JP2006503430A - 組立て高さを低減するリッツ線の固定 - Google Patents

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Abstract

本発明は、望ましくはリッツ線である編まれたワイヤを固定する端部を具備する、少なくとも1つのピンを有し、結果的に成形の高さを低減するコイルに係る。該ピンの端部は、スロットを形成するU型部を有し、このスロットは、ワイヤの直径と等しいかそれよりも小さい内部幅を有する。従って、固定ピンは、巻付け中、ワイヤに安定した固定位置を与えることと、固定ピンはリッツ線用に使用されうることとが得られ、それによって従来技術の課題を解決するとともに、その後の半田付け工程への有効な基礎を得られる。更に、コイルの高さは、従来技術のコイルよりも低くなる。

Description

本発明は、望ましくはリッツ線である編まれたワイヤを固定する端部を具備する、少なくとも1つのピンを有し、結果的には組立て高さ低減するコイルに係る。
コイルの製造に使用されるワイヤは、多様な種類及び形状を有する。本発明は、主に、複数の撚り線で編まれたワイヤである、リッツ線に係る。個々の撚り線は、一定のパターンの捻り及び撚りの長さで、まとめて束ねられるか又は編まれてよい。
従って、「litzendraht」ワイヤとも呼ばれるリッツ線は、個々に絶縁された撚り線の束であり、例えば直径0.1mmの撚り線が16本(16×0.1)であってよい。絶縁材料は、ポリマ等でよい。リッツ線には、繊維製品等によって更に絶縁されているものもある。
リッツ線は、コイルに使用され、電力損失を最低限に抑え、また、固体導線で頻繁に発生する、高周波数でのいわゆる「表皮効果」を低減するようにされる。個々の撚り線の束は、同一の断面積を有する1つの固体撚り線/導線より、低いAC抵抗を有する。AC抵抗は、構成部品における全損失、即ちDC抵抗、表皮効果、近接効果、及び鉄損を示す抵抗と解釈されてよい。
更に、リッツ線の最善の効果を得るには、一定のパターンのリッツ構造の各個別の撚り線を、中心から外側及び後方へと所定の長さ分を動かして、位置決めをすることが不可欠である。
コイル内のコネクタ・ピンは、ワイヤの端部を接続するよう使用されるため、コイルの周囲にワイヤを巻き付ける以前にワイヤの一端が固定され、続いて巻付けの後に他端が固定される。ワイヤの固定は、ワイヤの半田付けに先立って、特定の位置にワイヤを維持するよう実行され、従来技術での固定は、ワイヤをピンの周囲に複数回巻き付けることによって実行される。
図1に示す通り、既知のコイル1では、コネクタ・ピンは一般的に、参照符号2のL型、又は参照符号3のI型である。従来技術のピンの周囲でのワイヤの安定した位置決めを確立するよう、ワイヤは、図1中、ピンの周囲を原則的に2回乃至4回巻き付けられる。従って、図1中参照符号「a」で示されるピンのその部分の範囲は、一般的にワイヤの直径の少なくとも2倍乃至4倍であり、その結果コイルの幅が広がる。
更に、リッツ線が従来技術のピンの周囲に巻き付けられる際、実際のところ個々の撚り線自体が真っ直ぐに伸びるため、リッツ線がピンから離れる傾向があり、従ってワイヤとピンとの間に距離が作られる。これによって、半田付け工程における半田が滑り落ち、半田付けが本来有すべきはずの効果を有さない。
しかしながら、リッツ線の剥離は、すず半田の毛管現象により、半田付けの直接的な不利点とはならない。しかし、過度に緩んだワイヤは、巻付けと半田付けとの間の時間に、ずれるかほどける可能性があり、この場合は、半田付け不良、更には短絡回路を招く結果になりうる。
欧州特許第0304593号明細書(特許文献1)で開示されるコイルでは、ワイヤはコネクタ・ピンの近くに保持され、ピンは曲げられて、ワイヤの周囲を締め付けて半田付け工程以前にワイヤをこの位置に維持するようにされる。この締付け工程は、巻付け工程に使用される力により、コイルの巻付け工程以前にリッツ線を保持するには十分ではなく、従ってこれらのピンはリッツ線には有用ではない。
上述の通りリッツ線を固定ピンの周囲に複数回巻き付けるだけでは、半田付け以前及び半田付け中、リッツ線を適所に維持することは可能ではないため、コイル内の既知のコネクタ・ピンで、リッツ線に特に使用可能なものはない。
更に、半田付けの最善の効果を得るには、リッツ線内の全ての撚り線は、半田付けされなければならず、従って半田付け工程を受けなければならないが、それは、撚り線が多くの場合真っ直ぐに伸びた本来の形状に戻ろうとし、リッツ線自体がピンから離れるため、ピンの周囲にリッツ線を巻き付けることのみでは正確に行なわれない。
欧州特許第0304593号明細書
本発明の目的は、ワイヤと固定ピンとの間の接触が得られ、また、個々の撚り線が、ワイヤを固定する間に多かれ少なかれ半田付け工程を受ける、コイルを提供することである。
本発明の他の目的は、リッツ線に好適であり、また、ワイヤの半田付け以前にワイヤを固定する間個々の撚り線を広げる、コイルを提供することである。
本発明の更なる目的は、コイルの高さ及び幅を最小限に抑えることである。
上述の目的は、本発明による、ワイヤの直径に等しいかそれよりも小さい内部幅を有するスロットを形成するU型部を有するピンの端部によって達成されうる。
スロットの内部幅はワイヤの直径と等しいかそれよりも小さいため、ワイヤはスロットに堅く固定され、ワイヤの更なる固定は、固定ピンの周囲に1回ワイヤを巻き付けてから再度スロットに固定することによって得られる。ワイヤの更なる固定は、コイルの巻付け工程以前のワイヤの固定で使用される。
本発明のコイルにより、固定ピンは、巻付け中はワイヤに安定した固定位置を与え、また、固定ピンはリッツ線用に使用されえ、従ってその後の半田付け工程の有効な基礎を作るとともに、上述した従来技術の課題を解決する。
本発明によるコイルは、更に、従来技術のコイルに関して、コイルの幅を広げることなく、取り付けられたコイルの高さを低減する固定ピンを与える。
本発明によるコイルの使用により、ワイヤをコイル用の固定ピンのスロットに取り込むことによって、ワイヤの固定を実行する。コイルの巻付け工程に先立って、固定ピンの周囲に1回ワイヤを巻き付けてから、再度スロットに取り込むことが有利になりうる。これによって、リッツ線が上述した弾力性のためにピンから離れることなく、固定ピンによってリッツ線を固定する。
更に、リッツ線が変形されるため、ワイヤの個々の撚り線の多くが半田付け工程を受ける。これによって、ワイヤとピンとの狭い距離及び撚り線間の狭い相互距離のために、半田付け工程中に毛管効果が利用でき、これは当業者にとって驚くべきものである。
本発明による有利な実施例において、固定ピンの端部は、コイルから半径方向に水平に又は垂直に突出する。これによって、ワイヤの安定した位置決めを脅かすことなく、コイルの高さを最小限に抑えることができる。
本発明による有利な実施例において、スロットの幅は、スロットの終端に向かって減少する。この減少する幅によって、多種の直径を備えるワイヤの固定が可能になる。
固定ピンという用語は、本明細書においては、ピンと同様に、ロッド、棒、ポール、スティック、管、チューブ、柄、又はスタンプの形状での、あらゆる種類の、曲げ性のある剛性な金属又は半田付け可能なめっきで覆われた金属として解釈されるべきである。
固定という用語は、本明細書においては、ここではワイヤである可動の対象の、ここでは固定ピンである固定されている対象への固定として、解釈されるべきであり、可動の対象は、安定した位置に維持されるだけではなくしっかりと保持される。
上述及び本発明の更なる利点は、添付の図面を参照し、本発明の望ましい実施例に関する実例となり且つ限定されない以下の詳細の説明を通して、よりよく理解されるであろう。
全ての図は、概略図であり且つ実物大ではなく、本発明の望ましい実施例の説明に必要な部分のみを示す。
図2は、本発明の第1の実施例により、2つの固定ピン2a及び固定ピン2bと、コイル1の周囲にワイヤ4を巻き付ける以前に第1のピン2bに固定され、同様に、巻付け工程後には第2のピン2aに固定されるワイヤ4とを有する、コイル1を示す。
図3は、本発明の第1の実施例による図2を、上方からみたコイル1を示す図である。コイル1は、望ましくはリッツ線である編まれたワイヤ4を固定する端部を具備するピン2を有し、ピン2の端部はスロット5を形成するU型部3を有し、スロット5はワイヤ4の直径と等しいかそれよりも小さい内部幅を有し、スロット5はワイヤ4の半田付け前および半田付け中に、有利な方法でワイヤ4を固定してよい。
これによって、ワイヤ4は、スロット5に取り込まれたワイヤ4の変形による、ワイヤ4の表面とスロット5の内側との間の摩擦によって、スロット5に固定される。リッツ線4の個々の撚り線は、ワイヤ4がスロット5への固定される間に、互いに対して若干広がり、従ってピン2は、ワイヤ4の略殆どと個々の撚り線との接触を有し、それがワイヤ4と個々の撚り線の最適な半田付けの有効な基礎を作る。
図2及び図3中、固定ピン2は、コイル1から半径方向に突出するU型部3を有するよう示される。図3に示す通り、固定ピン2のU型部3は、コイル1の略水平平面にあり、スロット5の中心軸は、コイル1の中心軸に対して90度の角度にある。
本発明による他の実施例では、スロットの幅は、スロット5の閉端部に向かって減少するため、より広がったU型(図示せず)を形成する。
更に固定ピン2のU型部3は、スロット5の下部ではより直線的であってよく、より矩形のU型スロット(図示せず)を形成する。
本発明の更なる実施例では、スロット5の形状はV型であるため、異なる直径のワイヤを受容する。この点において、本発明の構想から離れることなく、スロットの設計又は形状を、使用される個々のワイヤに対して変更することが可能である。スロットの形状に共通しているのは、スロットが、取り込むワイヤの直径と等しいかそれよりも小さい幅を有することである。
本発明による有利な方法で、固定ピン2のU型部3は、コイル1から半径方向に垂直に突出してよく、スロット5はコイル1の中心軸に対して平行である。
本発明の更なる望ましい実施例では、固定ピン2のU型部3は、コイル1から半径方向に突出してよく、スロット5の中心軸6は、コイル1の中心軸7に対して任意の角度にある。これにより、スロット5の中心軸6とコイル1の中心軸7との間の角度の選択は、コイルの製造の最適化中に、コイルの最善且つもっとも効果的な製造方法を見出す際に、当業者によって認識される。
本発明により、リッツ線は、例えば以下の寸法(個々の撚り線の数×直径)、16×0.1mm、20×0.1mm、20×0.71mm、25×0.071mm、80×0.071mm、4×0.2mmを有してよく、また、内部幅0.25mmを有するスロットとの接続に使用されてよく、また、例えば80×0.1mmの寸法を有するリッツ線は、内部幅0.8mmを有するスロットとの接続に使用されてよい。これらの例は、ワイヤの直径と比較して、スロットのより小さい幅によって有利となることが示され、従ってワイヤの安定した位置が得られる。
ワイヤがスロットに取り込まれ、ワイヤ4の個々の撚り線は更にスロット5におけるワイヤ4の固定において若干広げられるため、夫々のスロットとの接続における上述のリッツ線の使用は、ワイヤがある程度変形されることを示す。これにより、ピン2とワイヤ4との間の小さな距離及び撚り線間の小さな相互距離によって、毛細効果を利用して、ワイヤの撚り線間に半田を吸い込ませることができる。
実際、図1中の距離は、図3中の距離bより長く示されている。このため、既知のL型及びI型の固定ピンと比較して、コイルの高さを高くすることなくコイルの幅を狭めるので、本発明の固定ピンを有利なものとする。
更に、本発明によるコイルは、ビーマ又はLCD投影型テレビ用UHPイグニッション変圧器等の、電力変換の用途に有利に使用されてうる。
更に、本発明によるコイルは、SMD(表面実装型装置)の取付けに使用されてうる。
本発明は、本発明の望ましい実施例によって開示されるが、請求項に定義される本発明から逸脱することなく、複数の改善が可能であることは、当業者にとって明らかである。
既知のL型コネクタ・ピン及び既知のI型コネクタ・ピンを具備するコイルを示す図である。コイルがI型及びL型両方のコネクタ・ピンを含むのは、図解を目的とするためのみである。 横から見たコイルを示し、本発明による固定ピンの位置を図解する図である。 図2を上方からみたコイルの配置を示す図である。

Claims (7)

  1. 望ましくはリッツ線である編まれたワイヤを固定する端部を具備する、少なくとも1つのピンを有するコイルであって、
    前記ピンの端部は、スロットを形成するU型部を有し、前記スロットは、前記ワイヤの直径と等しいかそれよりも小さい内部幅を有する、ことを特徴とするコイル。
  2. 前記ピンの端部は、前記コイルから半径方向に水平に突出することを特徴とする、請求項1記載のコイル。
  3. 前記ピンの端部は、前記コイルから半径方向に垂直に突出することを特徴とする、請求項1記載のコイル。
  4. 前記スロットの前記幅は、前記スロットの閉端部に向かって減少することを特徴とする、請求項1記載のコイル。
  5. コイル用の固定ピンであって、前記ピンは、スロットを形成するU型部を有する端部を有し、前記スロットは、前記リッツ線の直径と等しいかそれよりも小さい内部幅を有する、コイル用の固定ピン。
  6. 請求項1記載のコイルを具備する、電力変換装置。
  7. 請求項5記載の固定ピンを具備するコイルを有する、電力変換装置。
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