JP2006334477A - 植毛樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 樹脂成形の前に静電植毛を施し、その後に3次元形状に成形しても外観性及び触感性が低下しない植毛樹脂成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】 成形前の熱可塑性樹脂シート1の表面に凹凸模様を形成し、その凹凸模様の凸部3の頂面5だけに静電植毛を施すようにしたため、その後に3次元形状に成形しても、伸延部や収縮部等の変形が生じるのは、厚さの小さい凹部4だけである。従って、凸部3の頂面5における静電植毛のパイル10が目開きを起こしたり、或いは互いに斜め状態で向かい合った重なり状態になることはなく、外観性及び触感性が部分的に低下することはない。静電植毛は、成形前の熱可塑性樹脂シート1に対して行われるため、作業が容易である。
【選択図】 図5

Description

本発明は、植毛樹脂成形品の製造方法に関するものである。
自動車内装部品のように、3次元形状に成形された樹脂成形品の表面に静電植毛を設ける場合、成形の前の樹脂シートの段階で一様な静電植毛を施しても、その静電植毛付きの樹脂シートをその後に3次元形状に成形する際に、延伸部や収縮部が生じ、その部分において静電植毛のパイルが目開きや重なりを起こすため、外観性及び触感性の低下を招くことになる。そのため、従来は、予め3次元形状の樹脂成形品を成形し、その後に、樹脂成形品の表面に対して静電植毛を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平7−1626号公報
しかしながら、このような従来の技術にあっては、予め3次元形状にした樹脂成形品の表面に対して静電植毛を行うようにしていたため、静電植毛の作業が大変に困難であった。
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、樹脂成形の前に静電植毛を施し、その後に3次元形状に成形しても外観性及び触感性が低下しない植毛樹脂成形品の製造方法を提供するものである。
請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂シートの表面に、所定高さを有する独立ブロック状の凸部と、その周囲を囲む所定厚さの凹部にて構成された凹凸模様を付与し、凸部の頂面に接着剤を塗布し、塗布した接着剤に静電植毛を施し、凸部に静電植毛を施した熱可塑性樹脂シートを3次元形状に成形することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、接着剤の塗布をグラビアロールにより行うことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、凸部の頂面における輪郭周縁部に段差部を隆起形成したことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、凹部の厚みは、100μm以上で、且つ凸部と凹部を合わせた総厚みの80%以下であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、隣接する凸部間の凹部の幅が、500μm以上であることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、成形前の熱可塑性樹脂シートの表面に凹凸模様を形成し、その凹凸模様の凸部の頂面だけに静電植毛を施すようにしたため、その後に3次元形状に成形しても、延伸部や収縮部等の変形が生じるのは、厚さの小さい凹部だけである。従って、凸部の頂面における静電植毛のパイルが目開きを起こしたり、或いは互いに斜め状態で向かい合った重なり状態になることはなく、外観性及び触感性が部分的に低下することはない。静電植毛は、成形前の熱可塑性樹脂シートに対して行われるため、連続加工が可能で、作業が容易である。
請求項2記載の発明によれば、グラビアロールを回転させるだけで、凸部の頂面だけに接着剤を塗布することができ、接着剤の塗布作業が大変容易になる。
請求項3記載の発明によれば、凸部の頂面における輪郭周縁部に段差部を隆起形成したため、接着剤を凸部の頂面に所定の厚さで留めおくことができると共に、凹部側への漏れ出しを防止することができる。
請求項4記載の発明によれば、凹部の厚みが、100μm以上であるため、3次元形状に成形する際の凹部の破れを確実に防止でき、また凸部と凹部を合わせた総厚みの80%以下であるため、成形時において凹部だけを確実に変形させることができる。
請求項5記載の発明によれば、隣接する凸部間の凹部の幅が500μm以上であるため、成形時における凸部の変形をより確実に防止することができる。
本発明は、樹脂成形の前に静電植毛を施し、その後に3次元形状に成形しても外観性及び触感性が低下しない植毛樹脂成形品の製造方法を提供するという目的を、熱可塑性樹脂シートの表面に、所定高さを有する独立ブロック状の凸部と、その周囲を囲む所定厚さの凹部にて構成された凹凸模様を付与し、凸部の頂面に接着剤を塗布し、塗布した接着剤に静電植毛を施し、凸部に静電植毛を施した熱可塑性樹脂シートを3次元形状に成形することで、実現した。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図7は、本発明の一実施例を示す図である。この実施例では、表面に静電植毛を施した3次元形状を有する樹脂製の自動車内装部品に関する製造方法を手順に基づいて説明する。各図では、その一部を拡大図示している。
凹凸模様の形成:
まず、所定の厚さを有する熱可塑性樹脂シート1を加熱軟化させた後、その表面に、エンボスロール2により、凸部3と凹部4から成る凹凸模様(絞)を付与する。凹凸模様はエンボスロール2以外の方法により形成しても良い。
凸部3は高さaが4mmで、凹部4は厚さbが2mmである。凸部3の側壁の角度θは105度である。凸部3は凹部4により周囲が囲まれた菱形の独立ブロック形状をしている(図3参照)。凸部3の頂面5における輪郭周縁部には段差部6が隆起形成されている。また、凸部3における頂面5の中央には窪み(突起でも可)7が形成されている。隣接する凸部3間の凹部4の幅cは3mmである。
接着剤塗布:
凹凸模様を形成した熱可塑性樹脂シート1の表面に、グラビアロール8により接着剤9を塗布する。グラビアロール8は凸部3の頂面5にしか接しないため、頂面5だけに接着剤9が塗布され、凹部4には塗布されない。グラビアロール8を回転させるだけで、凸部3の頂面5だけに接着剤を塗布することができるため、接着剤9の塗布作業が大変容易である。マスキング治具が不要なため、コスト的にも大変有利である。凸部3の頂面5に窪み7が形成されているため、接着剤9の頂面5に対する付着力が増す。また、凸部3の頂面5における輪郭周縁部に段差部6が隆起形成されているため、接着剤9を頂面5に所定の厚さで留めおくことができると共に、凹部4側への漏れ出しを防止することができる。
静電植毛:
凸部3の頂面5に接着剤9を塗布した後に、熱可塑性樹脂シート1に対して上側から静電植毛を行う。パイル10は接着剤9がある凸部3の頂面5だけに植毛され、凹部4には付着しない。
真空成形:
乾燥後、不要なパイルを除去した後に、熱可塑性樹脂シート1全体を加熱軟化させて、真空成形型11により吸引して、真空成形型11に応じた3次元形状を付与する。この時、変形するのは、厚さの小さい凹部4だけである。凹部4の厚みが1mmであるため、真空成形時に凹部4が破れることはない。凹部4の厚みは、熱可塑性樹脂シート1の材質や、真空成形の条件にもよるが、少なくとも100μm以上あれば、破れが確実に防止できる。
また、凸部3の高さとの関係においては、凹部4の厚さbが凸部3の高さaに対して相対的に大きいと、変形が凸部3にまで及ぶため、凸部3と凹部4を合わせた総厚み(2mm)の80%以下が好ましい。この実施例では、約50%である。
更に、隣接する凸部3間の凹部の幅cが3mmあることも、凹部4だけを変形させて、変形を凸部3に及ぼさない効果を発揮している。この幅cは、少なくとも500μm以上あれば、凸部3へ変形が及ぶことを防止できる。
そして、凸部3の側壁の角度θも90度に近い方が、凹部4だけを変形させるのに効果がある。この実施例では、前述のように105度である。
製品完成:
このようにして得られた製品12(図7参照)において、真空成形による伸延部や収縮部等の変形が生じているのは、厚さの小さい凹部4だけであるため、凸部3の頂面5における静電植毛の状態は真空成形前と同様である。そのため、各凸部3間の寸法は僅かに変化するものの、静電植毛のパイル10自体に「開き」や「重なり」が生じないため、製品12の静電植毛部分における外観性及び触感性が良い。
また、静電植毛がある部分(凸部3)と、ない部分(凹部4)のコントラストにより、見た目に新しいデザイン性も付与することが可能で、商品性も高めることができる。
以上の説明では、3次元形状を付与する成形方法として真空成形を例にしたが、これに限定されない。また、静電植毛を製品12の表面全体に施す例を示したが、凸部3の集合により、部分的なワンポイントの模様や、ロゴマーク等を表すようにしても良い。また、本発明は、自動車内装部品に限定されず、あらゆる植毛樹脂成形品に適用することができる。
本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂シートにエンボスロールにより凹凸模様を付与する状態を示す断面図。 図1により形成された凹凸模様を示す熱可塑性樹脂シートの断面図。 図2の平面図。 図2の凸部にグラビアロールにより接着剤を塗布する状態を示す断面図。 図4の接着剤に静電植毛をした状態を示す断面図。 図5の部材に対して真空成形している状態を示す断面図。 図6の真空成形後の製品を示す断面図。
符号の説明
1 熱可塑性樹脂シート
2 エンボスロール
3 凸部
4 凹部
5 頂面
6 段差部
7 窪み
8 グラビアロール
9 接着剤
10 パイル
11 真空成形型
12 製品

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂シート(1)の表面に、所定高さを有する独立ブロック状の凸部(3)と、その周囲を囲む所定厚さの凹部(4)にて構成された凹凸模様を付与し、
    凸部(4)の頂面(5)に接着剤(9)を塗布し、
    塗布した接着剤(9)に静電植毛(10)を施し、
    凸部(3)に静電植毛(10)を施した熱可塑性樹脂シート(1)を3次元形状に成形することを特徴とする植毛樹脂成形品の製造方法。
  2. 請求項1記載の植毛樹脂成形品の製造方法であって、
    接着剤(9)の塗布をグラビアロール(8)により行うことを特徴とする植毛樹脂成形品の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の植毛樹脂成形品の製造方法であって、
    凸部(3)の頂面(5)における輪郭周縁部に段差部(6)を隆起形成したことを特徴とする植毛樹脂成形品の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の植毛樹脂成形品の製造方法であって、
    凹部(4)の厚み(b)は、100μm以上で、且つ凸部(3)と凹部(4)を合わせた総厚み(a+b)の80%以下であることを特徴とする植毛樹脂成形品の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植毛樹脂成形品の製造方法であって、
    隣接する凸部(3)間の凹部(4)の幅(c)が、500μm以上であることを特徴とする植毛樹脂成形品の製造方法。
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