JP2006342836A - 遠心圧制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筐体2を駆動軸3により回転すると、内部作動流体5に遠心力が作用して筐体2内に遠心圧が発生する。この遠心圧を制御可能にするため筐体2内に回転板6を同軸に設け、これをモータ8により回転制御可能にする。回転板6の回転速度Nmを筐体回転速度Ninと同方向で、且つ、同じ値にすると、作動流体5は、回転板6が存在しない場合と同様な平均回転速度で回転され、この平均回転速度で決まる遠心力が内部作動流体5に作用して筐体2内に対応する遠心圧が発生する。Nm>Ninにすると、作動流体5の平均回転速度が速くなって筐体2内の遠心圧が上昇し、Nm< Ninにすると、作動流体5の平均回転速度が低下して筐体2内の遠心圧が低下する。
【選択図】図1
Description
特許文献1に記載のものは、湿式クラッチのピストン作動室内に発生した遠心圧がクラッチ解放時にクラッチ締結方向へ作用する弊害を回避するため、ピストンを挟んでピストン作動室と反対の側に、作動油が充満された遠心圧キャンセル室を画成し、この室内に発生した遠心圧で、ピストン作動室内の遠心圧によるピストン押し力を相殺するもので、
また特許文献2に記載のものは、同じく湿式クラッチのピストン作動室内に発生した遠心圧がクラッチ解放時にクラッチ締結方向へ作用する弊害を回避するため、クラッチの非作動時は遠心力により開かれてピストン作動室の作動油をドレンする通路を設け、これにより、クラッチの非作動時にピストン作動室内に遠心圧が発生することのないようにしたものである。
このため従来の遠心圧制御技術は、遠心圧の圧力エネルギーを有効利用するよう改善し得る余地があった。
作動流体が充満されている回転筐体を具え、該筐体の回転による遠心力が内部作動流体に作用して筐体内部に遠心圧を発生させるものにおいて、
上記筐体の回転軸線に同軸に配置して該筐体内に回転板を収納し、
該回転板の、筐体に対する相対回転制御により筐体内作動流体の平均回転速度を変化させて上記遠心圧を制御する回転板回転制御手段を設けてなることを特徴とするものである。
先ず前提となるVベルトプーリについて説明するに、これは、
Vベルトを掛け渡すためのV溝を画成する一対の対向フランジを具え、一方のフランジを他方のフランジに対し軸線方向へ変位させてV溝幅を変更することにより、Vベルトの巻き掛け径を変更可能にしたVベルトプーリである。
上記他方のフランジから軸線方向遠い側における上記一方のフランジの面と、この面から遠ざかる軸線方向への移動を制限されて該一方のフランジと共に回転するフランジカバーとにより、作動流体充満筐体を画成し、
該筐体内に、プーリ回転軸線と同軸に配置して回転板を収納し、
該回転板の、筐体に対する相対回転制御により筐体内作動流体の平均回転速度を変化させて、筐体内の遠心圧を制御する回転板回転制御手段を設け、
この遠心圧によりVベルトの挟み力を決定するよう構成したことを特徴とするものである。
先ず前提となる湿式クラッチについて説明するに、これは、
入力側回転メンバと共に回転するクラッチプレート、および、出力側回転メンバと共に回転するクラッチプレートを、入力側回転メンバと共に回転するピストンにより相互に押圧して締結させる湿式クラッチである。
上記クラッチプレートから軸線方向遠い側における上記ピストンの面と、この面から遠ざかる軸線方向への移動を制限されて該ピストンと共に回転するピストンカバーとにより、作動流体充満筐体を画成し、
該筐体内に、上記入出力側回転メンバの回転軸線と同軸に配置して回転板を収納し、
該回転板の、筐体に対する相対回転制御により筐体内作動流体の平均回転速度を変化させて、筐体内の遠心圧を制御する回転板回転制御手段を設け、
この遠心圧により前記ピストンのクラッチプレート押し付け力を決定するよう構成したことを特徴とするものである。
筐体内における回転板を、筐体に対して相対回転制御することにより、筐体内作動流体の平均回転速度が変化されることとなり、結果として、この平均回転速度により決まる筐体内の遠心圧を制御することができる。
よって、遠心圧を調圧してこれを有効利用することができ、遠心圧の圧力エネルギーを利用して、エネルギー効率を高めることができる。
上記他方のフランジから軸線方向遠い側における上記一方のフランジの面と、この面から遠ざかる軸線方向への移動を制限されて該一方のフランジと共に回転するフランジカバーとにより画成された作動流体充満筐体内における回転板を、筐体に対して相対回転制御することにより、筐体内作動流体の平均回転速度が変化されることとなり、結果として、この平均回転速度により決まる筐体内の遠心圧を制御し、この制御された遠心圧をVベルト挟み力の決定に用いることができる。
クラッチプレートから軸線方向遠い側における上記ピストンの面と、この面から遠ざかる軸線方向への移動を制限されて該ピストンと共に回転するピストンカバーとにより画成された作動流体充満筐体内における回転板を、筐体に対して相対回転制御することにより、筐体内作動流体の平均回転速度が変化されることとなり、結果として、この平均回転速度により決まる筐体内の遠心圧を制御し、この制御された遠心圧をクラッチプレート押し付け力の決定に用いることができる。
図1は、本発明のー実施例になる遠心圧制御装置を示し、1は、この遠心圧制御装置を用いたユニットのハウジングである。
遠心圧制御装置は筐体2を具え、この筐体2を駆動軸3によりエンジンなどの原動機(図示せず)に結合し、筐体2は更に、ハウジング1内に回転自在に支持すると共にスラストニードル4により軸線方向に支持する。
回転板6の中心に制御軸7を固設し、この制御軸7を、筐体駆動軸3から遠い回転板6の側に延設して筐体2から液密封止下に、しかし筐体2に対し相対回転自在に突出させる。
遠心圧制御モータ8は、本発明における回転板回転制御手段に相当する。
軸3を介した筐体2の回転により内部作動流体5も連れ回され、この回転による遠心力が作動流体5に作用して回転筐体2内に遠心圧が発生し、この遠心圧を本実施例においては以下のように制御することができる。
そして、回転板6の回転速度Nmを上昇させ、回転板6および筐体2間の相対回転速度ΔNを大きくするにつれ、筐体2内における作動流体5の平均回転速度増大程度が増すことから、原動機回転速度Ninに対する遠心圧の変化特性は図2(a)のαからβへと変化する。
ここで、回転板6の回転速度Nmを原動機回転速度Ninと同じ値から0に向け低下させ、回転板6および筐体2間の相対回転速度ΔN=Nm-Ninの絶対値を大きくするにつれ、筐体2内における作動流体5の平均回転速度低下程度が強くなることから、原動機回転速度Ninに対する遠心圧の変化特性は図2(a)のαからγへと変化する。
回転板6の逆回転速度Nmを0からNm=-Ninへと増大させ、回転板6および筐体2間の相対回転速度ΔN=Nm-Ninの絶対値を更に大きくするにつれ、筐体2内における作動流体5の平均回転速度低下程度が更に強くなることから、原動機回転速度Ninに対する遠心圧の変化特性は図2(a)のγからδへと変化する。
ここで、図2(a),(b)に示す遠心圧変化特性α,β,γ,δ間の領域での特性について個々に考察するに、
遠心圧変化特性α,γ間の領域aでは、図3に便宜上同じ符号aを付して示すごとく、回転板6および筐体2間の相対回転速度ΔN=Nm-Nnの絶対値が大きいほど遠心圧が低くなり、
また、遠心圧変化特性α,β間の領域bでは、図3に便宜上同じ符号bを付して示すごとく、回転板6および筐体2間の相対回転速度ΔN=Nm-Nnが大きいほど遠心圧が高くなり、
更に、遠心圧変化特性γ,δ間の領域cでは、図3に便宜上同じ符号cを付して示すごとく、回転板6および筐体2間の相対回転速度ΔN=Nm-Nnが大きいほど遠心圧が低くなる。
遠心圧を調圧してこれを有効利用することができることとなり、遠心圧の圧力エネルギーを有効利用して、エネルギー効率を高めることができる。
かかるVベルトプーリは、両フランジ11,13間に画成されたV溝にVベルト14を巻き掛けして実用に供し、可動フランジ13を固定フランジ11に対し軸線方向へ変位させてV溝幅を変更することにより、Vベルトの巻き掛け径を変更して無段変速が可能となるようにする。
この嵌合はスプライン16を介して行い、これによりフランジカバー15を可動フランジ13に対し軸線方向相対変位可能に回転係合させ、可動フランジ13とフランジカバー15とで、作動流体17が充満された筐体18を構成する。
なおフランジカバー15は、Vベルト式無段変速機ケース19との間におけるスラストニードル20により、可動フランジ13から遠ざかる軸線方向への移動を制限する。
この制御軸22を、固定フランジ11から遠い回転板21の側に延設して筐体18から液密封止下に、しかし筐体18に対し相対回転自在に突出させる。
遠心圧制御モータ23は、本発明における回転板回転制御手段に相当する。
筐体18内には、固定フランジ11の中心孔11aより所定のプーリ圧Ppを常時供給し、これと、プーリの回転により筐体18内に発生し、前述したと同様に制御可能な遠心圧との協働によりVベルト14の挟み力を決定して所定の変速制御を行うことができる。
これにより図6の上半分に示すごとく、Vベルト14は可動プーリ13を固定プーリ11から遠ざかる矢印方向へ変位させながら動力伝達を行い、Vベルト14のプーリ巻き掛け円弧径が小さくなり、対応した方向への無段変速が生起される。
これにより図6の下半分に示すごとく、可動プーリ13はVベルト14を径方向外方へ追い出しながら固定プーリ11に接近する矢印方向へ変位しながら動力伝達を行い、Vベルト14のプーリ巻き掛け円弧径が大きくなり、対応した方向への無段変速が生起される。
そして、筐体18内に所定のプーリ圧Ppを供給し、これと遠心圧との協働によりVベルトの挟み力を制御するから、小さな遠心力で、つまりプーリ回転数の小さなものにおいてもこの制御が可能である。
湿式クラッチは、入力側回転メンバ31と共に回転するクラッチプレート32、および、出力側回転メンバ33と共に回転するクラッチプレート34よりなるクラッチパックと、入力側回転メンバ31にスプライン35を介して軸線方向変位可能に回転係合させたピストン36とを具え、
このピストン36によりクラッチプレート32,34を相互に押圧してクラッチの締結状態を得るものとする。
この嵌合はスプライン38を介して行い、これによりピストンカバー37をピストン36に対し軸線方向相対変位可能に回転係合させ、ピストン36とピストンカバー37とで、作動流体39が充満された筐体40を構成する。
なおピストンカバー37は、変速機ケース41との間におけるスラストニードル42により、クラッチプレート32,34から遠ざかる軸線方向への移動を制限する。
この制御軸44を、クラッチプレート32,34から遠い回転板43の側に延設して筐体40から液密封止下に、しかし筐体40に対し相対回転自在に突出させる。
遠心圧制御モータ45は、本発明における回転板回転制御手段に相当する。
筐体40内には、図示せざる油路より所定圧を供給し、これと、湿式クラッチの回転により筐体40内に発生し、前述したと同様に制御可能な遠心圧との協働によりクラッチの締結力を決定して所定のクラッチ締結制御を行うことができる。
ここで上記の所定圧は、筐体40内に作動流体39を充満させるのに必要な圧力に定める。
そして、筐体40内に所定圧を供給し、筐体40内に作動流体39が確実に充満されるようにしたから、上記の遠心力制御が正確になり上記の作用効果を確実なものにすることができる。
この場合、図6の筐体18内における作動圧、および、図7の筐体40内における作動圧の落差が大きくて、制御の応答性を改善することができる。
2 筐体
3 駆動軸
4 スラストニードル
5 作動流体
6 回転板
7 制御軸
8 遠心圧制御モータ(回転板回転制御手段)
9 ロータ
10 ステータ
11 Vベルトプーリ固定フランジ
12 スプライン
13 Vベルトプーリ可動フランジ
14 Vベルト
15 フランジカバー
16 スプライン
17 作動流体
18 筐体
19 Vベルト式無段変速機ケース
20 スラストニードル
21 回転板
22 制御軸
23 遠心圧制御モータ(回転板回転制御手段)
24 ロータ
25 ステータ
31 入力側回転メンバ
32 クラッチプレート
33 出力側回転メンバ
34 クラッチプレート
35 スプライン
36 ピストン
37 ピストンカバー
38 スプライン
39 作動流体
40 筐体
41 変速機ケース
42 スラストニードル
43 回転板
44 制御軸
45 遠心圧制御モータ(回転板回転制御手段)
46 ロータ
47 ステータ
Claims (12)
- 作動流体が充満されている回転筐体を具え、該筐体の回転による遠心力が内部作動流体に作用して筐体内部に遠心圧を発生させるものにおいて、
前記筐体の回転軸線に同軸に配置して該筐体内に回転板を収納し、
該回転板の、筐体に対する相対回転制御により筐体内作動流体の平均回転速度を変化させて前記遠心圧を制御する回転板回転制御手段を設けてなることを特徴とする遠心圧制御装置。 - Vベルトを掛け渡すためのV溝を画成する一対の対向フランジを具え、一方のフランジを他方のフランジに対し軸線方向へ変位させてV溝幅を変更することにより、Vベルトの巻き掛け径を変更可能にしたVベルトプーリにおいて、
前記他方のフランジから軸線方向遠い側における前記一方のフランジの面と、この面から遠ざかる軸線方向への移動を制限されて該一方のフランジと共に回転するフランジカバーとにより、作動流体充満筐体を画成し、
該筐体内に、プーリ回転軸線と同軸に配置して回転板を収納し、
該回転板の、筐体に対する相対回転制御により筐体内作動流体の平均回転速度を変化させて、筐体内の遠心圧を制御する回転板回転制御手段を設け、
この遠心圧によりVベルトの挟み力を決定するよう構成したことを特徴とするVベルトプーリの遠心圧制御装置。 - 請求項2に記載の遠心圧制御装置において、
前記筐体内に、前記遠心圧とは別の所定圧を供給し、この所定圧と遠心圧との協働によりVベルトの挟み力を決定するよう構成したことを特徴とするVベルトプーリの遠心圧制御装置。 - 入力側回転メンバと共に回転するクラッチプレート、および、出力側回転メンバと共に回転するクラッチプレートを、入力側回転メンバと共に回転するピストンにより相互に押圧して締結させる湿式クラッチにおいて、
前記クラッチプレートから軸線方向遠い側における前記ピストンの面と、この面から遠ざかる軸線方向への移動を制限されて該ピストンと共に回転するピストンカバーとにより、作動流体充満筐体を画成し、
該筐体内に、前記入出力側回転メンバの回転軸線と同軸に配置して回転板を収納し、
該回転板の、筐体に対する相対回転制御により筐体内作動流体の平均回転速度を変化させて、筐体内の遠心圧を制御する回転板回転制御手段を設け、
この遠心圧により前記ピストンのクラッチプレート押し付け力を決定するよう構成したことを特徴とする湿式クラッチの遠心圧制御装置。 - 請求項4に記載の遠心圧制御装置において、
前記筐体内に、前記遠心圧とは別の所定圧を供給して作動流体が確実に充満されるよう構成したことを特徴とする湿式クラッチの遠心圧制御装置。 - 請求項3または5に記載の遠心圧制御装置において、
前記遠心圧と所定圧とを同時に制御するよう構成したことを特徴とする遠心圧制御装置。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の遠心圧制御装置において、
前記回転板回転制御手段は、前記回転板を前記筐体と同方向へ、該筐体よりも低速度で回転させるものであり、これにより、回転板を筐体と同方向へ同速度で回転させる場合よりも、筐体内作動流体の平均回転速度を低下させて前記遠心圧を低下させると共に、回転板および筐体間の相対回転速度が大きいほど前記遠心圧を低くするよう構成したことを特徴とする遠心圧制御装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の遠心圧制御装置において、
前記回転板回転制御手段は、前記回転板を前記筐体と同方向へ、該筐体よりも高速度で回転させるものであり、これにより、回転板を筐体と同方向へ同速度で回転させる場合よりも、筐体内作動流体の平均回転速度を上昇させて前記遠心圧を高くすると共に、回転板および筐体間の相対回転速度が大きいほど前記遠心圧を高くするよう構成したことを特徴とする遠心圧制御装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の遠心圧制御装置において、
前記回転板回転制御手段は、前記回転板を前記筐体と逆方向へ回転させるものであり、これにより、回転板を回転させない場合よりも、筐体内作動流体の平均回転速度を低下させて前記遠心圧を低くすると共に、回転板および筐体間の相対回転速度が大きいほど前記遠心圧を低くするよう構成したことを特徴とする遠心圧制御装置。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載の遠心圧制御装置において、
前記遠心圧の制御幅および制御分解能に関する要求に符合するよう前記回転板の直径を定めたことを特徴とする遠心圧制御装置。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載の遠心圧制御装置において、
前記回転板回転制御手段は、前記回転板を電動モータにより回転させるものである遠心圧制御装置。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載の遠心圧制御装置において、
前記回転板回転制御手段は、前記回転板の回転制御をブレーキにより行うものである遠心圧制御装置。
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JP2003049867A (ja) * | 2001-07-11 | 2003-02-21 | Hyundai Motor Co Ltd | 自動変速機のクラッチピストンリターン装置 |
JP2005030494A (ja) * | 2003-07-14 | 2005-02-03 | Jatco Ltd | ベルト式無段変速機 |
JP2005133787A (ja) * | 2003-10-29 | 2005-05-26 | Aisin Aw Co Ltd | 流体伝動装置 |
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