JP4825470B2 - 感熱孔版用版材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱エネルギー、とくにサーマルヘッドにより穿孔製版されて孔版印刷に供される感熱孔版用版材に関する。
サーマルヘッドにより穿孔製版される感熱孔版用版材としては、一般に熱可塑性樹脂フィルムと多孔性薄葉紙とを貼り合せた構成の感熱孔版原紙が使用されている。
この感熱孔版原紙における熱可塑性樹脂フィルムとしては、サーマルヘッドによる良好な穿孔性を確保する点から、厚さが1〜2μm程度の極めて薄いフィルムが使用されている。そのため、このフィルムを単体で使用すると、製版時のサーマルヘッドからの熱エネルギーにより製版穿孔箇所周辺への熱の影響によりフィルムの収縮や歪みが生じたり、印刷時における強度が弱く、破損する場合がある。このような製版時におけるフィルムの収縮や歪みを防止する目的や、印刷時における強度を補う目的で、多孔性薄葉紙が支持体として使用されている。なお、従来技術では、支持体を多孔性支持体と称している場合もあるが、その多くは繊維を使用した多孔性薄葉紙である。
多孔性薄葉紙は、一般にはマニラ麻、パルプ、こうぞなどの天然繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維などの合成繊維から選択される単独または繊維混合物を厚さ30〜60μm程度に抄紙したものであり、このような多孔性薄葉紙と熱可塑性樹脂フィルムとを接着剤を使用して貼り合わせたものが感熱孔版原紙として使用されている。
最近ではサーマルヘッドの精度が向上して発熱素子の面積が小さくなり、それに比例して各穿孔の面積も小さくなって字画の穿孔密度が上がり、理論的には鮮明度の向上した穿孔製版が得られ、それに伴って鮮明度の向上した印刷画像が得られるはずであるが、実際には多孔性薄葉紙の繊維の太さを細くするには限界があり、そのままでは各穿孔の面積に対して繊維の太さが相対的に大きくなり、予想通りの鮮明な印刷が得られない。
また多孔性薄葉紙の均一性の向上も限界に達しており、サーマルヘッドによる穿孔密度アップと多孔性薄葉紙の性能とがアンバランスな状況であった。
これらの対策として、多孔性薄葉紙などの支持体を使用しない実質的にフィルムのみからなる感熱孔版用版材が提案されている(特許文献1、2参照)。このフィルムのみからなる感熱孔版用版材は、熱可塑性樹脂フィルムの一方の面にエンボス加工により多数の微小凹部を形成したものであり、製版時にサーマルヘッドにより加熱することにより、加熱部分の微小凹部に貫通孔が形成され(微小凹部の部分ではフィルム厚さが部分的に薄くなっており、少ない熱エネルギーで貫通孔を形成できる)、インキの通路が形成され、孔版印刷が可能となる。
しかしながら、このフィルムのみからなる感熱孔版用版材では、サーマルヘッドの熱エネルギーにより穿孔箇所の熱エネルギーがその周辺に蓄熱されて周辺部に歪みを生じたり、縮んだりして正常な画像が得られないなどの問題があった。この問題を解決すためにサーマルヘッドの熱エネルギーを下げると、周辺部への熱の影響は少なくなるが、製版箇所に適正な穿孔が得られないという問題があった。
特開2001−213065号公報 特開2003−39844号公報
本発明は、多孔性薄葉紙を使用しない感熱孔版用版材であって、サーマルヘッドの熱により穿孔箇所周辺の熱による収縮や歪みが少ない感熱孔版用版材を提供することを課題とする。
本発明者らは、サーマルヘッドの熱により実質的に溶融製版穿孔されない均一な厚さを有する熱可塑性合成樹脂フィルムに実質的に均等に微小な貫通孔を形成したフィルム材に、厚さ3μm以下のポリエステルフィルムを積層した構成により、製版時に該微小凹部の周辺部の熱による歪み、収縮を減少させ、かつ連続製版してもサーマルヘッドおよびその周辺に蓄熱された熱によるフィルムの収縮を低減できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明はつぎの感熱孔版用版材を提供する。
(1)微小貫通孔が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムに、厚さ3μm以下のポリエステルフィルムが積層されてなり、前記微小貫通孔が所定のピッチで形成され、微小貫通孔の平均孔径/平均ピッチの比が0.2〜0.7であり、前記微小貫通孔の平均開口面積が100〜3000平方ミクロンメートルであり、かつ該微小貫通孔の個数が1平方ミリメートル当たり2000〜100個であることを特徴とする感熱孔版用版材。
(2)前記熱可塑性合成樹脂フィルムの厚さが4〜20μmである前記(1)項記載の感熱孔版用版材。
(3)前記微小貫通孔が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムの開口率が10〜35%である前記(1)または(2)項記載の感熱孔版用版材。
微小貫通孔が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムに、厚さ3μm以下のポリエステルフィルムが積層されてなる本発明の感熱孔版用版材をポリエステルフィルム側からサーマルヘッドで製版すると、サーマルヘッドの熱による穿孔箇所周辺の収縮や歪みが少ない製版が得られ、極めて鮮明度の高い印刷物が得られる。
さらに、微小な貫通孔のピッチ、開口面積、開口率などを規定することにより、従来においてはサーマルヘッドにのみ依存していた穿孔密度を版材に設ける微小貫通孔で調節でき、それにより任意の印刷濃度、印刷鮮明度が達成できるという効果が奏される。
本発明の感熱孔版用版材は、微小貫通孔が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムに、厚さ3μm以下のポリエステルフィルムが積層されてなることを特徴とする。
以下、図面に基づいて本発明の感熱孔版用版材を説明する。
図1は本発明の感熱孔版用版材の一実施例を示す概略部分断面図である。図2は本発明の感熱孔版版材に用いる微小貫通孔が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムの一実施例を示す概略部分断面図である。図3〜4は前記微小貫通孔が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムの製造方法の一例を示す説明図である。図5は本発明の感熱孔版用版材をサーマルヘッドで穿孔製版する工程を示す概略部分断面図である。図6は本発明の感熱孔版用版材を穿孔製版することにより得られる孔版を示す概略部分断面図である。
図1において、1は本発明の感熱孔版用版材であり、熱可塑性合成樹脂フィルム2に微小貫通孔が形成されたフィルム4(以下、多孔フィルム4という場合がある)に、厚さ3μm以下のポリエステルフィルム6が接着層5を介して積層されてなる構成のものである。
前記多孔フィルム4は、図2に示されるように、熱可塑性合成樹脂フィルム2に微小貫通孔(貫通孔3a、3bは連続した孔である)が形成されたものであり、このものは、たとえば、図3に示されるように、多数の同一形状の微小凸部11を表面に有する型押しロール10と、平滑な表面を有する支承ロール12との間に熱可塑性合成樹脂フィルム2を通し、エンボス加工を施すことにより、図4に示されるように、熱可塑性合成樹脂フィルム2に多数の微小な凹部3aを形成したフィルム8(以下、微小凹部形成フィルム8という場合がある)を製造し、ついで該微小凹部形成フィルム8に該フィルムの溶融温度より低くガラス転移温度より高い温度で熱処理を施すことにより、図2に示されるように、該凹部3aの底部の薄肉部3dの部分(図4参照)に貫通孔3bを形成し、実質的に同一形状の微小貫通孔が実質的に規則的に配列されている構成とすることによって製造できる。
ここで、実質的に同一形状の微小貫通孔とは、熱可塑性合成樹脂フィルムに設けられた多数の微小貫通孔同士がほぼ同一形状を有し、実質的に相互に区別しえないことをいい、従来の相分離法や延伸開孔法による微多孔性高分子フィルムにおけるような孔同士が内部で連通していたり、孔が曲がりくねったり、枝分かれしていたりする連通孔とは異なり、各貫通孔は相互に独立しており、かつ熱可塑性合成樹脂フィルムの表から裏に直通しているものである。
前記多孔フィルム4においては、その製法上、微小貫通孔については、エンボス加工により形成される凹部3a側のフィルム表面の開口部(以下、3a側開口部という場合がある)と、熱処理により形成される孔に対応する部分3b側のフィルム表面の開口部(以下、3b側開口部という場合がある)との大きさを比較すると、3b側開口部は3a側開口部と同一か、3a側開口部より小さい(図1〜4参照)。本発明において、微小貫通孔に関し、孔径、平均孔径、ピッチ、平均ピッチ、開口面積、平均開口面積、開口率という場合は、3b側開口部についての値をいう。
本発明において、微小貫通孔の孔径とは、3b側開口部における孔径の単位面積あたりの平均値をいい、微小貫通孔の平均孔径とは、任意に選択された複数(10箇所)の領域の該単位面積当りの孔径の平均値をいう。また、本発明において、微小貫通孔のピッチとは、3b側開口部において、直線上に並ぶ微小貫通孔の配列(複数ある)のうち、隣接する2つの孔の中心点間距離が最も短かくなる配列を選択し、選択した配列における当該隣接する2つの孔の中心点間距離をいい、微小貫通孔の平均ピッチとは、任意に選択された複数(10箇所)の領域における前記ピッチの平均値をいう。微小貫通孔の開口面積とは、3b側開口部における孔の開口面積の単位面積当りの平均値をいう。微小貫通孔の平均開口面積とは、任意に選択された複数(10箇所)の領域の該単位面積当りの開口面積の平均値をいう。多孔フィルムの開孔率とは、3b側開口部における孔の開口面積を単位面積について合計した値を求め、任意に選択された複数(10箇所)の領域の該単位面積当りの合計面積の平均値を求め、これを単位面積当りの百分率として表したものである。
本発明の感熱孔版用版材は、たとえば、全自動感熱製版孔版印刷装置に好適に使用される。すなわち、該装置の製版部において、ロール状に巻回された感熱孔版用版材は巻き戻され搬送経路を移動されながらサーマルヘッドで穿孔製版され、得られた孔版は印刷部に搬送され、印刷ドラムに巻き付けられ、印刷に供される。製版時には、感熱孔版用版材1のポリエステルフィルム6を積層した側からサーマルヘッドで選択加熱することにより穿孔製版され、孔版が得られる。すなわち、図5に示されるように、発熱素子…21n−1、21n、21n+1…を有するサーマルヘッド20に感熱孔版用版材1のポリエステルフィルム6の側を接触させ、発熱素子21nを発熱させると、図6に示されるように、発熱素子21nで加熱された領域では、貫通孔3a、3bに隣接する接着層5およびポリエステルフィルム6の相当部分が穿孔されて貫通孔3cが形成され、それによって多孔フィルム4、接着層5およびポリエステルフィルム6の全厚さにわたる貫通孔3が形成されることとなり、印刷インキが通過しうる孔を有する孔版7が得られる。図6において、サーマルヘッド20の発熱素子21nで加熱されているが、貫通孔3a、3bの存在しない部分、たとえば部分Aなどには貫通孔3は形成されない。駆動されていない発熱素子21n−1、21n+1と接触している部分では、貫通孔3a、3bが存在しても、貫通孔3は形成されない。本発明の感熱孔版用版材では、発熱素子の熱エネルギーがポリエステルフィルム6および接着層5に伝達されて、貫通孔3が形成されるが、その際ポリエステルフィルム6の存在により感熱孔版用版材の収縮や歪が防止される。すなわち、フィルム6が多孔フィルム4の貫通孔が存在する箇所のみで穿孔されるが、それによりサーマルヘッドの熱エネルギーが拡散されずに溶融・収縮エネルギーに代わり穿孔されるものと思われる。貫通孔が無い箇所ではサーマルヘッドからの熱エネルギーがフィルム6から接着層を通過して多孔フィルムに伝達されるが、この多孔フィルムの未貫通部分ではそのままフィルムの厚みが体積として存在するので熱が拡散されて、フィルム6が穿孔するに至らない。従ってフィルム4の厚さが薄いとフィルム4が収縮したりフィルム6の未貫通部分が溶融収縮したりして好ましくないのである。
このようにして得られた孔版を孔版印刷機の印刷ドラムに装着して印刷することにより、原画に忠実な鮮明な画像を有する印刷物を多数枚得ることができる。
本発明においては、多孔フィルム4における微小貫通孔の平均孔径/平均ピッチの比が0.2〜0.7であるのが好ましく、より好ましくは0.4〜0.6である。ピッチが前記範囲より大きいと独立した貫通孔の形成が極めて困難であったり、強度が不足して貫通孔形成時にフィルムが破断するなどの問題が生じる傾向がある。またピッチが前記範囲未満では貫通孔と貫通孔、すなわちインクの透過部分の距離が開いて印刷濃度が低下したり印刷イメージが悪くなる傾向がある。従来の相分離法や延伸開孔法による不規則な孔では平均孔径/平均ピッチの比を想定することは困難であるが、本発明では、微小貫通孔を平均孔径/平均ピッチの比で規定でき、微小貫通孔がフィルムに規則的に形成されていることを示す。
なお、本発明において、微小貫通孔の平均孔径は60μm以下が好ましく、より好ましくは10〜40μmである。平均孔径が前記範囲を外れると、高精細な孔版が得られにくい傾向にある。
さらに、本発明においては、微小貫通孔の平均開口面積が100〜3000平方ミクロンメートルであるのが好ましく(より好ましくは300〜2000平方ミクロンメートルである)、かつ、該微小貫通孔の個数が1平方ミリメートル当たり2000個〜100個であるのが好ましい(より好ましくは600〜100個である)。微小貫通孔の平均開口面積が前記範囲未満では、印刷時における印刷インクの透過量が少なくなり印刷濃度が薄くなり好ましくない。微小貫通孔の平均開口面積が前記範囲を超えると、印刷インクの透過量が多くなり印刷濃度が過剰になり好ましくない。
なお、本発明においては、微小貫通孔の平均開口面積が100〜3000平方ミクロンメートルであり、かつ、該微小貫通孔の個数が1平方ミリメートルあたり2000個〜100個であると規定しているが、たとえば、微小貫通孔の平均開口面積が3000平方ミクロンメートルのとき、2000個の微小貫通孔が存在することは物理的にありえない。したがって、本発明においては、微小貫通孔の平均開口面積が100〜3000平方ミクロンメートルの範囲内で大きくなるにつれて、微小貫通孔の個数を1平方ミリメートルあたり2000個〜100個の範囲内で少なくするのが好ましい。より具体的には、多孔フィルムの開口率が好ましくは10〜35%、より好ましくは15〜25%になるように、微小貫通孔の平均開口面積と個数を調節するのがよい。多孔フィルムの開口率が前記範囲未満では、印刷濃度が低下する傾向がある。多孔フィルムの開口率が前記範囲を超えると、孔版印刷用の版としての強度が低下して印刷枚数が減少したり、過大にインクが通過して鮮明度が低下したり、印刷濃度が過大になりインクの乾燥性が低下する傾向がある。
本発明で使用する多孔フィルムにおける微小貫通孔のフィルム面に沿った断面形状(または開孔部形状)は、特に制限されず、各種形状をとりうるものであり、たとえば、円形、楕円形、多角形(四角形、5角形、6角形など)などが挙げられる。通常は円形が好ましい。微小貫通孔のフィルムの厚さ方向に沿った形状は、特に制限されず、各種形状をとりうるものであるが、フィルムの厚さ方向に、できるだけ同一の形状であることが好ましい。すなわち、円柱状、楕円柱状、多角柱状、またはこれらに近い形状であるのが好ましい。
微小貫通孔のフィルム面に沿った配列パターンは、特に制限されず、各種パターンをとりうるものであり、たとえば、格子状パターン、千鳥格子パターン、最密六方格子パターンなどがあげられ、用途により適宜選択される。
熱可塑性合成樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、それらの2種以上の共重合体、それらの2種以上のブレンド物などがあげられ、用途により適宜選択使用される。
本発明で使用する多孔フィルムの厚さは、適宜選択されるものであるが、一般的には、4〜20μmであるのが好ましく、より好ましくは5〜15μmである。厚さが前記範囲未満では強度が低くなりすぎる傾向にある。一方、厚さが前記範囲を超えると、製法上所定の多孔構造を得るのが困難な傾向にある。
本発明で用いる前記多孔フィルムは、多数の微小な凸部を有する型押体を用いるエンボス加工により熱可塑性合成樹脂フィルムに多数の微小な凹部を形成し、ついで該熱可塑性合成樹脂フィルムの溶融温度より低くガラス転移温度より高い温度で熱処理を施すことにより、該凹部に貫通孔を形成して製造することができる。
前記エンボス加工の方法としては、多数の微小な凸部を表面に有する型押しロールを用いる方法、多数の微小な凸部を表面に有する型押し板を用いる方法などがあげられる。多数の微小な凸部を表面に有する型押しロールを用いる方法では、たとえば、図3に示されるように、多数の微小な凸部11を表面に有する型押しロール10と、平滑な表面を有する支承ロール12との間に熱可塑性合成樹脂フィルム2を通してエンボス加工を施すことにより、熱可塑性合成樹脂フィルム2に多数の微小な凹部3aを形成する。この場合、凹部3aの深さは、2つのロールの間隔を調整しニップ圧を調整することによって、調節できる。多数の微小な凸部を表面に有する型押し板を用いる方法では、たとえば、2つの平滑な表面を有するロールの間に、多数の微小な凸部を表面に有する型押し板と熱可塑性合成樹脂フィルムを重ね合わせて通してエンボス加工を施すことにより、熱可塑性合成樹脂フィルムに多数の微小な凹部3aを形成する。この場合、凹部の深さは、2つのロールの間隔を調整しニップ圧を調整することによって、調節できる。連続してエンボス加工できる点からは、多数の微小な凸部を表面に有する型押しロールを用いる方法が有利である。エンボス加工は、通常常温で行えばよいが、フィルムが収縮しない温度範囲内であれば、加熱下に行ってもよい。
型押体における多数の微小な凸部は、エッチング、彫刻、切削、放電、レーザー加工などの方法により形成することができる。微小な凸部の形状としては、たとえば、円柱状、楕円柱状、多角柱状(四角柱状、5角柱状、6角柱状など)、これらの形状が若干先細りになった形状(切頭円錐台状、切頭楕円錐台状、切頭多角錐台状など)、またはこれらに近い形状であるのが好ましい。微小な凸部の配列パターンは、特に制限されず、各種パターンをとりうるものであり、たとえば、格子状パターン、千鳥格子パターン、最密六方格子パターンなどがあげられる。
多数の微小な凸部を有する型押体を用いるエンボス加工により熱可塑性合成樹脂フィルムに形成される多数の微小な凹部は、型押体の凸部とほぼ同じサイズか、若干小さいサイズを有する。
微小凹部形成フィルム8に形成された微小凹部3aの底部の薄肉部3dの厚さは、3〜0.1μmの範囲であるのが好ましく、より好ましくは2〜1μmの範囲である。薄肉部3dの厚さが前記範囲を超えると、熱処理による貫通孔の形成が困難になる傾向がある。薄肉部3dの厚さが前記範囲未満では、エンボス加工時に型押しロールが支承ロールに接触して、貫通孔が生じたり、型押しロールあるいは支承ロールが損傷する場合がある。
前記エンボス加工によって多数の微小な凹部が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムに熱処理を施すことによって、凹部の底部の樹脂が周辺方向に収縮して孔が穿たれ、貫通孔が形成される。この熱処理により、エンボス加工により形成された凹部の径は若干大きくなる。熱処理は、熱可塑性合成樹脂フィルムの溶融温度より低くガラス転移温度より高い温度で行なう。熱処理温度が熱可塑性合成樹脂フィルムのガラス転移温度以下であると、貫通孔の形成が困難になる傾向がある。熱処理温度が熱可塑性合成樹脂フィルムの溶融温度以上であると、貫通孔が大きく変形したり、熱可塑性合成樹脂フィルムが破損したりする傾向がある。
熱処理により良好な貫通孔を形成するには、熱可塑性合成樹脂フィルムとして熱収縮性フィルムを用いるのが好ましい。熱収縮性フィルムとしては、少なくとも一軸方向に延伸され、該一軸方向における熱収縮率(150℃×10分)が5〜40%、なかんづく10〜30%であるのが好ましい。特に好ましい熱収縮性フィルムは、二軸延伸フィルムであって、各方向における熱収縮率(150℃×10分)がそれぞれ5〜40%(なかんづく10〜30%)であるものである。
熱処理は、熱可塑性合成樹脂フィルムを緊張した状態で所定温度(熱可塑性合成樹脂フィルムの溶融温度より低くガラス転移温度より高い温度)の雰囲気に所定時間(数秒〜数十秒)曝すことによって行なうことができる。熱処理の好ましい温度条件、時間条件は、熱可塑性合成樹脂フィルムの種類、熱可塑性合成樹脂フィルムの厚さ、熱収縮率、所望する貫通孔の孔径などにより変わり、一概に決められないが、たとえば、一例を示せば、厚さが5〜10μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(溶融温度250℃、ガラス転移温度70℃)であって、各方向における熱収縮率(150℃×10分)がそれぞれ10〜30%であるものの場合、処理温度100〜220℃程度、処理時間5〜30秒程度である。
熱可塑性合成樹脂フィルムを緊張状態に保持するのは、バッチ式熱処理では、型枠に熱可塑性合成樹脂フィルムを固定することによって行なうことができ、連続式熱処理では、フィルム延伸機を使用して行なうことができる。
次に本発明で使用される厚さ3μm以下のポリエステルフィルムは、サーマルヘッドの製版時の熱エネルギーにより穿孔製版可能なフィルムであり、一般には厚さ3μm以下であり、より好ましくは2μm以下である。ポリエステルフィルムの厚さが前記範囲を超えると、サーマルヘッドの熱エネルギーを過大にする必要があり、多孔フィルムにも余分な熱が加わり熱収縮が発生して好ましくない。厚さ3μm以下のポリエステルフィルムの厚さの下限値はとくに限定されないが、1.0μm以上が好ましく、より好ましくは1.4μm以上である。
また前記厚さが3mμ以下のポリエステルフィルムのポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのホモポリマー、それらのコポリマー、それらのブレンド物などが挙げられる。これらポリエステルフィルムとしては、少なくとも一軸方向に延伸され、該一軸方向における熱収縮率(150℃×10分)が4〜40%であり(より好ましくは、二軸延伸フィルムであって、各方向における熱収縮率(150℃×10分)がそれぞれ4〜40%であるもの)、かつ融点が200〜250℃であるものが、サーマルヘッドの熱エネルギーによる穿孔製版性が良好な点から好ましいが、これらの選定はサーマルヘッドの熱エネルギーに適合させて適宜選択することができる。
前記厚さ3μm以下のポリエステルフィルムは多孔フィルムに積層されるが、通常は
開口部の広い3b開口部側に積層するのが好ましい。積層方法は一般的には接着剤を使用する。接着剤はどちらのフィルムに塗布してもよく、両方に塗布してもよい。接着剤としてはポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、酢酸ビニル系などの接着剤が使用できるが、好ましくポリエステル系、ウレタン系である。これら接着剤塗工液は公知の塗布方法、たとえばロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーターなどにより塗布できる。接着剤の膜厚(乾燥後の膜厚)は、0.02〜2μmの範囲が好ましく、より好ましく0.1〜1μmである。
本発明の感熱孔版用版材においては、製版時にサーマルヘッドが接触する側である厚さ3μm以下のポリエステルフィルムの表面に、サーマルヘッドとの間の摩擦抵抗を下げ、かつ穿孔時に溶融したフィルムがサーマルヘッドに溶着しないようにするために、シリコーン系、フッ素樹脂系などの離型層を設けることが好ましい。この離型層中には静電防止剤を混合してもよい。さらに本発明の感熱孔版用版材においては、サーマルヘッドが接触する側と反対側の面に静電防止剤を塗布してもよい。
つぎに実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等限定されるものではない。
以下の実施例において使用される特性値の測定方法はつぎのとおりである。なお、いずれの特性値も、測定装置としてレーザーテック(株)製の走査型レーザー顕微鏡1LM21型を用い、画像処理ソフトとしてレーザーテック(株)製のLMeyeを用いて、画像処理により求めた。
(1)微小貫通孔の平均孔径
前記走査型レーザー顕微鏡を用い、多孔フィルムの3b側のプロファイルをレーザースキャンにより取り込み、14インチモニタ上にモニタ倍率1000倍に拡大して画像化する。前記画像処理ソフトにより、取り込んだ画像の水平補正をした後、フィルタサイズ3×3のフィルタをかけてノイズを除去し、測定範囲を100μm(±5μm)×100μm(±5μm)の領域(単位面積)に指定し、該領域内を2値化して孔画像を得る(境界線上にある孔は除く)。2値化孔画像のうち、面積が1500ピクセル以下のものは削除を行なう。
次に、画像処理ソフトの測定項目「円相当径」を選択し、画面上において真円でない各孔について円相当径(面積が同一の真円の直径)を求め、それらの平均値を微小貫通孔の孔径とする。
前記操作を多孔フィルムの任意に選択した10箇所において行ない、10箇所で得られた測定値(微小貫通孔の孔径)の平均値を微小貫通孔の平均孔径とした。
(2)微小貫通孔の平均ピッチ
前記走査型レーザー顕微鏡を用い、多孔フィルムの3b側のプロファイルをレーザースキャンにより取り込み、14インチモニタ上にモニタ倍率400倍に拡大して画像化する。前記画像処理ソフトにより、取り込んだ画像の水平補正をした後、フィルタサイズ3×3のフィルタをかけてノイズを除去し、測定範囲を100μm(±5μm)×100μm(±5μm)の領域(単位面積)に指定し、該領域内を2値化して孔画像を得る(境界線上にある孔は除く)。2値化孔画像のうち、面積が1500ピクセル以下のものは削除を行なう。
次に、マニュアル操作により「手動計測2点間距離」の項目を選択し、直線上に並ぶ微小貫通孔の配列のうち、隣接する2つの孔の中心点間距離が最も短かくなる配列を選択し、その配列上に10個の連続する微小貫通孔を選択し、隣接する2つの孔の中心点間距離(合計9個)を計測し、それらの平均値をピッチとする。
前記操作を多孔フィルムの任意に選択した10箇所において行ない、10箇所で得られたピッチの測定値の平均値を微小貫通孔の平均ピッチとした。
(3)微小貫通孔の平均孔径/平均ピッチの比
前記(1)で得られた平均孔径の値と前記(2)で得られた平均ピッチの値から、微小貫通孔の平均孔径/平均ピッチの比を求めた。
(4)微小貫通孔の平均開口面積
前記走査型レーザー顕微鏡を用い、多孔フィルムの3b側のプロファイルをレーザースキャンにより取り込み、14インチモニタ上にモニタ倍率1000倍に拡大して画像化する。前記画像処理ソフトにより、取り込んだ画像の水平補正をした後、フィルタサイズ3×3のフィルタをかけてノイズを除去し、測定範囲を100μm(±5μm)×100μm(±5μm)の領域(単位面積)に指定し、該領域内を2値化して孔画像を得る(境界線上にある孔は除く)。2値化孔画像のうち、面積が1500ピクセル以下のものは削除を行なう。
次に、画像処理ソフトの測定項目「面積」を選択し、2値化孔画像の面積を求め、それらの平均値を微小貫通孔の開口面積とする。
前記操作を多孔フィルムの任意に選択した10箇所において行ない、10箇所で得られた測定値(微小貫通孔の開口面積)の平均値を微小貫通孔の平均開口面積とした。
(5)微小貫通孔の1平方ミリメートル当りの個数
前記走査型レーザー顕微鏡を用い、多孔フィルムの3b側のプロファイルをレーザースキャンにより取り込み、14インチモニタ上にモニタ倍率1000倍に拡大して画像化する。前記画像処理ソフトにより、取り込んだ画像の水平補正をした後、フィルタサイズ3×3のフィルタをかけてノイズを除去し、測定範囲を100μm(±5μm)×100μm(±5μm)の領域(単位面積)に指定する。
次に開口部を目視確認してチェックマークをそれぞれに付けることによりモニター画面の個数枠に微小貫通孔の個数が表示される(境界線上にある孔は除く)。
前記操作を多孔フィルムの任意に選択した10箇所において行ない、10箇所で得られた測定値の平均値(測定範囲である100μm×100μmの面積当りの個数の平均値)を求め、それを1平方ミリメートル当りの個数に換算(×100)した。
(6)多孔フィルムの開口率
前記走査型レーザー顕微鏡を用い、多孔フィルムの3b側のプロファイルをレーザースキャンにより取り込み、14インチモニタ上にモニタ倍率1000倍に拡大して画像化する。前記画像処理ソフトにより、取り込んだ画像の水平補正をした後、フィルタサイズ3×3のフィルタをかけてノイズを除去し、測定範囲を100μm(±5μm)×100μm(±5μm)の領域(単位面積)に指定し、該領域内を2値化して孔画像を得る(境界線上にある孔は除く)。2値化孔画像のうち、面積が1500ピクセル以下のものは削除を行なう。
次に、画像処理ソフトの測定項目「面積」を選択し、2値化孔画像の合計面積を求めた。
前記操作を多孔フィルムの任意に選択した10箇所において行ない、10箇所で得られた測定値(微小貫通孔の合計面積)の平均値を求め、測定範囲である100μm×100μmに対する百分率として開口率を求めた。
熱可塑性合成樹脂フィルムとして、つぎの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)および二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)を使用した。
PETフィルム
厚さ:6μm、ガラス転移温度:110℃、溶融温度:240℃、熱収縮率(150℃×30分):二軸とも28%
OPPフィルム
厚さ:10μm、ガラス転移温度:−10℃、溶融温度:170℃、熱収縮率(150℃×30分):二軸とも6%
実施例1〜3
(多孔フィルムの製造)
図3に示される装置を用いて前記熱可塑性合成樹脂フィルムにエンボス加工を施した。型押しロールとしてはつぎの3種類のものを用いた。凸部の形状はいずれも切頭円錐台状とした。
型押しロールA(実施例1)
凸部サイズ:先端径35.4μm、根元径37.9μm、高さ6μm
凸部配列パターン:84.7μmピッチの格子状
型押しロールB(実施例2)
凸部サイズ:先端径31.7μm、根元径32.5μm、高さ11μm
凸部配列パターン:63.5μmピッチの格子状
型押しロールC(実施例3)
凸部サイズ:先端径12.9μm、根元径13.1μm、高さ5μm
凸部配列パターン:24.0μmピッチの格子状
前記熱可塑性合成樹脂フィルムと型押しロールを表1に示されるように組み合わせて用いてエンボス加工を施し、薄肉部の厚さが2μm以下になるように微小凹部が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムを得た。
30cm×40cmのアルミニウム製フレームに、この微小凹部が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムの4隅を固定し、200℃(PETフィルムA)もしくは150℃(OPPフィルム)のオーブンで10秒間熱処理を行ない、実施例1〜3の多孔フィルムを得た。
得られた多孔フィルムについて、(1)微小貫通孔の平均孔径、(2)微小貫通孔の平均ピッチ、(3)微小貫通孔の平均孔径/平均ピッチの比、(4)微小貫通孔の平均開口面積、(5)単位面積の微小貫通孔の数、(6)多孔フィルムの開口率を測定した。結果を表1に示す。
(感熱孔版用版材の製造)
厚さ1.5μm、融点220℃の2軸延伸ポリエステルフィルム(熱収縮率(150℃×30分):二軸とも25%)に、ポリエステル系接着剤を乾燥後塗布厚さが0.1μmになるよう塗布して、前記多孔フィルムの3b開口部側を重ね合わせ、乾燥して積層した。次に前記厚さ1.5μmのポリエステルフィルムの表面にシリコーンオイル塗工液を乾燥後塗布量0.01g/m2で塗布、乾燥して、実施例1〜3の感熱孔版用版材を得た。
比較例1〜3
(多孔フィルムの製造)
次のD、E、Fの型押しローラを使用して実地例1〜3と同じ要領でエンボス加工を行った。
型押しロールD(比較例1)
凸部サイズ:先端径21.9μm、根元径22.3μm、高さ6μm
凸部配列パターン:127.0μmピッチの格子状
型押しロールE(比較例2)
凸部サイズ:先端径71.3μm、根元径79.5μm、高さ11μm
凸部配列パターン:83.3μmピッチの格子状
型押しロールF(比較例3)
凸部サイズ:先端径10.1μm、根元径10.9μm、高さ5μm
凸部配列パターン:21.2μmピッチの格子状
前記熱可塑性合成樹脂フィルムと型押しロールを表1に示されるように組み合わせて用
いてエンボス加工を施し、薄肉部の厚さが2μm以下になるように微小凹部が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムを得た。
30cm×40cmのアルミニウム製フレームに、この微小凹部が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムの4隅を固定し、200℃(PETフィルムA)もしくは150℃(OPPフィルム)のオーブンで10秒間熱処理を行ない、比較例1〜3の多孔フィルムを得た。
得られた多孔フィルムについて、(1)微小貫通孔の平均孔径、(2)微小貫通孔の平均ピッチ、(3)微小貫通孔の平均孔径/平均ピッチの比、(4)微小貫通孔の平均開口面積、(5)単位面積の微小貫通孔の数、(6)多孔フィルムの開口率を測定した。結果を表1に示す。
(感熱孔版用版材の製造)
厚さ1.5μm、融点220℃の2軸延伸ポリエステルフィルム(熱収縮率(150℃×30分):二軸とも25%)に、ポリエステル系接着剤を乾燥後塗布厚さが0.1μmになるよう塗布して、前記多孔フィルムの3b開口部側を重ね合わせ、乾燥して積層した。次に前記厚さ1.5μmのポリエステルフィルムの表面にシリコーンオイル塗工液を乾燥後塗布量0.01g/m2で塗布、乾燥して、比較例1〜3の感熱孔版用版材を得た。
前記で得られた各感熱孔版用版材を(株)デュプロ製全自動感熱製版孔版印刷装置DP430E(サーマルヘッド:400DPIのラインヘッド)にて製版し、得られた孔版を用いて印刷し、印刷物の評価を行なった。
濃度
◎:原稿の濃度とまったく差が無い
○:原稿の濃度とほとんど差が無い
△:原稿の濃度に対して僅かに差がある
×:原稿の濃度に対して著しく差がある
鮮明度
◎:原稿にまったく忠実な印刷画像が再現される
○:原稿にほぼ忠実な印刷画像が再現される
×:原稿の画像に対して歪みや白いスジが発生して鮮明度が悪い
印刷枚数
B4サイズ、64g/m2の印刷用紙を用い、印刷速度100枚/分で印刷を行った。
○:良好な印刷物が2000枚以上得られる
×:2000枚印刷する前に孔版用版材が破断する
Figure 0004825470
本発明の感熱孔版用版材の一実施例を示す概略部分断面図である。 本発明で使用する多孔フィルムの一実施例を示す概略部分断面図である。 本発明で使用する多孔フィルムの製造方法の一実施例を示す説明図であり、多数の微小な凸部を有する型押体を用いるエンボス加工により熱可塑性合成樹脂フィルムに多数の微小な凹部を形成する工程を示す。 本発明で使用する多孔フィルムの製造方法の一実施例を示す説明図であり、エンボス加工により微小凹部が形成されたフィルムを示す。 本発明の感熱孔版用版材をサーマルヘッドで穿孔製版する工程を示す概略部分断面図である。 本発明の感熱孔版用版材を穿孔製版することにより得られる孔版を示す概略部分断面図である。
符号の説明
1 感熱孔版用版材
2 熱可塑性合成樹脂フィルム
3 貫通孔
3a 微小凹部(貫通孔)
3b 貫通孔
3c 貫通孔
3d 薄肉部
4 多孔フィルム
5 接着剤層
6 ポリエステルフィルム
7 孔版
8 微小凹部形成フィルム
10 型押しロール
11 微小な凸部
12 支承ロール
20 サーマルヘッド
21n−1、21n、21n+1 発熱素子

Claims (4)

  1. 微小貫通孔が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムに、厚さ3μm以下のポリエステルフィルムが積層されてなり、前記微小貫通孔が所定のピッチで形成され、微小貫通孔の平均孔径/平均ピッチの比が0.2〜0.7であり、前記微小貫通孔の平均開口面積が100〜3000平方ミクロンメートルであり、かつ該微小貫通孔の個数が1平方ミリメートル当たり2000〜100個であることを特徴とする感熱孔版用版材の製造方法であって、
    (a)多数の微小凸部を有する型押体を用いるエンボス加工により熱可塑性合成樹脂フィルムに多数の微小凹部を形成する工程、
    (b)(a)で得られた微小凹部が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムを、該熱可塑性合成樹脂フィルムの溶融温度より低くガラス転移温度より高い温度で熱処理を施すことにより、該凹部に貫通孔を形成する工程、および
    (c)得られた微小貫通孔を有する熱可塑性合成樹脂フィルムに厚さ3μm以下のポリエステルフィルムを積層する工程
    を含む方法。
  2. 前記(a)工程を、多数の同一形状の微小凸部を表面に有する型押しロールと平面な表面を有する支承ロールとの間に熱可塑性合成樹脂フィルムを通すことにより行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記熱可塑性合成樹脂フィルムの厚さが4〜20μmである請求項1または2記載の方法
  4. 前記微小貫通孔が形成された熱可塑性合成樹脂フィルムの開口率が10〜35%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法
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