JP2006347019A - 感熱孔版用版材 - Google Patents
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Abstract
【課題】多孔性薄葉紙を使用しない実質的にフイルムのみからなる感熱孔版用版材であって、サーマルヘッドの熱により穿孔箇所周辺の熱による収縮や歪みが少ない感熱孔版用版材を提供する。
【解決手段】熱可塑性合成樹脂フィルム2の一方の側に微小凹部3aが形成され、もう一方の側に平均粒径が3μm以下の微粒子からなる層5が設けられており、かつ熱可塑性合成樹脂フィルム2の150℃における熱収縮率が10〜35%で、厚さが5〜15μmであることを特徴とする感熱孔版用版材。
【選択図】図1
【解決手段】熱可塑性合成樹脂フィルム2の一方の側に微小凹部3aが形成され、もう一方の側に平均粒径が3μm以下の微粒子からなる層5が設けられており、かつ熱可塑性合成樹脂フィルム2の150℃における熱収縮率が10〜35%で、厚さが5〜15μmであることを特徴とする感熱孔版用版材。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱エネルギー、とくにサーマルヘッドにより穿孔製版されて孔版印刷に供される感熱孔版用版材に関する。
サーマルヘッドにより穿孔製版される感熱孔版用版材としては、一般に熱可塑性樹脂フイルムと多孔性薄葉紙とを貼り合せた構成の感熱孔版原紙が使用されている。
この感熱孔版原紙における熱可塑性樹脂フイルムとしては、サーマルヘッドによる良好な穿孔性を確保する点から、厚さが1〜2μm程度の極めて薄いフィルムが使用されている。そのため、このフイルムを単体で使用すると、製版時のサーマルヘッドからの熱エネルギーにより製版穿孔箇所周辺への熱の影響によりフイルムの収縮や歪みが生じたり、印刷時における強度が弱く、破損する場合がある。このような製版時におけるフイルムの収縮や歪みを防止する目的や、印刷時における強度を補う目的で、多孔性薄葉紙が支持体として使用されている。なお、従来技術では、支持体を多孔性支持体と称している場合もあるが、その多くは繊維を使用した多孔性薄葉紙である。
多孔性薄葉紙は、一般には天然繊維である麻繊維、または麻繊維と極細の合成繊維を適宜混合したものを厚さ25〜60μm程度に抄紙したものであり、このような多孔性薄葉紙と熱可塑性樹脂フイルムとを接着剤を使用して貼り合わせたものが感熱孔版原紙として使用されている。
最近ではサーマルヘッドの精度が向上して発熱素子の面積が小さくなり、それに比例して各穿孔の面積も小さくなって字画の穿孔密度が上がり、理論的には鮮明度の向上した穿孔製版が得られ、それに伴って鮮明度の向上した印刷画像が得られるはずであるが、実際には多孔性薄葉紙の繊維の太さを細くするには限界があり、そのままでは各穿孔の面積に対して繊維の太さが相対的に大きくなり、予想通りの鮮明な印刷が得られない。
また多孔性薄葉紙の均一性の向上も限界に達しており、サーマルヘッドによる穿孔密度アップと多孔性薄葉紙の性能とがアンバランスな状況であった。
これらの対策として、多孔性薄葉紙などの支持体を使用しないフイルムのみからなる感熱孔版用版材が提案されている(特許文献1、2参照)。このフィルムのみからなる感熱孔版用版材は、熱可塑性樹脂フィルムの一方の面にエンボス加工により多数の微小凹部を形成したものであり、製版時にサーマルヘッドにより加熱することにより、加熱部分の微小凹部に貫通孔が形成され(微小凹部の部分ではフィルム厚さが部分的に薄くなっており、少ない熱エネルギーで貫通孔を形成できる)、インキの通路が形成され、孔版印刷が可能となる。
しかしながら、このフィルムのみからなる感熱孔版用版材では、サーマルヘッドの熱エネルギーにより穿孔箇所の熱エネルギーがその周辺に蓄熱されて周辺部に歪みを生じたり、縮んだりして正常な画像が得られないなどの問題があった。この問題を解決すためにサーマルヘッドの熱エネルギーを下げると、周辺部への熱の影響は少なくなるが、製版箇所に適正な穿孔が得られないという問題があった。
本発明は、多孔性薄葉紙を使用しない実質的にフイルムのみからなる感熱孔版用版材であって、サーマルヘッドの熱により穿孔箇所周辺の熱による収縮や歪みが少ない感熱孔版用版材を提供することを課題とする。
本発明者は、熱可塑性樹脂フイルムにサーマルヘッドの熱により実質的に溶融製版穿孔されない厚さのフイルムに微小な凹型のエンボス加工を施して、サーマルヘッドの熱により実質的に溶融製版穿孔されない厚い部分と容易に溶融製版穿孔される微小凹部を設けた実質的にフイルムのみからなる感熱孔版用版材であって、該微小凹部が形成されたフィルム面と反対側のサーマルヘッドと接する側の表面に平均粒径3μm以下の微粒子からなる層を設けることにより、製版時に該微小凹部の周辺部の熱による歪み、収縮を減少させ、かつ連続製版してもサーマルヘッドおよびその周辺に蓄熱された熱によるフイルムの収縮を低減できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明はつぎの感熱孔版用版材を提供する。
(1)熱可塑性合成樹脂フィルムの一方の側に微小凹部が形成され、もう一方の側に平均粒径が3μm以下の微粒子からなる層が設けられており、かつ熱可塑性合成樹脂フィルムの150℃における熱収縮率が10〜35%で、厚さが5〜15μmであることを特徴とする感熱孔版用版材。
(2)前記微粒子からなる層がさらに離型剤を含有する前記(1)項記載の感熱孔版用版材。
(1)熱可塑性合成樹脂フィルムの一方の側に微小凹部が形成され、もう一方の側に平均粒径が3μm以下の微粒子からなる層が設けられており、かつ熱可塑性合成樹脂フィルムの150℃における熱収縮率が10〜35%で、厚さが5〜15μmであることを特徴とする感熱孔版用版材。
(2)前記微粒子からなる層がさらに離型剤を含有する前記(1)項記載の感熱孔版用版材。
本発明の感熱孔版用版材においては、多孔性薄葉紙を使用せずに、サーマルヘッドの熱により穿孔箇所周辺の熱による収縮や歪みが少ない製版がえられる。
本発明の感熱孔版用版材は、熱可塑性合成樹脂フィルムの一方の側に微小凹部が形成され、もう一方の側に平均粒径3μm以下の微粒子からなる層(以下、微粒子層という場合がある)が設けられており、かつ熱可塑性合成樹脂フィルムの150℃における熱収縮率が10〜35%で、厚さが5〜15μmであることを特徴とするものであり、従来例における多孔性薄葉紙、多孔性支持体などの支持体を有さないものである。
以下、図面に基づいて本発明の感熱孔版用版材を説明する。
図1は本発明の感熱孔版用版材の一実施例を示す概略部分断面図である。図2は本発明の感熱孔版版材に用いる熱可塑性合成樹脂フィルムに微小凹部が形成されたフィルムの一実施例を示す概略部分断面図、図3はその一部切欠斜視図である。図4は熱可塑性合成樹脂フィルムに微小凹部が形成されたフィルムの製造方法の一実施例を示す説明図である。図5は本発明の感熱孔版用版材をサーマルヘッドで穿孔製版する工程を示す概略部分断面図である。図6は本発明の感熱孔版用版材を穿孔製版することにより得られる孔版を示す概略部分断面図である。
図1において、1は本発明の感熱孔版用版材であり、熱可塑性合成樹脂フィルム2の一方の側に微小凹部3aが形成されたフィルム4(以下、微小凹部形成フィルム4という場合がある)と、微小凹部3aが形成された側と反対側の面に設けられた微粒子層5とから構成されるものである。微小凹部形成フィルム4は、図2〜3に示されるように、微小凹部3aが形成された部分ではフィルム厚さが大幅に減少されている(このフィルム厚さが大幅に減少されている部分を薄肉部3bという場合がある)。
本発明で使用する微小凹部形成フィルム4は、たとえば、図4に示されるように、多数の同一形状の微小凸部11を表面に有する型押しロール10と、平滑な表面を有する支承ロール12との間に熱可塑性合成樹脂フィルム2を通し、エンボス加工を施すことにより製造することができる。
本発明の感熱孔版用版材は、たとえば、全自動感熱製版孔版印刷装置に好適に使用される。すなわち、該装置の製版部において、ロール状に巻回された感熱孔版用版材は巻き戻され搬送経路を移動されながらサーマルヘッドで穿孔製版され、得られた孔版は印刷部に搬送され、印刷ドラムに巻き付けられ、印刷に供される。製版時には、感熱孔版用版材1の微粒子層5を設けた側からサーマルヘッドで選択加熱することにより穿孔製版され、孔版が得られる。すなわち、図5に示されるように、発熱素子…7n−1、7n、7n+1…を有するサーマルヘッド6に感熱孔版用版材1の微粒子層5の側を接触させ、発熱素子7nを発熱させると、図6に示されるように、発熱素子7nで加熱された領域では、微小凹部3aの薄肉部3bとそれに隣接する微粒子層5の相当部分が穿孔されて貫通孔3cが形成され、それによって微小凹部3aの部分にフィルム2の全厚さと微粒子層5の厚さにわたる貫通孔3が形成されることとなり、印刷インキが通過しうる孔を有する孔版8が得られる。図6において、サーマルヘッド6の発熱素子7nで加熱されているが、微小凹部3aの存在しない部分、たとえば部分Aなどには貫通孔は形成されない。駆動されていない発熱素子7n−1、7n+1と接触している部分では、微小凹部3aが存在しても、貫通孔は形成されない。本発明の感熱孔版用版材では、発熱素子の熱エネルギーが微粒子層5および微小凹部3aの薄肉部3bに伝達されて、貫通孔が形成されるが、その際微粒子層5の存在によりフィルムの収縮や歪が防止される。すなわち、製版穿孔時にはとサーマルヘッド6が微粒子層5に対して荷重により均一に圧着されて滑りながら連続製版されるが、その時の圧着により微粒子層5の表面とサーマルヘッド6の密着性が高くなり、摩擦が大きいために滑り性が低減され、製版時の熱によりフイルムが収縮しようとするのを防止するものと推察される。さらに、貫通孔の周辺部に伝えられた熱は微粒子層5により放熱されやすいので、熱の蓄積が起こらず、これによってもフィルムの収縮や歪が防止されるものと推察される。微粒子層のこれらの作用により、原画に忠実に穿孔された孔版が得られる。
このようにして得られた孔版を孔版印刷機の印刷ドラムに装着して印刷することにより、原画に忠実な鮮明な画像を有する印刷物を多数枚得ることができる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂フイルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステルなどのフィルムが挙げられ、中でもポリプロピレン、ポリエステルのフィルムが好ましい。
製版時に微小凹部3aの薄肉部3bに貫通孔が形成されやすいように、熱可塑性樹脂フイルムは熱収縮性フィルムであるのが好ましい。熱収縮性フィルムとしては、少なくとも一軸方向に延伸され、該一軸方向における熱収縮率(150℃×10分)が10〜35%、なかんづく15〜28%であるのが好ましい。特に好ましい熱収縮性フィルムは、二軸延伸フィルムであって、各方向における熱収縮率(150℃×10分)がそれぞれ10〜35%(なかんづく15〜28%)であるものである。熱収縮率が前記範囲未満では、サーマルヘッドによる製版時の熱エネルギーにより熱可塑性樹脂フイルムが収縮が少なく、製版穿孔性が劣る傾向にある。一方熱収縮率が前記範囲を超えると、微粒子層5を設けてもフィルムの収縮や歪が充分に防止されず、原画に忠実に穿孔された孔版が得られにくい傾向にある。
熱可塑性樹脂フィルムは、厚さが5〜15μmであるのが好ましく、より好ましくは7〜12μmである。熱可塑性樹脂フィルムの厚さが前記範囲未満では、支持体が無いため版材としての強度が弱く、多枚数の印刷が困難になり、コスト的に好ましくない。一方熱可塑性樹脂フィルムの厚さが前記範囲を超えると、微小凹部3aを形成しても、製版穿孔性が劣り、印刷鮮明度が低下する傾向がある。
本発明における微小凹部形成フィルム4は、多数の微小な凸部を有する型押体を用いるエンボス加工により熱可塑性合成樹脂フィルム2に多数の微小な凹部を形成することによって製造することができる。
前記エンボス加工の方法としては、多数の微小な凸部を表面に有する型押しロールを用いる方法、多数の微小な凸部を表面に有する型押し板を用いる方法などがあげられる。多数の微小な凸部を表面に有する型押しロールを用いる方法では、たとえば、図4に示されるように、多数の微小な凸部11を表面に有する型押しロール10と、平滑な表面を有する支承ロール12との間に熱可塑性合成樹脂フィルム2を通してエンボス加工を施すことにより、熱可塑性合成樹脂フィルム2に多数の微小な凹部3aを形成する。この場合、凹部3aの深さは、2つのロールの間隔を調整しニップ圧を調整することによって、調節できる。多数の微小な凸部を表面に有する型押し板を用いる方法では、たとえば、2つの平滑な表面を有するロールの間に、多数の微小な凸部を表面に有する型押し板と熱可塑性合成樹脂フィルムを重ね合わせて通してエンボス加工を施すことにより、熱可塑性合成樹脂フィルムに多数の微小な凹部3aを形成する。この場合、凹部の深さは、2つのロールの間隔を調整しニップ圧を調整することによって、調節できる。連続してエンボス加工できる点からは、多数の微小な凸部を表面に有する型押しロールを用いる方法が有利である。エンボス加工は、通常常温で行えばよいが、フィルムが収縮しない温度範囲内であれば、加熱下に行ってもよい。
型押体における多数の微小な凸部は、エッチング、彫刻、切削、放電、レーザー加工などの方法により形成することができる。微小な凸部の形状としては、たとえば、円柱状、楕円柱状、多角柱状(四角柱状、5角柱状、6角柱状など)、これらの形状が若干先細りになった形状(切頭円錐台状、切頭楕円錐台状、切頭多角錐台状など)、またはこれらに近い形状であるのが好ましい。微小な凸部の配列パターンは、特に制限されず、各種パターンをとりうるものであり、たとえば、格子状パターン、千鳥格子パターン、最密六方格子パターンなどがあげられる。
多数の微小な凸部を有する型押体を用いるエンボス加工により熱可塑性合成樹脂フィルムに形成される多数の微小な凹部は、型押体の凸部とほぼ同じサイズか、若干小さいサイズを有する。したがって、本発明に使用する微小凹部形成フィルム4における微小凹部3aの底部の面積、微小凹部3aの単位面積当りの個数などは、型押体の微小凸部の先端部面積、単位面積当りの個数などとほぼ同等と考えてよい。
前記型押体の微小凸部1個当りの先端部面積(感熱孔版用版材における微小凹部3a1個当たりの底部面積にほぼ相当する)は、100〜4000平方ミクロンメートルであるのが好ましく、より好ましくは300〜2000平方ミクロンメートルである。また、前記型押体の微小凸部の平方ミリメートル当たりの個数(感熱孔版用版材における微小凹部3aの平方ミリメートル当たりの個数にほぼ相当する)は1500〜50個が好ましく、より好ましくは800〜120個である。微小凸部の先端部面積が前記範囲未満、あるいは微小凸部の個数が前記範囲を超すと、型押体の微小凸部の精度を出すのが困難であり、それに伴って微小凹部、微小凹部に形成される貫通孔のサイズにバラツキが生じ、印刷インキの通過量にバラツキが生じる傾向がある。微小凸部の先端部面積が前記範囲を超えるか、あるいは微小凸部の個数が前記範囲より少ないと、貫通孔のサイズが大きくなりすぎ、かつ単位面積当りの貫通孔の個数の低下により、印刷鮮明度が低下する傾向にある。
なお、本発明においては、型押体の微小凸部の先端部面積が100〜4000平方ミクロンメートルであり、かつ、該微小凸部の個数が1平方ミリメートル当たり1500個〜50個であるのが好ましいと規定しているが、たとえば、微小凸部の先端部面積が4000平方ミクロンメートルのとき、1平方ミリメートル当たり1500個の微小凸部が存在することは物理的にありえない。したがって、本発明においては、型押体の微小凸部の先端部面積が100〜4000平方ミクロンメートルの範囲内で大きくするにつれて、該微小凸部の個数を1平方ミリメートル当たり1500個〜50個の範囲内で少なくするのが好ましい。より具体的には、1平方ミリメートルの面積内に存在する微小凸部の先端部の面積の総和が1平方ミリメートルに占める割合(百分率)(以下、この割合を微小凸部占有率という)が好ましくは10〜40%、より好ましくは15〜30%となるように、微小凸部の先端部面積と1平方ミリメートル当りの個数を調節するのがよい。
熱可塑性合成樹脂フィルムに形成された微小凹部3aの底部の薄肉部3bの厚さは、3〜0.1μmの範囲であるのが好ましく、より好ましくは2〜1μmの範囲である。薄肉部3bの厚さが前記範囲を超えると、サーマルヘッドの熱エネルギーによる貫通孔の形成が困難になる傾向がある。薄肉部3bの厚さが前記範囲未満では、エンボス加工時に型押しロールが支承ロールに接触して、貫通孔が生じたり、型押しロールあるいは支承ロールが損傷する場合がある。
本発明においては、微小凹部形成フィルム4の微小凹部3aが形成された側と反対側の面に微粒子層5を設ける。
微粒子層5は、好ましくは熱可塑性樹脂中に熱伝導性の良好な平均粒径3μm以下の部粒子を分散させた構成のものである。前記熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂などが挙げられる。これら熱可塑性樹脂は単独または2種以上を混合して使用できる。微粒子としては、例えば、酸化チタン、水酸化アルミニウム、アルミナ、窒化アルミニウム、カオリン、炭酸カルシウム、金属粉、カーボンブラック、ジルコニアなどの平均粒径が3μm以下の微粒子があげられる。これら微粒子は単独または2種以上を混合して使用できる。
微粒子のサイズは平均粒径で3μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以下である。微粒子の平均粒径が前記範囲を超えると、滑り性が低下しすぎる(摩擦が大きくなりすぎる)ので好ましくない。微粒子層5における微粒子の含有量(乾燥後の微粒子層5における含有量をいう、以下同様)は40〜85重量%であるのが好ましく、より好ましくは50〜75重量%である。微粒子の含有量が前記範囲未満では、製版穿孔時の微粒子層の表面とサーマルヘッドとの間の滑り性が充分に低減せず、また熱伝導性が充分でない傾向があり、一方前記範囲を超えるとサーマルヘッドとの間の滑り性が過度に低減する傾向がある。
前記微粒子層5は、前記樹脂を適宜の溶剤に溶解した溶液に前記微粒子粉末を適宜の分散機を使用して分散して分散液を調製し、この分散液を適宜の塗工機により塗布、乾燥することによって形成できる。分散機としては、例えばボールミル、グレンミル、デスパーなどが挙げられる。前記分散液には、さらに分散剤、可塑剤、柔軟剤、静電防止剤などを適宜配合することができる。微粒子層5の厚さ(乾燥後の厚さをいう、以下同様)は、0.1〜3μmであるのが好ましく、より好ましくは0.5〜2μmである。微粒子層5の厚さが前記範囲未満では、微粒子による表面の滑り性低減効果(摩擦効果)が不充分であり、一方前記範囲を超えると、サーマルヘッドによる貫通孔の形成が困難になる傾向がある。
サーマルヘッドによる穿孔製版時にサーマルヘッドが感熱孔版用版材に熱融着するのを防ぐため、微粒子層5の表面に離型層を設けてもよい。離型層に使用する離型剤としては、シリコーンオイル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。離型層の乾燥後塗布量は、0.1〜0.01g/m2程度が好ましい。
本発明においては、微粒子層5に離型剤を配合して、微粒子層に離型層を付与するようにしてもよい。この実施態様の方が、コーティング加工が1工程で完了するので、別途離型層を設ける実施態様よりも好ましい。離型剤としては、シリコーンオイル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが使用できる。離型剤の微粒子層5における含有量は、特に制限されないが、1〜15重量%が好ましく、より好ましくは3〜10重量%である。
前記微粒子層、離型層などの塗工層は、例えばロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーターなどの塗工機を使用して形成できる。
つぎに実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等限定されるものではない。なお、下記において、とくに断らない限り、部は重量部である。
実施例1
図4に示される装置を用い、厚さ10μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも12%〕に常温でエンボス加工を施し、薄肉部3bの厚さが2μm程度になるように微小凹部3aが形成された熱可塑性合成樹脂フィルムを得た。型押しロールとしては、つぎのものを用いた。
凸部形状:切頭四角錐台状
凸部の先端部大きさ:20μm×20μm
凸部の根元部大きさ:31μm×31μm
凸部高さ:14μm
凸部の個数:576個/mm2
図4に示される装置を用い、厚さ10μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも12%〕に常温でエンボス加工を施し、薄肉部3bの厚さが2μm程度になるように微小凹部3aが形成された熱可塑性合成樹脂フィルムを得た。型押しロールとしては、つぎのものを用いた。
凸部形状:切頭四角錐台状
凸部の先端部大きさ:20μm×20μm
凸部の根元部大きさ:31μm×31μm
凸部高さ:14μm
凸部の個数:576個/mm2
前記微小凹部形成フィルムの凹部形成面とは反対側の面に、次の組成1の微粒子層用塗工液を乾燥後塗布厚さが1.5μmになるように塗布乾燥し、さらにその上に次ぎの組成2の離型層用塗工液を乾燥後塗布量が0.03g/m2になるように塗布乾燥して感熱孔版用版材を得た。
組成1
ポリビニールブチラール樹脂 7部
酢酸ブチル 40部
ブタノール 5部
メタノール 26部
ジブチルフタレート 2部
酸化チタン(平均粒径:0.21μm) 20部
ポリビニールブチラール樹脂 7部
酢酸ブチル 40部
ブタノール 5部
メタノール 26部
ジブチルフタレート 2部
酸化チタン(平均粒径:0.21μm) 20部
組成2
シリコーンオイル 3部
酢酸エチル 97部
シリコーンオイル 3部
酢酸エチル 97部
実施例2
実施例1において、ポリエステルフィルムとして、厚さ8μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも31%〕を用いたほかは実施例1と同様にしてエンボス加工を施し、薄肉部3bの厚さが2μm程度になるように微小凹部3aが形成された熱可塑性合成樹脂フィルムを得た。
実施例1において、ポリエステルフィルムとして、厚さ8μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも31%〕を用いたほかは実施例1と同様にしてエンボス加工を施し、薄肉部3bの厚さが2μm程度になるように微小凹部3aが形成された熱可塑性合成樹脂フィルムを得た。
前記微小凹部形成フィルムの凹部形成面とは反対側の面に、次の組成3の離型剤含有微粒子層用塗工液を乾燥後塗布厚さが1.1μmになるように塗布乾燥して感熱孔版用版材を得た。
組成3
ポリビニルピロリドン樹脂(ISP社製PVP K30) 8部
工業用エチルアルコール 50部
イソプロピルアルコール 30部
シリコーン樹脂 2部
水酸化アルミニウム粉(平均粒径:1.1μm) 10部
ポリビニルピロリドン樹脂(ISP社製PVP K30) 8部
工業用エチルアルコール 50部
イソプロピルアルコール 30部
シリコーン樹脂 2部
水酸化アルミニウム粉(平均粒径:1.1μm) 10部
比較例1
前記実施例1で得られた微小凹部形成フィルムの凹部形成面とは反対側の面に、前記組成1の微粒子層用塗工液を塗布せず、前記組成2の離型層用塗工液を乾燥後塗布量が0.03g/m2になるように直接塗布乾燥して感熱孔版用版材を得た。
前記実施例1で得られた微小凹部形成フィルムの凹部形成面とは反対側の面に、前記組成1の微粒子層用塗工液を塗布せず、前記組成2の離型層用塗工液を乾燥後塗布量が0.03g/m2になるように直接塗布乾燥して感熱孔版用版材を得た。
比較例2
実施例1において、ポリエステルフィルムとして、厚さ10μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも5%〕を用いたほかは実施例1と同様にしてエンボス加工を施し、微粒子層および離型層を形成して感熱孔版用版材を得た。
実施例1において、ポリエステルフィルムとして、厚さ10μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも5%〕を用いたほかは実施例1と同様にしてエンボス加工を施し、微粒子層および離型層を形成して感熱孔版用版材を得た。
比較例3
実施例1において、ポリエステルフィルムとして、厚さ10μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも39%〕を用いたほかは実施例1と同様にしてエンボス加工を施し、微粒子層および離型層を形成して感熱孔版用版材を得た。
実施例1において、ポリエステルフィルムとして、厚さ10μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも39%〕を用いたほかは実施例1と同様にしてエンボス加工を施し、微粒子層および離型層を形成して感熱孔版用版材を得た。
比較例4
実施例1において、ポリエステルフィルムとして、厚さ18μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも5%〕を用いたほかは実施例1と同様にしてエンボス加工を施し、微粒子層および離型層を形成して感熱孔版用版材を得た。
実施例1において、ポリエステルフィルムとして、厚さ18μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも5%〕を用いたほかは実施例1と同様にしてエンボス加工を施し、微粒子層および離型層を形成して感熱孔版用版材を得た。
比較例5
実施例1において、ポリエステルフィルムとして、厚さ2μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも5%〕を用いたほかは実施例1と同様にしてエンボス加工を施し、微粒子層および離型層を形成して感熱孔版用版材を得た。
実施例1において、ポリエステルフィルムとして、厚さ2μmの二軸延伸ポリエステルフィルム〔熱収縮率(150℃×10分):二軸とも5%〕を用いたほかは実施例1と同様にしてエンボス加工を施し、微粒子層および離型層を形成して感熱孔版用版材を得た。
前記で得られた各感熱孔版用版材を(株)デユプロ製全自動感熱製版孔版印刷装置DP3085(サーマルヘッド:400DPI)にて製版し、得られた孔版を用いて印刷して、製版時の収縮レベルおよび印刷鮮明度および印刷枚数を評価した。結果を表1に示す。
収縮レベルの評価基準
○:僅かに収縮がみられるが、印刷には影響しないレベル
△:文字部分には収縮が無いが、べた部分には収縮が有り、印刷すると僅かにシワが出る
×:全体に収縮が発生して印刷画像として適性でない
○:僅かに収縮がみられるが、印刷には影響しないレベル
△:文字部分には収縮が無いが、べた部分には収縮が有り、印刷すると僅かにシワが出る
×:全体に収縮が発生して印刷画像として適性でない
印刷鮮明度の評価基準
○:原稿に忠実な印刷画像が再現される
×:原稿の画像に対して歪みや白いスジが発生して鮮明度が悪いもの
○:原稿に忠実な印刷画像が再現される
×:原稿の画像に対して歪みや白いスジが発生して鮮明度が悪いもの
1 感熱孔版用版材
2 熱可塑性合成樹脂フィルム
3 貫通孔
3a 微小凹部
3b 薄肉部
3c 貫通孔
4 微小凹部形成フィルム
5 微粒子層
6 サーマルヘッド
7n−1、7n、7n+1 発熱素子
8 孔版
10 型押しロール
11 微小な凸部
12 支承ロール
2 熱可塑性合成樹脂フィルム
3 貫通孔
3a 微小凹部
3b 薄肉部
3c 貫通孔
4 微小凹部形成フィルム
5 微粒子層
6 サーマルヘッド
7n−1、7n、7n+1 発熱素子
8 孔版
10 型押しロール
11 微小な凸部
12 支承ロール
Claims (2)
- 熱可塑性合成樹脂フィルムの一方の側に微小凹部が形成され、もう一方の側の表面に平均粒径が3μm以下の微粒子からなる層が設けられており、かつ熱可塑性合成樹脂フィルムの150℃における熱収縮率が8〜33%で、厚さが4〜14μmであることを特徴とする感熱孔版用版材。
- 前記微粒子からなる層がさらに離型剤を含有する請求項1記載の感熱孔版用版材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005176450A JP2006347019A (ja) | 2005-06-16 | 2005-06-16 | 感熱孔版用版材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005176450A JP2006347019A (ja) | 2005-06-16 | 2005-06-16 | 感熱孔版用版材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006347019A true JP2006347019A (ja) | 2006-12-28 |
Family
ID=37643358
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005176450A Pending JP2006347019A (ja) | 2005-06-16 | 2005-06-16 | 感熱孔版用版材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006347019A (ja) |
-
2005
- 2005-06-16 JP JP2005176450A patent/JP2006347019A/ja active Pending
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