JP2006348730A - 舗装用アスファルトおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より簡便な方法で、薄膜加熱試験後の伸度が大きく、また針入度残留率が大きい等、耐劣化性に優れている舗装用アスファルトを提供する。
【解決手段】原油を400℃未満で常圧蒸留した後、得られる常圧蒸留残油をカット温度500〜650℃の範囲で減圧蒸留することにより、ワックス量2.2質量%未満、アスファルテン分7.5〜10.2質量%、硫黄分5.63〜6.00質量%、バナジウム/ニッケル比3.02〜3.66である減圧蒸留残油を得て、これを舗装用アスファルトとして用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は供用性に優れる舗装用アスファルトおよびその製造方法に関するものである。具体的には、薄膜加熱試験後の伸度が大きく、また針入度残留率が大きい等、アスファルト合材(アスファルト混合物ともいう)の製造、運搬、施工時の熱劣化および供用後の酸化劣化等に優れている舗装用アスファルトおよびその製造方法に関するものである。
道路用のアスファルト舗装材料は、通常は砕石、砂、石粉およびアスファルトをミキサーで加熱混合して製造される。すなわち、このアスファルト合材(アスファルト混合物とも称することがある)は、アスファルト合材プラントにおいて予め150〜170℃程度に加熱・乾燥した骨材(粒度の異なる砕石、砂、石粉)と150〜165℃程度に加熱貯蔵されているアスファルトをミキサーに投入し1分30秒ないしは2分程度攪拌混合してアスファルト合材を製造することにより製造される。この合材はダンプトラックに積載し保温して施工現場まで輸送される。施工現場では、道路等の現場上に140〜155℃で合材を所定厚さに均一に敷設し、120℃〜140℃程度の温度で鉄製のロードローラーで一次転圧し締め固める。次いで、90〜110℃程度の温度でゴム製のタイヤローラーにより二次転圧して舗装体として仕上げる。
このように、アスファルトは、アスファルト合材プラントの貯蔵タンクで150〜165℃程度に加熱貯蔵されており、合材製造時には混合により高温の骨材表面に薄膜状にコーティングされ、この状態で施工現場まで輸送される。近年の都市部における交通渋滞の中をダンプトラックで施工現場まで運ぶため以前に比べて輸送時間が掛かるようになり、保温しているとはいえ合材温度が下がって施工時の転圧温度を確保し難くなってきた。そのため合材プラントでは、アスファルト合材の温度を高めに製造して施工までの間の温度低下に対処している。したがってアスファルトはますます熱劣化、酸化劣化を受け易い条件になってきた。
舗装体中のアスファルトは、上記のようにアスファルト合材製造時および施工時に最も劣化が進むこととなり、舗装の供用後のひび割れや骨材剥離などの寿命に大きな影響を与えている。そのため、合材製造および施工時の劣化を模擬して薄膜加熱試験がJISに規定されている。耐劣化性は、具体的には、薄膜加熱試験後の伸度が大きく、また針入度残留率が大きい等により示される。
ここで、舗装用アスファルトの耐劣化性を改善する試みは従来、種々提案されている。
特許文献1では、アスファルト合材製造時等の混合温度を低くすること、かつリサイクル回数を多くすることを目的として、 原油の減圧蒸留残査を流動触媒床の下で水素添加処理し、さらに軽質分を除去する技術が開示されている。同文献では、そのアスファルト組成物は硫黄分や窒素分の含有量が水素添加により大幅に減少しているので、熱、酸化、紫外線に安定となり、路面の経時劣化、例えば骨材の剥離現象や、クラック、轍掘れ等に対して十分な耐久性を示すことができるとしている。また、ワックス分が除去されているので、ワックス析出により生じる骨材の剥離や、クラック等の発生が防止されるとしている。
特許文献2では、針入度及び感温性が改良されたプロパン脱れき改質アスファルトおよび、及びこれを用いて骨材との耐剥離性や感温性が改良された良質のストレートアスファルトを提供することを目的とした技術が開示されている。同文献によるストレートアスファルトは、全体組成として、パラフィン分が10質量%以下であることによりワックス分が低下し、ストレートアスファルトと骨材との耐剥離性が向上するとしている。また、ワックス分は、ストレートアスファルトと骨材との耐剥離性向上の観点から2質量%以下が好ましいとしている。
特開2002−60628号公報 特開2004−346156号公報
しかしながらこれらの技術は、プロパン脱れき改質アスファルトとを混合すること、あるいは減圧蒸留残査の水素添加処理、軽質分除去工程などを必須としており、より簡便な方法で耐劣化性を改善することが求められている。
また原油には、通常は特に問題を起こさない程度の非常に僅かであるが多種類の金属が含まれ、特にニッケルとバナジウムは広く分布し、その量とニッケル・バナジウム比は原油の種類によって大きく異なっている。これら金属は必ずしも金属単体の態様で存在するものではなく、それ故、原油の種類、精製の方法、その度合い等により一定限度でその含有率が変わりながら、残油中に混入してくる。それ故常圧または減圧の残油には、特にニッケルとバナジウムは、原油由来のものが一定限度ではあるものの含まれるものであり、特に減圧残渣のカット温度を変えることによりニッケルやバナジウムの量およびその比は異なってくる。
前記従来の技術では、プロパン脱れき改質アスファルトとの混合、あるいは減圧蒸留残査の水素添加処理、軽質分除去工程などを必須としており、より簡便な方法で耐劣化性を改善することが求められる。
そこで、本発明は、薄膜加熱試験後の伸度が大きく、また針入度残留率が大きい等、より簡便な方法で耐劣化性に優れている舗装用アスファルトおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、プロパン脱れき改質アスファルトを用いることなくそれ自体で、あるいは水素添加処理、軽質分除去工程などを必要とせず、耐劣化性に優れた舗装用アスファルトおよびその製造方法を検討した結果、原油、常圧蒸留残油あるいは減圧蒸留残油の性状を厳密に制御することにより、優れた耐劣化性を示すことを見出し、本発明の完成に至った。
本発明の第1は、ワックス量2.2質量%未満、アスファルテン分7.5〜10.2質量%、硫黄分5.63〜6.00質量%、バナジウム/ニッケル比3.02〜3.66である減圧蒸留残油よりなることを特徴とする舗装用アスファルトに関するものである。
本発明の第2は、原油を400℃未満で常圧蒸留した後、得られる常圧蒸留残油をカット温度500〜650℃の範囲で減圧蒸留することを特徴とする本発明の第1の舗装用アスファルトの製造方法に関するものである。
本発明の第3は、本発明の第2において、原油の性状が、30℃における動粘度10.88〜14.00mm/s、50℃における動粘度6.68〜7.98mm/s、硫黄分2.45〜2.80質量%、密度0.8658〜0.8740g/cmであることを特徴とする舗装用アスファルトの製造方法に関するものである。
本発明の第4は、本発明の第2または第3において、常圧蒸留残油の性状が、密度0.9660〜0.9749g/cm、50℃における動粘度581〜743mm/s、バナジウム/ニッケル比3.19〜3.70、残炭分10.3〜11.8質量%であることを特徴とする舗装用アスファルトの製造方法に関するものである。
本発明によれば、原油、常圧蒸留残油あるいは減圧蒸留残油の性状を厳密に制御することにより、プロパン脱れき改質アスファルトを用いることなく、あるいは水素添加処理、軽質分除去工程などを必要とせず、より簡便な方法で耐劣化性に優れた舗装用アスファルトを得ることが出来る。
本発明の舗装用アスファルトは特定の原油および特定の製法に係る減圧蒸留残油からなる。
この減圧蒸留残油は、原油を400℃未満で常圧蒸留した後、得られる常圧蒸留残油をカット温度500〜650℃の範囲で減圧蒸留することにより得られる。
用いる原油は、好ましくは中重質な原油であり、パラフィン基原油とナフテン基原油の中間に位置する中間基原油およびナフテン基原油が好ましく、具体的には、例えばアラビアンライト原油、イスムス原油、イラニアンヘビー原油、イラニアンライト原油、バチャケロ原油、ディアファナ原油、フート原油、クウェート原油、ラタウェー原油、アルライアン原油、エオシン原油、ソリューシュ原油が挙げられる。これらの原油は混合して用いることができる。
好ましい原油の性状は、30℃における動粘度10.88〜14.00mm/s、50℃における動粘度6.68〜7.98mm/s、硫黄分2.45〜2.80質量%、密度0.8658〜0.8740g/cmである。
常圧蒸留に付する原油の30℃における動粘度は10.88〜14.00mm/sであることが好ましい。原油の30℃における動粘度が10.88mm/sに満たない場合、あるいは14.00mm/sを超える場合は、後記の薄膜加熱試験後の15℃伸度が低下するため好ましくない。かかる理由から、原油の30℃における動粘度は11.00〜13.40mm/sがより好ましく、11.15〜13.40mm/sが最も好ましい。なお、ここでいう原油の30℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される動粘度(mm/s)を意味する。
常圧蒸留に付する原油の50℃における動粘度は6.68〜7.98mm/sであることが好ましい。原油の50℃における動粘度が6.68mm/sに満たない場合、あるいは7.98mm/sを超える場合は、後記の薄膜加熱試験後の15℃伸度が低下するため好ましくない。かかる理由から、原油の50℃における動粘度は6.78〜7.90mm/sがより好ましく、6.79〜7.72mm/sが最も好ましい。なお、ここでいう原油の50℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される動粘度(mm/s)を意味する。
常圧蒸留に付する原油の硫黄分は2.45〜2.80質量%であることが好ましい。原油の硫黄分が2.45質量%に満たない場合、あるいは2.80質量%を超える場合は、後記の薄膜加熱試験後の15℃伸度が低下するため好ましくない。かかる理由から、原油の硫黄分は2.48〜2.80質量%がより好ましく、2.48〜2.69質量%が最も好ましい。なお、ここでいう減圧蒸留残油の硫黄分とは、JIS K 2541「硫黄分試験方法」に準拠し得られた硫黄分の含有量(質量%)のことを意味する。
常圧蒸留に付する原油の密度は0.8658〜0.8740g/cmであることが好ましい。原油の密度が0.8658g/cmに満たない場合、あるいは0.8740g/cmを超える場合は、後記の薄膜加熱試験後の15℃伸度が低下するため好ましくない。かかる理由から、原油の密度は0.8670〜0.8740g/cmがより好ましく、0.8668〜0.8738g/cmが最も好ましい。なお、ここでいう原油の密度とは、JISK2249「密度試験方法」により測定される密度(g/cm)を意味する。
上記性状の原油は、上記した種類の原油から適宜選択して得ることができる。すなわち、原油性状は一定の幅で性状が変化することがあるが、適宜に上記好ましい原油の性状範囲に含まれるものを選択し、必要に応じて適宜にこれを混合して上記性状の原油を得ることができる。
上記原油を、400℃未満で常圧蒸留し、ガソリン、灯油、軽油および重油等を得るほか、常圧蒸留残油を得る。400℃以上では分解が進行するので、400℃未満の蒸留温度とする。常圧蒸留温度の下限値は、常圧蒸留可能ならば特に限定されない。通常は、200℃以上の温度である。
得られる常圧蒸留残油は、次ぎに減圧蒸留工程に付されて減圧蒸留残油を得るが、この次ぎの減圧蒸留工程に付すべき好ましい常圧蒸留残油の性状は以下のものである。
すなわち、好ましい常圧蒸留残油の性状としては、密度0.9660〜0.9749g/cm、50℃における動粘度581〜743mm/s、バナジウム/ニッケル比3.19〜3.70、残炭分10.3〜11.8質量%のものである。
上記のように次ぎの減圧蒸留工程に付す常圧蒸留残油の密度は0.9660〜0.9749g/cmであることが好ましい。常圧蒸留残油の密度が0.9660g/cmに満たない場合、あるいは0.9749g/cmを超える場合は、後記の薄膜加熱試験後の15℃伸度が低下するため好ましくない。かかる理由から、常圧蒸留残油の密度は0.9670〜0.9745g/cmがより好ましく、0.9690〜0.9741g/cmが最も好ましい。なお、ここでいう常圧蒸留残油の密度とは、JISK2207「密度試験方法」により測定される密度(g/cm)を意味する。
次ぎの減圧蒸留工程に付す常圧蒸留残油の50℃における動粘度は581〜743mm/sであることが好ましい。常圧蒸留残油の50℃における動粘度が581mm/sに満たない場合、あるいは743mm/sを超える場合は、薄膜加熱試験後の15℃伸度が低下するため好ましくない。かかる理由から、常圧蒸留残油の50℃における動粘度は590〜720mm/sがより好ましく、600〜718mm/sが最も好ましい。なお、ここでいう常圧蒸留残油の50℃における動粘度とは、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される動粘度(mm/s)を意味する。
次ぎの減圧蒸留工程に付す常圧蒸留残油のバナジウム/ニッケル比は3.19〜3.70であることが好ましい。常圧蒸留残油のバナジウム/ニッケル比が3.19に満たない場合、あるいは3.70を超える場合は、薄膜加熱試験後の15℃伸度が低下するため好ましくない。かかる理由から、常圧蒸留残油のバナジウム/ニッケル比3.20〜3.70がより好ましく、3.22〜3.60が最も好ましい。なお、ここでいう常圧蒸留残油のバナジウム/ニッケル比とは、ASTMD5863「元素分析方法」により測定されるバナジウムとニッケルの比を意味する。
次ぎの減圧蒸留工程に付す常圧蒸留残油の残留炭素分は10.3〜11.8質量%であることが好ましい。常圧蒸留残油の残留炭素分が10.3質量%に満たない場合、あるいは11.8質量%を超える場合は、後記の薄膜加熱試験後の15℃伸度が低下するため好ましくない。かかる理由から、常圧蒸留残油の残留炭素分は10.3〜11.7質量%がより好ましく、10.4〜11.7が最も好ましい。なお、ここでいう常圧蒸留残油の残留炭素分とは、JISK2270「残留炭素分試験方法」により測定される残留炭素分(質量%)を意味する。
上記性状の常圧蒸留残油は、上記選択した原油を適宜常圧蒸留することにより得られる。すなわち、上記範囲の密度、動粘度、バナジウム/ニッケル比、残留炭素分等を有する常圧蒸留残油は上記選択した原油を適宜常圧蒸留することにより容易に得られる。なお、これら密度、動粘度、バナジウム/ニッケル比、残留炭素分等の特性は、JISやASTM等の規格があるようにそれ自体は石油精製等の分野で常用される特性であり、天然資源である元の原油に起因して実際の常圧蒸留残油にはそれぞれの値としても相当程度種々の値がありえる。それゆえ、原油を選択し、さらに蒸留操作を加えることにより上記性状の常圧蒸留残油は容易に得ることが可能である。
得られた常圧蒸留残油を、次いでカット温度500〜650℃の温度範囲で減圧蒸留することにより、潤滑油等を得るほか、減圧蒸留残油を得る。ここで、カット温度とは大気圧下における温度に換算した温度である。好ましくは500〜565℃の範囲である。この範囲で減圧蒸留のカット温度を変えることにより減圧蒸留残油の25℃における針入度を、例えば30〜120になるように選択することができる。
減圧蒸留のカット温度が500℃以下であると減圧蒸留残油のアスファルテン分が7.5質量%以下となり、また650℃以上であると減圧蒸留残油のアスファルテン分が10.2質量%以上になり、最適な性状の減圧残油が得られないため好ましくない。
減圧蒸留の減圧度は特に限定されない。適宜の常法の減圧度を採用することができる。
得られる減圧蒸留残油は、ワックス量2.2質量%未満、アスファルテン分7.5〜10.2質量%、硫黄分5.63〜6.00質量%、バナジウム/ニッケル比3.02〜3.66の性状を有する。
得られる減圧蒸留残油のワックス量は、2.2質量%未満であることが必要である。減圧蒸留残油のワックス量2.2質量%以上であると、ワックス析出により生じる骨材の剥離やクラック等の発生が生じる恐れがあるため好ましくない。かかる理由から減圧蒸留残油のワックス量は2.0質量%以下がより好ましく、1.9質量%以下が最も好ましい。なお、ここでいう減圧蒸留残油のワックス量とは、DIN52015「Determination of paraffin wax content」に準拠し得られたワックスの含有量(質量%)のことを意味する。
得られる減圧蒸留残油のアスファルテン分は、7.5〜10.2質量%であることが必要である。減圧蒸留残油のアスファルテン分が7.5質量%に満たない場合は、ストレートアスファルトの耐流動性が低下し、轍掘れが生じやすくなる恐れがあるため好ましくない。一方、減圧蒸留残油のアスファルテン分が10.2質量%を超える場合は、アスファルト合材製造時の熱劣化をシミュレートする薄膜加熱試験後の15℃伸度が低下し、供用後のアスファルト舗装が早期にひび割れが生じやすくなる恐れがあるため好ましくない。かかる理由から、減圧蒸留残油のアスファルテン分は7.6〜10.0質量%がより好ましく、8.0〜10.0質量%が最も好ましい。なお、ここでいう減圧蒸留残油のアスファルテン分とは、JPI法「組成分析試験法」に準拠し得られたアスファルテン分の含有量(質量%)のことを意味する。
得られる減圧蒸留残油の硫黄分は、5.63〜6.00質量%であることが必要である。減圧蒸留残油の硫黄分が5.63質量%に満たない場合は、ストレートアスファルトのワックス分が2質量%以上になる恐れがあるため好ましくない。一方、減圧蒸留残油の硫黄分が6.00質量%を超える場合は、ストレートアスファルトの薄膜加熱試験後の伸度が低下しやすくなる恐れがあるため好ましくない。かかる理由から、減圧蒸留残油の硫黄分は5.60〜5.85質量%がより好ましく、5.69〜5.84質量%が最も好ましい。なお、ここでいう減圧蒸留残油の硫黄分とは、JIS K 2541「硫黄分試験方法」に準拠し得られた硫黄分の含有量(質量%)のことを意味する。
得られる減圧蒸留残油のバナジウム/ニッケル比は3.02〜3.66であることが必要である。減圧蒸留残油のバナジウム/ニッケル比が3.02質量%に満たない場合、あるいは3.66を超える場合は、薄膜加熱試験後の15℃伸度が低下するため好ましくない。かかる理由から、減圧蒸留残油の硫黄分は3.10〜3.60がより好ましく、3.20〜3.58が最も好ましい。なお、ここでいう減圧蒸留残油のバナジウム/ニッケル比とは、ASTMD5863「元素分析方法」に準拠し得られたバナジウムとニッケルの比を意味する。
なお好ましい25℃における針入度は30〜120であるが、前記した減圧蒸留におけるカット温度を変えることによりかかる針入度のものを得ることができる。
また本願の上記性状の減圧蒸留残油からなるアスファルトは、たとえば、上記した好ましい性状の原油から得られる常圧蒸留残油を、次いで減圧蒸留することにより容易に得ることができる。すなわち、上記ワックス量、アスファルテン分、硫黄分、バナジウム/ニッケル等の特性は、JISやASTM等の規格があるようにそれ自体は石油精製等の分野で常用される特性であり、天然資源であるもとの原油や常圧蒸留残油に起因して実際の減圧蒸留残油にはそれぞれの値としてもかなり種々の値がありえる。またその量(比)は蒸留操作によりある程度は変わることが知られている。それゆえ、原油を選択しさらに蒸留操作を加えることにより上記性状の減圧蒸留残油は容易に得られるものである。
以上のようにして得られる上記性状の減圧蒸留残油は、舗装用アスファルトとして、適宜に骨材等と混合され、合材製造、舗装施工に供される。また、改質材を配合した改質アスファルト基材としても使用することができる。さらに本発明のアスファルトは、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
以下に、本発明を実施例等により詳細に説明する。
「常圧蒸留と減圧蒸留」
クウェート原油またはクウェート原油85%を含有する混合原油を温度360℃で常圧蒸留をして常圧蒸留残油を得る。次ぎに得られる常圧蒸留残油を、減圧度1500(Pa)、カット温度520〜550℃で減圧蒸留し、減圧蒸留残油を得る。
原油、常圧蒸留残油、減圧蒸留残油の性状はそれぞれ表1および2に示す。
「薄膜加熱試験」
アスファルト(減圧蒸留残油)の劣化のしやすさを調べるための試験であり、アスファルトを規定の容器に50g採取し(膜厚約3mm)水平に回転させながら、163℃において5時間加熱して、試験後の特性を調べるものである。
薄膜加熱試験前および試験後の15℃における伸度はJISK2207「伸度試験方法」により測定した。また薄膜加熱試験後の針入度残留率は、薄膜加熱試験前および試験後の針入度を測定して以下の算式(*)より求めた。
*薄膜加熱後の針入度残留率(%)=加熱後の針入度/加熱前の針入度×100。
JIS規格では、針入度グレード毎に針入度残留率が決められており、ストレートアスファルト40−60、60−80および80−100は、それぞれ、58%、55%および50%以上が合格である。また、JIS規格では、試験前のアスファルトの15℃における伸度は、ストレートアスファルト40−60、60−80および80−100のいずれも100mm以上と規定されているが、薄膜加熱試験後の伸度は規定されていない。前述したように、薄膜加熱試験法は合材の製造時および施工時の熱劣化を評価する方法であるため、ここでは薄膜加熱試験後の伸度が100cm以上を耐劣化性が良好なアスファルトとして評価した。
<実施例1〜6>
実施例1〜6は、原油、常圧蒸留残油および減圧蒸留残油の性状が本発明の範囲に含まれるものである。
すなわち、表1の結果から、減圧蒸留残油の163℃、5時間の薄膜加熱試験後の15℃伸度が100cmを超え、また163℃、5時間の薄膜加熱試験後の針入度残留率は58%を超えて耐劣化性は十分なものであった。
Figure 2006348730
<比較例1〜6>
比較例1は、原油性状は本発明の範囲内ではあるが、減圧蒸留残油の性状が本発明の範囲を逸脱するものであり、表2の結果から減圧蒸留残油の163℃、5時間の薄膜加熱試験後の15℃伸度が100cmを下回り耐劣化性は不十分であった。
比較例2〜6は、いずれも原油、常圧蒸留残油および減圧蒸留残油の性状が本発明の範囲を逸脱するものであり、表2の結果から減圧蒸留残油の163℃、5時間の薄膜加熱試験後の15℃伸度が100cmを大きく下回り、163℃、5時間の薄膜加熱試験後の針入度残留率は55%以下であり、耐劣化性も不十分であった。
Figure 2006348730

Claims (4)

  1. ワックス量2.2質量%未満、アスファルテン分7.5〜10.2質量%、硫黄分5.63〜6.00質量%、バナジウム/ニッケル比3.02〜3.66である減圧蒸留残油よりなることを特徴とする舗装用アスファルト。
  2. 原油を400℃未満で常圧蒸留した後、得られる常圧蒸留残油をカット温度500〜650℃の範囲で減圧蒸留することを特徴とする請求項1記載の舗装用アスファルトの製造方法。
  3. 原油の性状が、30℃における動粘度10.88〜14.00mm/s、50℃における動粘度6.68〜7.98mm/s、硫黄分2.45〜2.80質量%、密度0.8658〜0.8740g/cmであることを特徴とする請求項2記載の舗装用アスファルトの製造方法。
  4. 常圧蒸留残油の性状が、密度0.9660〜0.9749g/cm、50℃における動粘度581〜743mm/s、バナジウム/ニッケル比3.19〜3.70、残留炭素分10.3〜11.8質量%であることを特徴とする請求項2または3記載の舗装用アスファルトの製造方法。
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