本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いながら説明する。但し、本発明は以下の形態に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態1〜9は自由に組み合わせて用いることができる。
(実施の形態1)
本実施の形態では、高密度プラズマ装置を用いてTFTを作製する工程を、図1、図2及び図15を用いながら説明する。
まず、図1(A)に示すように、絶縁基板101の上に下地膜102を形成する。絶縁基板101は、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミック基板等を用いることができる。また、プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、一般的に上記基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。また、絶縁基板101の表面をCMP法などによって研磨し、平坦化しておいてもよい。また、絶縁基板101として、ガラス基板を用いた場合、ガラス基板表面を高密度プラズマ装置を用いて窒化し、ガラス基板上に窒化珪素膜を形成してもよい。高密度プラズマ装置を用いて窒化することにより形成された窒化珪素膜は下地膜の一部として用いることができる。
また、下地膜102の成膜方法は、プラズマCVD法や低圧CVD法に代表されるCVD法、スパッタ法などの公知の方法を用いればよい。また、下地膜としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜のいずれか一を用いる単層構造としてもよいし、これらを適宜積層する構造としてもよい。なお、本明細書中において、酸化窒化珪素とは酸素の組成比が窒素の組成比より大きい物質のことを指し、窒素を含む酸化珪素ということもできる。また、本明細書中において、窒化酸化珪素とは窒素の組成比が酸素の組成比より大きい物質のことを指し、酸素を含む窒化珪素ということもできる。本実施の形態では、下地膜として、窒化酸化珪素膜を50nm、酸化窒化珪素膜を100nm積層する構成とする。ここで、下地膜表面に対して窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行ってもよい。
次に、下地膜102の上に半導体膜103を形成する。半導体膜103としては、非晶質半導体膜を形成すればよいが、微結晶半導体膜や結晶性半導体膜を形成してもよい。また、半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(SiGe)を用いるとよい。本実施の形態では、多晶質珪素膜を54nm形成する。なお、半導体膜を形成した後に、半導体膜に含まれる水素を除去する工程を行ってもよい。具体的には、500℃で1時間加熱すればよい。
また、下地膜102と半導体膜103を形成する際に、下地膜102と半導体膜103との界面が大気に曝されないようにすると、界面の汚染を防ぐことが可能となり、作製されるTFTの特性のバラツキを低減させることができる。本実施の形態では、下地膜102と半導体膜103を、プラズマCVD法を用いて大気に曝さずに連続して形成する。
次に、半導体膜103をレーザー結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を促進する元素を用いた熱結晶化方法などにより結晶化し結晶性半導体膜104を形成する。また、他にも結晶化の方法として、他にもDCバイアスを印加して熱プラズマを発生することにより、当該熱プラズマを半導体膜に作用することによって結晶化してもよい。ここで、結晶化の後に、ボロン(B)などのp型の導電型を付与する不純物を結晶性半導体膜104の全面にドーピングして、TFTのチャネル形成領域となる領域にチャネルドープし、TFTのしきい値電圧を制御するようにしてもよい。
次に、図1(B)に示すように、結晶性半導体膜104をパターニングした後、ゲート絶縁膜105を形成する。ゲート絶縁膜105は、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜のいずれか一を用いる単層構造としてもよいし、これらを適宜積層する構造としてもよい。本実施の形態では、酸化珪素膜を110nm積層する構成とする。
次に、図1(C)に示すように、ゲート絶縁膜105の上にゲート電極106を形成する。ゲート電極の材料として、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)などを使用することができ、これらの材料の単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。本実施の形態では、モリブデンを単層で用いる。
次に、高密度プラズマ装置において生成された高密度プラズマによりゲート電極106の表面に窒化膜を形成する。そのためには、窒素を含む雰囲気中でゲート電極106表面に対して高密度プラズマ処理を行えばよい。本実施の形態では、図1(C)に示すようにゲート電極106の表面に窒化モリブデン膜115が形成される。高密度プラズマ処理のとき、プラズマは高い周波数のマイクロ波、たとえば2.45GHzのマイクロ波を使うことによって生成される。窒素もしくは窒素を含むガスをプラズマ励起によって活性化し、これらをゲート電極の材料と直接反応させゲート電極上に窒化モリブデン膜115を形成する。プラズマ生成の際には、窒素(N2)と希ガスとの混合ガス、アンモニア(NH3)と希ガスとの混合ガス、窒素と水素(H2)と希ガスとの混合ガス等を用いることができる。希ガスとしてヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)のうち少なくとも1つを用いればよい。高密度プラズマ装置を用いて形成された窒化膜中には、該混合ガス中に含まれる希ガス元素が含まれている。
ゲート電極106表面を窒化モリブデン膜115で覆うことにより、ゲート電極106の耐熱性が向上し、窒化モリブデン膜で覆われない場合より高温で基板を加熱処理することが可能となる。成膜時の処理温度が低すぎる場合は膜欠陥が生じる問題があるが、窒化モリブデン膜で覆うことにより、処理に十分な温度で加熱することができ、膜欠陥が低減し、TFTの信頼性を向上させることができる。さらに、ゲート電極を窒化膜で覆うことにより、ゲート電極の酸化を抑えることができる。従来のプラズマ処理の場合、膜表面への電荷の帯電により膜損傷が生じるという問題があるが、低電子温度を特徴とする高密度プラズマ処理の場合、活性種の運動エネルギーが低いため、従来のプラズマ処理に比べプラズマダメージが少なく欠陥の少ない膜を形成することができ、半導体装置の信頼性をさらに向上させることができる。
ここで、窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行う場合の高密度プラズマ処理装置について図15を用いて説明する。まず、処理室内を真空にし、ガス導入源65から窒素を含むガスを導入する。本実施の形態では、アンモニア(NH3)とアルゴン(Ar)との混合ガスを導入する。なお、その場合、アンモニアを20〜2000sccm、アルゴンを100〜10000sccmとして導入すればよい。また、窒素とアルゴンとの混合ガスを用いる場合は、窒素を20〜2000sccm、アルゴンを100〜10000sccmとして導入すればよい。また、窒素と水素とアルゴンとの混合ガスを用いる場合は、窒素を20〜2000sccm、水素を1〜500sccm、アルゴンを100〜10000sccmとして導入すればよい。次に、ゲート電極106まで形成された絶縁基板101を加熱機構を有する支持台64に設置し、絶縁基板101を400℃に加熱する。加熱温度は200℃〜550℃の範囲内(好ましくは250℃以上)であればよい。絶縁基板101としてプラスチック基板を用いる場合は、ガラス転移点が200℃以上のものを用い、そのプラスチック基板をガラス転移点未満の温度に加熱する。絶縁基板101とアンテナ62との間隔は、20〜80mm(好ましくは20〜60mm)の範囲内とする。
次に、導波管60からアンテナ62にマイクロ波を供給する。本実施の形態では、周波数2.45GHzのマイクロ波を供給する。そして、マイクロ波をアンテナ62から処理室内に設けられた誘電体板63を通して処理室内に導入し、NH3ガスとArガスとが混合された高密度プラズマ66を生成する。NH3ガスとArガスとが混合された高密度プラズマ66中で生成されたNHラジカルとゲート電極材料とが反応してゲート電極106表面に窒化膜が形成される。本実施の形態では、ゲート電極にモリブデンを用いているため、ゲート電極表面に窒化モリブデン膜が形成される。本工程で使用されたNH3ガスとArガスとは、排気口67から処理室外へ排気される。
図15に示す装置により生成されるプラズマは、低電子温度(1.5eV以下(好ましくは0.5eV以上1.5eV以下))でかつ高電子密度(1.0×1011cm−3以上(好ましくは1.0×1011cm−3以上1.0×1013cm−3以下)であるので、プラズマダメージが非常に少ない緻密な窒化膜を低温で形成することができる。
次に、ゲート電極106をマスクとして、ボロン(B)などのp型の導電型を付与する不純物を結晶性半導体膜104にドーピングする。本工程により、TFTのソース領域及びドレイン領域を自己整合的に形成することができる。なお、本実施の形態では、公知のドーピング方法により、TFTのチャネル形成領域とソース領域及びドレイン領域との間に低濃度不純物領域(LDD領域)を形成しているが、低濃度不純物領域を設けない構成としてもよい。また、半導体膜の上方または下方に設けられるゲート電極の側面と接するように絶縁膜(サイドウォール)を形成してもよいし、ソース/ドレイン領域とゲート電極の一方または両方に、ニッケル、モリブデンまたはコバルト等のシリサイド層を形成してもよい。
また、ドーピングを行った後、不純物領域にドーピングされた不純物元素を活性化するために、500度以上の加熱処理、強光の照射、又はレーザー光の照射を行ってもよい。これにより、不純物元素の活性化だけでなく、ゲート絶縁膜105へのプラズマダメージやゲート絶縁膜105と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
また、前記活性化後に、ゲート絶縁膜に対して、水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行ってもよい。高密度プラズマ処理により、ゲート絶縁膜に水素を含ませた後、300〜550℃(より好ましくは350〜450℃)で1〜12時間の熱処理を行うことで、パターニングされた結晶性半導体膜104(半導体層)を水素化する工程を行うことが好ましい。また、300〜550℃(より好ましくは350〜450℃)の温度で加熱しながら高密度プラズマ処理を行うことで、ゲート絶縁膜の水素化と同時に結晶性半導体膜を水素化することができる。本工程を行うことにより、ゲート絶縁膜に含まれている水素により半導体層のダングリングボンドを終端することができる。本実施の形態では、410℃で1時間加熱処理を行う。高密度プラズマ装置を用いた水素化のときは、水素と希ガスとの混合ガス、又はアンモニアと希ガスとの混合ガス等を用いればよい。本実施の形態では、水素とアルゴンの混合ガスを用いる。
次に、図1(D)に示すように、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106上に第1の層間絶縁膜107を形成する。第1の層間絶縁膜107としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又は珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素に結合されている水素がメチルやフェニルのような有機基に置換された有機シロキサン系の絶縁性材料を用いることができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成してもよい。また、これらを組み合わせて積層した膜を用いてもよい。本実施の形態では、第1の層間絶縁膜107を2層構造とする。第1層目の絶縁膜は保護膜として、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜を用いればよい。ここでは、第1層目に膜厚100nmの窒化珪素膜を用い、第2層目の絶縁膜として膜厚900nmの酸化窒化珪素膜を用いた。
本実施の形態において、前記活性化後に水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うかわりに、第1層目の絶縁膜形成後に水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行って半導体層のダングリングボンドを終端化してもよい。その場合、水素と希ガス、又はアンモニアと希ガスとを用いればよい。本工程を行うことにより、第1層目の絶縁膜が水素化され、第1層目の絶縁膜中に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端することができる。
次に、図1(D)に示すように、第1の層間絶縁膜107上にレジスト118を形成する。次に、レジスト118をマスクとして、図1(E)に示すように、TFTのソース領域及びドレイン領域に達するように、第1の層間絶縁膜107にコンタクトホールを形成する。コンタクトホールの形状は、テーパー状にするとよい。コンタクトホール形成後に、アッシング法又はレジスト剥離法を用いてレジスト118を除去する。アッシング法は酸素プラズマでレジストパターンを炭酸ガスに分解する方法で、気相状態でのレジスト除去方法である。一方、レジスト剥離法は所定温度(60〜90℃程度)に温調された有機系のレジスト剥離液中に基板を浸漬処理することで、レジスト剥離液の溶解作用を利用してレジストを溶解除去する方法で、液相状態でのレジスト除去方法である。ここで、レジスト剥離法を用いた場合、レジスト118を除去する前に、レジスト及び第1の層間絶縁膜107に対して、窒素を含む雰囲気中又は酸素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことが好ましい。高密度プラズマ処理を行うことでコンタクトホールの側面及び底面、つまり第1の層間絶縁膜の側面及び半導体膜104の開口部に面している表面に窒化膜又は酸化膜が形成される。コンタクトホールの側面に形成された窒化膜又は酸化膜が保護膜となり、基板をレジスト剥離液に浸漬した際に第1の層間絶縁膜107の内部に水分が浸入するのを防ぐことができる。
レジスト118を除去した後、異方性エッチングを行い、結晶性半導体膜104表面に形成された窒化膜又は酸化膜を除去する。結晶性半導体膜104上に形成された窒化膜又は酸化膜を除去することで、半導体膜と後に形成する配線のコンタクトを良好にするためである。
次に、コンタクトホールを覆うように、配線108(電極)を形成する。配線108は、ソース電極またはドレイン電極として機能する。配線108としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba、Cr等の金属若しくはその合金、またはその金属窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としてもよい。本実施の形態では、チタン(Ti)を100nm形成し、アルミニウム(Al)を700nm形成し、チタン(Ti)を200nm形成し、所望な形状にパターニングする。
ここで、配線108形成後に、高密度プラズマ装置を用いて配線表面を窒化し、配線表面に金属窒化膜を形成してもよい。本実施の形態において窒化処理した場合、チタン膜の側面には緻密な窒化チタン(TiNX)膜が形成され、アルミニウム膜の側面には緻密な窒化アルミニウム(AlNX)膜が形成される。高密度プラズマ装置を用いて窒化することにより配線表面が緻密な金属窒化膜で覆われ、配線の耐熱性及び信頼性が向上する。配線108表面に金属窒化膜を形成することで、マイグレーションが抑制され、配線の断線等を抑えることができ、TFTの信頼性を向上することができる。
また、配線108形成のとき、一層目のチタン(Ti)膜を形成した後に窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行い、Ti膜表面(一層目のTi膜とAl膜の間)にTiN膜を形成することが好ましい。その場合、配線は、チタン(Ti)膜、窒化チタン(TiNX)膜、アルミニウム(Al)膜、チタン(Ti)膜を順次積層した4層構造となる。高温での処理が必要な場合、TiとAlが反応して合金化し、Alが半導体膜中へ拡散する恐れがある。しかし、ここでTiN膜を設けることにより、AlがTiを突き破って半導体膜中へ拡散することを防ぐことができる。さらに、高密度プラズマ処理によりTiN膜を形成しているため、工程を簡略化することができる。また、好ましくは、チタン膜、窒化チタン膜、アルミニウム膜、チタン膜は、大気に曝すことなく、連続して形成することが好ましい。
また、窒素を含む雰囲気中での高密度プラズマ処理するかわりに、酸素(もしくは酸素を含むガス)雰囲気中で高密度プラズマ処理を行ってもよい。その場合、酸素(O2)と希ガスとの混合ガス、又は酸素と水素(H2)と希ガスとの混合ガス等を用いればよい。希ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンのうち少なくとも1つを用いればよい。なお、ここで酸素と水素と希ガスとの混合ガスにおいて希ガスとしてアルゴンを用いる場合、酸素を0.1〜100sccm、水素を0.1〜100sccm、アルゴンを100〜5000sccmとして導入すればよい。なお、酸素:水素:アルゴン=1:1:100の比率で混合ガスを導入することが好ましい。例えば、酸素を5sccm、水素を5sccm、アルゴンを500sccmとして導入すればよい。また、酸素(O2)と希ガスとの混合ガスにおいて希ガスとしてアルゴンを用いる場合は、酸素を0.1〜100sccm、アルゴンを100〜5000sccmとして導入すればよい。なお、酸素:アルゴン=1:100の比率で混合ガスを導入することが好ましい。また、酸素(もしくは酸素を含むガス)雰囲気中で高密度プラズマ処理を行う場合、水素の酸素に対する比の値が0〜1.5となるように導入することが好ましい。高密度プラズマ装置を用いて酸化する場合も、生成されるプラズマは低電子温度(1.5eV以下(好ましくは0.5eV以上1.5eV以下))でかつ高電子密度(1.0×1011cm−3以上(好ましくは1.0×1011cm−3以上1.0×1013cm−3以下))であるので、プラズマダメージが非常に少ない酸化膜を低温で形成することができる。高密度プラズマ装置を用いて酸化することにより形成された金属酸化膜中には、該混合ガス中に含まれる希ガス元素が含まれている。
次に、図2(A)に示すように、第1の層間絶縁膜107及び配線108上に第2の層間絶縁膜109を形成する。第2の層間絶縁膜109としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又は珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素に結合されている水素がメチルやフェニルのような有機基に置換された有機シロキサン系の絶縁性材料を用いることができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成してもよい。また、これらを組み合わせて積層した膜を用いてもよい。
本実施の形態では絶縁膜の材料として、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるシロキサンを用いる。置換基として少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素等)が用いられる。また、置換基としてフルオロ基、又は少なくとも水素を含む有機基とフルオロ基とを用いてもよい。本実施の形態では、シロキサンを焼成することで絶縁膜を形成する。焼成した後の膜は、アルキル基を含む酸化珪素膜(SiOx膜)とも呼べる。このアルキル基を含む酸化珪素膜(SiOx膜)は、高い光透過性を有しており、300℃以上の加熱処理にも耐えうるものである。また、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜なども適宜組み合わせることも可能である。
ここで、シロキサンを焼成して絶縁膜を形成する方法について説明する。まず、純水での洗浄を行った後、濡れ性を向上させるためにシンナープリウェット処理を行い、シリコン(Si)と酸素(O)との結合を有する低分子成分(前駆体)を溶媒に溶解させた絶縁性材料を含む組成物を基板上に塗布装置から塗布する。本実施の形態では、シロキサンを20〜40%含み、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを溶媒とした樹脂を塗布する。その後、基板とともに組成物を加熱し、溶媒の揮発(蒸発)と低分子成分の架橋反応とを進行させることによって、絶縁膜を得ることができる。そして、塗布膜が形成された基板端面周辺部の塗布膜を除去する。なお、膜厚は、スピン回転数、回転時間、塗布材料液である絶縁性材料を含む組成物の濃度および粘度によって制御する。本実施の形態では、塗布条件を、40ml吐出後に17秒間の間1000rpmの回転数とする。そして、前記樹脂を塗布した後に加熱処理を行い、絶縁膜を形成する。加熱処理の条件として、例えば、大気圧または減圧下で、350℃で1時間加熱処理を行えばよい。本実施の形態では、層間絶縁膜109は、最も厚い部位で1.5μm以上、最も薄い部位で0.4μmである。この膜厚の最も厚い部位は、配線108のコンタクト部や、配線108の周辺部であり、最も薄い部位は、配線108の上部である。
次に、第2の層間絶縁膜109上にレジスト119を形成する。次にレジスト119をマスクとして、第2の層間絶縁膜109にコンタクトホールを形成する。コンタクトホール形成後に、アッシング法又はレジスト剥離法を用いてレジスト119を除去する。ここで、レジスト剥離法を用いた場合、レジスト119を除去する前に、レジスト及び第2の層間絶縁膜109に対して、窒素を含む雰囲気中又は酸素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことが好ましい。高密度プラズマ処理を行うことでコンタクトホールの側面及び底面、つまり第2の層間絶縁膜の側面及び配線108の開口部に面している表面に窒化膜又は酸化膜が形成される。コンタクトホールの側面に形成された窒化膜又は酸化膜が保護膜となり、基板をレジスト剥離液に浸漬した際に第2の層間絶縁膜109の内部に水分が浸入するのを防ぐことができる。レジスト119を除去した後、異方性エッチングを行い、配線108表面に形成された窒化膜又は酸化膜を除去してもよい。配線108上に形成された窒化膜又は酸化膜を除去することで、配線と後に形成する第1の電極とのコンタクトを良好にすることができる。
次に、該コンタクトホールを介して配線108に電気的に接続するための第1の電極110を形成する。第1の電極110としては、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(酸化珪素を含むインジウム錫酸化物ともいう。以下、「ITSO」という。)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物などを用いることができる。また、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成された酸化インジウム酸化亜鉛などの透明導電膜を用いることもできる。また、上記透明導電膜の他に、窒化チタン膜またはチタン膜を用いてもよい。この場合、透明導電膜を成膜した後に、窒化チタン膜またはチタン膜を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは5〜30nm程度)で成膜する。本実施の形態では、電極110としてITSO膜を110nm形成する。
また、第1の電極110は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨してもよい。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極110の表面に高密度プラズマ装置を利用した酸化プラズマ処理又は窒化プラズマ処理を行うとよい。ここで高密度プラズマ装置を利用した酸化プラズマ処理を行うことで、第1の電極110の表面改質を行うことができる。第1の電極110の表面改質することで、後工程で第1の電極110上に膜を形成した場合、膜の密着性の向上、膜欠陥の低減の効果が期待される。
また、第1の電極110を成膜した際に、図2(C)に示すように第1の電極110表面にゴミ114が形成される場合がある。図2(C)は、図2(B)の点線領域116の詳細図である。このゴミ114は、第1の電極110成膜過程において形成されるものである。これらのゴミ114は、第1の電極110の表面荒れの原因となる。第1の電極上に膜を形成した場合、形成された膜の平坦性が不均一となるため、半導体装置の信頼性の低下につながる。従って、半導体装置の信頼性をより高めるためには、第1の電極110上に形成されたゴミ114を除去する必要がある。上述のゴミのことをパーティクルともいう。
本実施の形態のゴミの除去方法について図2(D)を用いて説明する。図2(D)は、図2(C)の一部を拡大したものである。第1の電極110形成後に、高密度プラズマ処理を行い、第1の電極110表面に窒化膜(または酸化膜)117を形成する際、図2(D)に示すようにゴミ114の下側に回り込むように窒化膜117が形成され、窒化膜117からゴミ114に対して力がかかる。さらに、ゴミ114が窒化される材料の場合、ゴミ114は窒化されて体積が増加する。その結果、第1の電極110表面をブラシ洗浄等で洗浄するだけでゴミ114を簡単に除去することができる。第1の電極110表面を高密度プラズマ処理することにより、数ナノメートル程度のゴミであっても除去されやすくなる。洗浄方法としてブラシ洗浄のかわりに、バブルジェット(登録商標)法、メガソニック法、ドライアイスの粉を吹き付ける方法等の洗浄方法を用いてもよい。本実施の形態に限らず、他の実施の形態においても同様のことがいえる。
また、第1の電極110を形成後、加熱処理を行ってもよい。この加熱処理により、透明導電膜の透過率を大きくすることができるため、信頼性の高い表示装置を作製することができる。また、本実施の形態では、加熱処理の際の雰囲気を、不活性ガスを主成分とし、酸素の濃度が5%以下且つ水の濃度が1%以下になるようにする。この結果、シロキサンを焼成して得られた層間絶縁膜109の加熱処理によるクラックの発生を抑制することができる。本実施の形態では、250℃で1時間加熱処理を行う。
なお、本実施の形態では、pチャネル型のTFTを作製する工程について説明した。しかし、ゲート電極をマスクとして結晶性半導体膜104にn型の導電型を付与する不純物をドーピングすることによりnチャネル型のTFTを作製する際にも本発明は適用することができる。また、同一基板上にpチャネル型のTFTとnチャネル型のTFTを作製する場合についても、本発明を適用することができる。
また、TFTはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でもよいし、二つ形成されるダブルゲート構造または三つ形成されるトリプルゲート構造であってもよい。つまり、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造のTFTにも適用することができる。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造またはトリプルゲート構造などのマルチゲート構造であってもよい。
また、本実施の形態で示したTFTの作製方法に限らず、トップゲート型(プレーナー型)、ボトムゲート型(逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても本発明を適用することができる。
以上の工程によって、信頼性の高いTFTを作製することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、ゲート絶縁膜及びゲート電極を高密度プラズマ装置を用いて窒化して、ゲート絶縁膜及びゲート電極表面に窒化膜を有するTFTの作製方法について説明する。
まず、図3(A)に示すように、絶縁基板201の上に、第1の下地膜202及び第2の下地膜203を有する下地膜204を形成する。絶縁基板201は、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミック基板等を用いることができる。また、プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、一般的に上記基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。また、絶縁基板201の表面をCMP法などによって研磨し、平坦化しておいてもよい。本実施の形態では、絶縁基板201としてガラス基板を用いる。
ここで、ガラス基板に対して窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行い、ガラス基板上に窒化珪素膜を形成する。ここで形成された窒化珪素膜を、第1の下地膜202として用いる。そして、第1の下地膜202上に、CVD法、スパッタ法などで第2の下地膜203を形成する。下地膜203としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜のいずれか一を用いる単層構造としてもよいし、これらを適宜積層する構造としてもよい。本実施の形態では、第2の下地膜203として、酸化珪素膜を100nm形成する。ここで、第2の下地膜203表面に対して窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行ってもよい。
次に、下地膜204の上に半導体膜205を形成する。半導体膜205としては、非晶質半導体膜を形成すればよいが、微結晶半導体膜や結晶性半導体膜を形成してもよい。また、半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(SiGe)を用いるとよい。本実施の形態では、多結晶珪素膜を54nm形成する。なお、半導体膜を形成した後に、半導体膜に含まれる水素を除去する工程を行ってもよい。具体的には、500℃で1時間加熱すればよい。
また、下地膜204と半導体膜205を形成する際に、下地膜204と半導体膜205との界面が大気に曝されないようにすると、界面の汚染を防ぐことが可能となり、作製されるTFTの特性のバラツキを低減させることができる。本実施の形態では、下地膜204と半導体膜205を、プラズマCVD法を用いて大気に曝さずに連続して形成する。
次に、半導体膜205を公知の方法(レーザー結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を促進する元素を用いた熱結晶化方法など)により結晶化し結晶性半導体膜206を形成する。ここで、結晶化の後に、ボロン(B)などのp型の導電型を付与する不純物を結晶性半導体膜206の全面にドーピングして、TFTのチャネル形成領域となる領域にチャネルドープし、TFTのしきい値電圧を制御するようにしてもよい。
次に、図3(B)に示すように、結晶性半導体膜206をパターニングした後、ゲート絶縁膜207を形成する。ゲート絶縁膜207は、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜のいずれか一を用いる単層構造としてもよいし、これらを適宜積層する構造としてもよい。本実施の形態では、ゲート絶縁膜207として酸化珪素膜を110nm積層する構成とする。ここで、ゲート絶縁膜207に対して窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことが好ましい。本実施の形態において、ゲート絶縁膜として酸化珪素膜を用いているので、高密度プラズマ処理を行うことで、ゲート絶縁膜207上にプラズマによる損傷の少ない緻密な窒化珪素膜(又は酸化窒化珪素膜)208が形成される。ここで、窒化珪素膜208を設けることで、酸化珪素膜中への水分の浸入や、後に形成されるゲート電極の酸化を防ぐことができる。
次に、図3(C)に示すように、ゲート絶縁膜207の上にスパッタ法などによりゲート電極209を形成する。ゲート電極の材料として、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)などを使用することができる。ゲート電極はこれらの材料の単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。本実施の形態では、モリブデンを単層で用いる。
次に、実施の形態1と同様に、高密度プラズマ装置を用いて窒化することにより、ゲート電極209の表面に窒化膜210を形成する。本実施の形態においては、ゲート電極としてモリブデンを用いているので、ゲート電極209表面に、窒化モリブデン膜が形成される。
次に、ゲート電極209をマスクとして、ボロン(B)などのp型の導電型を付与する不純物を結晶性半導体膜206にドーピングする。本工程により、TFTのソース領域及びドレイン領域を自己整合的に形成することができる。なお、本実施の形態では、公知のドーピング方法により、TFTのチャネル形成領域とソース領域及びドレイン領域との間に低濃度不純物領域(LDD領域)を形成しているが、低濃度不純物領域を設けない構成としてもよい。
なお、ドーピングにより形成された不純物領域の表面に形成された自然酸化膜を除去した後、金属膜を用いてシリサイド領域を形成してもよい。金属膜としては、ニッケル膜、チタン膜、コバルト膜、白金膜、もしくはこれら元素のうち少なくとも2種類を含む合金でなる膜等を使用することができる。より具体的には、金属膜として例えばニッケル膜を用い、室温の下、成膜電力500W〜1kWでニッケル膜をスパッタ法により成膜した後、加熱処理によってシリサイド領域を形成する。加熱処理はRTAやファーネスアニール等を用いることができる。このとき、金属膜の膜厚、加熱温度、加熱時間を制御することにより、不純物領域の表面のみをシリサイド領域にすることもできるし、全面をシリサイド領域とすることもできる。最後に、未反応のニッケルを除去する。例えば、HCl:HNO3:H2O=3:2:1からなるエッチング溶液を用いて未反応のニッケルを除去する。
また、ドーピングを行った後、不純物領域にドーピングされた不純物元素を活性化するために、500度以上の加熱処理、強光の照射、又はレーザー光の照射を行ってもよい。これにより、不純物元素の活性化だけでなく、ゲート絶縁膜へのプラズマダメージやゲート絶縁膜と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
また、実施の形態1と同様に、前記活性化後に、ゲート絶縁膜に対して水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行ってもよい。本工程を行うことにより、ゲート絶縁膜に含まれている水素により半導体層のダングリングボンドを終端することができる。本実施の形態では、半導体層のダングリングボンドの終端化のための加熱は、410℃で1時間加熱処理を行う。高密度プラズマ装置を用いた水素化のとき、本実施の形態では水素とアルゴンの混合ガスを用いる。
次に、図3(D)に示すように、ゲート絶縁膜207及びゲート電極209上に第1の層間絶縁膜211を形成する。第1の層間絶縁膜211としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又は珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素に結合されている水素がメチルやフェニルのような有機基に置換された有機シロキサン系の絶縁性材料を用いることができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成してもよい。また、これらの単層構造でもよいし、これらを組み合わせて積層した膜を用いてもよい。本実施の形態では、第1の層間絶縁膜211として、膜厚100nmの窒化酸化珪素膜と、膜厚900nmの酸化窒化珪素膜を順次積層する。本実施の形態では、ゲート絶縁膜207及びゲート電極209に対して高密度プラズマ処理を行い、それぞれの表面に緻密な窒化膜を形成しているので、保護膜としての絶縁膜を特別に設ける必要はない。ここで、第1の層間絶縁膜211に対して、窒素を含む雰囲気中又は酸素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことが好ましい。高密度プラズマ処理により、第1の層間絶縁膜211表面にプラズマによる損傷の少ない緻密な窒化膜又は酸化膜が形成される。高密度プラズマ処理により形成された緻密な窒化膜又は酸化膜が保護膜となり、第1の層間絶縁膜中への水分の浸入を防ぐことができる。
この後の工程は、実施の形態1と同様に行い、図3(D)に示すようなソース配線及びドレイン配線212を有する信頼性の高いTFTを作製することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で作製したTFTを用いて、エレクトロルミネッセンス素子(以下、「EL素子」という。)を有する表示装置(EL表示装置)を作製する方法について説明する。もちろん、実施の形態2で作製したTFTを用いることもできる。
本実施の形態では、エレクトロルミネッセンス素子からの光を第1の電極110側から取り出す構造にするため、透光性を有する膜を用いて第1の電極110を形成する。本実施の形態では、実施の形態1と同様に、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(ITSO)を第1の電極110として用いる。
まず、図4に示すように、第1の電極110の端部及びTFTを覆うように絶縁膜111(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる。)を形成する。
絶縁膜111としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又は珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素に結合されている水素がメチルやフェニルのような有機基に置換された有機シロキサン系の絶縁性材料を用いることができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成してもよい。本実施の形態では、感光性ポリイミドを用いて、平坦な領域で膜厚が1.5μmとなるように絶縁膜111を形成する。
また、絶縁膜111は曲率半径が連続的に変化する形状が好ましく、絶縁膜111上に形成される電界発光層112(有機化合物を含む層)、第2の電極113の被覆性を向上させることができる。
また、信頼性をさらに向上させるために、電界発光層112を形成する前に第1の電極110及び絶縁膜111に対して、高密度プラズマ装置を用いて窒化処理又は酸化処理を行うとよい。第1の電極110を高密度プラズマ装置を用いて窒化又は酸化することで、電極の表面改質の際のプラズマダメージが少なく、より欠陥の少ない表面を得ることができるため、本実施の形態の発光素子による表示は高精細で表示ムラが少ない。さらに、絶縁膜111を窒化した場合、絶縁膜111の表面が改質され、絶縁膜内部への水分の吸収を抑えることができる。また、絶縁膜111を酸化した場合、膜が強固になり、有機ガスの放出を抑えることができる。本実施の形態では、高密度プラズマ装置を用いることでプラズマダメージの少ない処理を行うことが可能である。ここで、絶縁膜111表面に対して、酸化処理を行うか、窒化処理を行うかは絶縁膜の材料及び効果を考えて適宜選択すればよい。
さらに、第1の電極110及び絶縁膜111に対して、高密度プラズマ処理を行うことにより、図2(C)に示すように第1の電極上に形成されたゴミを簡単に除去することができる。ゴミ114を除去せずに電界発光層112を形成した場合、第1の電極110の表面が不均一なため、電界発光層112の密着性が悪かったり、膜厚が不均一になったりする。その結果、ショートやリークの原因となり、EL表示装置の信頼性の低下につながる。本実施の形態では、第1の電極110及び絶縁膜111形成後に、高密度プラズマ処理を行い、第1の電極110及び絶縁膜111表面に窒化膜または酸化膜を形成するため、第1の電極表面からゴミ114に対して圧力がかかり、第1の電極110表面をブラシ洗浄等で洗浄するだけで簡単に除去することができる。洗浄方法としてブラシ洗浄のかわりに、バブルジェット(登録商標)法、メガソニック法、ドライアイスの粉を吹き付ける方法等の洗浄方法を用いてもよい。本実施の形態では、第1の電極110及び絶縁膜111形成後に、高密度プラズマ処理を行い、表面洗浄を行ったが、絶縁膜111を形成する前に行ってもよい。
次に、第1の電極110上に電界発光層112を形成する。なお、図4では1画素しか図示していないが、本実施の形態では赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応した電界発光層を作り分けている。本実施の形態では電界発光層112として、赤(R)、緑(G)、青(B)の発光を示す材料を、蒸着マスクを用いた蒸着法によって、それぞれ選択的に形成する。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料は、蒸着マスクを用いた蒸着法によってそれぞれ選択的に形成する方法や、液滴吐出法により形成することができる。液滴吐出法の場合、マスクを用いずにRGBの塗り分けを行うことができるという利点がある。本実施の形態では、赤(R)、緑(G)、青(B)の発光を示す材料を蒸着法によってそれぞれ形成する。
なお、ELの蒸着前に、不活性ガスを主成分とし、酸素の濃度が5%以下且つ水の濃度が1%以下とする雰囲気で加熱処理を行い、水分などを除去することが好ましい。本実施の形態では、300℃で1時間加熱処理を行う。
次に、電界発光層112の上に導電膜からなる第2の電極113を形成する。第2の電極113としては、仕事関数の小さい材料(In、Al、Ag、Li、Ca、またはこれらを含む合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。こうして第1の電極110、電界発光層112及び第2の電極113からなる発光素子が形成される。
図4に示す表示装置において、発光素子から発した光は、絶縁基板101と第1の電極110の間に形成された膜を透過して第1の電極110側から矢印の方向に射出される。
また、第2の電極113を覆うようにしてパッシベーション膜を設けることは有効である。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるシロキサンを用いてもよい。シロキサンは、置換基として少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。また、置換基としてフルオロ基、又は少なくとも水素を含む有機基とフルオロ基とを用いてもよい。
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い電界発光層112の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、電界発光層112の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に電界発光層112が酸化するといった問題を防止することができる。
次に、発光素子が形成された絶縁基板101と、封止基板とをシール材によって固着し、発光素子を封止する。断面からの水分の侵入がシール材によって遮断されるので、発光素子の劣化が防止でき、表示装置の信頼性が向上する。なお、シール材で囲まれた領域には充填材を充填してもよく、窒素雰囲気下で封止することによって、窒素等を封入してもよい。また充填材は、液状の状態で滴下し、表示装置内に充填することもできる。本実施の形態は、下面射出型のため、透光性を有する充填材を使用する必要はないが、充填材を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有す材料を用いて充填材を形成する必要がある。充填材の一例としては、可視光硬化、紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。以上の工程において、発光素子を有する表示装置が完成する。
また、素子の水分による劣化を防ぐためにEL表示パネル内に乾燥剤を設置することが好ましい。本実施の形態では、画素領域を取り囲むように封止基板に形成された凹部に乾燥剤を設置し、薄型化を妨げない構成とする。また、ゲート配線層に対応する領域にも乾燥剤を設置することにより吸水面積を広く取ることができ、吸水効果が高い。また、直接発光しないゲート配線層上に乾燥剤を形成しているので、光取り出し効率を低下させることもない。
なお、本実施の形態では、ガラス基板で発光素子を封止した場合を説明するが、封止の処理とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する方法、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光を放射させる場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シール材の上に接して設けても良いし、発光素子よりの光を妨げないような、隔壁の上や発光素子の周辺部に設けても良い。さらに、カバー材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を添加しておくことは有効である。
本発明を用いると、高密度プラズマ装置を用いて窒化されたゲート電極、高密度プラズマ装置を用いて窒化又は酸化された配線、及び高密度プラズマ装置を用いて表面改質が行われた画素電極とを有する信頼性の高い表示装置を作製することができる。よって、高精細、高画質な表示装置を低いコストで歩留まり良く製造することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態を、図5及び図6を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態1で作製した表示装置において、第2の層間絶縁膜109を形成せずに半導体装置を形成する例を示す。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。また、実施の形態2で作製したTFTを用いることもできる。
本実施の形態では、ゲート電極106を形成する工程までは実施の形態1で説明したものと同じなので、その後の工程について説明する。
まず、図5(A)に示すように、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106上に第1の層間絶縁膜607を形成する。本実施の形態では、第1の層間絶縁膜607として窒化酸化珪素膜と、シロキサンを焼成して得られる絶縁膜とを用いる。なお、窒化酸化珪素膜又はシロキサンを焼成して得られる絶縁膜の代わりに酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムや、その他の無機絶縁性材料からなる膜を用いてもよい。
シロキサンを焼成して得られる絶縁膜は、前記樹脂を塗布した後に加熱処理を行うことによって形成する。この加熱処理の際、チャンバー内の圧力は大気圧または減圧下で行えばよい。
次に、TFTのソース領域及びドレイン領域に達するように、第1の層間絶縁膜607にコンタクトホールを形成する。コンタクトホールの形状は、テーパー状にするとよい。
次に、コンタクトホールを覆うように、第1の層間絶縁膜上に配線608(電極)を形成する。配線608は、ソース電極またはドレイン電極として機能する。
次に、TFTの半導体層のソース領域又はドレイン領域に接続する配線608を形成した後、配線608上の一部に重なるように第1の電極610を形成する。
第1の電極610は画素電極として機能し、実施の形態1における第1の電極110と同じ材料を用いればよい。本実施の形態においても実施の形態1と同様に第1の電極610を通過して光を取り出すために、透明導電膜であるITSOを第1の電極610として形成する。
次に、図5(B)に示すように第1の電極610の端部及びTFTを覆うように絶縁膜611を形成する。絶縁膜611は、実施の形態1において説明した絶縁膜111と同じ材料を用いることができる。本実施の形態では、絶縁膜611としてアクリルを用いる。
第1の電極610及び絶縁膜611に対して、実施の形態2と同様に高密度プラズマ装置を用いて窒化又は酸化を行うとよい。また、絶縁膜611形成前に高密度プラズマ装置を用いた窒化処理又は酸化処理を行ってもよい。
次に、第1の電極610上に電界発光層612を形成し、第2の電極613を積層することによって発光素子を形成する。第2の電極613を覆うようにパッシベーション膜を形成する。最後にTFT基板と封止基板とをシール材によって貼り合わせる。なお、シール材で囲まれた領域には充填材を充填してもよい。
図6における表示装置は、配線708と第1の電極710の接続構造が、第1の電極710上の一部に配線708が重なる構造となっている。このような接続構造を得るためには、図6(A)に示すように第1の層間絶縁膜707上に第1の電極710を形成した後に第1の層間絶縁膜707にコンタクトホールを形成し、第1の電極710上の一部に重なるように配線708を形成すればよい。当該構造にすると、シロキサンを含有する樹脂を焼成して得られる絶縁膜上に第1の電極710を形成することができるため、被覆性がよい。さらに、第1の電極710に対してCMPなどの研磨処理も十分に行うことができ、平坦性よく形成することができる利点がある。
次に、図6(B)に示すように第1の電極710の端部及びTFTを覆うように絶縁膜711を形成する。絶縁膜711は、実施の形態1において説明した絶縁膜111と同じ材料を用いることができる。本実施の形態では、絶縁膜711としてシロキサンを用いる。
第1の電極710及び絶縁膜711に対して、実施の形態2と同様に高密度プラズマ装置を用いた窒化処理または酸化処理を行うとよい。また、絶縁膜711形成前に高密度プラズマ装置を用いた窒化処理又は酸化処理を行ってもよい。
次に、第1の電極710上に電界発光層712を形成し、第2の電極713を積層することによって発光素子を形成する。第2の電極713を覆うようにパッシベーション膜を形成する。最後にTFT基板と封止基板とをシール材によって貼り合わせる。なお、シール材で囲まれた領域には充填材を充填してもよい。
本発明を用いると、信頼性の高い表示装置を作製することができる。よって、高精細、高画質な表示装置を低いコストで歩留まり良く製造することができる。
(実施の形態5)
本発明を適用して発光素子を有する表示装置を形成することができるが、該発光素子から発せられる光の放射方式としては、下面放射型、上面放射型、両面放射型の3つの方式がある。実施の形態3では、片面射出型である下面射出型の例を示したが、本実施の形態では、両面射出型と、片面射出型である上面射出型の例を、図7及び図8を用いて説明する。
図7に示す表示装置は、両面射出型であり、矢印の方向に発光素子が設けられた基板側からも、封止基板側からも光を射出する構造である。なお本実施の形態では、第1の電極410として透明導電膜を用いることができる。透明導電膜を用いる場合、透明導電膜を成膜し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極410を形成する。また、透明導電膜の代わりに光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)の窒化チタン膜またはチタン膜を用いても良い。なお、好ましくは透明導電膜を成膜した後に、窒化チタン膜またはチタン膜を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で成膜するとよい。本実施の形態では、第1の電極410としてITSOを用いている。
次に、図7に示すように、第1の電極410の端部及びTFTを覆うように絶縁膜411(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる。)を形成する。絶縁膜411としては、実施の形態2の絶縁膜111と同様のものを用いることができる。
また、信頼性をさらに向上させるために、電界発光層412を形成する前に実施の形態2と同様に第1の電極410及び絶縁膜411に対して、高密度プラズマ装置を用いた窒化処理又は酸化処理を行うとよい。また、絶縁膜411形成前に高密度プラズマ装置を用いた窒化処理又は酸化処理を行ってもよい。
次に、第1の電極410上に電界発光層412を形成する。その後、電界発光層412の上に導電膜からなる第2の電極413を設ける。第2の電極413は、陰極として機能させるため、仕事関数の小さい材料(In、Al、Ag、Li、Ca、若しくはこれらを含む合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。図7の表示装置では、光が透過するように、第2の電極413として膜厚を薄くした金属薄膜(MgAg:膜厚10nm)と、透明導電性を有する材料であるITSO(膜厚100nm)との積層膜を用いる。
図8に示す表示装置は、片面射出型であり、矢印の方向に上面射出する構造であり、図7で示した両面射出型の表示装置において、第1の電極410の下に反射膜を設けるような構造とする。すなわち、図8に示すとおり、反射性を有する金属膜551の上に、陽極として機能する透明導電膜である第1の電極510を設ける。反射性を有する金属膜としては、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuなどを用いればよい。特に、可視光の領域で反射性が高い物質を用いることが好ましく、本実施の形態ではTiN膜を用いる。また、本実施の形態では層間絶縁膜109としてシロキサンを焼成して得られる絶縁膜を用いているため、良好な絶縁性、平坦性を有する層間絶縁膜109が形成され、本実施の形態の発光素子による表示は高精細で表示ムラが少ない。
次に、図8に示すように、第1の電極510の端部及びTFTを覆うように絶縁膜511(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる。)を形成する。絶縁膜511としては、実施の形態2の絶縁膜111と同様のものを用いることができる。また、信頼性をさらに向上させるため、電界発光層512を形成する前に実施の形態2と同様に第1の電極510及び絶縁膜511に対して、高密度プラズマ装置を用いた窒化処理又は酸化処理を行うとよい。また、絶縁膜511形成前に高密度プラズマ装置を用いた窒化処理又は酸化処理を行ってもよい。
次に、第1の電極510上に電界発光層512を形成する。その後、電界発光層512上に導電膜からなる第2の電極513を設ける。第2の電極513は、陰極として機能させるため、仕事関数の小さい材料(In、Al、Ag、Li、Ca、若しくはこれらを含む合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。本実施の形態では、第2の電極513として、膜厚を薄くした金属薄膜(MgAg:膜厚10nm)とITSO(膜厚110nm)の積層構造を用いて発光が透過するようにする。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態1で作製したTFTを用いて、透過型液晶表示装置を作製する方法について説明する。もちろん、実施の形態2で作製したTFTを用いることもできる。
実施の形態1と同様に図2(B)に示すように第1の電極110まで形成する。本実施の形態では、第1の電極110の材料として、実施の形態1と同様に酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)を用いる。次に、図9に示すように、第2の層間絶縁膜109及び第1の電極110上に配向膜801を形成する。本実施の形態では、配向膜801にポリイミドを用いた。次に対向基板802を用意する。対向基板802は、ガラス基板803、透明導電膜からなる対向電極804、配向膜805とで構成される。
次に、上記工程により得たTFT基板806と対向基板802とをシール材を介して貼り合わせる。ここで、両基板の間隔を一定に保つために、配向膜801と配向膜805との間にスペーサを設けても良い。その後、両基板の間に液晶807を注入し、封止材によって封止することで図9に示すような透過型液晶表示装置が完成する。
なお、本実施の形態においては透過型の液晶表示装置について説明したが、本発明の液晶表示装置はこれに限定されない。第1の電極110として反射性を有する電極を用いたり、第1の電極110の上面又は下面に反射膜を設けることで、反射型液晶表示装置に用いることができる。また、半透過型液晶表示装置に用いてもよい。
本発明を用いることで、高密度プラズマ装置を用いて窒化されたゲート電極、高密度プラズマ装置を用いて窒化又は酸化された配線、及び高密度プラズマ装置を用いて表面改質が行われた画素電極とを有する信頼性の高い表示装置を作製することができる。
(実施の形態7)
ここでは、本発明を用いて作製する半導体装置の1つの例として、薄膜集積回路、または非接触型薄膜集積回路装置(無線ICタグ、RFID(無線認証、Radio Frequency Identification)とも呼ばれる)を作製する過程を図10〜図14を用いて示す。
なお、無線ICタグの集積回路に用いられる半導体素子として絶縁分離されたTFTを用いた例を以下に示すが、無線ICタグの集積回路に用いられる半導体素子はTFTに限定されず、あらゆる素子を用いることができる。例えば、TFTの他に、記憶素子、ダイオード、光電変換素子、抵抗素子、コイル、容量素子、インダクタなどが代表的に挙げられる。
まず、図10(A)に示すように、スパッタ法を用いてガラス基板(第1の基板)1700上に剥離層1701を形成する。剥離層1701は、スパッタ法、減圧CVD法、プラズマCVD法等を用いて形成することができる。本実施の形態では、膜厚50nm程度の非晶質シリコンを減圧CVD法で形成し、剥離層1701として用いる。なお剥離層1701はシリコンに限定されず、エッチングにより選択的に除去できる材料(例えば、W、Moなど)で形成すれば良い。剥離層1701の膜厚は、50〜60nmとするのが望ましい。
次いで、剥離層1701上に、下地絶縁膜1702を形成する。下地絶縁膜1702は第1の基板中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体膜中に拡散し、TFTなどの半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。また、下地絶縁膜1702は、後の半導体素子を剥離する工程において、半導体素子を保護する役目も有している。下地絶縁膜1702は単層であっても複数の絶縁膜を積層したものであっても良い。よってアルカリ金属やアルカリ土類金属の半導体膜への拡散を抑えることができる酸化珪素や、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素(SiON)、酸素を含む窒化珪素(SiNO)などの絶縁膜を用いて形成する。
次に、下地絶縁膜1702上に半導体膜1703を形成する。半導体膜1703は、下地絶縁膜1702を形成した後、大気に曝さずに形成することが望ましい。半導体膜1703の膜厚は20〜200nm(望ましくは40〜170nm、好ましくは50〜150nm)とする。
そして、半導体膜1703に対してレーザビームを照射して半導体膜1703を結晶化する。半導体膜1703へのレーザビームの照射により、結晶性半導体膜1704が形成される。なお、図10(A)は、レーザビームの走査途中を示す断面図である。
次いで、図10(B)に示すように、結晶構造を有する半導体膜1704をパターニングして、島状の半導体膜1705〜1707を形成した後、ゲート絶縁膜1708を形成する。ゲート絶縁膜1708は、プラズマCVD法又はスパッタリング法などを用い、窒化珪素、酸化珪素、窒素を含む酸化珪素又は酸素を含む窒化珪素を含む膜を、単層で、又は積層させて形成することができる。
なお、ゲート絶縁膜1708を形成した後、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行ない、島状の半導体膜1705〜1707を水素化する工程を行なっても良い。また、水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
次に図10(C)に示すように、ゲート電極1709〜1711を形成する。ここでは、n型を付与する不純物がドーピングされたSiとWをスパッタ法で積層するように形成した後、レジスト1712をマスクとしてエッチングを行なうことにより、ゲート電極1709〜1711を形成した。勿論、ゲート電極1709〜1711の導電材料、構造、作製方法は、これに限定されるものではなく、適宜選択することができる。例えば、n型を付与する不純物がドーピングされたSiとNiSi(ニッケルシリサイド)との積層構造や、TaN(窒化タンタル)とW(タングステン)の積層構造としてもよい。また、種々の導電材料を用いて単層で形成しても良い。また、ゲート電極とアンテナとを同時に形成する場合には、それらの機能を考慮して材料を選択すればよい。
また、レジストマスクの代わりに、SiOx等のマスクを用いてもよい。この場合、パターニングしてSiOx、SiON等のマスク(ハードマスクと呼ばれる。)を形成する工程が加わるが、エッチング時におけるマスクの膜減りがレジストよりも少ないため、所望の幅のゲート電極1709〜1711を形成することができる。また、レジスト1712を用いずに、液滴吐出法を用いて選択的にゲート電極1709〜1711を形成しても良い。
レジスト1712を除去した後、ゲート電極1709〜1711に対して高密度プラズマ装置を用いて窒化するとよい。窒化処理を行うことにより、図10(D)に示すようにゲート電極1709〜1711の周囲が窒化膜1761〜1766で覆われ、ゲート電極の耐熱性が向上し、かつゲート電極の酸化を抑制することができる。
次いで、図10(D)に示すように、pチャネル型TFTとなる島状の半導体膜1706をレジスト1713で覆い、ゲート電極1709、1711をマスクとして、島状の半導体膜1705、1707に、n型を付与する不純物元素(代表的にはP(リン)又はAs(砒素))を低濃度にドープする。このドーピング工程によって、ゲート絶縁膜1708を介してドーピングがなされ、島状の半導体膜1705、1707に、一対の低濃度不純物領域1716、1717が形成される。なお、このドーピング工程は、pチャネル型TFTとなる島状の半導体膜1706をレジストで覆わずに行っても良い。
次いで、図10(E)に示すように、レジスト1713をアッシング等により除去した後、nチャネル型TFTとなる島状の半導体膜1705、1707を覆うように、レジスト1718を新たに形成し、ゲート電極1710をマスクとして、島状の半導体膜1706に、p型を付与する不純物元素(代表的にはB(ホウ素))を高濃度にドープする。このドーピング工程によって、ゲート絶縁膜1708を介してドーピングがなされ、島状の半導体膜1706に、一対のp型の高濃度不純物領域1720が形成される。
次いで、図11(A)に示すように、レジスト1718をアッシング等により除去した後、ゲート絶縁膜1708及びゲート電極1709〜1711を覆うように、絶縁膜1721を形成する。
その後、エッチバック法により、絶縁膜1721、ゲート絶縁膜1708を部分的にエッチングし、図11(B)に示すように、ゲート電極1709〜1711の側壁に接するサイドウォール1722〜1724を自己整合的(セルフアライン)に形成する。エッチングガスとしては、CHF3とHeの混合ガスを用いる。なお、サイドウォールを形成する工程は、これらに限定されるものではない。
次いで、図11(C)に示すように、pチャネル型TFTとなる島状の半導体膜1706を覆うように、レジスト1726を新たに形成し、ゲート電極1709、1711及びサイドウォール1722、1724をマスクとして、n型を付与する不純物元素(代表的にはP又はAs)を高濃度にドープする。このドーピング工程によって、ゲート絶縁膜1708を介してドーピングがなされ、島状の半導体膜1705、1707に、一対のn型の高濃度不純物領域1727、1728が形成される。
次に、レジスト1726をアッシング等により除去した後、不純物領域の熱活性化を行っても良い。例えば、50nmのSiON膜を成膜した後、550℃、4時間、窒素雰囲気下において、加熱処理を行なえばよい。また、水素を含むSiNx膜を、100nmの膜厚に形成した後、410℃、1時間、窒素雰囲気下において、加熱処理を行なうことにより、多結晶半導体膜の欠陥を改善することができる。これは、例えば、多結晶半導体膜中に存在するダングリングボンドを終端させるものであり、水素化処理工程などと呼ばれる。
上述した一連の工程により、nチャネル型TFT1730、pチャネル型TFT1731、nチャネル型TFT1732が形成される。上記作製工程において、エッチバック法の条件を適宜変更し、サイドウォールのサイズを調整するとよい。上記工程によって、チャネル長0.2μm〜2μmのTFTを形成することができる。
さらに、この後、TFT1730〜1732を保護するためのパッシベーション膜を形成しても良い。
次いで、図12(A)に示すように、TFT1730〜1732を覆うように、第1の層間絶縁膜1733を形成する。
さらに、第1の層間絶縁膜1733上に、第2の層間絶縁膜1734を形成する。なお、第1の層間絶縁膜1733又は第2の層間絶縁膜1734と、後に形成される配線を構成する導電材料等との熱膨張率の差から生じる応力によって、第1の層間絶縁膜1733又は第2の層間絶縁膜1734の膜剥がれや割れが生じるのを防ぐために、第1の層間絶縁膜1733又は第2の層間絶縁膜1734中にフィラーを混入させておいても良い。
次いで、図12(A)に示すように、第1の層間絶縁膜1733、第2の層間絶縁膜1734及びゲート絶縁膜1708にコンタクトホールを形成し、TFT1730〜1732に接続する配線1735〜1739を形成する。なお、配線1735、1736はnチャネル型TFT1730の高濃度不純物領域1727に、配線1736、1737はpチャネル型TFT1731の高濃度不純物領域1720に、配線1738、1739はnチャネル型TFT1732の高濃度不純物領域1728に、それぞれ接続されている。さらに配線1739は、nチャネル型TFT1732のゲート電極1711にも接続されている。nチャネル型TFT1732は、乱数ROMのメモリ素子として用いることができる。なお、ここで配線1735〜1739に対して実施の形態1と同様に高密度プラズマ装置を用いた窒化処理または酸化処理を行うとよい。
次いで、図12(B)に示すように、配線1735〜1739を覆うように、第2の層間絶縁膜1734上に第3の層間絶縁膜1741を形成する。第3の層間絶縁膜1741は、配線1735が一部露出する様な位置に開口部を有するように形成する。なお、第3の層間絶縁膜1741は、第1の層間絶縁膜1733と同様の材料を用いて形成することが可能である。
次に、第3の層間絶縁膜1741上にアンテナ1742を形成する。アンテナ1742は、Ag、Au、Cu、Pd、Cr、Mo、Ti、Ta、W、Al、Fe、Co、Zn、Sn、Niなどの金属、金属化合物を1つまたは複数有する導電材料を用いることができる。そしてアンテナ1742は、配線1735と接続されている。なお、図12(B)では、アンテナ1742が配線1735と直接接続されているが、本発明の無線ICタグはこの構成に限定されない。例えば別途形成した配線を用いて、アンテナ1742と配線1735とを電気的に接続するようにしても良い。
アンテナ1742は印刷法、フォトリソグラフィ法、蒸着法または液滴吐出法などを用いて形成することができる。図12(B)では、アンテナ1742が単層の導電膜で形成されているが、複数の導電膜が積層されたアンテナ1742を形成することも可能である。例えば、Niなどで形成した配線に、Cuを無電解めっきでコーティングして、アンテナ1742を形成しても良い。
なお液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を細孔から吐出して所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。また印刷法にはスクリーン印刷法、オフセット印刷法などが含まれる。印刷法、液滴吐出法を用いることで、露光用のマスクを用いずとも、アンテナ1742を形成することが可能になる。また、液滴吐出法、印刷法だと、フォトリソグラフィ法と異なり、エッチングにより除去されてしまうような材料の無駄がない。また高価な露光用のマスクを用いなくとも良いので、無線ICタグの作製に費やされるコストを抑えることができる。
液滴吐出法または各種印刷法を用いる場合、例えば、CuをAgでコートした導電粒子なども用いることが可能である。なお液滴吐出法を用いてアンテナ1742を形成する場合、アンテナ1742の密着性が高まるような処理を、第3の層間絶縁膜1741の表面に施すことが望ましい。
密着性を高めることができる方法として、具体的には、例えば触媒作用により導電膜または絶縁膜の密着性を高めることができる金属または金属化合物を第3の層間絶縁膜1741の表面に付着させる方法、形成される導電膜または絶縁膜との密着性が高い有機系の絶縁膜、金属、金属化合物を第3の層間絶縁膜1741の表面に付着させる方法、第3の層間絶縁膜1741の表面に大気圧下または減圧下において高密度プラズマ処理を施し、表面改質を行なう方法などが挙げられる。高密度プラズマ装置を用いることで、表面に対してプラズマダメージの少ない改質処理を行うことができる。
第3の層間絶縁膜1741に付着させる金属または金属化合物が導電性を有する場合、アンテナの正常な動作が妨げられないように、そのシート抵抗を制御する。具体的には、導電性を有する金属または金属化合物の平均の厚さを、例えば1〜10nmとなるように制御したり、これらの金属または金属化合物を酸化により部分的に、または全体的に絶縁化したりすれば良い。或いは、密着性を高めたい領域以外は、付着した金属または金属化合物をエッチングにより選択的に除去しても良い。また金属または金属化合物を、予め基板の全面に付着させるのではなく、液滴吐出法、印刷法、ゾル−ゲル法などを用いて特定の領域にのみ選択的に付着させても良い。なお金属または金属化合物は、第3の層間絶縁膜1741の表面において完全に連続した膜状である必要はなく、ある程度分散した状態であっても良い。
そして、図13(A)に示すように、アンテナ1742を形成した後、アンテナ1742を覆うように、第3の層間絶縁膜1741上に保護層1745を形成する。保護層1745は、後に剥離層1701をエッチングにより除去する際に、アンテナ1742を保護することができる材料を用いる。例えば、水またはアルコール類に可溶なエポキシ系、アクリレート系、シリコン系の樹脂を全面に塗布することで保護層1745を形成することができる。
次いで、図13(B)に示すように、無線ICタグを個別に分離するために溝1746を形成する。溝1746は、剥離層1701が露出する程度であれば良い。溝1746の形成は、ダイシング、スクライビングなどを用いることができる。なお、第1の基板1700上に形成されている無線ICタグを分離する必要がない場合、必ずしも溝1746を形成する必要はない。
次いで、図13(C)に示すように、剥離層1701をエッチングにより除去する。ここでは、エッチングガスとしてフッ化ハロゲンを用い、このガスを溝1746から導入する。例えばClF3(三フッ化塩素)を用い、温度を350℃とし、流量を300sccmとし、気圧を798パスカル(798Pa)とし、処理時間を3時間とした条件で行う。また、ClF3ガスに窒素を混ぜたガスを用いても良い。ClF3等のフッ化ハロゲンを用いることで、剥離層1701が選択的にエッチングされ、第1の基板1700をTFT1730〜1732から剥離することができる。なおフッ化ハロゲンは、気体であっても液体であってもどちらでも良い。
次に図14(A)に示すように、剥離されたTFT1730〜1732及びアンテナ1742を、接着剤1750を用いて第2の基板1751に貼り合わせる。接着剤1750は、第2の基板1751と下地絶縁膜1702とを貼り合わせることができる材料を用いる。接着剤1750は、例えば反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。
なお、第2の基板1751として、フレキシブルな紙またはプラスチックなどの有機材料を用いることができる。
次いで、図14(B)に示すように、保護層1745を除去した後、アンテナ1742を覆うように接着剤1752を第3の層間絶縁膜1741上に塗布し、カバー材1753を貼り合わせる。カバー材1753は第2の基板1751と同様に、フレキシブルな紙またはプラスチックなどの有機材料を用いることができる。接着剤1752の厚さは、例えば10〜200μmとすれば良い。
また接着剤1752は、カバー材1753と第3の層間絶縁膜1741及びアンテナ1742とを貼り合わせることができる材料を用いる。接着剤1752は、例えば反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。
上述した各工程を経て、無線ICタグが完成する。上記作製方法によって、トータルの膜厚が0.3μm以上3μm以下、代表的には2μm程度の飛躍的に薄い集積回路を第2の基板1751とカバー材1753との間に形成することができる。
なお、集積回路の厚さは、半導体素子自体の厚さのみならず、接着剤1750と接着剤1752との間に形成された各種絶縁膜及び層間絶縁膜の厚さを含めるものとする。また、無線ICタグが有する集積回路の占める面積を、5mm四方(25mm2)以下、より望ましくは0.3mm四方(0.09mm2)〜4mm四方(16mm2)程度とすることができる。
なお、本実施の形態では、耐熱性の高い第1の基板1700と集積回路の間に剥離層を設け、エッチングにより剥離層を除去することで基板と集積回路とを剥離する方法について示したが、本発明の無線ICタグの作製方法は、この構成に限定されない。例えば、耐熱性の高い基板と集積回路の間に金属酸化膜を設け、この金属酸化膜を結晶化により脆弱化して集積回路を剥離しても良い。或いは、耐熱性の高い基板と集積回路の間に、水素を含む非晶質半導体膜を用いた剥離層を設け、レーザビームの照射によりこの剥離層を除去することで基板と集積回路とを剥離しても良い。あるいは、集積回路が形成された耐熱性の高い基板を機械的に削除または溶液やガスによるエッチングで除去することで集積回路を基板から切り離しても良い。
なお、本実施の形態では、アンテナを集積回路と同じ基板上に形成している例について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。別の基板上に形成したアンテナと集積回路とを、後に貼り合わせることで、電気的に接続するようにしても良い。
なお、一般的にRFID(無線認証、Radio Frequency Identification)で用いられている電波の周波数は、13.56MHz、2.45GHzが多く、これらの周波数の電波を検波できるように無線ICタグを形成することが、汎用性を高める上で非常に重要である。
本実施の形態の無線ICタグでは、半導体基板を用いて形成されたRFIDよりも電波が遮蔽されにくく、電波の遮蔽により信号が減衰するのを防ぐことができるというメリットを有している。よって、半導体基板を用いずに済むので、無線ICタグのコストを大幅に低くすることができる。
なお、本実施の形態では、集積回路を剥離して、可撓性を有する基板に貼り合わせる例について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、集積回路の作製工程における熱処理に耐えうるような耐熱温度を有している可撓性を有する基板(例えばプラスチック基板など)を用いる場合、必ずしも集積回路を剥離する必要はない。
本発明を用いることで、高密度プラズマ装置を用いて窒化されたゲート電極、及び高密度プラズマ装置を用いて窒化又は酸化された配線とを有する信頼性の高い薄膜集積回路、または非接触型薄膜集積回路装置を作製することができる。
また、本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態8)
上記実施の形態では、非晶質半導体膜、導電膜、絶縁膜等を適宜積層して形成する際に高密度プラズマ処理を行う例を示した。本実施の形態では、上記実施の形態に示した工程を大気に曝さず連続成膜する場合の工程例を図面を用いて説明する。
複数のチャンバーを備えた装置の一例を図16に示す。なお、図16は、本実施の形態で用いる装置の一構成例を上面からみた図である。
図16に示す装置は、第1のチャンバー1111、第2のチャンバー1112、第3のチャンバー1113、第4のチャンバー1114、ロードロック室1110、1115、共通室1120を有しており、それぞれのチャンバーは気密性を有している。各チャンバーには、真空排気ポンプ、ガスの導入系が備えられている。
ロードロック室1110、1115は、試料(処理基板)をシステムに搬入するための部屋である。また、第1〜第4のチャンバーは、基板に導電膜、絶縁膜または半導体膜の成膜や、エッチングやプラズマ処理等を行うための部屋である。共通室1120は、それぞれのロードロック室1110、1115および第1〜第4のチャンバーに対して共通に配置された試料の共通室1120である。また、共通室1120とロードロック室1110、1115、第1〜第4のチャンバー1111〜1114との間にはゲート弁1122〜1127が設けられている。なお、共通室1120には、ロボットアーム1121が設けてあり、ロボットアーム1121によって、処理基板が各部屋へ運ばれる。
以下に、具体例として、実施の形態1に示したTFTの作製工程の一部を示す。結晶性半導体膜を有する基板に対して、第1のチャンバー1111においてゲート電極を形成し、第2のチャンバー1112においてゲート電極上のレジストを除去し、第3のチャンバー1113においてゲート電極表面に高密度プラズマ処理を行い、第4のチャンバー1114においてゲート電極上に絶縁膜を形成する例を示す。本実施の形態において、第3のチャンバー1113には図15に示した高密度プラズマ処理装置が設置されている。
まず、基板は多数枚が収納されたカセット1128ごとロードロック室1110に搬入される。カセット1128の搬入後、ロードロック室1110の搬入扉を閉鎖する。この状態において、ゲート弁1122を開けてカセット1128から処理基板を取り出し、ロボットアーム1121によって共通室1120に配置させる。この際、共通室1120において基板の位置合わせが行われる。
次に、ゲート弁1122を閉鎖し、ついでゲート弁1124を開ける。そして、第1のチャンバー1111へ基板を移送する。なお、基板上には半導体膜、ゲート絶縁膜等が形成され、該ゲート絶縁膜上に形成された導電膜上に感光性材料からなるレジストパターンが形成されている。本実施の形態では、導電膜としてモリブデン(Mo)を用いる。第1のチャンバー1111内で、ゲート絶縁膜上に形成された導電膜をエッチングすることで、ゲート電極を形成する。
次に、基板はロボットアーム1121によって共通室1120に引き出され、第2のチャンバー1112に移送される。第2のチャンバー1112内で、アッシング等によりゲート電極上に残っているレジストを除去する。
次に、基板はロボットアーム1121によって共通室1120に引き出され、第3のチャンバー1113に移送される。第3のチャンバー1113内で、高密度プラズマ装置を用いてゲート電極表面を窒化し、ゲート電極表面に窒化モリブデン膜を形成する。
次に、基板はロボットアーム1121によって共通室1120に引き出され、第4のチャンバー1114に移送される。第4のチャンバー1114内で、窒化されたゲート電極上に、CVD法などを用いて絶縁膜を形成する。
以上のように、ゲート電極上に絶縁膜を形成した後、基板はロボットアーム1121によってロードロック室1115に移送されカセット1129に収納される。その後、絶縁膜及びゲート絶縁膜にコンタクトホールを形成して、絶縁膜上に配線等を形成することにより実施の形態1で示した半導体装置を作製することができる。
なお、図16に示したのはあくまで一例であり、例えば、チャンバーの数を増やしてさらに多層の絶縁膜を形成してもよいし、絶縁膜等を高密度プラズマ装置を用いて形成してもよい。また、ゲート電極やゲート絶縁膜など本実施の形態で示した工程以外の部分を本装置を用いて作製してもよい。つまり、上記実施の形態1〜7で示した工程は、本実施の形態の工程と自由に組み合わせて用いることができる。また、図16において第1〜第4のチャンバー1111〜1114はシングル型のチャンバーを用いた例を示したが、バッチ型のチャンバーを用いて多数枚を一度に処理する構成としてもよい。
本実施の形態で示した装置を用いることによって、大気に一度も曝されることなくゲート絶縁膜、ゲート電極、ゲート窒化膜等を連続して形成することができる。そのため、汚染物の混入の防止や生産効率の向上を実現することができる。
(実施の形態9)
本発明により作製した半導体装置を用いて様々な電子機器を完成させることができる。例えば、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(オーディオ)、テレビ(ディスプレイ)、携帯端末機などを挙げることができる。製作した半導体装置の製品品質は良好な状態であり、その製品品質のばらつきをなくすことが可能になる。その結果、最終製品としての電子機器を良好な品質で作製することが可能になる。その具体例を図を用いて説明する。
図17(A)は表示装置であり、筐体2201、支持台2202、表示部2203、スピーカー部2204、ビデオ入力端子2205などを含む。この表示装置は、他の実施の形態で示した作製方法により形成した薄膜トランジスタをその表示部2203に用いることにより作製される。本発明の薄膜トランジスタは信頼性が高いため、本発明の薄膜トランジスタを用いることで品質良好で、かつ品質のばらつきの少ない表示装置を作製することができる。なお、表示装置には液晶表示装置、発光装置などがあり、具体的にはコンピュータ用、テレビ受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図17(B)はコンピュータであり、筐体2211、表示部2212、キーボード2213、外部接続ポート2214、ポインティングマウス2215などを含む。本発明の薄膜トランジスタは信頼性が高いため、本発明の薄膜トランジスタを用いることで、品質良好で、かつ品質のばらつきの少ない表示部2212やその他の回路を作製することができる。さらに、本発明は本体内部のCPU、メモリなどの半導体装置にも適用が可能である。
また、図17(C)は携帯電話であり、携帯端末の1つの代表例である。この携帯電話は筐体2221、表示部2222、操作キー2223などを含む。上記の携帯電話を初めとして、PDA(Personal Digital Assistants、情報携帯端末)、デジタルカメラ、小型ゲーム機などの電子機器に、本発明の薄膜トランジスタを用いることが出来る。本発明の薄膜トランジスタは信頼性が高いため、本発明の薄膜トランジスタを用いることで、品質良好で、かつ品質のばらつきの少ない表示部2222やCPU、メモリなどの機能回路などを作製することができる。
また、図17(D)、(E)はデジタルカメラである。なお、図17(E)は、図17(D)の裏側を示す図である。このデジタルカメラは、筐体2231、表示部2232、レンズ2233、操作キー2234、シャッター2235などを有する。本発明の薄膜トランジスタは信頼性が高いため、本発明の薄膜トランジスタを用いることで、品質良好で、かつ品質のばらつきの少ない表示部2232や、表示部2232を制御するドライバ部、およびその他の回路を作製することができる。
図17(F)はデジタルビデオカメラである。このデジタルビデオカメラは、本体2241、表示部2242、筐体2243、外部接続ポート2244、リモコン受信部2245、受像部2246、バッテリー2247、音声入力部2248、操作キー2249、接眼部2250などを有する。本発明の薄膜トランジスタは信頼性が高いため、本発明の薄膜トランジスタを用いることで、品質良好で、かつ品質のばらつきの少ない表示部2242や、この表示部2242を制御するドライバ部およびその他の回路を作製することができる。
また、本発明の高密度プラズマ装置を用いて作製した薄膜トランジスタを薄膜集積回路、または非接触型薄膜集積回路装置(無線ICタグ、RFID(無線認証、Radio Frequency Identification)とも呼ばれる)として用いることもできる。他の実施の形態で示した作製方法を用いることにより、薄膜集積回路および非接触型薄膜集積回路は、メモリを有するタグとしての利用可能である。
図18(A)は、パスポート2301に無線ICタグ2302を貼り付けている状態を示している。また、パスポート2301に無線ICタグ2302を埋め込んでもよい。同様にして、運転免許証、クレジットカード、紙幣、硬貨、証券、商品券、チケット、トラベラーズチェック(T/C)、健康保険証、住民票、戸籍謄本など、様々な物品に無線ICタグを貼り付けたり埋め込むことができる。この場合、本物であることを示す情報のみを無線ICタグのメモリなどに入力しておき、不正に情報を読み取ったり書き込んだりできないようにアクセス権を設定する。このようにタグとして利用することによって、偽造されたものと区別することが可能になる。
図18(B)は、無線ICタグ2311を野菜の野菜の包装に貼り付けるラベルに埋め込んだ例を示している。また、包装そのものに無線ICタグを貼り付けたり埋め込んだりしても構わない。もちろん、野菜に限らず様々な物品の包装体に対して利用することができる。無線ICタグ2311には、生産地、生産者、製造年月日、加工方法などの生産段階のプロセスや、商品の流通プロセス、価格、数量、用途、形状、重量、賞味期限、各種認証情報などを記録することが可能になる。無線ICタグ2311からの情報は、無線式のリーダ2312のアンテナ部2313で受信して読み取り、リーダ2312の表示部2314に表示することによって、卸売業者、小売業者、消費者が把握することが容易になる。また、生産者、取引業者、消費者のそれぞれに対してアクセス権を設定することによって、アクセス権を有しない場合は読み込み、書き込み、書き換え、消去ができない仕組みになっている。
また、無線ICタグは以下のように用いることができる。会計の際に無線ICタグに会計を済ませたことを記入し、出口にチェック手段を設け、会計済みであることを無線ICタグに書き込まれているかをチェックする。会計を済ませていないで店を出ようとすると、警報が鳴る。この方法によって、会計のし忘れや万引きを予防することができる。
さらに、顧客のプライバシー保護を考慮すると、以下に記す方法にすることも可能である。レジで会計をする段階で、(1)無線ICタグに入力されているデータを暗証番号などでロックする、(2)無線ICタグに入力されているデータそのものを暗号化する、(3)無線ICタグに入力されているデータを消去する、(4)無線ICタグに入力されているデータを破壊する、のいずれかを行う。そして、出口にチェック手段を設け、(1)〜(4)のいずれかの処理が行われたか、または無線ICタグのデータに何も処理が行われていない状態であるかをチェックすることによって、会計の有無をチェックする。このようにすると、店内では会計の有無を確認することが可能であり、店外では所有者の意志に反して無線ICタグの情報を読み取られることを防止することができる。
なお、(4)の無線ICタグに入力されているデータを破壊する方法をいくつか挙げることができる。例えば、(a)無線ICタグが有する電子データの少なくとも一部に「0(オフ)」若しくは「1(オン)」、または「0」と「1」の両方を書き込んでデータのみを破壊する方法や、(b)無線ICタグに電流を過剰に流し、無線ICタグが有する半導体素子の配線の一部を物理的に破壊する方法などを用いることができる。
以上に挙げた無線タグは、従来用いているバーコードより製造コストが高いため、コスト低減を図る必要がある。本発明を用いることによって、品質が良好でばらつきのない半導体素子をスループット良く形成することができるため、コストの低減に有効である。さらに、どの無線タグも品質が高く、性能のばらつきがないように製作することができる。
以上のように、本発明により作製された半導体装置の適用範囲は極めて広く、本発明により作製された半導体装置をあらゆる分野の電子機器に用いることができる。