JP2006336297A - ウイング扉開閉装置 - Google Patents

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Yasushi Nagamune
泰史 永棟
Akio Oyaji
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Abstract

【課題】 クランクアームに駆動力を伝達する駆動力伝達機構の構成を簡単にするとともに小型化することが可能なウイング扉開閉装置を提供すること。
【解決手段】 ウイング扉開閉装置1は、本体ケーシング2と、クランクアーム3と、このクランクアーム3を回動させる為の駆動力を発生させる駆動モータ4と、この駆動モータ4の駆動力をクランクアーム3に伝達する駆動力伝達機構5とを備え、駆動力伝達機構5は、ネジ軸40、及び、クランクアーム3の連結軸13よりもウイング扉105側の部分に連結されたナット41を有するボールネジ34と、ネジ軸40に作用するスラスト方向の荷重とラジアル方向の荷重の両方を受ける軸受42とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、トラック等の輸送車両の荷台に設けられたウイング扉を開閉する装置に関する。
荷台に対して上下に回動可能なウイング扉を装備したトラック等の輸送車両においては、ウイング扉を開くことにより荷台の側方を全面的に開放させることができるため、荷物の積み降ろし作業が容易である。図10に、このようなウイング扉を装備したトラックの一例を示す。このトラック101の荷台102には前後2つの門形枠103が設けられ、これら2つの門形枠103の上部中央に亙って前後に延びる中央梁104が架け渡されている。そして、中央梁104の左右両側には断面L形の2つのウイング扉105が回動可能に設けられており、これらウイング扉105により荷台102の両側方を開閉できるようになっている。尚、図10においては、左右両側のウイング扉105のうちの一方のみが図示されている。
ところで、このようなウイング扉を開閉する装置としては、その先端部がウイング扉に連結されたクランクアームを有し、このクランクアームを所定角度回動させることによりウイング扉を開閉するように構成されたものがある。例えば、特許文献1に記載のウイング扉開閉装置は、クランクアームと、このクランクアームを回動駆動する駆動モータとを有し、クランクアームの基端部は、ラック及びピニオンあるいはリンク等の各種連結機構を介して、水平に延びるネジ軸に外嵌状に螺合するスライダと連結されている。そして、駆動モータによりネジ軸が回転駆動されてスライダが水平に移動したときに、前述の連結機構を介してクランクアームの基端部が水平に駆動されて、クランクアームの先端部が回動するようになっている。
特開2003−106041号公報
しかし、前記特許文献1に記載のウイング扉開閉装置においては、ネジ軸に伝達された駆動力は、さらに、スライダや、ラック及びピニオン等の連結機構を介してクランクアームに伝達されるようになっており、その分、構成が複雑になるし、駆動力の伝達効率も悪くなる。そこで、連結機構を省略して、ネジ軸に螺合するスライダにより直接クランクアームを回動させるようにすれば、駆動力伝達機構の構成が簡単になるが、角形や台形などの一般的な形状のネジ山を有するネジ軸では駆動力の伝達効率が低いため、クランクアームを回動させるにはネジ軸の取り付け角度(水平面に対するネジ軸の傾斜角度)を大きくせざるを得なくなり、その分、ウイング扉開閉装置の全体の高さが高くなってしまう。
本発明の目的は、クランクアームに駆動力を伝達する駆動力伝達機構の構成を簡単にするとともに小型化することが可能なウイング扉開閉装置を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
第1の発明のウイング扉開閉装置は、荷台に対して上下に回動可能に設けられたウイング扉を開閉する装置であって、前記ウイング扉を開閉させる為の駆動力を発生させる駆動力発生手段と、この駆動力発生手段で発生した駆動力を前記ウイング扉に伝達する駆動力伝達機構とを備え、前記駆動力伝達機構は、前記駆動力発生手段に連結されたネジ軸、及び、前記ウイング扉に連結され且つ前記ネジ軸に外嵌螺合するナットを有するボールネジと、前記ネジ軸に作用するスラスト方向の荷重とラジアル方向の荷重の両方を受けるアンギュラ軸受とを有することを特徴とするものである。
この第1の発明のウイング扉開閉装置は、駆動力発生手段で発生した駆動力を駆動力伝達機構によりウイング扉に伝達して、ウイング扉を開閉させるように構成されている。ここで、駆動力伝達機構において、駆動力発生手段で発生した駆動力によりボールネジのネジ軸が回転駆動され、このネジ軸に多数のボールを介して外嵌螺合するナットがネジ軸に対して相対的に移動する。さらに、ナットからウイング扉に駆動力が伝達されて、ウイング扉が開閉する。このように、ボールネジのナットから、複雑な連結機構を介さずにウイング扉に駆動力を伝達することができるため、駆動力伝達機構の構成を簡素化することが可能になる。さらに、駆動力発生手段で発生した駆動力は、一般的なネジ機構よりも伝達効率の高いボールネジを介してウイング扉に伝達されるため、ネジ軸の取り付け角度(水平面に対するネジ軸の傾斜角度)を小さくしても駆動力を伝達できるようになり、駆動力伝達機構の高さ、ひいては、ウイング扉開閉装置全体の高さを低くすることができる。さらに、ネジ軸を支持する軸受が、スラスト荷重とラジアル荷重の両方を受けることが可能なアンギュラ軸受であるため、軸受の数を極力少なくすることができる。従って、駆動力伝達機構の構成を簡単にしつつ、ウイング扉開閉装置を小型化することが可能になる。
第2の発明のウイング扉開閉装置は、荷台に対して上下に回動可能に設けられたウイング扉を開閉する装置であって、本体ケーシングと、その一端部が前記ウイング扉に連結され、且つ、その他端部において前記本体ケーシングに回動自在に枢支されたクランクアームと、前記クランクアームを回動させる為の駆動力を発生させる駆動力発生手段と、この駆動力発生手段で発生した駆動力を前記クランクアームに伝達する駆動力伝達機構とを備え、前記駆動力伝達機構は、前記駆動力発生手段に連結されたネジ軸、及び、前記クランクアームの回動軸よりも前記一端側部分に連結され且つ前記ネジ軸に外嵌螺合するナットを有するボールネジと、前記ネジ軸に作用するスラスト方向の荷重とラジアル方向の荷重の両方を受けるアンギュラ軸受とを有することを特徴とするものである。
この第2の発明のウイング扉開閉装置は、駆動力発生手段で発生した駆動力を駆動力伝達機構によりクランクアームに伝達し、クランクアームを本体ケーシングに対して回動させて、クランクアームに連結されたウイング扉を開閉させるように構成されている。ここで、駆動力伝達機構は、ネジ軸及びナットを有するボールネジを備えており、駆動力発生手段で発生した駆動力を、ボールネジのナットから、複雑な連結機構を介さずにクランクアームに伝達することができるため、駆動力伝達機構の構成を簡素化することが可能になる。また、駆動力発生手段で発生した駆動力は、一般的なネジ機構よりも伝達効率の高いボールネジを介してクランクアームに伝達されるため、ネジ軸の取り付け角度を小さくして、駆動力伝達機構の高さ、ひいては、ウイング扉開閉装置全体の高さを低くすることができる。さらに、ネジ軸を支持する軸受が、スラスト荷重とラジアル荷重の両方を受けることが可能なアンギュラ軸受であるため、軸受の数を極力少なくすることができる。従って、駆動力伝達機構の構成を簡単にしつつ、ウイング扉開閉装置を小型化することが可能になる。
第3の発明のウイング扉開閉装置は、前記第1又は第2の発明において、前記ウイング扉の自重により前記駆動モータが回転するのを規制するブレーキ手段を有することを特徴とするものである。ウイング扉の開放状態では、このウイング扉の自重によりネジ軸が回転し、ウイング扉が閉止方向に回動してしまう虞がある。しかし、この第3の発明のウイング扉開閉装置においては、ウイング扉の重量がネジ軸を介して駆動モータに逆に作用して回転するのが、ブレーキ手段により規制されるため、ウイング扉が閉止方向に回動することがない。
第4の発明のウイング扉開閉装置は、前記第1の発明において、前記連結部材の内部には、前記ネジ軸のうち前記ナットより先の部分が挿入されることを特徴とする。ネジ軸が連結部材の中に入るため、ウイング扉開閉装置を更に小型化することが可能になる。
本発明の実施の形態について説明する。この本実施形態は、トラックの荷台に装備されたウイング扉を開閉するウイング扉開閉装置に本発明を適用したものである。尚、以下の説明において、図1の上下左右の方向をそれぞれ上下左右として説明する。図1は、ウイング扉開閉装置が、図10に示すトラック101の荷台102に取り付けられた状態を示す概略図である。ウイング扉開閉装置1は、前後の門形枠103の中央上部に夫々2個ずつ中央梁104を挟んで取り付けられている。
図2は図1において右側に位置するウイング扉開閉装置1の断面図である。図1、図2に示すように、ウイング扉開閉装置1は、本体ケーシング2と、この本体ケーシング2に回動自在に枢支されたクランクアーム3と、クランクアーム3を回動させる為の駆動力を発生させる駆動モータ4(駆動力発生手段)と、この駆動モータ4で発生した駆動力をクランクアーム3に伝達する駆動力伝達機構5と、ウイング扉開閉装置1の制御を司る制御装置6(図6参照)とを備えている。
本体ケーシング2は、長手方向が左右方向となる細長い平板状に形成され、図1に示すように、この本体ケーシング2は、門形枠103の上部にボルトで固定されている。本体ケーシング2の幅方向両端部には、上方へ延びる側壁部2aが夫々形成され、これら側壁部2aの左右両端部には、側壁部2aよりもさらに上方へ延びて、クランクアーム3と駆動モータ4を収容する後述のケース部材20を夫々支持する支持部2b,2cが形成されている。
クランクアーム3の先端部(一端部)には、合成樹脂製のローラ10が回転自在に設けられ、さらに、前方(図1、図2の手前側)へ突出する係合部11も設けられている。そして、この係合部11が、ウイング扉105の天板部105bの内側に側壁部105a寄りに取り付けられたガイド部材12の長孔12aに摺動自在に係合して、クランクアーム3の先端部がウイング扉105の天板部105bに連結されている。
クランクアーム3は、その基端部(他端部)において、本体ケーシング2の図2における左側の支持部2bに連結軸13(回動軸)を介して回動自在に枢支されている。そして、クランクアーム3は、後述の駆動力伝達機構5により伝達された駆動力により図2の矢印aで示す方向に回動可能に構成されている。このとき、係合部11がガイド部材12の長孔12aにガイドされて、ローラ10が天板部105bの内面にころがり接触してウイング扉105の荷重を受け止めた状態で、ウイング扉105が上下に回動する。
また、連結軸13には円筒形状のスリーブ14が相対回転不能に外嵌されており、このスリーブ14は連結軸13と一体的に回転する。さらに、スリーブ14には、その径方向外側に突出する突出片14aが設けられている。一方、本体ケーシング2には、取付板15を介して2つのリミットスイッチ16,17が設けられている。一方のリミットスイッチ16は、クランクアーム3が図2の実線で示す下限の回動限界位置にあるとき(ウイング扉105が完全閉止状態にあるとき)に、その検出部16aが突出片14aに接触する位置に設けられている。また、他方のリミットスイッチ17は、クランクアーム3が図2の2点鎖線で示す上限の回動限界位置にあるとき(ウイング扉が完全開放状態にあるとき)に、その検出部17aが突出片14aに接触する位置に設けられている。従って、これら2つのリミットスイッチ16,17により、クランクアーム3が上限又は下限の回動限界位置に到達した状態が夫々検出され、その検出信号は後述の制御装置6に送られる。尚、これら2つのリミットスイッチ16,17が、本願発明の限界位置検出手段に相当する。
図2〜図4に示すように、本体ケーシング2の図2における右側の支持部2cには、ケース部材20が枢支軸21を介して枢支されている。このケース部材20の右上部分の内部にはモータ収容部20aが形成され、このモータ収容部20aに駆動モータ4が収容されている。また、モータ収容部20aと駆動モータ4との間には、弾力性を有するゴム等からなる制振部材22が介装されている。
図2〜図5に示すように、駆動力伝達機構5は、ウォーム31とウォームホイール32からなるウォームギヤ33と、ボールネジ34等を備えている。ウォームギヤ33はケース部材20のモータ収容部20aよりも左側部分の内部に収容されている。ウォーム31は、その回転軸35が前後方向に延びるように配設されており、図4、図5に示すように、回転軸35は2つの軸受36,37により回転自在に支持されている。また、図2に示すように、ウォームホイール32は、ウォーム31の下側においてその中心軸が水平面から角度θだけ傾斜するように配設されて、ウォーム31に噛合している。さらに、駆動モータ4の出力軸4aとウォーム31の回転軸35とは、プーリ39、ベルト46、及び、プーリ39よりも大径のプーリ38を介して連結されている。従って、駆動モータ4の駆動力は、プーリ39、ベルト46及びプーリ38を介してウォーム31に伝達され、さらに、このウォーム31からウォームホイール32に駆動力が伝達される。そして、駆動モータ4の駆動力は、駆動モータ4からウォームホイール32に伝達されるまでに、プーリ38,39及びウォームギヤ33により増幅されることになる。尚、駆動モータ4の出力軸4aとウォームの回転軸35は、ベルト46を用いずにギヤのみで連結することも可能であるが、前述のように出力軸4aと回転軸35とがベルト46を介して連結されている場合には、駆動力伝達機構5で発生する騒音がより抑制される。
図2に示すように、ボールネジ34は、ネジ軸40と、このネジ軸40に外嵌螺合するナット41を有する。ネジ軸40の長さ方向中央部の外周面には螺旋状のボール溝40aが形成されている。また、このネジ軸40の基端部(図2の右端部)はウォームホイール32に相対回転不能に内嵌されている。そして、このネジ軸40は、水平面から角度θだけ傾斜した状態で、ケース部材20内においてウォームホイール32の両側に夫々設けられた軸受42,43により回転自在に支持されている。従って、駆動モータ4の駆動力がウォームホイール32に伝達されてウォームホイール32が回転するときに、ネジ軸40もウォームホイール32と一体的に回転することになる。
ここで、ウォームホイール32の左側に位置する軸受42は、内輪及び外輪とこれら内輪及び外輪の間に介在する玉とがネジ軸40と直交する方向に対してある角度を成して接触している、2つのアンギュラ玉軸受42a,42bが組み合わされて構成されている(いわゆる、複列アンギュラ玉軸受)。つまり、この軸受42は、ネジ軸40に作用する両方向のスラスト荷重(軸方向荷重)とラジアル荷重(軸と直交する方向の荷重)の両方を受けることができるものである。
ナット41の内部にもネジ軸40のボール溝40aに対応する螺旋状のボール溝(図示省略)が形成されており、ネジ軸40とナット41との間には多数のボール(図示省略)が介在している。このナット41の左端にはネジ軸40の軸線方向に沿って左方へ延びる筒状の連結部材44が設けられている。そして、連結部材44の先端部(図2における左端部)はクランクアーム3に回動自在に枢支されており、連結部材44を介してナット41はクランクアーム3に連結されている。また、ネジ軸40の先端部にはフランジ部45aを有するスリーブ45が固定されている。そして、連結部材44の内部には、ネジ軸40のうち、ナット41よりも左側の部分が挿入され、スリーブ45がフランジ部45aにおいて連結部材44に対して摺動自在に内嵌されている。
そして、ウォームホイール32に伝達された駆動力により、ネジ軸40が回転駆動されると、このネジ軸40に外嵌螺合するナット41がネジ軸40に対して相対移動する。すると、図2に実線と2点鎖線で夫々示すように、ナット41がネジ軸40に対して相対的に移動し、連結部材44もナット41とともにネジ軸40に沿って移動するため、ナット41及び連結部材44を介して駆動力がクランクアーム3に伝達され、クランクアーム3が図2の矢印方向に回動する。
ここで、ボールネジ34においては、ネジ軸40とナット41との間で多数のボールが転動しながらナット41がネジ軸40に対して相対移動するため、角形あるいは台形等の一般的なネジ山形状を有するネジ軸とナットの組み合わせと比較して、ネジ軸40からナット41に駆動力が伝達されるときの損失が小さく、クランクアーム3に効率よく駆動力を伝達することができる。そのため、図2に示すネジ軸40の取り付け角度θ(水平面に対するネジ軸40の傾斜角度)を小さくすることができる。
次に、制御装置6について図6のブロック図を参照して説明する。図6に示すように、制御装置6は、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、ウイング扉開閉装置1の全体動作を制御する為の各種プログラムやデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)と、CPUで処理されるデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等により構成されている。
この制御装置6は、駆動モータ4を制御するモータ制御部50を備えている。このモータ制御部50には、ウイング扉105の開閉指令や開閉速度等の設定値等が入力される操作部51や前述の2つのリミットスイッチ16,17などから種々の信号が入力される。そして、モータ制御部50は、入力された種々の信号に基づいて駆動モータ4を制御してウイング扉105の開閉動作を行わせる。
ここで、この本実施形態のウイング扉開閉装置1においては、モータ制御部50により、クランクアーム3が上限又は下限の回動限界位置に到達したときに駆動モータ4を停止させる、駆動モータ停止処理が実行される。この駆動モータ停止処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。但し、図7において、Si(i=10〜12)は各ステップを示す。
この駆動モータ停止処理は駆動モータ4が起動している状態において実行される。図7に示すように、操作部51から停止指令が入力されていない場合に(S10:No)、2つのリミットスイッチ16,17の何れか一方によりクランクアーム3が回動限界位置に到達したことが検出されたときには(S11:Yes)、モータ制御部50は駆動モータ4を停止させる(S12)。従って、クランクアーム3が回動限界位置に到達したときに電流制限により駆動モータ4を停止させるように構成された、従来のウイング扉開閉装置と比較して、ウイング扉105の開閉時に駆動モータ4に不必要且つ過大な電流が流れてしまうのを防止できるため、駆動モータ4にかかる負担が小さくなるし、さらに、駆動モータ4の駆動効率が向上する。尚、このモータ制御部50が本発明の停止手段に相当する。
次に、ウイング扉開閉装置1の作用について説明する。
図2の実線で示すように、クランクアーム3が下限の回動限界位置にあり、ウイング扉105が完全に閉じている状態から、操作部51(図6参照)によりウイング扉105を開放させる指令が入力されると、モータ制御部50からの指令により駆動モータ4が起動する。同時に、モータ制御部50により図7の駆動モータ停止処理が開始される。そして、図3〜図5に示すように、駆動モータ4の駆動力は、ベルト46及びプーリ38を介してウォームギヤ33へ伝達され、さらに、ウォームホイール32からボールネジ34のネジ軸40に伝達されてネジ軸40が回転駆動される。すると、ネジ軸40に外嵌螺合するナット41がネジ軸40に対して相対移動して、ナット41に連結された連結部材44によりクランクアーム3が押し上げられてクランクアーム3が回動し、ウイング扉105が開き始める。
このとき、クランクアーム3の回動軸である連結軸13に外嵌するスリーブ14に設けられた突出片14aもクランクアーム3とともに回動する。そして、図2の2点鎖線で示すように、突出片14aがリミットスイッチ17の検出部17aに接触したときには、リミットスイッチ17によりクランクアーム3が上限の回動限界位置に到達したことが検出され、リミットスイッチ17から検出信号がモータ制御部50に送信される。このとき、駆動モータ停止処理において、モータ制御部50からの指令により駆動モータ4が停止して(図7のS12)、クランクアーム3の回動動作が完了し、ウイング扉105が完全に開放した状態となる。
尚、このウイング扉105の開放状態では、ウイング扉105の自重によりナット41に押し下げる方向の力が作用して、クランクアーム3が回動してしまう虞がある。しかし、本実施形態では、ネジ軸41はウォーム31とウォームホイール32からなるウォームギヤ33に連結されており、このウォームギヤ33により、ウイング扉105の自重が作用したときのネジ軸41の回転が防止されるため、ウイング扉105が閉止する方向にクランクアーム3が回動してしまうことがない。
一方、操作部51からウイング扉105を閉止させる指令が入力されたときには、モータ制御部50からの指令により、駆動モータ4は、前述のウイング扉105を開放させる場合とは逆の方向に回転する。そして、この駆動モータ4の駆動力が、ウォームギヤ33及びボールネジ34に伝達されて、連結部材44によりクランクアーム3が引き下げられてクランクアーム3が回動し、ウイング扉105が閉じ始める。その後、突出片14aがリミットスイッチ16の検出部16aに接触し、リミットスイッチ16によりクランクアーム3が下限の回動限界位置に到達したことが検出されると、モータ制御部50からの指令により駆動モータ4が停止して、クランクアーム3の回動動作が完了し、ウイング扉105が完全に閉止した状態となる。
以上説明したウイング扉開閉装置1によれば、次のような効果が得られる。
ボールネジ34のナット41から、ラック及びピニオン、あるいは、リンク機構等の複雑な連結機構(前述の特許文献1参照)を介さずに直接クランクアーム3に駆動力が伝達されるため、駆動力伝達機構5を簡素化することが可能になる。さらに、駆動モータ4の駆動力が、伝達効率の高いボールネジ34を介してクランクアーム3に伝達されるため、ネジ軸40の取り付け角度θを小さくして駆動力伝達機構5の高さを極力低くすることができる。さらに、ネジ軸40を支持する軸受の1つ(軸受42)が、スラスト荷重とラジアル荷重の両方を受けることが可能なアンギュラ軸受であるため、軸受の数を極力少なくすることができる。従って、駆動力伝達機構5の構成を簡単にしつつ、ウイング扉開閉装置1を小型化することが可能になる。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]前記実施形態のウイング扉開閉装置1では、ボールネジ34のナット41が連結部材44を介してクランクアーム3に連結され、パイプ状の連結部材44の内部にはネジ軸40のうちナット41より左側の部分が挿入され更に小型化されているが、連結部材44の外側にネジ軸40が配設されてもよく、更にナット41とクランクアーム3とが直接連結されていてもよい。
2]クランクアームが省略されて、駆動モータの駆動力が駆動力伝達機構から直接ウイング扉に伝達されるように、ウイング扉開閉装置が構成されていてもよい。例えば、図8に示すように、ウイング扉開閉装置1Aにおいては、ケース部材20がブラケット47を介して門形枠103の上部に回動自在に取り付けられており、このケース部材20内には駆動モータ4が収容されている。そして、この駆動モータ4の駆動力は、駆動力伝達機構5によりウイング扉105に伝達される。
駆動力伝達機構5は、ケース部材20内に収容されたウォームギヤ33と、ウォームギヤ33のウォームホイール32に内嵌されたネジ軸40、及び、このネジ軸40に外嵌螺合するナット41とを有するボールネジ34を備えている。ナット41の端部にはネジ軸40の軸線方向に沿って延びる筒状の連結部材44が設けられ、この連結部材44の先端部は、ブラケット48を介してウイング扉105の裏側部分に固定されている。また、ネジ軸40の基端部を支持する軸受42は、2つのアンギュラ玉軸受が組み合わされた、いわゆる、複列アンギュラ玉軸受である。従って、この軸受42により、ネジ軸40に作用するスラスト荷重とラジアル荷重の両方を受けることができるようになっている。
ウイング扉105が完全に閉止している状態で駆動モータ4が起動すると、駆動モータ4の駆動力はウォームギヤ33からネジ軸40に伝達され、ネジ軸40が回転駆動される。このとき、ネジ軸40に外嵌螺合するナット41がネジ軸40に対して相対移動し、ナット41に連結された連結部材44によりウイング扉105が押し上げられる。また、押し上げられたウイング扉105に連動して、連結部材44、ボールネジ34、及び、ケース部材20が一体的に回動する。つまり、連結部材44、ボールネジ34、及び、ケース部材20が一体的に回動しつつ、ナット41及び連結部材44がネジ軸40に沿って進出移動してウイング扉105が押し上げられ、最終的に、図8の2点鎖線で示すように、ウイング扉105が90度上方へ回動した完全開放状態となる。
この図8のウイング扉開閉装置1Aにおいては、駆動モータ4の駆動力が、伝達効率の高いボールネジ34を介してウイング扉105に伝達されるため、ネジ軸40の取り付け角度を小さくして駆動力伝達機構5の高さを極力低くすることができる。さらに、ネジ軸40を支持する軸受の1つ(軸受42)が、スラスト荷重とラジアル荷重の両方を受けることが可能なアンギュラ軸受であるため、軸受の数を極力少なくすることができる。従って、駆動力伝達機構5の構成を簡単にしつつ、ウイング扉開閉装置1Aを小型化することが可能になる。
3]前記実施形態のウイング扉開閉装置1では、駆動モータ4の駆動力がウォームギヤ33を介してネジ軸40に伝達されるようになっているが、ウォームギヤ33は伝達効率が低いため、このウォームギヤ33を省略して複数のギヤの組み合わせでネジ軸40に駆動力を伝達する構成にしてもよい。その一例を、図9を参照して以下説明する。
図9に示すように、ウイング扉開閉装置のケース部材20Bの右上部分には、駆動モータ4Bが収容されている。そして、この、駆動モータ4Bの駆動力は、駆動力伝達機構5Bにより、図示外のクランクアームに伝達される。
駆動力伝達機構5Bは、8つのギヤ52〜59と、ネジ軸40及びナット41を有するボールネジ34を含んでいる。駆動モータ4Bの出力軸には第1ギヤ52が固定されており、この第1ギヤ52は第2ギヤ53と噛合している。また、第2ギヤ53と第3ギヤ54は一体的に連結されており、第3ギヤ54は第4ギヤ55と噛合している。さらに、第4ギヤ55と第5ギヤ56も一体的に連結されており、第5ギヤ56は第6ギヤ57と噛合している。さらに、第6ギヤ57と第7ギヤ58も一体的に連結されており、第7ギヤ58は第8ギヤ59と噛合している。そして、第8ギヤ59は、ネジ軸40の基端部に一体的に連結されている。つまり、駆動モータ4Bの駆動力は、第1ギヤ52から順に第8ギヤ59へ伝達され、さらに、第8ギヤ59からネジ軸40に伝達されて、ネジ軸40が回転駆動されることになる。
尚、ネジ軸40の基端部を支持する軸受42Bは、前記実施形態の軸受42と同様に、2つのアンギュラ玉軸受が組み合わされた、いわゆる、複列アンギュラ玉軸受となっている。そのため、この軸受42Bにより、スラスト荷重とラジアル荷重の両方を受けることができ、ネジ軸40を支持する軸受の数を少なくすることが可能になる。
このように、駆動力伝達機構5Bは、8つのギヤ52〜59により駆動モータ4Bの駆動力をネジ軸40に伝達するため、前記実施形態のようにウォームギヤを用いる場合に比べて、伝達効率が高くなる。但し、ウォームギヤを用いないことから、ウイング扉105の開放状態では、ウイング扉105の自重によりナット41に押し下げる方向の力が作用してネジ軸40が回転し、ウイング扉105が閉止方向に回動してしまう虞がある。そこで、この変更形態では、駆動モータ4Bに電磁ブレーキ60(ブレーキ手段)が設けられている。この電磁ブレーキ60は、ウイング扉105の自重が駆動モータ4Bの2次側(第1ギヤ52側)に作用したときに、その力により駆動モータ4Bが回転するのを規制するものである。つまり、この電磁ブレーキ60により、ウイング扉105の自重でネジ軸40が回転してしまうのが防止されるため、ウイング扉105が閉止方向に回動することがない。
4]ウイング扉105(クランクアーム3)が回動限界位置に到達したことを検出する限界位置検出手段としては、前記実施形態のリミットスイッチ16,17の他、近接センサや、発光素子及び受光素子を有する光学式センサ、あるいは、ロータリーエンコーダ等の角度検出センサなど、種々の構成のものを採用できる。また、このようなセンサ類は、門形枠103又はこの門形枠103に固定された本体ケーシング2に取り付けられている必要は必ずしもない。例えば、これらセンサ類がクランクアーム3に取り付けられており、逆に、突出片14aのような被検出体が本体ケーシング2に取り付けられている場合でも、前記実施形態と同様の作用・効果が得られる。
5]尚、ウイング扉105(クランクアーム3)を手動で操作するために、図3のウォーム31の回転軸35をケース部材20の外に突出させ(図4参照)、その突出端に工具が掛けられるようにすることもできる。これにより、ウイング扉105を手動で操作することができる。工具を掛けて回転させる部分としては回転軸35に限らず、駆動系のその他の軸の端を工具にて回転可能に構成すればよい。
本発明の実施形態に係るウイング扉開閉装置を備えた荷台上部の部分拡大図である。 ウイング扉開閉装置の内部構成を示す断面図である。 図2のケース部材周辺部の拡大図である。 図3のIV-IV線断面図である。 図3のV-V線断面図である。 ウイング扉開閉装置の電気的構成を示すブロック図である。 駆動モータ停止処理のフローチャートである。 変更形態のウイング扉開閉装置の内部構成を示す断面図である。 別の変更形態のウイング扉開閉装置の一部拡大断面図である。 ウイング扉を備えたトラックの斜視図である。
符号の説明
1,1A ウイング扉開閉装置
2 本体ケーシング
3 クランクアーム
4,4B 駆動モータ
5,5B 駆動力伝達機構
6 制御装置
13 連結軸
34 ボールネジ
40 ネジ軸
41 ナット
42,42B 軸受
44 連結部材
60 電磁ブレーキ
105 ウイング扉

Claims (4)

  1. 荷台に対して上下に回動可能に設けられたウイング扉を開閉する装置であって、
    前記ウイング扉を開閉させる為の駆動力を発生させる駆動力発生手段と、
    この駆動力発生手段で発生した駆動力を前記ウイング扉に伝達する駆動力伝達機構とを備え、
    前記駆動力伝達機構は、
    前記駆動力発生手段に連結されたネジ軸、及び、前記ネジ軸に外嵌螺合するナットを有するボールネジと、
    前記ウイング扉に連結されると共に前記ナットに連結する連結部材と、
    前記ネジ軸に作用するスラスト方向の荷重とラジアル方向の荷重の両方を受けるアンギュラ軸受と、
    を有することを特徴とするウイング扉開閉装置。
  2. 荷台に対して上下に回動可能に設けられたウイング扉を開閉する装置であって、
    本体ケーシングと、
    その一端部が前記ウイング扉に連結され、且つ、その他端部において前記本体ケーシングに回動自在に枢支されたクランクアームと、
    前記クランクアームを回動させる為の駆動力を発生させる駆動力発生手段と、
    この駆動力発生手段で発生した駆動力を前記クランクアームに伝達する駆動力伝達機構とを備え、
    前記駆動力伝達機構は、
    前記駆動力発生手段に連結されたネジ軸、及び、前記クランクアームの回動軸よりも前記一端側部分に連結され且つ前記ネジ軸に外嵌螺合するナットを有するボールネジと、
    前記ネジ軸に作用するスラスト方向の荷重とラジアル方向の荷重の両方を受けるアンギュラ軸受と、
    を有することを特徴とするウイング扉開閉装置。
  3. 前記ウイング扉の自重により前記駆動モータが回転するのを規制するブレーキ手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のウイング扉開閉装置。
  4. 前記連結部材の内部には、前記ネジ軸のうち前記ナットより先の部分が挿入される請求項1に記載のウイング扉開閉装置。
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