次に、本発明の実施の形態について説明する。各図は本発明の実施形態を示しており、図1は本発明に係る浄水カートリッジの内部構成を半断面で示す全体図、図2は本発明に係る浄水カートリッジの中空糸膜収納部の筒状本体部の断面図、図3は中空糸膜収納部の筒状本体部の上側面図、図4は中空糸膜収納部の筒状本体部の下側面図、図5は浄水カートリッジの中空糸膜収納部のカバー部の断面図、図6は中空糸膜収納部のカバー部の上側面図、図7は中空糸膜収納部のカバー部の下側面図、図8は本発明に係る浄水カートリッジの活性炭収納部の断面図、図9は本発明に係る活性炭収納部の一端部に嵌るシールリングの断面図、図10は図9のシールリングの上面図、図11は図9のシールリングの底面図、図12は本発明に係る浄水カートリッジの活性炭収納部を形成する通水性不織布の筒状中空体の断面図、図13は図9のシールリング内に嵌合するシール材の構成を半断面で示す側面図、図14は図13のシール材の上面図、図15は図13のシール材の底面図、図16は図12の筒状中空体の底端部に嵌合するシール材の構成を半断面で示す側面図、図17は図16のシール材の上面図、図18は図12の筒状体内に配置される通水性不織布の内筒体の断面図、図19は図18の内筒体の底端部に嵌合する端部材の側面図、図20は図19の端部材の上面図、図21は図12の筒状中空体の両端部に図9のシールリングと図16のシール材を結合した筒状中空体の組み立て体の斜視図、図22は図18の内筒体の両端部に図13のシール材と図19の端部材を結合した内筒の組み立て体の斜視図、図23は図21の筒状中空体の組み立て体内に活性炭を入れた状態の断面図、図24は図23の活性炭を入れた筒状中空体の組み立て体内に図22の内筒の組み立て体を結合した状態の活性炭収納部の断面図、図25は本発明に係る浄水装置を流し台に備えた状態を説明する正面図、図26は本発明に係る浄水装置を流し台に備えた状態を説明する縦断側面図である。
本発明は、浄水カートリッジ7を内蔵し、この浄水カートリッジ7を通過した浄水を取り出す水栓1を、台所の棚部分や調理台や流し台などの水栓取付け部2に取り付ける形態の浄水装置として、内蔵される浄水カートリッジ7の小型化に適し、豊富な浄水が取り出し可能な新規な浄水カートリッジ7を提供する。これによって、この水栓取付け部2からの上方への突出高さが低くでき、浄水カートリッジ7の交換がし易い浄水装置を提供することができるものとなる。以下、本発明の浄水装置を流し台5に適用した一つの実施例を図に基づき説明することとする。
本発明に係る浄水装置は、水栓取付け部2である流し台5の上壁(又は天板ともいう)6に上方へ突出状態に水栓1が取り付けられている。水栓1は、浄水カートリッジ7を内蔵した水栓本体11と、水栓本体11に取り付けられて浄水カートリッジ7を通過した浄水を吐水口21から吐出する吐水部材10とを備えている。吐水部材10は、水栓本体11にナット部材26によって左右に自由回動可能に取り付けられている。水栓本体11には、水栓取付け部2の壁である流し台5の上壁6を貫通した状態に浄水カートリッジ7が収納され、浄水カートリッジ7は上壁6の上方から着脱可能に水栓本体11に保持された状態である。なお、浄水カートリッジ7へ供給される上水道水の給水路3は、電磁弁4によって開閉される仕組みであり、この電磁弁4の制御操作部25が水栓1の適所に設けられている。図の形態では、制御操作部25が吐水部材10の先端部に上面から操作可能な状態に設けられている。
これを更に詳述することとする。流し台5は、ステンレススチール等の平板をプレス加工等によって、上壁(又は天板ともいう)6と一体にシンク15を形成している。シンク15には奥側に排水口が形成されている。シンク15は前記排水口の左右の部分が手前側に張り出しており、この張り出しによって形成されたシンク15近傍の上壁6には、水栓1の取付け孔12と後述の原水用給水栓35の取付け孔34が形成されている。この取付け孔12を利用して、水栓本体11が、この取付け孔12を貫通状態に取付けナット13によって上壁6に固定されている。水栓本体11は、円筒状の浄水カートリッジ7を縦長に収納する円筒状の浄水カートリッジ収納部16を備え、この浄水カートリッジ収納部16の下部には水の入口部17が設けられ、浄水カートリッジ7を通過した水の出口部18が、浄水カートリッジ収納部16の上部に円周方向に長く形成されている。
浄水カートリッジとして、原水が粒状等の活性炭が収納された部分を通った後、中空糸膜が収納された部分を通って浄化されるものは公知であり、その構造は種々ある。本発明の浄水カートリッジ7も、上水道水である原水が活性炭7Pを通った後、中空糸膜7Qを通って浄化される構造であるが、特定の構成をなすものである。
本発明に係る浄水装置の一つの形態は、水栓取付け部2の壁、即ち流し台5の上壁6に水栓1が配置され、水栓本体11には、水栓取付け部2である流し台5の上壁6の上方と下方に渡って、浄水カートリッジ7が上下方向に配置された状態である。また浄水カートリッジ7は、上壁6の上方から着脱可能に水栓本体11に保持され、交換し易い形態である。このような形態に適した浄水カートリッジ7を提供するために、浄水カートリッジ7は、活性炭7Pの収納部7Aを構成する直径の小さい円筒状小径下部と、その上方に中空糸膜7Qの収納部7Bを構成する円筒状大径上部とを形成した縦長形状であり、円筒状小径下部である活性炭7Pの収納部7Aの上端部と、円筒状大径上部である中空糸膜7Qの収納部7Bの下端部が結合されている。
第1発明の浄水カートリッジ7の具体的な構成を以下に説明する。水栓1に縦長形状の浄水カートリッジ7が縦長に収納されるように、浄水カートリッジ収納部16が水栓本体11に形成されている。浄水カートリッジ7は、活性炭7Pを収納する筒状の活性炭収納部7Aと、その上方に中空糸膜7Qを収納する筒状の中空糸膜収納部7Bを形成し、活性炭収納部7Aは通水性不織布自体で立った状態を維持するように形成された筒状中空体7H内に活性炭7Pが収納された形態であり、浄化のために浄水カートリッジ収納部16へ流入した原水は、筒状中空体7Hの筒状壁を通過し、活性炭7Pで浄化され、次いで中空糸膜7Qを順次通過して水栓1から浄水が取り出される構成である。
次に第2発明の浄水カートリッジ7の具体的な構成を以下に説明する。第1発明は、筒状中空体7H内の空間に活性炭7Pを充填する基本形態を示しているが、第2発明は、第1発明の筒状中空体7H内に内筒体7Gを配置して、この筒状中空体7Hと内筒体7Gとの間に形成される筒状空間を活性炭充填空間80とする形態である。このため、第2発明は第1発明を基礎的構成としたものである。
具体的には、第2発明は、水栓1に縦長形状の浄水カートリッジ7が縦長に収納されるように、浄水カートリッジ収納部16が水栓本体11に形成されている。浄水カートリッジ7は、活性炭7Pを収納する筒状の活性炭収納部7Aと、その上方に中空糸膜7Qを収納する筒状の中空糸膜収納部7Bを形成し、活性炭収納部7Aは、それぞれ通水性不織布自体で立った状態を維持するように形成された筒状中空体7Hとその内側の内筒体7Gとの間に形成される筒状空間が活性炭充填空間80を形成し、この活性炭充填空間80に活性炭7Pが収納され、浄水カートリッジ収納部16に流入した原水が、筒状中空体7Hの筒状壁を通過して活性炭7Pで浄化された後、内筒体7Gの筒状壁を通過して内筒体7G内を上方へ通って中空糸膜7Qに達し、中空糸膜7Qを通過して水栓1から浄水が取り出される構成である。
第1発明及び第2発明において、活性炭7Pは、水との接触面積が大きくなるようにするためと、充填量が十分とれるようにするために球状微粒子であり、平均粒子径、即ち粒子の直径が平均50μm〜200μm(μmはマイクロメートル、以下同じ)の球状活性炭を採用する。また通水性不織布の筒状中空体7Hは、活性炭7P層の略全周囲から水が活性炭7P層へ流入するようにするために、スパンボンド方法等にて作られたオレフィン系等の不織布の筒状体であり、球状活性炭7Pの充填が良好に行えるようにするために、スパンボンド方法等にて作られたオレフィン系等の不織布が熱成形によって内面が平滑な筒状体を構成している。この筒状中空体7Hの形成方法としては、スパンボンド方法等にて作られた所定の幅と長さをもったオレフィン系等の不織布を、平滑な外面を有する金属パイプに巻きつけた状態で、適切な方法によって金属パイプを加熱することによって、図12に示すような内面が平滑面をなす円筒形の筒状中空体7Hを形成することができる。このようにして形成された筒状中空体7Hは、その壁の厚さが1mm〜2mm(mmはミリメートル、以下同じ)程度であって、プラスチックス等の支持筒などで支えなくても、筒形状の通水性不織布自体で立った状態で直線状の筒を維持する(直立状の筒を維持する)ように、十分な剛性を有しており、球状活性炭7Pよりも十分小さい微細な通水路が、その壁全周に渡ってその壁を貫通して形成されている。
なお、内筒体7Gも、筒状中空体7Hと同様に、スパンボンド方法等にて作られたオレフィン系等の不織布が熱成形された内面平滑な筒状体であり、スパンボンド方法等にて作られた所定の幅と長さをもったオレフィン系等の不織布を平滑な外面を有する金属パイプに巻きつけた状態で、適切な方法によって金属パイプを加熱することによって、図18に示すような内面が平滑面をなす円筒形の内筒体7Gを形成することができる。このような内筒体7Gは、その壁の厚さが1mm〜2mm程度であって、プラスチックス等の支持筒などで支えなくても、筒形状の通水性不織布自体で立った状態で直線状の筒を維持するように、十分な剛性を有しており、球状活性炭7Pよりも十分小さい微細な通水路が、その壁全周に渡ってその壁を貫通して形成されている。筒状中空体7Hおよび内筒体7Gは、オレフィン系以外の合成樹脂でもよく、またスパンボンド方法以外の製造方法によって形成された不織布を採用することもできる。
また、第1発明において、活性炭7Pによる良好な水浄化作用を得ると共に、鉛等の金属イオンの除去も良好に行えるようにするために、活性炭7Pは、球状微粒子であり、平均粒子径が50μm〜200μmの球状活性炭とし、短い長さのイオン交換繊維と共に通水性不織布の筒状中空体7H内の活性炭充填空間に充填した構成である。このイオン交換繊維は、太さが細いものを採用する程、多くのイオン交換繊維が充填できるため、水との接触表面積が大きくなり、浄化効果が良好になる。このため、平均粒子径が50μm〜200μmの球状活性炭7Pを、太さが5μm〜50μmで長さが0.2mm〜2.0mmのイオン交換繊維と共に通水性不織布の筒状中空体7H内に充填した構成によって、この球状活性炭7P及びイオン交換繊維と水との接触面積も十分取れる状態となり、金属イオンの除去作用も良好となる。また、中空糸膜7Qは、大径上部7B内にU字状に多数の中空糸膜7Qが接触状態に収納された状態である。
また第2発明において、活性炭7Pによる良好な水浄化作用を得ると共に、鉛等の金属イオンの除去も良好に行えるようにするために、活性炭7Pは、小さな球状粒子であり、平均粒子径が50μm〜200μmの球状活性炭とし、短い長さのイオン交換繊維と共に筒状空間の活性炭充填空間80内に充填した構成である。このイオン交換繊維は、太さが細いものを採用する程、多くのイオン交換繊維が充填できるため、水との接触表面積が大きくなり、浄化効果が良好になる。このため、微粒子の平均粒子径が50μm〜200μmの球状活性炭7Pを、太さが5μm〜50μmで長さが0.2mm〜2.0mmのイオン交換繊維と共に活性炭充填空間80内に充填した構成によって、この球状活性炭7P及びイオン交換繊維と水との接触面積も十分取れる状態となり、金属イオンの除去作用も良好となる。また、中空糸膜7Qは、大径上部7B内にU字状に多数の中空糸膜7Qが接触状態に収納された状態である。
上記において、球状活性炭7Pとイオン交換繊維の混合割合については、種々考えられるが、球状活性炭7Pによるトリハロメタンのろ過効果と、イオン交換繊維による鉛イオンのろ過効果を考慮して、イオン交換繊維の体積を1としたとき、球状活性炭7P:イオン交換繊維=200ml〜20ml:5ml(mlはミリリットル、以下同じ)、即ち、40〜4:1の割合の混合比が好ましい。この場合、球状活性炭7Pでろ過するトリハロメタンの量と、イオン交換繊維でろ過する鉛イオンの量を略同じにすることを意図すれば、球状活性炭7P:イオン交換繊維=55ml:5mlの割合、即ち、イオン交換繊維の体積を1としたとき、球状活性炭7Pの体積は11となる割合とすることができる。
この場合の測定方法の一つとしては、イオン交換繊維は小さな繊維であるため、ふわふわして測定ばらつきが大きくなり易いので、球状活性炭7Pとイオン交換繊維の混合したものをそれぞれ外筒状体7H内の活性炭充填空間、又は筒状空間の活性炭充填空間80に充填し、この混合したものをそれぞれ取り出して球状活性炭7Pの体積を確認し、この確認した球状活性炭7Pの体積を、それぞれ確認した活性炭充填空間80の体積から差し引くことによって、第1発明及び第2発明において、球状活性炭7Pと混合したイオン交換繊維の体積をそれぞれ算出することができる。
上記のように、第1発明と第2発明は活性炭充填空間の構成が異なるが、その他は共通であり、第2発明は第1発明を基礎的構成としたものである。それ故、第2発明によって第1発明は理解できるため、以下、第2発明をもとに記載することとする。以下、浄水カートリッジ7の組み立てについて説明する。先ず、活性炭収納部7Aについて説明する。通水性不織布の筒状体、即ち筒状中空体7Hの一端上端部には、図9〜図11に示すような合成樹脂製シールリング60をホットメルト等の接着剤によって取り付ける。これによって、シールリング60は、筒状中空体7Hの端部内側に嵌合し、その環状フランジ60Aが筒状中空体7Hの端部に当接状態でもって、筒状中空体7Hの端部が補強される。また、筒状中空体7Hの他端下端部には、図16〜図17に示すような合成樹脂製円盤状のシール材61をホットメルト等の接着剤によって取付け、これによって、筒状中空体7Hの一端開口が塞がれると共にその端部が補強される。このようにして、筒状中空体の組み立て体7H1が形成され、これを準備する。この構成において、シールリング60の環状フランジ60Aとシール材61の外径が、筒状中空体7Hの外径と同径又は若干小径であることによって、筒状中空体の組み立て体7H1は、筒状中空体7Hの外径よりも大きくならず、活性炭収納部7Aの小型化に適したものとなる。
また、通水性不織布の内筒体7Gの一端上端部には、図13〜図15に示すような円盤状の合成樹脂製シール材62が、その中心孔62A周縁においてホットメルト等の接着剤によって取り付けられ、また、内筒体7Gの他端下端部には、図19〜図20に示すような下端が円錐形状をなす合成樹脂製端部材63をホットメルト等の接着剤によって取り付けることにより、内筒の組み立て体7G1を形成し、これを準備する。
このようにして形成された筒状中空体の組み立て体7H1内には、その上端側のシールリング60を通して、球状活性炭7Pを注入する。この場合、活性炭7Pは、平均粒子径、即ち、微粒子の直径が平均50μm〜200μmの球状微粒子であり、最終的には通水性不織布の筒状中空体7H内に充填されるため、このことを考慮して、球状活性炭7Pの注入量は、満杯よりも少ない量である。次に、端部材63を先にして内筒の組み立て体7G1を筒状中空体の組み立て体7H1内に向けて挿入する。この場合、端部材63の先端が円錐形状をなすため、活性炭7Pが球状であることと相俟って活性炭7P内を突き進み易く、内筒の組み立て体7G1を筒状中空体の組み立て体7H1内に向けて挿入する作業がし易くなる。また、筒状中空体7Hの内面が平滑であるため、球状活性炭7Pの注入がし易くなり、且つ内筒の組み立て体7G1を筒状中空体の組み立て体7H1内に向けて挿入する際にも、球状活性炭7Pが筒状中空体7Hの内面に向けて押し退けられるときの抵抗も少なくなり、内筒体7Gの挿入がし易くなる。
このような内筒の組み立て体7G1の挿入によって、端部材63がシール材61の略中心部に当接するように、シールリング60内にシール材62を嵌合させる。この嵌合によって、筒状中空体7Hと内筒体7Gとの間に形成される活性炭充填空間80内に、球状活性炭7Pが充満する状態となる。このようにして、図8に示すように、筒状中空体7H内の活性炭充填空間80に活性炭7Pが充填された状態の活性炭収納部7Aが形成される。本発明の活性炭7Pは、球状微粒子であるため、通水性不織布の筒状中空体7H内に詰める場合や、内筒の組み立て体7G1の挿入が、高い圧力を加えなくてもスムースに行えると共に、活性炭7P相互が密着して活性炭充填空間80内の充填量を十分とることができ、活性炭収納部7Aを小型化した場合にも活性炭7Pでの浄化効果に優れたものとなる。
上記において、筒状中空体の組み立て体7H1内に注入した球状活性炭7Pの注入量が満杯よりも少ない量であるのは、このためである。なお、シール材62の周囲に形成した環状溝62Bには、予め弾力性のあるシール用Oリング64が嵌め込まれているため、シールリング60内にシール材62を嵌合させることによって、Oリング64が圧縮されて、シールリング60とシール材62の両者間は水密状態のシールが達成される。また、シールリング60とシール材62とは、ホットメルト等の接着剤によって結合される。
一方、合成樹脂製の中空糸膜収納部7Bには、多数の中空糸膜7QがU字状に収納されている。中空糸膜収納部7Bの上部周囲には、中空糸膜7Qを通過した浄水の出口18Aが円周上に長く複数形成され、中空糸膜収納部7Bの上面には、後述のキャップ14と結合する突部7Cを形成している。製造上の制限から、中空糸膜収納部7Bは、中空糸膜7Qを収納する筒状本体部7BBと、これに結合されるカバー部7Dから構成している。内部空間のカバー部7Dは、その周囲壁に浄水の出口18Aが円周上に長く複数形成され、上面には後述のキャップ14と結合する突部7Cを形成している。筒状本体部7BBとカバー部7Dは、中空糸膜7Qが筒状本体部7BB内に収納された状態で、筒状本体部7BBの上端開口7E周縁部7E1にカバー部7Dの開口周縁7D1が超音波溶着されることにより、水漏れがないように両者が接合される。筒状本体部7BBとカバー部7Dは、外面にそれぞれ環状の溝7B3を形成している。
上記のように構成された活性炭7Pの収納部7Aの上端部と、中空糸膜収納部7Bの下端とを結合させる。この結合は、中空糸膜収納部7Bの下端開口7B1の周縁に形成した環状フランジ7B2と、シールリング60の内周面とを嵌合させることにより結合される。この結合によって、図1に示すような浄水カートリッジ7が形成される。この結合を強固にするために、環状フランジ7B2とシールリング60の内周面とは、ホットメルト等の接着剤にて接着されるが、この環状フランジ7B2とシールリング60の内周面とをOリング形状のシールリングを介してネジ結合する構成でもよい。
本発明の浄水装置は、上記のように構成された浄水カートリッジ7が、水栓本体11内の浄水カートリッジ収納部16に縦長状態に収納されている。以下、この構成について説明する。浄水カートリッジ7の形状に合わせて、浄水カートリッジ収納部16は、浄水カートリッジ7の円筒状小径下部をなす活性炭7Pの収納部7Aを収納する小径収納部16Aと、浄水カートリッジ7の円筒状大径上部をなす中空糸膜7Qの収納部7Bを収納する大径収納部16Bとを形成している。中空糸膜7Qの収納部7Bの外径は、大径収納部16Bの内径よりも僅かに小さいため、中空糸膜7Qの収納部7Bは大径収納部16Bに略いっぱいに嵌った状態である。また、活性炭7Pの収納部7Aの外径は、小径収納部16Aの内径よりも十分小さいため、活性炭7Pの収納部7Aの周囲には環状の空間28が形成された状態である。この環状空間28は、後述のように、流入する原水が充満する通路となる。
浄水カートリッジ収納部16に対応して水栓本体11の外面には、小径収納部16Aと大径収納部16Bとの直径差によって円形状の段差部11Cが現れる。この段差部11Cには、円形環状に弾力性のパッキン19が取り付けられている。水栓取付け部2の補強のために、流し台5の上壁6下面の取付け孔12周縁部には、接着等の手段によって補強部材22が取り付けられている。
水栓本体11を取り付ける際には、浄水カートリッジ収納部16の下部の水入口部17には、給水路3を構成するパイプ3Aは接続されていない。この状態で、浄水カートリッジ収納部16の小径収納部16Aが、流し台5の上壁6の取付け孔12を貫通する状態に上方からセットし、パッキン19が流し台5の上壁6の上面に当接した状態で、上壁6の下方から小径収納部16Aの外周面に形成したネジ部23に取付けナット13を螺合させる。この取付けナット13の締め付けによって、パッキン19が圧縮された状態で段差部11Cが流し台5の上壁6に当接し、水栓本体11が上壁6に固定される。このようにして、段差部11Cは、取付け孔12の周縁上面に係止状態となるため、係止部と称することもできる。
流し台5の上壁6の取付け孔12は、シンク15の後側と流し台5の背面板5Aとの間に形成された空間50に対応した位置に形成されており、上記のような水栓1の取付けによって、浄水カートリッジ7は、水栓取付け部2である流し台5の上壁6を貫通して空間50に侵入した状態に保持される。このため、主として、活性炭収納部7Aが、水栓取付け部2の下方の空間50へ潜る(侵入する)状態となり、中空糸膜収納部7Bが、流し台5の上壁6から上方へ突出した状態に保持される。
上記のような水栓1の取付け後に、給水路3を構成する給水パイプ3Aが、取付けナット31によって浄水カートリッジ収納部16下部の水の入口部17に接続される。給水パイプ3Aの他端は、電磁弁4の出口側に接続される。電磁弁4の入口側は、市井の上水道水の供給パイプに接続された止水栓40の出口側に接続されている。止水栓40は手で回転可能な摘み41の回転によって、上水道水の供給状態と停止状態とに制御できる。止水栓40の出口側は、分岐管42によって電磁弁4の入口側パイプ36Aと、上壁6に取り付けた原水用給水栓35側の給水パイプ36とに分岐されている。電磁弁4は、ネジ回し(ドライバー)などによってコマ弁を作動して流量調整が可能な流量調整式電磁弁4とすることもできる。
浄水カートリッジ7の交換をし易くするために、浄水カートリッジ収納部16は上端が開口しており、この開口は、この開口内面に形成したネジ部29に螺合するネジ部を外面に形成したキャップ14によって、開閉可能である。このキャップ14と浄水カートリッジ収納部16との水密シールパッキン30がキャップ14又は水栓本体11に取り付けられている。そして、浄水カートリッジ7は、浄水カートリッジ収納部16に対してキャップ14の着脱に伴って着脱できる。このため、中空糸膜収納部7Bの上面に形成した突部7Cの外面のネジ部と、キャップ14の中心部に形成した取付け部14Aのネジ部とを螺合させて、キャップ14に浄水カートリッジ7を取り付ける。この状態で、中空糸膜収納部7Bの外面に形成した環状溝7B3に嵌った弾性Oリング30Aによって、キャップ14と浄水カートリッジ7との水密シールが保たれている。
このようにして、キャップ14に浄水カートリッジ7が取り付けられた状態で、浄水カートリッジ7を浄水カートリッジ収納部16へ上面開口から挿入し、キャップ14外面のネジ部を浄水カートリッジ収納部16内面のネジ部29に螺合することにより、浄水カートリッジ7が浄水カートリッジ収納部16内に取付け収納される。そして、この逆にキャップ14を回転させることによって、キャップ14が浄水カートリッジ収納部16から外れ、浄水カートリッジ7が、キャップ14と共に浄水カートリッジ収納部16から取外せる。このため、浄水カートリッジ収納部16の上面の突部7Cとキャップ14の取付け部14Aとの螺合を外し、新規な浄水カートリッジ7をキャップ14に取り付けることによって、浄水カートリッジ7を交換することができる。
原水用給水栓35は、水栓1と同様の取付けである。即ち、水栓本体37の外面に形成した段差部が上壁6に当接するように、上壁6に形成した取付け孔34を貫通した状態にセットし、上壁6の下面に取り付けた補強材38を介して取付けナット39によって、水栓本体37の外面に形成しネジ部に締め付け固定する。原水用給水栓35は、水栓本体37内の開閉弁をレバー32の上下動によって開閉することにより、吐水部材33からの原水の供給と停止を行なうことができる。
上記のように、水栓1に浄水カートリッジ7が収納された状態において、給水路3から供給される原水は、浄水カートリッジ収納部16下部の水の入口部17から、浄水カートリッジ収納部16内に配置される活性炭収納部7Aの周囲に形成された環状空間28へ入り、環状空間28に充満する。この環状空間28へ流入した原水は、上水道水の供給圧力によって環状空間28に対応した筒状中空体7Hの全周囲面から、その微細な通水路を通過して球状活性炭7Pに達する。球状活性炭7Pに達した原水は、球状活性炭7Pを通過することによって浄化されつつ、内筒体7Gの略全周囲壁面からその微細な通水路を通過して、内筒体7G内側の中空通路7G2に入り、この中空通路7G2を上昇して、シール材62の中心孔62Aから中空糸膜収納部7Bへ流入する。上記のように、加熱成形された内筒体7Gは、中空通路7G2面である内面が平滑面をなすため、中空通路7G2を流れる水の抵抗は少なく水の流れが円滑である。そして、中空糸膜収納部7Bへ流入した浄水は中空糸膜7Qによって更に浄化されて、中空糸膜収納部7Bの上端開口から浄水として流出する。この浄水は、浄水の出口18Aと、これに対応してキャップ14の側壁に貫通形成した出口18Bから、浄水カートリッジ収納部16の上部に形成した水の出口部18を通って、吐水部材10の吐水パイプ部20へ入り、吐水口21から吐水する。
このような構成によって、従来のように、プラスチックスの筒状ケースの周囲壁に形成した多数の開口をフィルタで塞いだ活性炭収納形態では、上記のように、筒状ケースの小型化によって活性炭充填量が減少して浄化効果が減少するが、本発明では、通水性不織布の筒状中空体7Hそのものが活性炭7Pを収納する容器であるため、同じ外径の上記従来形態のものに比して活性炭収納量を多くできることとなり、浄化効果に優れた小型化を図ることに適するものとなる。そして、実施例のように、浄水カートリッジ7の下部が水栓設置面である流し台5の上壁等の下方に潜る状態で水栓1に収納されるタイプに適したものとなる。
吐水部材10は、浄水を導く吐出パイプ部20を合成樹脂製又はステンレススチール等の金属製で偏平パイプ状に形成されたカバー24内に配置されている。このカバー24は、水栓1の吐水パイプ部分の外観デザインを良好にするためのものであるが、単に吐出パイプ部20が吐水部材10を形成する形態でもよい。
浄水カートリッジ7へ供給される上水道水の給水路3を開閉する電磁弁4の制御操作部25は、吐水部材10の先端部の上面に設けられている。制御操作部25は電磁弁4の開閉動作用スイッチ25Aを備え、スイッチ25Aは吐水部材10のカバー24内に収納されている。スイッチ25Aの上面は可撓性合成樹脂製フィルム25Dで覆われた手動操作面を形成している。これによって、水栓本体11よりも手前側に制御操作部25が位置するようになるため、操作が楽になる。
更に、制御操作部25には、フィルム25Dの下側に表示パネル25Cが設けられており、表示パネル25Cによって、浄水カートリッジ7の交換時期を表示する。その表示方式は、交換時期を年月日で表示する方法と、交換時期を色で表示する方法とがある。実施例では、その後者の方法であり、新規の浄水カートリッジ7を取り付けたときは、表示パネル25Cの青色(ブルー)発光ダイオード(LED)の光がフィルム25Dを通して目視でき、交換時期になればその表示が赤色(レッド)発光ダイオード(LED)の光が目視できるようになる構成である。
水栓1の小型化を図るため、また吐水部材10の小型化を図るために、電磁弁4、スイッチ25A及び表示パネル25Cと接続される制御部51は、水栓1から分離した箇所に設けられている。その実施形態として、シンク15下方の流し台5の空間の側壁に取り付けられる制御ボックス51A内に収納されて防水状態である。なお、電磁弁4のソレノイド部を保護するための合成樹脂製カバー4Aを、図のように大きいカバー構成とすることによって、このカバー4A内に制御部51を収納するようにしてもよい。
スイッチ25A及び表示パネル25Cと制御部51とはリード線52と52Aを介して接続され、電磁弁4と制御部51とはリード線52Bを介して接続されている。カバー24内に配線されるリード線52は、フレキシブル合成樹脂製の帯状シートの面に電気回路がプリントされた構成のフレキシブルプリントサーキットであり、制御操作部25から延びるこのフレキシブルプリントサーキット52は、パイプ部20に沿ってカバー24内から上壁6の上方に突出した水栓本体11内の空間11Bに延びている。このフレキシブルプリントサーキット52は、空間11B内でシリコンゴム被覆などのリード線52Aに接続され、リード線52Aは、段差部11Cの部分から小径収納部16Aの外周面に形成したネジ部23の部分に縦方向に形成した溝53を通ることによって、取付けナット13の締め付けの邪魔にならない状態で、浄水カートリッジ収納部16Aの外面の溝に沿って取付け孔12から空間50へ延び、制御部51へ接続されている。
電磁弁4、スイッチ25A、表示パネル25C、及び制御部51の電源は、乾電池ではなく、商用電源を利用しており、実施例では、商用電源の100ボルトが制御部51に設けた電源部に供給され、この電源部で必要な制御電圧に変換される構成である。このためスイッチ25Aを含む制御操作部25には、人体に危険がない直流の低電圧が供給されるようにしている。このように、乾電池が水栓本体11や吐水部材10内に収納される構成ではないため、水栓1の小型化に適したものとなり、乾電池の電力切れの問題もなく、安定した浄水供給動作があられるものとなる。
水栓1に浄水カートリッジ7が収納された状態において、フィルム25Dの上面から指でスイッチ25Aをプッシュすることにより、制御部51が動作して電磁弁4がONして給水路3を開き、原水が給水路3から浄水カートリッジ7へ入って浄化され、その浄水がパイプ部20を通って吐水口21から吐水する。再度フィルム25Dの上面から指でスイッチ25Aをプッシュすることにより、制御部51が動作して電磁弁4がOFFし、給水路3を閉じて吐水口21からの吐水を止める。このように、スイッチ25Aのプッシュ・プッシュによって電磁弁4をON・OFFして、水栓1からの浄水の取り出しが制御される。
ここで、水栓1に新規の浄水カートリッジ7を収納したとき、リセットスイッチを指で押してONさせることによって、制御部51のカウンタ部のリセットができる。このリセットスイッチは、制御操作部25に設けることによって操作し易くなる。このリセットに基づき、制御部51の動作によって表示パネル25Cの青色(ブルー)発光ダイオードが発光してフィルム25Dを通して青色(ブルー)の表示が目視できる。この状態において、最初に操作されるスイッチ25Aのプッシュによって、上記のように電磁弁4がONして制御部51のカウンタ部がカウントを開始し、再度のスイッチ25Aのプッシュによって電磁弁4がOFFし制御部51のカウンタ部がカウントを停止する構成とする。このようにすることによって、電磁弁4のON時間が積算されるため、浄水の取り出し時間が積算されることとなる。この積算カウント値が所定カウントに達したとき、青色(ブルー)発光ダイオードの通電を停止し、赤色(レッド)発光ダイオードに通電して発光させることによって、フィルム25Dを通して赤色(レッド)の表示が目視できる。この赤色(レッド)の表示が、浄水カートリッジ7の交換時期の表示である。
上記のように、水栓取付け部2である上壁6には、上方へ突出状態に水栓1が取り付けられ、水栓1の水栓本体11には上壁6を貫通状態に浄水カートリッジ7が収納され、浄水カートリッジ7は上壁6の上方から着脱可能に水栓本体11に保持されている。そして、水栓本体11又は吐水部材10には電磁弁4の開閉動作用スイッチ25Aを備え、浄水カートリッジ収納部16の上部が上壁6から上方へ突出し、浄水カートリッジ収納部16の下部が、上壁6の下方のシンク15後方の空間50へ潜る状態に取り付けられ、浄水カートリッジ収納部16の上面から浄水カートリッジ7を着脱可能としている。
水栓の取付けを共通化するために、水栓取付け部2の取付け孔12の直径が規定されている状況においても、浄水カートリッジ収納部16の上部16Bは下部16Aよりも大径にできるため、浄水カートリッジ7は、中空糸膜収納部7Bは活性炭収納部7Aよりも直径を大きくでき、中空糸膜7Qによる浄化領域の高さを抑えて十分な浄化領域が得られることとなる。例えば、この中空糸膜7Qを詰めた部分7Bは中空糸膜7QをU字状に収納する等の方法によって十分な浄化作用を得ることができ、この中空糸膜7Qによる微細な汚れ除去等の効果を十分発揮できるものとなる。このため、水栓1の取付けを共通化するために、水栓取付け部2の取付け孔12の直径が規定されている状況においても、水栓1の高さを低くでき、しかも浄水カートリッジ7による所期の浄化能力を確保できる装置となる。
また、シンク15後方の空間50を有効利用した水栓1の取付け構造となり、しかも、流し台5の上方への水栓1の突出高さを低く抑えることができるものとなる。更に、流し台5の上面側から浄水カートリッジ7を交換できるため、交換作業がし易いものとなる。
そして、浄水カートリッジ収納部16は、上端が開口し、この開口がキャップ14によって開閉可能であり、浄水カートリッジ7はキャップ14の着脱と共に浄水カートリッジ収納部16に着脱可能であるため、浄水カートリッジ7の交換がし易くなる。
また、浄水カートリッジ7は、球状活性炭7Pが収納された直径の小さい円筒状小径下部7Aと、その上方に中空糸膜7Qが収納された円筒状大径上部7Bとを形成しており、縦方向に長い形態である。水栓1を備えた流し台等の設置状況によって、水栓1とその上方に設けられた棚等の他物との間隔が小さい場合には、この長い浄水カートリッジ7の交換に際して、浄水カートリッジ7を上方へ引き上げて交換する作業がし難い場合や、交換できない場合も考えられる。これに対応するために、上記のように、中空糸膜収納部7Bの下端部と活性炭収納部7Aの上端部とが、ネジ結合によって着脱可能に結合される構成とすれば、キャップ14を外して浄水カートリッジ7を持ち上げた状態で、このネジ結合を外すように操作して、活性炭収納部7Aから中空糸膜収納部7Bを取外すことによって、中空糸膜収納部7Bと活性炭収納部7Aを別個に取り出すことができる。
また、新規の浄水カートリッジ7の装着に際しては、前記ネジ部で活性炭収納部7Aと中空糸膜収納部7Bとに分解した状態で、活性炭収納部7Aを先に浄水カートリッジ収納部16に差し入れ、この状態で、中空糸膜収納部7Bを活性炭収納部7Aにネジ結合して、浄水カートリッジ7を組み立て、これを浄水カートリッジ収納部16に収納し、キャップ14を取り付けることによって交換できる。
また、第1発明及び第2発明において、鉛等の金属イオン除去のためには、活性炭7Pは上記のように球状活性炭とし、この球状活性炭と共に、0.2mm〜2.0mmの長さにカットした太さが5μm〜50μmのイオン交換繊維を通水性不織布の筒状中空体7H内に充填すればよい。この場合、上記のように、内筒の組み立て体7G1を筒状中空体の組み立て体7H1内に挿入する前に、筒状中空体の組み立て体7H1内に注入される球状活性炭7Pとイオン交換繊維との合計量は、満杯よりも少なく、内筒の組み立て体7G1を筒状中空体の組み立て体7H1内に挿入し結合した状態で、活性炭充填空間80内に球状活性炭7Pとイオン交換繊維との合計が充満するための量である。
このようなイオン交換繊維ではなく、イオン交換用の微粉末のセラミックを採用する場合には、活性炭の粒子間にこの微粉末が入り込んで目詰まり状態となるため、通水抵抗が大きくなり、浄水の出が悪くなるが、本発明では、球状活性炭を細く短いイオン交換繊維と共に通水性不織布の筒状体内に充填したものであるため、上記のような球状活性炭の目詰まりがなく、水との接触面積も十分取れる状態となり、活性炭での浄化効果が良好となる。そして、イオン交換繊維の表面積が大きく、鉛等の金属イオンの除去も良好に行えるため、上記のような流量低下がない浄水カートリッジ7が達成でき、浄水カートリッジ7の小型化に適したものとなる。
上記の構成では、キャップ14に浄水カートリッジ7が取り付けられた状態で、キャップ14と共に浄水カートリッジ7が取り出される構成であるが、これに代わって、浄水カートリッジ7とキャップ14とは結合せず、浄水カートリッジ7とキャップ14とは分離した状態とし、浄水カートリッジ7を浄水カートリッジ収納部16に差し入れ収納した状態で、キャップ14を浄水カートリッジ収納部16の上端開口周縁部にネジ結合する構成でもよい。この場合、浄水カートリッジ7の交換は、キャップ14を取外した状態で、浄水カートリッジ収納部16から浄水カートリッジ7を取り出す手順となる。
次に、本発明に係る浄水カートリッジの第2実施形態について説明する。図27は本発明に係る浄水カートリッジの内部構成を半断面で示す全体図、図28は本発明に係る浄水カートリッジの中空糸膜収納部の筒状本体部の断面図、図29は中空糸膜収納部の筒状本体部の上側面図、図30は中空糸膜収納部の筒状本体部の下側面図、図31は浄水カートリッジの中空糸膜収納部のカバー部の断面図、図32は中空糸膜収納部のカバー部の上側面図、図33は中空糸膜収納部のカバー部の下側面図、図34は本発明に係る浄水カートリッジの活性炭収納部の断面図、図35は本発明に係る浄水カートリッジの活性炭収納部を形成する通水性不織布の筒状中空体の断面図、図36は本発明に係る活性炭収納部の一端部シール材の側面図、図37は図36のシール材の上面図、図38は図36のシール材の底面図、図39は図35の筒状中空体の底端部に嵌合するシールリングの側面図、図40は図39のシールリングの上面図、図41は図39のシールリングの底面図、図42は図39のシールリング内に嵌合するシール材の側面図、図43は図42のシール材の上面図、図44は図42のシール材の底面図、図45は図35の筒状中空体内に配置される通水性不織布の内筒体の断面図、図46は図45の内筒体の底端部に嵌合する端部材の側面図、図47は図46の端部材の上面図、図48は図35の筒状中空体の一端底部に図39のシールリングを結合した筒状中空体の組み立て体の斜視図、図49は図45の内筒体の一端底部に図46の端部材を結合し上端部に図36のシール材を結合した内筒の組み立て体の斜視図、図50は図48の筒状中空体の組み立て体内に図49の内筒の組み立て体を結合して形成した活性炭収納筒部の底部を上面とした斜視図、図51は図50における活性炭充填部内に活性炭を充填した状態の断面図、図52は図51の活性炭を入れた筒状中空体の組み立て体の一端底部に図42のシール材を結合して完成した活性炭収納部の断面図である。
これらの図において、実施例1と共通する部分については同一符号を付しており、上記の説明を援用するものとする。これらの図において、浄水カートリッジ7の組み立てについて説明する。上記実施例1同様の通水性不織布の筒状中空体7Hの一端下端部には、図に示すような合成樹脂製シールリング61Aをその環状フランジ61A4が筒状中空体7Hの下端に当接するように筒状中空体7H内に挿入し、この両者をホットメルト等の接着剤によって結合する。このシールリング61Aによって、筒状中空体7Hの端部が補強される。シールリング61Aは、中心部に開口61A1を形成した直径方向リブ61A2を有し、このリブ61A2の左右両側に活性炭注入開口61A3を形成している。このようにして筒状中空体の組み立て体7H1が形成され、これを準備する。
また、上記実施例1同様の通水性不織布の内筒体7Gの一端上端部には、図に示すような円盤状の合成樹脂製シール材620が、その中心孔620A周縁においてホットメルト等の接着剤によって取り付けられ、また、内筒体7Gの他端下端部には、図に示すような下端が円錐形状をなす合成樹脂製端部材63をホットメルト等の接着剤によって取り付けることにより、内筒の組み立て体7G1を形成し、これを準備する。シール材620は、上記のシールリング60とシール材62とが一体形成されたと同様の構成である。
このようにして形成された筒状中空体の組み立て体7H1内に向けて、その上端側から端部材63を先にして、内筒の組み立て体7G1を挿入し、端部材63をシールリング61Aの中心部開口61A1に挿入し、内筒体7Gの下端が中心部開口61A1に挿入され、この部分がホットメルト等の接着剤によって取り付けられる。この操作において、端部材63の先端が円錐形状をなすため、開口61A1に挿入し易くなる。この操作によって、シール材620は、筒状中空体7Hの一端上端部に嵌合し、環状フランジ620Bが筒状中空体7Hの上端に当接した状態で、筒状中空体7Hとシール材620とがホットメルト等の接着剤によって結合される。
このような構成において、シールリング61Aの環状フランジ61A4とシール材620の環状フランジ620Bの外径が、筒状中空体7Hの外径と同径又は若干小径であることによって、活性炭収納部7Aの外径は筒状中空体7Hの外径よりも大きくならず、活性炭収納部7Aの小型化に適したものとなる。
このようにして、筒状中空体の組み立て体7H1と内筒の組み立て体7G1とが組み立てられた活性炭収納部7Aは、その下部であるシール材620側を図50のように下にして、この状態で、筒状中空体7Hと内筒体7Gとの間に形成された活性炭充填空間80に、活性炭注入開口61A3から微粒子の平均粒子径が50μm〜200μmの大きさの球状活性炭7Pを注入する。この場合、シールリング61Aに達するまでの十分な量の球状活性炭7Pを充填する。この球状活性炭7Pの充填の後、外周の環状溝61B1に弾性Oリング81を嵌めた円盤状の合成樹脂製シール材61Bをシールリング61A内に挿入する。シール材61Bとシールリング61Aとは、ホットメルト等の接着剤によって結合され、シール材61Bによって、活性炭注入開口61A3は閉塞されるため、活性炭充填空間80内の活性炭7Pの流出は防止される。このようにして、図52に示すように、筒状中空体7H内の活性炭充填空間80に、活性炭7Pが充填された状態の収納部7Aが形成される。
一方、合成樹脂製の中空糸膜収納部7Bには、多数の中空糸膜7QがU字状に収納されている。中空糸膜収納部7Bの上部周囲には、中空糸膜7Qを通過した浄水の出口18Aが円周上に長く複数形成され、中空糸膜収納部7Bの上面には、後述のキャップ14と結合する突部7Cを形成している。製造上の制限から、中空糸膜収納部7Bは、中空糸膜7Qを収納する筒状本体部7BBと、これに結合されるカバー部7Dから構成している。内部空間のカバー部7Dは、その周囲壁に浄水の出口18Aが円周上に長く複数形成され、上面には後述のキャップ14と結合する突部7Cを形成している。筒状本体部7BBとカバー部7Dは、中空糸膜7Qが筒状本体部7BB内に収納された状態で、筒状本体部7BBの上端開口7E周縁部7E1にカバー部7Dの開口周縁7D1が超音波溶着されることにより、水漏れがないように両者が接合される。筒状本体部7BBとカバー部7Dは、外面にそれぞれ環状の溝7B3を形成している。
上記のように構成された活性炭7Pの収納部7Aの上端部と、中空糸膜収納部7Bの下端とを結合させる。この結合は、中空糸膜収納部7Bの下端開口7B1の周縁に形成した環状フランジ7B2と、シール材620の窪み620Cの内周面とを嵌合させることにより結合される。この結合によって、図27に示すような浄水カートリッジ7が形成される。この結合を強固にするために、環状フランジ7B2とシール材620とは、ホットメルト等の接着剤にて接着されるが、この両者をOリング形状のシールリングを介してネジ結合する構成でもよい。
また通水性不織布の筒状中空体7Hは、活性炭7P層の略全周囲から水が活性炭7P層へ流入するようにするために、スパンボンド方法等にて作られたオレフィン系等の不織布の筒状体であり、球状活性炭7Pの充填が良好に行えるようにするために、スパンボンド方法等にて作られたオレフィン系等の不織布が熱成形によって内面が平滑な筒状体を構成している。この筒状中空体7Hの形成方法としては、スパンボンド方法等にて作られた所定の幅と長さをもったオレフィン系等の不織布を、平滑な外面を有する金属パイプに巻きつけた状態で、適切な方法によって金属パイプを加熱することによって、図12に示すような内面が平滑面をなす円筒形の筒状中空体7Hを形成することができる。このようにして形成された筒状中空体7Hは、その壁の厚さが1mm〜2mm(mmはミリメートル、以下同じ)程度であって、プラスチックス等の支持筒などで支えなくても、筒形状の通水性不織布自体で立った状態で直線状の筒を維持する(直立状の筒を維持する)ように、十分な剛性を有しており、球状活性炭7Pよりも十分小さい微細な通水路が、その壁全周に渡ってその壁を貫通して形成されている。
また、内筒体7Gも、実施例1と同様に、スパンボンド方法等にて作られた所定の幅と長さをもったオレフィン系等の不織布を平滑な外面を有する金属パイプに巻きつけた状態で、適切な方法によって金属パイプを加熱することによって、内面が平滑面をなす円筒形を形成し、その壁の厚さが1mm〜2mm程度であって、プラスチックス等の支持筒などで支えなくても、筒形状の通水性不織布自体で立った状態で直線状の筒を維持するように、十分な剛性を有しており、球状活性炭7Pよりも十分小さい微細な通水路が、その壁全周に渡ってその壁を貫通して形成されている。また、このような浄水カートリッジ7が水栓1に収納される構成や、水栓1の構成や、浄水カートリッジ7を収納した水栓1の取付け、更には水栓1に浄水カートリッジ7が収納された状態において、給水路3から供給される原水が浄水カートリッジ7を通過して浄化される工程、作用、効果等は、上記実施例1で記載したものと同様であるため、上記説明を援用するものとする。
このような構成によって、従来のように、プラスチックスの筒状ケースの周囲壁に形成した多数の開口をフィルタで塞いだ活性炭収納形態では、筒状ケースの小型化によって活性炭充填量が減少して浄化効果が減少するが、本発明では、通水性不織布の筒状中空体7Hそのものが活性炭7Pを収納する容器であるため、同じ外径の上記従来形態のものに比して活性炭収納量を多くできることとなり、小型化を図ることに適するものとなる。そして、実施例のように、浄水カートリッジの下部が水栓設置面である流し台の上壁等の下方に潜る状態で水栓に収納されるタイプに適したものとなる。
また、鉛等の金属イオン除去のためには、活性炭7Pは上記のような平均粒子径をもつ大きさの球状活性炭とし、上記と同様の混合割合でもって、この球状活性炭と共に、0.2mm〜2.0mmの長さにカットした太さが5μm〜50μmのイオン交換繊維を通水性不織布の筒状体7H内に充填すればよい。この構成によって、球状活性炭7P及びイオン交換繊維と水との接触面積も十分取れる状態となり、金属イオンの除去作用も良好となる。このようなイオン交換繊維ではなく、イオン交換用の粉末のセラミックを採用する場合には、活性炭の粒子間にこの粉末が入り込んで目詰まり状態となるため、通水抵抗が大きくなり、浄水の出が悪くなるが、本発明では、球状活性炭を細く短いイオン交換繊維と共に通水性不織布の筒状体内に充填したものであるため、上記のような球状活性炭の目詰まりがなく、水との接触面積も十分取れる状態となり、活性炭での浄化効果が良好となる。そして、イオン交換繊維の表面積が大きく、鉛等の金属イオンの除去も良好に行えるため、上記のような流量低下がない浄水カートリッジ7が達成でき、浄水カートリッジ7の小型化に適したものとなる。