からなる群から選択される低級ダイヤモンドイドである、請求項5に記載の生物標識。
  7. ダイヤモンドイドはテトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン及びウンデカマンタン、並びにそのヘテロダイヤモンドイド誘導体からなる群から選択される高級ダイヤモンドイドである、請求項5に記載の生物標識。
  8. 窒素ヘテロ原子及び空位又は空孔を含むダイヤモンドイド含有物質は分子結晶、重合物質及びその組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の生物標識。
  9. 光学活性ドーパントは希土類、遷移金属、アクチニド又はランタニドである、請求項5に記載の生物標識。
  10. 光学活性ドーパントはチタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ、金、水銀、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びウランからなる群から選択される、請求項5に記載の生物標識。
  11. ダイヤモンドイドは標的分析物と結合することができる官能基で誘導体化される、請求項1に記載の生物標識。
  12. 官能基は−H、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−SH、−NH、−NHCOCH、−NHCHO、−COH、−COR’、−COCl、−CHO、−CHOH、=O、−NO、−CH=CH、−C≡CH及び−Cからなる群から選択される基であり、但し式中R’はアルキル基である、請求項1に記載の生物標識。
  13. ダイヤモンドイド及び標的分析物の間の親和性の性質は、ファンデルワールス誘引力、親水性誘引力、疎水性誘引力、イオン結合、共有結合、静電気結合及び磁気結合からなる群から選択される、請求項1に記載の生物標識。
  14. 標的分析物はタンパク質、糖、核酸、抗原、抗体、脂質、細胞及び細胞内小器官からなる群から選択される、請求項1に記載の生物標識。
  15. ダイヤモンドイド含有物質のバンドギャップは少なくとも約2eVである、請求項1に記載の生物標識。
  16. ダイヤモンドイド含有物質のバンドギャップは少なくとも約3eVである、請求項1に記載の生物標識。
  17. ダイヤモンドイド含有物質のバンドギャップは少なくとも約4eVである、請求項1に記載の生物標識。
  18. ダイヤモンドイド含有物質のバンドギャップは少なくとも約5eVである、請求項1に記載の生物標識。
  19. ダイヤモンドイド含有物質のバンドギャップ内の電子状態に寄与する不純物原子を更に含む、請求項1に記載の生物標識。
  20. ダイヤモンドイドは標的分析物と結合することができる官能基で誘導体化される、請求項5に記載の生物標識。
  21. 官能基は−H、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−SH、−NH、−NHCOCH、−NHCHO、−COH、−COR’、−COCl、−CHO、−CHOH、=O、−NO、−CH=CH、−C≡CH及び−Cからなる群から選択される基であり、但し式中R’はアルキル基である、請求項5に記載の生物標識。
  22. ダイヤモンドイド及び標的分析物の間の親和性の性質は、ファンデルワールス誘引力、親水性誘引力、疎水性誘引力、イオン結合、共有結合、静電気結合及び磁気結合からなる群から選択される、請求項5に記載の生物標識。
  23. 標的分析物はタンパク質、糖、核酸、抗原、抗体、脂質、細胞及び細胞内小器官からなる群から選択される、請求項5に記載の生物標識。
  24. ダイヤモンドイド含有物質のバンドギャップは少なくとも約2eVである、請求項5に記載の生物標識。
  25. ダイヤモンドイド含有物質のバンドギャップは少なくとも約3eVである、請求項5に記載の生物標識。
  26. ダイヤモンドイド含有物質のバンドギャップは少なくとも約4eVである、請求項5に記載の生物標識。
  27. ダイヤモンドイド含有物質のバンドギャップは少なくとも約5eVである、請求項5に記載の生物標識。
  28. ダイヤモンドイド含有物質のバンドギャップ内の電子状態に寄与する不純物原子を更に含む、請求項5に記載の生物標識。
  29. a)ヘテロダイヤモンドイド含有プローブを提供するステップと、
    b)ヘテロダイヤモンドイド含有プローブを標的分析物に結合して生物標識を作製するステップと、
    c)生物標識をエネルギーにより励起させて生物標識を発光させるステップと、
    d)励起された生物標識から放出される光を検出するステップとを含む、標的分析物の検出方法。
  30. エネルギーは光子線の形態であり、したがって発光現象は光ルミネセンスである、請求項29に記載の方法。
  31. エネルギーは電子線の形態であり、したがって発光現象はエレクトロルミネセンスである、請求項29に記載の方法。
  32. エネルギーは熱の形態であり、したがって発光現象は熱ルミネセンスである、請求項29に記載の方法。
  33. エネルギーは化学エネルギーの形態であり、したがって発光現象は化学ルミネセンスである、請求項29に記載の方法。
  34. エネルギーは2つの面の摩擦接触に起因し、したがって発光現象は摩擦ルミネセンスである、請求項29に記載の方法。
  35. ステップa)は少なくとも1つの空位又は空孔に隣接しているダイヤモンドイド格子部位に窒素ヘテロ原子を置換することを含む、請求項29に記載の方法。
  36. ダイヤモンドイド含有物質のバンドギャップ内に電子状態を形成するためにダイヤモンドイド含有物質内に不純物原子を置くステップを更に含む、請求項29に記載の方法。
  37. ヘテロダイヤモンドイド含有プローブが標的分析物に結合した後に、生物標識を細胞膜を通過させるステップを更に含む、請求項29に記載の方法。
  38. ヘテロダイヤモンドイド含有プローブを細胞膜を通過させ、次にヘテロダイヤモンドイド含有プローブを標的分析物と反応させるステップを更に含む、請求項29に記載の方法。
  39. 生物標識から放出される光の検出は光電子増倍管を使用して実行される、請求項29に記載の方法。
  40. 生物標識から放出される光の検出は電荷結合素子を使用して実行される、請求項29に記載の方法。
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