JP2006343408A - 電子写真感光体ならびに該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体ならびに該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐キズ性および耐摩耗性の機械的強度が強く、繰り返し安定性に優れ、かつカラー用電子写真装置に対応可能な、高精細な画像再現性に優れた電子写真感光体ならびに該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】支持体ならびに該支持体上に設けられた電気絶縁性樹脂および高分子量電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、該電気絶縁性樹脂がポリフェニレン樹脂であることを特徴とする電子写真感光体ならびに該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジおよび電子写真装置。
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真感光体に関し、詳しくは高いモビリティーを有する高分子量電荷輸送物質と特定のバインダー樹脂を含有した、高耐久で、かつ高精細な画像再現性を可能にする電子写真感光体に関する。また、本発明は、該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
有機感光体は、有機光導電材料をバインダー樹脂等に溶解や分散し、種々な手法により導電性支持体上に成膜させて感光層を形成させて用いることが通常化されている。その感光体は電子写真プロセスにおいて電気的、機械的、光学的など多くの特性が要求されてきており、特に繰り返し使用されることにおける安定した特性を達成させることは重要な項目のひとつである。そのために感光層の機械的特性(耐摩耗性)の向上のみならず、電気的、光学的など多くの特性を同時に満足させることが望まれてきた。
さらに、近年ではカラー複写機やカラーレーザービームピリンター等のカラー画像に対応した電子写真装置が上市されてきており、白黒の電子写真装置に比べ、より高精細な画像再現性が求められるようになってきている。
有機感光体の耐摩耗性を向上させる手段としては、表面層に用いるバインダー樹脂を耐摩耗性に優れる種を選択することや高分子量化する方法を始めとして、バインダー樹脂中にフィラーを添加する方法、あるいはバインダー樹脂構造中にシロキサン構造やフッ素含有置換基等の潤滑性を付与するための構造を導入したり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような固体潤滑剤を添加することで、クリーニングブレードとの摩擦係数を低減させる方法などが知られている。
例えば、特許文献1〜3には、膜の機械的強度に優れたポリフェニレン樹脂を用いた電子写真感光体が提案されており、このうち特許文献2では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を併用し、感光層の耐キズ性を向上させることで感光体の高耐久化をはかる方法が提案されている。
しかし、各種フィラーやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような固体の添加剤を感光層中に添加する方法は、感光層の耐摩耗性は向上させるものの、電子写真プロセス中での露光工程で露光した光を散乱させるため、潜像の形成に影響を与える。このことは、画像再現性を低下させる要因となるため、カラー対応の電子写真装置用の感光体として用いた場合、必ずしも十分な画像再現性が得られない。
さらに、この方法は、繰り返し使用による膜の減耗(耐摩耗)という観点では、効果が著しいものの、感光体の繰り返し使用により局所的に生じる深いキズの発生に対しては、必ずしも十分な性能を有しておらず、キズ起因の画像欠陥により感光体の寿命が決まっていた。すなわち、さらなる感光体の耐久性の向上には、耐キズ性を向上させることが必要となる。
ところで、上市されている感光体の多くは、低分子量の電荷輸送物質を使用しており、また該電荷輸送物質単独では感光層としての成膜性が劣ることからバインダー樹脂との混合により成膜し表面層としての膜強度を出して用いられている。また、その膜強度はバインダー樹脂の特性によるところが大きいが、バインダー樹脂そのものの機械的強度が優れていても、低分子量の電荷輸送物質を混合することから、必ずしもバインダー樹脂が持つ本来の強度等を出せるわけではない。またその混合比(電荷輸送物質/バインダー樹脂)はバインダー樹脂と電荷輸送物質との相溶性などから上限があり、感度などの電気特性を満足させる必要性から下限もある。そのため、得られた感光体は耐摩耗、耐キズ性において必ずしも十分な耐久性を得るには至っていない。バインダー樹脂本来の膜強度を生かすためには、添加する電荷輸送物質の添加量を減らせばよいが、その場合には、電荷輸送能の低下が生じ電子写真特性、感度の低下や残留電位の上昇、画像の不良などを招いてしまうという問題が生じ、膜強度と電子写真特性を両立するには至っていない。
このようにバインダー樹脂に低分子量の電荷輸送物質を混合させる系では強度等の低下があり、一方で電荷輸送物質の混合量にも上限界があることから電気特性等にも限界が生じてしまう。そのために電荷輸送物質を高分子量化して成膜性を持たせることや、バインダー樹脂に電荷輸送性を持つ構造を導入し電荷輸送能を持たせることにより、強度と電気特性の向上を目指した感光層を得る提案が、特許文献4〜8等でなされている。
しかし、これらの多くは必ずしも十分な耐摩耗性を有しているわけではなく、また強度と感度等の特性を1つの材料で達成させることは設計の自由度が低いことでもあり、両特性の制御が容易ではなく、ある程度の特性が得られる場合でも、製造が容易ではないことからコストが非常に高く実用には向かない等の欠点があった。
さらに、高分子量電荷輸送物質と膜強度の高い電気絶縁性樹脂を混合して用いることで、低分子量電荷輸送物質の使用時で見られた感光層の強度の低下を改善させようとする試みが特許文献9〜11等で提案されている。これらは、膜強度と電気特性の向上という点で改良されてはきているものの、未だ十分といえる状況には至っていない。
特開平11−194523号公報 特開2000−330312号公報 特開2000−314977号公報 特開昭64−9964号公報 特開平2−282263号公報 特開平3−221522号公報 特開平8−101517号公報 特開平8−208820号公報 WO 99−32537号公報 特開2004−93798号公報 特開2004−93799号公報
本発明の目的は、従来の表面層が有していた問題点を解決し、耐キズ性および耐摩耗性の機械的強度が強く、繰り返し安定性に優れ、かつカラー用電子写真装置に対応可能な、高精細で画像再現性に優れた電子写真感光体を安価に提供することである。また、本発明の目的は、該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することである。
本発明は、支持体ならびに該支持体上に設けられた電気絶縁性樹脂および高分子量電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、該電気絶縁性樹脂がポリフェニレン樹脂であることを特徴とする電子写真感光体である。
また、本発明は、該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
本発明によれば、耐キズ性および耐摩耗性の機械的強度が強く、繰り返し安定性に優れ、かつカラー用電子写真装置に対応可能な、高精細で画像再現性に優れた電子写真感光体が可能になった。また、本発明によれば、該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジおよび電子写真装置が可能になった。
本発明においては、上述したようにバインダー樹脂として高強度な特定の電気絶縁性樹脂(ポリフェニレン樹脂)と電荷輸送物質として高分子量の物質を用いた電子写真感光体であることを特徴としている。すなわち、電荷輸送層において、電荷輸送物質を高分子量化して成膜性を持たせること、またはバインダー樹脂に電荷輸送能を持つ構造を付加させること等によって電荷輸送能を持った感光層を直接形成させて表面層に強度を持たせた例とは異なる。本発明においては、感光層の成膜性、強度の発現はバインダー樹脂よってなされており、膜強度、生産性、コストなどから選択の幅を持たせている。また、電荷輸送物質を原子間における電子の共役を広げる形において一定量の高分子量化をさせることにより電荷輸送能が向上した材料としている。結果として、バインダー樹脂と電荷輸送物質からなる感光層中において、少量の電荷輸送物質を用いた系においても十分な電荷輸送能が確保できている。それにより良好な電子写真特性、電気特性が得られると共に、感光層中のバインダー樹脂比率を高めることが可能となり、表面層として用いた場合に耐摩耗性や耐キズ性などにおいて非常に良好な特性を示すことに特徴がある。特に本発明の感光体は、バインダー樹脂の構造を限定した結果、耐キズ性が著しく向上した。
さらに、本発明の感光体は、電気絶縁性の樹脂を限定することにより、高分子量電荷輸送物質との相溶性のラチチュードが広がり、バインダー樹脂と電荷輸送物質の相溶性がよくない場合に生じる、成膜性の低下(結果として強度が十分でなくなる)や電子写真特性(電気特性)の低下(電荷輸送能を持つ部位が層内で偏在してしまい電荷のトラップサイトを生じる)が起こらない感光層を得ることができる。
また、本発明の感光体は高モビリティーを有する高分子量電荷輸送物質と相溶性の特に良いバインダー樹脂を用いたことにより、電荷の分散が少ない、所謂深い潜像の形成が可能な感光体の供給を可能にした。
すなわち、本発明の感光体は、カラー対応の電子写真装置への使用に適した画像再現性を有する感光体である。
次に、本発明に用いるポリフェニレン樹脂とは、重合体の主鎖が置換基として様々な有機基を有していてもよいフェニレンを繰り返し構造単位とする樹脂である。
本発明においては、電子写真特性および溶解性の点で、ポリフェニレン樹脂が下記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2006343408
(式(1)中、R101〜R103は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を示す。R105〜R109は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を示す。)
式(1)において、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、ヘキシル基およびオクチル基などが挙げられる。アルキル基が有してもよい置換基としては、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、ヘキシル基およびオクチル基などのアルキル基、フェニル基およびナフチル基などのアリール基が挙げられる。
なお、本発明においては、機械的強度の点で、R101〜R103が、さらには、R101〜R103およびR105〜R109の全てが水素原子であることが好ましい。
また、本発明においては、ポリフェニレン樹脂が式(1)で示される繰り返し構造単位を1種有していても、2種以上有していてもよい。
さらに、本発明においては、ポリフェニレン樹脂が式(1)以外の繰り返し構造単位を有していてもよい。この場合、式(1)で示される繰り返し構造単位が全繰り返し構造単位に対し20mol%以上であることが好ましく、特には40mol%以上であることが好ましい。
特に、本発明においては、溶解性の点で、ポリフェニレン樹脂が上記式(1)で示される繰り返し構造単位および下記式(2)で示される繰り返し構造単位を有する二元共重合体であることが好ましい。
Figure 2006343408
(式(2)中、R201〜R204は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を示す。)
式(2)中、アルキル基およびアルキル基が有してもよい置換基としては式(1)と同様のものが挙げられる。
本発明においては、強度の点で、R201〜R204およびR101〜R103が、さらには、R201〜R204、R101〜R103およびR105〜R109の全てが水素原子であることが好ましい。また、上記式(1)で示される繰り返し構造単位と上記式(2)で示される繰り返し構造単位の共重合比は20:80〜80:20であることが好ましく、特には40:60〜60:40であることが好ましい。
本発明に用いるポリフェニレン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜500,000であることが好ましい。
以下に、本発明に用いるポリフェニレン樹脂が有する繰り返し構造単位の好ましい例を挙げるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
Figure 2006343408
Figure 2006343408
Figure 2006343408
上記繰り返し構造単位の具体例中、m、nは整数である。
これらの中では、繰り返し構造単位(1)および(13)が特に好ましい。
次に、本発明に用いる高分子量電荷輸送物質の重量平均分子量(Mw)は、1500〜9000であることが好ましい。
高分子量電荷輸送物質の構造については、本発明の効果が得られるかぎり限定されないが、より効果が得られやすい高分子量電荷輸送物質としては下記式(3)で示される繰り返し構造単位を有する重合体であり、次に説明する。
Figure 2006343408
(式(3)中、R301〜R308は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。ただし、R301とR308とは共同して、エーテル基、チオエーテル基、置換もしくは無置換のアルキリデン基、カルボニル基または置換もしくは無置換のイミノ基を形成して、ベンゼン環αとベンゼン環βとを結合してもよい。R309〜R313は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアルコキシ基を示す。ただし、R311とR312とR311およびR312が結合するベンゼン環とは共同して環を形成してもよく、また、R312とR313とR312およびR313が結合するベンゼン環とは共同して環を形成してもよい。)
式(3)において、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基など、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基など、アルキリデン基としてはメチレン基、エチリデン基およびプロピリデン基など、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子および臭素原子など、ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、ジブロモエチル基およびクロロプロピル基などが挙げられる。
本発明において、高分子量電荷輸送物質は、式(3)で示される繰り返し構造単位を平均で5個以上有する重合体であることが好ましい。
以下に、本発明において効果の高い高分子量電荷輸送物質の繰り返し構造単位の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006343408
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Figure 2006343408
Figure 2006343408
Figure 2006343408
Figure 2006343408
本発明において、高分子量電荷輸送物質は、式(3)で示される繰り返し構造単位の1種からなる単独重合体であっても、2種以上からなる共重合体であってもよく、使用条件によって選択できる。特に、2種以上の繰り返し構造単位からなる共重合体とすることにより、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルを制御することができる。電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルは電荷発生物質とのマッチングの他に、電子写真プロセスにおける帯電時の放電等による酸化における影響があり、高めに設定した方が繰り返し使用における酸化劣化を抑制することができる。
以下、本発明に用いる電子写真感光体の構成について説明する。
本発明における電子写真感光体は、感光層が電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型であっても、電荷輸送層と電荷発生層に分離した積層型でもよいが電子写真特性上は積層型が好ましい。
使用する支持体は導電性を有するものであればよく、アルミニウム、ステンレスなどの金属、あるいは導電層を設けた金属、紙、プラスチックなどが挙げられ、形状はシート状、円筒状などが挙げられる。
LBPなど画像入力がレーザー光の場合は散乱による干渉縞防止、または支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これは、カーボンブラック、金属粒子などの導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は好ましくは5〜40μm、より好ましくは10〜30μmである。
その上に接着機能を有する中間層を設ける。中間層の材料としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンなどが挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.3〜1μmである。
中間層の上には電荷発生層が形成される。本発明に用いる電荷発生物質としてはセレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン、非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。機能分離型の場合、電荷発生層は前記電荷発生物質を質量基準で好ましくは0.3〜4倍量のバインダー樹脂および溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルおよび液衝突型高速分散機などの方法でよく分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。電荷発生層の膜厚は好ましくは5μm以下、より好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層は主として本発明に用いる電気絶縁性樹脂(ポリフェニレン樹脂)と高分子量電荷輸送物質とを溶剤中に溶解させた塗料を塗工、乾燥して形成する。電荷輸送物質は質量基準で0.5〜10倍量の電気絶縁性樹脂と組み合わされ塗工、乾燥し電荷輸送層を形成するが、本発明の特徴を引き出すためには電気絶縁性樹脂量を電荷輸送物質に対して質量基準で好ましくは1〜8倍量、より好ましくは2〜4倍量とする。電荷輸送層の膜厚は好ましくは5〜40μm、より好ましくは10〜35μmである。
重量平均分子量(Mw)測定
重量平均分子量測定は常法に従って行う。試料をTHF中に入れ、数時間放置した後十分に振とうしてTHFとよく混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、さらに12時間以上静置する。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−5(東ソー社製)、エキクロディスク25CR(ゲルマンサイエンス社製)などが利用できる)を通過させたものをGPCの試料とする。試料濃度は樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調製する。
作成した試料は以下の方法で測定される。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約10μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が10〜10程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンゲルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば、昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合わせや、東ソー社製TSKgelG1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKguardcolumn、TSKgelSuperHM−Mの組み合わせを挙げることができる。
図2に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図2において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)3により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図2に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図2では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
本発明に用いる高分子量電荷輸送物質の構造は特に限定されないが、芳香族を含むアミン化合物であることが好ましい。また、合成法も特に限定されないが、日本化学会編、実験化学講座18巻、有機金属錯体、丸善(1991)などに示されたニッケルまたはパラジウム系有機金属触媒を用いたカップリング法などで合成することができる。また、特許文献9〜特許文献12に記載された方法を用いてもよい。本実施例で使用した高分子量電荷輸送物質は、特許文献9〜特許文献12に記載された方法を用いて合成した。
特開2003−316043号公報
以下、実施例に従って説明する。
なお、実施例中の「部」は「質量部」を示す。
(実施例1)
φ30mm、長さ260.5mmのAlシリンダーを支持体とし、まず水系において界面活性剤、超音波装置を用いて表面を洗浄し、次いで80℃の純水に浸漬して引き上げ、表面の清浄化および乾燥を行った。次に、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬法で塗布し140℃で30分熱硬化して膜厚が15μmの導電層を形成した。
導電性顔料:SnOコート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール、メトキシプロパノール 0.2/0.8 20部
次に、この上にNメトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部をメタノール65部とnブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布して膜厚が0.6μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線のブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学社製)2部およびシクロヘキサノン60部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散したあとエチルアセテート100部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬法で塗布し、90℃で乾燥させ、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
電荷輸送物質として例示高分子量電荷輸送物質の繰り返し構造単位CT−1(重量平均分子量:Mw=2900)4部、バインダー樹脂として例示ポリフェニレン樹脂の繰り返し構造単位(1)(重量平均分子量:Mw=40000)10部をモノクロロベンゼン70部とジメトキシメタン30部の混合溶媒に溶解した。
この塗料を浸漬法で塗布し、120℃で2時間乾燥して膜厚が18μmの電荷輸送層を形成した。
次に、評価について説明する。
装置はキヤノン社製レーザービームプリンターLBP−5500(プロセススピード:94.2mm/sec、ゴムローラー型DC接触系一次帯電、2成分ネガトナー接触現像系、静電転写ベルトによる接触転写系、ウレタンゴムブレードをカウンタ−方向に設定したクリーナー、LEDを用いた前露光)を改造したものを評価機として用いて、上記で作製した電子写真感光体をこの装置に設置した。改造は、ウレタンゴムブレードの当接圧を1.2倍とし、評価に使用する現像剤の外添剤量を1.2倍とした。さらに、所望の一次帯電設定、所望の光量を自由に設定できるように改造を施した。
評価は、低温/低湿(温度15℃、湿度10%RH)の雰囲気下に装置を設置し、暗部電位が−480Vになるように一次帯電設定を行い、明部電位が100Vとなるよう露光量を調整した後、20000枚の通紙耐久評価を行った。シーケンスはA4サイズ6%印字において、1枚ごとに1回停止する間欠モード(10秒/枚)とし、耐久後の電荷輸送層の摩耗量を渦電流を用いた膜厚計(フィッシャー社製膜厚測定機フィッシャーMMS 渦電流プローブEAW3.3)で測定すると共に、感光層中に発生した最大キズ深さ(Rmax:最大高さ(JIS 1982);断面曲線の基準長さLを抜き取った部分の平均線に平行な2直線で曲線を挟んだ時の2直線の間隔の値。)を表面粗さ計(サーフコーダーSE3400;小坂研究所社製)を用いて測定した。
また、常温/常湿(温度23℃、湿度55%RH)で、プリントアウト画像評価としてドット再現性を評価した。評価方法は、潜像電界によって電界が閉じやすく、再現しにくい図1に示すような小径(50μm)の孤立ドットパターン画像をプリントアウトし、そのドット再現性を評価した。評価の基準は以下の通りである。
A:欠損2個以下/100個
B:欠損3〜5個/100個
C:欠損6〜10個/100個
D:欠損11個以上/100個
評価結果を表1に示す。
(実施例2〜10)
電荷輸送物質およびバインダー樹脂を表1に示したものに替えた以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、同様にして評価した。ただし、表中のポリフェニレン樹脂は、全て重量平均分子量Mw≒40000のものを使用した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、電荷輸送層に用いたバインダー樹脂を下記構造を有する(樹脂−A)に替えた以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、評価を行った。
結果を表1に示す。
Figure 2006343408
重量平均分子量 Mw=130000
テレフタル酸/イソフタル酸=50/50
(比較例2)
実施例1において、電荷輸送物質を下記式(CT−A)に替えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006343408
(比較例3)
実施例1において、電荷輸送物質を(CT−A)に替え、電荷輸送物質(D)とバインダー樹脂(B)の使用量をD/B=8部/10部に替えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1の電荷輸送層の替わりに、以下の方法で作製した電荷輸送層用塗料を用いて、電荷輸送層を形成させた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例4の電荷輸送層用塗料の調合>
1.フッ素樹脂粒子分散液の調製
クロロベンゼン8部およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粒子(ルブロンL−2;ダイキン社製)2部、フッ素含有アクリル樹脂0.1部を混合し、高速液衝突式分散機を用いて5回分散して、フッ素樹脂分散液を調製した。このフッ素樹脂粒子分散液の粒径を、遠心沈降式粒径測定装置(CAPA700;堀場製作所社製)を用いて測定したところ、平均粒径0.2μmであった。
2.電荷輸送層用塗料の調合
電荷輸送物質(CT−A)8部と繰り返し構造単位例(1)で示されるポリフェニレン樹脂(重量平均分子量:40000)10部、および上記フッ素樹脂粒子分散液2部をモノクロロベンゼン70部とジメトキシメタン30部の混合溶媒に溶解した。
Figure 2006343408
*実施例8の電荷輸送物質は、CT−2/CT−20の構成比が1/1である交互共重合体である。
**実施例9の電荷輸送物質は、CT−3/CT−43の構成比が4/1であるランダム共重合体である。
以上、実施例に示したように本発明の感光体により、初期感度に優れ、感光層の耐久性(とりわけ耐キズ性)に優れており、かつカラー対応の電子写真装置においても、高精彩で画像再現性に優れた良好な画像を得ることができた。
本発明においてドット再現性の評価に用いたドットの一例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材

Claims (15)

  1. 支持体ならびに該支持体上に設けられた電気絶縁性樹脂および高分子量電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、該電気絶縁性樹脂がポリフェニレン樹脂であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記感光層が、電荷発生物質を含有する電荷発生層ならびに前記電気絶縁性樹脂および前記高分子量電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する積層型感光層である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記ポリフェニレン樹脂が、下記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2006343408
    (式(1)中、R101〜R103は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を示す。R105〜R109は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を示す。)
  4. 前記ポリフェニレン樹脂が、前記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する単独重合体である請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記ポリフェニレン樹脂が、さらに下記式(2)で示される繰り返し構造単位を有する共重合体である請求項3に記載の電子写真感光体。
    Figure 2006343408
    (式(2)中、R201〜R204は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を示す。)
  6. 前記ポリフェニレン樹脂が、前記式(1)で示される繰り返し構造単位および前記式(2)で示される繰り返し構造単位を有する二元共重合体である請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記高分子量電荷輸送物質の重量平均分子量が1500〜9000である請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記高分子量電荷輸送物質が、下記式(3)で示される繰り返し構造単位を有する重合体である請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 2006343408
    (式(3)中、R301〜R308は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。ただし、R301とR308とは共同して、エーテル基、チオエーテル基、置換もしくは無置換のアルキリデン基、カルボニル基または置換もしくは無置換のイミノ基を形成して、ベンゼン環αとベンゼン環βとを結合してもよい。R309〜R313は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアルコキシ基を示す。ただし、R311とR312とR311およびR312が結合するベンゼン環とは共同して環を形成してもよく、また、R312とR313とR312およびR313が結合するベンゼン環とは共同して環を形成してもよい。)
  9. 前記高分子量電荷輸送物質が、前記式(3)で示される繰り返し構造単位を平均で5個以上有する重合体である請求項8に記載の電子写真感光体。
  10. 前記高分子量電荷輸送物質が単独重合体である請求項8または9に記載の電子写真感光体。
  11. 前記高分子量電荷輸送物質が、前記式(3)で示される繰り返し構造単位を2種以上有する共重合体である請求項8または9に記載の電子写真感光体。
  12. 前記高分子量電荷輸送物質がランダム共重合体である請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記高分子量電荷輸送物質が交互共重合体である請求項11に記載の電子写真感光体。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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