JP2006337150A - 可燃性ガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 水素原子を含む可燃性ガスが低温であっても、当該可燃性ガスを正しく検出し得るようにした可燃性ガスセンサを提供する。
【解決手段】 センサユニット200において、検出素子400は、その下側絶縁層420にて、断熱部材270を介し、金属製端子台260に支持されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 センサユニット200において、検出素子400は、その下側絶縁層420にて、断熱部材270を介し、金属製端子台260に支持されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、水素原子を含む可燃性ガスを検出するのに適した可燃性ガスセンサに関するものである。
従来、この種の可燃性ガスセンサとしては、例えば、下記特許文献1にて開示されているような可燃性ガス検出器が提案されている。この可燃性ガス検出器において、その検出素子は、発熱抵抗体と、半導体基板と、この半導体基板の表面上に形成されて発熱抵抗体を内包する絶縁部材と、この絶縁部材の表面のうち発熱抵抗体に対する対応部位に形成される酸化触媒とを備えている。
特開2003−194759号公報
ところで、上記可燃性ガス検出器においては、被検出ガス中の可燃性ガスを検出するにあたり、検出素子の酸化触媒は、被検出ガス側に位置する必要がある。このため、検出素子は、その半導体基板でもって、その裏面側から、端子台等の支持部材に支持される。
このような状態において、可燃性ガス検出器は、発熱抵抗体への通電による当該発熱抵抗体の発熱のもと、可燃性ガスを検出する。
ここで、可燃性ガスは、水素原子を含むガスであるため、この可燃性ガスは、空気中において、酸化触媒と接触燃焼反応を起こし、水蒸気を発生する。
また、上述の支持部材が金属で形成されていると、発熱抵抗体の熱は、支持部材を通して放熱されるため、当該発熱抵抗体の熱は検出素子にはとどまりにくい。
従って、被検出ガスの温度が低温度になると、検出素子の絶縁部材や酸化触媒の表面、即ち、検出素子の表面部位が被検出ガスにより冷却されることとなる。このため、上述の水蒸気が検出素子の表面部位で結露し、その結果、可燃性ガスセンサとしての検出出力に異常が発生するという不具合を招く。
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、水素原子を含む可燃性ガスが低温であっても、当該可燃性ガスを正しく検出し得るようにした可燃性ガスセンサを提供することを目的とする。
上記課題の解決にあたり、本発明に係る可燃性ガスセンサは、請求項1の記載によれば、検出素子(400)と、この検出素子を支持する金属製支持部材(260)とを備える。
当該可燃性ガスセンサにおいて、支持部材と検出素子との間に設けてなる断熱部材(270、280)を備えており、
検出素子は、
半導体基板(410)と、発熱抵抗体(430)と、半導体基板の表面上に設けられて発熱抵抗体を内包する絶縁部材(420)と、この絶縁部材のうち発熱抵抗体に対する対応部位上に設けられる酸化触媒(480)とを有して、
半導体基板にてその裏面側から断熱部材を介し支持部材に支持されるようにしたことを特徴とする。
当該可燃性ガスセンサにおいて、支持部材と検出素子との間に設けてなる断熱部材(270、280)を備えており、
検出素子は、
半導体基板(410)と、発熱抵抗体(430)と、半導体基板の表面上に設けられて発熱抵抗体を内包する絶縁部材(420)と、この絶縁部材のうち発熱抵抗体に対する対応部位上に設けられる酸化触媒(480)とを有して、
半導体基板にてその裏面側から断熱部材を介し支持部材に支持されるようにしたことを特徴とする。
このように構成したことにより、当該可燃性ガスセンサが、水素ガスを含む可燃性ガスの雰囲気内に配置されると、検出素子は、酸化触媒側から、上記可燃性ガスの雰囲気内に位置することとなる。
従って、発熱抵抗体がその通電により発熱している状態において、上記可燃性ガスが検出素子の酸化触媒に接触するように流動すると、当該可燃性ガスは、酸化触媒と接触燃焼反応を起こして、水蒸気を発生する。
一方、支持部材と検出素子との間に設けられている断熱部材は、その断熱作用により、検出素子を支持部材から良好に断熱する。従って、発熱抵抗体の発熱により検出素子に生じた熱が、支持部材に伝わり難くなり、断熱部材により熱の伝導が抑制されて、検出素子にとどまり易くなる。
従って、可燃性ガスの温度が低くても、検出素子がその表面側から可燃性ガスにより冷却されることが抑制され得る。その結果、上述のように発生した水蒸気が検出素子の表面側で結露することが防止され、可燃性ガスセンサとしての検出出力が正しく確保され得る。なお、断熱部材の熱伝導率は、半導体基板の熱伝導率よりも小さいことが好ましい。
また、本発明に係る可燃性ガスセンサは、請求項2の記載によれば、
検出素子(400)と、この検出素子を支持する金属製支持部材(260)とを備える。
当該可燃性ガスセンサにおいて、支持部材と検出素子との間に設けてなる断熱部材(270、280)を備えており、
検出素子は、
半導体基板(410)と、この半導体基板の表面に形成される絶縁部材(420)と、この絶縁部材に互いに間隔をおいて内包される複数の発熱抵抗体(430)と、この絶縁部材のうち複数の発熱抵抗体のうちの一つの発熱抵抗体に対する対応部位に形成される酸化触媒(480)とを有し、かつ、半導体基板のうち複数の発熱抵抗体の各々に対する対応部位にはそれぞれ凹部(411)を形成してなり、
半導体基板にてその裏面側から断熱部材を介し支持部材に支持されるようにしたことを特徴とする。
検出素子(400)と、この検出素子を支持する金属製支持部材(260)とを備える。
当該可燃性ガスセンサにおいて、支持部材と検出素子との間に設けてなる断熱部材(270、280)を備えており、
検出素子は、
半導体基板(410)と、この半導体基板の表面に形成される絶縁部材(420)と、この絶縁部材に互いに間隔をおいて内包される複数の発熱抵抗体(430)と、この絶縁部材のうち複数の発熱抵抗体のうちの一つの発熱抵抗体に対する対応部位に形成される酸化触媒(480)とを有し、かつ、半導体基板のうち複数の発熱抵抗体の各々に対する対応部位にはそれぞれ凹部(411)を形成してなり、
半導体基板にてその裏面側から断熱部材を介し支持部材に支持されるようにしたことを特徴とする。
このように構成したことにより、請求項1に記載の発明と異なり、発熱抵抗体が複数であり、半導体基板が、各発熱抵抗体に対応して凹部を有していても、請求項1に記載の発明と同様の作用効果が達成され得る。
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1或いは2に記載の可燃性ガスセンサにおいて、断熱部材が有する検出素子と支持部材との間の最短距離方向の任意の位置にて上記最短距離方向と直交する方向の断熱部材の断面積が、検出素子の半導体基板の上記裏面側の面積よりも小さいことを特徴とする。
これにより、検出素子から支持部材に伝わる熱伝導経路の断面積が少なくなるので、断熱部材の検出素子に対する断熱作用が良好に発揮されて、請求項1或いは2に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項1〜3のいずれか1つに記載の可燃性ガスセンサにおいて、断熱部材と半導体基板との接触面積は、半導体基板の上記裏面側の面積よりも小さいことを特徴とする。
これにより、検出素子と断熱部材との接触面積が小さくなるので、検出素子に生じた熱が断熱部材に伝わり難くなる。従って、検出素子に生じた熱が断熱部材を介して支持部材側に伝わり難くなり、その結果、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項1〜4のいずれか1つに記載の可燃性ガスセンサにおいて、断熱部材は、半導体基板側及び支持部材側に開口する貫通孔(285)を有することを特徴とする。
これにより、請求項1〜4のいずれか1つに記載の発明の作用効果を達成し得るのは勿論のこと、上記熱伝導経路の断面積が小さな断熱部材を簡便に構成することができる。
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項1〜5のいずれか1つに記載の可燃性ガスセンサにおいて、断熱部材の厚さは、少なくとも半導体基板の厚さよりも厚いことを特徴とする。
これにより、断熱部材の検出素子に対する断熱作用が良好に発揮される。その結果、請求項1〜5のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1及び図2は、本発明に係る可燃性ガスセンサが適用されてなる可燃性ガス検出装置の第1実施形態を示しており、この可燃性ガス検出装置は、例えば、寒冷地における燃料電池の使用の際に当該燃料電池から漏れ出る被検出ガス中の水素ガスの濃度を検出するのに用いられる。
(第1実施形態)
図1及び図2は、本発明に係る可燃性ガスセンサが適用されてなる可燃性ガス検出装置の第1実施形態を示しており、この可燃性ガス検出装置は、例えば、寒冷地における燃料電池の使用の際に当該燃料電池から漏れ出る被検出ガス中の水素ガスの濃度を検出するのに用いられる。
当該可燃性ガスセンサは、図1にて示すごとく、ケーシング100及びセンサユニット200を備えている。なお、図1にて、符号300は、可燃性ガス検出装置において当該可燃性ガスセンサを制御するための制御装置を示す。
ケーシング100は、両ケーシング部材110、120を有しており、当該両ケーシング部材110、120は、その各開口部にて嵌合されて、ケーシング100を構成している。
ここで、ケーシング部材110は、ガス導入筒111を備えており、このガス導入筒111は、ケーシング部材110の底壁中央から外方へ円筒状に延出し、ガス導入口部113にて、外方に開口している。
センサユニット200は、図1にて示すごとく、ケーシング部材110の内側からガス導入筒111内に同軸的に嵌装されている。
当該センサユニット200は、図1及び図2にて示すごとく、円筒部材210を備えている。この円筒部材210は、その底壁側円筒部にて、図1にて示すごとく、ガス導入筒111の小径穴部に同軸的に嵌装されており、当該円筒部材210は、その先端側環状底壁211(図1及び図2参照)にて、ガス導入口部113にその内面側から着座している。なお、円筒部材210は、図1にて示すごとく、環状底壁211の中空部にて、ガス導入口部113を通り外方に開口している。
また、円筒部材210は、その基端側環状フランジ部212にて、図1にて示すごとく、ガス導入筒111の基端側大径穴部内にパッキン等の環状シール114を介し気密的に嵌装されている。なお、本実施形態では、板状封止部材115が、ケーシング100のガス導入筒111の内端部に装着されて、当該ガス導入筒111を封止している。
また、センサユニット200は、図2にて拡大して示すごとく、円筒部材210内に設けた撥水フィルタ220、ワッシャ230及び両金網240を備えている。撥水フィルタ220は、その外周部にて、円筒部材210の環状底壁211とワッシャ230との間に挟持されており、この撥水フィルタ220は、ガス導入筒111のガス導入口部113及び円筒部材210の環状底壁211の中空部から円筒部材210のうちワッシャ230よりも基端側内部空間への水滴や粉塵の侵入を防止する。
両金網240は、図2にて拡大して示すごとく、その外周部にて、ワッシャ230と円筒状スペーサ250の環状底壁251との間に挟持されており、これら金網240は、次のような役割を果たす。即ち、検出素子400の左右両側発熱抵抗体430(後述する)への通電に伴い当該左右両側発熱抵抗体430に電流が流れ、これら発熱抵抗体430の発熱温度が水素ガスの下限爆発温度を上回ることで、被検出ガス中の水素ガス成分が円筒部材210のうち円筒状スペーサ250の環状底壁251よりも基端側内部空間で発火した場合に、両金網240は、スペーサ250の環状底壁251よりも基端側内部空間からその外方への逸火を防止する。
なお、円筒状スペーサ250は、円筒部材210の底壁側円筒部内に同軸的に圧入により嵌装されて、その環状底壁251にて、両金網240、ワッシャ230及び撥水フィルタ220を、円筒部材210のガス導入口部113の内面上に固定している。
当該センサユニット200は、図1にて示すごとく、金属製端子台260、断熱部材270及び検出素子400を備えている。
端子台260は、図2にて拡大して示すごとく、その断面L字状外周部261にて、円筒部材210の環状フランジ部212内にOリング或いはパッキン等の環状シール部材262を介し同軸的にかつ気密的に嵌装されている。
この端子台260には、複数のターミナル263が、その各基端部にて、図2にて拡大して示すごとく、各対応の管状電気絶縁部材264(図2では、2つの電気絶縁部材264のみを示す)を介し挿通されており、これら各ターミナル263の各先端部は、図1にて示すごとく、封止部材115を通り制御装置300の配線板310に挿通されて、この配線板310の配線パターン部に電気的に接続されている。また、各ターミナル263は、その基端部にて、検出素子400の各対応の電極膜451、470(後述する)にワイヤボンディングにより電気的に接続されている。
なお、制御装置300は、配線板310にて、ケーシング100内に支持されており、この配線板310には、制御回路320が装着されて、上記配線パターン部を介し各ターミナル263に電気的に接続されている(図1参照)。これにより、制御回路320は、検出素子400を制御する。
断熱部材270は、本発明の要部を構成するもので、この断熱部材270は、検出素子400と共に、図1及び図2にて示すごとく、円筒部材210の小径部内にて、端子台260に支持されている。このことは、端子台260は、断熱部材270及び検出素子400に対する支持部材としての役割をも果たすことを意味する。
ここで、当該断熱部材270は、合成樹脂材料でもって、図3及び図4にて示すごとく、所定の厚さにて環板状に形成されており、この断熱部材270は、その表面271にて、端子台260の裏面(図2にて端子台260の図示下面)の中央部に固着されている。本第1実施形態では、断熱部材270の上記所定の厚さは、少なくとも検出素子400の珪素製半導体基板410(後述する)の板厚よりも厚く選定されている。
検出素子400は、図1及び図2にて示すごとく、断熱部材270にその裏面272側から設けられて、円筒状スペーサ250の開口部内に位置している。この検出素子400は、マイクロマシニング技術を用いて製造されているもので、当該検出素子400は、図5にて示すごとく、珪素製半導体基板410及び上下両側絶縁層420を備えている。
半導体基板410は、図5にて示すごとく、図示左右両側凹部411を備えており、これら左右両側凹部411は、互いに間隔をおいて、半導体基板410の裏面側から表面側にかけて断面末すぼまり状に形成されている。
上側絶縁層420は、半導体基板410の表面に形成された上側酸化珪素膜421及びこの上側酸化珪素膜421の表面に沿い形成された上側窒化珪素膜422でもって構成されている。
一方、下側絶縁層420は、半導体基板410の裏面に形成された下側酸化珪素膜421及びこの下側酸化珪素膜421の裏面に沿い形成された下側窒化珪素膜422でもって構成されている。この下側絶縁層420は、半導体基板410の各凹部411に対する対応部位にて、それぞれ除去されて、各凹部411の開口部として形成されている。
しかして、検出素子400は、下側絶縁層420の下側窒化珪素膜422にて、断熱部材270の裏面272の中央部に固着されている(図1及び図2参照)。これにより、上側絶縁層420は、上側酸化珪素膜421の裏面のうち各凹部411に対する各対応裏面部にて、当該各凹部411を通して断熱部材270の裏面272(図2参照)に対向している。なお、半導体基板410は、各凹部411以外の部位にて基板部412を構成する。
また、検出素子400は、図5及び図6にて示すごとく、左右両側発熱抵抗体430及び左側、中央側及び右側の各配線膜440を備えている。左側発熱抵抗体430は、上側絶縁層420の上側窒化珪素膜422の表面のうち左側凹部411に対する対応部位上に渦巻き状に形成されており、一方、右側発熱抵抗体430は、上側窒化珪素膜422の表面のうち右側凹部411に対する対応部位上に渦巻き状に形成されている。
左側配線膜440は、図5にて示すごとく、上側窒化珪素膜422の表面の左側部上において、半導体基板410の基板部412に対応して位置し、図6にて示すごとく、左側発熱抵抗体430の一端と一体となるように形成されている。
中央側配線膜440は、図5にて示すごとく、上側窒化珪素膜422の表面の中央部上にて、半導体基板410の基板部412に対応して位置しており、この中央側配線膜440は、図6にて示すごとく、左側発熱抵抗体430の他端及び右側発熱抵抗体430の一端と一体となるように形成されている。また、右側配線膜440は、図5にて示すごとく、上側窒化珪素膜422の表面の右側部上にて、半導体基板410の基板部412に対応して位置しており、この右側配線膜440は、図6にて示すごとく、右側発熱抵抗体430の他端と一体となるように形成されている。
また、検出素子400は、図6にて示すごとく、測温抵抗体450を備えており、この測温抵抗体450は、白金(Pt)を含む測温抵抗材料でもって、左右両側発熱抵抗体430の図6にて図示上側において、上側絶縁層420の上側窒化珪素膜422の表面上に形成されている。
また、当該検出素子400は、図5及び図6にて示すごとく、絶縁材料からなる保護層460を備えており、この保護層460は、各発熱抵抗体430、各配線膜440及び測温抵抗体450を覆うように、上側絶縁層420の上側窒化珪素膜422の表面上に形成されている。
また、検出素子400は、図5及び図6にて示すごとく、左側、中央側及び右側の各電極膜470を備えており、これら左側、中央側及び右側の各電極膜470は、保護層460に形成した左側、中央側及び右側の各コンタクトホール461を通して左側、中央側及び右側の各配線膜440上に形成されている。なお、測温抵抗体450は、その左右両端部にて、各電極膜451を介し配線板310の上記配線パターン部に接続されている。
また、検出素子400は、酸化触媒膜480を備えており、この酸化触媒膜480は、保護層460の表面のうち左側発熱抵抗体430に対する対応部位上に形成されて、保護層460の表面と共に、円筒状スペーサ250の底壁251の中空部に対向している。しかして、酸化触媒膜480は、左側発熱抵抗体430への通電のもと、被検出ガス中の水素ガス成分を燃焼させる。
なお、本第1実施形態では、当該可燃性ガスセンサにおいて、左側発熱抵抗体430及び酸化触媒膜480は、接触燃焼式ガスセンサ部としての役割を果たし、また、右側発熱抵抗体430は、熱伝導式ガスセンサ部としての役割を果たし、また、測温抵抗体450は、雰囲気の温度を測定する役割を果たす。
以上のように構成した本第1実施形態において、当該可燃性ガス検出装置の可燃性ガスセンサが、寒冷地に設置された燃料電池から水素ガス成分を含む被検出ガスとして漏洩するガスの雰囲気内に配置されているものとする。
このような状態にて、燃料電池から漏洩する被検出ガスが、当該可燃性ガスセンサのセンサユニット200のガス導入筒111内にそのガス導入口部113から流入すると、当該被検出ガスは、撥水フィルタ220、ワッシャ230及び両金網240を通り円筒状スペーサ250内にその底壁251の中空部から流入して、ガス検出素子400に到達する。
これに伴い、上述のようにスペーサ250内に流入した被検出ガスが、酸化触媒膜480に接触するようにして保護層460の表面付近にて流動する。このとき、両発熱抵抗体430が制御回路320による制御のもとに通電されて発熱しているものとする。
しかして、上述のように被検出ガスが円筒状スペーサ250内にて流動すると、この被検出ガスに含まれる水素ガス成分が、円筒状スペーサ250内の空気中において、酸化触媒膜480と接触燃焼反応を起こして、水蒸気を発生する。
また、燃料電池は上述のように寒冷地において設置されているため、この燃料電池から漏洩する被検出ガスの温度は、例えば、−20(℃)と低い。
しかしながら、上述のように断熱部材270が、端子台260と検出素子400との間に設けられている。しかも、この断熱部材270は、合成樹脂材料からなるため、当該断熱部材270の熱伝導作用は低い。このことは、断熱部材270が、断熱作用を発揮して、検出素子400を端子台260から良好に断熱することを意味する。従って、両発熱抵抗体430の発熱により検出素子400に生じた熱が、断熱部材270により熱の伝導が抑制されて、端子台260を通して放熱され難く、検出素子400にとどまる。
このため、上述のように被検出ガスの温度が低くても、検出素子400の表面部位を構成する酸化触媒膜480や保護層460が、その表面側から被検出ガスにより冷却されることが抑制され得る。その結果、上述のように発生した水蒸気が検出素子400の上記表面部位で結露することが防止され、当該可燃性ガスセンサの検出出力が正しく確保され得る。
ここで、断熱部材270は、上述のごとく、環板状に形成されているため、当該断熱部材270には中空部が形成されている。従って、断熱部材270の熱伝導経路の断面積(断熱部材270の板厚方向と直交する方向の断面積)が、中空部のない板部材であると仮定した場合に比べて小さい。また、断熱部材270の検出素子400との接触面積は、断熱部材270の中空部分だけ少ない。その結果、断熱部材270の検出素子400に対する断熱作用が良好に発揮される。
また、断熱部材270の板厚は、上述したごとく、少なくとも検出素子400の主要構成部材である半導体基板410の板厚よりも厚い。このため、断熱部材270の検出素子400に対する断熱作用が、断熱部材270の板厚の点からも、良好に発揮される。
よって、上述のように検出素子400に生じた熱は、より一層良好に検出素子400にとどまって、検出素子400の表面部位に対する被検出ガスによる冷却作用がより一層良好に抑制される。その結果、上述のように発生した水蒸気の検出素子400の上記表面部位における結露の発生がより一層確実に防止され得る。
ちなみに、本第1実施形態における可燃性ガスセンサの検出素子400の表面部位の温度を、従来の可燃性ガスセンサの検出素子の表面部位の温度と対比して調べてみた。ここで、上記従来の可燃性ガスセンサの検出素子は、本第1実施形態にて述べた検出素子400と同様に構成されている。但し、上記従来の可燃性ガスセンサの検出素子は、本第1実施形態とは異なり、金属製端子台260と同様の金属製端子台に直接支持されている。
しかして、本第1実施形態における可燃性ガスセンサ及び上記従来の可燃性ガスセンサを0(℃)の温度の被検出ガスの雰囲気内に配置した状態で、本第1実施形態における可燃性ガスセンサの検出素子400及び上記従来の可燃性ガスセンサの検出素子に通電して、両検出素子の表面部位の温度を調べてみたところ、図7にて示すような各棒グラフ1、2が得られた。
この図7において、棒グラフ1は、本第1実施形態における可燃性ガスセンサの検出素子400の表面部位の温度を示す。また、棒グラフ2は、上記従来の可燃性ガスセンサの検出素子の表面部位の温度を示す。
これら両棒グラフ1、2によれば、被検出ガスの温度が0(℃)であっても、本第1実施形態における可燃性ガスセンサの検出素子400の表面部位の温度は、断熱部材270の断熱作用のために、21(℃)と、上記従来の可燃性ガスセンサの検出素子の表面部位の温度11(℃)よりもかなり高い。
従って、本第1実施形態における可燃性ガスセンサの検出素子400の表面部位には、上記従来の可燃性ガスセンサの検出素子の表面部位に比べて結露が発生しにくいことが分かる。
また、被検出ガス中の水素ガス成分に対する本第1実施形態における可燃性ガスセンサの検出濃度を、被検出ガスの温度をパラメータとして、当該被検出ガス中の水素ガス成分に対する上記従来の可燃性ガスセンサの検出濃度と対比してみたところ、図8にて示す各折れ線グラフ3〜6が得られた。但し、被検出ガス中の水素ガス成分の濃度は、0(vol%)〜2.5(vol%)の範囲内で変化させた。
しかして、図8において、折れ線グラフ3は、被検出ガスの温度を0(℃)としたときの被検出ガス中の水素ガス成分に対する本第1実施形態における可燃性ガスセンサの検出濃度を示す。折れ線グラフ4は、被検出ガスの温度を80(℃)としたときの被検出ガス中の水素ガス成分に対する本第1実施形態における可燃性ガスセンサの検出濃度を示す。
また、折れ線グラフ5は、被検出ガスの温度を0(℃)としたときの被検出ガス中の水素ガス成分に対する上記従来の可燃性ガスセンサの検出濃度を示す。折れ線グラフ6は、被検出ガスの温度を80(℃)としたときの被検出ガス中の水素ガス成分の濃度に対する上記従来の可燃性ガスセンサの検出濃度を示す。
これら各折れ線グラフ3〜6において、両折れ線グラフ3、4を対比してみると、被検出ガスの温度0(℃)のときの上記水素ガス成分に対する本第1実施形態における可燃性ガスセンサの検出濃度は、上記水素ガス成分の濃度0(vol%)〜2.5(vol%)の範囲内において、被検出ガスの温度80(℃)のときの上記水素ガス成分に対する本第1実施形態における可燃性ガスセンサの検出濃度と殆ど一致している。これは、本第1実施形態における可燃性ガスセンサでは、断熱部材270が上述のごとく金属製端子台260と検出素子400との間に設けられて断熱作用を発揮しているためである。
従って、本第1実施形態における可燃性ガスセンサは、被検出ガスの温度の高低にかかわらず、被検出ガス中の水素ガス成分の濃度を正しく検出し得ることが分かる。このことは、本第1実施形態における可燃性ガスセンサは、寒冷地でも使用するに適した可燃性ガスセンサであることを意味する。
これに対し、被検出ガスの温度80(℃)のときの上記水素ガス成分に対する上記従来の可燃性ガスセンサの検出濃度は、折れ線グラフ6にて示すごとく、上記水素ガス成分の濃度0(vol%)〜2.5(vol%)の範囲内において、上述した被検出ガスの温度80(℃)のときの上記水素ガス成分に対する本第1実施形態における可燃性ガスセンサの検出濃度に沿い変化している。
しかしながら、被検出ガスの温度0(℃)のときの上記水素ガス成分に対する上記従来の可燃性ガスセンサの検出濃度は、折れ線グラフ5にて示すごとく、1(vol%)を超えると緩やかに低下し始め、2(vol%)を超えると急激に低下してハンチングを起こす。これは、上記従来の可燃性ガスセンサでは、その検出素子が、上述のごとく金属製端子台に直接設けられているために、この金属製端子台を通して放熱するからである。
従って、上記従来の可燃性ガスセンサは、被検出ガスの温度の低い範囲では、被検出ガス中の水素ガス成分の濃度を正しく検出し得ないことが分かる。
(第2実施形態)
図9及び図10は、本発明の第2実施形態の要部を示している。この第2実施形態では、合成樹脂材料からなる板状断熱部材280が、上記第1実施形態にて述べた可燃性ガスセンサにおいて、断熱部材270に代えて、採用されている。
(第2実施形態)
図9及び図10は、本発明の第2実施形態の要部を示している。この第2実施形態では、合成樹脂材料からなる板状断熱部材280が、上記第1実施形態にて述べた可燃性ガスセンサにおいて、断熱部材270に代えて、採用されている。
当該断熱部材280は、図9及び図10から分かるように、十字状の溝281を備えており、この溝281は、断熱部材280の表面282側から図9にて示すごとく十字状に形成されている。
これにより、断熱部材280は、その底壁283上にて溝281により十字状に区画されて、4つの角柱状隅角部284を形成している。ここで、溝281の幅は、上記第1実施形態にて述べた断熱部材270の中空部の幅と同一である。また、断熱部材280の板厚は、上記第1実施形態にて述べた断熱部材270の板厚と同一である。
このように構成した断熱部材280は、その裏面にて、上記第1実施形態にて述べた端子台260の裏面の中央部に固着されている。また、上記第1実施形態にて述べた検出素子400は、その下側絶縁層420にて、断熱部材280の各隅角部284の表面に固着されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
このように構成した本第2実施形態において、上述のように、端子台260と検出素子400との間に設けられた断熱部材280は、その表面側において、十字状の溝281を有する。従って、この断熱部材280の検出素子400との接触面積は、上記第1実施形態にて述べた環板状断熱部材270の検出素子400との接触面積よりもさらに少ない。
換言すれば、検出素子400の裏面側部位を構成する下側絶縁層420が断熱部材280と接触する面積は、断熱部材270の下側絶縁層420との接触面積よりもさらに少ないことを意味する。このため、断熱部材280の検出素子400に対する断熱作用は、断熱部材270の検出素子400に対する断熱作用よりも、より一層良好に発揮される。このことは、上記第1実施形態にて述べた両発熱抵抗体430の発熱により検出素子400に生じた熱は、断熱部材280によって、より一層良好に遮断されて、検出素子400にとどまることを意味する。
従って、上記第1実施形態にて述べたように、被検出ガスの温度が低い状態において、被検出ガスに含まれる水素ガス成分が、円筒状スペーサ250内の空気中において、酸化触媒膜480と接触燃焼反応を起こして、水蒸気を発生しても、検出素子400の上記表面部位における当該水蒸気の結露がより一層確実に防止され、当該可燃性ガスセンサとしての検出出力がより一層正しく確保され得る。その他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図11及び図12は、本発明の第3実施形態の要部を示している。この第3実施形態では、上記第2実施形態にて述べた断熱部材280において、中空部285が付加されている。ここで、この中空部285は、断熱部材280の底壁283の中央部に形成されている。その他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図11及び図12は、本発明の第3実施形態の要部を示している。この第3実施形態では、上記第2実施形態にて述べた断熱部材280において、中空部285が付加されている。ここで、この中空部285は、断熱部材280の底壁283の中央部に形成されている。その他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
このように構成した本第3実施形態において、上述のように、端子台260と検出素子400との間に設けられた断熱部材280は、十字状の溝281に加えて、中空部285をも有する。
従って、本第3実施形態における断熱部材280の底壁283の熱伝導経路の断面積は、上記第2実施形態にて述べた断熱部材280の底壁283の熱伝導経路の断面積よりも、中空部285に対応する分だけさらに少ない。
このため、本第3実施形態における断熱部材280の検出素子400に対する断熱作用は、上記第2実施形態にて述べた断熱部材280の検出素子400に対する断熱作用よりも、より一層良好に発揮される。このことは、上記第2実施形態にて述べた両発熱抵抗体430の発熱により検出素子400に生じた熱は、本第3実施形態における断熱部材280によって、より一層良好に遮断されて、検出素子400にとどまることを意味する。
従って、上記第2実施形態にて述べたように、被検出ガスの温度が低い状態において、被検出ガスに含まれる水素ガス成分が、円筒状スペーサ250内の空気中において、酸化触媒膜480と接触燃焼反応を起こして、水蒸気を発生しても、検出素子400の上記表面部位における当該水蒸気の結露が、上記第2実施形態よりも、より一層確実に防止され、当該可燃性ガスセンサとしての検出出力が、上記第2実施形態よりも、より一層正しく確保され得る。その他の作用効果は、上記第2実施形態と同様である。
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)上述した断熱部材270或いは280の形状に限ることなく、断熱部材の形状が、当該断熱部材の検出素子400の下側絶縁層420との接触面積を少なくするような形状であれば、上記第1〜第3の実施形態のいずれかの作用効果或いはこの作用効果よりもさらに良好な作用効果が達成され得る。
(2)上述した被検出ガスは、水素ガス成分に限ることなく、少なくとも水素原子を含む可燃性ガスであればよい。
(3)本発明は、上述した燃料電池に限ることなく、例えば、自動車のエンジンの排気系統からの排気ガス中の水素ガス成分の検出に適用してもよい。
(1)上述した断熱部材270或いは280の形状に限ることなく、断熱部材の形状が、当該断熱部材の検出素子400の下側絶縁層420との接触面積を少なくするような形状であれば、上記第1〜第3の実施形態のいずれかの作用効果或いはこの作用効果よりもさらに良好な作用効果が達成され得る。
(2)上述した被検出ガスは、水素ガス成分に限ることなく、少なくとも水素原子を含む可燃性ガスであればよい。
(3)本発明は、上述した燃料電池に限ることなく、例えば、自動車のエンジンの排気系統からの排気ガス中の水素ガス成分の検出に適用してもよい。
260…端子台、270、280…断熱部材、400…検出素子、
410…半導体基板、420…絶縁層、430…発熱抵抗体、460…保護層、
480…酸化触媒膜。
410…半導体基板、420…絶縁層、430…発熱抵抗体、460…保護層、
480…酸化触媒膜。
Claims (6)
- 検出素子と、この検出素子を支持する金属製支持部材とを備える可燃性ガスセンサにおいて、
前記支持部材と前記検出素子との間に設けてなる断熱部材を備えており、
前記検出素子は、
半導体基板と、発熱抵抗体と、前記半導体基板の表面上に設けられて前記発熱抵抗体を内包する絶縁部材と、この絶縁部材のうち前記発熱抵抗体に対する対応部位上に設けられる酸化触媒とを有して、
前記半導体基板にてその裏面側から前記断熱部材を介し前記支持部材に支持されるようにしたことを特徴とする可燃性ガスセンサ。 - 検出素子と、この検出素子を支持する金属製支持部材とを備える可燃性ガスセンサにおいて、
前記支持部材と前記検出素子との間に設けてなる断熱部材を備えており、
前記検出素子は、
半導体基板と、この半導体基板の表面に形成される絶縁部材と、この絶縁部材に互いに間隔をおいて内包される複数の発熱抵抗体と、この絶縁部材のうち前記複数の発熱抵抗体のうちの一つの発熱抵抗体に対する対応部位に形成される酸化触媒とを有し、かつ、前記半導体基板のうち前記複数の発熱抵抗体の各々に対する対応部位にはそれぞれ凹部を形成してなり、
前記半導体基板にてその裏面側から前記断熱部材を介し前記支持部材に支持されるようにしたことを特徴とする可燃性ガスセンサ。 - 前記断熱部材が有する前記検出素子と前記支持部材との間の最短距離方向の任意の位置にて前記最短距離方向と直交する方向の前記断熱部材の断面積が、前記検出素子の前記半導体基板の前記裏面側の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1或いは2に記載の可燃性ガスセンサ。
- 前記断熱部材と前記半導体基板との接触面積は、前記半導体基板の前記裏面側の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の可燃性ガスセンサ。
- 前記断熱部材は、前記半導体基板側及び前記支持部材側に開口する貫通孔を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の可燃性ガスセンサ。
- 前記断熱部材の厚さは、少なくとも前記半導体基板の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の可燃性ガスセンサ。
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