JP2006337146A - 軟x線多層膜ミラー及びその製造方法、軟x線多層膜ミラーを備えた光学系 - Google Patents

軟x線多層膜ミラー及びその製造方法、軟x線多層膜ミラーを備えた光学系 Download PDF

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康治 寺西
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隆幸 三浦
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Abstract

【課題】低屈折率層と高屈折率層との間に中間層3を形成した多層膜ミラーにおいて、より高い反射率を達成することが可能となる軟X線多層膜ミラー及びその製造方法、軟X線多層膜ミラーを備えた光学系を提供する。
【解決手段】X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が大きい材料からなる低屈折率層5と、屈折率の差が小さい材料からなる高屈折率層4とを、基板1側から交互に積層した多層膜層により構成された軟X線多層膜ミラーにおいて、前記低屈折率層と前記高屈折率層との間に、Li化合物からなる中間層3を少なくとも1層設ける構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軟X線多層膜ミラー及びその製造方法、軟X線多層膜ミラーを備えた光学系に関するものである。
近年、半導体集積回路素子の微細化の進展に伴い、従来の紫外線に変わって軟X線(11〜14nm)を使用したリソグラフィーであるEUVリソグラフィー(以下EUVLとよぶ)技術が開発されている。しかしながら、このような軟X線領域では、光は全ての物質で強く吸収されると共に、屈折率が1に近いため、原理的には屈折によるレンズ作用を利用することができない。そのためミラーを利用して光学系を組むことになるが、通常の単層膜を形成した反射鏡の直入射反射率はほとんどゼロに近く機能しない。
このようなことから、比較的吸収の少ない材料を用いて構成された、直入射ミラーとして機能し得る多層膜ミラーによる光学系が用いられる。
多層膜ミラーは、使用するX線波長における屈折率と真空の屈折率(=1)との差が大きい物質層(第1層:低屈折率層)と、差の小さい物質層(第2層:高屈折率層)とを交互に多数積層することによって得られる。すなわち、A,B二種類の物質を交互に数十層以上積層させ、さらに、それらの界面である反射面を多数形成して各々の界面からの反射波の位相が一致するような光学的干渉理論に基づいた波長オーダーの厚さを持つ多層膜からなる反射鏡が開発された。ここで、高反射率を得るためにはA,B物質の組み合わせとして、吸収係数が出来るだけ小さく、屈折率の差が大きい2つの物質を選ぶ必要がある。
高反射率の得られる多層膜ミラーとしては、例えば、特許文献1のように、入射波の波長が軟X線領域である11〜14[nm]の範囲で高反射率が得られるMo層(屈折率:0.92)とSi層(屈折率:0.99)の交互多層膜による多層膜ミラーが提案されている。
このような多層膜ミラーは、マグネトロンスパッタ・EB蒸着・イオンビームスパッタ等の薄膜形成技術によって形成することができる。しかしながら、これらによって成膜される際に、層界面が平滑にならずに荒れてしまうことにより、あるいはMoとSiの材料間で相互に原子レベルでの相互拡散を生じ、隣接する材料間の屈折率差が小さくなってしまうことにより、反射率が低下してしまうという問題を有していた。
そのため、特許文献1、特許文献2等では、低屈折率層と高屈折率層との交互層の間に中間層を形成し、上記の荒れを緩和し、相互拡散を防止する提案がなされている。そのため、例えば特許文献2では、この中間層の形成材料として炭化ホウ素B4C等を用いることで、上記した荒れの緩和や、相互拡散の防止が図られている。また、そこではこれらの中間層の膜厚を薄く形成することによって、高屈折率層と低屈折率層との間に、これらの材料によりシリサイド等の界面化合物が生成されないように配慮されている。
特開平05−089818号公報 特開平02−242201号公報 特登録02−723955号公報
上記したように、多層膜ミラーにおいては層界面の荒れを緩和し、相互拡散を防止するため、低屈折率層と高屈折率層との交互層の間に中間層が形成されるが、これら中間層の屈折率や吸収率は上記交互層と異なることから、多層膜ミラーの反射率は、このような中間層を含むことにより理論上は必然的に低下する。
また、低屈折率層と高屈折率層との交互層の間に、これらの材料によりシリサイド等の界面化合物が生成されることによっても、これら界面化合物の屈折率や吸収率は上記交互層と異なることから、多層膜ミラーの反射率が低下する。
したがって、中間層の厚さは、屈折率面で反射率低下への影響を小さくすること、界面化合物の生成を防ぐことができること、等を考慮した厚さによる極薄膜厚(Mo層やSi層よりさらに薄い膜厚)として形成されることになる。
このようなことから、上記したように特許文献3においても、中間層の厚みを薄く形成して界面化合物が生成されることの防止が図られているが、このように界面化合物の生成の防止を、中間層の厚さを薄くするという膜厚制御によるだけでは、更なる高い反射率の多層膜ミラーを得る上で、必ずしも満足の得られるものではない。
本発明は、上記課題に鑑みて、低屈折率層と高屈折率層との間に中間層を形成した多層膜ミラーにおいて、より高い反射率を達成することが可能となる軟X線多層膜ミラー及びその製造方法、軟X線多層膜ミラーを備えた光学系を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を達成するために、以下のように構成した軟X線多層膜ミラー及びその製造方法、軟X線多層膜ミラーを備えた光学系を提供するものである。
すなわち、本発明の軟X線多層膜ミラーは、X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が相対的に大きい材料からなる低屈折率層と、屈折率の差が相対的に小さい材料からなる高屈折率層とを、基板側から交互に積層した多層膜層により構成された軟X線多層膜ミラーにおいて、
前記低屈折率層と前記高屈折率層との間に、Li化合物からなる中間層を少なくとも1層設けることを特徴としている。なお、ここでの軟X線領域とは、VUU領域〜軟X線領域を指し、数値的には波長=0.2nm〜30nmの範囲を指す。
また、本発明の軟X線多層膜ミラーの製造方法は、低屈折率層と高屈折率層とを、基板上に交互に積層した多層膜層による軟X線多層膜ミラーの製造方法において、前記低屈折率層と前記高屈折率層との間に、これらの材料により生成される化合物の発生を防ぐための中間層を、Li化合物からなる中間層を少なくとも1層形成することを特徴としている。
また、本発明の光学系は、上記した軟X線多層膜ミラー、または上記した軟X線多層膜ミラーの製造方法によって作製された軟X線多層膜ミラーを備えたことを特徴としている。
本発明によれば、低屈折率層と高屈折率層との間に中間層を形成した多層膜ミラーにおいて、より高い反射率を達成することが可能となる。
上記構成により本発明の課題を達成することができるが、それは本発明者らが鋭意研究した結果によるつぎのような知見に基づくものである。
前述したように、従来例においてはMo層とSi層の界面に発生する界面化合物の発生による多層膜ミラーの反射率の低下を防止するため、中間層の厚さを薄くするという膜厚制御による手法が採られてきた。
しかしながら、このような膜厚制御だけでは、高い反射率の多層膜ミラーを得る上で、必ずしも満足な結果が得られないことから、Mo層とSi層との間に、これらの材料により自然生成される界面化合物の発生を防ぐ材料による中間層を形成することで、より高い反射率を達成することが可能となる軟X線多層膜ミラーを構成することが可能となることを見出した。
ここで、このような中間層材料として、Mo層とSi層と化合しにくい材料として、Liからなる化合物を用いることができる。Li化合物とは、Liと他元素が結合し安定した化合物として大気中に存在できるものである。Li単体では、大気中で窒化されるため、他元素との結合は必要となる。例えば、Li―B化合物(LiB2、Li54、Li76)、Li3P、Li2S、LiBF4、が存在する。Li化合物がMo層やSi層と化合しにくいのは、Liが半導体結晶や金属結晶の表面に於けるダングリングボンド(未結合手)とダイマー化した構造を形成し(表面再構成)、ダングリングボンドを減らす働きを担っているからである。
ここではLiB2を用いた。LiB2はLiとBが金属結合し、通常粉末として大気中に存在するものである。LiB2を中間層として用いたことで、多層膜中への軟X線吸収量が減少し高反射率を達成することができた。また、LiB2は半金属のBを含む金属化合物であることによりアモルファス化し易い。このアモルファス材料が多層膜の界面粗さや表面粗さを緩和し、反射率向上にもさらに寄与する。
このLiB2を、従来例と同じ厚みを持つ中間層として使用することで、例えば従来使用されてきた材料B4Cに比べ、多層膜内に吸収される入射光も35%減少することが可能となった。これにより、この中間層によって吸収されなかった軟X線光の一部が界面で反射され、結果的に多層膜の反射率を向上させることが可能となった。
つぎに、本実施の形態の軟X線多層膜ミラーについて図を用いて説明する。
図1に本実施の形態の軟X線多層膜ミラーの構成を示す。
図において、1は基板、2は多層膜、3は中間層(Li金属化合物)、4はMoを主たる材料とする膜(低屈折率層)、5はSiを主たる材料とする膜(高屈折率層)、6は軟X線である。なお、低屈折率層の材料はMoに限られず、Moを含む族、ならびにそれらの材料の合金または化合物から選択されたものによっても良い。また、高屈折率層材料はSiに限られず、Siを含む族、ならびにそれらの材料の合金または化合物から選択されたものによってもよい。
これらの積層においては、基板1に、多層膜2を成膜していく。その際、低屈折率層であるMo層4と高屈折率層であるSi層5の間に、低屈折率層材料と高屈折率層材料の化合物質(「界面化合物」)の発生を防ぐための中間層3を挿入する。この低屈折率層4、中間層3、高屈折率層5、中間層3の4層を1周期として、積み重ねていく。中間層3は、低屈折率層4や高屈折率層5と化合しにくいLiB2を用いた。
ここで、層厚については、上記中間層の厚さを1Å以上に定めた上で、前記高屈折率層と前記低屈折率層の厚さを多層膜設計で決定する。その際、中間層の厚さは、好ましくは0.1nm〜3nmの範囲の厚さ、より好ましくは0.5nm〜1nmの厚さとすることが望ましい。
本実施の形態によれば、Mo層とSi層との間に、これらの材料により自然生成される界面化合物の発生を防ぐLi−B金属化合物による中間層3が設けられているため、界面化合物の生成を防ぐことができ、高反射率を有する軟X線多層膜ミラーを実現することが可能となる。
前記高屈折率層、前記低屈折率層及び中間層は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法のいずれかの薄膜形成技術により成膜することで、その効果が特に有効に発揮される。
なお、本発明による軟X線多層膜ミラーは、各種軟X線光学系、例えば、軟X線リソグラフィ、軟X線望遠鏡、露光装置に好適に使用でき、これらにおいては、微細なパターンまで解像可能となる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1においては、本発明を適用して軟X線多層膜ミラーを構成した。
図2に、本実施例の軟X線多層膜ミラーの構成を示す。図1に示した構成と同様の構成には同一の符号が付されており、重複する部分の説明は省略する。図において、7はLiB2層(厚さ0.5[nm])による中間層である。
本実施例の軟X線多層膜ミラーは、マグネトロンスパッタリング法により、基板1上に、Moを主とする層(低屈折率層)4と、Siを主とする層(高屈折率層)5の間に、中間層7を挿入して構成した。この低屈折率層4→中間層7→高屈折率層5→中間層7、の順で形成される4層多層膜を1周期として、これらを繰り返し積み重ねることによって多層膜2を形成した(この時の低屈折率層と高屈折率層は、LiB2=0.5[nm]を確定させた上で、それぞれの最適膜厚を決定している)。
本実施例では、Mo層とSi層との間に、これらの材料により自然生成される界面化合物の発生を防ぐLiB2層による中間層7が設けられているため、界面化合物の生成を防ぐことができる。LiB2は安定した金属化合物であるため、LiB2層とMo層、またはLiB2層とSi層との間に、自然生成される界面化合物を殆ど発生しないようにすることができる。
また、LiB2は、従来用いられた中間層B4Cと比較して吸収係数が35%程度も小さい。したがって本実施例によれば、高反射率を有する軟X線多層膜ミラーを実現することができる。
さらに、LiB2がアモルファス化し易い材料であるため、Si層やMo層の界面粗さや表面粗さを緩和させ、粗さによる散乱を抑えることによっても、高反射率に寄与することが可能となる。
図3に本実施例を実施した時の、理論反射率を示す(中間層にB4Cを用いた場合と比較)。
なお、LiB2からなる中間層7は、超高真空中においてスパッタリングすることによりMo層4上、またSi層5上に形成した。
[実施例2]
実施例2においては、本発明を適用して軟X線多層膜ミラーを構成した。
図4に、本実施例の軟X線多層膜ミラーの構成を示す。図1に示した構成と同様の構成には同一の符号が付されており、重複する部分の説明は省略する。図において、7はLiB2層(厚さ0.5[nm])による中間層である。
本実施例の軟X線多層膜ミラーは、マグネトロンスパッタリング法により、基板1上に、Siを主とする層(高屈折率層)5を形成し、その上に中間層7としてLiB2層(厚さ0.5[nm])を形成し、その上にMoを主とする層(低屈折率層)4を形成した。この高屈折率層5→中間層7→低屈折率層4、の順で形成される3層多層膜を1周期とし、これらを繰り返し積み重ねることによって多層膜2を形成した(この時の低屈折率層と高屈折率層は、LiB2=0.5[nm]を確定させた上で、それぞれの最適膜厚を決定している)。この積層順序はこれに限らず、Moを主とする層(低屈折率層)の上に、中間層7としてLiB2層(厚さ0.5[nm])を形成し、その上にSiを主とする層(高屈折率層)5を形成するようにしてもよい。
本実施例では、Mo層上の界面化合物よりSi層上の方が、界面化合物生成量が大きいというこれまでの実験事実に基づき、Si層上にMo層が重ならない多層膜構成が採られている。これによりSi層上とMo層下の間に自然生成される界面化合物の生成を防ぐことが可能となる。LiB2層上のMo層LiB2は安定した金属化合物であるため、LiB2層とMo層、またはLiB2層とSi層との間に、自然生成される界面化合物を殆ど発生しないようにすることができる。
また、LiB2は、従来用いられた中間層B4Cと比較して吸収係数が35%程度も小さい。したがって本実施例によれば、高反射率を有する軟X線多層膜ミラーを実現することができる。
さらに、LiB2がアモルファス化し易い材料であるため、Si層やMo層の界面粗さや表面粗さを緩和させ、粗さによる散乱を抑えることによっても、高反射率に寄与することが可能となる。
なお、LiB2からなる中間層7は、超高真空中においてスパッタリングすることによりMo層4上、またSi層5上に形成した。
[実施例3]
実施例3における軟X線多層膜ミラーは、実施例1に示した中間層LiB2層の代わりに、中間層としてLi3P層厚さ0.5[nm])が設けられている。
本実施例の軟X線多層膜ミラーは、マグネトロンスパッタリング法により、基板1上に、Moを主とする層(低屈折率層)4と、Siを主とする層(高屈折率層)5の間に、中間層7を挿入して構成した。この低屈折率層4→中間層7→高屈折率層5→中間層7、の順で形成される4層多層膜を1周期として、これらを繰り返し積み重ねることによって多層膜2を形成した(この時の低屈折率層と高屈折率層は、Li3P=0.5[nm]を確定させた上で、それぞれの最適膜厚を決定している)。
本実施例では、Mo層とSi層との間に、これらの材料により自然生成される界面化合物の発生を防ぐLi3P層による中間層7が設けられているため、界面化合物の生成を防ぐことができる。Li3Pは安定した金属化合物であるため、Li3P層とMo層、またはLi3P層とSi層との間に、自然生成される界面化合物を殆ど発生しないようにすることができる。
また、Li3Pは、従来用いられた中間層B4Cと比較して吸収係数が7%程度小さくなり、さらに屈折率がSiに近い値をとっている。したがって本実施例によれば、高反射率を有する軟X線多層膜ミラーを実現することができる。
さらに、Li3Pがアモルファス化し易い材料であるため、Si層やMo層の界面粗さや表面粗さを緩和させ、粗さによる散乱を抑えることによっても、高反射率に寄与することが可能となる。
なお、Li3Pからなる中間層7は、超高真空中においてスパッタリングすることによりMo層4上、またSi層5上に形成した。
[実施例4]
実施例における4軟X線多層膜ミラーは、実施例1に示した中間層LiB2層の代わりに、中間層としてLi2S層(厚さ0.5[nm])が設けられている。
本実施例の軟X線多層膜ミラーは、マグネトロンスパッタリング法により、基板1上に、Moを主とする層(低屈折率層)4と、Siを主とする層(高屈折率層)5の間に、中間層7を挿入して構成した。この低屈折率層4→中間層7→高屈折率層5→中間層7、の順で形成される4層多層膜を1周期として、これらを繰り返し積み重ねることによって多層膜2を形成した(この時の低屈折率層と高屈折率層は、Li2S=0.5[nm]を確定させた上で、それぞれの最適膜厚を決定している)。
本実施例では、Mo層とSi層との間に、これらの材料により自然生成される界面化合物の発生を防ぐLi2S層による中間層7が設けられているため、界面化合物の生成を防ぐことができる。Li2Sは安定した金属化合物であるため、Li2S層とMo層、またはLi2S層とSi層との間に、自然生成される界面化合物を殆ど発生しないようにすることができる。
また、Li2Sは、従来用いられた中間層B4Cと比較して吸収係数が22%程度も小さく、さらに屈折率がSiに近い値をとっている。したがって本実施例によれば、高反射率を有する軟X線多層膜ミラーを実現することができる。
さらに、Li2Sがアモルファス化し易い材料であるため、Si層やMo層の界面粗さや表面粗さを緩和させ、粗さによる散乱を抑えることによっても、高反射率に寄与することが可能となる。
なお、Li2Sからなる中間層7は、超高真空中においてスパッタリングすることによりMo層4上、またSi層5上に形成した。
[実施例5]
実施例5における4軟X線多層膜ミラーは、実施例1に示した中間層LiB2層の代わりに、中間層としてLiBF4層(厚さ0.5[nm])が設けられている。
本実施例の軟X線多層膜ミラーは、マグネトロンスパッタリング法により、基板1上に、Moを主とする層(低屈折率層)4と、Siを主とする層(高屈折率層)5の間に、中間層7を挿入して構成した。この低屈折率層4→中間層7→高屈折率層5→中間層7、の順で形成される4層多層膜を1周期として、これらを繰り返し積み重ねることによって多層膜2を形成した(この時の高屈折率層と低屈折率層は、LiBF4=0.5[nm]を確定させた上で、それぞれの最適膜厚を決定している)。
本実施例では、Mo層とSi層との間に、これらの材料により自然生成される界面化合物の発生を防ぐLiBF4層による中間層7が設けられているため、界面化合物の生成を防ぐことができる。LiBF4は安定した金属化合物であるため、LiBF4層とMo層、またはLiBF4層とSi層との間に、自然生成される界面化合物を殆ど発生しないようにすることができる。
LiBF4がアモルファス化し易い材料であるため、Si層やMo層の界面粗さや表面粗さを緩和させ、粗さによる散乱を抑えることによっても、高反射率に寄与することが可能となる。
なお、LiBF4からなる中間層7は、超高真空中においてスパッタリングすることによりMo層4上、またSi層5上に形成した。
本発明の実施形態におけるX線多層膜ミラーの構成を示す模式図。 本発明の実施例1におけるX線多層膜ミラーの構成を示す模式図。 本発明の実施例1を実施した時の、理論反射率を示す図。 本発明の実施例2におけるX線多層膜ミラーの構成を示す模式図。
符号の説明
1:基板
2:多層膜
3:自然生成界面化合物の発生防止層(中間層=Li−B金属化合物)
4:Moを主たる材料とする膜(低屈折率層)
5:Siを主たる材料とする膜(高屈折率層)
6:軟X線

Claims (11)

  1. X線領域での屈折率と真空の屈折率との差が相対的に大きい材料からなる低屈折率層と、屈折率の差が相対的に小さい材料からなる高屈折率層とを、基板側から交互に積層した多層膜層により構成された軟X線多層膜ミラーにおいて、
    前記低屈折率層と前記高屈折率層との間に、Li化合物からなる中間層を少なくとも1層設けることを特徴とする軟X線多層膜ミラー。
  2. 前記高屈折率層、中間層、低屈折率層、中間層を、この順に積層して形成された4層を一組とする多層膜を、複数組繰り返し積層して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の軟X線多層膜ミラー。
  3. 前記中間層の一層が、前記基板側からみて前記高屈折率層上で前記低屈折率層の下、または前記低屈折率層上で前記高屈折率層の下、のいずれかに設けられることを特徴とする請求項1に記載の軟X線多層膜ミラー。
  4. 前記高屈折率層材料は、Siを含む族、ならびにそれらの材料の合金または化合物から選択されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軟X線多層膜ミラー。
  5. 前記低屈折率層材料は、Moを含む族、ならびにそれらの材料の合金または化合物から選択されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軟X線多層膜ミラー。
  6. 低屈折率層と高屈折率層とを、基板上に交互に積層した多層膜層による軟X線多層膜ミラーの製造方法において、
    前記低屈折率層と前記高屈折率層との間に、これらの材料により生成される化合物の発生を防ぐための中間層を、Li化合物からなる中間層を少なくとも1層形成することを特徴とする軟X線多層膜ミラーの製造方法。
  7. 前記基板上に各層を積層する際に、前記高屈折率層、中間層、低屈折率層、中間層を、この順に積層して形成された4層を一組とする多層膜を、複数組繰り返し積層することを特徴とする請求項6に記載の軟X線多層膜ミラーの製造方法。
  8. 前記基板上に各層を積層する際に、前記高屈折率層、中間層、低屈折率層を、この順に積層して形成された3層を一組とする多層膜、または、前記低屈折率層、中間層、高屈折率層を、この順に積層して形成された3層を一組とする多層膜を、複数組繰り返し積層することを特徴とする請求項6に記載の軟X線多層膜ミラーの製造方法。
  9. 前記基板上に各層を積層する際に、前記各層の積層に際し、スパッタリング法、蒸着法、CVD法のいずれかの方法を用いることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の軟X線多層膜ミラーの製造方法。
  10. 前記基板上に各層を積層する際に、上記中間層の厚さを1Å以上に定めた上で、前記高屈折率層と前記低屈折率層の厚さを多層膜設計で決定して、前記基板上に交互に積層した多層膜層を形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の軟X線多層膜ミラーの製造方法。
  11. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の軟X線多層膜ミラー、または請求項6〜10のいずれか1項に記載の軟X線多層膜ミラーの製造方法によって作製された軟X線多層膜ミラーを備えたことを特徴とする軟X線光学系。
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