以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の記憶装置が有する記憶素子の一構成例に関して図面を用いて説明する。
図1には本発明の記憶装置が有する記憶素子のデータの読み込み、書き込み、及び消去の動作方法を示しており、図2〜4には本発明の記憶装置が有する記憶素子の断面構造を示す。
図2(A)に示すように、記憶素子30は、第1の基板31上に形成される第1の導電層32と、第2の基板33上に形成される第2の導電層34と、第1の基板31及び第1の導電層32、並びに第2の基板33及び第2の導電層34に挟持される有機化合物層35とを有する。また、図2(B)に示すように、第1の基板31及び第1の導電層32の表面、第2の基板33及び第2の導電層34表面それぞれに有機化合物層を配向させる配向膜36、37を設けてもよい。配向膜36、37を設けることにより、有機化合物層の相変化を容易に行うことができる。
本発明の記憶素子は、有機化合物層の相転移による有機化合物層の移動度の変化によりデータの記録、読み取り、及び消去を行う。有機化合物層35は、温度により相転移が生じる液晶性の有機半導体を用いる。特に、スメクチック相を有するスメクチック液晶である有機半導体であることが好ましい。このため、図1(B)に示すように、T1>T2>T3>T0の場合、T1以上では、有機化合物層35はアイソトロピック相(以下、Iso相と示す。)、T2以上T1未満ではスメクチック相(以下、Sm相と示す。)、T3以上T2未満では結晶相のように、温度により相転移が生じ、異なる相を示す。また、Sm相においては、SmA相、SmB相、SmC相、SmD相、SmE相、SmF相、SmG相、SmH相等の複数のSm相を有してもよい。
また、本発明の記憶素子の有機化合物層は有機半導体で形成されているため、Iso相ではμ1の移動度を有し、Sm相ではμ2の移動度を有し、結晶相ではμ3の移動度を有する。結晶相は結晶性が高いため移動度が高く、Iso相では分子が等方的なため、移動度が低い。このため、μ1<μ2<μ3である。
また、Sm相がSmA相乃至SmH相の複数の相を有する場合、それぞれ異なる移動度を有する。
次に、データの書き込みを行う際の動作について、図1及び図3を用いて説明する。なお、図1(C)〜(E)において書き込みを行う動作は、移動度の低い有機化合物層を移動度の高い有機化合物層に相転移させてデータを書き込む場合を示す。以下、このような書込み動作を、第1の書き込み動作と示す。また右矢印は書き込みを示し、左矢印は消去を示す。また、図3においては、第1の導電層32、有機化合物層35、及び第2の導電層34で形成される記憶素子30を示す。また、第1の導電層32b、有機化合物層35、及び第2の導電層34で形成される記憶素子30bを示す。また、第1の導電層32c、有機化合物層35、及び第2の導電層34で形成される記憶素子30cを示す。
図1(C)に示すように、Iso相(移動度μ1)から結晶相(移動度μ3)への相転移を利用して、第1の書き込み動作を行う場合について説明する。書込みを行う記憶素子の第1の導電層32及び第2の導電層34にV2以上の電圧を印加しジュール熱を発生させて、有機化合物層35をT1以上まで加熱しIso相にした後、有機化合物層35をT0まで急冷する。このときの有機化合物層はIso相であり、移動度はμ1である。また、V2は消去電圧である(図3(A)参照)。
なお、ここでは有機化合物層35をT1以上まで加熱しIso相にした後、有機化合物層35をT0まで急冷することにより、有機化合物層35をIso相に保つ(固定する)ことが可能である。記憶素子を急冷する冷却手段としては、冷却液体や冷却気体を用いればよく、冷却液体としては液体窒素等、冷却気体としては希ガス等がある。
次に、第1の導電層32及び第2の導電層34にV1以上V2未満の電圧を印加しジュール熱を発生させて、有機化合物層35aをT3以上T2未満とする。なお、V1は書き込み電圧である。この結果、相転移1が生じ、有機化合物層35aは結晶相になり、有機化合物層35aの移動度はμ3に変化する(図1(C)、図3(B)参照)。有機化合物層35aがIso相から結晶相へ転移した記憶素子30は、他の記憶素子30b、30cと比較すると電気抵抗が大幅に小さくなり、電流値が大きくなる。このように、一対の導電層に電圧を印加し、記憶素子の電気抵抗や電流値の変化を利用してデータの書き込みを行う。
次に、図1(C)において、第1の読み出し動作について説明する。第1の導電層32、32b、32c及び第2の導電層34にV1未満の電圧を印加し記憶素子30、30b、30cに電流を流す。このときの各記憶素子の電流値や電気抵抗によって、データの読み取りを行う。例えば、書き込みを行っていない記憶素子30b、30cの有機化合物層はIso相である。このため、有機化合物層35の移動度は低く、記憶素子30b、30cの電気抵抗が高く電流値が低い。このような記憶素子30b、30cを「0」のデータとする。一方、記憶素子30は書き込みが行われ、有機化合物層35aは結晶相のため、有機化合物層35aの移動度が高く、記憶素子30の電気抵抗が低く電流値が高い。このような記憶素子30を「1」のデータとすることができる。このように記憶素子の電気抵抗や電流値の相違を電気的に読み取ることにより、データの読み出しを行う。
次に、図1(C)において、第1の消去を行う動作について説明する。書き込みを行った記憶素子30の第1の導電層32及び第2の導電層34にV2以上の電圧を印加し、それにより発生するジュール熱により有機化合物層35aをT1以上まで加熱する。この結果、相転移2が生じ有機化合物層はIso相になる。次に、有機化合物層をT0まで急冷する(図3(C)参照)。この結果、記憶素子30の有機化合物層の移動度はμ1となり、データを消去することが可能である。
なお、ここでは有機化合物層35aをT1以上まで加熱しIso相にした後、急冷することにより、有機化合物層35aをIso相に保つ(固定する)ことが可能である。
また、図1(D)に示すように、Iso相(移動度μ1)からSm相(移動度μ2)への相転移を利用して書き込みを行ってもよい。上記第1の書き込み動作と同様に、有機化合物層35をIso相とする。次に、選択した記憶素子の第1の導電層32及び第2の導電層34に書き込み電圧V1以上消去電圧V2未満の電圧を印加しジュール熱を発生させて、有機化合物層35aをT2以上T1未満とする。この結果、相転移3が生じ、有機化合物層35aはSm相になり、有機化合物層35aの移動度はμ2に変化する。有機化合物層35aがIso相からSm相へ転移した記憶素子は電気抵抗が大幅に小さくなり、電流値が大きくなる。このように、一対の導電層に電圧を印加し、記憶素子の電気抵抗や電流値の変化を利用してデータの書き込みを行う。
次に、図1(D)において、読み出しを行う動作について説明する。第1の導電層32及び第2の導電層34に書き込み電圧V1未満の電圧を印加し記憶素子30に電流を流す。このときの記憶素子に電圧を印加して電流を流す前後における電流値や電気抵抗の相違を電気的に読み取ることにより、データの読み出しを行う。
次に、図1(D)において、消去を行う動作について説明する。書き込みを行った第1の導電層32及び第2の導電層34に消去電圧V2以上の電圧を印加し、それにより発生するジュール熱により有機化合物層35aをT1以上まで加熱する。この結果、相転移4が生じ有機化合物層35aはIso相になる。次に、有機化合物層35aをT0まで急冷してIso相に固定する。この結果、有機化合物層の移動度はμ1となり、データを消去することが可能である。
また、図1(E)に示すように、Sm相(移動度μ2)から結晶相(移動度μ3)への相転移を利用して書き込みを行ってもよい。上記第1の書き込み動作と同様に、すべての記憶素子の第1の導電層32及び第2の導電層34に電圧を印加しジュール熱を発生させ、有機化合物層35をT2以上T1未満まで加熱しSm相にした後、T0まで急冷しSm相に固定する。このときの有機化合物層35はSm相であり、移動度はμ2である。次に、選択した記憶素子の第1の導電層32及び第2の導電層34に電圧を印加しジュール熱を発生させ、有機化合物層35aをT3以上T2未満とする。この結果、相転移5が生じ、有機化合物層35aは結晶相になり、移動度はμ3に変化する。有機化合物層35aがSm相から結晶相へ転移した記憶素子は電気抵抗が大幅に小さくなり、電流値が大きくなる。このように、一対の導電層に電圧を印加し、記憶素子の電気抵抗や電流値の変化を利用してデータの書き込みを行う。
次に、図1(E)において、読み出しを行う動作について説明する。第1の導電層32及び第2の導電層34に書き込み電圧V1未満の電圧を印加し記憶素子30に電流を流す。このときの電流値や抵抗値によって、データの読み取りを行う。
次に、図1(E)において、消去を行う動作について説明する。書込みを行った記憶素子の第1の導電層32及び第2の導電層34に消去電圧V2以上の電圧を印加し、それにより発生するジュール熱により有機化合物層35aをT2以上T1未満まで加熱する。この結果、相転移6が生じ有機化合物層はSm相になる(図1(E)参照)。次に、有機化合物層をT0まで急冷してSm相を固定する。この結果、記憶素子30の移動度はμ2となり、データを消去することが可能である。
次に、第1の書き込み動作とは異なる第2の書き込み動作について図1(B)、(F)〜(H)を用いて説明する。なお、図1(F)〜(H)において、移動度の高い有機化合物層を移動度の低い有機化合物層に相転移させてデータを書き込む場合を示す。また右矢印は書き込みを示し、左矢印は消去を示す。
図1(F)に示すように、結晶相(移動度μ3)からSm相(移動度μ2)への相転移を利用して、書き込みを行う場合について説明する。選択した記憶素子の第1の導電層32及び第2の導電層34に電圧を印加し電流を流し、結晶相の有機化合物層35をT2以上T1未満まで加熱した後、急冷してSm相を固定する。この結果、相転移7が生じ、有機化合物層35aはSm相になり、移動度はμ2に変化する。即ち、書込みを行わなかった記憶素子と比較して、書込みを行った記憶素子の電気抵抗が上がり電流値が下がる。このように、一対の導電層に電圧を印加し、記憶素子の電気抵抗や電流値の変化を利用してデータの書き込みを行う。
また、図1(F)において、読み出しを行う動作について説明する。第1の導電層32及び第2の導電層34に書き込み電圧V1未満の電圧を印加し記憶素子30に電流を流す。このときの記憶素子の電流値や電気抵抗の相違を電気的に読み取ることにより、データの読み出しを行う。
また、図1(F)において、第1の消去動作とは異なる第2の消去を行う動作について説明する。第2の消去を行う動作は、書込みを行った記憶素子のSm相である有機化合物層35aをT2以上T1未満まで加熱して有機化合物層35aの流動性を高めた後、T3以上T2未満まで徐冷して結晶相を固定する。具体的には、記憶素子の加熱をやめて有機化合物層35aを冷却して、有機化合物層35aをSm相から結晶相へ変化させる。この結果、相転移8が生じ、有機化合物層35は結晶相になり、記憶素子30の移動度はμ3となる。即ち、有機化合物層35aは書き込みを行っていない記憶素子の有機化合物層と同様の相となり、データを消去することが可能である。
また、図1(G)に示すように、結晶相(移動度μ3)からIso相(移動度μ1)への相転移を利用して書き込みを行ってもよい。選択した記憶素子の第1の導電層32及び第2の導電層34に電圧を印加し電流を流し、結晶相の有機化合物層35をT1以上まで加熱した後、急冷してIso相を固定する。この結果、相転移9が生じ、有機化合物層35aはIso相になり、記憶素子30の移動度はμ1に変化する。即ち、書込みを行わなかった記憶素子と比較して、書込みを行った記憶素子の電気抵抗が上がり電流値が下がる。このように、一対の導電層に電圧を印加し、記憶素子の電気抵抗や電流値の変化を利用してデータの書き込みを行う。
また、図1(G)において、読み出しを行う動作について説明する。第1の導電層32及び第2の導電層34に書き込み電圧V1未満の電圧を印加し記憶素子に電流を流す。このときの記憶素子の電流値や電気抵抗の相違を電気的に読み取ることにより、データの読み出しを行う。
また、図1(G)において、消去を行う動作は、書込みを行った記憶素子のIso相である有機化合物層35aをT1以上で加熱して有機化合物層の35a流動性を高めた後、T3以上T2未満まで徐冷して結晶相を固定する。具体的には、記憶素子の加熱をやめて有機化合物層35aを冷却して、有機化合物層35aをIso相から結晶相へ変化させる。この結果、相転移10が生じ、有機化合物層35は結晶相になり、記憶素子30の移動度はμ3となる。即ち、有機化合物層35aは書き込みを行っていない記憶素子の有機化合物層と同様の相となり、データを消去することが可能である。
また、図1(H)に示すように、Sm相(移動度μ2)からIso相(移動度μ1)への相転移を利用して書き込みを行ってもよい。選択した記憶素子の第1の導電層32及び第2の導電層34に電圧を印加し電流を流し、Sm相の有機化合物層35をT1以上まで加熱した後、急冷してIso相を固定する。この結果、相転移11が生じ、有機化合物層35aはIso相になり、記憶素子30の移動度はμ1に変化する。即ち、書込みを行わなかった記憶素子と比較して、書込みを行った記憶素子の電気抵抗が上がり電流値が下がる。このように、一対の導電層に電圧を印加し、記憶素子の電気抵抗や電流値の変化を利用してデータの書き込みを行う。
また、図1(H)において、読み出しを行う動作について説明する。第1の導電層32及び第2の導電層34に書き込み電圧V1未満の電圧を印加し記憶素子に電流を流す。このときの記憶素子の電流値や電気抵抗の相違を電気的に読み取ることにより、データの読み出しを行う。
また、図1(H)において、消去を行う動作は、書込みを行った記憶素子のIso相である有機化合物層35aをT1以上で加熱して有機化合物層の流動性を高めた後、T2以上T1未満まで徐冷してSm相を固定する。具体的には、記憶素子の加熱をやめて有機化合物層35aを冷却して、有機化合物層35aをIso相からSm相へ変化させる。この結果、相転移12が生じ、有機化合物層35はSm相になり、記憶素子30の移動度はμ2となり、即ち、有機化合物層35は書き込み行っていない記憶素子の有機化合物層と同様の相となり、データを消去することが可能である。
さらには、SmA乃至SmHの異なるスメクチック相で相転移させその移動度の変化を用いて、記憶素子の書き込み及び消去を行ってもよい。
以上の構成により、選択された記憶素子の一対の導電層に電圧を印加し、有機化合物層を相転移させることで、データの書き込み及び消去を行うことができる。このため、書き込み及び消去用の装置を別途有する必要がないため、記憶装置の小型化及び簡易化が可能である。
次に、記憶素子の構成について図2及び図3を用いて説明する。第1の基板31及び第2の基板33は、ガラス基板や可撓性基板の他、石英基板、シリコン基板、金属基板、ステンレス基板等を用いることができる。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなるプラスチック基板等が挙げられる。また、熱可塑性を示す樹脂層を有するフィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)を用いることもできる。また、この他にも、Si等の半導体基板上に形成された電界効果トランジスタ(FET)の上部や、ガラス等の基板上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)の上部に記憶素子30を設けることができる。また、第1の基板31及び第2の基板33は、透光性でも遮光性でもよいため、基板の選択幅が広がる。
また、第1の導電層32と第2の導電層34には、導電性の高い金属、合金、化合物等からなる単層または積層構造を用いることができる。代表的には、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す)、または珪素を含有したインジウム錫酸化物、2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を含む酸化インジウム等の透光性酸化導電膜が挙げられる。また、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または当該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)、窒化モリブデン(MoN))等が挙げられる。また、リチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらのいずれかを含む合金(MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Er)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。
有機化合物層35は、半導体の挙動を示す有機化合物(有機半導体)で有り、且つ液晶性を示す化合物を用いる。代表的には、前記一般式(1)〜(13)で表される化合物である。いずれの場合も、m及びnは1〜5までの整数である。また、R1又はR2は、直鎖状又は分岐状アルキル基、アルコキシ基、又は前記一般式(14)で表される不飽和結合を有する基を示す。アルキル基としては、炭素数1〜18であり、具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等があげられる。
なお、R1及びR2は同一の基であっても良く、異なる基であっても良い。
また、前記一般式(1)〜(13)で表される化合物の式中A1乃至A3は、前記一般式(15)〜(24)のいずれか一つ又は複数を示す。なお、A1乃至A3は同一の基であっても良く、異なる基であっても良い。
また、有機化合物層35に用いることが可能な化合物の好ましい代表例としては、下記一般式(25)〜(29)が挙げられる。
有機化合物層35は、公知の液晶注入法や液晶滴下法等により形成することができる。このときの有機化合物層の厚さ、即ち第1の導電層及び第2の導電層の距離は0.5〜6μm、好ましくは1〜2μmが望ましい。
また、図4(A)に示すように、記憶素子30は、図2と比較して第2の基板上に形成される第2の導電層を有さず、第1の基板31上に、第1の導電層32と、第1の導電層32を覆う有機化合物層35と、有機化合物層35を覆う第2の導電層34とを有してもよい。また、ここでは、第2の導電層34を覆うように、保護膜として機能する絶縁層38を設ける。このような構造の記憶素子は、複数の基板を必要とせず、コスト削減が可能である。また、第1の基板及び第2の基板の貼りあわせを行わなくとも記憶素子を形成することが可能であるため、作製工程を簡略化することが可能である。
この様な構造の記憶素子において、有機化合物層35及び第2の導電層34は、蒸着法、電子ビーム蒸着法等により形成することが可能である。このため、有機化合物層の厚さは、10〜300nm、望ましくは50〜200nmであることが好ましい。有機化合物層の厚さが、上記範囲より薄い場合、有機化合物層の均一性が低下し、記憶素子の書き込み・消去特性のばらつきが生じやすい。
蒸着法、電子ビーム蒸着法等により形成する有機化合物層35は、上記した液晶性を有する有機半導体で有り、且つ液晶性を示す化合物において、分子量2000以下、好ましくは分子量1000以下の有機化合物を用いることができる。
保護膜として機能する絶縁層38は、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等で形成されることが好ましい。
また、図4(A)に示す記憶素子30において、第1の導電層32を介して有機化合物層35と反対側に、整流性を有する素子を設けてもよい(図4(B))。整流性を有する素子とは、ゲート電極とドレイン電極が接続されたトランジスタ、またはダイオードである。ここでは、第3の導電層41及び半導体層42で構成されるダイオード44を第1の導電層32に接して設ける。なお、第2の導電層34を介して有機化合物層35と反対側に整流性を有する素子を設けてもよい。さらには、整流性を有する素子は、有機化合物層35と第1の導電層32との間に設けてもよい。また、有機化合物層35と第2の導電層34との間に整流性を有する素子を設けてもよい。ダイオードの代表例としては、PN接合ダイオード、PIN接合を有するダイオードやアバランシェダイオード等が挙げられる。また、他の構成のダイオードを用いてもよい。このように、整流性がある素子を設けることにより、1つの方向にしか電流が流れないために、読み出し誤差が減少し、読み出しマージンが向上する。
また、隣接する各々の記憶素子間において横方向への電界の影響が懸念される場合は、各記憶素子に設けられた各有機化合物層を分離するため、各記憶素子に設けられた各有機化合物層の間に隔壁(絶縁層)を設けてもよい。つまり、各記憶素子ごとに有機化合物層を選択的に設けた構成としてもよい。
また、図4(C)に示すように、第1の導電層32を覆う有機化合物層35を設ける際に、第1の導電層32の段差により生じる有機化合物層35の段切れや各メモリセル間における横方向への電界の影響を防止するために、各記憶素子の第1の導電層32間に隔壁(絶縁層)39を設けてもよい。なお、隔壁(絶縁層)39の断面において、隔壁(絶縁層)39の側面は、第1の導電層32の表面に対して10度以上60度未満、より好ましくは25度以上45度以下の傾斜角度を有することが好ましい。さらには、隔壁(絶縁層)39表面が湾曲していることが好ましい。その後、第1の導電層32および隔壁(絶縁層)39を覆うように、有機化合物層35及び第2の導電層34を形成する。
また、図4(D)に示すように、隔壁(絶縁層)39の代わりに、第1の基板31上の第1の導電層32上に、第1の導電層32の一部を覆う層間絶縁層40aと、層間絶縁層上に設けられた隔壁(絶縁層)40bを設けてもよい。このような層間絶縁層40a及び隔壁(絶縁層)40bを有する記憶素子は、第1の導電層32が第1の方向に延び、第2の導電層34が第1の方向と垂直な第2の方向に延びた構造の場合、特に好ましい。
第1の導電層32の一部を覆う層間絶縁層40aは、各記憶素子30ごとに開口部を有する。また、隔壁(絶縁層)40bは層間絶縁層上で開口部が形成されない領域に設けられる。また、隔壁(絶縁層)40bは、第2の導電層34と同様に第2の方向に伸びる。また、隔壁(絶縁層)40bは、層間絶縁層表面に対して隔壁(絶縁層)40bの側壁の断面が、95度以上135度以下の傾斜角度を有する。
隔壁(絶縁層)40bはフォトリソグラフィ法に従い、未露光部分が残存するポジ型感光性樹脂を用い、パターンの下部がより多くエッチングされるように露光量または現像時間を調節することによって形成する。また、隔壁(絶縁層)40bの高さは、有機化合物層35及び第2の導電層34の厚さより大きく設定する。この結果、第1の基板31全面に有機化合物層35及び第2の導電層34を第1の基板31上に蒸着する工程のみで、有機化合物層35及び第2の導電層34が電気的に独立した複数の領域に分離され、且つ第1の方向と交差する方向に伸長するストライプ状の有機化合物層35及び第2の導電層34を形成することができる。このため、工程数を削減することが可能である。なお、隔壁(絶縁層)40b上にも有機化合物層35a及び導電層34aが形成されるが、有機化合物層35及び第2の導電層34とは分断される。
本実施の形態の記憶装置は、選択された一対の導電層に電圧を印加することでデータを記録及び消去することが可能である。このため、製造時以外に任意の記憶素子を選択的に加熱しデータを書き込み及び消去することが可能である。また、データの書き込みや消去のために別途装置を設ける必要がないため、記憶装置の小型化及び簡易化が可能である。さらには、可撓性を有する基板を用いて記憶素子を形成することで、可撓性を有する記憶装置を作製することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の記憶装置が有する記憶素子の構成例に関して図面を用いて説明する。より具体的には、パッシブマトリクス型の記憶装置の場合に関して示す。
図5(A)に示したのは本実施の形態の記憶装置16の一構成例であり、メモリセル21がマトリクス状に設けられたメモリセルアレイ22、カラムデコーダ26aと読み出し回路26bとセレクタ26cを有するビット線駆動回路26、ロウデコーダ24aとレベルシフタ24bを有するワード線駆動回路24、書き込み回路25、消去回路27等を有し外部とのやりとりを行うインターフェース23を有している。書き込み回路25及び消去回路27は、それぞれ昇圧回路及び制御回路等で構成される。なお、ここで示す記憶装置16の構成はあくまで一例であり、センスアンプ、出力回路、バッファ等の他の回路を有していてもよいし、書き込み回路をビット線駆動回路に設けてもよい。
メモリセル21は、ビット線Bx(1≦x≦m)に接続する第1の導電層と、ワード線Wy(1≦y≦n)に接続する第2の導電層と、有機化合物層とを有する。有機化合物層は、第1の導電層と第2の導電層の間に設けられている。
メモリセルアレイ22の上面構造と断面構造の一例に関して図6に示す。なお、図6(A)はメモリセルアレイ22の上面構造を示しており、図6(A)におけるA−B間の断面構造が図6(B)に対応している。なお、図6(A)において有機化合物層35、第2の基板33は省略している。
メモリセルアレイ22には、メモリセル21がマトリクス状に設けられている(図6(A)参照)。メモリセル21は、記憶素子30を有する(図6(B)参照。)。記憶素子30は、第1の基板31上において第1の方向に延びた第1の導電層32と、第2の基板上において第1の方向と垂直な第2の方向に延びた第2の導電層34と、第1の導電層32及び第2の導電層34に挟持される有機化合物層35とを有する。
記憶素子30は、実施の形態1で示す記憶素子30を適宜適用することができる。
次に、有機メモリにデータの書き込みを行う際の動作について説明する(図5、図6参照)。なお、書き込みはメモリセルの電気特性を変化させることで行うが、メモリセルの初期状態(電気的作用を加えていない状態)をデータ「0」、電気特性を変化させた状態を「1」とする。
データの書き込みを行う場合、メモリセル21にデータ「1」を書き込む場合、カラムデコーダ26a、セレクタ26c、ロウデコーダ24a、レベルシフタ24bによりメモリセル21を選択する。具体的には、ロウデコーダ24a、レベルシフタ24bによって、メモリセル21に接続されるワード線W3に所定の電圧V2を印加する。また、カラムデコーダ26a、セレクタ26cによって、メモリセル21に接続されるビット線B3を書き込み回路25に接続する。そして、書き込み回路25からビット線B3へ書き込み電圧V1を出力する。こうして、当該メモリセル21を構成する第1の導電層と第2の導電層の間には電圧Vw=V1−V2を印加する。メモリセルの第1の導電層32と第2の導電層34との間に第1の電圧を印加すると、第1の導電層32及び第2の導電層34の間の有機化合物層がジュール熱で加熱される。この結果、有機化合物層が第1の相から第2の相へ相転移が起こり、有機化合物層の移動度が変化する。この結果、記憶素子を電気的変化させ、データ「1」の書き込みを行う。(図5(A)参照)。
実施の形態1の第1の書き込み動作方法を用いる場合、有機化合物層が移動度の低い第1の相から移動度の高い第2の相へ相転移した記憶素子は他の記憶素子と比較すると電気抵抗が大幅に小さくなり電流値が大きくなる。このように、電圧印加により、記憶素子の電気抵抗の変化を利用してデータの書き込みを行う。例えば、第1の電圧を印加していない有機化合物層を「0」のデータとする場合、「1」のデータを書き込む際は、所望の記憶素子の一対の導電層に電圧を印加し、有機化合物層の相転移を生じさせ、記憶素子の電気抵抗を小さくし電流値を大きくする。
なお、実施の形態1の第2の書き込み動作を用いる場合、有機化合物層が、移動度の高い第1の相から移動度の低い第2の相へ相転移した記憶素子は他の記憶素子と比較すると電気抵抗が大きくなり電流値が小さくなる。これを応用してデータの書き込みを行ってもよい。
なお、非選択のワード線および非選択のビット線には、接続されるメモリセルにデータ「1」が書き込まれないよう制御する。例えば、非選択のワード線および非選択のビット線を浮遊状態とすればよい。メモリセルを構成する第1の導電層と第2の導電層の間は、ダイオード特性など、選択性を確保できる特性を有する必要がある。
一方、メモリセル21にデータ「0」を書き込む場合は、メモリセル21には電気的作用を加えなければよい。回路動作上は、例えば、「1」を書き込む場合と同様に、カラムデコーダ26a、セレクタ26c、ロウデコーダ24a、レベルシフタ24bによってメモリセル21を選択するが、書き込み回路26bからビット線B3への出力電位を、選択されたワード線W3の電位あるいは非選択ワード線の電位と同程度とし、メモリセル21を構成する第1の導電層と第2の導電層の間に、メモリセル21の電気特性を変化させない程度の電圧を印加すればよい。
次に、有機メモリのデータの消去を行う際の動作について説明する。実施の形態1の第1の消去動作方法を用いてデータの消去を行う場合、ロウデコーダ24a、カラムデコーダ26a、セレクタ26cにより、1つの記憶素子30を選択し、その後、消去回路を用いて、当該メモリセル21のデータを消去する。メモリセルの第1の導電層32と第2の導電層34との間に第2の電圧を印加すると、第1の導電層32及び第2の導電層34の間の有機化合物層がジュール熱で加熱される。この結果、有機化合物層が移動度の高い第2の相から移動度の低い第1の相へ相転移が起こり、有機化合物層の移動度が変化する。この結果、記憶素子の電気抵抗が変化する。
なお、実施の形態1の第1の消去動作方法を用いてデータの消去を行う場合、有機化合物層が、書き込みにより移動度の低い第1の相から移動度の高い第2の相へ相転移した記憶素子は、一度加熱した後徐冷することで有機化合物層が移動度の低い第2の相から移動度の高い第1の相へ相転移が起こり、有機化合物層の移動度が変化する。これを応用してデータの消去を行ってもよい。
有機化合物層が第2の相から第1の相へ相転移した記憶素子は、書き込む前の記憶素子と同様の電気抵抗となる。このように、電圧印加により、記憶素子の電気抵抗の変化を利用してデータの消去を行う。
続いて、有機メモリからデータの読み出しを行う際の動作について説明する。ここでは、読み出し回路26bは、抵抗素子46とセンスアンプ47を含む構成とする。但し、読み出し回路26bの構成は上記構成に制約されず、どのような構成を有していてもよい。
データの読み出しは、第1の導電層32と第2の導電層34の間に電圧を印加して、有機化合物層35の電気抵抗を読み取ることにより行う。例えば、上述したように、電圧印加によりデータの書き込みを行う場合、電圧印加していないときの抵抗値Ra1と、電圧印加して有機化合物が相転移したときの抵抗値Rb1とは、Ra1>Rb1を満たす。このような抵抗値の相違を電気的に読み取ることにより、データの読み出しを行う。
例えば、メモリセルアレイ22が含む複数のメモリセル21から、x列目y行目に配置されたメモリセル21のデータの読み出しを行う場合、まず、ロウデコーダ24a、カラムデコーダ26a、セレクタ26cにより、x列目のビット線Bxと、y行目のワード線Wyを選択する。そうすると、メモリセル21が含む有機化合物層と、抵抗素子46とは、直列に接続された状態となる。このように、直列に接続された2つの抵抗素子の両端に電圧が印加されると、ノードPの電位は、有機化合物層35の抵抗値Ra又はRbに従って、抵抗分割された電位となる。そして、ノードPの電位は、センスアンプ47に供給され、当該センスアンプ47において、「0」と「1」のどちらのデータを有しているかを判別される。その後、センスアンプ47において判別された「0」と「1」のデータを含む信号が外部に供給され、データを読み取ることができる。
上記の方法によると、有機化合物層35の電気抵抗の状態は、抵抗値の相違と抵抗分割を利用して、電圧値で読み取っている。しかしながら、電流値を比較する方法でもよい。これは、例えば、有機化合物層に電圧印加していないときの電流値Ia1と、電圧印加して有機化合物層を相転移させたときの電流値Ib1は、Ia1<Ib1を満たすことを利用するものである。
本実施の形態の記憶装置は、一対の導電層に電圧を印加することでデータを記録及び消去することが可能である。このため、製造時以外に任意の記憶素子を選択的に加熱しデータを書き込み及び消去することが可能である。また、データの書き込みや消去のために別途装置を設ける必要がないため、記憶装置の小型化及び簡易化が可能である。さらには、可撓性を有する基板を用いて記憶素子を形成することで、可撓性を有する記憶装置を作製することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態2とは異なる構成を有する記憶装置について説明する。具体的には、アクティブマトリクス型の記憶装置の場合に関して示す。
図7(A)に示したのは本実施の形態で示す記憶装置の一構成例であり、メモリセル221がマトリクス状に設けられたメモリセルアレイ222、カラムデコーダ226aと読み出し回路226bとセレクタ226cを有するビット線駆動回路226、ロウデコーダ224aとレベルシフタ224bを有するワード線駆動回路224、書き込み回路227、消去回路228等を有し外部とのやりとりを行うインターフェース223を有している。書き込み回路227及び消去回路228は、それぞれ昇圧回路及び制御回路等で構成される。なお、ここで示す記憶装置216の構成はあくまで一例であり、センスアンプ、出力回路、バッファ等の他の回路を有していてもよいし、書き込み回路をビット線駆動回路に設けてもよい。
メモリセル221は、ビット線Bx(1≦x≦m)に接続する第1の配線と、ワード線Wy(1≦y≦n)に接続する第2の配線と、トランジスタ240と、記憶素子241とを有する。記憶素子241は、一対の導電層の間に、有機化合物層が挟まれた構造を有する。
次に、上記構成を有するメモリセルアレイ222の上面図と断面図の一例に関して図8を用いて説明する。なお、図8(A)はメモリセルアレイ222の上面図の一例を示しており、図8(B)は図8(A)におけるA−B間の断面図を示している。なお、図8(A)においては、第2の基板及びその上に形成される第2の導電層を省略している。また、トランジスタ240のソース配線又はドレイン配線に接続される第1の導電層の一部を省略している。
メモリセルアレイ222は、複数のメモリセル221がマトリクス状に設けられている。又、メモリセル221は、第1の基板230上にスイッチング素子として機能するトランジスタ240および当該トランジスタ240に接続された記憶素子241とを有している。記憶素子241は、トランジスタ240を覆う絶縁層249上に形成されると共にトランジスタ240のソース配線又はドレイン配線に接続する第1の導電層243と、第2の基板242上に形成される第2の導電層245と、第1の導電層243及び第2の導電層245に挟持される有機化合物層244とで形成される。また、トランジスタ及び第1の導電層が形成される第1の基板230と、第2の基板242との距離(セルギャップ)を一定にするため、絶縁層249と第2の導電層245との間にスペーサ250を設けてもよい。なお、ここでは、絶縁層105、トランジスタ240、トランジスタ240を覆う絶縁層249、及び第1の導電層243を素子形成層253と示す(図8(A)、図8(B)参照。)。
第1の導電層243及び第2の導電層245は、実施の形態1に示す第1の導電層32及び第2の導電層34の材料及び形成方法を適宜用いることができる。また、トランジスタ240として、薄膜トランジスタを用いている。
トランジスタ240に用いることが可能な薄膜トランジスタの一態様について、図15を参照して説明する。図15(A)はトップゲート型の薄膜トランジスタを適用する一例を示している。第1の基板230上に絶縁層105が設けられ、絶縁層105上に薄膜トランジスタが設けられている。薄膜トランジスタは、絶縁層105上に半導体層1302、ゲート絶縁層として機能することができる絶縁層1303が設けられている。絶縁層1303の上には、半導体層1302に対応してゲート電極1304が形成され、その上層に保護層として機能する絶縁層1305、層間絶縁層として機能する絶縁層248が設けられている。また、半導体層のソース領域及びドレイン領域それぞれに接続するソース配線又はドレイン配線1306が形成される。さらにその上層に、保護層として機能する絶縁層を形成しても良い。
半導体層1302は、結晶構造を有する半導体で形成される層であり、非単結晶半導体若しくは単結晶半導体を用いることができる。特に、非晶質若しくは微結晶質の半導体を、レーザ光の照射により結晶化させた結晶質半導体、加熱処理により結晶化させた結晶性半導体、加熱処理とレーザ光の照射を組み合わせて結晶化させた結晶性半導体を適用することが好ましい。加熱処理においては、シリコン半導体の結晶化を助長する作用のあるニッケルなどの金属元素を用いた結晶化法を適用することができる。
レーザ光を照射して結晶化する場合には、連続発振レーザ光の照射若しくは繰り返し周波数が10MHz以上であって、パルス幅が1ナノ秒以下、好ましくは1乃至100ピコ秒である高繰返周波数超短パルス光を照射することによって、結晶性半導体が溶融した溶融帯を、当該レーザ光の照射方向に連続的に移動させながら結晶化を行うことができる。このような結晶化法により、大粒径であって、結晶粒界が一方向に延びる結晶性半導体を得ることができる。キャリアのドリフト方向を、この結晶粒界が延びる方向に合わせることで、トランジスタにおける電界効果移動度を高めることができる。例えば、400cm2/V・sec以上の移動度を実現することができる。
上記結晶化工程を、ガラス基板の耐熱温度(約600℃)以下の結晶化プロセスを用いる場合、大面積ガラス基板を用いることが可能である。このため、基板あたり大量の半導体装置を作製することが可能であり、低コスト化が可能である。
また、ガラス基板の耐熱温度以上の加熱により、結晶化工程を行い、半導体層1302を形成してもよい。代表的には、絶縁性基板に石英基板を用い、非晶質若しくは微結晶質の半導体を700度以上で加熱して半導体層1302を形成する。この結果、結晶性の高い半導体を形成することが可能である。このため、応答速度や移動度などの特性が良好で、高速な動作が可能な薄膜トランジスタを提供することができる。
ゲート電極1304は金属又は一導電型の不純物を添加した多結晶半導体で形成することができる。金属を用いる場合は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。また、上記した金属を窒化させた金属窒化物を用いることができる。或いは、当該金属窒化物からなる第1層と当該金属から成る第2層とを積層させた構造としても良い。積層構造とする場合には、第1層の端部が第2層の端部より外側に突き出した形状としても良い。このとき第1層を金属窒化物とすることで、バリアメタルとすることができる。すなわち、第2層の金属が、絶縁層1303やその下層の半導体層1302に拡散することを防ぐことができる。
ゲート電極1304の側面には、サイドウォール(側壁スペーサ)1308が形成される。各サイドウォールは、基板上にCVD法により酸化珪素で形成される絶縁層を形成し、該絶縁層をRIE(Reactive ion etching:反応性イオンエッチング)法により異方性エッチングすることで形成できる。
半導体層1302、絶縁層1303、ゲート電極1304などを組み合わせて構成されるトランジスタは、シングルドレイン構造、LDD(低濃度ドレイン)構造、ゲートオーバーラップドレイン構造など各種構造を適用することができる。ここでは、サイドウォールが重畳する半導体層において、低濃度不純物領域1310が形成されるLDD構造の薄膜トランジスタを示す。また、シングルゲート構造、等価的には同電位のゲート電圧が印加されるトランジスタが直列に接続された形となるマルチゲート構造、半導体層を上下にゲート電極で挟むデュアルゲート構造を適用することができる。
絶縁層248は、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンなどの無機絶縁材料、又はアクリル樹脂及びポリイミド樹脂などの有機絶縁材料で形成する。スピン塗布やロールコーターなど塗布法を用いて絶縁層を形成する場合には、有機溶媒中に溶かされた絶縁膜材料を塗布した後、熱処理により酸化シリコンで絶縁層を形成することもできる。例えば、シロキサン結合を含む膜を塗布法により形成しておいて、200乃至400度での熱処理により酸化シリコンで絶縁層を形成することができる。絶縁層248を、塗布法で形成される絶縁層やリフローにより平坦化した絶縁層を用いることで、その層上に形成する配線の断線を防止することができる。また、多層配線を形成する際にも有効に利用することができる。
絶縁層248の上に形成されるソース配線又はドレイン配線1306は、ゲート電極1304と同じ層で形成される配線と交差して設けることが可能であり、多層配線構造を形成している。絶縁層248と同様に機能を有する絶縁層を複数積層して、その層上に配線を形成することで多層配線構造を形成することができる。ソース配線又はドレイン配線1306はチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)との積層構造など、アルミニウム(Al)のような低抵抗材料と、チタン(Ti)やモリブデン(Mo)などの高融点金属材料を用いたバリアメタルとの組み合わせで形成することが好ましい。
図15(B)は、ボトムゲート型の薄膜トランジスタを適用する一例を示している。第1の基板230上に絶縁層105が形成され、その上に薄膜トランジスタが設けられている。薄膜トランジスタには、ゲート電極1304、ゲート絶縁層として機能する絶縁層1303、半導体層1302、チャネル保護層1309、保護層として機能する絶縁層1305、層間絶縁層として機能する絶縁層248が設けられている。さらにその上層には、保護層として機能する絶縁層を形成しても良い。ソース配線又はドレイン配線1306は、絶縁層1305の層上若しくは絶縁層248の層上に形成することができる。なお、ボトムゲート型の薄膜トランジスタの場合は、絶縁層105が形成されなくともよい。
また、第1の基板230が可撓性を有する基板である場合、基板の耐熱温度がガラス基板等の非可撓性基板と比較して低い。このため、薄膜トランジスタは、有機半導体を用いて形成することが好ましい。
ここで、有機半導体を用いる薄膜トランジスタの構造について、図15(C)、(D)を参照して説明する。図15(C)は、スタガ型の有機半導体トランジスタを適用する一例を示している。可撓性を有する基板1401上に有機半導体トランジスタが設けられている。有機半導体トランジスタは、ゲート電極1402、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403、ゲート電極及びゲート絶縁膜として機能する絶縁層と重畳する半導体層1404、半導体層1404に接続するソース配線又はドレイン配線1306が形成されている。なお、半導体層は、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403とソース配線およびドレイン配線1306とに一部挟持されている。
ゲート電極1402は、ゲート電極1304と同様の材料及び手法により、形成することができる。また、液滴吐出法を用い、乾燥・焼成してゲート電極1402を形成することができる。また、可撓性を有する基板上に、微粒子を含むペーストを印刷法により印刷し、乾燥・焼成してゲート電極1402を形成することができる。微粒子の代表例としては、金、銅、金と銀の合金、金と銅の合金、銀と銅の合金、金と銀と銅の合金のいずれかを主成分とする微粒子でもよい。また、インジウム錫酸化物(ITO)などの導電性酸化物を主成分とする微粒子でもよい。
ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403は、絶縁層1303と同様の材料及び手法により形成することができる。但し、有機溶媒中に溶解する絶縁膜材料を塗布した後、熱処理により絶縁層を形成する場合、熱処理温度が可撓性を有する基板の耐熱温度より低い温度で行う。
有機半導体トランジスタの半導体層1404の材料としては、多環芳香族化合物、共役二重結合系化合物、フタロシアニン、電荷移動型錯体等が挙げられる。例えばアントラセン、テトラセン、ペンタセン、6T(ヘキサチオフェン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)、PTCDA(ペリレンカルボン酸無水化物)、NTCDA(ナフタレンカルボン酸無水化物)などを用いることができる。また、有機半導体トランジスタの半導体層1404の材料としては、有機高分子化合物等のπ共役系高分子、カーボンナノチューブ、ポリビニルピリジン、フタロシアニン金属錯体等が挙げられる。特に骨格が共役二重結合から構成されるπ共役系高分子である、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチエニレン、ポリチオフェン誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリパラフェニレン誘導体又はポリパラフェニレンビニレン誘導体を用いると好ましい。
また、有機半導体トランジスタの半導体層の形成方法としては、基板上に膜厚の均一な膜が形成できる方法を用いればよい。厚さは1nm以上1000nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下が望ましい。具体的な方法としては、蒸着法、塗布法、スピンコーティング法、バーコート法、溶液キャスト法、ディップ法、スクリーン印刷法、ロールコーター法又は液滴吐出法を用いることができる。
図15(D)は、コプレナー型の有機半導体トランジスタを適用する一例を示している。可撓性を有する基板1401上に有機半導体トランジスタが設けられている。有機半導体トランジスタは、ゲート電極1402、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403、ソース配線又はドレイン配線1306、ゲート電極及びゲート絶縁層として機能する絶縁層に重畳する半導体層1404が形成されている。また、ソース配線又はドレイン配線1306は、ゲート絶縁層として機能する絶縁層及び半導体層に一部挟持されている。
さらには、薄膜トランジスタや有機半導体トランジスタはスイッチング素子として機能し得るものであれば、どのような構成で設けてもよい。
また、単結晶基板やSOI基板を用いて、トランジスタ240を形成し、その上に記憶素子を設けてもよい。SOI基板はウェハの貼り合わせによる方法や酸素イオンをSi基板内に打ち込むことにより内部に絶縁層を形成するSIMOXと呼ばれる方法を用いて形成すればよい。このような単結晶半導体で形成されるトランジスタは、応答速度や移動度などの特性が良好なために、高速な動作が可能なトランジスタを提供することができる。また、トランジスタは、その特性のバラツキが少ないために、高い信頼性を実現した半導体装置を提供することができる。
絶縁層249は、有機溶媒中に溶かされた絶縁膜材料をスピン塗布やロールコーターなど塗布法を用いて塗布した後、熱処理して形成することが好ましい。この結果、絶縁層249の表面の平坦性を向上させることが可能である。また、トランジスタのソース配線又はドレイン配線1306の位置に関わらず、第1の導電層243を自由に配置することができる。この結果、記憶素子及びトランジスタをより高集積化することが可能となる。
第1の導電層243と第2の導電層245の材料および形成方法は、上記実施の形態1で示した材料および形成方法のいずれかを用いて同様に行うことができる。
また、有機化合物層244は、上記実施の形態1で示した有機化合物層35と同様の材料および形成方法を用いて設けることができる。
また、第1の導電層243と有機化合物層244との間に、整流性を有する素子を設けてもよい。整流性を有する素子とは、ゲート電極とドレイン電極を接続したトランジスタ、又はダイオードである。なお、整流性を有する素子は、有機化合物層244と第2の導電層245との間に設けてもよい。
スペーサ250は、球状、柱状等のスペーサを適宜用いることができる。ここでは、球状スペーサが散布されているが、有機樹脂等を用いて柱状スペーサを絶縁層249又は第2の導電層245上に形成してもよい。
さらには、記憶素子241の代わりに、実施の形態1の図4で示すような、記憶素子の第2の導電層が第2の基板上に形成されず、第1の導電層上に有機化合物層及び第2の導電層が積層された記憶素子を適宜用いることができる。
また、第1の基板230上に剥離層を設け、剥離層上に素子形成層253を形成した後、素子形成層253を剥離層から剥離し、第3の基板461上に接着層462を介して素子形成層253を貼り合わせても良い(図10参照)。なお剥離方法としては、(1)耐熱性の高い第1の基板と素子形成層253の間に剥離層として金属酸化物層を設け、当該金属酸化物層を結晶化により脆弱化して、当該素子形成層253を剥離する方法、(2)耐熱性の高い第1の基板と素子形成層253の間に剥離層として水素を含む非晶質珪素膜を設け、レーザ光の照射により非晶質珪素膜の水素ガスを放出させて耐熱性の高い基板を剥離する方法、または剥離層に非晶質珪素膜を設け、エッチングにより当該非晶質珪素膜を除去することで、当該素子形成層253を剥離する方法、(3)素子形成層253が形成された耐熱性の高い第1の基板を機械的に削除する、又は溶液やNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスによるエッチングで除去する方法、(4)耐熱性の高い第1の基板と素子形成層253の間に剥離層として金属層及び金属酸化物層を設け、当該金属酸化物層を結晶化により脆弱化し、金属層の一部を溶液やNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスによりエッチングで除去した後、脆弱化された金属酸化物層を物理的に剥離する方法等を用いればよい。
また、第3の基板461としては、実施の形態1で示した第1の基板31で示した可撓性基板、熱可塑性を示す樹脂層を有するフィルム等を用いることで、記憶装置の小型、薄型、軽量化を図ることが可能である。
次に、記憶装置216にデータの書き込みを行うときの動作について説明する(図7、図8参照)。
まず、電圧印加によりデータの書き込みを行うときの動作について説明する。ここでは、x列目y行目のメモリセル221にデータの書き込みを行う場合について説明する。この場合、ロウデコーダ224a、カラムデコーダ226a、セレクタ226cにより、x列目のビット線Bxと、y行目のワード線Wyが選択され、x列目y行目のメモリセル221が含むトランジスタ240がオン状態となる。続いて、書き込み回路により、x列目のビット線Bxに、所定の電圧が印加される。x列目のビット線Bxに印加された電圧は、選択された記憶素子の第1の導電層243と接続されており、第1の導電層243と第2の導電層245の間には電位差が生じる。そうすると、有機化合物層244がジュール熱で加熱される。この結果、有機化合物層の相転移が起こり、有機化合物層の移動度が変化する。この結果、記憶素子の電気抵抗が変化する。
実施の形態1の第1の書き込み動作方法を用いる場合、有機化合物層が移動度の低い第1の相から移動度の高い第2の相へ相転移した記憶素子は、他の記憶素子と比較すると電気抵抗が大幅に小さくなり電流値が大きくなる。このように、電圧印加により、記憶素子の電気抵抗の変化を利用してデータの書き込みを行う。例えば、第1の電圧を印加していない有機化合物層を「0」のデータとする場合、「1」のデータを書き込む際は、所望の記憶素子の一対の導電層に電圧を印加し、有機化合物層の相転移を生じさせ、記憶素子の電気抵抗を小さくし電流値を大きくする。
なお、実施の形態1の第2の書き込み動作を用いる場合、有機化合物層が移動度の高い第1の相から移動度の低い第2の相へ相転移した記憶素子は、他の記憶素子と比較すると電気抵抗が大きくなり電流値が小さくなる。これを応用してデータの書き込みを行ってもよい。
次に、電圧印加によりデータの消去を行うときの動作について説明する。実施の形態1の第1の消去動作方法を用いてデータの消去を行う場合、ロウデコーダ224a、カラムデコーダ226a、セレクタ226cにより、x列目のビット線Bxと、y行目のワード線Wyが選択され、x列目y行目のメモリセル221が含むトランジスタ240がオン状態となる。続いて、消去回路により、x列目のビット線Bxに、所定の電圧が印加される。x列目のビット線Bxに印加された電圧は、選択された記憶素子の第1の導電層243と接続されており、第1の導電層243と第2の導電層245の間には電位差が生じる。そうすると、有機化合物層244がジュール熱で加熱される。この結果、有機化合物層が移動度の高い第2の相から移動度の低い第1の相へ相転移が起こり、有機化合物層の移動度が変化する。この結果、記憶素子の電気抵抗が変化する。
なお、実施の形態1の第2の消去動作方法を用いてデータの消去を行う場合、有機化合物層が、書き込みにより移動度の高い第1の相から移動度の低い第2の相へ相転移した記憶素子は、加熱後徐冷することで有機化合物層が移動度の低い第2の相から移動度の高い第1の相へ相転移が起こり、有機化合物層の移動度が変化する。これを応用してデータの消去を行ってもよい。
有機化合物層が第2の相から第1の相へ相転移した記憶素子は、書き込む前の記憶素子と同様の電気抵抗となる。このように、電圧印加により、記憶素子の電気抵抗の変化を利用してデータの消去を行う。
次に、電圧印加により、データの読み出しを行う際の動作について説明する。ここでは、読み出し回路226bは、抵抗素子246とセンスアンプ247を含む構成とする。但し、読み出し回路226bの構成は上記構成に制約されず、どのような構成を有していてもよい。
データの読み出しは、第1の導電層243と第2の導電層245の間に電圧を印加して、有機化合物層244の相の状態を読み取ることにより行う。具体的には、有機化合物層244の抵抗値を電気的に読み取ることにより、データの読み出しを行う。例えば、メモリセルアレイ222が含む複数のメモリセル221から、x列目y行目のメモリセル221のデータの読み出しを行う場合、まず、ロウデコーダ224a、カラムデコーダ226a、セレクタ226cにより、x列目のビット線Bxと、y行目のワード線Wyを選択する。そうすると、x列目y行目に配置されたメモリセル221が含むトランジスタ240がオン状態になる。
その後、メモリセル221が含む記憶素子241と、抵抗素子246とは、直列に接続された状態となる。このとき、記憶素子241は1つの抵抗素子として見なすことができ、このように、直列に接続された2つの抵抗素子の両端に電圧が印加されると、ノードPの電位は、記憶素子241の抵抗値Ra又はRbに従って、抵抗分割された電位となる。そして、ノードPの電位は、センスアンプ247に供給され、当該センスアンプ247において、「0」と「1」のどちらのデータを有しているかを判別される。その後、センスアンプ247において判別された「0」と「1」のデータを含む信号が外部に供給される。
次に、抵抗素子としてトランジスタを用いた場合において、電圧印加により記憶素子のデータの読み出しを行う際の動作について、図11に具体例を挙げて説明する。
図11は、書き込みを行っていない記憶素子、即ち「0」のデータの記憶素子の電流電圧特性951と、「1」のデータの書き込みを行った記憶素子の電流電圧特性952と、抵抗素子246の電流電圧特性953を示しており、ここでは抵抗素子246としてトランジスタを用いた場合を示す。
図11において、「0」のデータの記憶素子を有するメモリセルでは、記憶素子の電流電圧特性951とトランジスタの電流電圧特性953との交点954が動作点となり、このときのノードPの電位はV2(V)となる。ノードPの電位はセンスアンプ247に供給され、当該センスアンプ247において、上記メモリセルが記憶するデータは、「0」と判別される。
一方、「1」のデータの書き込みが行われた記憶素子を有するメモリセルでは、記憶素子の電流電圧特性952とトランジスタの電流電圧特性953との交点955が動作点となり、このときのノードPの電位はV1(V)(V1<V2)となる。ノードPの電位はセンスアンプ247に供給され、当該センスアンプ247において、上記メモリセルが記憶するデータは、「1」と判別される。
このように、記憶素子241の抵抗値に従って、抵抗分割された電位を読み取ることによって、メモリセルに記憶されたデータを判別することができる。
上記の方法によると、記憶素子241の抵抗値の相違と抵抗分割を利用して、データを電圧値で読み取っている。しかしながら、記憶素子241が有するデータを、電流値により読み取ってもよい。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
本実施の形態の記憶装置は、一対の導電層に電圧を印加することでデータを記録及び消去することが可能である。このため、製造時以外に任意の記憶素子を選択的に加熱しデータを書き込み及び消去することが可能である。また、データの書き込みや消去のために別途装置を設ける必要がないため、記憶装置の小型化及び簡易化が可能である。さらには、可撓性を有する基板を用いて記憶素子を形成することで、可撓性を有する記憶装置を作製することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で示す記憶装置を有する半導体装置の一例に関して図面を用いて説明する。
本実施の形態で示す半導体装置は、非接触でデータの読み出しと書き込みが可能であることを特徴としており、データの伝送形式は、一対のコイルを対向に配置して相互誘導によって交信を行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用して交信する電波方式の3つに大別されるが、いずれの方式を用いてもよい。
複数の素子および記憶素子が設けられた基板上にアンテナを設ける場合の半導体装置の一構成例を図9を用いて説明する。
図9(A)はパッシブマトリクス型で構成される記憶回路を有する半導体装置を示している。半導体装置は、第1の基板230上に形成されたトランジスタ451、452、トランジスタを覆う絶縁層249、絶縁層249上に形成されトランジスタ452に接続する記憶素子の第1の導電層371a〜371c、及びアンテナとして機能する導電層353を有する素子形成層351と、第2の基板242に形成された第2の導電層363と、第1の導電層371a〜371c及び第2の導電層363に挟持される有機化合物層364で形成される。また、記憶素子は、第1の導電層371a〜371c、第2の導電層363、及び第1の導電層371a〜371cと第2の導電層363に挟持される有機化合物層364で形成される。また、絶縁層249と第2の導電層363との間にスペーサ250を設けてもよい。
なおトランジスタ451は、半導体装置の電源回路、クロック発生回路、データ復調/変調回路、制御回路、インターフェース回路のいずれかを構成し、トランジスタ452は記憶素子の第1の導電層371a〜371cの電位を制御する。
アンテナとして機能する導電層353は、トランジスタのソース配線およびドレイン配線と同じ層で形成される。なお、この構成に限られずアンテナとして機能する導電層353を、トランジスタの下方や上方の層に形成してもよい。この場合、アンテナとして機能する導電層353の材料としては、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)等から選ばれた一種の元素または当該元素を複数含む合金等を用いることができる。また、アンテナとして機能する導電層353の形成方法は、蒸着、スパッタ、CVD法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の各種印刷法または液滴吐出法等を用いることができる。
記憶素子部352は複数の記憶素子352a〜352cを有する。また、記憶素子352aは、絶縁層249上に形成される第1の導電層371aと、有機化合物層364と、第2の基板242上に形成される第2の導電層363とを有する。また、記憶素子352bは、絶縁層249上に形成される第1の導電層371bと、有機化合物層364と、第2の基板242上に形成される第2の導電層363とを有する。また、記憶素子352cは、絶縁層249上に形成される第1の導電層371cと、有機化合物層364と、第2の基板242上に形成される第2の導電層363とを有する。第1の導電層371a〜371cは、トランジスタ452のソース配線又はドレイン配線に接続されている。
また、記憶素子部352は上記実施の形態で示した記憶素子と同様の構造、材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。
また、記憶素子部352において、上記実施の形態で示したように、第1の導電層371a〜371cと有機化合物層364との間、または有機化合物層364と第2の導電層363との間に整流性を有する素子を設けてもよい。整流性を有する素子は、実施の形態1で上述したものを用いることが可能である。
素子形成層351に含まれるトランジスタ451、452は、実施の形態3で示すトランジスタ240を適宜用いることができる。
また、第1の基板230上に剥離層、素子形成層351を形成し、実施の形態3に示す剥離方法を適宜用いて素子形成層351を剥離し、基板上に接着層を用いて貼り付けてもよい。第1の基板としては、実施の形態1の第1の基板31で示した可撓性基板、熱可塑性樹脂層を有するフィルム等を用いることで、記憶装置の小型、薄型、軽量化を図ることが可能である。
また、トランジスタに接続するセンサを設けてもよい。センサとしては、温度、湿度、照度、ガス(気体)、重力、圧力、音(振動)、または加速度を物理的又は化学的手段により検出する素子が挙げられる。センサは、代表的には抵抗素子、容量結合素子、誘導結合素子、光起電力素子、光電変換素子、熱起電力素子、トランジスタ、サーミスタ、ダイオードなどの半導体素子で形成される。
図9(B)にアクティブマトリクス型の記憶回路を有する半導体装置の一例を示す。なお、図9(B)については、図9(A)と異なる部分に関して説明する。
図9(B)に示す半導体装置は、第1の基板230上に形成されたトランジスタ451〜453、トランジスタを覆う絶縁層249、絶縁層249上に形成されトランジスタ452に接続する記憶素子356aの第1の導電層371a、トランジスタ453に接続する記憶素子356bの第1の導電層371b、トランジスタ451〜453を覆う絶縁層249、及びアンテナとして機能する導電層353を有する素子形成層351と、第2の基板242に形成された第2の導電層363と、第1の導電層371a、371b及び第2の導電層363に挟持される有機化合物層364とで形成される。また、記憶素子部356は、記憶素子356a、356bで構成される。記憶素子356aは、第1の導電層371aと、第2の導電層363と、第1の導電層371a及び第2の導電層363に挟持される有機化合物層364とで形成される。記憶素子356bは、第1の導電層371b、第2の導電層363と、第1の導電層371b及び第2の導電層363に挟持される有機化合物層364とで形成される。また、絶縁層249と第2の導電層363との間にスペーサ250を設けてもよい。
なお、第1の導電層371a、第1の導電層371bは、それぞれトランジスタのソース配線またはドレイン配線に接続されている。すなわち、記憶素子毎にトランジスタが設けられている。
また、記憶素子356a、356bは上記実施の形態で示した構造、材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。また、記憶素子356a、356bにおいても、上述したように、第1の導電層371a、371bと有機化合物層364との間、または有機化合物層364と第2の導電層363との間に整流性を有する素子を設けてもよい。
第1の基板230上に剥離層、素子形成層351を形成し、実施の形態3に示す剥離方法を適宜用いて素子形成層351を剥離し、可撓性を有する基板上に接着層を用いて貼り付けてもよい。
なお、トランジスタに接続するセンサを設けてもよい。センサとしては、温度、湿度、照度、ガス(気体)、重力、圧力、音(振動)、加速度、その他の特性を物理的又は化学的手段により検出する素子が挙げられる。センサは、代表的には抵抗素子、容量結合素子、誘導結合素子、光起電力素子、光電変換素子、熱起電力素子、トランジスタ、サーミスタ、ダイオードなどの半導体素子で形成される。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
本実施の形態により安価な半導体装置を提供することが可能となる。また、可撓性を有する基板を用いて記憶素子を形成することで、可撓性を有する半導体装置を作製することが可能である。