JP2006352450A - エコーキャンセラ - Google Patents

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Abstract


【課題】DSP資源を有効に割り付けて用いて、エコーを有効に除去する。
【解決手段】適応フィルタで作成した擬似エコーを加算機でエコーに加算して当該エコーを相殺するエコーキャンセラである。音声信号をダウンサンプリングするサブバンドフィルタ8,14及びサンプリング変換器9,15と、上記ダウンサンプリング側とフルバンドエコーキャンセル側とに適宜切り替える切り替えスイッチ10,16と、ダウンサンプル信号を用いて適応フィルタ11で更新した係数を用いてタップ配置を最適化すると共に当該最適化したタップ配置をフルバンドエコーキャンセル時に適応フィルタ11に出力するタップ配置制御器19とを備えた。
【選択図】図1

Description

この発明はエコーキャンセラに関するものである。
エコーキャンセラにおいて、通信チャネルにおけるエコーキャンセル時の計算量を小さくするように改良したものとしては、例えば特許文献1のエコーキャンセラがある。
このエコーキャンセラでは、デシメータ及びサブバンドフィルタで、通信チャネルからの入力信号をサブバンド化する。そして、サブバンド内のエコー位置を、エコー位置決定器、ピーク検出器により識別して、その信号をエコーキャンセラの制御に使用される。
これにより、エコーキャンセラを非常に小さい計算量で制御する。
特開2003−134005
しかしながら上述の従来の技術では下記のような問題点があった。
1.従来技術では、ダブルトークでの性能劣化を防止することが困難である。従来技術では、ダブルトークの判定を、サブバンド適応フィルタの係数が乱れることを用いて検出している。一般に、サブバンドの適応フィルタはフルバンドエコーキャンセラよりも遅いサンプリング周波数で動作している。つまり、検出までに要する時間が遅いということである。このため、サブバンド適応フィルタの係数が乱れてしまう。このようにサブバンド適応フィルタの係数が乱れた状態では、当然フルバンドエコーキャンセラの適応フィルタの係数はもはや完全に破壊された状態になる。この時点でサブバンド動作のダブルトーク検出器から[ダブルトーク検出信号]を受け取っても、ダブルトークにおける性能劣化は防止できない。
2.サブバント適応フィルタでピークが決まった後の具体的なタップ配置に関して何も述べられていないので、具体化が困難である。単純に割り付けた場合、真にエコーの重大な発生源となる部分を逃して割り付けてしまう場合がある。
3.従来技術は、いわばサンプリングレートの低いエコーキャンセラが、フルバンドエコーキャンセラのほかにもう一台装備されているのと同じであり、装置規模が大きくなってしまう。
4、従来技術は、大容量チャンネルを全部、一時に収束させることを考慮していない。この点が実際には不都合である。従来技術は、有限であるDSPの処理量、メモリ量などの計算資源を、初期収束の段階、目下使用中チャンネルに限定して比較的潤沢にかつ動的に割り付け、当該チャンネルで用済みになった資源を他チャンネルのエコーキャンセラに開放する。しかし、実際のところ、これは、大容量通信の公共的性質を考えた場合、選択肢としては非現実的である。たとえば、近年、普及し始めたVoIP通信において、大イベントがある場合など、ネットワークの収容能力の設計しだいで、通話のために大容量VoIPのチャンネル容量が限界点に達する事例などがしばしば発生している。つまり、基幹通信を行う装置においては、収容チャネル設計限界内までであれば例え全チャンネルが一斉動作したときであっても問題なく動作する技術でなければ、現実には実用に耐えない。エコーキャンセラでいえば、この点からは、チャネル間にまたがる動的な資源の配分はむしろ望ましくない。つまり、1チャンネルあたりのエコーキャンセラに割くための資源は予め大枠でチャネルごとに固定しておき、かつ、その大枠中でチャネル内での動的なかつ効率的な割付として動作すべきである。言い換えれば、フルバンドエコーキャンセラのタップ数は、大枠はチャネルごとに固定の資源(タップ数など)を割り付け、フルバンドエコーキャンセラが収束動作を開始する前に、タップ配置(処理量、メモリ)など、有限のDSP資源を適切に割り当てて完了した上で動作する必要がある。
つまり、従来技術と異なり、すべてのチャンネルでエコーキャンセラを持ちつつ、一方でその装置規模、演算規模を最小化できる技術でなければならない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、限りあるDSPの資源を有効に割り付けて用いるエコーキャンセラを実現すると共に、ダブルトークに遭遇してもエコーを有効に除去できるようにしたものである。このために、本発明のエコーキャンセラでは、適応フィルタ及び加算器を備えて、上記適応フィルタで作成した擬似エコーを上記加算機でエコーに加算して当該エコーを相殺するエコーキャンセラであって、音声信号をダウンサンプリングするサブバンドフィルタ及びサンプリング変換器と、上記ダウンサンプリング側とフルバンドエコーキャンセラとして用いるフルバンドエコーキャンセル側とに適宜切り替える切り替えスイッチと、上記サブバンドフィルタ及びサンプリング変換器でダウンサンプリングしたダウンサンプル信号を用いて上記適応フィルタで更新した係数を用いてタップ配置を最適化すると共に当該最適化したタップ配置を上記適応フィルタに出力するタップ配置制御器とを備え、当該タップ配置制御器で最適化したタップ配置の上記適応フィルタへの出力を受けて上記切り替えスイッチを上記フルバンドエコーキャンセル側に切り替えて上記最適化したタップ配置を基に上記適応フィルタをフルバンドエコーキャンセル処理に用いたものである。
1つの適応フィルタを、低レートで動作させてタップ配置を最適化する処理に用いると共に、その最適化されたタップ配置を用いて適応フィルタをそのままフルバンドエコーキャンセラとして用いることができ、装置規模、演算規模を小さく抑えることができる。
演算規模を小さく抑えることができて、少ないDSP資源で有効にエコーキャンセルを実行できるようになる。この結果、エコーが小さく音質の優れた通話装置を提供できる。
さらに、真にエコーの重大な発生源となる部分を逃して割り付けてしまうことがなくなり、エコーの除去を自動的にかつ確実に行うことができるようになる。
また、各チャネル間での動的割付がなく、DSP資源の競合が発生しないので、たとえ全チャンネルで動作しても、エコーキャンセラを安定的に動作させることができるようになる。
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであって、エコーキャンセラのタップを適切に、かつ、自動的に配置することで、限りあるメモリや演算処理量等のDSPの資源を有効に割り付けて用いるエコーキャンセラを実現すると共に、エコーキャンセラの動作を阻害することが知られているダブルトークなどの状態に遭遇しても、エコーを有効に除去できるエコーキャンセラを提供するためになされたものである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
以下に、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るエコーキャンセラ付き通信端末装置を示すブロック図、図2はタップ配置制御器を示すブロック図、図3(a)は8kHzサンプリングでのエコー経路を示すグラフ、図3(b)は低レートで推定して成長した適応フィルタ係数を示すグラフ、図4は図3(a)のエコー経路がどのような場合に発生されるかを示した概念図、図5(a)は絶対値計算器19-2に入力される係数H2(k)の様子を示すグラフ、図5(b)は絶対値計算器19-2に入力される係数H2(k)の絶対値を示すグラフ、図5(c)は図5(b)の係数H2(k)の絶対値を平滑化した波形を示すグラフ、図6は図5(c)の波形の2個の頂点を四角の点で表したグラフである。
本実施形態に係るエコーキャンセラ付き通信端末装置を図1に示す。本実施形態に係るエコーキャンセラ付き通信端末装置は、1つの適応フィルタを用いて、ダウンサンプリング状態でエコー発生位置を検出すると共に、フルバンドでエコーキャンセルを実施するものである。このエコーキャンセラ付き通信端末装置の構成を以下に説明する。図1中の1は受信入力端子Rin(以後単に「Rin」という)、2は受信出力端子Rout(以後単に「Rout」という)である。以後順に3はディジタル−アナログ変換器(以後単に「D/A」という)、4はエコーパス、5は受信側電話機、6はアナログ−ディジタル変換器(以後A/D)、7は送信入力端子Sin(以後単に「Sin」という)、8,14はサブバンドフィルタ、9,15はサンプリング変換器、10,12,16は切り替えスイッチ、11は加算器、13は送信出力端子Sout(以後単に「Sout」という)、17は適応フィルタ、18はエコーキャンセラ、19はタップ配置制御器である。
サブバンドフィルタ8,14及びサンプリング変換器9,15は、音声信号をダウンサンプリングするための装置である。このサブバンドフィルタ8,14及びサンプリング変換器9,15は、Rin1及びSin7からエコーキャンセラ18の適応フィルタ17及び加算器11に入力される経路と並列に設けられて、2つ系統を構成している。即ち、Rin1から適応フィルタ17に音声信号が直接に入力される経路と並列にサブバンドフィルタ14及びサンプリング変換器15が設けられ、これらが切り替えスイッチ16で適宜切り替わるようになっている。また、Sin7から加算器11にエコー信号が直接に入力される経路と並列にサブバンドフィルタ8及びサンプリング変換器9が設けられ、これらが切り替えスイッチ10で適宜切り替わるようになっている。
このサブバンドフィルタ8,14及びサンプリング変換器9,15と、適応フィルタ17及び加算器11と、タップ配置制御器19とで、音声信号をダウンサンプリングしてそのダウンサンプリングした音声信号を用いて係数更新してタップ配置を最適化するダウンサンプリング処理手段が構成されている。
エコーキャンセラ18は、フルバンドでエコーキャンセルを行うための装置である。エコーキャンセラ18は主に、適応フィルタ17と加算器11とから構成され、切り替えスイッチ12でSout13に適宜切り替わるようになっている。
適応フィルタ17は、エコーキャンセラ18の構成部品としてフルバンドでエコーキャンセルを行う機能を備えていると共に、ダウンサンプリングされた音声信号及びエコー信号からエコー発生位置を検出する機能も備えている。この適応フィルタ17の具体的な機能は後述する。
タップ配置制御器19は、係数曲線の頂点を検出してフルバンドエコーキャンセル時の適応フィルタ17のタップ係数を配分し、サンプリング周波数及び各切り替えスイッチ10,12,16の切り替えを行うための装置である。タップ配置制御器19は主に、カウンタ19-1と、絶対値計算器19-2と、遡行平滑器19-3と、頂点タイミング検出器19-4と、タップ配分器19-5と、動作速度切り替え器19-6とから構成されている。これら各部の機能は後述する。
次に、上記構成のエコーキャンセラ付き通信端末装置でのエコーキャンセルの動作について説明する。
初めに図1を用いてエコーが発生する様子を説明する。呼が確立された時点の初期状態では各切り替えスイッチは端子aに接続されている。図1では左側が発呼側、右側が着呼側として説明する。
はじめに図示しない発呼側と着呼側(図1のエコーキャンセラ18が組み込まれている側)の呼が確立される。発呼側音声信号は、図示しないアナログディジタル変換器で既にディジタル化された音声信号である。Rin1に入力された信号は、切り替えスイッチ16、サブバンドフィルタ14、Rout2に入力される。Rout2からD/A3に出力された信号のうち、一部は着呼側電話機5に入力され、一部はエコーパス4(図示しない2線4線変換器)で反射されてアナログエコー信号yとなる。このアナログエコー信号yはA/D6でディジタル信号y8(k)に変換され、Sout13へ入力され、発呼側話者にエコー信号として出力される。
つぎに、図1を用いて本実施形態でエコーキャンセルを実施する動作を説明する。
Sin7からのエコー信号は切り替えスイッチ10とサブバンドフィルタ8に入力される。Rin1からの音声信号は切り替えスイッチ16とサブバンドフィルタ14に入力される。本実施形態ではサンプリング周波数は8kHzである。ここでRin1に入力された音声信号をx8(k)とする。kは順番を表している。サブバンドフィルタ14、8では、サンプリング変換器15、9との連携動作で後述するダウンサンプルが実行される。初期状態で、各切り替えスイッチ10,12,16はa側に閉じられており、Sout13を経由して遠端話者に信号が出力される。
はじめにダウンサンプルの動作について説明する。
本実施形態ではサブバンドフィルタ14は低域フィルタである。低域フィルタの高域成分遮断周波数は1kHzである。なお、標本化定理により、信号の周波数成分の2倍のサンプリング周波数で信号をサンプリングすれば、波形は完全に記述できることは公知の事実である。8kHzで設計された、1kHz遮断フィルタ(低域フィルタ)の出力を4個おきにサンプリングしたとき、サンプリング周波数は丁度2kHzであるので、誤差が含まれずに波形を表現できる。このとき、サンプリング変換器15の出力は2kHzサンプリングとなり、サンプリング速度を低下した変換がなされている。他方のサブバンドフィルタ8、サンプリング変換器9の働きも同じである。なお、本実施形態では各サブバンドフィルタを遮断周波数1kHzの低域フィルタで説明するが、遮断周波数はこれに限定されるものではなく、諸条件に応じて適宜設定される。また、各サブバンドフィルタ14,8の周波数特性も低域周波数成分を取り出す帯域制限フィルタであってもよく、低域フィルタに限定しないのはもちろんのことである。
サンプリング変換器15の出力は、適応フィルタ17に入力され、サンプリング変換器9の出力は切り替えスイッチ10を経由して加算器11に入力される。さらに、加算器11には適応フィルタ17の出力が入力されている。ここで、サンプリング変換器15の出力をx2(k)とする。つまり、x2(k)は同じk番目であっても、x8(k)と比較すると、4倍の時間間隔でなるサンプリング列である。適応フィルタ17にはサンプリング変換器15の出力x2(k)が入力されている。一方、加算器11には切り替えスイッチ10を経由してサンプリング変換器9の出力y2(k)が入力されている。y2(k)とy8(k)との関係も上記x2(k)とx8(k)の関係と同じである。加算器11では適応フィルタ17の出力y’2(k)と加算されて下記式(1)の残差信号e2(k)を計算する。
e2(k)=y2(k)−y’2(k) (1)
適応フィルタ17は公知のFIR型ディジタルフィルタであり、式(1)によって擬似エコーを作成し、フィルタ係数h2(i,k)は公知の“NLMS”アルゴリズムによって適応的に(2)式を用いて更新される。ここでh2(i,k)は第kサンプリング時刻におけるi番目のフィルタ係数を意味している。
Figure 2006352450
なお、Mは適応フィルタ17のタップ数である。本実施形態では256タップとしたが、これに限定するものではなく、他の数値でもよい。
Figure 2006352450
式(3)でαは適応フィルタ17の収束速度を調整する定数であり、0<α<2なる定数を用いる。αが大きければ適応フィルタ17の収束は早いが、背景ノイズなどの外乱に反応しやすくなる。一方、αが小さいと適応フィルタ17の収束は遅いが、背景ノイズなどの影響を受けなくなる。本実施形態では、一例としてα=0.7を用いる。なお、αはこの値に限定されるものではなく、諸条件に応じて適宜設定される。
上記式(1)〜式(3)までを用いてフィルタ係数の更新を実行すると、適応フィルタ17の係数が更新とともに徐々に成長して次第に収束していく。そして、本実施形態では、収束状態の判定は、更新回数を用いて行う。即ち、タップ配置制御器19は、適応フィルタ17の係数の成長度合いを判定するために、後述するカウンタ19-1を用いて適応フィルタ17の係数が更新された回数をカウントし、カウンタ19-1が所定の値に達したかどうかで、収束状態に達したかどうかを判定する。本実施形態では400回だけ式(1)〜式(3)を実行したカウント数を適応フィルタ17の収束終了とみなすようにした。その後、後述する方法で適応フィルタ17の動作を切り替え、フルバンドエコーキャンセラ18として用いるための動作を開始する。
なお、適応フィルタ17の収束状態の監視に関しては、カウンタ19-1に限らず、適応フィルタ17の収束終了を監視、判断できれば方法は何であってもよく、適応フィルタ17の係数値の変化そのものを手がかりにするものであってもよい。
以下図2〜図4を用いてタップ配置制御器19の動作を説明する。
適応フィルタ17はフィルタのM個の係数値をタップ配置制御器19に出力する。
すなわち、式(4)をタップ配置制御器19に出力する。
H2(k)=h2(i,L) (4)
L=400(予め定めたカウント)
i=0、1、2、...M−1
適応フィルタ17では、サブバンドフィルタ14,8及びサンプル変換器15,9によってダウンサンプリングされた信号でエコー経路を推定している。適応フィルタ17の動作間隔を考慮にいれれば、時間軸の刻みは本来のフルバンドエコーキャンセラ18のサンプリング周波数よりも遅くなっているが、その分、時間的には長い時間の応答に対応できていることになる。つまり、同じタップ数であれば、サンプリングが遅いほうが対応できるエコーパス4の応答長は長い。本実施形態のように256タップのフィルタであれば、フルバンドエコーキャンセラ18のサンプリング周波数8kHzのとき、対応長は256/8000=32msしかカバーできないが、サンプリング周波数2kHzのとき、4倍の128msまでの対応長をもつことになる。本実施形態では、後述するようにダウンサンプリングされた長い時間長でエコー発生の主要発生位置を検出し、その後、検出したエコー発生位置だけに更新可能な係数を配置し、サンプリング周波数を切り替えて、適応フィルタ17をフルバンドエコーキャンセラ18として用いる。つまり、低レートで動作する適応フィルタ17の係数を後述するように分析し、その結果、発見したエコー発生の主要発生位置にタップ配分を行い、DSPの計算資源を割り当てることで、フルバンドエコーキャンセラ18を必要最小限の処理量で実現することができる。式(4)で表されるタップ係数は、本来8kHzで推定するはずのエコー経路を低レートの2kHzサンプリングで推定した係数として成長している。
図3(a)にエコー経路(8kHzサンプリング)を示す。図3(b)に低レートで推定して成長した適応フィルタ係数を示す。横軸は時間(ms)である。図4は図3(a)のエコー経路がどのような場合に発生されるかを示した概念図である。図4で説明すると、発呼側の信号が発呼側に近い第1のハイブリッド30Hで反射され、一方で、第二のハイブリッド31Hを経由して4線ネットワークを経由する。このとき、ネットワークの遅延の影響を受ける。そして、着呼側にある第三のハイブリッド32Hで再び反射されてエコーを発生し、遅延をうけてエコーとして帰ってくる様子が書かれている。このとき、エコーパス4の応答は図3(a)(b)、図4で示された例のように、E1点(図の例では1.6ms点)、E2点(同7.6ms点)近辺で成分を持つが、そのほかは単純な遅延と考えてよい場合がほとんどである。しかし、フルバンドエコーキャンセラ18において、エコー成分を発生しないこのような遅延部分に対し、適応フィルタ17の適応フィルタ係数を割り当てて係数更新を実行することは、本来余り意味がない。それどころか、DSPの消費電力や、係数に割り付けられるメモリ、係数を更新するための演算処理などの資源を無意味に浪費することになる。このため、本実施形態のようなエコー発生位置の推定と、エコーキャンセラ18のタップ係数の効果的な割り当てが求められるのである。
再び図3を用いて説明すると、図3(b)の適応フィルタ17の係数は2kHzサンプリングなので、サンプルとしては8kHzサンプリング4回に1回の割合でしかデータが存在しない。図3(b)においては、データのある点を四角で表し、その間を実線で結んであるだけである。また、前述したように低レートで計算する適応フィルタ17は8kHzサンプリングよりも長い時間を監視できるが、図の見易さのために、図3(a)(b)においては、両方を同じ時間で打ち切って描画してある。
ひきつづき図2、および図5,6を用いて説明する。カウンタ19-1で所定カウントが終了し、適応フィルタ17がいったん収束したことが検出されると、カウンタ19-1は絶対値計算器19-2にカウント終了信号を出力する。
絶対値計算器19-2には適応フィルタ17から低レートで推定した係数のセットH2(k)が入力されている。図5(a)に絶対値計算器19-2に入力されるH2(k)の様子を示す。
ただし、図5では説明を簡単にするために、横軸に時間ではなく、低レート適応フィルタ17のタップ順を、縦軸には係数値の振幅をとることにする。係数は以後の説明のため、見やすいよう、100タップまでを描画した。時間とタップ順の関係は、1タップ右データに移る毎に1/2000秒=0.5ms時間が推移し、時間経過は左から右に推移する波形データとなる。波形の右側が時間的には一番新しいエコーパス4の応答である。絶対値計算器19-2は、カウンタ19-1からカウント終了信号が入力されると、係数の絶対値abs_h2(i,L)を式(5)の様に計算する。
abs_h2(i,L)=abs(h2(i,L)) (5)
(i,=0,…M-1)
図5(b)にabs_h2(i,L)の様子を示す。このabs_h2(i,L)は遡行平滑器19-3に入力される。
遡行平滑器19-3ではabs_h2(i,L)を過去方向に遡って式(6)のように平滑処理を施して、lpo_h2(i,L)を求める。ただしiはM-2から0に向かって計算を進めていく。つまり、順次保存した過去サンプルに向かって、格納してあるabs_h2(i,L)を平滑化していく。
lpo_h2(i,L)=δ×abs_h2(i,L)+(1.0−δ)×lpo_h2(i+1,L) (6)
(i=M-2、M-3、...0)
ただし、最終点lpo_h2(M-1,L)は、
lpo_h2(M-1,L)=δ2×abs_h2(i,L) (7)
なお、δは平滑の度合いを表す定数であり、0<δ≦1なる定数である。δが小さいと、推定した係数に含まれる細かな振動であるノイズの影響が小さくなり、係数の大まかな変化を表すようになる。逆にδが大きいと、ノイズの影響も大きくなるが、係数の微細な変化を表せるようになる。
本発明では、δ=0.2とした。また、δ2は式(6)における端点の処理に用いる定数であり、0<δ2≦1なる定数である。本実施形態ではδ2=1.0とした。なお、δ2の具体的な値は、これに限定されるものではなく、設計者が最後の順番にあたるタップの適応フィルタ17の係数をどの程度重み付けするかで適宜設定すればよい。
遡行平滑器19-3において、iをM-2から0に向かって計算を進めること、つまり、波形を順次過去サンプルに向かって、平滑化していくことには特段の意味がある。これは、ハイブリット1個あたりのエコーパス4の特性が、時間の経過に伴い、初めに大きく、徐々に減衰していくという物理特性を利用したものである。式(6)、(7)の平滑化はabs_h2(i,L)の実際の振幅変化に“遅れて追従”する特性を有し、式(6)、(7)を波形を順次過去サンプルに向かって平滑化していくと、波形のlpo_h2(i,L)の波形のピークは必ず進行方向に遅れて出現する。つまり、過去方向に計算を進めると、時間軸では実際のabs_h2(i,L)のピークよりも少し早い時点として検出する。後述する。タップ配分器19-5ではこの特性を利用する。lpo_h2(i,L)の様子を図4-cに示す。遡行平滑器19-3はlpo_h2(i,L)を頂点タイミング検出器19-4に出力する。
頂点タイミング検出器19-4では、今度はi=1から開始してi=M-2に向かって下記に説明するように係数曲線の頂点を検出する。
頂点の検出には、lpo_h2(i-1,L)、lpo_h2(i,L)、lpo_h2(i+1,L)を用いて、下記の条件1を満足したときの、hsf2_lp2_lpo[i]を頂点として検出するようにした。
dif_befor=hsf2_lpo[i]−hsf2_lpo[i-1] (8)
dif_after=hsf2_lpo[i+1]−hsf2_lpo[i] (9)
条件1(dif_befor≧0.0)且つ(dif_after<0.0) (10)
頂点タイミング検出器19-4は頂点が検出されると、頂点振幅が大きい順にあらかじめ定めた個数の候補(実施形態では2個)として、頂点をタップ配分器19-5に出力する。
なお、本実施形態では、まれにhsf2_lpo[0]端点が最大になる特別な事情に備えて、事前にhsf2_lpo[0]=0.0としたが、もちろんこれに限定するものではない。また、通常、hsf2_lpo[M-1]が最大になることはないので、hsf2_lpoでの端点の処理は特段考慮しなくても良い。
本実施形態では、2個までの頂点を検出するようにしたが、個数はこれに限定しない。式(10)で検出した2個の頂点の様子を図6の四角の点で表す。図6にはlpo_h2(i,L)の特性線も再掲してある。
図6では検出開始点(原点)から2点P1、P2を検出している。頂点タイミング検出器19-4は検出した頂点タイミングをタップ配分器19-5に出力する。タップ配分器19-5では下記のように1チャンネルでの制限個数内(たとえば256タップ)でフルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17のタップ係数を配分する。本実施形態では検出した頂点タイミングに対して、下記のように割付可能な適応フィルタ係数を配分する。前述したように、適応フィルタ17のタップ数、すなわち更新可能なタップ数はあらかじめ固定とする。本実施形態では1チャンネルあたり、適応フィルタ17のタップ数は固定256タップであるが、これは2kHzサンプリングのとき、時間長としては128msの長さをカバーしている。128msは8kHzサンプリングであれば、1024タップもの長さに相当する。しかし、ここまで説明したように、その大部分は順遅延とみなしてよく、エコーの発生源となるのはその一部に過ぎない。タップ配分器19-5は、たとえば1024サンプル分のフィルタ係数のうち、選択的に適応フィルタ17のフィルタ係数を割り当て、残りはフィルタ係数の代わりに順遅延を割り当てる。タップ配分器19-5は頂点タイミング検出器19-4から入力された頂点タイミングP1、P2を適応フィルタ17の係数タップの開始点とする。このように開始点を設定すると、前述した遡行平滑器19-3の動作で述べたように、時間的にP1、P2よりあとに存在する真のエコーパス4の最大ピーク位置が必ず含まれることになるのである。
つまり、本実施形態では、256タップの半分であるN=256/2=128タップずつの係数の割付開始点をP1、P2とし、残りには順遅延を割り当てる。なおここでは、P1、P2そのものを割付の基点としたが、さらに時間の過去方向へ適宜マージンを設けてもよい。このようにすると、8kHzで適応フィルタ17を動作させたとしても、係数更新が実行されるのは256タップのままである。図6ではP1=3、P2=15である。これらは“2kHzサンプリングの時のサンプル位置”を示している。また実施形態ではサンプル位置は0から開始されている。つまり、8kHzサンプリングで時間軸を考えたときはその4倍のサンプル数でタイミングが一致する。したがって、P1には8kHzサンプリングで動作するフルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17の係数P1’タップ目(12タップ目、時間では1.5msの時点)が、P2’としては60タップ目(時間では7.5msの時点)が適応フィルタ17の係数割り当て開始点として割り付けられ、タップ配分器19-5によって下記のような割付がなされる。ただし、P1’、P2’ともにPn’=Pn×(フルバンドエコーキャンセラ18のサンプリング周波数/低レートでのサンプリング周波数)
(n=1,2)である。
第1群:12〜139サンプル位置に割付
第2群:60〜187サンプル位置に割付
(サンプリングは8kHzに相当する。)
基本的には256タップの半分ずつを各頂点から算出した位置に割り付ければよいのだが、本実施形態のエコーパス4では、60〜139サンプル位置の適応フィルタ17は第1群と第2群で重複するので、このような場合にはさらにタップ係数は少なくて済み、174タップを割り付け、残りを順遅延とする。
タップ配分器19-5は適応フィルタ17のタップ係数割り付けが終了すると、動作速度切り替え器19-6に、サンプリング速度切り替え信号sf_chgを出力し、適応フィルタ17には割付したタップ係数tap_adfを出力する。本実施形態ではtap_adf(60〜139が割りつけられている)が適応フィルタ17に出力される。
動作速度切り替え器19-6はサンプリング周波数を8kHzに切り替え、各切り替えスイッチ10,12,16を端子b側に切り替える。これにより、適応フィルタ17はサンプリング周期8kHzでフルバンドエコーキャンセラ18として下記のように動作する。
e8(k)=y8(k)−y’8(k) (1)’
適応フィルタ17は公知のFIR型ディジタルフィルタである。
式(1)’によって擬似エコーを減算し、フィルタ係数は公知の“NLMS”アルゴリズムによって適応的に(2)’式を用いて更新される。ここでh8(i,k)は第kサンプリング時刻におけるi番目のフィルタ係数を意味している。
Figure 2006352450
Figure 2006352450
なお、i=12〜187である。
もしもタップ割付がP1の部分とP2の部分に完全に分離できる場合は(2)’および(3)’は式(4)’、(5-a)’、(5-b)’のようになる。
Figure 2006352450
Figure 2006352450
なお、i=P1〜P1+127である。
Figure 2006352450
なお、i=P2〜P2+127である。
このようにすると、フルバンドエコーキャンセラ18は適応フィルタ17と加算器11で構成されているので、8kHzサンプリングでエコー発生部分だけを適応フィルタ17でカバーし、残りを順遅延係数でカバーすることになり、効果的に加算器11でエコーを除去し、切り替えスイッチ12を経由してSout13にエコーを除去した信号を出力することが可能になる。
以上の様に第1実施形態によれば、次のような効果がある。
音声信号をダウンサンプリングし、適応フィルタ17でダウンサンプル信号を用いてタップ係数を更新し、タップ配置制御器19でタップ配置を最適化して適応フィルタ17にタップ係数を割り当てるようにしたので、1つの適応フィルタ17を、低レートで動作させてタップ配置を最適化する処理に用いると共に、その最適化されたタップ配置を用いて適応フィルタ17をそのままフルバンドエコーキャンセラ18として用いることができ、装置規模、演算規模を小さく抑えることができる。
チャネル間での動的割付がなく、係数割り当て終了後は、動作速度切り替え器19-6によってサンプリング周波数が本来のサンプリング周波数に切り替えられ、切り替えスイッチ10,16の切り替えによってダウンサンプリング処理が迂回されるようにして、タップ配分器19-5で、必要な部分のみ適応フィルタ17に(逐次更新される)係数を割り当てて、その他は計算不要な単純遅延を割り当てるようにしたので、演算規模を小さく抑えることができて、少ないDSP資源で有効にエコーキャンセルを実行できるようになる。この結果、エコーが小さく音質の優れた通話装置を提供できる。さらに、現在のDSP資源のままで、要求されるエコーキャンセル機能を確保した状態で、DSP資源を他の機能に振り分けることができるようになる。
さらに、遡行平滑器19-3では、適応フィルタ17の係数の絶対値を時間の過去方向に向かって遡って平滑化するようにしたので、真のエコーパス4のピークを確実に特定できるようになる。即ち、頂点タイミング検出器19-4で検出した頂点タイミングを基にタップ配分器19-5で、真のエコーパス4のピークをフルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17のカバーする範囲内に確実に入れることができるようになる。この結果、真にエコーの重大な発生源となる部分を逃して割り付けてしまうことがなくなり、エコーの除去を自動的にかつ確実に行うことができるようになる。
また、各チャネル間での動的割付がなく、DSP資源の競合が発生しないので、たとえ全チャンネルで動作しても、エコーキャンセラ18を安定的に動作させることができるようになる。
なお、上記タップ配置制御器19でのタップ位置推定中においては、エコー感を軽減するために、加算器11及び適応フィルタ17のSout13側である、加算器11及び適応フィルタ17と切り替えスイッチ12との間に減衰器を設けてもよい。
また、タップ位置推定中のエコー感を完全に無くすため、タップ位置推定中は切り替えスイッチ12を開放状態(切り替えスイッチ12のa端子及びb端子のいずれにも接触しない状態)にするようにしてもよい。
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は本発明の第2実施形態に係るエコーキャンセラ付き通信端末装置を示すブロック図、図8はタップ配置制御器を示すブロック図、図9(a)は8kHzサンプリングでのエコー経路を示すグラフ、図9(b)は低レートで推定して成長した適応フィルタ係数を示すグラフ、図10(a)は図9(b)の適応フィルタの係数を横軸にサンプルを用いた表示にしたグラフ、図10(b)は絶対値計算器に入力される係数H2(k)の絶対値を示すグラフ、図11(a)は最大頂点検出器21で最大値部分を検出した状態を示すグラフ、図11(b)は2回目の割付が適応フィルタの係数として割り当てられた状態を示すグラフである。
第2実施形態に係るエコーキャンセラ付き通信端末装置を図7,8に示す。第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、タップ配置制御器19がタップ配置制御器20に変わった点である。また、タップ配置制御器20で、第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、遡行平滑器19-3がなくなった点と、頂点タイミング検出器19-4が最大頂点検出器21に変わり、これに伴ってタップ配分器19-5の機能が多少変わる点である。そのほかの部分は第1実施形態と同じであるため、ここではその説明を省略し、タップ配置制御器20の動作だけを説明する。
第1実施形態ではエコーパスの頂点がある時間的なタイミング位置でフルバンドエコーキャンセラ18のタップ配置を決めたが、第2実施形態では通話品質に影響を与える大きなエコーを発生する部分に重点的にフルバンドエコーキャンセラ18のタップを割り付けて、効果的にエコーを除去するものである。
以下、添付図面に基づいて第2実施形態を具体的に説明する。
エコー発生の様子は前述の図4を用いて既に説明したとおりである。一般には、図4で示されるエコー経路の遅延によって2つのハイブリッド30H、32Hは分離して見えることが多い。しかし実際には、伝送路上の信号は遅延を受けるだけでなく、伝送路の減衰を受けるのが普通である。したがって、典型的なネットワークでは、もっとも着呼側に近いハイブリッド32Hで発生して発呼側に戻ってくるエコーは発呼側に近いハイブリッド30Hで発生して発呼側に戻ってくるエコーに比較すると、遅延が大きく、振幅が小さくなる。その様子を図9(a)に示す。横軸は時間(ms)、縦軸は振幅である。第2の頂点が13ms付近にあるのがわかる。このエコーパス波形の時、低レートで動作する適応フィルタ17の係数は図9(b)のようになる。さて、ここで改めて、第1実施形態にならって、適応フィルタ17のタップ割付について説明する。説明のため図9(b)の適応フィルタ17の係数を横軸にサンプルを用いた表示にした図を図10(a)とする。図10(a)では横軸を50サンプルまで示した。このとき、絶対値計算器19-2の出力
abs_h2(i,L)=abs(h2(i,L)) (5)
(i,=0,…M-1)
は、図10(b)のようになる。最大頂点検出器21は下記のように、abs_h2(i,L)の最大点から、大きい順にBLIOK_LIMIT番目までのabs_h2(i,L)をもとめてタップ配分器22に出力する。
Max(n,i) {n=1,...BLIOK_LIMIT}
つまり、第n番目に大きいabs_h(i,L)は、位置がi番目のabs_h(i,L)であるという情報をタップ配分器22に出力することになる。
BLIOK_LIMITは間引き率で決まる定数であり、あらかじめ定めたフルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17のタップ数をM、サンプリング周波数をLargF、低レート時の適応フィルタ17のサンプリング周波数をSmalFとしたとき、式(11)で計算される。
Figure 2006352450
本実施形態でいうなら、M=256タップフルバンドエコーキャンセラ18のサンプリング周波数は8kHz、低レート時の適応フィルタ17のサンプリング周波数は2kHzであるので、
BLIOK_LIMIT=256/{(8000/4000)}=64
となり、最大頂点検出器21はabs_h2(i,L)の値の大小判定をして、最大点と、順に64個のmax(n,i)すなわち、max(1,i)〜max(64,i)を求めて、タップ配分器22に出力することになる。
タップ配分器22はこの1個のmax(x,i)に対して、8kHzのサンプリング周波数時間軸で、
W2=LargF/SmalF 個(実施形態では4個) (12)
のフルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17タップ数を順次割り付ける。
以下にその様子を図10,11を用いて説明する。絶対値計算器19-2の出力abs_h2(i,L)は図10(b)のようになるとき、最大頂点検出器21はabs_h2(i,L)の最大値部分を検出器し、図11(a)のようにmax(1,i)として出力する。タップ配分器22はたとえばi番目が最大であることが判明しているので、max(1,i)i番目に相当するフルバンドエコーキャンセラ18のタップW2_LF(1,i)のように計算する。
W2_LF(1,i)=h8(W2×1、k) (i=1...、BLIOK_LIMIT) (13)
式(13)では最大ピーク位置は低レート適応フィルタのi番目の係数で検出される。したがって、フルバンドエコーキャンセラ18のW2×i番目に適応フィルタh8(W2×i,k)が割り付けられることを表している。図11(a)では最大はmax(1、3)となり、iは3であるので、(13)式によって、フルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17は
W2_LF(1、3)=4×3=12
つまり12タップ目を開始点として、h8(12,k)〜h8(15,k)が適応フィルタ17の係数として割り当てられる。その様子を図11(a)に示す。
次に、タップ配分器22は第2番目に大きいabs_h2(i,L)=max(2、x)(実施形態ではx=4)で検出されるので新たに、2回目の割付としてh8(16、k)〜h8(19、k)が適応フィルタ17の係数として割り当てられる。この段階でh8(12、k)〜h8(19、k)までが適応フィルタ17として割付される。この様子を図11(b)に示す。このように、順次max(i,x)(i=1、...BLIOK_LIMIT)に適応フィルタ17のタップ係数を割り付ける。
本実施形態でいえば、64個のmax(64,x)を割付終了した時点で、適応フィルタ17として用いてよい256個のタップ係数をすべてフルバンドエコーキャンセラ18のタップ係数として割付が終了する。そして、適応タップ係数が割り付けられなかったタップ係数はすべて順遅延とする。
また、割付にマージンを持たせるなどして64個のmax(64,x)を割付を完全に終了するまえに256個の割り付け用タップを使いきってしまった場合は、それでタップ係数割付を終了し、残りのタップを順遅延とする。
タップ配分器22は、適応フィルタ17のタップ係数割り付けが終了すると、動作速度切り替え器19-6にサンプリング速度切り替え信号sf_chgを出力し、適応フィルタ17に割付タップ位置tap_adf_22を出力する。
フルバンドエコーキャンセラ18は第1実施形態と同様、タップが割り当てられた部分だけを適応フィルタ17として動作し、残りは遅延として動作する。
なお、本実施形態では、適応フィルタ17のタップは大まかに二つのグループに分割されて割り当てられる例で説明したが、これに限定しないのはもちろんである。本実施形態では割り当ての許す限り、グループ数が細分されてもかまわない。
また、本実施形態では(11)式から求めた数をタップ割付の個数単位としたが、これに限定するものでなく、(11)式から求めた数に、係数割り当ての隙間ができないよう余分なマージンを加えてもよいことはもちろんのことである。
以上、説明したように、第2実施形態では第1実施形態より細かい精度でエコーを大きく発生する部分に対して選択的に適応フィルタ17のタップを順次割り付けるようにしたので、第1実施形態よりも、通話に与えるエコー劣化の重要度が大きい部分に自動的にエコーキャンセラの適応フィルタ17のタップを割り付けることができるようになる。この結果、第1実施形態よりも精度よく、エコーを除去し、エコー感のない優れた通話音質を実現することができる。
[第3実施形態]
以下に、本発明の第3実施形態について説明する。
図12は本発明の第3実施形態に係るエコーキャンセラ付き通信端末装置を示すブロック図、図13はタップ配置制御器を示すブロック図、図14(a)は8kHzサンプリングでのエコー経路を示すグラフ、図14(b)は絶対値計算器に入力される係数H2(k)の絶対値を示すグラフ、図15は低レートサンプリングでの適応フィルタのタップ位置のありかを四角で示したグラフ、図16(a)は新たにTHTAP3(1)以上の範囲に含まれることになったタップ位置のありかを四角で示したグラフ、図16(b)は新たにTHTAP3(2)以上の範囲に含まれることになったタップ位置のありかを四角で示したグラフである。
第3実施形態が第2実施形態と異なるのは、図12,13に示すように、タップ配置制御器20がタップ配置制御器30に変わった点である。さらに、タップ配置制御器30で、エコー低減量制御器31とタップ配分器32とが変わった点である。そのほかの部分は第2実施形態と同じであるため、ここではその説明を省略し、タップ配置制御器30の動作だけを説明する。
第3実施形態は、エコーパスのうち、エコー発生源の遅延が大きい部分が、通話品質に与える劣化が大きいという事実を鑑みたものである。
特に最近では電話回線の伝送線路はディジタル化されている場合も多く、伝送線上の損失が小さい場合もしばしばである。一方で、伝送の遅延は純粋に距離に依存するので、エコー経路が図14(a)のようになる場合がある。図14(a)は図9(a)で示したエコーパス波形に比べて、遅延の大きい側の応答が大きくて、あまり減衰しておらず、初めの側の応答とあまりかわらない大きさであるのがわかる。一般にエコーは、遅延の大きいものが、通話品質に与えるダメージが大きいことが公知の事実として知られている。第3の発明はこれを鑑みてなされたものである。
図14(a)のようなエコー経路の時、上述した動作によって絶対値計算器19-2の出力は図14(b)のようになる。エコー低減量制御器31は初めに、低レートで収束した適応フィルタの係数の最大を求める。この最大値の求め方は、第2実施形態と同様である。即ち、絶対値計算器19-2は、
abs_h2(i,L)=abs(h2(i,L)) (5)
(i,=0,…M-1)
を求め、エコー低減量制御器31はabs_h2(i,L)の最大点から、順にあらかじめ定めたBLIOK_LIMIT番までのabs_h2(i,L)から
max(n,i) {N=1,...BLIOK_LIMIT}
を求める。
次に、エコー低減量制御器31は最大のmax(n,i)、つまりmax(1,i)を計算し、タップ配分器32に出力する。タップ配分器32は、第2実施形態と同様にmax(1,i)に相当するフルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタにW3個のタップを割り当てる。その方法は第2実施形態と同様に、フルバンドエコーキャンセラ18のタップ割付を式(14)のように計算する。
W3_LF(1,i)=h8(W3×i,k)(i=1...,BLIOK_LIMIT) (14)
ここでW3=LargF/SmalF 個 (実施形態では4個) (15)
LargF:フルバンドエコーキャンセラ18のサンプリング周波数
SmalF:低レート適応フィルタのサンプリング周波数
である。
この様子を図15を用いて説明する。図15では低レートサンプリングでの適応フィルタのタップ位置のありかを四角でしめしてある。また図15の下方には2kHzサンプリングのときと8kHzサンプリングの時のサンプル数を横軸に2種類かき、時間的なサンプルの相互関係を示した。
エコー低減量制御器31は第1回目のタップ配分割り当て閾値THTAP3(1)を式(16)のように計算する。
THTAP3(1)=max(1,i)×down3 (16)
down3は遅延が大きいタップを優先する係数であり、0.0≦down3≦1.0なる定数である。
down3を小さくすると、より遅延が大きい側のタップを優先することになり、down3を大きくすると、遅延よりも絶対値振幅を優先するようになる。
本発明ではdown3=0.5としたが、これに限定するものではない。タップ配分器32は、新たにTHTAP3(1)以上の範囲に含まれることになった、max(x、i)のうち、もっとも遅延の大きい順に8kHz相当のタップ位置を第2実施形態と同様に、低レートのサンプリングレートとフルバンドエコーキャンセラのサンプリングレートの比から計算して、フルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタタップを配分する。図16(a)でその様子を説明すると、新たにTHTAP3(1)まで降下したタップ配分閾値にはmax(2,i)、max(3,i)が入るが、タップ配分器32は先ず、遅延の大きいmax(3,i)に相当する位置にフルバンドエコーキャンセラ18のタップを配分してから、max(2,i)の位置に相当するフルバンドエコーキャンセラ18のタップを配分する。配分が終了したら、次のタップを配分するため、エコー低減量制御器31はさらに、THTAP3(2)を
THTAP3(2)=max(1,i)×down3×down3
のように下降させ、図16(b)に示されるように、順次タップを配分させていく。
タップ配分器32は上述したように順次フルバンドエコーキャンセラ18のタップを配分していく。以後同様に
THTAP3(n)=max(1,i)×(down3) (17)
でエコー低減量制御器31は基準下降閾値THTAP3を降下させていき、新たに含まれることになった、max(x,i)(xは不定)をタップ配分器32に出力し、タップ配分器32はもっとも遅延の大きい順にフルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタのタップを配分していく。配分の途中で割付可能なフルバンドエコーキャンセラ18のタップを使いきったときはそれで割付を終了し、のこりは純遅延を割り付ける。
タップ配分終了後、タップ配分器は前述の実施形態と同様にタップ係数tap_adf_33をフルバンドエコーキャンセラ18に出力する。
以上のように、第3実施形態では、エコー低減量制御器31を設け、絶対値計算器19-2のから出力される最大の低レート適応フィルタの係数の絶対値から順次down3だけ基準下降閾値THTAP3を降下させ、タップ配分器32はエコー低減量制御器31の出力に応じて、遅延の大きい低レートフィルタの部分にフルバンドエコーキャンセラ18のタップを優先して割り当てるようにしたので、第2実施形態の効果に加え、エコーの原因となるエコー経路の応答振幅の大小だけでなく、遅延の大きいエコー発生源に対してフルバンドエコーキャンセラ18のタップが効果的に割り当てられて有効にエコーを除去することができるようになる。
遅延が大きかったり、遅延が大きいエコー発生源の側で発生したエコーが大きかったりする場合でも、第2実施形態よりも適切にエコーを除去して、エコーのない快適な通話品質を提供することができるようになる。
[第4実施形態]
以下に、本発明の第4実施形態について説明する。
図17は本発明の第4実施形態に係るタップ配置制御器を示すブロック図、図18はタップ係数の変化量diff_PN(t)と時間との関係を示すグラフである。
第4実施形態が第1実施形態と異なるのは、タップ配置制御器19がタップ配置制御器40になった点である。さらに、タップ配置制御器40で異なるのは、新たにフルバンドエコーキャンセラ収束検出器41が設けられた点であることである。そのほかの部分は第1実施形態と同じであるため、ここではその説明を省略し、タップ配置制御器40の動作だけを説明する。
フルバンドエコーキャンセラ収束検出器41は、フルバンドエコーキャンセラ18のタップ配置が決定し、適応フィルタ17がフルバンドエコーキャンセラ18として動作し始めるまでは機能しない。
一旦、適応フィルタ17がフルバンドエコーキャンセラ18として動作し始めると、フルバンドエコーキャンセラ収束検出器41は下記のように動作を始める。
フルバンドエコーキャンセラ収束検出器41には、タップ配分器19-5から、第1実施形態で求めたフルバンドエコーキャンセラ18のタップ係数が入力されており、また、頂点タイミング検出器19-5から、第1実施形態で求めた頂点位置P1、P2が入力されている。頂点位置の決定に関しては、第1実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
フルバンドエコーキャンセラ収束検出器41は、動作速度切り替え器19-6からの、動作速度切り替え信号sf_chgを入力されると、図示しないフルバンドエコーキャンセラ18のタップ係数のうち、頂点位置P1、P2から算出された、Pn’の位置のタップ係数(8kHzサンプリングで動作している)の変化量diff_PN(t)を予め定めた時間間隔で計算する。ここで、Pn’は
Pn’=Pn×フルバンドエコーキャンセラサンプリング周波数/低レートでのサンプリング周波数(n=1、2)であり、
Figure 2006352450
とする。なお、本実施形態では2乗和を計算したが、絶対値の和を計算するようにしてもよい。
diff_PN(t)はフルバンドエコーキャンセラ18のタップ係数の変化を表す変数となる。なぜならPn’はフルバンドエコーキャンセラ18のタップ係数のうちでもっとも大きな擬似エコーを作成するタップの要素である。Pn’の初期値はフルバンドエコーキャンセラ18のタップ係数の初期値が0の時は0である。
また、もちろん初期状態からフルバンドエコーキャンセラ18が働作しない場合や、係数の更新を何らかの理由で停止したままの場合も0のままで推移する。
したがって、diff_PN(t)はフルバンドエコーキャンセラ18の実質的な適応フィルタ17のタップ係数の成長に伴い、最初に0からスタートし、やがて、係数の成長が開始すると値が大きくなり、係数が成長しきると再び0に戻ってくるような特性となる。この様子を図18に示す。
そこで、あらかじめ係数制御閾値diff_PN_OVを定めておく。diff_PN_OVは後述するように図示しないフルバンドエコーキャンセラ18のフィルタ係数更新の停止制御を行うための閾値である。さて、y8(k)の短時間平均値をY8AW(k)とすると、
diff_PN_OV=δ4×Y8AV(k) (19)
とする。なお、本実施形態ではy8(k)の短時間平均値は5msの平均を計算し、δ4=0.01としたが、これに限定されず、諸条件に応じて適宜設定される。
フルバンドエコーキャンセラ収束検出器41は一旦
diff_PN(t)>diff_PN_OV (20)
が成り立つと、図示しない収束検出予備カウンタFEC_ADP_STOPを1にセットする。
次にフルバンドエコーキャンセラ18の実質的な適応フィルタ17のタップ係数の成長が進行し、エコーを除去するようになると、再びdiff_PN(t)が降下してくるので、下記式(21)、(22)の両方が成立する点Aを検出する。仮に図18の点Aで、
diff_PN(t)<diff_PN_OV (21)
FEC_ADP_STOP=1 (22)
を検出すると、フルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17の係数更新を停止する信号FLG_FEC_ADP_STOPをフルバンドエコーキャンセラ18に出力し、フルバンドエコーキャンセラ18は係数の更新を停止する。
以上のように、本実施形態では、第1実施形態に加えて、フルバンドエコーキャンセラ収束検出器41には、頂点タイミング検出器19-5から、エコー経路の最も影響の大きいタップ位置を入力し、タップ配分器19-5で配分したフルバンドエコーキャンセラ18のタップのうち、影響の大きいタップ値の一定期間ごとの変化度合いを計算し、収束初期期間を除く期間で、変化の度合いが小さくなったとき、エコーキャンセラの収束が終了したものとみなして、フルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17のタップを停止するようにしたので、フルバンドエコーキャンセラ18の係数の乱れを防止できる。さらに、エコーキャンセラ収束後は、ダブルトーク状態が発生してもフルバンドエコーキャンセラ18の係数が一切乱れないため、双方向通話性に優れたエコーキャンセラを実現できる。
[第5実施形態]
以下に、本発明の第5実施形態について説明する。
図19は本発明の第5実施形態に係るタップ配置制御器を示すブロック図である。
第5実施形態が第2実施形態と異なるのはタップ配置制御器20がタップ配置制御器50に変わった点である。さらに、タップ配置制御器50で異なるには、新たにフルバンドエコーキャンセラ収束検出器51が設けられた点である。そのほかの部分は第2実施形態と同じであるため、ここではその説明を省略し、タップ配置制御器50のフルバンドエコーキャンセラ収束検出器51の動作だけを説明する。
フルバンドエコーキャンセラ収束検出器51には、最大頂点検出器21から低レートでmax(1,i)のi番目に相当する、フルバンドエコーキャンセラ18のタップW2_LF(1,i)を式(13)で計算した値
W2_LF(1,i)=h8(W2×i,k) (i=1...、BLIOK_LIMIT) (13)
が入力されている。h8(t,k)は第1実施形態で説明したと同じように、8kHzで動作するフルバンドエコーキャンセラ18のk番目のタップを表している。タップ配分器22からはフルバンドエコーキャンセラ18の配分決定済みの図示しないタップ係数が入力されている。
一方、動作速度切り替え器19-6からは動作速度切り替え信号sf_chgが入力されている。フルバンドエコーキャンセラ収束検出器51は動作速度切り替え器19-6からは動作速度切り替え信号sf_chgが入力されないうちは機能しない。動作速度切り替え器19-6から動作速度切り替え信号sf_chgが入力されると、フルバンドエコーキャンセラ収束検出器51は適応フィルタ17がフルバンドエコーキャンセラ18として動作開始したとみなし、下記のように動作する。
はじめに、式(23)でdiff_W2_LF(t)を計算する。
Figure 2006352450
n:最大から何番目までを収束検出に使うかの個数(実施形態では1〜10)
i:第2実施形態で第n番目最大値が、低レートの何サンプル目にあるかの値
t:時刻
T:あらかじめ定めた時間間隔(本実施形態では5ms)
式(23)から分かるように、diff_W2_LF(t)の意味合いは、第4実施形態のdiff_PN(t)と同様であり、係数の成長の様子を表す。ただし、第4実施形態のdiff_PN(t)では、大きい値の2個のフィルタ係数を用いたが、第5実施形態では最大の係数から大きい順に10番目までの係数を監視できることが異なっている。diff_W2_LF(t)もまたフルバンドエコーキャンセラ18の収束の進行とともに第4実施形態で説明した図18の特性と同じカーブを描く。第5実施形態の場合は図18の縦軸をdiff_W2_LF(t)と読み替えればよい。従って、本実施形態においてもフルバンドエコーキャンセラ18の収束の度合いを判定し、係数更新の制御を行うのに、第4実施形態と同じ手法を用いることができる。
予め係数制御閾値diff_W2_LF_OVを定めておき、diff_W2_LF_OVはy8(k)の短時間平均値をY8AV(k)とすると、
diff_W2_LF_OV=δ5×Y8AV(k) (24)
となる。なお、本実施形態ではy8(k)の短時間平均値は5msの平均を計算し、δ5=0.01としたが、これに限定されるものではなく、諸条件に応じて適宜設定される。
フルバンドエコーキャンセラ収束検出器51は一旦
diff_W2_LF(t)>diff_W2_LF_OV (25)
が成り立つと、図示しない収束検出予備カウンタFEC_ADP_STOPを1にセットする。
次に、フルバンドエコーキャンセラ18の実質的な適応フィルタ17のタップ係数の成長が進行し、エコーを除去するようになると、再びdiff_W2_LF(t)が降下してくるので、下記式(26)、(27)の両方が成立する点を検出する。そして
diff_W2_LF<diff_W2_LF_OV (26)
FEC_ADP_STOP=1 (27)
を検出すると、フルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17の係数更新を停止する信号FLG_FEC_ADP_STOPをフルバンドエコーキャンセラ18に出力する。これにより、フルバンドエコーキャンセラ18は係数の更新を停止する。
以上説明したように、本実施形態では、第2実施形態に加えて、

フルバンドエコーキャンセラ収束検出器51には、最大頂点検出器51から、エコー経路の影響の大きい順にタップ位置を入力し、タップ配分器22で配分したフルバンドエコーキャンセラ18のタップのうち、影響の大きいタップ値の一定期間ごとの変化度合いを計算し、収束初期期間を除く期間で、変化の度合いが小さくなったとき、エコーキャンセラの収束力終了したものとみなして、フルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17のタップを停止するようにしたので、フルバンドエコーキャンセラ18の係数の乱れを防止できる。さらに、エコーキャンセラ収束後は、ダブルトーク状態が発生してもフルバンドエコーキャンセラ18の係数が一切乱れないため、双方向通話性に優れたエコーキャンセラを実現できる。
[第6実施形態]
以下に、本発明の第6実施形態について説明する。
図20は本発明の第6実施形態に係るタップ配置制御器を示すブロック図である。
第6実施形態が第3実施形態と異なるのは、タップ配置制御器60に新たにフルバンドエコーキャンセラ収束検出器61が設けられたことである。そのほかの部分は第3実施形態と同じであるため、ここではその説明を省略し、フルバンドエコーキャンセラ収束検出器61の動作だけを説明する。
フルバンドエコーキャンセラ収束検出器61は動作速度切り替え器19-6から切り替え信号sf_chgが入力されるまでは機能しない。いったん切り替え信号sf_chgが入力されると、フルバンドエコーキャンセラ収束検出器61は適応フィルタ17がフルバンドエコーキャンセラ18のフィルタとして動作したとみなして、下記のように動作する。
フルバンドエコーキャンセラ収束検出器61には、タップ配分器32から第3実施形態におけるタップ配分器32で計算した式(17)の基準域に含まれるmax(x,i)(xは不定)がフルバンドエコーキャンセラ収束検出器61に出力されている。
THTAP3(n)=max(1,i)×(down3) (17)
そして、含まれるおのおののmax(x,i)に関して、それが相当するフルバンドエコーキャンセラ18のタップW6_LF(x,i)を式(28)のように計算する。
W6_LF(x,i)=h8(W6×i,k) (28)
つまり、8kHzで動作するフルバンドエコーキャンセラ18ではmax(x、i)(X番目に振幅が大きい低レートタップ)に相当する順番としてはW6×iタップ目である係数h8(W6×i,k)に割り付けられているということである。
ここでW6はフルバンドエコーキャンセラ18のサンプリング周波数と低レートで適応フィルタ17を動作させるときのサンプリング周波数の比である。本実施形態では、第2実施形態のW2と同じにしたが、これに限定しない。W6に対して、適当なマージンを付与してもよい。
次にフルバンドエコーキャンセラ収束検出器61は式(29)でdiff_W6_LF(t)を計算する。
Figure 2006352450
n:最大から何回目の降下までに含まれたmax(x,i)を収束検出に使うか(本実施形態では1〜3)
t:時刻
T:あらかじめ定めた時間間隔(実施形態では5ms)
式(29)からわかるようにdiff_W6_LF(t)の意味合いは第4実施形態のdiff_PN(t)と同様である。ただし、第4実施形態のdiff_PN(t)では、2個のフィルタ係数を用いたが、第6実施形態では第n回までの閾値降下を行ったとき、含まれるすべてのmax(x,i)を手がかりに、それに相当する8kHzサンプリングのフルバンドエコーキャンセラ18の係数を監視できるかが異なっている。
第6実施形態において、diff_W6_LF(t)もまたフルバンドエコーキャンセラ18の収束とともに第4実施形態で説明した図18の特性と同じカーブを描く。図18の縦軸をdiff_W6_LF(t)と読み替えればよい。従って、本実施形態においても第4実施形態で説明したと同じように、フルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17の収束の程度の判定と係数更新の制御の手法を用いることができる。
まず、あらかじめ係数制御閾値diff_W6_LF_OVを定めておく。diff_W6_LF_OVはy8(k)の短時間平均値をY8AV(k)とすると、
diff_W6_LF_OV=δ6×Y8AV(k) (30)
とする。なお、本実施形態ではy8(k)の短時間平均値は5msの平均を計算し、δ6=0.01としたが、これに限定されるものではなく、諸条件に応じて適宜設定される。フルバンドエコーキャンセラ収束検出器61は一旦
diff_W6_LF(t)>diff_W6_LF_OV (31)
が成り立つと、図示しない収束検出予備カウンタFEC_ADP_STOPを1にセットする。
次にフルバンドエコーキャンセラ18の実質的な適応フィルタ17のタップ係数の成長が進行し、エコーを除去するようになると、再びdiff_W6_LF(t)が降下してくるので、式(26)、(27)の両方が成立する点を検出する。そして
diff_W6_LF(t)<diff_W6_LF_OV (32)
FEC_ADP_STOP=1 (33)
を検出すると、フルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17の係数更新を停止する信号FLG_FEC_ADP_STOPを図示しないフルバンドエコーキャンセラ18に出力し、フルバンドエコーキャンセラ18は係数の更新を停止する。
以上説明したように、第6実施形態では、第3実施形態に加えて、フルバンドエコーキャンセラ収束検出器61には、タップ配分器32から、第n回目の閾値降下に含まれる低レートでの適応フィルタ17タップ順序を手がかりに、第n回目の閾値降下でフルバンドエコーキャンセラ18のタップ割付基準と、遅延時間が大きく振幅も大きいエコー原因となるタップを抽出して、影響の大きいタップ値の一定期間ごとの変化度合いを計算し、収束初期期間を除く期間で、変化の度合いが小さくなったとき、エコーキャンセラの収束が終了したものとみなして、フルバンドエコーキャンセラ18の適応フィルタ17のタップを停止するようにしたので、第5実施形態よりも、遅延時間が大きいエコー経路であってもより収束状態を精密に検出して、適応フィルタ17の係数の更新を停止することができる。さらに、エコーキャンセラ収束後はダブルトーク状態が発生してもフルバンドエコーキャンセラ18の係数が乱れないので、たとえダブルトークが発生しても音声が劣化することがない、双方向通話性に優れたエコーキャンセラを実現することができる。
本発明の第1実施形態に係るエコーキャンセラ付き通信端末装置を示すブロック図である。 タップ配置制御器を示すブロック図である。 図3(a)は8kHzサンプリングでのエコー経路を示すグラフ、図3(b)は低レートで推定して成長した適応フィルタ係数を示すグラフである。 図3(a)のエコー経路がどのような場合に発生されるかを示した概念図である。 図5(a)は絶対値計算器19-2に入力される係数H2(k)の様子を示すグラフ、図5(b)は絶対値計算器19-2に入力される係数H2(k)の絶対値を示すグラフ、図5(c)は図5(b)の係数H2(k)の絶対値を平滑化した波形を示すグラフである。 図5(c)の波形の2個の頂点を四角の点で表したグラフである。 本発明の第2実施形態に係るエコーキャンセラ付き通信端末装置を示すブロック図である。 タップ配置制御器を示すブロック図である。 図9(a)は8kHzサンプリングでのエコー経路を示すグラフ、図9(b)は低レートで推定して成長した適応フィルタ係数を示すグラフである。 図10(a)は図9(b)の適応フィルタの係数を横軸にサンプルを用いた表示にしたグラフ、図10(b)は絶対値計算器に入力される係数H2(k)の絶対値を示すグラフである。 図11(a)は最大頂点検出器21で最大値部分を検出した状態を示すグラフ、図11(b)は2回目の割付が適応フィルタの係数として割り当てられた状態を示すグラフである。 本発明の第3実施形態に係るエコーキャンセラ付き通信端末装置を示すブロック図である。 タップ配置制御器を示すブロック図である。 図14(a)は8kHzサンプリングでのエコー経路を示すグラフ、図14(b)は絶対値計算器に入力される係数H2(k)の絶対値を示すグラフである。 低レートサンプリングでの適応フィルタのタップ位置のありかを四角で示したグラフである。 図16(a)は新たにTHTAP3(1)以上の範囲に含まれることになったタップ位置のありかを四角で示したグラフ、図16(b)は新たにTHTAP3(2)以上の範囲に含まれることになったタップ位置のありかを四角で示したグラフである。 本発明の第4実施形態に係るタップ配置制御器を示すブロック図である。 タップ係数の変化量diff_PN(t)と時間との関係を示すグラフである。 本発明の第5実施形態に係るタップ配置制御器を示すブロック図である。 本発明の第6実施形態に係るタップ配置制御器を示すブロック図である。
符号の説明
1:受信入力端子Rin、2:受信出力端子Rout、3:ディジタル−アナログ変換器、4:エコーパス、5:受信側電話機、6:アナログ−ディジタル変換器、7:送信入力端子Sin、8,14:サブバンドフィルタ、9,15:サンプリング変換器、10,12,16:切り替えスイッチ、11:加算器、13:送信出力端子Sout、17:適応フィルタ、18:エコーキャンセラ、19:タップ配置制御器、19-1:カウンタ、19-2:絶対値計算器、19-3:遡行平滑器、19-4:頂点タイミング検出器、19-5:タップ配分器、19-6:動作速度切り替え器、20:タップ配置制御器、21:最大頂点検出器、22:タップ配分器、30:タップ配置制御器、31:エコー低減量制御器、32:タップ配分器、40:タップ配置制御器、41:フルバンドエコーキャンセラ収束検出器、50:タップ配置制御器、51:フルバンドエコーキャンセラ収束検出器、60:タップ配置制御器、61:フルバンドエコーキャンセラ収束検出器。

Claims (17)

  1. 適応フィルタ及び加算器を備えて、上記適応フィルタで作成した擬似エコーを上記加算機でエコーに加算して当該エコーを相殺するエコーキャンセラであって、
    ダウンサンプリングした音声信号を用いて係数更新してタップ配置を最適化するダウンサンプリング処理手段を備え、
    上記適応フィルタが、上記ダウンサンプリング処理手段で最適化したタップ配置に基づいて上記擬似エコーを作成することを特徴としたエコーキャンセラ。
  2. 適応フィルタ及び加算器を備えて、上記適応フィルタで作成した擬似エコーを上記加算機でエコーに加算して当該エコーを相殺するエコーキャンセラであって、
    音声信号をダウンサンプリングするサブバンドフィルタ及びサンプリング変換器と、
    上記ダウンサンプリング側とフルバンドエコーキャンセラとして用いるフルバンドエコーキャンセル側とに適宜切り替える切り替えスイッチと、
    上記サブバンドフィルタ及びサンプリング変換器でダウンサンプリングしたダウンサンプル信号を用いて上記適応フィルタで更新した係数を用いてタップ配置を最適化すると共に当該最適化したタップ配置を上記適応フィルタに出力するタップ配置制御器とを備え、
    当該タップ配置制御器で最適化したタップ配置の上記適応フィルタへの出力を受けて上記切り替えスイッチを上記フルバンドエコーキャンセル側に切り替えて上記最適化したタップ配置を基に上記適応フィルタをフルバンドエコーキャンセル処理に用いることを特徴としたエコーキャンセラ。
  3. 請求項2に記載のエコーキャンセラであって、
    上記タップ配置制御器が、
    上記適応フィルタの低レートでの収束終了を判定する収束判断手段と、
    当該収束判断手段で収束終了と判定した後に低レートでの適応フィルタ係数の絶対値を計算する絶対値計算手段と、
    当該絶対値計算手段で計算した上記適応フィルタ係数の絶対値を平滑化する遡行平滑手段と、
    当該遡行平滑手段で平滑化したフィルタ係数の絶対値の頂点タイミングを検出する頂点検出手段と、
    当該頂点検出手段で検出した頂点タイミングの位置をフルバンドエコーキャンセル時の上記適応フィルタのタップ割付け位置判定基準として頂点ごとにタップ係数を割り当ててタップ配置を最適化するタップ配分手段と、
    当該タップ配分手段で最適化したタップ配置の上記適応フィルタへの出力を受けて上記適応フィルタのサンプリング周波数をフルバンドエコーキャンセル側に切り替えると共に上記切り替えスイッチを上記フルバンドエコーキャンセル側に切り替える動作速度切り換え手段とを備えたことを特徴としたエコーキャンセラ。
  4. 請求項3に記載のエコーキャンセラであって、
    上記収束判断手段が、カウンタを備え、上記適応フィルタにおいてダウンサンプリング周期で係数更新が実行された回数をカウントし、当該カウント数が予め定めた回数に達したことで低レートでの収束終了を判定することを特徴とするエコーキャンセラ。
  5. 請求項3または4に記載のエコーキャンセラであって、
    上記遡行平滑手段が、適応フィルタ係数の絶対値を時間の過去方向に遡って平滑化することを特徴とするエコーキャンセラ。
  6. 請求項3ないし5のいずれか1項に記載のエコーキャンセラであって、
    上記タップ配分手段が、上記頂点タイミングの位置を、上記フルバンドエコーキャンセル時の上記適応フィルタのタップ係数の割付け開始点とすることを特徴とするエコーキャンセラ。
  7. 請求項6に記載のエコーキャンセラであって、
    上記タップ配分手段が、上記適応フィルタのタップ係数を必要な部分のみに割り当てて、その他は計算不要な単純な遅延を割り当てることを特徴とするエコーキャンセラ。
  8. 請求項2に記載のエコーキャンセラであって、
    上記タップ配置制御器が、
    上記適応フィルタの低レートでの収束終了を判定する収束判断手段と、
    当該収束判断手段で収束終了と判定した後に低レートでの適応フィルタ係数の絶対値を計算する絶対値計算手段と、
    当該絶対値計算手段で計算した上記適応フィルタ係数の絶対値を大きい順に検出する最大頂点検出手段と、
    当該最大頂点検出器で検出した絶対値が大きい方に重点的にタップ係数を割り付けてタップ配置を最適化するタップ配分手段と、
    当該タップ配分手段で最適化したタップ配置の上記適応フィルタへの出力を受けて上記適応フィルタのサンプリング周波数をフルバンドエコーキャンセル側に切り替えると共に上記切り替えスイッチを上記フルバンドエコーキャンセル側に切り替える動作速度切り換え手段とを備えたことを特徴としたエコーキャンセラ。
  9. 請求項8に記載のエコーキャンセラであって、
    上記収束判断手段が、カウンタを備え、当該カウンタがダウンサンプリング周期で係数更新が実行された回数をカウントし、あらかじめ定めた回数に達したことで低レートでの収束終了を判定することを特徴とするエコーキャンセラ。
  10. 請求項8または9に記載のエコーキャンセラであって、
    上記タップ配分手段が、
    上記最大頂点検出手段から入力されたタイミングの位置を上記適応フィルタのタップ割付け位置判定基準とし、割付の基点ごとに、低レートのサンプリング周波数SmalFとフルバンドエコーキャンセラのサンプリング周波数LargFとの比W2=LargF/SmalFで定まる個数のタップ係数を割り当てることを特徴とするエコーキャンセラ。
  11. 請求項10に記載のエコーキャンセラであって、
    上記タップ係数W2=LargF/SmalFに、フィルタ係数にとぎれを起こさないためのマージンを持たせたことを特徴とするエコーキャンセラ。
  12. 請求項2に記載のエコーキャンセラであって、
    上記タップ配置制御器が、
    上記適応フィルタの低レートでの収束終了を判定する収束判断手段と、
    当該収束判断手段で収束終了と判定した後に低レートでの適応フィルタ係数の絶対値を計算する絶対値計算手段と、
    当該絶対値計算手段から出力される最大の低レート適応フィルタ係数絶対値から、基準下降閾値を遅延が大きいタップを優先する係数に基づいて順次降下させて頂点を特定するエコー低減量制御手段と、
    当該エコー低減量制御器の出力に応じて、遅延の大きい低レートフィルタの部分にフルバンドエコーキャンセル時の適応フィルタのタップ係数を優先しで割り当ててタップ配置を最適化するタップ配分手段と、
    当該タップ配分手段で最適化したタップ配置の上記適応フィルタへの出力を受けて上記適応フィルタのサンプリング周波数をフルバンドエコーキャンセル側に切り替えると共に上記切り替えスイッチを上記フルバンドエコーキャンセル側に切り替える動作速度切り換え手段とを備えたことを特徴としたエコーキャンセラ。
  13. 請求項12に記載のエコーキャンセラであって、
    上記収束判断手段が、カウンタを備え、当該カウンタがダウンサンプリング周期で係数更新が実行された回数をカウントし、あらかじめ定めた回数に達したことで低レートでの収束終了を判定することを特徴とするエコーキャンセラ。
  14. 請求項12または13に記載のエコーキャンセラであって、
    上記タップ配分手段が、
    上記最大頂点検出手段から入力されたタイミングの位置を上記適応フィルタのタップ割付け位置判定基準とし、割付の基点ごとに、低レートのサンプリング周波数SmalFとフルバンドエコーキャンセラのサンプリング周波数LargFとの比W2=LargF/SmalFで定まる個数のタップ係数を割り当てることを特徴とするエコーキャンセラ。
  15. 請求項3に記載のエコーキャンセラであって、
    上記タップ配置制御器が、上記頂点検出手段からエコー経路のもっとも影響の大きいタップ位置を入力し、上記タップ配分手段で配分されたフルバンドエコーキャンセラのタップ係数のうち影響の大きいタップ値の一定期間ごとの変化の度合いを計算し、収束初期期間を除く期間で変化の度合いが小さくなったときエコーキャンセラの収束が終了したものとみなして、フルバンドエコーキャンセラの適応フィルタのタップを停止するフルバンドエコーキャンセラ収束検出手段を備えたことを特徴とするエコーキャンセラ。
  16. 請求項8に記載のエコーキャンセラであって、
    上記タップ配置制御器が、上記最大頂点検出器からエコー経路の影響の大きい順にタップ位置を入力し、上記タップ配分手段で配分されたフルバンドエコーキャンセラのタップのうち影響の大きい上位順のタップ係数の一定期間ごとの変化度合いを計算し、収束初期期間を除く期間で変化の度合いが小さくなったときエコーキャンセラの収束が終了したものとみなして、フルバンドエコーキャンセラの適応フィルタのタップを停止するフルバンドエコーキャンセラ収束検出手段を備えたことを特徴とするエコーキャンセラ。
  17. 請求項12に記載のエコーキャンセラであって、
    上記タップ配置制御器が、上記タップ配分器から、第n回目の閾値降下に含まれる低レートでの適応フィルタタップ順序を手がかりに、第n回目の閾値降下でフルバンドエコーキャンセラのタップ割付基準と、遅延時間が大きく振幅も大きいエコー原因となるタップを抽出して、影響の大きいタップ値の一定期間ごとの変化度合いを計算し、収束初期期間を除く期間で変化の度合いが小さくなったとき、エコーキャンセラの収束力終了したものとみなして、フルバンドエコーキャンセラの適応フィルタのタップを停止するフルバンドエコーキャンセラ収束検出手段を備えたことを特徴とするエコーキャンセラ。

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