JP2006350297A - 液晶スペーサー及びその製造方法、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物並びに感光性エレメント - Google Patents

液晶スペーサー及びその製造方法、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物並びに感光性エレメント Download PDF

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郁夫 向
Takeshi Nojiri
剛 野尻
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Abstract

【課題】 液晶層のギャップが収縮しないために生じる低温発泡による表示ムラの抑制と、硬度あるいは機械的強度不足に起因する液晶層ギャップ不均一による表示ムラの抑制を両立でき、表示ムラのない良好な表示品質でかつ歩留まりのよい液晶表示装置の製造が可能な液晶スペーサーを提供することにする。
【解決手段】 対向させて配設された基板間に液晶が封入された液晶表示装置の、該液晶が封入された層の厚さを一定に保つために配設された液晶スペーサーであって、室温において、四角錐形状のビッカース圧子を用いて荷重2gfを加えた時の押し込み変形量が、0.5〜1.5μmであることを特徴とする液晶スペーサーを提供することにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶スペーサーと、これに使用される液晶スペーサー用感光性樹脂組成物及び感光性エレメント、液晶スペーサーの製造方法に関する。
近年、液晶カラーテレビ、液晶カラー表示のコンピューターなどが実用化されているが、これらの液晶表示装置は、透明電極等を設けたガラス等の透明な基板間に1〜10μm程度の間隙(ギャップ)を設けて、その間隙に液晶物質を封入し、電極間に印加した電圧により液晶物質を配向させ、画像を表示する仕組になっている。このような液晶表示装置において、液晶層のギャップが変化すると表示ムラやコントラスト異常となるため、均一な粒径分布を持つ球状のガラスビーズまたは樹脂ビーズを液晶層に配し、液晶層のギャップを一定に保持するためのスペーサーが必要とされている。
しかしながら、このような球状のガラスビーズや樹脂ビーズのスペーサーは、一般に、対向する基板間の液晶層に散布されているだけで、基板に対して固定されていないため、スペーサーの分布にバラツキが生じて表示ムラが発生したり、液晶表示装置の振動によりスペーサーが移動して配向異常領域が大きくなったり、配向膜面にダメージを与えたりする等の問題があった。また、このような球状ガラスビーズや樹脂ビーズのスペーサーは、液晶表示装置の表示部分にも散布されているため、コントラストを低下させ、表示品質を低下させる等の問題があった。
これらの問題を改良する方法として、特許文献1〜3には、一方の基板上に紫外線硬化型樹脂を塗布、乾燥後、露光・現像を行なうことでスペーサーを形成する方法が開示されている。また、特許文献4には、あらかじめ光硬化性樹脂塗液を塗布したフィルムを使用し、これを転写した後に、露光・現像でパターニングを行い、スペーサーを形成する方法が開示されている。これらの方法で形成されたスペーサーは、柱状スペーサーあるいは感光性スペーサーと呼ばれ、前記の球状のガラスビーズや樹脂ビーズを用いた場合に発生していた表示ムラ、配向異常及びコントラスト低下等の問題点を解消し得る手段として提案されている(特許文献1〜4を参照)。
この際、従来の材料及び方法で形成された柱状スペーサーあるいは感光性スペーサーは、液晶表示ムラのない高品質な画像を得る手段として、液晶層の厚さを目標どおりに設定できるよう、かつ液晶層の厚さを均一に保たせることができるようにするために、柱状スペーサーの硬度あるいは機械的強度を大きくすることが一般的であった。ところで、常温で製造された液晶表示装置は、輸送中等に極低温冷却される場合があり、その際、液晶は収縮する。柱状スペーサーの硬度あるいは機械的強度が大きくなると、液晶表示装置に適用した場合、液晶が冷却により収縮しても、柱状スペーサーの硬度が大きすぎて、液晶層のギャップが収縮しない。その結果、液晶層内に空洞(低温発泡)が生じるという問題があった。
特開平3−89320号公報 特開平10−168134号公報 特開平11−133600号公報 特開平11−174461号公報
本発明の目的は、液晶層のギャップが収縮しないために生じる低温発泡による表示ムラの抑制と、硬度あるいは機械的強度不足に起因する液晶層ギャップ不均一による表示ムラの抑制とを両立でき、表示ムラのない良好な表示品質でかつ歩留まりのよい液晶表示装置の製造が可能な液晶スペーサーを提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の効果に加えて、さらに作業性に優れ、かつコスト低減に寄与し得る液晶スペーサーを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、上記の効果を達成するために好適な液晶スペーサー用感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、上記の効果を達成するために好適であり、作業性に優れ、かつコスト低減に寄与し得る液晶スペーサー用感光性エレメントを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、上記の効果を有する液晶スペーサーを歩留まりよく製造でき、作業性に優れた液晶スペーサーを製造できる方法を提供することにある。
本発明は以下に関する。
1.対向させて配設された基板間に液晶が封入された液晶表示装置の、該液晶が封入された層の厚さを一定に保つために配設された液晶スペーサーであって、室温において、四角錐形状のビッカース圧子を用いて荷重2gfを加えた時の押し込み変形量が、0.5〜1.5μmであることを特徴とする液晶スペーサー。
本発明者らは液晶スペーサーとして、室温で四角錐形状のビッカース圧子を用いて荷重2gfを加えた時の押し込み変形量が、0.5〜1.5μmになる液晶スペーサーを用いることにより、液晶層のギャップが収縮しないために生じる低温発泡による表示ムラを抑制することを見出した。また、液晶スペーサーの硬度あるいは機械的強度不足に起因する液晶層ギャップ不均一による表示ムラの抑制も可能となる。本発明の液晶スペーサーを備えた液晶表示装置は、上記効果を両立することにより、表示ムラのない良好な表示品質を有することが可能である。また、液晶表示装置の製造に際し、本発明の液晶スペーサーを用いることにより歩留まりよく製造することが可能である。
2.本発明の液晶スペーサーは感光性樹脂組成物の硬化物からなるものであってもよい。
3.本発明の液晶スペーサーは、
(a)光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマ、
(b)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物、及び
(c)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤、
を含有する感光性樹脂組成物の硬化物からなるものであってもよい。
4.また、本発明の液晶スペーサーは、上記光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマが、側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体であることが好ましい。
5.更に、本発明の液晶スペーサーは、上記側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体のエチレン性不飽和基の濃度が、1.0×10−4〜6.0×10−3モル/gであることが好ましい。
6.本発明の液晶スペーサーに用いられる感光性樹脂組成物であって、
(a)光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマ、
(b)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物、及び
(c)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤、
を含有する液晶スペーサー用感光性樹脂組成物。
本発明に係る液晶スペーサー用感光性樹脂組成物を用いることにより、本発明の液晶スペーサーを、好適に製造できる。
7.本発明に係る液晶スペーサー用感光性樹脂組成物において、上記光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマは、側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体であることが好ましい。
8.本発明に係る液晶スペーサー用感光性樹脂組成物において、上記側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体のエチレン性不飽和基の濃度は、1.0×10−4〜6.0×10−3モル/gであることが好ましい。
9.支持体フィルム上に、感光性樹脂組成物層を有してなる液晶スペーサー用感光性エレメントであって、上記感光性樹脂組成物層が本発明に係る液晶スペーサー用感光性樹脂組成物からなる層であることを特徴とする液晶スペーサー用感光性エレメント。
本発明に係る液晶スペーサー用感光性エレメントを用いることにより、本発明の液晶スペーサーを、作業性良く、かつ低いコストで製造できる。
10.(1)基板上に、本発明に係る液晶スペーサー用感光性樹脂組成物からなる層を形成する工程、(2)上記層に活性光線を像的に照射する工程、(3)現像により上記層を選択的に除去してパターンを形成する工程及び、(4)上記パターンを形成した上記層を加熱する工程、を有する液晶スペーサーの製造方法。
11.(1’)基板上に、本発明に係る液晶スペーサー用感光性エレメントを、上記感光性樹脂組成物層が上記基板に接するようにして積層する工程、(2)上記感光性樹脂組成物層に活性光線を像的に照射する工程、(3)現像により上記感光性樹脂組成物層を選択的に除去してパターンを形成する工程及び、(4)上記パターンを形成した上記感光性樹脂組成物層を加熱する工程、を有する液晶スペーサーの製造方法。
本発明に係る液晶スペーサーの製造方法によると、歩留まり良く、優れた作業性で本発明の液晶スペーサーを製造することが可能となる。
本発明の液晶スペーサーは、液晶層のギャップが収縮しないために生じる低温発泡による表示ムラの抑制と、硬度あるいは機械的強度不足に起因する液晶層ギャップ不均一による表示ムラの抑制を両立でき、表示ムラのない良好な表示品質でかつ歩留まりのよい液晶表示装置の製造できるものである。本発明の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物は、上記効果を有する液晶スペーサーを好適に製造できるものである。本発明の液晶スペーサー用感光性エレメントは、上記の効果を達成するために好適あり、作業性に優れ、かつコスト低減に寄与し得る液晶スペーサーを製造できるものである。本発明の液晶スペーサーの製造方法は、上記の効果を有する液晶スペーサーを歩留まりよく製造でき、作業性に優れた液晶スペーサーを製造できるものである。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、同一要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
まず、本発明の液晶スペーサーの説明に先立ち、図1を参照して、液晶表示装置の構成について説明する。図1は、本発明の液晶スペーサーが装着された液晶表示装置の一例を示す模式断面図である。図1に示すように、液晶表示装置1は、対向させて配設された一対の基板6a、6bを有している。基板6aは、電極2a、基板部材3a、緩衝材層4a及び偏光板5aからなり、これらがこの順序で積層されている。また、基板6bは、電極2b、基板部材3b、緩衝材層4b及び偏光板5bからなり、これらがこの順序で積層されている。さらに、基板6a、6bの電極2a、2bが形成されている側には、それぞれ配向層17a、17bが積層されている。そして、液晶層18は、配向層17a,17bを介して、基板6a、6bによって挟持されている。そして、液晶層18の周縁部であって基板6a、6bの間にはシール剤13が設けられており、これにより基板6a、6bが結合されている。
このような液晶表示装置において、図1に示すように、液晶スペーサー10は液晶層18の厚さを一定に保つために、液晶表示装置1の所定の位置に配設される。液晶スペーサー10は、高品位な画像を表示する観点から、透光部である表示ドット部以外の位置に配設されることが好ましい。また、液晶スペーサー10は、画面表示全領域にわたって均等な間隔で配設されることが好ましい。なお、液晶層の厚さの絶対値は、温度により変動するため、液晶層の厚さを一定に保つとは、ある温度で設計された液晶層の厚さが、液晶表示装置の表示画面全領域にわたって均一に保たれていることをいう。感光性樹脂組成物から製造される液晶スペーサー10は、一般的に柱状スペーサー又は感光性スペーサーとよばれるものである。
図1に示す基板6は、電極2、基板部材3、緩衝材層4及び偏光板5からなっているが、必ずしもこれら全てが積層されている必要はない。また、基板6の表面には、必要に応じて、さらに絶縁層、ブラックマトリックスの層、カラーフィルターの層、TFT等が設けられていてもよい。
電極2としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)等の透明電極、プリント基板等には銅の金属薄膜等を用いることができる。また、基板3としては、セラミック板、プラスチック板、ガラス板等が挙げられる。また、緩衝材層4及び偏光板5については、公知の緩衝材層及び偏光板を用いることができる。また、配向層17についても、公知の液晶配向剤を用いて形成することができる。
本発明の液晶スペーサーは、対向させて配設された基板間に液晶が封入された液晶表示装置の、該液晶が封入された層の厚さを一定に保つために配設された液晶スペーサーであって、室温(10〜30℃)において、四角錐形状のビッカース圧子を用いて荷重2gf(すなわち、0.02Nである。)を加えた時の押し込み変形量が、0.5〜1.5μmである特徴を有する。
本発明の液晶スペーサーは、室温において、四角錐形状のビッカース圧子を用いて荷重2gfを加えた時の押し込み変形量が、0.5〜1.5μmであり、0.7〜1.2μmが好ましく、0.8〜1.1μmが特に好ましい。押し込み変形量が0.5μmより小さいと、液晶層のギャップが収縮しないために生じる低温発泡による表示ムラが発生する恐れがある。一方、押し込み変形量が1.5μmより大きいと、硬度あるいは機械的強度不足に起因する液晶層ギャップ不均一による表示ムラが発生する恐れがある。
本発明における液晶スペーサーの押し込み変形量は、例えば、島津製作所製ダイナミック超微小硬度計DUH−W201Sを用いて、対面角136°のダイヤモンドビッカース圧子を用いて測定することができる。ここで、本発明における押し込み変形量とは、一定温度で荷重2gfを加えた時の弾性変形量及び塑性変性量を合計した最大変形量を示す。また測定温度である室温とは、日常の常識的な環境温度を意味し、10〜30℃の温度範囲である。
本発明の液晶スペーサーは、液晶層の厚さを一定に保つために必要な強度及び硬度を有するために、(a)光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマ、(b)少なくとも一個のエチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物、(c)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤、を含有する液晶スペーサー用感光性樹脂組成物からなることが好ましい。以下、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物は、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物または感光性樹脂組成物と示す。
本発明における(a)光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマとは、その組成や合成方法に特に制限はないが、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有するビニル共重合体に、少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、オキシラン環、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基等の1個の官能基を有する化合物を付加又は縮合反応させて得られる側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体等を使用することができる。
上記カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有するビニル共重合体の製造に用いられる必須のビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ケイ皮酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、イソシアン酸エチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸等のカルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有するビニル単量体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
このような、側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体の製造に際し、必要に応じ、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有するビニル単量体以外のビニル単量体を更に共重合させることができる。これらのビニル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸2−フルオロエチル、スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキシルマレイミド、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体のエチレン性不飽和基濃度は、1.0×10−4〜6.0×10−3モル/gとすることが好ましく、2.0×10−4〜5.0×10−3モル/gとすることがより好ましく、3×10−4〜4.0×10−3モル/gとすることが特に好ましい。このエチレン性不飽和基濃度が1.0×10−4モル/g未満では、液晶スペーサーとした場合に、表示品質確保のための硬度向上効果が十分に得られない傾向があり、6.0×10−3モル/gを超えると、側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体を製造する際にゲル化を起こす傾向がある。
本発明における(a)光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン換算した値、すなわちポリスチレンを標準試料として換算した値)は、耐熱性、塗布性、後述する液晶スペーサー用感光性エレメントとした場合のフィルム性(フィルム状の形態を保持する特性)、溶媒への溶解性及び後述する現像工程における現像液への溶解性等の観点から、1,000〜300,000とすることが好ましく、5,000〜150,000とすることがより好ましい。
本発明の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物は、(a)光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマを含有するが、必要に応じて、光重合性不飽和基を有しない、いわゆるバインダーポリマを併用することができる。上記バインダーポリマとしては特に制限はなく、例えばビニル共重合体が挙げられ、ビニル共重合体に用いられるビニル単量体としては、前述のものが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
本発明における(a)光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマは、後述する(3)現像により感光性樹脂組成物層を選択的に除去してパターンを形成する工程において、公知の各種現像液により現像可能となるように酸価を規定することができる。例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカリ水溶液を用いて現像する場合には、酸価を50〜260mgKOH/gとすることが好ましい。この酸価が、50mgKOH/g未満では、現像が困難となる傾向があり、260mgKOH/gを超えると、耐現像液性(現像により除去されずにパターンとなる部分が、現像液によって侵されない性質)が低下する傾向がある。
また、水又はアルカリ水溶液と1種以上の界面活性剤とからなるアルカリ水溶液を用いて現像する場合には、酸価を、16〜260mgKOH/gとすることが好ましい。この酸価が、16mgKOH/g未満では、現像が困難となる傾向があり、260mgKOH/gを超えると、耐現像液性が低下する傾向がある。
本発明における(b)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタンモノマー、ノニルフェニルジオキシレン(メタ)アクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート(ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸等が拳げられる。上記2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
上記グリシジル基含有化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニル等が拳げられる。
上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、エチレンオキシド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド、プロピレンオキシド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明における(c)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン(イルガキュア−369、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社商品名)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(イルガキュア−907、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社商品名)等の芳香族ケトン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。また、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールに置換した置換基は同一でも相違していてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。また、フォトリソグラフィ工程における密着性及び感度の観点から、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体が好ましく、液晶スペーサーとした場合の可視光線透過率の観点から2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オンがより好ましい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明における(a)光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマの使用量は、(a)及び(b)成分の総量100重量部に対して、10〜80重量部とすることが好ましく、20〜75重量部とすることがより好ましく、25〜73重量部とすることが特に好ましく、30〜70重量部とすることが極めて好ましい。この使用量が10重量部未満では、塗布性あるいは後述する液晶スペーサー用感光性エレメントとした場合のフィルム性が低下する傾向があり、80重量部を超えると、光硬化性あるいは耐熱性が低下する傾向がある。
本発明における(b)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物の使用量は、(a)及び(b)成分の総量100重量部に対して、10〜80重量部とすることが好ましく、20〜75重量部とすることがより好ましく、25〜73重量部とすることが特に好ましく、30〜70重量部とすることが極めて好ましい。この使用量が10重量部未満では、光硬化性あるいは耐熱性が低下する傾向があり、80重量部を超えると、塗膜性あるいは液晶スペーサー用感光性エレメントとした場合のフィルム性が低下する傾向がある。
本発明における(c)光重合開始剤の使用量は、(a)及び(b)成分の総量100重量部に対して、0.05〜20重量部とすることが好ましく、0.1〜15重量部とすることがより好ましく、0.15〜10重量部とすることが特に好ましい。この使用量が0.05重量部未満では、光硬化が不十分となる傾向があり、20重量部を超えると、後述する(2)感光性樹脂組成物層に活性光線を像的に照射する工程において、感光性樹脂組成物層の活性光線照射表面での活性光線の吸収が増大して、内部の光硬化が不十分となる傾向がある。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤などの密着性付与剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、重合禁止剤等を(a)、(b)成分の総量100重量部に対して各々0.01〜20重量部程度含有することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
次に、本発明の感光性エレメントについて説明する。図2は本発明の液晶スペーサー用感光性エレメントの一実施形態を示す部分断面図である。図2に示すように、液晶スペーサー用感光性エレメント20は、支持体フィルム24上に、本発明に係る感光性樹脂組成物の層を有してなる。以下、感光性樹脂組成物層22とは、上記感光性樹脂組成物からなる層を示す。
本発明における支持体フィルム24としては、公知のものを使用することができるが、基板上に液晶スペーサー用感光性エレメント20を感光性樹脂組成物層22側から貼り合わせる点及び後述する(3)現像により感光性樹脂組成物層22を選択的に除去してパターンを形成する工程の前に支持体フィルム24をはく離する点で特に好適であるという理由から、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン等が挙げられる。
また、本発明における支持体フィルム24の厚さとしては、特に制限はないが、5〜150μm程度が好ましい。本発明の液晶スペーサー用感光性エレメント20は、上記感光性樹脂組成物層22を構成する各成分を溶媒に均一に溶解又は分散した溶液を、支持体フィルム24上に塗布、乾燥し、感光性樹脂組成物層22を形成することにより得られる。
本発明における感光性樹脂組成物層22を上記支持体フィルム24に形成する方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ドクターブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンコーティング法、スピナーコーティング法、インクジェットコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。
本発明における感光性樹脂組成物層22の厚さは、液晶表示装置とした場合の電気的特性あるいは液晶の配向特性を考慮して、0.5〜20μmとすることが好ましく、1.0〜10μmとすることがより好ましく、1.5〜7μmとすることが特に好ましい。
また、本発明における感光性樹脂組成物層22の粘度は、後述するロール状の液晶スペーサー用感光性エレメント20とした場合に、感光性エレメント20の端面から感光性樹脂組成物がしみ出すことを1カ月以上防止する点及び感光性エレメント20を切断する際に、感光性樹脂組成物の破片が基板に付着して引き起こされる露光不良や現像残り等を防止する点から、30℃において、15〜100MPa・sであることが好ましく、20〜90MPa・sであることがより好ましく、25〜80MPa・sであることが特に好ましい。なお、粘度は、直径7mm、厚さ2mmの該感光性樹脂組成物試料の厚さ方向に、30℃及び80℃で1.96×10−2Nの荷重を加えて厚さの変化速度を測定し、この変化速度からニュートン流体を仮定して粘度に換算した値である。
本発明の液晶スペーサー用感光性エレメント20は、感光性樹脂組成物層22の上に、さらにカバーフィルム25が積層されていてもよい。図3は、そのようなカバーフィルム25が積層された液晶スペーサー用感光性エレメント30の部分断面図である。カバーフィルム25としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等からなる厚さ5〜150μm程度のフィルムが挙げられる。このようにして得られる液晶スペーサー用感光性エレメント30は、ロール状に巻いて保管し、あるいは使用できる。
以下、本発明の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物あるいは液晶スペーサー用感光性エレメント20又は液晶スペーサー用感光性エレメント30を用いた、液晶表示装置1における液晶スペーサー製造方法の一例を説明する。図4は、図1に示した液晶スペーサー10の製造工程を模式的に示す工程断面図である。
〔(1)基板46b上に、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12を形成する工程(i)〕
図4に示すように、基板46bは基板部材3bの一方面に電極2bを備えている。本発明で使用される基板部材3bは、特に制限はなく、例えば、セラミック板、プラスチック板、ガラス板等が挙げられる。この基板部材3bの上には電極2bに代えて又は加えて、絶縁層、ブラックマトリックスの層、カラーフィルターの層、TFT等が設けられていてもよい。また、電極2bにはITO等の電極が用いられる。あるいは基板46bが基板部材3bのみからなるものであってもよい。
本発明において、工程(i)で基板46b上に、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12を形成する方法としては、本発明の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物を構成する各成分を溶解又は分散可能な溶剤に、溶解又は混合させることにより、均一に分散した溶液とし、上記基板46b上に、塗布、乾燥する方法等が挙げられる。本発明における塗布方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、前述の液晶スペーサー用感光性エレメント20又は液晶スペーサー用感光性エレメント30を製造する際に支持体フィルム24に上記感光性樹脂組成物層22を塗布する方法を全て用いることができる。乾燥温度は、60〜130℃とすることが好ましく、乾燥時間は、1分〜1時間とすることが好ましい。
本発明における液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12の厚さは、液晶表示装置1とした場合の電気的特性及び液晶の配向特性を考慮して、0.1〜20μmとすることが好ましく、0.3〜15μmとすることがより好ましく、0.5〜10μmとすることが特に好ましい。このようにして、本発明の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12を基板46b上に積層することができる。
また、本発明において、基板46b上に液晶スペーサー用感光性樹脂組成物の層を形成するための他の方法としては、その工程を図示していないが、(1’)基板46b上に、感光性樹脂組成物層22が接するように液晶スペーサー用感光性エレメント20又は液晶スペーサー用感光性エレメント30を積層する工程等が挙げられる。
〔(1’)基板46b上に、感光性樹脂組成物層22が接するように液晶スペーサー用感光性エレメント20又は液晶スペーサー用感光性エレメント30を積層する工程〕
本発明において、基板46b上に、感光性樹脂組成物層22が接するように上記液晶スペーサー用感光性エレメント20又は液晶スペーサー用感光性エレメント30を積層する方法としては、感光性樹脂組成物層22にカバーフィルム25が接して存在しているときは、そのカバーフィルム25を除去後、基板46b上に感光性樹脂組成物層22が接するように、圧着ロールで圧着させること等により行うことができる。
圧着ロールは、加熱圧着できるように加熱手段を備えたものであってもよく、加熱圧着する場合の加熱温度は、10〜180℃とすることが好ましく、20〜160℃とすることがより好ましく、30〜150℃とすることが特に好ましい。この加熱温度が、10℃未満では、感光性樹脂組成物層22と基板46bとの密着性が低下する傾向があり、180℃を超えると、感光性樹脂組成物層22の構成成分が熱硬化あるいは熱分解する傾向がある。
また、加熱圧着時の圧着圧力は、線圧で50〜1×10N/mとすることが好ましく、2.5×10〜5×10N/mとすることがより好ましく、5×10〜4×10N/mとすることが特に好ましい。この圧着圧力が、50N/m未満では、感光性樹脂組成物層22と基板46bとの密着性が低下する傾向があり、1×10N/mを超えると、基板46bが破壊される傾向がある。
液晶スペーサー用感光性エレメント20又は液晶スペーサー用感光性エレメント30を上記のように加熱すれば、基板46bを予熱処理することは必要ではないが、感光性樹脂組成物層22と基板46bとの密着性をさらに向上させる点から、基板46bを予熱処理することが好ましい。この時の予熱温度は、30〜180℃とすることが好ましい。このようにして、本発明の液晶スペーサー用感光性エレメント20又は液晶スペーサー用感光性エレメント30の感光性樹脂組成物層22を基板46b上に積層することができる。
〔(2)液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12に活性光線Lを像的に照射する工程(ii)〕
本発明において、工程(ii)で液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12に活性光線Lを像的に照射する方法としては、基板46b上に積層された上記液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12にフォトマスク9を介して、公知の活性光線Lを照射する方法等が挙げられる。この時、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12に代えて上記液晶スペーサー用感光性エレメント20又は液晶スペーサー用感光性エレメント30を使用して、基板46b上に液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層22を形成した場合には、この液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層22上の支持体フィルム24を除去した後に、活性光線Lを像的に照射することもできるが、上記支持体フィルム24が存在する場合には、この支持体フィルム24も介して活性光線Lが照射されることもできる。
また、本発明における活性光線Lとしては、公知の活性光源が使用でき、例えば、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等が挙げられ、紫外線を有効に放射するものであれば特に制限されない。
このようにして液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12の所定部分に活性光線Lを照射すると、露光部12aが形成されて、構造体7を得る。ここで、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12において、フォトマスク9により活性光線Lが遮断された部分、すなわち液晶スペーサー用感光性樹脂組成物12の露光部12a以外の部分を非露光部12bとする。構造体7は基板46bと、その基板46bの電極2b上に設けられた露光部12aと基板42b上の露光部12aとは別の部分に設けられた非露光部12bとを備えている。
〔(3)現像により液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12を選択的に除去してパターンを形成する工程(iii)〕
この工程(iii)では、工程(ii)で得られた構造体7の非露光部12bを除去することにより、露光部12aからなるパターンが現像され、パターンが形成された構造体8を得る。
本発明における現像方法としては、アルカリ水溶液、水系現像液、有機溶剤等の公知の現像液を用いて、スプレー、シャワー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像を行い、不要部を除去する方法等が挙げられ、中でも、環境、安全性の観点からアルカリ水溶液を用いることが好ましいものとして挙げられる。
アルカリ水溶液の塩基としては、水酸化アルカリ(リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等)、炭酸アルカリ(リチウム、ナトリウム又はカリウムの炭酸塩若しくは重炭酸塩等)、アルカリ金属リン酸塩(リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等)、アルカリ金属ピロリン酸塩(ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等)、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミンなどが挙げられ、中でも、水酸化テトラメチルアンモニウム等が好ましいものとして挙げられる。
現像温度及び時間は、本発明における液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層12の現像性に合わせて調整することができる。また、アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させることができる。また、現像後、光硬化後の感光性樹脂組成物層に残存したアルカリ水溶液の塩基を、有機酸、無機酸又はこれらの酸水溶液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知方法により酸処理(中和処理)することができる。さらに、酸処理(中和処理)の後、水洗する工程を行うこともできる。
〔(4)パターンを形成した感光性樹脂組成物層を加熱する工程(iv)〕
この工程(iv)では工程(iii)を経て得られる露光部12aを加熱し、基板46b上に液晶スペーサー10が形成された構造体11を得る。
本発明において、露光によりパターンを形成した感光性樹脂組成物層(以下「露光部12a」という場合もある。)を加熱する方法としては、熱風放射、赤外線照射加熱等の公知の方法が挙げられ、基板46b上にパターンが形成された感光性樹脂組成物層(露光部12a)が有効に加熱される方法であれば特に制限されない。加熱時の温度は、140〜300℃とすることが好ましく、150〜290℃とすることがより好ましく、160〜280℃とすることが特に好ましい。この加熱温度が、140℃未満では、熱硬化の効果が不十分となる傾向があり、300℃を超えると、感光性樹脂組成物層の構成成分が熱分解する傾向がある。
また本発明において、パターンを形成した感光性樹脂組成物層(露光部12a)の基板密着性を向上させること、耐薬品性を向上させること等を目的に、前述の工程(iii)後、パターンを形成した感光性樹脂組成物層(露光部12a)に活性光線を照射する工程を行うことができる。本発明において、パターンを形成した感光性樹脂組成物層(露光部12a)に活性光線を照射する方法としては、基板上にパターンが形成された感光性樹脂組成物層(露光部12a)に公知の活性光線が有効に照射される方法であれば特に制限されない。
また、本発明における活性光線としては、前述の工程(ii)で使用できる公知の活性光源が挙げられ、紫外線等を有効に放射するものであれば特に制限されない。この時の、活性光線の照射量は、通常、1×10〜1×10J/mであり、照射の際に、加熱を伴うこともできる。この活性光線照射量が、1×10J/m未満では、光硬化の効果が不十分となる傾向があり、1×10J/mを超えると、感光性樹脂組成物層が変色する傾向がある。
以上に挙げた製造方法により、液晶表示装置1に液晶スペーサー10を形成することができる。また、上記製造方法により得られた液晶スペーサー10は、対向させて配設された基板間に液晶が封入された液晶表示装置1の、該液晶層の厚さを一定に保つために配設された液晶スペーサー10であって、室温(10〜30℃)において、四角錐形状のビッカース圧子を用いて荷重2gfを加えた時の押し込み変形量が、0.5〜1.5μmである。
本発明の液晶スペーサー、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物及び液晶スペーサー用感光性エレメントは、液晶表示装置の用途に限定されるものではなく、例えば、エレクトロクロミックディスプレイや電子ペーパー等、対向する基板間に流動性を有する物質の層を構成してなる表示装置等のスペーサー用途にも好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1
〔光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマ溶液(r−1)の作製〕
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、下記表1に示す(1)の材料の混合物を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、下記表1に示す(2)の材料の混合物を4時間かけて均一に滴下した。(2)の材料の混合物の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続け、重量平均分子量が約25,000のプレポリマーの溶液(固形分35重量%)(p−1)を得た。
Figure 2006350297
さらに、撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、イソシアン酸エチルメタクリレート20重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28重量部、乳酸メチル7重量部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で70℃に昇温し、反応温度を70℃±2℃に保ちながら、ジブチル錫ジラウリレート0.1重量部と(p−1)との混合物を2時間かけて均一に滴下した。滴下後、70℃±2℃で2時間撹拌を続け、重量平均分子量が約26,000の光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマの溶液(固形分35重量%)(r−1)を得た。
製造例1で得られたアクリル系ポリマのエチレン性不飽和基濃度は、2.5×10−4mol/gであった。
製造例2
〔バインダポリマー溶液(b−2)の作製〕
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、下記表2に示す(1)の材料を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、下記表2に示す(2)の材料の混合物を4時間かけて均一に滴下した。(2)の材料の混合物の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続け、重量平均分子量が約30,000のバインダポリマーの溶液(固形分35重量%)(b−2)を得た。
Figure 2006350297
製造例2で得られたアクリル系ポリマのエチレン性不飽和基濃度は、0.0mol/gであった。
製造例3
〔バインダポリマー溶液(b−3)の作製〕
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、下記表3に示す(1)の材料を仕込み、窒素ガス雰囲気下で70℃に昇温し、反応温度を70℃±2℃に保ちながら、下記表3に示す(2)の材料の混合物を4時間かけて均一に滴下した。(2)の材料の混合物の滴下後、70℃±2℃で2時間撹拌を続け、重量平均分子量が約27,000のバインダポリマーの溶液(固形分32重量%)(b−3)を得た。
Figure 2006350297
製造例3で得られたアクリル系ポリマのエチレン性不飽和基濃度は、0.0mol/gであった。
実施例1
〔液晶スペーサー用感光性樹脂組成物溶液(V−1)の作製〕
下記表4に示す材料を、攪拌機を用いて15分間混合し、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物溶液(V−1)を作製した。
Figure 2006350297
〔液晶表示装置における液晶スペーサーの製造〕
得られた感光性樹脂組成物溶液(V−1)を厚さ1mmのガラス基板上に塗布し、スピ
ンコーターを使用して、1400回転/分で回転塗布して、ホットプレート上で90℃、5分間乾燥して、溶剤を除去し、膜厚4.5μmの感光性樹脂組成物層を形成した。
次いで、得られた感光性樹脂組成物層に、活性光線透過部の直径が10μmφであり、この活性光線透過部内において、線幅2μm、ピッチ4μmの活性光線遮光部が不規則的な曲線でパターニングされたフォトマスクを用い、平行光線露光機(オーク製作所株式会社製、EXM1201)を使用して、フォトマスクと感光性樹脂組成物層表面との間に150μmのギャップを設けて、フォトマスク面垂直上方より露光量5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を像的に照射した。
次いで、0.5重量%の界面活性剤を含有した0.5重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、30℃で40秒間スプレー現像して、感光性樹脂組成物層を選択的に除去して液晶スペーサーのパターンを形成した。得られた液晶スペーサーのパターンを走査型電子顕微鏡で観察したところ、光硬化した感光性樹脂組成物からなり、液晶スペーサーのパターンが基板から剥がれることなく、上面の直径が10μm、底面の直径が12μm、高さが4μmの円柱状の形状で良好に形成されていた。次いで、230℃で30分間、ボックス型乾燥機で加熱し、上述と同様に液晶スペーサーのパターンを走査型電子顕微鏡で観察したところ、厚さ3.2μmで上述と同様のパターン形状が良好に保持されていた。
〔塑性変形量の測定〕
液晶スペーサーのパターンについて、島津製作所製ダイナミック超微小硬度計DUH−W201Sを用いて、対面角136°のダイヤモンドビッカース圧子を用いて、荷重2gf、負荷速度0.074gf/秒、保持時間5秒、測定温度22℃の条件で圧縮テストを行ったところ、押し込み変位量は、1.1μmであった。
〔液晶表示装置の表示品質評価〕
得られた液晶スペーサー形成基板に液晶配向剤をスピンコート法により塗布し、180℃で30分間、ボックス型乾燥機で乾燥して乾燥膜厚0.05μmの塗膜を形成した。次いで、ナイロン製の布を巻きつけたロールを有するラビングマシンを用いて配向膜のラビング処理を行なった。
得られた基板の外縁に、ガラスファイバー入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、液晶スペーサーが形成されておらずラビング処理された配向膜を有する対向用基板を準備し、それら一対の基板をそれらの基板の液晶配向膜面が相対するように、またラビング方向が直行するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマティック型液晶を充填した後、エポキシ樹脂接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側両面に偏向方向が各基板の液晶配向膜のラビング方向と一致するように偏光板を張り合わせ、液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置に電圧を印加し、表示品質を評価したところ、画面に表示ムラが認められず良好な表示品質であった。また、得られた液晶表示装置を−40℃に冷却し、画面全体を光学顕微鏡で観察し、表示品質を評価したところ、液晶層中に低温発泡は認められず、良好な表示品質であった。
実施例2
〔液晶スペーサー用感光性エレメント(i)の作製〕
支持体フィルムとして、50μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、実施例1で得られた液晶スペーサー用感光性樹脂組成物溶液(V−1)を支持体フィルム上にコンマコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、感光性樹脂組成物層を形成した。得られた感光性樹脂組成物層の厚さは4μmであった。次いで、得られた感光性樹脂組成物層の上に、さらに、25μmの厚さのポリエチレンフィルムを、カバーフィルムとして張り合わせて、液晶スペーサー用感光性エレメント(i)を作製した。
〔液晶表示装置における液晶スペーサーの製造〕
得られた液晶スペーサー用感光性エレメント(i)のポリエチレンフィルムをはがしながら、透明電極が形成された厚さ1mmのガラス基板上に、感光性樹脂組成物層が接するようにラミネータ(日立化成工業株式会社製、商品名HLM−1500型)を用いて、ロール温度120℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10Pa(厚さが1mm、縦10cm×横10cmの基板を用いたため、この時の線圧は9.8×10N/m)の条件でラミネートして、ガラス基板上に、感光性樹脂組成物層及び支持体フィルムが積層された基板を作製した。
次いで、得られた感光性樹脂組成物層に、活性光線透過部の直径が10μmφのパターニングされたフォトマスクを用い、平行光線露光機(オーク製作所株式会社製、EXM1201)を使用して、フォトマスクと感光性樹脂組成物層表面との間に150μmのギャップを設けて、フォトマスク面垂直上方より露光量5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を像的に照射した。
次いで、感光性樹脂組成物層上に積層されている支持体フィルムを除去し、0.5重量%の界面活性剤が含有した0.5重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、30℃で40秒間スプレー現像して、感光性樹脂組成物層を選択的に除去して液晶スペーサーのパターンを形成した。
得られた液晶スペーサーのパターンを走査型電子顕微鏡で観察したところ、光硬化した感光性樹脂組成物からなり、液晶スペーサーのパターンが基板から剥がれることなく、上面の直径が10μm、底面の直径が12μm、高さが4μmの円柱状の形状で良好に形成されていた。次いで、230℃で30分間、ボックス型乾燥機で加熱し、上述と同様に液晶スペーサーのパターンを走査型電子顕微鏡で観察したところ、厚さ3.2μmで上述と同様のパターン形状が良好に保持されていた。
〔塑性変形量の測定〕
実施例2に係る液晶スペーサーのバターンについて、実施例1と同じ条件で圧縮テストを行ったところ、押し込み変位量は、1.1μmであった。
〔液晶表示装置の表示品質評価〕
実施例2の液晶スペーサーを用いて、実施例1と同じ方法で液晶表示装置を作製した後、得られた液晶表示装置に電圧を印加し、表示品質を評価したところ、画面に表示ムラが認められず良好な表示品質であった。また、得られた液晶表示装置を−40℃に冷却し、画面全体を光学顕微鏡で観察し、表示品質を評価したところ、液晶層中に低温発泡は認められず、良好な表示品質であった。
実施例3
〔液晶スペーサー用感光性樹脂組成物溶液(V−2)の作製〕
下記表5に示す材料を、攪拌機を用いて15分間混合し、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物溶液(V−2)を作製した。
Figure 2006350297
〔液晶スペーサー用感光性エレメント(ii)の作製〕
支持体フィルムとして、50μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、得られた液晶スペーサー用感光性樹脂組成物溶液(V−2)を支持体フィルム上にコンマコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、感光性樹脂組成物層を形成した。得られた感光性樹脂組成物層の厚さは4μmであった。次いで、得られた感光性樹脂組成物層の上に、さらに、25μmの厚さのポリエチレンフィルムを、カバーフィルムとして張り合わせて、液晶スペーサー用感光性エレメント(ii)を作製した。
〔液晶表示装置における液晶スペーサーの製造〕
実施例2における液晶スペーサー用感光性エレメント(i)をここで得られた液晶スペーサー用感光性エレメント(ii)に代えた以外は、実施例2と同様にして、液晶スペーサーのパターンを形成した。得られた液晶スペーサーのパターンを走査型電子顕微鏡で観察したところ、光硬化した感光性樹脂組成物からなり、液晶スペーサーのパターンが基板から剥がれることなく、上面の直径が10μm、底面の直径が12μm、高さが4μmの円柱状の形状で良好に形成されていた。次いで、230℃で30分間、ボックス型乾燥機で加熱し、上述と同様に液晶スペーサーのパターンを走査型電子顕微鏡で観察したところ、厚さ3.2μmで上述と同様のパターン形状が良好に保持されていた。
〔塑性変形量の測定〕
実施例3に係る液晶スペーサーのバターンについて、実施例1と同じ条件で圧縮テストを行ったところ、押し込み変位量は、1.3μmであった。
〔液晶表示装置の表示品質評価〕
実施例3の液晶スペーサーを用いて、実施例1と同じ方法で液晶表示装置を作製した後、得られた液晶表示装置に電圧を印加し、表示品質を評価したところ、画面に表示ムラが認められず良好な表示品質であった。また、得られた液晶表示装置を−40℃に冷却し、画面全体を光学顕微鏡で観察し、表示品質を評価したところ、液晶層中に低温発泡は認められず、良好な表示品質であった。
比較例1
〔液晶スペーサー用感光性樹脂組成物溶液(V−3)の作製〕
下記表6に示す材料を、攪拌機を用いて15分間混合し、液晶スペーサー用感光性樹脂組成物溶液(V−3)を作製した。
Figure 2006350297
〔液晶表示装置における液晶スペーサーの製造〕
実施例1における液晶スペーサー用感光性樹脂組成物溶液(V−1)をここで得られた液晶スペーサー用感光性樹脂組成物溶液(V−3)に代えた以外は、実施例1と同様にして、液晶スペーサーのパターンを形成した。
得られた液晶スペーサーのパターンを走査型電子顕微鏡で観察したところ、光硬化した感光性樹脂組成物からなり、液晶スペーサーのパターンが基板から剥がれることなく、上面の直径が10μm、底面の直径が12μm、高さが4.2μmの円柱状の形状で良好に形成されていた。次いで、230℃で30分間、ボックス型乾燥機で加熱し、上述と同様に液晶スペーサーのパターンを走査型電子顕微鏡で観察したところ、厚さ3.6μmで上述と同様のパターン形状が良好に保持されていた。
〔塑性変形量の測定〕
比較例1に係る液晶スペーサーのバターンについて、実施例1と同じ条件で圧縮テストを行ったところ、押し込み変位量は、0.3μmであった。
〔液晶表示装置の表示品質評価〕
比較例1の液晶スペーサーを用いて、実施例1と同じ方法で液晶表示装置を作製した後、得られた液晶表示装置に電圧を印加し、表示品質を評価したところ、画面に表示ムラが認められず良好な表示品質であった。しかしながら、得られた液晶表示装置を−40℃に冷却し、画面全体を光学顕微鏡で観察し、表示品質を評価したところ、液晶層中に低温発泡が確認され、表示品質が劣るものであった。
液晶表示装置の模式断面図である。 本発明にかかる感光性エレメントの一実施形態を示す模式部分断面図である。 本発明にかかる感光性エレメントの他の実施形態を示す模式部分断面図である。 本発明にかかる液晶スペーサーの製造方法の工程断面図である。
符号の説明
1…液晶表示装置、2…電極、3…基板部材、4…緩衝材層、5…偏光板、6a,6b,46b…基板、10…液晶スペーサー、12…液晶スペーサー用感光性樹脂組成物層、12a…露光部、12b…非露光部、17…配向層、18…液晶層、20、30…液晶スペーサー用感光性エレメント、22…感光性樹脂組成物層、24…支持フィルム、25…カバーフィルム、L…活性光線。




Claims (11)

  1. 対向させて配設された基板間に液晶が封入された液晶表示装置の、該液晶が封入された層の厚さを一定に保つために配設された液晶スペーサーであって、室温において、四角錐形状のビッカース圧子を用いて荷重2gfを加えた時の押し込み変形量が、0.5〜1.5μmであることを特徴とする液晶スペーサー。
  2. 感光性樹脂組成物の硬化物からなる請求項1記載の液晶スペーサー。
  3. (a)光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマ、
    (b)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物、及び
    (c)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤、
    を含有する感光性樹脂組成物の硬化物からなる請求項1又は2記載の液晶スペーサー。
  4. 前記光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマは、側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体を含む請求項3記載の液晶スペーサー。
  5. 前記側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体のエチレン性不飽和基濃度は、1.0×10−4〜6.0×10−3モル/gである請求項4記載の液晶スペーサー。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶スペーサーに用いられる感光性樹脂組成物であって、
    (a)光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマ、
    (b)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物、及び
    (c)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤、
    を含有する液晶スペーサー用感光性樹脂組成物。
  7. 前記光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマは、側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合共重合体を含む請求項6記載の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物。
  8. 前記側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合共重合体のエチレン性不飽和基の濃度は、1.0×10−4〜6.0×10−3モル/gである請求項7記載の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物。
  9. 支持体フィルム上に、感光性樹脂組成物層を有してなる液晶スペーサー用感光性エレメントであって、前記感光性樹脂組成物層が請求項6〜8のいずれか一項に記載の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物からなる層であることを特徴とする液晶スペーサー用感光性エレメント。
  10. (1)基板上に、請求項6〜8のいずれか一項に記載の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物からなる層を形成する工程、(2)前記層に活性光線を像的に照射する工程、(3)現像により前記層を選択的に除去してパターンを形成する工程及び、(4)前記パターンを形成した前記層を加熱する工程、を有する液晶スペーサーの製造方法。
  11. (1’)基板上に、請求項9記載の液晶スペーサー用感光性エレメントを、前記感光性樹脂組成物層が前記基板に接するようにして積層する工程、(2)前記感光性樹脂組成物層に活性光線を像的に照射する工程、(3)現像により前記感光性樹脂組成物層を選択的に除去してパターンを形成する工程及び、(4)前記パターンを形成した前記感光性樹脂組成物層を加熱する工程、を有する液晶スペーサーの製造方法。
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