JP2006336049A - 耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄およびその製造方法 - Google Patents

耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高硬度でも、繰り返し引張応力の発生する様な使用環境下でも、疲労亀裂進展による脆性破壊を防止できる、耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 特定の高Cr鋳鉄組成を有し、マルテンサイトのサイズが微細化されているとともに、残留オーステナイトを一定量含有させた組織を有し、このような組織を、特定の鋳造時の凝固冷却速度、焼入保持温度、焼入保持時間、焼入冷却速度によって得て、硬度が800Hv以上と高く、靱性もシャルピー衝撃値で2.0J/cm2 以上と高く、疲労亀裂進展が起こらない下限界応力拡大係数範囲ΔKth が10以上で耐疲労割れ性が優れる高Cr鋳鉄とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐摩耗ライナーや、コーンクラッシャ、ジョークラッシャなどの岩石の粉砕機、あるいは鋼材の搬送ローラーなどの耐摩耗部材に用いて好適な、耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄およびその製造方法に関するものである。
従来、破砕機などに用いられる耐摩耗部材には、耐摩耗性を有する高Cr鋳鉄が多用されてきた。近年ではこの破砕機の処理能力の向上が求められ、破砕機の大型化、破砕圧力の高圧化が進められている。このため、このような使用条件の過酷化に対応できる、耐摩耗性と靱性とがより優れた高Cr鋳鉄が強く要望されている。
従来から、高Cr鋳鉄の耐摩耗性向上のためには、種々の技術が提案されてきた。例えば、高Cr鋳鉄にTiやVを添加することによって、高Cr鋳鉄で主に析出するM7 3 型炭化物以外に高硬度のMC型炭化物(TiCやVC等)を分散させ、これによって、900〜940Hvレベルまで、耐摩耗性を向上させることが提案されている(特許文献1、2参照)。また、同様の趣旨で、NbとVを複合添加することも提案されている(特許文献3参照)。更に、高Cr鋳鉄の全体硬さに大きな影響を及ぼす炭化物量と基地中の合金元素固溶量を3次元的に規定して、800〜940Hvレベルまで、硬度を高めることも提案されている(特許文献4参照)。
更に、圧延用ロールや切削工具などの用途ではあるが、鋳鉄の凝固時に形成される炭化物の形態に着目し、Vを3〜10%添加した上で、基地組織と、形成された一次炭化物であるMC型炭化物やM7 3 型炭化物との界面に、平均粒径が3μm以下の微細なM6 C型炭化物を形成させ、高硬度を得る技術も提案されている(特許文献5参照)。また、圧延用ロールの用途で、M7 3 型炭化物の他に、M236 型炭化物を分散させて、靱性を向上させる技術も提案されている(特許文献6参照)。
これら提案されている高Cr鋳鉄は、そのほとんどが、硬さを最大限向上させて、高硬度化により耐摩耗性を良くする方向であり、鋳鉄自体の靱性を向上させたものではなかった。
一方、耐摩耗部材は、圧縮または引張応力が働くような条件で使用されるケースが多く、使用中に疲労により割れが進展して破壊してしまうという問題がある。この問題に対して、上記従来の、高硬度化により耐摩耗性を向上させる技術では、このような疲労割れの防止には不十分であった。
このような繰り返し引張応力の発生する様な使用環境下でも、疲労亀裂進展による脆性破壊を防止するという観点からの技術も、従来から提案されてはいる。この技術は、Cr、C、MnおよびMoを特定の関係を満足する様に含有させ、かつ、部材内部と外部のマルテンサイト変態温度を制御し、通常焼入れした部材表面に発生する引張残留応力を低減して、鋳造欠陥からの疲労亀裂の進展を抑制するものである(特許文献7参照)。
特開平2−115343号公報(特許請求の範囲) 特公平4−56102号公報(特許請求の範囲) 特公昭60- 51548号公報(特許請求の範囲) 特開2001−247929号公報(特許請求の範囲) 特開2001−316754号公報(特許請求の範囲) 特開昭63−121635号公報(特許請求の範囲) 特開平11−229071号公報(特許請求の範囲)
しかし、前記特許文献7であっても、繰り返し引張応力の発生する様な使用環境下でも、疲労亀裂進展による脆性破壊を防止するには、不十分であった。これは、破砕機のより大型化、破砕圧力のより高圧化が進み、より高硬度化が求められるとともに、疲労亀裂進展による脆性破壊条件が厳しくなっていることにもよる。例えば、前記特許文献7の高Cr鋳鉄の硬度は730〜820Hvレベルであるのに対し、要求される高硬度化は、800〜900超Hvレベルとなっている。したがって、このような高硬度でも、靱性や耐疲労割れ性が優れた高Cr鋳鉄が求められている。
本発明は、かかる問題に鑑みなされたもので、高硬度でも、繰り返し引張応力の発生する様な使用環境下でも、疲労亀裂進展による脆性破壊を防止できる、耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄およびその製造方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明の耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄の要旨は、質量%で、C:2.5〜3.5%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、Cr:13〜22%、Mo:1.0〜3.0%、N:0.01〜0.15%、を各々含有し、かつ、これらの含有量が、[Cr]/[C]=4.5〜6.5、[Mn]×[Mo]=1.8〜2.5の関係を各々満たし、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有し、100倍の光学顕微鏡での鋳鉄組織観察におけるマルテンサイトのサイズが、炭化物に囲まれたマルテンサイトの1個当たりの平均面積として6000μm2 以下であり、マルテンサイトと残留オーステナイトおよび炭化物における、X線回折ピーク強度比による、残留オーステナイトの平均体積分率が5〜40%である組織を有することである。
また、前記目的を達成するために、本発明の耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄の製造方法の要旨は、質量%で、C:2.5〜3.5%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、Cr:13〜22%、Mo:1.0〜3.0%、N:0.01〜0.15%、を各々含有し、かつ、これらの含有量が、[Cr]/[C]=4.5〜6.5、[Mn]×[Mo]=1.8〜2.5の関係を各々満たし、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成の鋳鉄を、冷却速度が5℃/s以上で鋳造し、次いで、900〜1050℃の範囲で3時間以上保持する加熱保持後に、冷却速度が0.05〜5℃/sの範囲で焼入れ処理し、100倍の光学顕微鏡での鋳鉄組織観察におけるマルテンサイトのサイズが、炭化物に囲まれたマルテンサイト1個当たりの平均面積として6000μm2 以下であり、マルテンサイトと残留オーステナイトおよび炭化物における、X線回折ピーク強度比による、残留オーステナイトの平均体積分率が5〜40%である組織を得ることである。
通常、高Cr鋳鉄組織は、マルテンサイト、残留オーステナイト、炭化物より構成される。本発明は、この高Cr鋳鉄組織における、マルテンサイト領域の平均間隔の微細化および残留オーステナイトの活用により、高硬度で耐摩耗性にすぐれ、かつ耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄を提供する。
疲労割れ(疲労亀裂)は、鋳造材に不可避な介在物や引け巣などの凝固欠陥から発生、進展し、一定以上の亀裂長さになると、耐摩耗部材を脆性破壊に至らしめる。この疲労亀裂の抑制のためには、亀裂先端の応力集中を緩和して、亀裂進展を抑制することにより、亀裂進展速度を遅くすることが必要である。
このため、先ず、本発明では、高Cr鋳鉄組織におけるマルテンサイトの微細化により、1回の応力振幅あたりの亀裂進展長さを小さくする。マルテンサイトの微細化は、亀裂進展速度を遅くする効果が大きい。疲労亀裂は、高Cr鋳鉄組織における、炭化物内、あるいは炭化物とマルテンサイトの界面に沿って進展する。これに対して、マルテンサイトを微細化させれば、炭化物あるいは炭化物とマルテンサイト界面の平均長さが短くなる。このため、前記1回の応力振幅あたりの亀裂進展長さが小さくなり、亀裂進展速度を遅くすることができる。
本発明では、更に、高Cr鋳鉄組織内に残留オーステナイトを一定量存在させ、亀裂進展を抑制させる。先ず、残留オーステナイトは、硬さが低いため変形しやすい。このため、亀裂先端で残留オーステナイトが変形し、亀裂先端の曲率半径を大きくすることで、亀裂先端の応力集中を緩和し、亀裂進展を抑制する。次ぎに、残留オーステナイトは、応力誘起変態を起こしてマルテンサイトに変態する。このため、亀裂付近の残留オーステナイトが、応力によってマルテンサイトに変態した場合、体積膨張が起こり、亀裂先端を閉口して、亀裂の進展を抑制する効果がある。
これによって、本発明では、耐摩耗性高Cr鋳鉄を、800Hv以上の高硬度であっても、靱性をシャルピー衝撃値で2J/cm2 以上と高くでき、繰り返し引張応力の発生する様な使用環境下でも、疲労亀裂進展による脆性破壊を防止できる、耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄を提供できる。この結果、高Cr鋳鉄製の耐摩耗部材としての性能や高寿命を保障する。
(鋳鉄組成)
本発明の高Cr鋳鉄の化学成分組成(単位:質量%)について、各元素の限定理由を含めて、以下に説明する。
本発明の高Cr鋳鉄では、前記した通り、組織を、マルテンサイト、残留オーステナイト、炭化物より構成させた特定の組織とし、800Hv以上の高硬度、シャルピー衝撃値で2J/cm2 以上の高靱性、優れた耐疲労割れ性を得る。そして、このような組織と特性を得るために、本発明高Cr鋳鉄の化学成分組成は、質量%で、C:2.5〜3.5%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、Cr:13〜22%、Mo:1.0〜3.0%、N:0.01〜0.15%、を各々含有し、かつ、これらの含有量が、[Cr]/[C]=4.5〜6.5、[Mn]×[Mo]=1.8〜2.5の関係を各々満たし、残部がFe及び不可避的不純物からなるものとする。
C:2.5〜3.5%。
Cは、Ti、V、Zr、Nb、そして、Cr、Mo、あるいはFeと、高硬度の炭化物(MC型、M7 3 型、M236 型、M3 C型など) を形成するとともに、基地中に固溶し、鋳鉄の焼入れ処理(空冷処理)によって、オーステナイトから硬さの高いマルテンサイトへの変態を支配する (マルテンサイト組織を得る) ための元素であり、必要硬度確保のための重要な元素である。
一般にマルテンサイトの硬さは、固溶するC量が多いほど高くなることが知られており、C含有量が2.5%未満の場合は、基地中に固溶するC量が不足し、基地硬さが不足するだけでなく、晶出および析出する前記炭化物も少なくなるため、鋳鉄乃至耐摩耗部材としての硬さも不足し、必要な耐摩耗性が得られない。一方、C含有量が3.5%を超えると、生成する前記炭化物が粗大化して、鋳鉄乃至耐摩耗部材が脆弱となり、脆性破壊が生じてしまう。また、基地中に固溶するC量が多すぎるため、硬さの低いオーステナイトが多量に残留する結果、やはり硬さ不足を招来して、必要な耐摩耗性が得られない。従って、C量は2.5〜3.5%、好ましくは2.8〜3.3%の範囲とする。
Mn:0.6〜2.0%。
Mnは、高Cr鋳鉄の焼入れ性を改善し、特に基地中に固溶して、オーステナイトが硬さの低いベイナイトに変態するのを抑制する効果を有し、基地をマルテンサイト組織とするために必須である。Mn含有量が0.6%未満ではその効果が発揮されないため下限は0.6%とする。一方、Mnはオーステナイト安定化元素であり、過剰に含有すると基地中の残留オーステナイトが多量になり、硬さが低下するため、Mn含有量の上限は2.0%とする。従って、Mn含有量は0.6〜2.0%の範囲、好ましくは0.8〜1.4%の範囲とする。
Si:0.2〜1.0%。
Siは鋳造時の溶湯の流動性を確保し、また、溶解・精錬時の脱酸に有効な元素であり、こうした効果を発揮させるためには、0.2 %以上の含有量が必要である。一方、Siはフェライト生成元素であり、Si含有量が1.0%を超えると、フェライト変態を促進して、基地硬さの低下を招来するばかりか、靭性低下をもたらす。したがって、Si含有量は0.2〜1.0%の範囲、好ましくは0.3〜0.8%の範囲とする。
Cr:13〜22%。
Crは、Cと同様に、耐摩耗性の高い各種炭化物を形成するとともに、基地中に固溶して、オーステナイトが硬さの低いフェライトに変態するのを抑制する効果を果たす必須の元素である。従って、必要な硬さが得られるに十分な炭化物量を形成させるとともに、フェライト変態防止に有効な量のCrを基地中に固溶させる必要がある。Cr含有量が13%未満の場合は、基地中に固溶するCr量が不足して、基地のフェライト変態が生じ、基地硬さが低下するだけでなく、晶出および析出する炭化物も少なくなり、硬さ不足を招来し、必要な耐摩耗性が得られない。
一方、Cr含有量が22%を超えると、生成する炭化物が粗大化して、脆弱となり脆性破壊が生じてしまうとともに、基地中に固溶するC量が減少して基地の硬さが低下し、やはり硬さ不足を招来して必要な耐摩耗性が得られなくなる。従って、Cr含有量は13〜22%の範囲、好ましくは13〜16%の範囲とする。
[Cr]/[C]=4.5〜6.5
Cr含有量[Cr]とC含有量[C]との比、[Cr]/[C]が4.5未満になると、CrとC各々の上記含有量が範囲内であっても、マトリックスのC含有量が多くなり、且つCr含有量が少なくなり過ぎて、焼入性が悪くなり、パーライトまたはベーナイトが生成して硬さが低下する可能性が大きい。一方、[Cr]/[C]が6.5を超えると、CrとC各々の上記含有量が範囲内であっても、マトリックス中のC含有量が低くなって硬さが低下し、必要な耐摩耗性が得られない可能性が大きい。
Mo:1.0〜3.0%。
Moは、Crと同様に、耐摩耗性の高い各種炭化物を形成するとともに、基地中に固溶してオーステナイトが硬さの低いパーライトに変態するのを抑制する効果を有している必須元素である。従って、必要な硬さが得られるに十分な炭化物量を形成させるとともに、パーライト変態防止に有効な量を基地中に固溶させる必要がある。Mo含有量が1.0%未満の場合は、基地中に固溶するMo量が不足するため、基地中のパーライト変態が生じ基地硬さが低下するだけでなく、晶出および析出する炭化物も少なくなり、硬さ不足を招来し、必要な耐摩耗性が得られない。
一方、Mo含有量が3.0%を超えると、基地中に固溶するC量が減少して基地硬さが低下し、やはり硬さ不足を招来して必要な耐摩耗性が得られなくなる。従って、Mo量は1.0〜3.0%の範囲、好ましくは1.4〜2.3%の範囲とする。
[Mn]×[Mo]=1.8〜2.5
Mn含有量[Mn]とMo含有量[Mo]との積、[Mn]×[Mo]が2.5以下であれば、必要な焼入性は確保される。これに対して、各々の上記含有量が範囲内であっても、[Mn]×[Mo]が2.5を超えた場合には、残留オーステナイト過剰による硬さの低下を招く。一方、この[Mn]×[Mo]が1.8未満であると、各々の上記含有量が範囲内であっても、必要な焼入れ性が得られない。
N:0.01〜0.15%
Nは、鋳鉄中に含有されて、窒化物、炭窒化物を形成して、高硬度化に寄与する。この効果は0.01%以上の含有で発揮される。一方、N含有量が0.15%を越えると、鋳鉄の鋳造において、凝固時にブローホール欠陥が発生してしまう。
Ni:1.0%以下
Niは、必須のMoの一部置き換えとして、Moと併用する形で、含有されても良い。Niには、Moと同様に、耐摩耗性の高い各種炭化物を形成するとともに、基地中に固溶してオーステナイトが硬さの低いパーライトに変態するのを抑制する効果を有する。但し、Ni含有量が1.0%を超えた場合、残留オーステナイトの量が多過ぎるようになり、硬度が低下するので、Moと併用する場合でも、その含有量の上限を1.0%以下とする。
Ti、V、Zr、Nb。
Ti、V、Zr、Nbは、鋳鉄の凝固時に、球状の主としてMC型炭化物を優先的に形成させ、上記平板状あるいはフィルム状のM7 3 型炭化物の生成を抑制しつつ、炭化物の球状化を促進させる効果がある。MC型炭化物の硬度は、他の型の炭化物よりも硬度が高く、硬さ、耐摩耗性を向上させる。また、この炭化物の球状化によって、硬度レベルを低下させずに、靱性を向上させる効果もある。
これらの効果を発揮させる場合には、選択的に、これらTi、V、Zr、Nbの内から1種または2種以上を、合計で1.0%以上含有させる。これらの合計含有量が1.0%未満では、常法のように、鋳鉄の凝固時に、上記平板状あるいはフィルム状のM7 3 型炭化物が優先的に生成する可能性がある。
一方、Ti、V、Zr、Nbの合計の含有量が5.0%を超えた場合、炭化物量は増加するが、基地中に固溶するC量が減少して、硬さの低いベイナイトやフェライトが生成し、基地硬さが低下し、硬さ不足を招来して必要な耐摩耗性が得られなくなる。従って、選択的に含有させる場合の、Ti、V、Zr、Nbの合計の含有量は1.0〜5.0%の範囲とする。
(鋳鉄組織)
本発明の高Cr鋳鉄において、800Hv以上の高硬度、シャルピー衝撃値で2J/cm2 以上の高靱性、優れた耐疲労割れ性を得るためには、上記した高Cr鋳鉄の化学成分組成とともに、高Cr鋳鉄の組織も重要となる。
このため、本発明の高Cr鋳鉄では、組織を、マルテンサイト、残留オーステナイト、炭化物より構成させるとともに、マルテンサイトのサイズと、残留オーステナイトの平均体積分率とを規定する。
(マルテンサイトのサイズ)
図1に、本発明高Cr鋳鉄(後述する実施例表1の発明例9)の組織を、倍率100倍の光学顕微鏡で観察した図面代用写真を示す。この図1において、黒い粒子状部分が炭化物を多く含むマルテンサイト、黒い粒子状部分を囲む、あるいは隣接する白色の粒子状部分が炭化物、残りの灰色の部分が炭化物の少ないマルテンサイトである。なお、残留オーステナイトは、この光学顕微鏡では観察できない。
図1において、マルテンサイト領域とは、正確には、炭化物を多く含む黒い粒子状部分のマルテンサイト、炭化物の少ない灰色部分のマルテンサイト、白い炭化物、および残留オーステナイト(観察はできないが存在はしている)、が混在している領域となる。しかし、本発明では、後述する耐疲労割れ性向上機構との関係(理由)で、面積(サイズ)を規定するマルテンサイトは、上記炭化物を多く含む黒い粒子状部分のマルテンサイトのみとする。
これら各相は、光学顕微鏡による組織観察に先立つ、表面エッチング(条件は後述)によって、明度の差が生じて、互いに識別可能となる。即ち、炭化物を多く含むマルテンサイトはエッチングによって黒くなる。また、炭化物の少ないマルテンサイトはエッチングによって、より薄い灰色となる。
以上を前提に、本発明では、上記炭化物としての、白色の粒子状部分に囲まれた、あるいは隣接された、黒い粒子状部分のマルテンサイトのサイズを規定する。即ち、上記100倍の光学顕微鏡での鋳鉄組織観察における、上記炭化物(白色の粒子状部分)に囲まれたマルテンサイト(黒い粒子状部分)1個当たりの平均面積として、6000μm2 以下に微細化させる。
前記した通り、疲労亀裂は、高Cr鋳鉄組織における、炭化物(白色の粒子状部分)内、あるいは、この炭化物とマルテンサイト(黒い粒子状部分)の界面に沿って進展する。
これに対して、マルテンサイト(黒い粒子状部分)を微細化させれば、炭化物(白色の粒子状部分)あるいは、この炭化物とマルテンサイト(黒い粒子状部分)の界面の平均長さが短くなる。このため、前記1回の応力振幅あたりの亀裂進展長さが小さくなり、亀裂進展速度を遅くし、耐疲労割れ性を向上させることができる。即ち、マルテンサイトの微細化は、亀裂進展速度を遅くし、耐疲労割れ性を向上させる効果が大きい。
一方、前記炭化物の少ない灰色部分のマルテンサイトは、この耐疲労割れ性向上の機構に寄与しない。したがって、本発明では、前記炭化物の少ない灰色部分のマルテンサイトは、マルテンサイトのサイズ規定には含めない。
前記マルテンサイト(黒い粒子状部分)の1個当たりの平均面積が6000μm2 を超えた場合、炭化物(白色の粒子状部分)、あるいは、この炭化物とマルテンサイト(黒い粒子状部分)界面の平均長さが長くなる。このため、炭化物内、あるいは炭化物とマルテンサイトの界面に沿って進展する亀裂の長さを小さくできない。したがって、800Hv以上の高硬度な高Cr鋳鉄では、耐疲労割れ性が低下することとなる。
本発明では、800Hv以上の高硬度や靱性を阻害しない範囲で、マルテンサイト中に、硬さの低い、他のパーライト、フェライト、ベイナイトなどを含むことを許容する。マルテンサイト組織を得ようとする場合、鋳鉄の焼入れ処理条件によっては、パーライト、フェライト、ベイナイトなどが必然的に含まれる。但し、これらの相は、靱性は高いが、硬度が低いために、極力少なくする。
(マルテンサイトサイズの測定方法)
前記マルテンサイト(黒い粒子状部分)の1個当たりの平均面積の測定は、先ず、鋳鉄の任意の測定部位から採取した試料を研磨(機械研磨でも電解研磨でも可)後、下記常温の混合液に20〜60秒浸漬して、表面をエッチングし、水洗、乾燥する。その後、この試料について、前記倍率100倍の光学顕微鏡写真を10視野撮影し、各視野で20個づつ、前記炭化物(白色の粒子状部分)に囲まれたマルテンサイト(黒い粒子状部分)を無作為に選択する。この選択されたマルテンサイトの面積を画像解析によって求め、合計200個のマルテンサイトの面積の平均値(1個当たりの平均面積)をマルテンサイトのサイズとして求める。
上記混合液組成=塩酸(HCl)35〜37%水溶液:3重量%+ピクリン酸(2,4,6−トリニトロフェノール):3重量%+エタノール:残部(94重量%)
(残留オーステナイト)
本発明では、上記マルテンサイトのサイズ規定と同時に、残留オーステナイトの平均体積分率を5〜40%、好ましくは10〜35%と規定する。より具体的には、マルテンサイトと残留オーステナイトおよび炭化物との合計X線回折ピーク強度に対する、残留オーステナイトのX線回折ピーク強度から、残留オーステナイトのX線回折ピーク強度比を求め、これを残留オーステナイトの平均体積分率とする。
残留オーステナイトの平均体積分率が多くなるほど、高Cr鋳鉄組織内の残留オーステナイト存在により、亀裂進展を抑制できる。前記した通り、残留オーステナイトは、硬さが低いため変形しやすい。このため、亀裂先端で残留オーステナイトが変形し、亀裂先端の曲率半径を大きくすることで、亀裂先端の応力集中を緩和し、亀裂進展を抑制する。次ぎに、残留オーステナイトは、応力誘起変態を起こしてマルテンサイトに変態する。このため、亀裂付近の残留オーステナイトが、応力によってマルテンサイトに変態した場合、体積膨張が起こり、亀裂先端を閉口して、亀裂の進展を抑制する効果がある。このため、残留オーステナイトの平均体積分率の下限は、5%以上、好ましくは10%以上とする。
残留オーステナイトの平均体積分率が、これら下限量よりも小さい場合、亀裂進展を抑制する効果が不足し、上記マルテンサイトのサイズ規定などの他の要件を満足しても、800Hv以上の高硬度高Cr鋳鉄の耐疲労割れ性が劣ることとなる。
一方、残留オーステナイトはそれ自体の硬さは低い。このため、残留オーステナイトの平均体積分率が大き過ぎると、硬度が低下する。即ち、残留オーステナイトの平均体積分率の上限は、40%以下、好ましくは35%以下とする。
(残留オーステナイトの平均体積分率の測定方法)
X線解析による公知のRietvelt法により、高Cr鋳鉄組織の残留オーステナイト、マルテンサイト、炭化物の各X線回折ピークの強度を測定する。そして、これらのX線回折ピーク強度の合計に対する、残留オーステナイトのX線回折ピーク強度の構成比を算出し、残留オーステナイトの体積分率とする。測定試料は、鋳鉄の任意の部位から10個程度採取し、各々の残留オーステナイトの体積分率を求めて、平均化する。
(製造方法)
本発明高Cr鋳鉄自体は、常法を大きく変更せずに製造可能である。即ち、上記組成の鋳鉄を溶解、鋳造したのち、焼入れ処理し、マルテンサイトを主体とする組織とする。
但し、本発明の高Cr鋳鉄組織を、マルテンサイト、残留オーステナイト、炭化物より構成させるとともに、上記マルテンサイトの平均サイズと、残留オーステナイトの平均体積分率とするためには、以下のような好ましい製造条件をとることが好ましい。
(溶解温度)
溶解温度は、鋳型形状や鋳型材質等と合わせて、鋳造冷却速度を決定するために重要である。ただ、溶解温度が高過ぎると、凝固冷却速度が遅くなり、マルテンサイトの微細化が難しくなる。一方、溶解温度が低過ぎると、凝固冷却速度は速くなり、引け巣が発生しやすくなる。このため、溶解(鋳込み)温度は1450〜1600℃の範囲から選択することが好ましい。
(鋳造冷却速度)
鋳造の際の冷却速度は、5℃/s以上の速い冷却速度とする。マルテンサイトの微細化は、鋳造時の凝固冷却速度の制御により達成される。マルテンサイト領域は、凝固時の初晶オーステナイト領域であるため、凝固冷却速度を速くすることにより微細化できる。より具体的には、1400〜1200℃の温度領域において、5℃/s以上の速い冷却速度であれば良い。
(焼入れ処理)
上記残留オーステナイトの体積分率は、焼入れ処理の焼入れ温度と、保持時間、冷却速度で制御する。焼入れ時には、凝固時に炭化物として析出していたCおよび合金元素が再固溶し、焼入れ性を確保するとともにオーステナイトを安定化する。焼入れ温度と保持時間は、合金元素の再固溶量を適切にする条件に決める。焼入れ温度が低いあるいは保持時間が短いと、合金元素の再固溶量が少なくなるため焼入れ性が低下し、必要な硬さが得られない。また、残留オーステナイト量も少なくなる。一方、焼入れ温度が高すぎると、再固溶量が多くなりすぎるために、残留オーステナイトが多くなりすぎ、必要な硬さが得られない。
そこで、焼入れに際しての加熱保持は、900〜1050℃の温度範囲で、3時間以上とする。
また、焼入れの冷却速度は、速過ぎる(5℃/sを超える)と、残留オーステナイトが過多となって、必要な硬さが得られない。一方、遅すぎる(0.05℃/s未満)では、パーライトやベイナイト生成により、やはり必要硬さが得られない。また、残留オーステナイトも少なくなる。このため、上記加熱保持後に、冷却速度が0.05〜5℃/sの範囲で焼入れ処理を行なう。
この焼き入れ処理は、常法による冷却が適宜選択されるが、この冷却において、空冷あるいは強制冷却、場合によっては炉冷に代表される、水冷と比べて速度が遅い冷却方法を採用したとしても、本発明では、十分に高い硬さを得ることができ、従来材の急冷処理に伴う割れや歪みの発生を防止できる利点がある。
焼入れ処理後の鋳鉄は、必要により、焼き戻し処理や時効硬化処理などの熱処理を更に施された後で、適当な機械加工を施されて、耐摩耗部材とされる。この際の機械加工とは、自由鍛造、型鍛造などの常法による塑性変形を伴う加工や切削などの加工である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
以下に本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
製造条件を同じとし、成分組成、組織を種々変えた高Cr鋳鉄を得て、その硬度、靱性、耐疲労割れ性などを各々評価した。
即ち、下記表1に示す1〜22の各成分組成の高Cr鋳鉄を、高周波誘導溶解炉で1500℃で溶解した後、砂型に鋳込み(幅50mm×長さ300m×厚み150mm )、20kgの矩形インゴットを各々溶製した。この際、凝固冷却速度は23℃/sと一定にした。
上記各インゴットを955℃の焼入れ温度で×6時間再加熱、保持を行なった後に、焼入れ冷却速度を2.4℃/と一定にして、150〜250℃の温度範囲まで衝風冷却した。そして、この150〜250℃の温度範囲で2時間保持した後に放冷し、200℃×5時間の焼き戻し処理を行なった。
この熱処理後のインゴットから試験片を採取し、試験片の組織を調査し、マルテンサイトのサイズ(炭化物に囲まれたマルテンサイトの1個当たりの平均面積:μm2 )、マルテンサイトと残留オーステナイトおよび炭化物における、X線回折ピーク強度比による、残留オーステナイトの平均体積分率(%)を測定した。これらの結果も表1に示す。
(マルテンサイトのサイズ)
試験片を電解研磨後に、下記常温の混合液に40秒浸漬して、表面をエッチングし、水洗、乾燥した。その後、この試験片について、倍率100倍の光学顕微鏡写真を10視野撮影し、各視野で20個づつ、前記図1に示した炭化物(白色の粒子状部分)に囲まれたマルテンサイト(黒い粒子状部分)を無作為に選択した。この選択されたマルテンサイトの面積を画像解析によって求め、合計200個のマルテンサイトの面積の平均値(1個当たりの平均面積)をマルテンサイトのサイズとして求めた。
上記混合液組成=塩酸(HCl)35%水溶液:3重量%+ピクリン酸(2,4,6−トリニトロフェノール):3重量%+エタノール:残部(94重量%)
(残留オーステナイト量)
同様に研磨した試験片をX線回折解析にかけ、前記したRietvelt法により、残留オーステナイト量を測定した。即ち、マルテンサイトと残留オーステナイトおよび炭化物との合計X線回折ピーク強度に対する、残留オーステナイトのX線回折ピーク強度から、残留オーステナイトのX線回折ピーク強度比を求め、これを残留オーステナイトの平均体積分率とした。
前記採取試験片の硬度と靱性、耐疲労割れ性を測定した。これらの結果も表1に示す。
(硬度)
硬度は、JISZ2244に準じて、ビッカース硬度計を用い、押し込み荷重(試験力)30kg(294.2N)で、各試験片の表面硬度(Hv)を5点測定して、平均化したものを鋳鉄の硬度とした。そして、耐摩耗性は、この硬度が800Hv以上を、実際の耐摩耗性部材としての耐摩耗性が良好として○と評価した。
(靱性)
靱性は、シャルピー衝撃試験により、2mmのUノッチのJIS3号試験片を用いて、ハンマー荷重:294.2N(30kgf)、試験温度:室温にて行った。なお、シャルピー衝撃値(J)は吸収エネルギーを試験片断面積で除して求めた。そして、靱性は、シャルピー衝撃値が2.0J/cm2 以上を、実際の耐摩耗性部材としての靱性が良好として、○と評価した。
(耐疲労割れ性)
靱性を評価するシャルピー衝撃試験では、疲労割れ(亀裂、割れ、クラック)が一気に進む。これに対して、疲労割れは、1回の応力振幅あたりの亀裂進展長さ(亀裂進展速度)の大小であり、徐々に疲労割れが進む特徴を持つ。このため、靱性評価だけでは、本発明が課題とする耐疲労割れ性が評価できない。
したがって、本発明では、耐疲労割れ性の評価として、疲労亀裂進展特性、即ち、疲労亀裂進展が起こらない下限界応力拡大係数範囲ΔKth を求めて評価した。このΔKth の大きい方が抵抗が高く、1回の応力振幅あたりの亀裂進展長さ(亀裂進展速度)が小さくなって、耐疲労割れ性が優れる。本発明では、ΔKth が10以上で耐疲労割れ性が優れるとして、○と評価した。
上記ΔKth は、12.5mmの1CT 試験片で、ASTME−647に準拠して、電気油圧サーボ式±100kN疲労試験機を用い、次の条件で測定した。
試験環境:室温・大気中、制御方法:荷重制御、制御波形:正弦波、応力比:R=0.1、試験周波数:10〜20Hz
(耐摩耗材評価)
発明例、比較例から選択したものを、実際の耐摩耗材として使用し、耐摩耗性、耐疲労割れ性を評価した。前記高Cr鋳鉄(幅50mm×長さ300m×厚み150mm )の板を、製鉄原料を搬送する製鉄所のベルトコンベアで、1.5mの高さから落下する原料が衝突する部分のライナーとして設置し、6ヶ月での重量減少量で耐摩耗性を、割れ発生の有無で耐疲労割れ性の良否を判定した。判定基準は、重量減少1kg未満、割れなしで○と評価した。
表1から明らかな通り、発明例1〜11の鋳鉄は、本発明化学成分組成範囲内からなる。そして前記した好ましい製造条件範囲内で製造されている。このため、マルテンサイトのサイズが、炭化物に囲まれたマルテンサイトの1個当たりの平均面積として6000μm2 以下であり、残留オーステナイトの平均体積分率が5〜40%である本発明範囲内の組織を有する。
この結果、硬度が800Hv以上と高く、靱性もシャルピー衝撃値で2.0J/cm2 以上と高く、ΔKth が10以上で耐疲労割れ性が優れる。また、これらの結果は、実際の耐摩耗材評価における、耐摩耗性(重量減少量の少なさ)や耐疲労割れ性(割れ発生無)から裏付けられる。
これに対して、本発明化学成分組成範囲から外れる各比較例12〜22は、前記した好ましい製造条件範囲内で製造されているにもかかわらず、マルテンサイトのサイズか、残留オーステナイトの平均体積分率などの組織が、本発明範囲から外れる。
この結果、硬度が800Hv未満か、靱性がシャルピー衝撃値で2.0J/cm2 未満か、ΔKth が10未満となって、実際の耐摩耗材評価とともに、耐摩耗材特性のいずれかが、発明例に比して劣る。
比較例12はC量が下限を下回り、[Cr]/[C]が上限を上回る。この結果、残留γ量が下限未満となって、硬度、耐疲労割れ性が劣る。
比較例13はMn量、[Mn]×[Mo]が下限未満である。この結果、マルテンサイトのサイズも比較的大きくなり、硬度、耐疲労割れ性が劣る。
比較例14はCr量が下限を下回る。この結果、硬度、耐疲労割れ性が劣る。
比較例15はMo、[Mn]×[Mo]が下限未満である。この結果、高硬度であっても、靱性、耐疲労割れ性が劣る。
比較例16はC量が上限を超える。この結果、残留γ量が上限を超え、硬度、靱性が劣る。
比較例17はMn量が上限を超える。この結果、残留γ量が上限を超え、硬度、靱性が劣る。
比較例18はCr量、[Cr]/[C]が上限を超える。この結果、残留γ量が上限を超え、硬度が劣る。
比較例19はMo量が上限を超える。この結果、残留γ量が上限を超え、硬度が劣る。
比較例20はN量が上限を超える。この結果、ブローホールが発生した。
比較例21は[Cr]/[C]が下限未満である。この結果、残留γ量が上限を超え、硬度が劣る。
比較例22は[Mn]×[Mo]が上限を超える。この結果、残留γ量が上限を超え、硬度が劣る。
以上の結果から、本発明の組成と組織要件の臨界的な意義が分かる。
Figure 2006336049
Figure 2006336049
(実施例2)
成分組成は、実施例1の表1における発明例9の成分組成で同じとし、製造条件の方を種々変えた高Cr鋳鉄を得て、その組織、硬度、靱性、耐疲労割れ性などを各々評価した。
即ち、実施例1における製造条件において、凝固冷却速度、焼入れ保持温度、焼入れ保持時間、焼入れ冷却速度を、表3に示す通り、種々変えた。この他の製造条件は実施例1と同じとした。
この熱処理後のインゴットから試験片を採取し、実施例1と同様に、試験片の組織を調査し、マルテンサイトのサイズ、残留オーステナイトの平均体積分率を測定した。これらの結果も表3に示す。
また、実施例1と同様に、前記採取試験片の硬度と靱性、耐疲労割れ性を測定した。これらの結果も表3に示す。
表3から明らかな通り、発明例23〜31の高Cr鋳鉄は、前記した好ましい製造条件範囲内で製造されている。このため、マルテンサイトのサイズが、炭化物に囲まれたマルテンサイトの1個当たりの平均面積として6000μm2 以下であり、残留オーステナイトの平均体積分率が5〜40%である本発明範囲内の組織を有する。
この結果、硬度が800Hv以上と高く、靱性もシャルピー衝撃値で2.0J/cm2 以上と高く、ΔKth が10以上で耐疲労割れ性が優れる。また、これらの結果は、実際の耐摩耗材評価における、耐摩耗性(重量減少量の少なさ)や耐疲労割れ性(割れ発生無)から裏付けられる。
これに対して、本発明化学成分組成範囲内だが、前記した好ましい製造条件範囲から外れて製造されている各比較例32〜37は、マルテンサイトのサイズか、残留オーステナイトの平均体積分率などの組織が、本発明範囲から外れる。
この結果、硬度が800Hv未満か、靱性がシャルピー衝撃値で2.0J/cm2 未満か、ΔKth が10未満となって、実際の耐摩耗材評価とともに、耐摩耗材特性のいずれかが、発明例に比して劣る。
比較例32は。凝固冷却速度が、好ましい下限値5℃/sを下回っており、遅過ぎる。この結果、マルテンサイトのサイズも大きくなり過ぎ、靱性、耐疲労割れ性が劣る。凝固冷却速度が比較的低い(下限値に近い)発明例23の結果と合わせると、凝固冷却速度の好ましい下限値の意義が裏付けられる。
比較例33は、焼入れ保持温度が、好ましい下限値900℃を下回っており、低過ぎる。この結果、残留γ量が少な過ぎ、硬度が低い。焼入れ保持温度が比較的低い(下限値に近い)発明例27の結果と合わせると、焼入れ保持温度の好ましい下限値の意義が裏付けられる。
比較例34は、焼入れ保持温度が、好ましい上限値1050℃を上回っており、高過ぎる。この結果、残留γ量が多過ぎ、硬度が低い。焼入れ保持温度が比較的高い(上限値に近い)発明例28の結果と合わせると、焼入れ保持温度の好ましい上限値の意義が裏付けられる。
比較例35は、焼入れ保持時間が、好ましい下限値3時間を下回っており、短過ぎる。この結果、残留γ量が少な過ぎ、硬度が低く、耐疲労割れ性が劣る。焼入れ保持時間が比較的短い(下限値に近い)発明例29の結果と合わせると、焼入れ保持時間の好ましい上限値の意義が裏付けられる。
比較例36は、焼入れ冷却速度が、好ましい下限値0.05℃/sを下回っており、遅過ぎる。この結果、残留γ量が少な過ぎ、硬度が低い。焼入れ冷却速度が比較的遅い(下限値に近い)発明例30の結果と合わせると、焼入れ冷却速度の好ましい下限値の意義が裏付けられる。
比較例37は、焼入れ冷却速度が、好ましい上限値5℃/sを上回って、速過ぎる。この結果、残留γ量が多過ぎ、硬度が低い。焼入れ冷却速度が比較的速い(上限値に近い)発明例31の結果と合わせると、焼入れ冷却速度の好ましい上限値の意義が裏付けられる。
以上の結果から、本発明の組織とするための好ましい製造条件の意義が分かる。
Figure 2006336049
以上説明したように、本発明によれば、高硬度でも、繰り返し引張応力の発生する様な使用環境下でも、疲労亀裂進展による脆性破壊を防止できる、耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄およびその製造方法を提供することができる。このため、本発明は、耐摩耗ライナーや、コーンクラッシャ、ジョークラッシャなどの岩石の粉砕機、あるいは鋼材の搬送ローラーなどの耐摩耗部材に用いて好適である。
本発明高Cr鋳鉄の組織を示す、図面代用写真である。

Claims (8)

  1. 質量%で、C:2.5〜3.5%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、Cr:13〜22%、Mo:1.0〜3.0%、N:0.01〜0.15%、を各々含有し、かつ、これらの含有量が、[Cr]/[C]=4.5〜6.5、[Mn]×[Mo]=1.8〜2.5の関係を各々満たし、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有し、100倍の光学顕微鏡での鋳鉄組織観察におけるマルテンサイトのサイズが、炭化物に囲まれたマルテンサイトの1個当たりの平均面積として6000μm2 以下であり、マルテンサイトと残留オーステナイトおよび炭化物における、X線回折ピーク強度比による、残留オーステナイトの平均体積分率が5〜40%である組織を有することを特徴とする耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄。
  2. 前記高Cr鋳鉄が、更に、Niを1.0質量%以下含む請求項1に記載の耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄。
  3. 前記高Cr鋳鉄が、更に、Ti、V、Zr、Nbの内から選択される1種または2種以上を合計で1.0〜5.0質量%含有する請求項1または2に記載の耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄。
  4. 前記高Cr鋳鉄の硬度が800Hv以上、靱性がシャルピー衝撃値で2.0J/cm2 以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄。
  5. 質量%で、C:2.5〜3.5%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、Cr:13〜22%、Mo:1.0〜3.0%、N:0.01〜0.15%、を各々含有し、かつ、これらの含有量が、[Cr]/[C]=4.5〜6.5、[Mn]×[Mo]=1.8〜2.5の関係を各々満たし、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成の鋳鉄を、冷却速度が5℃/s以上で鋳造し、次いで、900〜1050℃の範囲で3時間以上保持する加熱保持後に、冷却速度が0.05〜5℃/sの範囲で焼入れ処理し、100倍の光学顕微鏡での鋳鉄組織観察におけるマルテンサイトのサイズが、炭化物に囲まれたマルテンサイトの1個当たりの平均面積として6000μm2 以下であり、マルテンサイトと残留オーステナイトおよび炭化物における、X線回折ピーク強度比による、残留オーステナイトの平均体積分率が5〜40%である組織を得ることを特徴とする耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄の製造方法。
  6. 前記高Cr鋳鉄が、更に、Niを1.0質量%以下含む請求項5に記載の耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄の製造方法。
  7. 前記高Cr鋳鉄が、更に、Ti、V、Zr、Nbの内から選択される1種または2種以上を合計で1.0〜5.0質量%含有する請求項5または6に記載の耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄の製造方法。
  8. 前記高Cr鋳鉄の硬度が800Hv以上、靱性がシャルピー衝撃値で2.0J/cm2 以上である請求項5乃至7のいずれか1項に記載の耐疲労割れ性に優れた高Cr鋳鉄の製造方法。
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