JP2006336412A - 作業用静穏水域の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業領域をドライにすることなく、かつ作業領域の周辺における流水の流速に影響を受けずに潜水士が流水中で能率的に作業ができるようにする。
【解決手段】潜水士が流水中で作業を行う水中作業領域1の周囲の所定範囲に、流水が通過可能な空隙を有する流速制御工2を配置して、水中作業領域1における流水の流速を低減し、作業用静穏水域を形成する。例えば、流速制御工2は、立体格子状に組み立てられたフレームを設置し、このフレーム内に空隙を有するように中詰材が詰め込まれたカゴを複数建て込んで形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、海洋、河川、運河などの流水中で潜水士が作業を行うための作業用静穏水域の形成方法に関する。
従来、流水中で潜水士が作業を行う際に、その水中作業領域内に流速があるため、潜水士の水中作業に支障がでる場合がある。一般的に、潜水士が潜水して作業を行うことができる限界流速は、0.5m/sec〜1.0m/secとされている。
そして、流水の流速に日変動または季節変動がある場合には、作業期間として流速の小さい時間帯または季節を選定することになる。また、水流の流速が常時大きい場合には、作業領域を締め切り、締切り内部の水を排除し、ドライな作業空間を確保する方法が採られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開11−21908号公報
しかし、作業工程を流水の流速の日変動、季節変動に合わせていては、作業時間帯、期間が限定されてしまい作業効率が悪くなる。さらに、天候により流速が変動すると、作業の工程を確定することができなくなり、作業が遅延するおそれがある。
また、作業領域を締め切った場合には、工事期間に制約はなくなるが、作業エリアをドライにするために静水圧に抵抗する構造にする必要がある。このため、その構造体として、特殊なパネルを用いて周鉛直方向に連結したり、また二重締切工法を用いたりしなければならず、これらの仮設設備は大掛りとなり、仮設設備のための工事期間が長くなるとともに工事費用の増大を招くこととなる。
本発明の課題は、作業領域をドライにすることなく、かつ作業領域の周辺における流水の流速に影響を受けずに潜水士が流水中で能率的に作業ができるようにすることである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明である作業用静穏水域の形成方法は、例えば図1から3に示すように、潜水士12が流水中で作業を行う水中作業領域1の周囲の所定範囲に、流水が通過可能な空隙11を有する流速制御工2を配置して、前記水中作業領域1における流水の流速を低減することを特徴とする。
このように、流速制御工2は、流水の通過可能な空隙11を有して流水の抵抗となり、水中作業領域1における流水の流速を低減し、潜水士12が作業できる作業用静穏水域を形成することができる。これにより、潜水士12は、流水の流速が低減された作業用静穏水域で、その周辺の流水の流速に影響を受けることなく、能率的に作業することができる。また、流速制御工2は、流水を通過可能なため、静水圧に抵抗する構造である必要がなく、従来の仮設設備のように大掛かりなものではない。
なお、流速制御工2を配置する前記所定範囲は、作業領域の状況に応じて適宜設定することができる。例えば、作業領域の周囲の全周にわたって連続的に配置してもよいし、部分的に配置してもよい。また、流水の方向が一定である場合には、作業領域の周囲のうち少なくとも流水方向に対して前方の範囲に設置するようにしてもよい。また、流水の方向が変化する場合であっても、特定の方向の流速が大きく、その他の方向の流速が潜水士12の作業に影響しないことが確実であれば、少なくとも流速の大きい流水方向に対して前方の範囲に設置するようにしてもよい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の作業用静穏水域の形成方法において、例えば図2,3に示すように、前記所定範囲に立体格子状に組み立てられたフレーム(鋼製フレーム3)を設置し、このフレーム内に前記空隙11を有するように中詰材(石10c)が詰め込まれたカゴ(石詰めカゴ10)を複数建て込んで、前記流速制御工2を形成することを特徴とする。
このように、流速制御工2は、立体格子状に組み立てられたフレームを設置し、このフレーム内に中詰材が詰め込まれたカゴを複数建て込むことにより形成されるという、単純な構造である。したがって、流速制御工2の配置作業を容易にすることができ、またその施工費用を安価にすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の作業用静穏水域の形成方法において、前記所定範囲に立体格子状に組み立てられその外周面にわたって網が取り付けられたフレームを設置し、このフレームの網で囲まれた内部に前記空隙を有するように中詰材を投入して、前記流速制御工を形成することを特徴とする。
このように、流速制御工は、立体格子状に組み立てられたフレームをその外周面にわたって網を取り付けて設置し、この網で囲まれた内部に中詰材を投入することにより形成されるという、単純な構造である。したがって、流速制御工の配置作業を容易にすることができ、またその施工費用を安価にすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の作業用静穏水域の形成方法において、例えば図2,3に示すように、前記フレーム(鋼製フレーム3)の所定の区画に、この区画を取り囲むように止水板7を水密に取り付けて、前記フレームを設置する際に浮力を持たせることを特徴とする。
このように、フレームの所定の区画に浮力を持たせることにより、フレームの水中での運搬作業、設置作業を省力化するこができる。なお、所定の区画は、フレームの形状、重量などに応じて、フレームに対する浮力のバランスが適当になる位置に設定されるのが望ましい。
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載の作業用静穏水域の形成方法において、例えば図2,3に示すように、前記中詰材(石10c)は、玉石または砕石であることを特徴とする。
このように、中詰材として自然素材である玉石、砕石を用いることにより、流速制御工2の形成を安価に行うことができる。
本発明によれば、潜水士が流水中で作業を行う水中作業領域の周囲の所定範囲に、流水の通過可能な空隙を有する流速制御工を配置することにより、水中作業領域における流水の流速を低減し、潜水士の作業が可能な作業用静穏水域が形成される。そして、潜水士は作業用静穏水域で、流水の流速に影響を受けることなく、能率的に作業することができる。また、流速制御工は、静水圧に抵抗させないため、従来のように大掛かりにする必要がない。
さらに、流速制御工は、立体格子状に組み立てられたフレームを設置し、このフレーム内に空隙を有するように中詰材が詰め込まれたカゴを複数建て込むことで形成することができる。あるいは、立体格子状に組み立てられその外周面にわたって網が取り付けられたフレームを設置し、このフレームの網で囲まれた内部に空隙を有するように中詰材を投入することで形成することができる。このように、流速制御工の構造が単純であるため、容易に配置することができ、また安価に施工することができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1から26に示すように、本実施の形態は、本発明を、海峡に架設された橋梁においてその水中構造物である橋脚21の耐震補強工事に適用したものである。
図2,3に示すように、橋梁は、道路橋であり、上部構造20(部分的に図示。)と、これを支える橋脚21とその下端に一体的に形成された基礎22からなる下部構造とを備えている。橋脚21の上部は海上にあり、下部は海中にある。基礎22の下端部は海底地盤中に埋没している。橋脚21、基礎22の水平断面形状は、小判形であり、橋脚21は基礎22よりも一回り小さくなっている。
この水中構造物である橋脚21の耐震補強工事にあたり、潜水士12が橋脚21の水中部分の外周面付近(以下、水中作業領域1という。)において潮流の流水中で作業を行うこととなる。潮流の流速は、最大3m/秒となり、そのままでは潜水士12の潜水作業の限界を超えるものである。
そこで、本実施の形態では、この水中作業領域1における流水の流速を低減して作業用静穏水域を形成するために、水中作業領域1の周囲に流速制御工2を配置する。流速制御工2の配置は、橋脚21の外周面に沿ってその全周にわたって連続して、橋脚21の外周面から所定の間隔をおいて、橋脚21を取り囲むように行っている。
まず、流速制御工2の構成について説明する。図2,3に示すように、流速制御工2は、立体格子状に組み立てられた鋼製フレーム3と、この鋼製フレーム3内に建て込まれる石詰めカゴ10とから概略構成されている。
鋼製フレーム3は、図4に示すように、その水平断面の外形が橋脚21、基礎22にほぼ相似する小判形で基礎22よりも若干小さいものである。鋼製フレーム3の高さは、これを基礎22上に設置した際に、その上部が海面のH.W.Lよりも高くなるように設定されている。
また、本実施の形態では、鋼製フレーム3は、橋脚21の外周方向に沿って、相対するU字部4と直線部5との4つに分割されている。U字部4は、それぞれH形鋼を柱4a、梁4bとして立体格子状に組み立てられ、柱4aと梁4bとで囲まれた複数の区画を有するものである。直線部5も同様に、柱5aと梁5bにより立体格子状に組み立てられている。
この鋼製フレーム3の所定の区画には、鋼製フレーム3を設置する際に浮力を持たせるために、図5に示すように、その区画を取り囲むようにして止水板7が水密に取り付けられている。本実施の形態では、止水板7の取付け区画(以下、浮力部6という。)として、図4に示すように、U字部4において両端部、中間部の縦方向の区画に、また直線部5において両端部の縦方向の区画とし、鋼製フレーム3に対する浮力のバランスが適当になる位置に設定されている。
この浮力部6により、鋼製フレーム3に対して浮力を発生させ、必要に応じて浮力部6内に注水することで浮力の調整が可能となっている。これにより、鋼製フレーム3の水中での運搬作業、設置作業を省力化するこができる。
止水板7の取付けは、図5(a)に示すように、橋脚21の外周方向と平行な面には鉄板7aをボルト8により、橋脚21との離間方向と平行な面には鉄板7aを溶接により接合することで行っている。ボルト8で接合する止水板7は、外周縁に沿って所定間隔で複数のボルト孔7bが形成されている。鋼製フレーム3にはこのボルト孔7bに対応する位置にボルト8を挿通する孔を形成しておく。さらに、図5(b)に示すように、外周縁に沿ってボルト孔7bよりも内側に防水パッキン7cを連続して設け、止水板7を鋼製フレーム3にボルト8で締結した際に押圧されて水密な状態にしている。なお、鉄板7aには、山形鋼を補強材7dとして縦横方向に所定間隔で配してその強度を補強している。この止水板7は、鋼製フレーム3を設置した後、鋼製フレーム3から取り外して、石詰めカゴ10を建て込むことが可能である。
図6に示すように、石詰めカゴ10は、山形鋼で立方体に組み立てられた枠10aの各面に、金網10b、エキスパンドメタルなどを溶接し、その内部に石10c(中詰材)を詰め込んだものである。また、詰め込まれた石10cどうしの間に空隙11が形成され、所定の空隙率を有するようになっている。この石詰めカゴ10の外形は、石詰めカゴ10がそれぞれ配置される鋼製フレーム3の区画に対応した形状であり、それぞれの区画内に上方から挿入できるようになっている。詰め込まれる石10cは、自然素材の玉石、砕石などであり、流速制御工2を安価に形成することができる。
ここで、鋼製フレーム3、例えば直線部5には、平面的にみて梁5bに囲まれた各区画の4隅に、石詰めカゴ10を上方から挿入した際にガイドするガイド部材9としての山形鋼が鉛直方向に設けられている。
次に、図9から26に基づいて、上記構成の流速制御工2を用いて、橋脚21の補強工事の手順を説明するとともに、作業用静穏水域の形成手順について説明する。
まず、図9に示すように、橋脚21の補強工事の準備として、後述するホイスト41を設置するためのホイストレール用ブラケット30を、橋脚21の上面にその長手方向に所定間隔で複数固定して設置する。ホイストレール用ブラケット30は、橋脚21の上部の両側面よりも若干張り出させる。また、橋脚21の上に資機材の置場として仮設ステージ31を、単管足場などを組み立てて製作する。これらブラケット、仮設ステージ31などに必要な資機材は、橋梁の道路上からラフタークレーンなど(図示せず)で吊り降ろす。
次に、図10に示すように、基礎22の上に流速制御工2を配置するための水中架台33を設置する。水中架台33の設置は、水中架台33をクレーン付き台船(図示せず)で吊り降ろし、潜水士12により水中アンカー34で固定して行う。潜水士12は、仮設ステージ31に設置した潜水用コンプレッサー32からホースで空気を供給され作業を行う。
そして、図11に示すように、鋼製フレーム3を、起重機船(図示せず)により橋脚21付近まで運搬し、橋脚21付近に起重機船を仮係留した後、吊り降ろして海中に浮遊させる。橋脚21の上部にウインチ35を設置し、基礎22の上部に滑車36を設置して、ワイヤー37の一端を鋼製フレーム3に固定し、ワイヤー37の他端側をウインチ35操作により巻き上げて、鋼製フレーム3を移動させる。
このとき、鋼製フレーム3の浮力部6に海水を注入して、鋼製フレーム3に対する浮力を調整しながら、鋼製フレーム3を潜水士12が誘導して水中架台33に向かって下降させて配置する。これらの作業を鋼製フレーム3のU字部4、直線部5ごとに行って、水中作業領域1を取り囲むように配置して水中架台33上に固定する。なお、鋼製フレーム3を水中架台33に固定した後、潜水士12が止水板7を鋼製フレーム3から取り外す。
鋼製フレーム3を設置した後、図12に示すように、石詰めカゴ10を、クレーン付き台船で橋脚21付近まで運搬し、鋼製フレーム3の上方からその各区画内にガイド部材9でガイドしながら下降させて建て込んでいく。すべての石詰めカゴ10の設置が終了したら、流速制御工2が完成する。
なお、水中架台33、鋼製フレーム3、石詰めカゴ10などは、予め地上の製作ヤードにて製作しておく。また、これらの運搬と同時に、以降の作業に必要な仮設鋼材等も運搬し、鋼製フレーム3上に荷揚げしておく。
流速制御工2が完成したのち、橋脚21の補強工事を開始する。その準備として、まず図13に示すように、鋼製フレーム3の上に単管足場を組み立てて作業足場38を設置する。鋼製フレーム3を作業構台としても兼用している。そして、この作業足場38から鋼製フレーム3に荷揚げしておいた仮設鋼材を用いて、ホイストレール用ブラケット30に橋脚21の上部の両側にその長手方向に沿ってホイストレール42を固定し、ホイストレール42に複数のホイスト41を懸架する。
ホイスト41を設置した後に、鋼製フレーム3の上の作業足場38を解体して撤去する。また、図14に示すように、仮設ステージ31に表面処理用コンプレッサー32を設置して、潜水士12により橋脚21の外周面の表面処理(ケレン作業)を行っておく。
次に、図15に示すように、潜水士12により橋脚21の外周面に沿って鉛直方向に軸方向鉄筋44を所定間隔で複数建て込む。軸方向鉄筋44は、フロート台船46から搬入する。軸方向鉄筋44の建て込みは、基礎22の上面に定着孔45を削孔し、定着孔45内を目粗し処理し、定着剤(水中硬化性)を充填し、軸方向鉄筋44の下端部を挿入することにより行う。
軸方向鉄筋44の建込みが完了した後、図16に示すように、プレキャストパネル47の仮組み用ブラケット49を、橋脚21の外周面にわたって建て込まれた軸方向鉄筋44の上方付近に設置する。そして、1段目のプレキャストパネル47を、フロート台船46から搬入して仮組み用ブラケット49の上でリング状に組み立てる。リング状に組み立てられた1段目のプレキャストパネル47を吊り治具を用いて吊り降ろす。なお、基礎22の上には、予めレベル調整用ボルト8を設置しておく。
図18に示すように、1段目のプレキャストパネル47を設置した後、橋脚21とプレキャストパネル47との間へのコンクリート50の充填に先立ち、潜水士12によりはらみ止めアンカー48をプレキャストパネル47の周方向にわたって打設して、プレキャストパネル47を橋脚21に固定しておく。また、充填するコンクリート50の漏洩を防止するために、水中架台33を型枠10aとして1段目のプレキャストパネル47の外側に根固めコンクリートを打設しておく。
次に、図19に示すように、橋脚21とプレキャストパネル47との間にコンクリート50を充填する。コンクリート50は、水中不分離性コンクリートである。コンクリート50の打設高さは、プレキャストパネル47の天端より30cm下がった高さとする。なお、コンクリート50の打設は、橋梁の道路上に小型コンクリートポンプ車(図示せず)を配置し、仮設ステージ31の上の中継ポンプ51を中継して、潜水士12が打設箇所に圧送ホース52を移動させて行う。
図20に示すように、2段目以降のプレキャストパネル47を、上述したプレキャストパネル47の組立、設置作業、コンクリート50の充填作業を繰り返して構築していく。図21に示すように、最上段のプレキャストパネル47の組立ては、仮組み用ブラケット49を取り外した後、プレキャストパネル47を1枚ずつ直接設置しながら行う。
なお、それぞれのプレキャストパネル47の底面には、予め接着剤を塗布しておく。また、図22に示すように、仮設ステージ31に設置されたモルタルミキサ53からのポリマーセメントモルタルを用いて、プレキャストパネル47の天端の仕上げを行う。以上により、橋脚21の補強が行われる。
そして、図23に示すように、ホイストレール42、仮設ステージ31、流速制御工2などの撤去を行う。鋼製フレーム3の上に再び単管足場を設置しホイストレール42を解体し、橋梁の道路上に設置されたラフタークレーン(図示せず)によりホイストレール42吊り上げて撤去する。その後、ホイストレール用ブラケット30、作業足場38などを撤去する。
図24に示すように、鋼製フレーム3内に建て込まれた石詰めカゴ10をクレーン付き台船により抜き出して回収する。石詰めカゴ10を撤去した後、図25に示すように、鋼製フレーム3に潜水士12により再び止水板7を取り付けて止水板7で囲まれた浮力部6を形成する。鋼製フレーム3の水中架台33に対する固定を解除し、浮力部6内に水中ポンプを入れて排水を行い、鋼製フレーム3を浮遊させる。鋼製フレーム3をウインチ35操作により係留中の起重機船付近(図示せず)に移動し、起重機船側にワイヤー37を取り替え、船上に吊り込んで運搬する。
図26に示すように、水中架台33および橋脚21上の仮設材などを全て撤去して、全ての工事が完了する。
本実施の形態によれば、流速制御工2は、石詰めカゴ10に詰め込まれた石10cどうしの間に空隙11を有して、流水に抵抗が生じ、水中作業領域1における流水の流速を低減させることができる。これにより、水中作業領域1を、橋脚21の周囲に潜水士12が作業できる作業用静穏水域として形成することができる。橋脚21の補強工事において、潜水士12は、流水の流速が低減された作業用静穏水域でその周辺の流水の流速に影響を受けることなく、軸方向鉄筋44、プレキャストパネル47を設置する作業などを能率的に行うことができる。
また、流速制御工2は、流水を通過可能なため、静水圧に抵抗する構造である必要がなく、従来の仮設設備のように大掛かりなものではない。さらに、流速制御工2は、立体格子状に組み立てられた鋼製フレーム3を設置し、この鋼製フレーム3内に石詰めカゴ10を複数建て込むことにより形成されるという単純な構造である。そのため、鋼製フレーム3、石詰めカゴ1010は短時間に設置でき、流速制御工2を容易に形成することができ、またその費用を安価にすることができる。
なお、以上の実施の形態においては、本発明を橋脚21の補強工事に適用したが、これに限定されるものではなく、潜水士によるその他の水中作業に適用できるのは勿論である。そして、本実施の形態において、流速制御工2の配置を、橋脚21を取り囲むようにその外周にわたって連続して行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、作業領域の状況に応じて適宜設定することができる。例えば、作業領域の周囲の全周にわたって連続的に配置してもよいし、部分的に配置してもよい。また、流水の方向が一定である場合には、作業領域の周囲のうち少なくとも流水方向に対して前方の範囲に設置するようにしてもよい。また、流水の方向が変化する場合であっても、特定の方向の流速が大きく、その他の方向の流速が潜水士12の作業に影響しないことが確実であれば、少なくとも流速の大きい流水方向に対して前方の範囲に設置するようにしてもよい。
また、流速制御工を形成する方法として、鋼製フレームを設置して、鋼製フレーム内に石詰めカゴを建て込むこととしたが、外周面にわたって金網などを取り付けた鋼製フレームを設置して、この鋼製フレームの金網で囲まれた内部に石を投入することとしてもよい。この場合、流速制御工の撤去時には、金網を取り外し、石を水底に排出し、鋼製フレームの撤去を省力化することも可能である。
また、中詰材として玉石、砕石などの石10cを用いたが、ブロック、材木、ペットボトルなども可能であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
ここで、本発明者らは、流速制御工による流速低減効果を定量的に把握することを目的に流体解析を実施した。解析は、VOF法を用いた3次元自由表面解析とし、汎用熱流体解析ソフトを使用した。
まず、流速制御工のモデル化(多孔質モデル)について説明する。一般に、石や異形ブロックなどの粒状の透過性材料が流れに及ぼす抵抗は、以下に示す損失水頭の形で表現することができる(デュプイ・フォルヒハイマー則)。そこで、流速制御工のモデル化は、次式により求まる抵抗係数を用いた圧力損失条件を流速制御工内に付加することとした。
Figure 2006336412
本解析では、橋脚の周辺の地形変化は無視した一様水深とし、水位はH.W.L.+3.0mとした。潮流は一様流とし、単位流速1.0m/secを与えた。また、橋脚の周囲にその外周面から1.5mの間隔の範囲を水中作業領域とし、さらにその外周に幅1.5mの流速制御工を配置する設定とした。流速制御工の幅は1.5mとし、その下端からH.W.L.まで全て石詰めすることとした。主な解析条件を下表に示す。
Figure 2006336412
図27は、詰石の空隙率をパラメータに、橋脚周囲の水中作業領域の各位置における流速低減率を整理したものである。ここに、流速低減率とは、流速制御工がないタイプに対する流速の比を示したものである。また、流速の計測位置としては、橋脚の正面、斜め前方、側面及び斜め後方である。図27に示すように、詰石の空隙率が50%以下の場合には、いずれの位置においても流速低減率を0.18程度以下に押さえることができることが分かる。
以上の検討結果から、強潮流3.0m/sec時においても、流速制御工に囲まれた水中作業領域では流速を0.5m/sec程度以下に抑えることが可能となり、一般的な潜水士の作業の限界流速0.5m/sec以内にほぼ作業環境を維持することができることが示された。
本発明を適用した一実施の形態における、作業用静穏水域の形成方法を示す斜視図である。 同、流速制御工の構成を示す断面図である。 同、流速制御工の構成を示す平面図である。 同、鋼製フレームの構成を示す平断面図である。 同、止水板の取付けを示す平面図である。 同、止水板の構成を平断面図である。 同、石詰めカゴの構成を示す側面、平面、断面図である。 同、鋼製フレーム内への石詰めカゴの建込みを説明した平面図である。 同、橋脚の補強工事の施工手順のうち、仮設ステージなどの設置作業を説明する図である。 同、鋼製フレームを設置するための水中架台の設置作業を説明する図である。 同、鋼製フレームの設置作業を説明するための図である。 同、鋼製フレーム内への石詰めカゴの建込み作業を説明する図である。 同、ホイストレールの設置作業を説明する図である。 同、橋脚の表面処理作業を説明する図である。 同、軸方向鉄筋の設置作業を説明する図である。 同、プレキャストパネルの仮組み作業を説明する図である。 同、プレキャストパネルの設置作業を説明する図である。 同、プレキャストパネルへのはらみ止めアンカーの打設作業を説明する図である。 同、コンクリートの充填作業を説明する図である。 同、2段目以降のプレキャストパネルの設置作業を説明する図である。 同、最上段のプレキャストパネルの設置作業を説明する図である。 同、プレキャストパネル天端の仕上げ作業を説明する図である。 同、ホイストの撤去作業を説明する図である。 同、石詰めカゴの撤去作業を説明する図である。 同、鋼製フレームの撤去作業を説明する図である。 同、橋脚の補強工事が完了した状況を説明する図である。 流体解析結果として流速低減率への詰石の空隙率の影響を表すグラフである。
符号の説明
1 水中作業領域
2 流速制御工
3 鋼製フレーム
4 U字部
5 直線部
4a,5a 柱
4b,5b 梁
6 浮力部
7 止水板
7a 鉄板
7b ボルト孔
7c 防水パッキン
7d 補強材
8 ボルト
9 ガイド部材
10 石詰めカゴ
10a 枠
10b 金網
10c 石(中詰材)
11 空隙
12 潜水士
20 上部構造
21 橋脚
22 基礎
30 ホイスト用ブラケット
31 仮設ステージ
32 潜水用コンプレッサー
33 水中架台
34 水中アンカー
35 ウインチ
36 滑車
37 ワイヤー
38,39,40 作業足場
41 ホイスト
42 ホイストレール
43 表面処理用コンプレッサー
44 軸方向鉄筋
45 定着孔
46 フロート台船
47 プレキャストパネル
48 はらみ止めアンカー
49 仮組み用ブラケット
50 コンクリート
51 中継ポンプ
52 圧送ホース
53 モルタルミキサ

Claims (5)

  1. 潜水士が流水中で作業を行う水中作業領域の周囲の所定範囲に、流水が通過可能な空隙を有する流速制御工を配置して、前記水中作業領域における流水の流速を低減することを特徴とする作業用静穏水域の形成方法。
  2. 前記所定範囲に立体格子状に組み立てられたフレームを設置し、このフレーム内に前記空隙を有するように中詰材が詰め込まれたカゴを複数建て込んで、前記流速制御工を形成することを特徴とする請求項1に記載の作業用静穏水域の形成方法。
  3. 前記所定範囲に立体格子状に組み立てられその外周面にわたって網が取り付けられたフレームを設置し、このフレームの網で囲まれた内部に前記空隙を有するように中詰材を投入して、前記流速制御工を形成することを特徴とする請求項1に記載の作業用静穏水域の形成方法。
  4. 前記フレームの所定の区画に、この区画を取り囲むように止水板を水密に取り付けて、前記フレームを設置する際に浮力を持たせることを特徴とする請求項2または3に記載の作業用静穏水域の形成方法。
  5. 前記中詰材は、玉石または砕石であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の作業用静穏水域の形成方法。
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