JP2006333821A - Dnaの定量的検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被験試料中に微量に存在するDNAを、容易且つ正確に定量検出することができる方法を提供する。
【解決手段】本発明のDNAの定量的検出方法は、外側プライマーセットを用いた第1段階目のPCR及び内側プライマーセットを用いた第2段階目のPCRを行うネスティドPCR法により被験試料中の所望のDNAを定量的に検出する方法であって、第2段階目のPCRとしてリアルタイムPCR法を用いることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、PCR法により被験資料中の所望のDNAを定量的に検出する方法に関する。
従来より、PCR法の中でもより増幅感度の高い方法として、ネスティド(nested)PCR法がよく知られている(例えば、非特許文献1参照)。ネスティドPCR法とは、目的DNAに対し、外側のプライマーと内側のプライマーとを使用して2段階のPCRを行う方法であり、第1段階目では、外側のプライマーを用いてPCRを行い、第2段階目では、上記外側のプライマー位置より内側に設計したプライマーを用い、第1段階目のPCR産物を鋳型としてPCRを行う(図1参照)。従って、このネスティドPCR法によれば、目的DNAを2回増幅させ、増幅感度を格段に向上させることができるため、被験試料中の極微量のDNAであってもその存在を容易に検出することができる。
Liu PYF, Shi ZY, Lau YJ, et al. Rapid diagnosis of tuberculous meningitis by a simplified nested amplification protocol. Neurology 1994;44:1161-1164.
しかしながら、ネスティドPCR法は、上述したように、増幅を2回行うという特徴を有する方法であるため、目的DNAを正確に定量する方法としては有効なものではなく、専らDNAの存在の有無を検出することを目的とするものであり、定性的な方法として利用されるものであった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、被験試料中に微量に存在するDNAであっても、それを容易且つ正確に定量検出することができる方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その過程において、ネスティドPCR法における第2段階目のPCRに、特定のPCR法、すなわちDNAの定量的検出が可能なリアルタイム(real-time)PCR法を適用することに着目した(図1参照)。その結果、被験試料中に微量に存在するDNA(例えば、生体試料中に僅かに存在する細菌のDNA等)であって、従来では定性的な検出しか行うことができなかったレベルのものであっても、その定量的検出を正確かつ容易に行うことができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1) 外側プライマーセットを用いた第1段階目のPCR及び内側プライマーセットを用いた第2段階目のPCRを行うネスティドPCR法により被験試料中の所望のDNAを定量的に検出する方法であって、第2段階目のPCRとしてリアルタイムPCR法を用いることを特徴とする、前記検出方法(図1参照)。
上記方法において、リアルタイムPCR法としては、例えば、TaqManプローブを用いる方法を挙げることができる。
上記方法においては、例えば、被験試料中に内部標準プラスミドを含有させ、当該プラスミドと前記所望のDNAとを検出することにより、当該プラスミドの検出量を基準に前記所望のDNAを定量することができ、この場合、前記内部標準プラスミドの含有量としては、例えば、1×102〜1×104コピーとすることができる。
上記方法においては、例えば、第1段階目のPCRのサイクル数を20〜50サイクルとすることができる。
上記方法において、所望のDNAとしては、例えば、結核菌DNAを挙げることができる。この場合、例えば、外側プライマーセットとしては配列番号1及び2に示される塩基配列からなるものを、内側プライマーセットとしては配列番号3及び4に示される塩基配列からなるものを挙げることができる。また、TaqManプローブとしては、例えば、配列番号5及び6に示される塩基配列に蛍光色素が結合してなるものを挙げることができる。
上記方法において、被験試料としては、例えば、ヒトの髄液を含有するものを挙げることができる。
(2) 被験者から髄液を採取し、上記本発明の定量的検出方法を用いて、当該髄液中の結核菌DNAを検出することを特徴とする、結核性髄膜炎の診断方法。
(3) 結核性髄膜炎に罹患している被験者から髄液を採取し、上記本発明の定量的検出方法を用いて、当該髄液中の結核菌DNAの量をモニタリングする方法。
(4) 配列番号1及び2に示される塩基配列からなる外側プライマーセット、配列番号3及び4に示される塩基配列からなる内側プライマーセット、配列番号5及び6に示される塩基配列に蛍光色素が結合してなるTaqManプローブ、並びに内部標準プラスミドを含有する、結核菌DNAの定量的検出用キット。
本発明によれば、被験試料中に微量に存在するDNAであっても、その定量的検出を正確かつ容易に行うことができる方法を提供することができる。また、結核性髄膜炎の診断方法、及び、結核性髄膜炎に罹患している被験者から採取した髄液中の結核菌DNAの量をモニタリングする方法を提供することもできる。さらには、結核菌DNAの定量的検出用キットを提供することもできる。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み入れられる。

1.概要
本発明は、被験試料中に含有する微量DNAを容易かつ正確に定量するためのPCR法に関するものであり、当該方法は、ネスティド(nested)PCR法とリアルタイム(real-time)PCR法とを組み合わせることにより行う方法である。具体的には以下の通りである。
本発明者は、PCR法を用いた従来のDNA定量方法では正確な定量が困難であった微量のDNAについても、容易に定量検出できる方法について鋭意検討した。その結果、2種のPCR法、すなわち、(i) 被験試料中のDNAの存在の有無のみを検出する定性的な方法ではあるが、極微量のDNAであっても極めて高感度に検出することが可能なネスティドPCR法と、(ii) PCR産物の増加を蛍光の検出により定量的にモニタリングし解析できる方法であって、DNAの正確な定量検出が可能であるリアルタイムPCR法とを組み合せ、両者の特性を利用すれば、従来の課題を一挙に解決できるのではないかと考えた。そこで、ネスティドPCR法における2段階のPCRのうち、第1段階目のPCRは従来と同様に行い、第2段階目のPCRにおいてリアルタイムPCR法を適用するという特定の組み合わせにより、前述した課題を容易に解決できることが確認された。
本発明は、以上の知見に基づき完成されたものである。

2.DNAの定量的検出方法
本発明のDNAの定量的検出方法は、前述したように、外側プライマーセットを用いた第1段階目のPCR及び内側プライマーセットを用いた第2段階目のPCRを行うネスティドPCR法により被験試料中の所望のDNAを定量的に検出する方法であって、第2段階目のPCRとしてリアルタイムPCR法を用いることを特徴とする。なお以下においては、当該検出方法を「QNRT-PCR(法)」又は「QNR-PCR(法)」と称する場合がある。
(1) 被験試料及び検出対象となるDNA
本発明の検出方法においては、検出対象となる所望のDNAを含む被験試料、又は含む可能性がある被験試料としては、限定はされず、例えば、ヒト、マウス等の各種哺乳動物由来の生体試料のほか、魚類、鳥類、昆虫、植物等由来の試料等が採用できる。なお、各種動物由来の被験試料としては、その動物に由来する限り特に限定はされず、いかなる組織由来の細胞、血液、体液であってもよく、例えば、脳、心臓、肺、脾臓、腎臓、肝臓、膵臓、胆嚢、食道、胃、腸、膀胱、骨格筋等の各種組織由来の細胞、血液、体液を使用することができる。より具体的には、例えば、血液、髄液、尿、喀痰、胸水、腹水、胃液、水疱内体液等が挙げられる。また、検出対象とするDNAについても、限定はされず、例えば、各種哺乳動物、魚類、鳥類、昆虫、植物等のゲノム由来のDNAのほか、各種細菌、ウイルス、真菌等の病原体又は非病原体に由来するDNA挙げることができる。ここで、細菌としては、例えば、結核菌、肺炎球菌、大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌、破傷風菌、リステリア菌、インフルエンザ桿菌、髄膜炎等が挙げられ、ウイルスとしては、例えば、単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、エコーウイルス、Epstein-Barr(EB)ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ポリオウイルス、フラビウイルス(日本脳炎ウイルス、西ナイル脳炎ウイルス)、インフルエンザウイルス等が挙げられ、真菌としては、例えば、クリプトコッカス、アスペルギルス、カンジダ、ムコール等が挙げられる。
被験試料は、各種動物及び植物から常法に従って採取することができ、また、各種動物の血液や体液は、蚊やヌカカ等の吸血昆虫材料から常法に従って採取することもできる。
被験試料は、後述するPCRを行う前に、当該PCRに用い得る試料として(すなわちDNA含有試料として)調製、及び精製しておく必要があるが、当該調製及び精製は、常法に従って行うことができる。例えば、各種動物又は植物由来の細胞等を破砕し、可溶化剤によって可溶化した後、変性剤によってタンパク質を除去し、エタノール等によって沈殿させることによって、所望のDNAを抽出し、適当な溶媒に溶解させる等して、各種動物又は植物由来のDNA含有試料として調製することができる。
(2) 第1段階目のPCR
本発明の検出方法においては、第1段階目のPCRとして、上記被験試料中の所望のDNAを鋳型(テンプレート)とし、当該DNAに特異的に結合するプライマー(外側のプライマーセット)を用いたPCRを行う。
第1段階目のPCRで使用するプライマーは、上記所望のDNA(検出対象とするDNA)に特異的に結合(ハイブリダイズ)し得るものである限り、その塩基配列(塩基組成及び塩基数等)は特に限定はされず、適宜設計することができる。
なお、第1段階目のPCRにおける反応液組成(DNAポリメラーゼ、プライマー、dNTP、バッファ、テンプレート等)や反応条件(熱変性、アニーリング、伸長等の温度及び時間)は、限定はされず、常法に従い(必要に応じて、テンプレート及びプライマーの種類等を勘案して)、適宜設定することができるが、本発明においては、例えば、当該PCRのサイクル数を20〜50サイクルとすることが好ましく、より好ましくは25〜45サイクル、さらに好ましくは30〜40サイクルであり、最も好ましくは35サイクルである。第1段階目のPCRのサイクル数を上記範囲に設定することにより、例えば、所望のDNAの定量性がより一層向上し、少量の所望のDNAの定量に際しての弁別性が鋭敏となるほか、非特異的PCR産物の増幅を抑制し、所望のDNAの増幅をより確実かつ容易にする等の優れた効果が得られる。
(3) 第2段階目のPCR
本発明の検出方法においては、第2段階目のPCRとして、上記第1段階目のPCRの増幅産物を鋳型とし、当該DNAに特異的に結合するプライマー(内側のプライマーセット)を用いて、リアルタイムPCRを行う。
第2段階目のPCRで使用するプライマーは、検出対象とするDNAに特異的に結合し得るものである限り、その塩基配列(塩基組成及び塩基数等)は特に限定はされないが、第1段階目のPCRで使用したプライマー(外側のプライマーセット)の結合位置より内側の塩基配列に結合し得るように適宜設計されるものとする。詳しくは、当該結合位置の塩基配列のうち最も外側の塩基より、例えば、10塩基以上内側であることが好ましく、より好ましくは15塩基以上、さらに好ましくは20塩基以上である。
ここで、結核菌DNAを検出する場合を例に挙げると、例えば、第1段階目のPCRに用いるプライマー(外側プライマーセット)を配列番号1及び2に示される塩基配列からなるものとしたとき、第2段階目のPCRに用いるプライマー(内側プライマーセット)としては配列番号3及び4に示される塩基配列からなるものを採用することができる。
リアルタイムPCR法とは、一本鎖テンプレートDNA及びdNTPを基質とし、Fプライマー、Rプライマーと呼ばれる2つのPCRプライマー(プライマーセット)を用いて二本鎖DNAの合成反応を行う際に、蛍光物質を作用させることで、当該合成反応が起こると蛍光シグナルが発生するようにしたPCR法である。この方法では、PCR反応を続けながらホモジニアスな系でリアルタイムにPCR産物の生成量をモニタリングでき、テンプレートの定量が可能となる。
リアルタイムPCR法は、上述したように、何らかの手段で酵素反応により蛍光が発するようにする方法であるが、本発明においては、例えば、TaqManプローブを用いる方法及びインターカレーション法等が好ましく挙げられ、中でもTaqManプローブ法がより好ましい。
ここで、TaqManプローブ法とは、2つのPCRプライマー(プライマーセット)とは別に、これらプライマーに囲まれた増幅配列の一部とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドプローブも併用する方法である。そしてこのプローブには、その5'末端及び3'末端にそれぞれ別の蛍光色素を結合させておく。具体的には、5'末端にはレポーター色素(例えばVIC、FAM、HEX、TET、フルオレセイン、FITC、TAMRA、Cy3、Texas red、Yakima Yellow等)、3'末端にはクエンチャー色素(例えばTAMRA、ローダミン、Dabcyl、BHQ1、BHQ2等)を、適宜有効な組合せで結合させておく。テンプレートDNAにハイブリダイズした当該プローブは、PCR反応に伴い、DNAポリメラーゼがもつ5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって分解される。そうすると、レポーター色素とクエンチャー色素が離れてFRETの効果が無くなり、レポーター色素の蛍光が検出されることになる。
ここで、結核菌DNAを検出する場合を例に挙げると、TaqManプローブとしては、例えば、配列番号5に示される塩基配列に蛍光色素(例えば、5'末端にVIC、3'末端にTAMRA)が結合してなるものを挙げることができる。
一方、インターカレーション法とは、合成された二本鎖DNAに結合し蛍光を発する色素(例えばSYBR Green I、エチジウムブロマイド等)を取り込ませることにより、PCR反応に応じた蛍光を検出する方法である。
このようなリアルタイムPCR法は、公知の各種機器及びシステムを使用して実施することができ、例えば、Applied Biosystems 7900HT Fast、Applied Biosystems 7500 Fast、Applied Biosystems 7500、Applied Biosystems 7300、ABI PRISM 7700及びABI PRISM 7000 (いずれもApplied Biosystems製);LightCycler (Roche Diagnostics);iCycler iQ (Bio-Rad Laboratories) 等が好ましく挙げられる。
なお、第2段階目のPCRにおいては、その反応液組成(DNAポリメラーゼ、プライマー、プローブ、dNTP、バッファ、テンプレート等)や反応条件(熱変性、アニーリング、伸長等の温度及び時間)は、限定はされず、常法に従い(必要に応じて、テンプレート及びプライマーの種類等を勘案して)、適宜設定することができるが、本発明においては、例えば、当該PCRに用いるプライマー(内側のプライマーセット)の濃度を0.5〜2.0μMとすることが好ましく、より好ましくは0.6〜1.8μM、さらに好ましくは0.8〜1.2μMであり、最も好ましくは0.9μMである。第2段階目のPCRのプライマー濃度を上記範囲に設定することにより、例えば、最適な増幅効率で所望のDNAを増幅させる事が可能となるため、所望のDNAの定量性がより一層向上する等の優れた効果が得られる。
(4) 内部標準プラスミド
本発明の検出方法においては、前述した被験試料中に内部標準プラスミドを含有させ、当該プラスミドと前記所望のDNAとを検出することにより、当該プラスミドの検出量を基準にして前記所望のDNAを定量することが好ましい。
内部標準プラスミドとは、詳しくは、第1段回目のPCR及び第2段階目のPCRで用いるプライマーセット及びプローブにより、前記所望のDNAと同様に、増幅及び検出が可能なDNA(前記所望のDNAとは同一ではない)を含有するプラスミドである。当該プラスミドは、例えば、前記所望のDNAに変異を導入した状態のものを予め準備し、単離して、公知の各種プラスミドベクターに挿入して構築することが好ましい。この際、当該変異の導入やプラスミドベクターへの挿入は、例えばGenBankのアクセッション番号等の情報を基にし、当業者において周知の遺伝子組換え技術(例えば、Molecular cloning 2nd ed., Sambrook, J., et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press U.S.A.,1989を参照)や、公知の部位特異的突然変異誘発法(例えばQuick-changeキット(Strategene社製、型番:200523))等を適宜採用して行うことができる。
内部標準プラスミドは、予め、被験試料中に所定量を含有させておくようにし、第1段階目のPCRに用いるテンプレートを用意する際に、所望のDNAと共に被験試料中から抽出及び精製する。その後、所望のDNA及び内部標準プラスミドをテンプレートとして第1段階目のPCRを実施し、さらに当該PCR産物をテンプレートとして、第2段階目のPCRを実施する。なお、第2段階目のPCRについては、所望のDNAと内部標準プラスミドとをそれぞれ異なる蛍光色素で検出できるように、例えば、異なるレポーター色素を結合させたTaqManプローブを準備した上で、所望のDNAと内部標準プラスミドとを各々別の反応系で検出する。その結果、予め被験試料中に含有させた内部標準プラスミドの量とそれに対する検出結果(検出値)との相関関係を基準することにより、所望のDNAに関する検出結果(検出値)から、当初被験試料中に含まれていた前記所望のDNAの量を推定的に定量することができる。例えば、予め被験試料中に含有させた内部標準プラスミドの量がaであり、内部標準プラスミドの検出値がAであるとき、所望のDNAに関する検出値がBであれば、当初被験試料中に含まれていた前記所望のDNAの量bは、b=(B/A)aの式より求めることができる。
本発明の検出方法は、前述したとおり、2段階のPCRを行うネスティドPCR法において第2段階目のPCRとしてリアルタイムPCR法を適用した定量的検出方法であるが、上述のように内部標準プラスミドを用いることにより、その定量検出の実施をより確実にし且つ高精度の定量を実現することができる。
なお、内部標準プラスミドの含有量(使用量)は、限定はされないが、例えば、被験試料に対し1×102〜1×104コピーとすることが好ましく、特に好ましくは1×103コピーである。内部標準プラスミドの含有量を上記範囲とすることにより、例えば、所望のDNAの増幅を阻害あるいは抑制することなしに効率的かつ安定的な内部標準の増幅を得ることが可能であり、従って、所望のDNAの定量性がより一層向上するほか、その再現性や正確度が格段に向上し、少量の所望のDNAの定量に際しての弁別性が鋭敏となる等の優れた効果が得られる。

3.結核性髄膜炎の診断方法
本発明の結核性髄膜炎の診断方法は、前述したように、被験者から髄液を採取し、前記本発明の定量的検出方法を用いて、当該髄液中の結核菌DNAを検出することを特徴とする。
(1) 被験者からの髄液の採取等
本発明の診断方法は、被験者から採取した髄液を対象として行うものである。髄液の採取方法は限定はされず、医学的に公知の方法を適宜採用すればよいが、具体的には、例えば、最も一般的な手法として腰椎穿刺が挙げられる。その穿刺部位には、Jacoby線(左右の腸骨稜の最上端を結ぶ線) が第4腰椎棘突起に相当するので、その頭測、つまり第3〜4腰椎間腔を選択するのが最も好ましい。穿刺には腰椎穿刺用の19〜20ゲージの長い針を用いる。穿刺は被験者を側臥位として施行するのが原則であり、被験者の背面を消毒した後、穿刺針を慎重に刺入し、髄液圧を測定しつつ適量(2〜5ml)の髄液を採取する。また、上記の操作は滅菌済みの手袋を装着し、すべて清潔操作で施行する。
被験者から採取した髄液は、滅菌済みの試験管やチューブ等に入れ、本発明の検出方法を用いて診断するまでは、約-20℃〜-80℃で冷蔵保存しておくことが好ましい。
(2) 診断方法
本発明の診断方法では、採取した髄液を被験試料とし、本発明の検出方法を用いて結核菌DNAの有無を検出することを目的とするが、ここで、本発明の検出方法の詳細については、前述した説明を同様に適用することができる。
まず被験試料となる髄液からDNAを抽出する必要があるが、この際用いる髄液の量は、本発明の診断方法を実施1回あたり、200μl〜1000μlであることが好ましく、より好ましくは500μlである。
本発明の診断方法によれば、従来のネスティドPCR法を用いて検出した場合と同様又はそれ以上の検出効率(陽性率)を達成することができることに加え、陽性の場合は、髄液中に含まれる結核菌DNAの量(コピー数)を正確に定量することができるため、結核性髄膜炎の進行状況等を容易に判断することができる。

4.結核菌DNA量のモニタリング方法
本発明の結核菌DNA量のモニタリング方法は、前述したように、結核性髄膜炎に罹患している被験者から髄液を採取し、前記本発明の定量的検出方法を用いて、当該髄液中の結核菌DNAの量をモニタリングすることを特徴とする。
本発明のモニタリング方法を用いれば、結核性髄膜炎の進行状況等、特に、所望の治療を施した後の、病状の経時的な推移を、容易に把握することができるため、より一層効果的かつ効率的な治療方法の選択及びアドバイス等が可能となるほか、患者にとっては精神的な安心感が得られ、早期回復に良い影響を与え得る点でも非常に有用である。
なお、被験者からの髄液の採取等について、及び、本発明の検出方法の詳細については、前述した説明を同様に適用することができる。
本発明のモニタリング方法では、髄液の経時的な採取を行うにあたり、その採取間隔は限定はされず、患者の病状(進行状況)のほか、年齢、性別、身長、体重、血圧及び心拍数等の各種身体的状況を考慮して適宜設定すればよいが、例えば、重症の髄膜炎で状況が切迫している場合には2〜3日おきに採取するのが病状の変化を効率的に把握することができ好ましく、また、病状が落ち着いてきた場合には1週間に1回程度、慢性安定期には2〜3週間あるいは1ヵ月に1回程度の割合で採取するのが好ましい。さらに、採取期間(合計)についても、限定はされず、上記採取間隔と同様に病状等を考慮して適宜設定すればよい。例えば、2〜4ヵ月は経時的に髄液を採取しつつ経過観察をすべきであり、より好ましくは約半年間である。

5.結核菌DNAの定量的検出用キット
本発明の結核菌DNAの定量的検出用キットは、前述したように、構成要素として、配列番号1及び2に示される塩基配列からなる外側プライマーセット、配列番号3及び4に示される塩基配列からなる内側プライマーセット、配列番号5及び6に示される塩基配列に蛍光色素が結合してなるTaqManプローブ、並びに内部標準プラスミドを含有することを特徴とする。
本発明のキットは、前述した本発明の検出方法、本発明の診断方法、及び本発明のモニタリング方法等のいずれにも有効に用いることができる。
本発明のキットは、上記各構成要素以外に他の構成要素を含んでいてもよい。他の構成要素としては、例えば、DNAポリメラーゼ、各種バッファ、滅菌水、エッペンドルフチューブ、マルチウェルプラスチックプレート、フェノールクロロホルム、クロロホルム、エタノール、核酸共沈剤、実験操作マニュアル(説明書)等のほか、必要に応じ各種PCR等実験機器等も挙げることができる。

以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.方法
1-1.各種プラスミドの調製
(1) スタンダードプラスミド(W-plasmid)の調製(図2(A)参照)
結核菌DNAのMPB64領域の塩基配列の一部を含むスタンダードプラスミド(Wi1d plasmid(W-plasmid))をTAクローニング法により調製した。
すなわち、まず、被験者より採取した髄液のうちで、結核菌の培養が陽性であった髄液からフェノールクロロホルム法、及び核酸共沈剤としてエタ沈メイト(ニッポンジーン製)を加えたエタノール沈殿により結核菌DNAを含む核酸を抽出及び精製する。そして、この核酸抽出物を鋳型とし、下記のプライマー(F-1/R-1)を用いて、以下の反応液組成でPCRを行い、239bpのPCR産物を得た。なお、当該PCRは、96℃で3分の導入時の熱変性に次いで、95℃で30秒の熱変性、60℃で30秒のアニーリング、及び72℃で1分の伸長のサイクルを35サイクル、さらに72℃で10分の最終伸長という反応条件で行った。
Fプライマー(F-1):5'-ATCCGCTGCCAGTCGTCTTCC-3'(配列番号1)
Rプライマー(R-1):5'-CTCGCGAGTCTAGGCCAGCAT-3'(配列番号2)

PCR 反応液の組成
鋳型DNA (髄液からの核酸抽出物): 2 μL
Taq DNAポリメラーゼ (5 unit/μL): 0.1μL (0.5 unit)
(TaKaRa LA Taq TM;TaKaRa, Otsu, Shiga, Japan)
Fプライマー (F-1;10 pmol /μL): 0.4 μL
Rプライマー (R-1;10 pmol /μL): 0.4 μL
dNTP mixture (2.5μM each): 1.6 μL
10×LA PCR Buffer II (Mg2+フリー): 2 μL
MgCl2 (25mM): 2 μL
滅菌水: 11.5 μL
合計: 20 μL

得られたPCR産物(239bp)を、Microcon 100カラム(Millipore Corp. Bedford, MA, USA)で精製し、TAクローニングキット(Invitrogen Corp, San Diego, CA, USA)を用いて、pCR 2.1ベクター(プラスミド)に挿入しサブクローニングした(図2(A)参照)。調製されたW-plasmidをABI PRlSM 310 Genetic Analyzer (Perkin Elmer Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)によりシークエンシングし、挿入したDNA配列(239bp)を確認した。調製したW-plasmidの濃度を吸光度計で測定した後、1〜1010コピー(/2μL)まで10倍希釈毎に濃度を調節し、4℃で保存した。
この10倍希釈毎に調製したW-plasmidは、QNRT-PCR法におけるスタンダードとして使用するものとした。
(2) 内部標準プラスミド(M-plasmid)の調製(図2(B, C)参照)
上記W-plasmidを基に、結核菌DNAのMPB64領域の塩基配列の一部にさらに人工的な配列を挿入して、内部標準プラスミド(Mutation plasmid(M-plasmid))を調製した。
すなわち、まず5'末端に人工的な配列を付加したプライマーとして、Nhe1-F/Nhe1-Rを設計した(表1参照)。
Nhe1-F:5'-ATGCTAGCAATCCGTCCTTGGACCCGGTGA-3'(配列番号7)
Nhe1-R:5'-ATGCTAGCCGTCCCATCCTGTTGTCCGGTC-3'(配列番号8)
この5'末端に付加した人工的配列には制限酵素Nhe1サイト(下線部:5'-GCTAGC-3')が含まれている(表1参照)。このプライマーを用いて、図2(B)と同様に、外側方向にPCRを行った。当該PCRは、下記の反応組成液を用い、96℃で3分の導入時の熱変性に次いで、98℃で25秒の熱変性、55℃で30秒のアニーリング、及び72℃で5分の伸長のサイクルを35サイクル、さらに72℃で10分の最終伸長という反応条件で行った。なお、人工的配列を含むDNA断片をインサートしたpCR 2.1ベクターの長さは約4kbp(4168bp)に及ぶことを考慮して、各サイクル毎の伸長時間は上記のように5分(72℃)と長めに設定した。

PCR 反応液の組成
鋳型DNA (W-plasmid;106コピー/2μL): 2μL
Taq DNAポリメラーゼ(5 unit/μL): 0.1μL (0.5 unit)
(TaKaRa LA Taq TM;TaKaRa, Otsu, Shiga, Japan)
Fプライマー (Nhe1-F;10 pmol /μL): 0.4μL
Rプライマー (Nhe1-R;10 pmol /μL): 0.4μL
dNTP mixture (2.5μM each): 1.6μL
10×LA PCR Buffer II (Mg2+フリー): 2μL
MgCl2 (25mM): 2μL
滅菌水: 11.5 μL
合計: 20μL

得られたPCR産物の両末端にはNhe1サイトが位置しており、その精製後、制限酵素Nhe1で処理し、次いでライゲーションを行った。PCR 2.1ベクター自体にはNhe1サイトは含まれておらず、PCR産物の末端のみがNhe1で切断されるため、その断端を容易にライゲーションすることが可能である。
このようにして調製したライゲーション産物、すなわちM-plasmidを、W-plasmidと同様にTAクローニングキットによりサブクローニングし、オートシークエンサー(ABI PR1SM 310 Genetic Analyzer)で挿入した配列を確認した(図2(C)参照)。
その後、調製したM-plasmidの濃度を吸光度計で測定し、W-plasmidと同様に1〜1010コピー(/2μL)まで10倍希釈毎に濃度を調節し、4℃で保存した。
この10倍希釈毎に調製したM-plasmidは、103コピー/2μLのものを内部標準プラスミドとして使用するものとした。また、QNRT-PCR法における内部標準プラスミド測定用のスタンダードとしても使用することにした。
1-2.内部標準プラスミドを添加した髄液からの核酸(DNA)の抽出及び精製
被験者より採取した髄液500μLと、独自に調製した細胞溶解液500μLとを混合する。この混合液(1000μL)を2つ(各500μL)に分割し、20℃下に冷凍保存する(一方は従来の Nested PCR に使用する。)。

細胞溶解液の組成(1髄液サンプル(500μL)分)
Tris HCl (1M, pH 8.0): 10μL
NaCl (5 M): 30μL
10% SDS: 40μL
proteinase-K(20mg/ml): 25μL
滅菌水: 395μL
合計: 500μL

その後、保存しておいた上記混合液500μLの一方に、M-plasmid(103コピー/2μL)を2μL(103コピー分)、内部標準プラスミドとして加えた。
次いで、この混合液から、フェノールクロロホルム法と、核酸共沈剤としてエタ沈メイト(ニッポンジーン製)を加えたエタノール沈殿により、結核菌DNAと内部標準プラスミド(M-plasmid)含む核酸の抽出及び精製を行った。完全に真空乾燥した後、20μLのミリQ水に溶解して、2μL分を鋳型(テンプレート)として使用し、残りは20℃で保存した。

1-3.プライマーとTaqManプローブの設計
上記「1-1.(2)」でのPCRと同様に、QNRT-PCR法で使用するプライマーも結核菌DNAのMPB64領域に特異的な配列に設計した。具体的には、第1段階目のPCRで使用する外側のプライマーとしてF-1/R-1を設計し、第2段階目のPCRで使用する内側のプライマーとしてTqMn-F/TqMn-Rを設計した(表1参照)。
F-1:5'-ATCCGCTGCCAGTCGTCTTCC-3'(配列番号1)
R-1:5'-CTCGCGAGTCTAGGCCAGCAT-3'(配列番号2)
TqMn-F:5'-GTGAACTGAGCAAGCAGACCG-3'(配列番号3)
TqMn-R:5'-GTTCTGATAATTCACCGGGTCC-3'(配列番号4)
また、第2段階目のPCRにおいて、髄液から抽出した結核菌DNAと内部標準プラスミドとを同時に定量的に解析するために、2種類のTaqManプローブを設計した。すなわち、一方は、結核菌DNAのMPB64領域に特異的な配列を有し、蛍光色素VIC(レポーター色素)で標識されたプローブ(TqMn-wild-VIC)であり、他方は、内部標準プラスミド(M-plasmid)を検出するため、M-plasmidに挿入された人工的配列に対してのみ特異的で、蛍光色素FAM(レポーター色素)で標識されたプローブ(TqMn-mut-FAM)である(表1参照)。なお、いずれのプローブもクエンチャー色素となるTAMRAで標識されている。
TqMn-wild-VIC:
5'-VIC-TATCGATAGCGCCGAATGCCGG-TAMRA-3'(配列番号5)
TqMn-mut-FAM:
5'-FAM-ATGGGACGGCTAGCAATCCGTC-TAMRA-3'(配列番号6)
これら2種のTaqManプローブは、その塩基数や塩基組成は全く同じであり、配列のみが異なる様に設計したものであるため、両者のアニーリング効率は等しいとみなすことができる。また、いずれのプローブも、第2段階目のPCRで使用するTqMn-F/TqMn-Rの間に挟まれる位置になるように設計した。

1-4.QNRT-PCR法の反応条件
第1段階目のPCR(シングルPCR)は、鋳型DNAとして上記「1-2.」で調製したテンプレート2μLと、プライマーとしてF-1(配列番号1)/R-1(配列番号2)を使用し、上記「1-1.(1)」におけるのと同様のPCR反応液組成で、GeneAmp PCR system 9700を用いて施行した。当該PCRの反応条件は、96℃で3分の導入時の熱変性に次いで、95℃で30秒の熱変性、60℃で30秒のアニーリング、及び72℃で1分の伸長のサイクルを35サイクル、さらに72℃で10分の最終伸長とした。
第2段階目のPCRについては、使用する反応液組成として、結核菌DNA検出用(VIC)と内部標準プラスミド用(FAM)の2種類を準備した(TaqManプローブの種類のみ異なる)。詳細は下記の通りである。

PCR 反応液の組成
第1段階目のPCR産物: 2μL
Taq Man Universal PCR Master Mix: 12.5μL
(Applied Biosystems 製)
Fプライマー(TqMn-F;10 pmol /μL): 1.125μL(final conc. 0.9μM)
Rプライマー(TqMn-R;10 pmol /μL): 1.125μL(final conc. 0.9μM)
TaqManプローブ(1pmol /μL): 5μL
(TqMn-wild-VIC 又は TqMn-mut-FAM)
滅菌水: 3.25μL
合計: 25μL

第2段階目のPCRは、ABI PRISM 7700 sequence detector system (PE Applied Biosystems, Fostor City, CA, USA)を用いて行った。ABI PRISM 7700 sequence detector system は、蛍光色素の発光度を測定することにより、PCR増幅反応のリアルタイムなモニタリングと定量的解析の両方が可能である。また、標識した蛍光色素(FAM,VIC)の発光度は、予め添加されている内部補正色素(ROX)の発光度と比較しつつ測定されるので、各ウェル間の僅かな発光度の変動や差異(PCR反応自体とは関係のない変動や差異)を自動的に補正し、適正化することができる。
第2段階目のPCRでは、FAMとVICを別々のウェル(チューブ)で検出するようにしたが、両PCRは、互いに同時にかつ同一条件下で(50℃で2分の導入、及び95℃で10分の導入時の熱変性に次いで、95℃で15秒の熱変性、60℃で1分のアニーリング+伸長のサイクルを40サイクル)施行した。なお、蛍光色素からの発光度を解析するための露光時間は25秒に設定した。

1-5.PCR産物の検出及び解析(髄液中の結核菌DNA量の算定)
本発明者は、上記のごとく、予めコピー数を測定した内部標準プラスミドを加えた髄液から、内部標準プラスミドと共に結核菌DNAを抽出及び精製し、この抽出産物を第1段階目のPCRで増幅した後、リアルタイムPCR法(TaqMan PCR法)を採用した第2段階目のPCRを行うことにより、髄液中の結核菌DNAの定量的解析が可能であると考えた。
第2段階目のPCRでは、結核菌DNAと内部標準プラスミドは、それぞれVICとFAMで標識されたTaqManプローブを用いて別々のウェル(チューブ)で測定したが、互いの反応条件は同一で、かつ共通のプライマーを用いて、全て同時に増幅と解析を行った。
リアルタイムPCR法(TaqMan PCR法)における限界サイクル数(Threshold cycle number;Ct値)は、各PCR増幅曲線の立ち上がり点のサイクル数を表している。すなわち、Ct値は、各PCR増幅において、蛍光色素からの信号(発光度)がベースラインに設定した発光度の平均値を初めて超えた点(Threshold limit)から自動的に計算され、決定される。本実施例では、ベースラインを0〜5サイクルの範囲に設定した。
また、定量的解析に必要な標準曲線は、10倍毎に連続希釈したプラスミドの解析から自動的に描画される。本実施例では、l04〜1010コピー/2μLまで10倍毎に連続希釈した2種類のプラスミド(W-plasmid,M-plasmid)2μLを鋳型とし、TaqMan PCR法による増幅を他のサンプルと同時にかつ同一反応条件下で施行した。その際、それぞれのCt値は自動的に算定され、対数(log)表示されたプラスミドの濃度勾配(starting copy number)にあわせてプロットされる。そして、最も適正な標準曲線が自動的に選択され、W-plasmid(VIC)とM-plasm1d(FAM)のそれぞれに対して描画される。各サンプルのCt値はこの標準曲線上にプロットされ、そのコピー数が自動的に算定される。
本実施例では、結核菌DNAと内部標準プラスミドに対する抽出効率、増幅効率、及び解析効率は全て等しいとみなすことができる。
そこで、QNRT-PCR法で算定した結核菌DNA量(コピー数)を「W」とし、同時に定量した内部標準プラスミド量(コピー数)を「M」とすると、抽出と2段階のPCR増幅を経る前の髄液中の結核菌DNAのコピー数「X」は、最初の内部標準プラスミドのコピー数(103コピー)との比から以下の式で算定することができる。
X=W×(103/M)
本実施例では、連続的に採取された36髄液検体の全てを対象に、QNRT-PCR法を用いた解析を行い、その髄液中の結核菌DNA量(コピー数)を算定した。

2.結果
2-1.症例
神経内科に入院し、結核性髄膜炎の疑われた連続9症例(症例1〜9)を対象とした。これらの9症例は、髄液の結核菌の培養が陽性であった「診断確定例」2例(症例1と2)、及び髄液の結核菌培養は陰性であるが、臨床的に高度に結核性髄膜炎が疑われる「高度疑い例」7例(症例3〜9)に分類された。本実施例では、9症例より採取した、総計36の髄液検体について検討した。このうちの27髄液検体は、「高度疑い例」7例から抗結核薬治療の効果判定のために、2週間以上にわたり経時的に採取し保存されたものである。
また同時に、非TBM20症例(細菌性髄膜炎3例、真菌性髄膜炎3例、ウイルス性髄膜炎4例、多発性硬化症6例、CNSループス1例、中枢性悪性リンパ腫1例、肝不全1例、神経ベーチェット病1例)より採取した20髄液検体を陰性対象群として用いた。

2-2.QNRT-PCR法における標準曲線の信頼性(図3参照)
本実施例では、前述のとおり、ABI PRISM 7700 sequence detector systemを用いて髄液中の結核菌DNAの定量(コピー数の算定)を行った。結核菌DNAのコピー数は、前述のとおり、そのCt値を基に標準曲線から自動的に算定されるので、標準曲線の信頼性(正確性、反復性、再現性)は結核菌DNAのコピー数を決定する上での最も重要な要素となる。そこで、標準曲線の信頼性を検討するための予備実験として、104〜1010コピーまで10倍毎に希釈したW-plasmidとM-plasmidを標準テンプレートとして用いTaqMan PCR法を試行した。全ての試行は同じ実験条件で5回施行した。W-plasmidはVICで、M-plasmidはFAMでそれぞれ検出及び解析され、全てのデータは、対数表示したプラスミドのコピー数(starting copy number)をX軸とし、Ct値をY軸とする片対数グラフ上にプロットされた(図3(A, B)参照)。VICとFAMのそれぞれについて、全てのプロットされたデータを単回帰分析したところ、対数表示したプラスミドのコピー数(starting copy number)とそれぞれのCt値の間には、有意な直線的相関が認められた(VIC,FAM共にr=0.99)(図3(A, B)参照)。また、同一条件で5回の全ての試行を、有意水準1%で分散分析(two-factor factorial ANOVA)したところ、5回の試行の全てで有意差は認められず、その分散は均一であった(VIC,FAM共にF=1.05, p=0.45)。
以上より、VIC及びFAMに対する標準曲線の信頼性はいずれも十分であり、各プラスミドの希釈段階における誤差等は無視できるものと判断された。

2-3.QNRT-PCR法における反応条件の最適化(表2、図4参照)
少量の髄液中の結核菌DNAを定量的に検出するのに最適なTaqMan PCR法の反応条件を決定するために、既知の濃度のプラスミドを鋳型として用い、以下の予備実験を行った。この予備実験では、濃度既知のW-plasmidを結核菌DNAの代わりに鋳型として用い、内部標準プラスミドであるM-plasmidと共に抽出し、PCR増幅を行った。また、全ての試行は同一条件下で5回行った。
(1) 第1段階目のPCRでの最適な増幅サイクル数の設定(表2(A)、図4(A)参照)
1〜105コピーまで10倍希釈毎に濃度を調整したW-plasmidに、それぞれ498μLの細胞溶解液を加え、髄液検体と同様にフェノールクロロホルム法で抽出した。
このW-plasmidの抽出産物を鋳型として用い、増幅サイクル数を20,25,30,35サイクルとして、それぞれ第1段階目のPCRを施行した。さらに、このPCR産物2μLを鋳型とし、第2段階目のPCR(TaqMan PCR法)を施行した。その結果得られた各サイクル毎の全てのCt値を表2(A)に示す。各サイクル数(20,25,30,35)毎にW-plasmidのコピー数に対して得られたCt値を有意水準1%で多重比較検定(Tukey-Kramer test)したところ、全てのW-plasmidのコピー数(1〜105コピー)に対するCt値に有意差が認められたのは、第1段階目のPCRを35サイクルに設定した場合のみであった(表2(A)、図4(A)参照)。
本実施例では、髄液中の少量の結核菌DNAを定量的に検出することを目的としているので、少コピー数(1〜10コピー)のW-plasmidでもCt値に有意差をもって検出する事が極めて重要となる。
以上より、第1段階目のPCRでの最適な増幅サイクル数として、35サイクルを設定した。
(2) 最適な内部標準プラスミド(M-plasmid)のコピー数の設定(表2(B)、図4(B)参照)
1〜105コピーまで10倍希釈毎に濃度を調整したW-plasmidに、それぞれ内部標準プラスミドとして103、104、105コピーのM-plasmid及び496μLの細胞溶解液を加え、髄液検体と同様にフェノールクロロホルム法で抽出した。
この抽出産物を鋳型として用い、35サイクルで第1段階目のPCRを施行した。さらに、このPCR産物2μLを鋳型とし、第2段階目のPCR(TaqMan PCR法)を施行した。その結果得られた、W-plasmid(VIC)とM-plasmid(FAM)に対する全てのCt値を表2(B)に示す。W-plasmidとM-plasmidは2段階のPCRの過程で共通のプライマーにより増幅されるため、鋳型であるW-plasmidとM-plasmidの両者間の濃度勾配が大きい場合には、低濃度(少コピー数)の方の増幅が不良となる可能性がある。本実施例の目的は、内部標準プラスミドのコピー数との比からDNA抽出とPCR増幅を経る前の髄液中の結核菌DNA量(コピー数)を算定する事であるため、結核菌DNAと内部標準プラスミドの両者がバランス良く増幅される事が極めて重要である。従って、この予備実験においては、W-plasmid(VIC)は少ないコピー数でもCt値に有意差をもって確実に増幅され、一方、内部標準プラスミドであるM-plasmid(FAM)は常に一定のCt値にて増幅される事が望ましい。そこで、内部標準プラスミド(M-plasmid)のコピー数毎にW-plasmidのコピー数に対して得られたCt値(VIC)を有意水準1%で多重比較検定(Post-hoc test (Tukey-Kramer test))したところ、全てのW-plasmidのコピー数(1〜105コピー)に対するCt値(VIC)に有意差が認められたのは、内部標準プラスミド(M-plasmid)を103コピーに設定した場合のみであった(図4(B)参照)。内部標準プラスミドを105コピーに設定した場合は、1コピーのW-plasmidは全く増幅されず(Ct値=40)、また内部標準プラスミドを104コピーに設定した際には、1コピーと10コピーのW-plasmidの増幅で、Ct値に有意差が認められなかった。
一方、1〜100コピーの各W-plasmidに対して得られた内部標準プラスミド(M-plasmid)のCt値(FAM)を有意水準1%で分散分析(One-factor ANOVA)したところ、内部標準プラスミド(M-plasmid)を103コピーに設定した場合が、最もCt値(FAM)の分散が均一(F=1.19、p=0.42)で安定した測定値を示した(図4(C)参照)。
以上より、髄液中の少量の結核菌DNAを定量的に検出するのに最も適した内部標準プラスミド(M-plasmid)のコピー数として、103コピーを設定した。
(3) 第2段階目のPCRにおける最適なプライマー濃度の設定
髄液から抽出した結核菌DNAと内部標準プラスミド(M-plasmid)は2段階のPCRの過程で共通のプライマーにより同時に増幅されるため、鋳型である結核菌DNAと内部標準プラスミド(M-plasmid)の両者間の濃度勾配が大きい場合には、低濃度(少コピー数)の方の増幅が不良となる(前述)。そこで、プライマー濃度を変化させた場合、W-plasmid(VIC)、M-plasmid(FAM)のCt値がどのように変動するか検討した。すなわち、プライマー濃度(終濃度)は0.9μMとその2倍の1.8μMに設定し、内部標準プラスミド(M-plasmid)は103コピーと104コピーに設定して、それぞれのCt値を検討した。その結果得られた全てのCt値を表2(C)に示す。プライマー濃度を0.9μMに設定した群と1.8μMに設定した群とで両者のCt値をF検定したところ、内部標準プラスミド(M-plasmid)を104コピーとした場合、W-plasmid(VIC)ではF=1.12、p=0.57であり、M-plasmid(FAM)ではF=1.16、p=0.59であった。さらに、内部標準プラスミド(M-plasmid)を103コピーとした場合、W-plasmid(VIC)ではF=0.94、p=0.46であり、M-plasmid(FAM)ではF=1.21、p=0.62であった。
以上の結果から、何れの場合も両群の間に有意差は認められず、従って、プライマー濃度は0.9μMで十分と判断し、最適なプライマー濃度として0.9μMを設定した。
2-4.QNRT-PCR法の結果(図5参照):従来のネスティドPCR法との比較(図6参照)
症例1〜9の入院時に採取した髄液からの抽出産物2μLをそのままテンプレートとして用いて直接TaqMan PCR法を施行し(第1段階目のPCRは施行しない)、VICで解析したところ、症例1,2のみで僅かに増幅が認められたが、定量的解析には不十分であった(図5(A)参照)。また、それ以外の7症例(症例3〜9)では有意な増幅は認められなかった(図5(A)参照)。この結果は、従来のシングルPCR法の結果(症例1、2のみで陽性;図6参照)と完全に一致している。
一方、第1段階目のPCRのサイクル数を35サイクルとしたQNRT-PCR法を施行したところ、全症例で定量的解析に十分な増幅を認めた(図5(B)参照)。また、非TBM 20症例から採取した髄液に対するQNRT-PCR法では、全く増幅が認められず、全て陰性であった。
ここで、QNRT-PCR法で解析及び測定した、全症例(症例1〜9)の入院時(治療前)に採取した髄液中の結核菌DNAの量(コピー数)を図6に示す。
以上の結果から、QNRT-PCR法の入院時(治療前)に採取した髄液に対する結核菌DNAの検出感度と特異性は従来のネスティドPCR法と同等であった(図6)。しかし、このQNRT-PCR法では、結核菌DNAの増幅の過程をリアルタイムで検出できることに加え、その算定されるコピー数を数値で表現することが可能であるため、従来のネスティドPCR法と比較して格段に優れた方法であると言える。

2-5.QNRT-PCR法を用いた各症例の経時的検討、及び従来のネスティドPCR法との比較(表3、図7参照)
結核性髄膜炎の「高度疑い例」7例(症例3〜9)より経時的に採取した総計27髄液検体に対し、従来のネスティドPCR法とQNRT-PCR法を連続的に施行し、両者の比較、及び臨床症状との相関性を検討した。
これまで、結核性髄膜炎の症例に対して経時的に髄液の結核菌DNAに対するネスティドPCR法を施行し、その臨床症状との相関を検討した報告は、本発明者が知る限りでは、Scarpelliniらの報告のみである。Scarpelliniらは、AIDSに合併した結核性髄膜炎の12症例に関してネスティドPCR法の有用性について検討しているが、経時的に髄液を採取し得たのは、このうちの7例であり,その記載も不十分であった。
本実施例においては、本発明者が施行した経時的検討に関しては、培養とシングルPCR法は共に、7症例(症例3〜9)より採取した27髄液検体の全てで陰性であった。
一方、ネスティドPCR法は、27髄液検体中11検体で陽性を示した(表3参照)。従って、抗結核薬治療中の髄液検体に対するネスティドPCR法の陽性率は40.7%であった。また、ネスティドPCR法は7症例の全てで経時的な変化を示し、臨床症状の改善に相関して陰性化する傾向にあった(表3、図7参照)。特に症例7と8では、他の髄液所見や臨床症状の改善に伴い、ネスティドPCR法の陽性バンドが次第に淡くなる現象が認められた(表3、図7D,E参照)。
一方、QNRT-PCR法は、27髄液検体中13検体で結核菌DNAの定量的測定が可能であった。従って、抗結核薬治療中の髄液検体に対する陽性率は48.1%であり、従来のネスティドPCR法よりもさらに高感度であった。また、QNRT-PCR法は7症例の全てで経時的な変化を示し、ネスティドPCR法と同様に臨床症状の改善に相関して結核菌DNAのコピー数が低下し、陰性化する傾向が認められた(表3、図7参照)。特にネスティドPCR法の陽性バンドの濃度が次第に減衰した症例7と8では、QNRT-PCR法でも結核菌DNAのコピー数が次第に減少しており、治療効果をより鋭敏に反映していた(表3、図7D,E参照)。
以上より、QNRT-PCR法では、髄液中の結核菌DNAのコピー数の推移を数値で観察することが可能であり、より的確にその経時的変化を捉え、臨床症状との相関を評価できることが示された。従って、QNRT-PCR法は、バンドの濃淡でのみ臨床症状との相関を論じてきた従来のネスティドPCR法に比べ、格段に進歩的であり、かつ有用性の高い方法であると結論する事ができる。
QNRT-PCR法は、髄液中の結核菌DNAの定量的検出のみならず、他の病原体(例えば、ウィルス、細菌、真菌等)の検出にも有用である。これは市場におけるニーズに対応するものであり、大いなる技術移転の可能性を含んでいる。また、QNRT-PCR法は、病原体以外の核酸にも適用でき、考古学や法医学分野への適用も可能である。
ネスティドPCR法の原理を示した概略図である。特に、本発明では第2段階目のPCRをリアルタイムPCRとしたので,その原理も併せて記載した。 スタンダードプラスミド(W-plasmid)及び内部標準プラスミド(M-plasmid)の構築方法を示した概略図である。 Aは、レポーター色素VICを用いたW-plasmidの検出における標準曲線を示したグラフである。Bは、レポーター色素FAMを用いたM-plasmidの検出における標準曲線を示したグラフである。 QNRT-PCR法における反応条件の最適化を図るための予備実験の結果である。
Aは、第1段階目のPCRのサイクル数を35回に設定した際の、レポーター色素VICを用いたW-plasmidの検出におけるCt値の統計解析結果を示したグラフである。有意水準1%で多重比較検定(Tukey-Kramer test)すると、第1段階目のPCRのサイクル数を35 回に設定した場合でのみ、全てのW-plasmidのコピー数(1〜105コピー)に対するCt値(VIC)に有意差が認められた。
Bは、第1段階目のPCRを35サイクルで施行し,内部標準プラスミド(M-plasmid)を103コピーに設定した際の、レポーター色素VICを用いたW-plasmidの検出におけるCt値の統計解析結果を示したグラフである。有意水準1%で多重比較検定(Tukey-Kramer test)すると、内部標準プラスミドを103コピーに設定した場合でのみ、全てのW-plasmidのコピー数(1〜105コピー)に対するCt値(VIC)に有意差が認められた。
Cは、Bと同じ条件で、レポーター色素FAMを用いた内部標準プラスミド(M-plasmid)の検出におけるCt値の統計解析結果を示したグラフである。有意水準1%で分散分析(One-factor ANOVA)すると、内部標準プラスミドを103コピーに設定した場合が最もCt値(FAM)の分散が均一(F=1.19、p=0.42)で安定した測定値を示した。
実際の症例から採取した髄液サンプルに対するQNRT-PCR法の施行結果を示す。
Aは、症例1〜9の入院時に採取した髄液からの抽出産物2μLをそのままテンプレートとして用いて直接TaqMan PCR法を施行(第1段階目PCRは施行しない)した際のVICで解析結果を示すグラフ(増幅曲線)である。
Bは、Aと同じテンプレートを用い、第1段階目のPCRのサイクル数を35サイクルとしたQNRT-PCR法を施行した際のVICで解析結果を示すグラフ(増幅曲線)である。
QNRT-PCR法で算定した、症例1〜9の入院時に採取した髄液中の結核菌DNAのコピー数を示した図である。同9症例に対する髄液の結核菌培養、従来のシングル及びネスティドPCR法の結果も併せて示した。 QNRT-PCR法を用いた各症例の経時的検討、及び従来のネスティドPCR法との比較を示した図である.「I」がネスティドPCR法の結果を、「II」がQNRT-PCR法の結果を示す。
Aは、症例3 の結果である。レーン1はDNA分子量マーカー、レーン2〜4は陰性コントロール、レーン5は入院時(治療前)、レーン6は1週間後、レーン7は4週間後、レーン8は6週間後、レーン9は8週間後、レーン10は3ヵ月後、レーン11は4ヵ月後、レーン12は5ヵ月後、レーン13は陽性コントロールをそれぞれ示している。
Bは、症例5の結果である。レーン1はDNA分子量マーカー、レーン2〜4は陰性コントロール、レーン5は入院時(治療前)、レーン6は1週間後、レーン7は2週間後、レーン8は4週間後、レーン9は3ヵ月後、レーン10は4ヵ月後, レーン11は5ヵ月後、レーン12は陽性コントロールをそれぞれ示している。
Cは、症例6の結果である。レーン1はDNA分子量マーカー、レーン2〜4は陰性コントロール、レーン5は入院時(治療前)、レーン6は2週間後、レーン7は4週間後、レーン8は6週間後、レーン9は4ヵ月後、レーン10は陽性コントロールをそれぞれ示している。
Dは、症例7の結果である。レーン1はDNA分子量マーカー、レーン2〜4は陰性コントロール、レーン5は入院時(治療前)、レーン6は2週間後、レーン7は6週間後、レーン8は8週間後、レーン9は陽性コントロールをそれぞれ示している。
Eは、症例8の結果である。レーン1はDNA分子量マーカー、レーン2〜4は陰性コントロール、レーン5は入院時(治療前)、レーン6は2週間後、レーン7は4週間後、レーン8は7週間後、レーン9は4ヵ月後、レーン10は陽性コントロールをそれぞれ示している。
配列番号1:プライマー
配列番号2:プライマー
配列番号3:プライマー
配列番号4:プライマー
配列番号5:プローブ
配列番号6:プローブ
配列番号7:プライマー
配列番号8:プライマー

Claims (12)

  1. 外側プライマーセットを用いた第1段階目のPCR及び内側プライマーセットを用いた第2段階目のPCRを行うネスティドPCR法により被験試料中の所望のDNAを定量的に検出する方法であって、第2段階目のPCRとしてリアルタイムPCR法を用いることを特徴とする、前記検出方法。
  2. 前記リアルタイムPCR法がTaqManプローブを用いる方法である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記被験試料中に内部標準プラスミドを含有させ、当該プラスミドと前記所望のDNAとを検出することにより、当該プラスミドの検出量を基準に前記所望のDNAを定量することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記内部標準プラスミドの含有量が1×102〜1×104コピーである、請求項1から3までのいずれかに記載の方法。
  5. 第1段階目のPCRのサイクル数が20〜50サイクルである、請求項1から4までのいずれかに記載の方法。
  6. 前記所望のDNAが結核菌DNAである、請求項1から5までのいずれかに記載の方法。
  7. 前記外側プライマーセットが配列番号1及び2に示される塩基配列からなり、かつ、前記内側プライマーセットが配列番号3及び4に示される塩基配列からなるものである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記TaqManプローブは配列番号5及び6に示される塩基配列に蛍光色素が結合してなるものである、請求項6又は7に記載の方法。
  9. 前記被験試料がヒトの髄液を含有するものである、請求項1から8までのいずれかに記載の方法。
  10. 被験者から髄液を採取し、請求項6から9までのいずれかに記載の方法を用いて、当該髄液中の結核菌DNAを検出することを特徴とする、結核性髄膜炎の診断方法。
  11. 結核性髄膜炎に罹患している被験者から髄液を採取し、請求項6から9までのいずれかに記載の方法を用いて、当該髄液中の結核菌DNAの量をモニタリングする方法。
  12. 配列番号1及び2に示される塩基配列からなる外側プライマーセット、配列番号3及び4に示される塩基配列からなる内側プライマーセット、配列番号5及び6に示される塩基配列に蛍光色素が結合してなるTaqManプローブ、並びに内部標準プラスミドを含有する、結核菌DNAの定量的検出用キット。
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