本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の作製方法の一構成例に関して図面を用いて説明する。
まず、基板10の表面に、金属膜11を形成する(図1(A))。金属膜11は、単層で形成してもよいし、複数の層を積層させて形成してもよい。なお、金属膜11を形成する前に基板10上に絶縁膜を設けてもよい。特に、基板からの汚染が懸念される場合には、基板10と金属膜11との間に絶縁膜を形成するのが好ましい。
基板10は、ガラス基板、または半導体装置の作製プロセスにおける加熱処理に耐えうる、耐熱性を有するプラスチック基板等を用いるとよい。このような基板は、その面積や形状に大きな制限がないため、基板10として、例えば1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いることにより、生産性を格段に向上させることができる。この点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。なお、基板10として、石英基板、金属基板やステンレス基板の一表面に絶縁膜を形成した基板を用いることも勿論可能であるが、基板自体のコストの点でガラス基板に比較して格段に劣るため、好ましくない。特に基板の大型化が求められる場合は、それが顕著となり、量産性の点を考慮しても好ましくない。本実施の形態では、基板10としてガラス基板を用いる。
金属膜11は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を、単層または積層して形成する。また、これらの材料は、公知の手段(スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法)を用いて形成することができる。本実施の形態では、金属膜11としてスパッタ法によりタングステン(W)を20〜40nmの厚さに形成する。
基板10と金属膜11との間に設ける絶縁膜は、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、窒素を含む酸化珪素膜(SiOxNy膜)(x>y)(x、yは正の整数)、酸素を含む窒化珪素膜(SiNxOy膜)(x>y)(x、yは正の整数)等、少なくとも酸素または窒素を有する絶縁膜の単層構造、またはこれらの積層構造を用いることができる。これらの絶縁膜は、公知の手段(スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法)を用いて形成することができる。本実施の形態では、基板10と金属膜11との間に設ける絶縁膜として窒素を含む酸化珪素膜を50〜150nmの厚さに形成する。
次に、金属膜11に酸素を含む雰囲気下で高密度プラズマ処理を行い、金属膜11の表面に金属酸化膜12を形成する(図1(B))。金属酸化膜12は、当該金属膜11を構成する金属の酸化物で形成される。例えば、金属膜11としてタングステン膜を用いた場合、高密度プラズマ処理を行うことによってタングステン膜の表面に、金属酸化膜12としてタングステン酸化膜が形成される。本実施の形態では、金属膜11と金属酸化膜12からなる層を剥離層19とよぶ。
本明細書において「高密度プラズマ処理」とは、プラズマの電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度が0.5eV以上1.5eV以下であることを特徴としている。プラズマの電子密度が高密度でありながら、基板上に形成された被処理物(金属膜11)付近での電子温度が低いため、基板に対するプラズマ損傷を防止することができる。また、プラズマの電子密度が1×1011cm−3以上と高密度であるため、酸化処理によって形成される酸化物の膜厚均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。また、プラズマの電子温度が1.5eV以下と低いため、従来のプラズマ処理や熱酸化法と比較して低温度で酸化処理を行うことができる。たとえば、ガラス基板の歪点温度よりも100度以上低い温度(代表的には、250〜550℃)でプラズマ処理を行っても十分にプラズマ酸化処理を行うことができる。なお、プラズマを形成するための電源周波数はマイクロ波(2.45GHz)を用いている。また、プラズマの電位は5V以下と低電位であり、原料分子の過剰解離を抑制することができる。
なお、「プラズマ」とは、原子や分子から電子が離れ、イオンと電子が混在した状態をさし、プラズマ全体としての電荷は中性である。また、「プラズマ密度」とは、一般的に電子密度、イオン密度、すなわち、単位体積あたりの荷電粒子の個数のことをいう。本明細書において「プラズマ密度」とは電子密度をさすものとする。また、「プラズマ電位」とは、プラズマ内の空間の電位のことであり、空間電位ともよばれる。
金属酸化膜12は、金属膜11の表面に酸素雰囲気下で高密度プラズマ処理を行うことによって、金属膜11の表面に形成する。例えば、金属膜11としてスパッタ法により20〜40nmの膜厚を有するタングステン膜を設けた場合、タングステン膜に高密度プラズマ処理を行うことによって、タングステン膜表面に1〜20nmの膜厚を有するタングステン酸化物を形成することができる。また、この場合、タングステンの酸化物は、WOxで表され、Xは2〜3であり、Xが2の場合(WO2)、Xが2.5の場合(W2O5)、Xが2.75の場合(W4O11)、Xが3の場合(WO3)などがある。タングステンの酸化物を形成するにあたり、上記に挙げたXの値に特に制約はなく、エッチングレート等を基に組成比を決めればよい。本実施の形態では、金属膜11として用いるタングステン(W)を酸素雰囲気下で高密度のプラズマ処理を行うことによって、金属膜11の表面に金属酸化膜12を形成する。
プラズマの条件は、基板付近での電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、酸素を含む雰囲気としては、酸素(O2)もしくは一酸化二窒素(N2O)と、希ガスとの混合ガス、または、酸素(O2)もしくは一酸化二窒素(N2O)と、希ガスと、水素(H2)との混合ガスを用いることができる。希ガスとしては、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)が挙げられる。混合ガス中の各ガスの圧力比(または流量比)は、適宜決定すればよい。混合ガスの組み合わせの一例としては、酸素(または一酸化二窒素)を0.1〜100sccm、アルゴンを100〜5000sccmとすればよい。また、混合ガスの組み合わせの他の一例としては、酸素(または一酸化二窒素)を0.1〜100sccm、水素を0.1〜100sccm、アルゴンを100〜5000sccmとすればよく、酸素(または一酸化二窒素):水素:アルゴン=1:1:100の比率で混合ガスを導入することが好ましい。例えば、酸素(または一酸化二窒素)を5sccm、水素を5sccm、アルゴンを500sccmとして混合ガスを導入すればよい。混合ガス中に水素を導入しておくことで、酸化の処理時間を短縮することができる。このような条件下で形成される金属酸化膜12は、希ガス元素を含む膜となる。
高密度のプラズマ処理を行う装置として、図5に示す装置を用いる。まず、処理室内を真空にし、ガス導入源65から酸素を含むガスを導入する。本実施の形態では、酸素(O2)または一酸化二窒素(N2O)と、希ガスと、水素との混合ガスを導入する。次に、加熱機構を有する支持台64に金属膜11が形成されている基板10を設置し、基板10を加熱する。加熱温度は200℃〜550℃の範囲内であればよい。本実施の形態では、基板10を400℃に加熱する。また、基板10とアンテナ62との間隔は、20〜80mm(好ましくは20〜60mm)の範囲内とすればよい。
次に、導波管60からアンテナ62にマイクロ波を供給する。本実施の形態では、プラズマを発生させる電源周波数2.45GHzのマイクロ波を供給する。そして、マイクロ波をアンテナ62から処理室内に設けられた誘電体板63を通して処理室内に導入してO2ガスまたはN2Oガスと、希ガスと、水素ガスとの混合ガスとが混合された高密度励起プラズマ66を生成する。希ガスとして、例えばArガスを用いた場合、O2ガスまたはN2Oガスと、希ガスと、水素ガスとが混合された高密度励起プラズマ66中では、導入されたマイクロ波により処理室内に導入されたArガスが励起され、Arラジカルが生成される。そして、中間励起状態にあるArラジカルとO2分子またはN2O分子とが衝突することで、Oラジカルが生成される。このOラジカルと金属膜11とが反応して金属膜11の表面に金属酸化膜が形成される。本実施の形態では、金属膜11としてタングステンを用いているため、金属膜11の表面にタングステン酸化物が形成される。本工程で使用されたO2ガスまたはN2Oガスと、希ガスと、水素ガスとは、排気口67から処理室外へ排気される。
図5に示す装置を用いたプラズマは、低電子温度(1.5eV以下)でかつ高電子密度(1.0×1011cm−3以上)であるので、プラズマダメージが非常に少ない金属酸化膜を低温で形成することができる。
剥離層の膜厚が大きくなると、後に形成する素子層に含まれる薄膜トランジスタにおいてレーザー結晶化プロセスを用いる場合、レーザー照射の際に剥離層にもエネルギーが吸収されるようになる。このため、剥離層の膜厚が大きくなると、当該剥離層の膜とびが生じる可能性が高くなる。本発明を用いることにより、20nm以下と非常に薄い厚さでも膜厚均一性に優れた金属酸化膜を有する剥離層を形成することができる。したがって、後の工程においても剥離層の膜とびがおきず、信頼性の高い半導体装置を作製することができる。また、膜厚均一性に優れた金属酸化膜を有する剥離層が形成できるため、基板上の一部において剥離層が形成されておらず、剥離することができないといった従来の問題を解決することができる。
次に、金属酸化膜12上に絶縁膜13を形成する(図1(C))。絶縁膜13は単層で設けてもよいし、複数の膜を積層させて設けてもよい。絶縁膜13は、後に設けられる素子層14に含まれている薄膜トランジスタ等の素子に対して、ガラス基板などに含まれるナトリウム(Na)などのアルカリ金属が侵入することを防止するための下地膜としての機能を有する。このため、以下、本明細書において絶縁膜13を下地膜と記載することがある。
絶縁膜13は、公知の手段(スパッタ法やプラズマCVD法等)により、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、窒素を含む酸化珪素膜(SiOxNy膜)(x>y)(x、yは正の整数)、酸素を含む窒化珪素膜(SiNxOy膜)(x>y)(x、yは正の整数)等、少なくとも酸素または窒素を有する絶縁膜の単層構造、またはこれらの積層構造を用いて形成することができる。例えば、絶縁膜13を2層構造で設ける場合、1層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。また、絶縁膜13を3層構造で設ける場合、1層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。または、1層目の絶縁膜として酸化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。本実施の形態では、酸化珪素膜を形成した後に窒素を含む雰囲気中で高密度のプラズマ処理を行うことによって形成された、酸化珪素膜の表面がプラズマ窒化された酸化珪素膜と、窒素を含む酸化珪素膜との2層構造として、絶縁膜13を形成する。プラズマの条件は、基板付近での電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、窒素を含む雰囲気としては、窒素(N2)もしくはアンモニア(NH3)と、希ガスとの混合ガス、または、窒素(N2)もしくはアンモニア(NH3)と、希ガスと、水素(H2)との混合ガスを用いることができる。希ガスとしては、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)が挙げられる。このような条件下で形成される絶縁膜13は、希ガス元素を含む膜となる。
混合ガスの組み合わせの一例としては、窒素(またはアンモニア)を20〜2000sccm、アルゴンを100〜10000sccmとすればよい。また、混合ガスの組み合わせの他の一例としては、窒素(またはアンモニア)を20〜2000sccm、水素を1〜500sccm、アルゴンを100〜10000sccmとすればよく、窒素(またはアンモニア):水素:アルゴン=20:1:100の比率で混合ガスを導入することが好ましい。例えば、窒素(またはアンモニア)を100sccm、水素を5sccm、アルゴンを500sccmとして混合ガスを導入すればよい。混合ガス中に水素を導入しておくことで、窒化の処理時間を短縮することができる。
次に、絶縁膜13上に薄膜トランジスタ等の素子が設けられた層14(以下、「素子層14」と記す。)を形成する。続いて、素子層14上に絶縁膜15を形成する(図1(D))。絶縁膜15は、素子層14の強度を確保するための保護層としての機能を有するため、以下、本明細書において絶縁膜15を保護層と記載することがある。絶縁膜15は、素子層14の側面も覆うように形成することが好ましい。また、本実施の形態では、素子層14の一方の面全体を覆うように絶縁膜15を設けているが、素子層14の一方の面全体に絶縁膜15を必ずしも設ける必要はなく、素子層14の一方の面の一部の上に選択的に設けてもよい。
素子層14は、少なくとも薄膜トランジスタ(TFT)を有しており、当該薄膜トランジスタを用いることによって、CPU、メモリまたはマイクロプロセッサ等のあらゆる集積回路を形成することができる。また、素子層14は、薄膜トランジスタに加えてアンテナを有した形態もとりうる。例えば、薄膜トランジスタを用いて構成される集積回路は、アンテナで発生した交流の電圧を用いて動作を行い、アンテナに印加する交流の電圧を変調することにより、リーダ/ライタへの送信を行うことができる。アンテナは、薄膜トランジスタとともに素子層14内部に形成してもよいし、薄膜トランジスタとは別個に形成し、後に電気的に接続するようにして設けてもよい。
薄膜トランジスタは、非晶質半導体膜または結晶質半導体膜を用いて形成することができるが、より特性の高い薄膜トランジスタを形成したい場合には、結晶質半導体膜を用いるとよい。この場合、絶縁膜13上に公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により非晶質半導体膜を形成した後、非晶質半導体膜を結晶化して、結晶質半導体膜を形成する。結晶化の方法としては、レーザー結晶化法、RTAまたはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザー結晶化法とを組み合わせた方法等が挙げられる。また、他の結晶化の方法として、DCバイアスを印加して熱プラズマを発生させ、当該熱プラズマを半導体膜に作用させることにより結晶化を行ってもよい。
また、薄膜トランジスタを構成する半導体膜の構造は、どのような構成としてもよく、例えば不純物領域(ソース領域、ドレイン領域、LDD領域を含む)を形成してもよいし、Pチャネル型、Nチャネル型またはCMOS回路を形成してもよい。また、半導体膜の上方または下方に設けられるゲート電極の側面と接するように絶縁膜(サイドウォール)を形成してもよいし、ソース及びドレイン領域とゲート電極との一方または両方に、ニッケル、モリブデンまたはコバルト等のシリサイド層を形成してもよい。
絶縁膜15は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、窒素を含む酸化珪素膜、酸素を含む窒化珪素膜、エポキシ等の樹脂材料やその他の有機材料からなる膜等で形成する。なお、絶縁膜15は、これらの膜を公知の手段(スパッタ法、プラズマCVD法等の各種CVD法、スピンコーティング法、液滴吐出法または印刷法)を用いて形成することができる。
次に、絶縁膜13、素子層14、及び絶縁膜15に開口部16を形成し、剥離層19を露出させる(図1(E))。開口部16を形成することにより、後の剥離工程の際に基板10から素子を容易に剥離することができる。また、開口部16は、素子層14を構成する薄膜トランジスタ等の素子を避けた領域や、基板10の端部に設けることが好ましい。また、開口部16は、レーザー光(例えばUV光)の照射や、試料の端面を研削、切断することにより形成することができる。
次に、必要に応じて開口部16からエッチング剤を導入して、剥離層19を選択的に除去する(図2(A))。剥離層19を選択的に除去することにより、後の剥離工程の際に基板10から素子をさらに容易に剥離することが可能になるが、本工程は省略してもよい。剥離層19は、全て除去してもよいし、剥離層の一部分を残すように除去してもよい。剥離層19の一部を残すことによって、剥離層を除去した後も、基板10に絶縁膜13及び素子層14を保持させておくことができる。また、剥離層19を全て除去せず処理を行うことにより、エッチング剤の消費量を減らし、処理時間の短縮化ができるため、低コスト化および高効率化を図ることができる。
エッチング剤は、三フッ化塩素ガス等のフッ化ハロゲンまたはハロゲンを含む気体や液体を使用することができる。他にも、CF4、SF6、NF3、F2等を用いることもできる。
次に、絶縁膜15上に第1のシート材17を設ける(図2(B))。第1のシート材17は、少なくとも一方の面が接着性を有しており、絶縁膜15と第1のシート材17を貼り合わせればよい。
第1のシート材17は、可撓性のフィルム(可撓性基板)を利用することができ、少なくとも一方の面に粘着剤を有する面が設けてある。例えば、ポリエステル等の基材として用いるベースフィルム上に粘着剤が設けてあるシート材を利用することができる。粘着剤としては、アクリル樹脂等を含んだ樹脂材料または合成ゴム材料からなる材料を用いることができる。
次に、基板10から絶縁膜13(下地膜)、素子層14、及び絶縁膜15(保護層)を剥離する(図2(C))。基板10と絶縁膜13との間に剥離層19が一部残っている場合は、物理的手段を用いて基板10から絶縁膜13(下地膜)、素子層14、及び絶縁膜15(保護層)を剥離する。この場合、上述した方法で設けられた剥離層19を用いることによって、絶縁膜13と剥離層19の密着性が低下しているため、物理的手段を用いても容易に剥離することができる。なお、剥離された基板10は再利用することができるため、より低コストで半導体装置を作製することができる。例えば、原価の高い石英基板を用いた場合であっても、繰り返し石英基板を利用することにより、低コストで半導体装置を作製することができるといった利点を有している。
なお、物理的手段とは、物理学により認識される手段であり、具体的には力学の法則に当てはめることが可能な過程を有する力学的手段または機械的手段を指し、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を変化させる手段を指している。つまり、物理的手段を用いて剥離するとは、例えば人間の手、ノズルから吹付けられるガスの風圧、超音波または楔状の部材を用いた負荷等を用いて外部から衝撃(ストレス)を与えることによって剥離することをいう。
次に、基板10から剥離した絶縁膜13(下地膜)、素子層14、及び絶縁膜15(保護層)の片面に第2のシート材18を設ける。(図2(D))。第2のシート材18は、絶縁膜13に接着させた後、加熱処理と加圧処理の一方または両方を行うことにより設ける。第2のシート材18を設けることによって、絶縁膜13及び素子層14の強度を補強し、水分や汚染物等の侵入を防ぐことができる。なお、素子層14の第2のシート材18が設けられた反対側にも、第2のシート材18と同じ材質のシート材を設けて封止を行ってもよい。この場合、半導体装置をより薄く形成するために、第1のシート材17を除去した後に新たにシート材を設けて封止することが好ましい。
第2のシート材18は、可撓性のフィルム(可撓性基板)を利用することができ、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルム等を利用することができる。また、加熱処理と加圧処理を行うことによりフィルムを素子層に接着する際には、フィルムの最表面に設けられた接着層か、または最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。また、第1のシート材17と第2のシート材18とで素子層を封止する場合には、第1のシート材17も同じ材質のものを用いて封止を行えばよい。
以上のように、ガラス等の剛性を有する基板上に一旦素子層を形成した後に、当該基板から素子層を剥離し、可撓性基板上に当該素子層を転置することによって、可撓性を有する半導体装置を作製することができる。さらに、本実施の形態で示した方法を用いて剥離層を形成し剥離を行うことによって、低コストで信頼性の高い半導体装置を作製することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、剥離層の形成に関して上記実施の形態と異なる半導体装置の作製方法について、図面を用いて説明する。
まず、基板10の表面に、金属酸化膜21からなる剥離層を形成する(図3)。金属酸化膜21は、単層で形成してもよいし、複数の層を積層させて形成してもよい。なお、金属酸化膜21を形成する前に基板10上に絶縁膜を設けてもよい。特に、基板からの汚染が懸念される場合には、基板10と、金属酸化膜21との間に絶縁膜を形成するのが好ましい。
金属酸化膜21は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された金属元素の酸化膜または前記金属元素を主成分とする合金材料の酸化膜を、単層または積層して形成する。例えば、モリブデン酸化膜(MoOx、x=2〜3)、ニオブ酸化膜(NbOx)、またはチタン酸化膜(TiOx)を使用することができる。
金属酸化膜21は、酸素を含む雰囲気中でプラズマを用いて形成される。プラズマの処理条件として、プラズマの電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度が0.5eV以上1.5eV以下であることを特徴としている。プラズマの電子密度が高密度でありながら、基板付近での電子温度が低いため、基板に対するプラズマ損傷を防止することができる。また、プラズマの電子密度が1×1011cm−3以上と高密度であるため、形成される金属酸化膜の膜厚均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。また、プラズマの電子温度が1.5eV以下と低いため、従来のプラズマ処理や熱酸化法と比較して低温度で金属酸化膜を形成することができる。たとえば、ガラス基板の歪点温度よりも100度以上低い温度でプラズマを用いても金属酸化膜を形成することができる。なお、プラズマを形成するための電源周波数はマイクロ波(2.45GHz)を用いている。金属酸化膜21の厚さは、1〜40nmとなるようにすればよく、本実施の形態では、金属酸化膜21としてタングステン酸化膜を30nmの厚さに形成する。また、酸素を含む雰囲気としては、O2もしくはN2Oと、希ガスとの混合ガス、または、O2もしくはN2Oと、希ガスと、水素との混合ガスとすればよい。このような条件下で形成される金属酸化膜21は、希ガス元素を含む膜となる。
剥離層の膜厚が大きくなると、後に形成する素子層に含まれる薄膜トランジスタにおいてレーザー結晶化プロセスを用いる場合、レーザー照射の際に剥離層にもエネルギーが吸収されるようになる。このため、剥離層の膜厚が大きくなると、当該剥離層の膜とびが生じる可能性が高くなる。本実施の形態の方法を用いる場合、40nm以下と非常に薄い厚さでも膜厚均一性に優れた金属酸化膜からなる剥離層を形成することができる。したがって、後の工程においても剥離層の膜とびがおきず、信頼性の高い半導体装置を作製することができる。また、膜厚均一性に優れた金属酸化膜からなる剥離層が形成できるため、基板上の一部において剥離層が形成されておらず、剥離することができないといった従来の問題を解決することができる。
その後、上記実施の形態に示した図1(C)〜図2(D)と同様の工程を経ることによって、信頼性の高い半導体装置を歩留まりよく作製することができる。
本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。つまり、上記実施の形態1で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも自由に組み合わせて利用することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、ガラス基板上に剥離層、絶縁膜(下地膜)、及び素子層を構成する薄膜トランジスタの非晶質半導体膜を連続して形成する場合に関して図面を用いて説明する。
複数のチャンバーを備えた装置(マルチチャンバー)の一例を図4に示す。なお、図4は、本実施の形態で示す装置(連続成膜システム)の一構成例を上面からみた図である。
図4に示す装置は、第1のチャンバー111、第2のチャンバー112、第3のチャンバー113、第4のチャンバー114、ロードロック室110、115、共通室120を有しており、それぞれのチャンバーは気密性を有している。各チャンバーには、真空排気ポンプ、不活性ガスの導入系が備えられている。
ロードロック室110、115は、試料(処理基板)をシステムに搬入するための処理室である。また、第1〜第4のチャンバーは、基板上に形成する剥離層、絶縁膜(下地膜)、素子層を構成する薄膜トランジスタの非晶質半導体膜の成膜や、エッチングやプラズマ処理等を行うための処理室である。共通室120は、それぞれのロードロック室110、115及び第1〜第4のチャンバーに対して共通に配置された試料の共通室120である。また、共通室120とロードロック室110、115、第1〜第4のチャンバー111〜114との間にはゲート弁122〜127が設けられている。なお、共通室120には、ロボットアーム121が設けてあり、ロボットアーム121によって、処理基板が各処理室へ運ばれる。
以下に、具体例として、基板10に対して、第1のチャンバー111において金属膜11を成膜し、第2のチャンバー112においてプラズマ処理を行い金属酸化膜12を形成し、第3のチャンバー113において絶縁膜13を成膜し、第4のチャンバー114において非晶質半導体膜を成膜する例を示す。
まず、基板10は多数枚が収納されたカセット128ごとロードロック室110に搬入される。カセット128の搬入後、ロードロック室110の搬入扉を閉鎖する。この状態において、ゲート弁122を開けてカセット128から処理基板を1枚取り出し、ロボットアーム121によって共通室120に配置させる。この際、共通室120において基板10の位置合わせが行われる。
次に、ゲート弁122を閉鎖し、ついでゲート弁124を開ける。そして、第1のチャンバー111へ基板10を移送する。第1のチャンバー111内で、成膜処理を行うことによって、基板10上に金属膜11を形成する。例えば、第1のチャンバー111において、プラズマCVD法やWをターゲットとして用いたスパッタ法によりタングステン(W)膜を形成することができる。
次に、金属膜11を成膜した後、基板10はロボットアーム121によって共通室120に引き出され、第2のチャンバー112に移送される。第2のチャンバー112内では、金属膜11に対して酸素雰囲気下でプラズマ処理を行うことによって、金属膜11の表面に金属酸化膜12を形成する。例えば、第2のチャンバー112において、タングステン膜にプラズマ処理を行うことによってタングステン酸化膜(WOx)を形成することができる。プラズマ処理の条件は、実施の形態1や実施の形態2で説明したとおりであるので、ここでは説明を省略する。
次に、金属酸化膜12を形成後、基板10はロボットアーム121によって共通室120に引き出され、第3のチャンバー113に移送される。第3のチャンバー113内では、150℃〜300℃の温度で成膜処理を行い、絶縁膜13を形成する。絶縁膜13としては、酸化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、酸素を含む窒化珪素等の酸素または窒素を有する絶縁膜の単層膜またはこれらの積層膜を形成することができる。例えば、第3のチャンバー113において、プラズマCVD法により、1層目の絶縁膜として窒素を含む酸化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として酸素を含む窒化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として窒素を含む酸化珪素膜を形成することができる。なお、プラズマCVD法に限られず、ターゲットを用いたスパッタ法により形成してもよい。
次に、絶縁膜13を成膜した後、基板10はロボットアーム121によって共通室120に引き出され、第4のチャンバー114に移送される。第4のチャンバー114内では、150℃〜300℃の温度で成膜処理を行い、プラズマCVD法により非晶質半導体膜を形成する。なお、非晶質半導体膜としては、微結晶半導体膜、非晶質ゲルマニウム膜、非晶質シリコンゲルマニウム膜またはこれらの積層膜等を使用することができる。また、非晶質半導体膜の形成温度を350℃〜500℃として水素濃度を低減するための熱処理を省略してもよい。なお、ここではプラズマCVD法を用いて形成する例を示したが、ターゲットを用いたスパッタ法を用いて形成してもよい。
以上のように、非晶質半導体膜を成膜した後、基板10はロボットアーム121によってロードロック室115に移送されカセット129に収納される。
なお、図4に示したのはあくまで一例であり、例えば、チャンバーの数を増やして非晶質半導体膜を形成した後に続けて導電膜や絶縁膜を形成してもよいし、上記実施の形態2に示したように、第1のチャンバー111において、酸素を含む雰囲気中で高密度のプラズマを用いながらCVD法によって金属酸化膜21を形成してもよい。つまり、上記実施の形態で示した工程や材料を用いて、図4に示した装置と自由に組み合わせることができる。また、図4において第1〜第4のチャンバー111〜114はシングル型のチャンバーを用いた例を示したが、バッチ型のチャンバーを用いて複数の基板を一度に処理する構成としてもよい。
本実施の形態で示した装置を用いることによって、大気に一度も曝されることなく剥離層、絶縁膜(下地膜)、及び半導体膜を連続して形成することができる。そのため、基板の搬送時に生じる汚染物混入の防止や生産効率の向上を実現することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、薄膜トランジスタ及びアンテナを含む本発明の半導体装置の作製方法について、図面を参照して説明する。特に、素子層の構造について詳細に説明する。
まず、基板701上に、剥離層702及び下地膜703を形成する(図6(A))。基板701、剥離層702、及び下地膜703についての形成方法や材料については、実施の形態1または実施の形態2で説明したものを自由に組み合わせることができるので、ここでは説明を省略する。
次に、下地膜703上に、非晶質半導体膜704(例えば、非晶質珪素を主成分とする膜)を形成する。非晶質半導体膜704は、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により、25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで形成する。続いて、非晶質半導体膜704を公知の結晶化法(レーザー結晶化法、RTAまたはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザー結晶化法を組み合わせた方法等)により結晶化して、結晶質半導体膜を形成する。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にパターニングして、結晶質半導体膜706〜710を形成する(図6(B))。なお、上記実施の形態3及び図4に示したように、剥離層702、下地膜703及び非晶質半導体膜704は、大気に曝さずに連続して形成することもできる。なお、本明細書において「パターニング」とは、所望の形状にエッチングすることを指すものとする。
結晶質半導体膜706〜710の作製工程の一例を以下に簡単に説明する。まず、プラズマCVD法を用いて、膜厚40〜300nmの非晶質半導体膜を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、必要に応じてレーザー光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって結晶質半導体膜706〜710を形成する。
レーザー結晶化法で結晶質半導体膜を形成する場合、連続発振またはパルス発振の気体レーザーまたは固体レーザーを用いる。気体レーザーとしては、エキシマレーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、Ti:サファイアレーザー等を用いる。固体レーザーとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、TiまたはTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザーを用いる。特に、連続発振のレーザーの基本波、及び当該基本波の第2高調波から第4高調波のレーザーを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。なお連続発振の基本波のレーザー光と連続発振の高調波のレーザー光とを照射するようにしてもよいし、連続発振の基本波のレーザー光とパルス発振の高調波のレーザー光とを照射するようにしてもよい。複数のレーザー光を照射することにより、エネルギーを補うことができる。またパルス発振型のレーザーであって、半導体膜がレーザー光によって溶融してから固化するまでに、次のパルスのレーザー光を照射できるような発振周波数でレーザー光を発振させることで、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。すなわち、パルス発振の周期が、半導体膜が溶融してから完全に固化するまでの時間よりも短くなるように、発振の周波数の下限を定めたパルス発振のレーザーを使用することができる。このようなレーザーとして、発振周波数が10MHz以上のパルス発振のレーザー光を用いてもよい。
また、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質半導体膜の結晶化を行うと、低温で短時間の結晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある一方、金属元素が結晶質半導体膜に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。そこで、結晶質半導体膜上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体膜を形成するとよい。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体膜には、リンやアルゴンの不純物元素を含有させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能なスパッタ法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、非晶質半導体膜中に金属元素を拡散させ、続いて、当該金属元素を含む非晶質半導体膜を除去する。このようなゲッタリングプロセスを行うことにより、結晶質半導体膜中の金属元素の含有量を低減または除去することができる。
次に、結晶質半導体膜706〜710を覆うゲート絶縁膜705を形成する。ゲート絶縁膜705は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタ法)により、珪素の酸化物または珪素の窒化物を含む膜を、単層または積層して形成する。具体的には、酸化珪素を含む膜、酸化窒化珪素を含む膜、窒化酸化珪素を含む膜を、単層構造として形成するか、当該これらの膜を適宜積層して形成する。
次に、ゲート絶縁膜705上に、第1の導電膜と第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、20〜100nmの厚さで形成する。第2の導電膜は、公知の手段により、100〜400nmの厚さで形成する。第1の導電膜と第2の導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素またはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成することもできる。第1の導電膜と第2の導電膜の組み合わせの例としては、窒化タンタル(TaN)膜とタングステン(W)膜、窒化タングステン(WN)膜とタングステン膜、窒化モリブデン(MoN)膜とモリブデン(Mo)膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電膜と第2の導電膜を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、第1の導電膜と第2の導電膜による2層構造ではなく、単層構造としてもよいし、3層構造とすることもできる。3層構造にする場合は、基板側から順にモリブデン膜、アルミニウム膜、モリブデン膜を積層した構造、またはチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜を順に積層した構造を採用することが好ましい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、ゲート電極として機能する導電膜716〜725(以下、本明細書において「ゲート電極」とよぶことがある。)を形成する。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体膜706、708〜710に、イオンドープ法またはイオン注入法により、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加して、N型不純物領域711、713〜715とチャネル形成領域780、782〜784を形成する。N型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いればよく、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体膜707に、P型を付与する不純物元素を添加して、P型不純物領域712とチャネル形成領域781を形成する。P型を付与する不純物元素は、例えばボロン(B)を用いる。なお、N型不純物領域711、713〜715及びP型不純物領域712を形成する順番は、本実施の形態のようにN型不純物領域711、713〜715を形成した後にP型不純物領域712を形成してもよいし、P型不純物領域712を形成した後にN型不純物領域711、713〜715を形成してもよい。
次に、ゲート絶縁膜705と導電膜716〜725を覆うように、絶縁膜を形成する。絶縁膜は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタ法)により、珪素、珪素の酸化物、または珪素の窒化物など無機材料からなる膜や、有機樹脂などの有機材料からなる膜を、単層または積層して形成する。次に、絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電膜716〜725の側面に接する絶縁膜(サイドウォールともよばれる)739〜743を形成する(図6(C))。また、絶縁膜739〜743の作製と同時に、ゲート絶縁膜705がエッチングされて形成された絶縁膜734〜738を形成する。絶縁膜739〜743は、後にLDD(Lightly Doped Drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、絶縁膜739〜743をマスクとして用いて、結晶質半導体膜706、708〜710にN型を付与する不純物元素を添加して、第1のN型不純物領域(LDD領域ともよぶ)727、729、731、733と、第2のN型不純物領域726、728、730、732とを形成する。第1のN型不純物領域727、729、731、733が含む不純物元素の濃度は、第2のN型不純物領域726、728、730、732の不純物元素の濃度よりも低い。上記工程を経て、N型の薄膜トランジスタ744、746〜748と、P型の薄膜トランジスタ745が完成する。
なお、LDD領域を形成するためには、ゲート電極を2層以上の積層構造として、当該ゲート電極にテーパーがつくようなエッチングや異方性エッチングを行って、当該ゲート電極を構成する下層の導電膜をマスクとして用いる手法と、サイドウォールの絶縁膜をマスクとして用いる手法がある。前者の手法を採用して形成された薄膜トランジスタは、ゲート絶縁膜を介してLDD領域をゲート電極と重ねて配置させた構造となっているが、この構造は、ゲート電極にテーパーがつくようなエッチングや異方性エッチングを利用するために、LDD領域の幅を制御することが難しく、エッチング工程が良好に行われなければ、LDD領域を形成することが出来ない場合がある。一方、後者のサイドウォールの絶縁膜をマスクとして用いる手法は、前者の手法と比較すると、LDD領域の幅の制御が容易であり、また、LDD領域を確実に形成することができる。なお、「ゲート電極にテーパーがつくようなエッチング」とは、ゲート電極の側面がテーパー状になるようなエッチングのことをいう。
なお、露出されたN型不純物領域726、728、730、732、及びP型不純物領域785の表面に形成された自然酸化膜を除去した後、金属膜を用いてシリサイド領域を形成してもよい。金属膜としては、ニッケル膜、チタン膜、コバルト膜、白金膜、もしくはこれら元素のうち少なくとも2種類を含む合金でなる膜等を使用することができる。より具体的には、金属膜として例えばニッケル膜を用い、室温の下、成膜電力500W〜1kWでニッケル膜をスパッタ法により成膜した後、加熱処理によってシリサイド領域を形成する。加熱処理はRTAやファーネスアニール等を用いることができる。このとき、金属膜の膜厚、加熱温度、加熱時間を制御することにより、N型不純物領域726、728、730、732、及びP型不純物領域785の表面のみをシリサイド領域にすることもできるし、全領域をシリサイド領域とすることもできる。最後に、未反応のニッケルを除去する。例えば、HCl:HNO3:H2O=3:2:1からなるエッチング溶液を用いて未反応のニッケルを除去する。
上記工程を経て、N型の薄膜トランジスタ744、746〜748と、P型の薄膜トランジスタ745を完成させた後、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化を目的とする加熱処理を行ってもよい。また、好ましくは加熱処理を行った後、露出されているゲート絶縁膜705に対して水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、当該ゲート絶縁膜705の表面に水素を含有させるようにしてもよい。これは、後の半導体膜の水素化の工程を行う際に、この水素を利用することができるためである。または、基板に対して350〜450℃の加熱をしながら水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことで、半導体膜の水素化を行うことができる。なお、水素を含む雰囲気としては、水素(H2)またはアンモニア(NH3)と、希ガス(例えば、アルゴン(Ar))とを混合したガスを用いることができる。水素を含む雰囲気として、アンモニア(NH3)と希ガス(例えば、アルゴン(Ar))との混合ガスを用いた場合、ゲート絶縁膜705表面の水素化と同時に表面を窒化することもできる。混合ガスの組み合わせの一例としては、水素(またはアンモニア)を20〜2000sccm、アルゴンを100〜10000sccmとすればよい。
次に、薄膜トランジスタ744〜748を覆うように、絶縁膜を単層または積層して形成する(図7(A))。薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁膜は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層または積層で形成する。本明細書においてシロキサンとは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。また、置換基として、フルオロ基を用いてもよいし、少なくとも水素を含む有機基及びフルオロ基を用いてもよい。例えば、薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁膜が3層構造の場合、1層目の絶縁膜749として酸化珪素を主成分とする膜を形成し、2層目の絶縁膜750として樹脂を主成分とする膜を形成し、3層目の絶縁膜751として窒化珪素を主成分とする膜を形成するとよい。また、薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁膜を単層構造にする場合、窒化珪素膜または酸素を含む窒化珪素膜を形成するとよい。このとき、好ましくは窒化珪素膜または酸素を含む窒化珪素膜に対して水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、当該窒化珪素膜または当該酸素を含む窒化珪素膜の表面に水素を含有させるようにする。これは、後の半導体膜の水素化の工程を行う際に、この水素を利用することができるためである。または、基板に対して350〜450℃の加熱をしながら水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことで、半導体膜の水素化を行うことができる。なお、水素を含む雰囲気としては、水素(H2)またはアンモニア(NH3)と、希ガス(例えば、アルゴン(Ar))とを混合したガスを用いることができる。水素を含む雰囲気として、アンモニア(NH3)と希ガス(例えば、アルゴン(Ar))との混合ガスを用いた場合、ゲート絶縁膜705表面の水素化と同時に表面を窒化することもできる。
なお、絶縁膜749〜751を形成する前、または絶縁膜749〜751のうちの1つまたは複数の薄膜を形成した後に、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化、半導体膜の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザーアニール法、またはRTA法などを適用するとよい。例えば、不純物元素の活性化を目的とする場合、500℃以上の熱アニールを行えばよい。また、半導体膜の水素化を目的とする場合、350〜450℃の熱アニールを行えばよい。
次に、フォトリソグラフィ法により絶縁膜749〜751をエッチングして、N型不純物領域726、728、730、732、及びP型不純物領域785を露出させるコンタクトホールを形成する。ここで、コンタクトホールに対して窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、当該コンタクトホールの側壁及び底面を窒化した後、当該コンタクトホールの底面に形成された窒化膜のみを異方性エッチングで除去することが好ましい。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、窒素を含む雰囲気としては、N2もしくはNH3と、希ガスとの混合ガス、または、N2もしくはNH3と、希ガスと、H2との混合ガスを用いればよい。コンタクトホールの側壁を窒化することで、当該絶縁膜749〜751を介してTFTに水分が吸収されることを防止することができる。絶縁膜749〜751として酸化珪素膜や有機材料を用いたとき、特にその効果を期待することができる。この理由は、酸化珪素膜や有機材料を用いて形成された絶縁膜は、もともと水分を吸収しやすい膜であるからである。また、コンタクトホールの底面に形成された窒化膜のみを異方性エッチングで除去するのは、後に形成する導電膜とN型不純物領域726、728、730、732、及びP型不純物領域785(もしくはシリサイド領域)とのコンタクトを良好にするためである。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電膜を形成し、当該導電膜をパターン加工して、ソースまたはドレイン配線として機能する導電膜752〜761を形成する。
導電膜752〜761は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、アルミニウム(Al)を主成分とする導電膜を用いて形成する。アルミニウムを主成分とする導電膜とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、または、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方または両方を含む合金材料に相当する。アルミニウムを主成分とする導電膜は、一般に耐熱性に難点があるため、アルミニウムを主成分とする導電膜の上下をバリア膜で挟み込む構成とすることが好ましい。バリア膜とは、アルミニウムを主成分とする導電膜のヒロック抑制や、耐熱性を高める機能を有するものを指し、このような機能を有する材料としては、クロム、タンタル、タングステン、モリブデン、チタン、シリコン、ニッケルまたはこれらの窒化物からなるものが挙げられる。導電膜752〜761の構造の一例として、基板側から順にチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜を順に積層する構造が挙げられる。チタン膜は、還元性の高い元素であるため、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。また、結晶質半導体膜とアルミニウム膜との間に形成されるチタン膜に対して、窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行い、表面を窒化することが好ましい。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、窒素を含む雰囲気としては、N2もしくはNH3と、希ガスとの混合ガス、または、N2もしくはNH3と、希ガスと、H2との混合ガスを用いればよい。チタン膜の表面を窒化することにより、後の加熱処理の工程などでチタンとアルミニウムが合金化することを防ぎ、チタン膜を突き破って結晶質半導体膜中にアルミニウムが拡散することを防止することができる。なお、ここではアルミニウム膜をチタン膜で挟み込む例について説明したが、チタン膜に変えてクロム膜、タングステン膜などを用いた場合にも同じことが言える。さらに好ましくは、上記実施の形態3及び図4で説明したマルチチャンバー装置を用いて、チタン膜の成膜、チタン膜表面の窒化処理、アルミニウム膜の成膜、チタン膜の成膜を大気に曝すことなく連続して行う。
次に、導電膜752〜761を覆うように、絶縁膜762を形成する(図7(B))。絶縁膜762は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)を用いて、無機材料または有機材料により、単層または積層で形成する。また、絶縁膜762は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
続いて、フォトリソグラフィ法により絶縁膜762をエッチングして、導電膜757、759、761を露出させるコンタクトホールを形成する。ここで、コンタクトホールに対して窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、当該コンタクトホールの側壁及び底面を窒化した後、当該コンタクトホールの底面に形成された窒化膜のみを異方性エッチングで除去することが好ましい。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、窒素を含む雰囲気としては、N2もしくはNH3と、希ガスとの混合ガス、または、N2もしくはNH3と、希ガスと、H2との混合ガスを用いればよい。コンタクトホールの側壁を窒化することで、当該絶縁膜762を介してTFTに水分が吸収されることを防止することができる。また、コンタクトホールの底面に形成された窒化膜のみを異方性エッチングで除去するのは、後に形成する導電膜と導電膜757、759、761とのコンタクトを良好にするためである。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電膜を形成する。導電膜は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)を用いて、導電性材料により形成する。次に、導電膜をパターン加工して、導電膜763〜765を形成する。導電膜763〜765は、アンテナとして機能しており、公知の手段(プラズマCVD法、スパッタリング法、印刷法、液滴吐出法)を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)から選択された元素、またはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層または積層に形成する。具体的には、導電膜763〜765は、スクリーン印刷法により、銀を含むペーストを用いて形成し、その後、50〜350度の加熱処理を行って形成する。または、スパッタリング法によりアルミニウム膜を形成し、当該アルミニウム膜をパターン加工することにより形成する。アルミニウム膜のパターン加工は、ウエットエッチング加工を用いるとよく、ウエットエッチング加工後は200〜300度の加熱処理を行うとよい。
次に、アンテナとして機能する導電膜763〜765を覆うように、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)により、素子層の強度を確保するための保護膜として機能する絶縁膜772(保護層)を形成する(図8)。絶縁膜772は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む膜、窒化珪素を含む膜、窒化酸化珪素を含む膜、有機材料により形成し、好ましくはエポキシ樹脂により形成する。
次に、剥離層702が露出するように、フォトリソグラフィ法またはレーザー光の照射により絶縁膜をエッチングして、開口部773、774を形成する(図9(A))。
次に、必要に応じて開口部773、774にエッチング剤を導入して、剥離層702を除去する(図9(B))。エッチング剤は、フッ化ハロゲンを含む気体または液体を使用する。例えば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素(ClF3)を使用する。そうすると、素子層791は、基板701から剥離された状態となる。なお、素子層791とは、薄膜トランジスタ744〜748と、アンテナとして機能する導電膜763〜765が設けられている層をさす。また、剥離層702は、全て除去せず一部分を残存させてもよい。剥離層702の一部分を残存することによって、エッチング剤の消費量を抑え剥離層の除去に要する処理時間を短縮することが可能となる。また、剥離層702の除去を行った後にも、基板701上に素子層791を保持しておくことが可能となる。
素子層791が剥離された基板701は、コストの削減のために、再利用するとよい。また、絶縁膜772は、剥離膜702を除去した後に、素子層791が飛散しないように形成したものである。素子層791は小さく薄く軽いために、剥離層702を除去した後は、基板701に密着していないために飛散しやすい。しかしながら、素子層791上に絶縁膜772を形成することで、素子層791に重みが付き、基板701からの飛散を防止することができる。また、素子層791単体では薄くて軽いが、絶縁膜772を形成することで、基板701から剥離した素子層791が応力等により巻かれた形状になることがなく、ある程度の強度を確保することができる。
次に、素子層791の一方の面を、第1のシート材775に接着させて基板701から完全に剥離する(図10(A))。剥離層702を全て除去せず一部を残した場合には、物理的手段を用いて基板701から素子層を剥離する。続いて、素子層791の他方の面に、第2のシート材776を設け、その後加熱処理と加圧処理の一方または両方を行って、第2のシート材776を貼り合わせる。また、第2のシート材776を設けると同時または設けた後に第1のシート材775を剥離し、代わりに第3のシート材777を設ける。そして、加熱処理と加圧処理の一方または両方を行って、第3のシート材777を貼り合わせる。そうすると、第2のシート材776と第3のシート材777により封止された半導体装置が完成する(図10(B))。
なお、第1のシート材775と第2のシート材776によって封止を行っても良いが、基板701から素子層791を剥離するためのシート材と素子層791を封止するためのシート材に異なるシート材を用いる場合には、上述したように、第2のシート材776と第3のシート材777で素子層791を封止する。これは、例えば、基板701から素子層791を剥離する際に、第1のシート材775が素子層791のみならず基板701への接着が懸念される場合等、粘着力が弱いシート材を利用したいときに有効となる。
封止に用いる第2のシート材776、第3のシート材777としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルム等を利用することができる。フィルムを接着するには、フィルムの最表面に設けられた接着層か、または最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かした後、加圧により接着する。また、第2のシート材776と第3のシート材777の表面には接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。また、封止後に内部への水分等の侵入を防ぐために封止するシート材にシリカコートを行うことが好ましく、例えば、接着層とポリエステル等のフィルムとシリカコートを積層させたシート材を利用することができる。
本実施の形態では、素子層の内部にアンテナを形成する一例について説明したが、図11に示すように、素子層にはアンテナを形成せず、予めアンテナ234を設けたアンテナ用基板235と素子層274を接着剤などにより貼り合わせた構造としてもよい。
図11では、基板271上に剥離層272、下地膜273、素子層274が順に積層された構成となっている。素子層274にはTFT241〜244が設けられており、当該TFTのソースまたはドレイン領域に接続された配線245〜250が露出された状態となっている。また、配線245〜250のうち、配線245、247、248、250の上にはアンテナ234と接続するための接続端子251〜254が設けられている。図11では、素子層とアンテナ用基板235を貼り合わせる手段として、導電体237が分散した異方性導電体236を用いている。異方性導電体236は、接続端子251〜254およびアンテナ234の接続端子が設けられた領域239では、当該導電体が各接続領域端子の厚みにより圧着されるため、導通をとることができる。その他の領域では、導電体が十分な間隔を保っているため、電気的に接続されることはない。なお、異方性導電体を用いて貼り合わせる方法の他に、金属と金属を超音波によって接合する方法(「超音波接合」と呼ぶ。)を用いたり、紫外線硬化樹脂または両面テープ等を用いて貼り合わせる方法を用いることもできる。
次に、図示しないが、アンテナ用基板235を覆うように第1のシート材を設ける。なお、第1のシート材を設ける前に、素子層の保護を目的として、アンテナ用基板235上を覆うように保護フィルムを設けてもよい。
アンテナ用基板235を覆うように第1のシート材を設けた後の工程については、図10(A)、図10(B)を用いて説明した方法を用いることにより、半導体装置を作製することができる。
なお、本実施の形態では、薄膜トランジスタ744〜748をトップゲート型とした例を説明したが、それぞれボトムゲート型の薄膜トランジスタとしてもよいことはいうまでもない。また、薄膜トランジスタ744〜748のチャネル形成領域が、各々一つ形成されるシングルゲート構造について説明したが、チャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造または三つ形成されるトリプルゲート構造であってもよい。あるいは、チャネル形成領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有するデュアルゲート型やその他の構造としてもよい。
本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。つまり、上記実施の形態で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも利用することができるし、本実施の形態で示した材料や形成方法は上記実施の形態でも利用することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、半導体装置としてメモリを作製する具体的な方法について、図面を参照して説明する。特に、素子層の構造について詳細に説明する。
メモリは、薄膜トランジスタを有するメモリ部及び薄膜トランジスタを有するロジック部から構成されており、同一基板を用いてメモリ部とロジック部とを作製する。このため、本実施の形態で以下説明する内容につき、特に断りがない限りメモリ部とロジック部は同一の工程を経ているものとする。
まず、図12(A)に示すように基板1101上に、絶縁膜1102、剥離層1103及び下地膜1104を形成する。基板1101、絶縁膜1102、剥離層1103、及び下地膜1104についての形成方法や材料については、実施の形態1または実施の形態2で説明したものを自由に組み合わせることができるので、ここでは説明を省略する。本実施の形態では、基板1101としてガラス基板を用いる。また、絶縁膜1102として窒素を含む酸化珪素膜を50〜150nmの厚さに形成する。また、剥離層1103としてタングステン(W)膜を成膜した後、当該タングステン膜に酸素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、前記金属膜の表面に金属酸化膜を形成したものを用いる。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、酸素を含む雰囲気としては、O2もしくはN2Oと、希ガスとの混合ガス、または、O2もしくはN2Oと、希ガスと、水素との混合ガスを用いればよい。
次に、図12(B)に示すように剥離層1103上に下地膜1104を形成する。本実施の形態では、下地膜1104として酸化珪素膜を形成した後、当該酸化珪素膜に窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、当該酸化珪素膜の表面を窒化したものと、窒素を含む酸化珪素膜とを積層する構造とする。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、窒素を含む雰囲気としては、N2もしくはNH3と、希ガスとの混合ガス、または、N2もしくはNH3と、希ガスと、H2との混合ガスを用いればよい。一般的に、CVD法やスパッタ法により形成した酸化珪素膜は、膜の内部に欠陥を有し膜質が十分でない。本実施の形態では、酸化珪素膜に対して窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行い窒化することによって、緻密な膜を形成することができる。その結果、下地膜1104上に半導体素子を設ける場合に、基板1101や剥離層1103からの不純物元素の混入を防止することができる。
次に素子層を形成する。まず、アモルファスシリコン膜を40〜300nmの厚さに形成した後、結晶化してポリシリコン膜1105を形成する。結晶化の方法については実施の形態4で説明した方法を用いればよいが、本実施の形態では、アモルファスシリコン膜に連続発振のレーザー光を照射して結晶化する。
次に、ポリシリコン膜1105に対してP型の導電型を付与する不純物をドーピングする。本実施の形態では、ボロン(B)をドーピングする(図12(C))。
次に、ポリシリコン膜1105をパターニングして、第1〜第4の島状のポリシリコン膜1106〜1109を形成する(図12(D))。第1〜第2の島状のポリシリコン膜1106〜1107は、メモリ部に用いるものであり、第3〜第4の島状のポリシリコン膜1108〜1109は、ロジック部に用いるものである。
次に、第4の島状のポリシリコン膜1109を覆うようにレジストマスク1110を形成した後、第1〜第3の島状のポリシリコン膜1106〜1108に対してP型の導電型を付与する不純物をドーピングする(図13(A))。本実施の形態では、ボロン(B)をドーピングする。
次に、第1の島状のポリシリコン膜1109を覆って形成されたレジストマスク1110を除去する。続いて、第1〜第4の島状のポリシリコン膜1106〜1109に対して酸素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行う。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、酸素を含む雰囲気としては、O2もしくはN2Oと、希ガスとの混合ガス、または、O2もしくはN2Oと、希ガスと、水素との混合ガスを用いればよい。この高密度プラズマ処理により、第1〜第4の島状のポリシリコン膜1106〜1109の表面(上面及び側面)に酸化膜1121が形成される(図13(B))。酸化膜1121の膜厚は、2〜10nmとすればよい。なお、本実施の形態では、酸素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うが、酸素及び窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、窒素を含む酸化珪素膜(SiOxNy)(x>y)(x、yは正の整数)を形成してもよい。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、酸素及び窒素を含む雰囲気としては、N2またはNH3と、O2と、希ガスとの混合ガスを用いればよい。混合ガスの組み合わせの一例としては、窒素(またはアンモニア)を20〜1000sccm、酸素を10〜500sccm、アルゴンを100〜5000sccmとすればよく、窒素(またはアンモニア):酸素:アルゴン=2:1:10の比率で混合ガスを導入することが好ましい。
一般的に、CVD法やスパッタ法により形成した酸化珪素膜または窒素を含む酸化珪素膜は、膜の内部に欠陥を含んでいるため膜質が十分でない。酸素を含む雰囲気中で半導体膜にプラズマ処理を行い酸化することによって、当該半導体膜上に、CVD法やスパッタ法等により形成した絶縁膜より緻密な絶縁膜を形成することができる。また、半導体膜の上方にCVD法やスパッタ法等を用いて設けられた絶縁膜を介して導電膜を設ける場合、半導体膜の端部において絶縁膜の段切れ等による被覆不良が生じ半導体膜と導電膜間でショート等が発生する恐れがあるが、あらかじめ半導体膜の表面にプラズマ処理を用いて酸化することによって、半導体膜の端部における絶縁膜の被覆不良を防止することができる。また、メモリ部に形成された絶縁膜は絶縁リークの少ない膜が形成できるため、メモリ部の保持特性が向上する。
次に、酸化膜1121及び下地膜1104上に窒化珪素膜1122を4〜20nmの厚さに形成する(図13(C))。続いて、窒化珪素膜1122に対して酸素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行う。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、酸素を含む雰囲気としては、O2もしくはN2Oと、希ガスとの混合ガス、または、O2もしくはN2Oと、希ガスと、水素との混合ガスを用いればよい。この高密度プラズマ処理により、窒化珪素膜1122の表面(上面及び側面)に酸素を含む窒化珪素膜1123が形成される(図13(D))。酸素を含む窒化珪素膜1123の膜厚は、2〜10nmとすればよい。
次に、図14(A)に示すようにメモリ部のみに選択的にレジストマスク1124を形成した後、ロジック部のみを選択的に酸化する。具体的には、ロジック部の窒化珪素膜1122及び酸素を含む窒化珪素膜1123に対して酸素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行う。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、酸素を含む雰囲気としては、O2もしくはN2Oと、希ガスとの混合ガス、または、O2もしくはN2Oと、希ガスと、水素との混合ガスを用いればよい。この高密度プラズマ処理により、ロジック部の窒化珪素膜1122及び酸素を含む窒化珪素膜1123は酸化され、酸化膜1125が形成される。
次に、メモリ部に形成されていたレジストマスク1124を除去する。続いて、酸素を含む窒化珪素膜1123及び酸化膜1125上に第1の導電膜及び第2の導電膜を形成した後、これらの導電膜をパターニングする(図14(B))。パターニングされた第1の導電膜1126a〜1129a及び第2の導電膜1126b〜1129bは、それぞれ第1〜第4の島状のポリシリコン膜1106〜1109の上方に形成されており、ゲート電極として機能する。本実施の形態では、導電膜として基板側から順に窒化タンタルとタングステンを積層する構成としたが、この構成に限定されず、単層構造としてもよい。また、材料もこれに限定されるものではなく、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素またはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成することができる。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成することもできる。
なお、ロジック部を選択的に酸化する方法は、メモリ部に形成されている酸素を含む窒化珪素膜1123の上面にレジストマスク1124を形成する上述の方法以外の方法を用いてもよい。たとえば、図15(A)に示すように、メモリ部に形成されている酸素を含む窒化珪素膜1123の上面に導電膜1160を形成する方法がある。メモリ部のみに選択的に導電膜1160を形成することにより、ロジック部を選択的に酸化して酸化膜1125を形成することができる(図15(B))。この方法を用いた場合は、導電膜を除去せずにそのまま第1の導電膜及び第2の導電膜を積層し、パターニングすればよい。このため、メモリ部に形成されるパターニングされた導電膜は、3層構造になっている(図15(C))。
次に、ゲート電極として機能する導電膜1126〜1129を形成した後、第1の島状のポリシリコン膜1106が形成されている領域上に選択的にレジストマスクを形成した後、第1〜第3の島状のポリシリコン膜1106〜1108に対してN型の導電型を付与する不純物をドーピングする。本実施の形態では、リン(P)をドーピングする。また、第1〜第3の島状のポリシリコン膜1106〜1108が形成されている領域上に選択的にレジストマスクを形成した後、第4の島状のポリシリコン膜1109に対してP型の導電型を付与する不純物をドーピングする。本実施の形態では、ボロン(B)をドーピングする。こうして、第1、第2の島状のポリシリコン膜1106、1107が用いられた記憶素子1131、1132(メモリ)と、第3の島状のポリシリコン膜1108を活性層とするNチャネル型の薄膜トランジスタ1133と、第4の島状のポリシリコン膜1109を活性層とするPチャネル型の薄膜トランジスタ1134とが完成される(図14(C))。
これ以降の工程については、実施の形態4で説明した方法を用いることができる。すなわち、アンテナを形成して素子層を形成した後、当該素子層上に保護層を形成する。続いて、第1のシート材及び第2のシート材を用いて下地膜、素子層、及び保護層を封止することにより、半導体装置が完成される。
なお、本実施の形態では、ロジック部に設けられた薄膜トランジスタとしてトップゲート型を用いた例を説明したが、ボトムゲート型の薄膜トランジスタを用いることもできる。また、薄膜トランジスタのチャネル形成領域が、各々一つ形成されるシングルゲート構造について説明したが、二つ形成されるダブルゲート構造または三つ形成されるトリプルゲート構造であってもよい。あるいは、チャネル形成領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有するデュアルゲート型やその他の構造においてもよい。
本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。つまり、上記実施の形態で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも利用することができるし、本実施の形態で示した材料や形成方法は上記実施の形態でも利用することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態5で説明したメモリの作製方法とは別の作製方法について、図面を参照して説明する。
まず、実施の形態5で説明したように図13(B)の状態になるまでの作製工程を行う。
次に、酸化膜1121及び下地膜1104上に、分散された導電性粒子又は半導体粒子(以下、「分散粒子」と称する。)1141を形成する(図16(A))。分散粒子1141の作製方法としては、スパッタリング法、プラズマCVD法、減圧CVD(LPCVD)法、蒸着法、液滴吐出法等の公知の手法を用いることができる。分散粒子1141の大きさは、0.1〜10nm、好ましくは2〜5nmである。また、導電性粒子の材料としては、金、銀、銅、パラジウム、白金、コバルト、タングステン、ニッケル等を用いることができる。半導体粒子の材料としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、またシリコンゲルマニウム合金等を用いることができる。ここでは、分散粒子1141としてシリコン微結晶を形成する。なお、分散粒子の変わりに結晶質半導体膜を用いることもできる。
次に、分散粒子1141上に窒素を含む酸化珪素膜1142を2〜10nmの厚さに形成する(図16(B))。続いて、図16(C)に示すようにメモリ部のみに選択的にレジストマスク1143を形成した後、ロジック部のみを選択的に酸化する。具体的には、ロジック部の分散粒子1141及び窒素を含む酸化珪素膜1142に対して酸素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行う。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、酸素を含む雰囲気としては、O2もしくはN2Oと、希ガスとの混合ガス、または、O2もしくはN2Oと、希ガスと、水素との混合ガスを用いればよい。この高密度プラズマ処理により、ロジック部の分散粒子1141及び窒素を含む酸化珪素膜1142は酸化され、酸化膜1144が形成される(図16(D))。
この後の工程については、実施の形態5で説明したものを用いることができる。
本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。つまり、上記実施の形態で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも利用することができるし、本実施の形態で示した材料や形成方法は上記実施の形態でも利用することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態5、6で説明したメモリの作製方法とは別の作製方法について、図面を参照して説明する。
まず、実施の形態5で説明したように図13(A)の状態になるまでの作製工程を行う。続いて、第1の島状のポリシリコン膜1106を覆って形成されたレジストマスク1110を除去する(図23(A))。
次に、第1〜第4の島状のポリシリコン膜1106〜1109に対して酸素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、第1〜第4の島状のポリシリコン膜1106〜1109の表面(上面及び側面)に酸化膜1161を形成する(図23(B))。酸化膜1161の厚さは、2〜10nmとなる。また、メモリ部における酸化膜1161は、トンネル絶縁膜として機能する。さらに、酸化膜1161に対して窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、酸化膜1161の表面(上面及び側面)を窒化しておくことが好ましい(図23(C))。窒化処理により酸化膜1161の表面に形成される膜1162の厚さは、1〜5nmとなる。なお、高密度プラズマ処理の条件は、上述した実施の形態に記した条件を用いればよい。
次に、酸化膜1161(または表面が窒化処理された酸化膜)上に窒化珪素膜1122を4〜20nmの厚さに形成する(図23(D))。窒化珪素膜1122は、プラズマCVD法により形成することが好ましい。また、メモリ部における窒化珪素膜1122は、電荷をトラップ(捕獲)する絶縁膜として機能する。
次に、窒化珪素膜1122上に窒素を含む酸化珪素膜1123を形成する(図23(E))。窒素を含む酸化珪素膜1123は、プラズマCVD法により形成することが好ましい。さらに好ましくは、窒化珪素膜1122をプラズマCVD法により形成した後、大気に曝さずに連続的に窒素を含む酸化珪素膜1123をプラズマCVD法により形成するとよい。
この後の工程については、実施の形態5で説明した図14(A)以降の工程にしたがって、メモリ部及びロジック部を完成させることができる。
本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。つまり、上記実施の形態で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも利用することができるし、本実施の形態で示した材料や形成方法は上記実施の形態でも利用することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7で説明した酸化膜1161の形成方法につき、別の作製方法について説明する。
まず、実施の形態5で説明したように図13(A)の状態になるまでの作製工程を行う。続いて、第1の島状のポリシリコン膜1106を覆って形成されたレジストマスク1110を除去する。
次に、第1〜第4の島状のポリシリコン膜1106〜1109に対して酸素及び窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、第1〜第4の島状のポリシリコン膜1106〜1109の表面(上面及び側面)に窒素を含む酸化珪素膜を形成する。窒素を含む酸化珪素膜の厚さは、2〜10nmとなる。メモリ部における窒素を含む酸化珪素膜は、トンネル絶縁膜として機能する。なお、高密度プラズマ処理の条件は、実施の形態5に記した条件を用いればよい。
この後の工程については、実施の形態5〜7で説明した図13(C)以降の工程にしたがって、メモリ部及びロジック部を完成させることができる。
本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。つまり、上記実施の形態で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも利用することができるし、本実施の形態で示した材料や形成方法は上記実施の形態でも利用することができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、発光素子を有する表示装置を半導体装置として作製する方法について、図面を参照して説明する。
まず、図17(A)に示すように基板200上に、剥離層201、第1の絶縁膜202、第2の絶縁膜203、半導体膜204、ゲート絶縁膜205、ゲート電極206、層間絶縁膜207、ソースまたはドレイン電極208、209、画素電極210、配線211、画素電極の端部を覆って形成された絶縁膜212(隔壁層、土手ともよばれる。)を設ける。以下に、図17(A)の構造に関して詳しく説明を行う。
まず、基板200上に、剥離層201及び下地膜を形成する(図17(A))。基板200、剥離層201、及び下地膜についての形成方法や材料については、実施の形態1または実施の形態2で説明したものを自由に組み合わせることができるので、ここでは説明を省略する。本実施の形態では、下地膜として第1の絶縁膜202及び第2の絶縁膜203から構成された積層構造とする。
次に、下地膜上に素子層を形成する。素子層には薄膜トランジスタが設けられており、薄膜トランジスタは、所望の形状にパターニングされた半導体膜204、ゲート絶縁膜205、及びゲート電極206を有している。
半導体膜204は、非晶質半導体、非晶質状態と結晶状態とが混在したセミアモルファスシリコン(SAS)、非晶質半導体中に0.5nm〜20nmの結晶粒を観察することができる微結晶半導体、及び結晶性半導体から選ばれたいずれの状態を有してもよい。
本実施の形態では、非晶質半導体膜を形成し、加熱処理により結晶化された結晶性半導体膜を形成する。加熱処理とは、加熱炉、レーザー照射、もしくはレーザー光の代わりにランプから発する光の照射(ランプアニール)、またはそれらを組み合わせて用いることができる。
ゲート絶縁膜205は、半導体膜204を覆うように形成されている。ゲート絶縁膜205には、例えば酸化珪素、窒化珪素または窒化酸化珪素等を用いて単層または複数の膜を積層させて形成することができる。成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタ法などを用いることができる。
ゲート電極206は、ゲート絶縁膜205上に形成する。ゲート電極206としては、例えば、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Nbから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成することができる。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。さらに、その組み合わせも適宜選択すればよい。またゲート電極206は単層構造としてもよいし、複数の層からなる積層構造としてもよい。
次に、ゲート電極またはレジストを形成しパターニングしたものをマスクとして用い、半導体膜204にN型またはP型の導電性を付与する不純物を選択的に添加する。半導体膜204は、チャネル形成領域および不純物領域(ソース領域、ドレイン領域、GOLD領域、LDD領域を含む)を有し、添加される不純物元素の導電型によりNチャネル型TFT、またはPチャネル型TFTを選択的に形成することができる。また、ゲート電極206の側壁にサイドウォールを形成してもよい。
次に、層間絶縁膜207を形成する。層間絶縁膜207としては、無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、CVD法により形成された酸化珪素膜や窒素を含む酸化珪素膜、またはSOG(Spin On Glass)法により塗布された酸化珪素膜などを用いることができ、有機絶縁膜としてはポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリル、シロキサン、ポジ型感光性有機樹脂、ネガ型感光性有機樹脂等の膜を用いることができる。また、アクリル膜と窒素を含む酸化珪素膜の積層構造を用いても良い。
本実施の形態では、シロキサンを用いる。シロキサンを用いることで、膜厚を薄くしても十分な絶縁性および平坦性を有する層間絶縁膜を得ることができる。また、シロキサンは耐熱性が高いため、多層配線におけるリフロー処理にも耐えうる層間絶縁膜を得ることができる。さらに、吸湿性が低いため、脱水量の少ない層間絶縁膜を形成することができる。
次に、層間絶縁膜207をエッチングし、半導体膜204のソースおよびドレイン領域に達するコンタクトホールを形成する。続いて、各ソースおよびドレイン領域とそれぞれ電気的に接続するソースまたはドレイン電極208、209および配線211を形成する。ソースまたはドレイン電極208、209、配線211としては、Al、Ni、C、W、Mo、Ti、Pt、Cu、Ta、Au、Mnから選ばれた一種の元素または該元素を複数含む合金からなる単層または積層構造を用いることができる。例えば、Ti膜とAlとTiを含む合金膜との積層膜をパターニングして形成することができる。もちろん、3層構造に限らず、単層構造でも2層構造でもよいし、3層以上の積層構造にしても良い。
次に、層間絶縁膜207上に画素電極210を形成する。画素電極210はソースまたはドレイン電極208と電気的に接続するように形成する。なお、図17では、ソースまたはドレイン電極208を形成した後に画素電極210を形成しているが、画素電極210を先に形成した後にソースまたはドレイン電極208を形成してもよい。
画素電極210を陽極として用いる場合には、仕事関数の大きい材料を用いることが好ましい。例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)膜、IZO(インジウム亜鉛酸化物)膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜等の単層の膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
一方、画素電極210を陰極として用いる場合には、仕事関数の小さい材料を用いることが好ましい。例えばAl、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、Al−Li、CaF2、または窒化カルシウムを用いることができる。なお、画素電極210に光を透過させたい場合には、画素電極210として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO(インジウム錫酸化物)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2O3―ZnO)、または酸化亜鉛(ZnO)等)との積層構造とすることが好ましい。
次に、ソースまたはドレイン電極208、209、配線211を覆い、かつ画素電極210の端部を覆うように絶縁膜212を選択的に形成する。絶縁膜212は、「隔壁層」、または「土手」とよばれることがあり、アクリル、ポリイミド等の有機材料、酸化珪素、酸窒化珪素、シロキサン系等の無機材料等を用いて形成することができる。また、後に画素電極210を覆って形成する発光層が段切れしないように、曲率半径が連続的に変化する形状またはテーパー状に絶縁膜212を形成するとよい。
以上の工程により、図17(A)に示す構成を形成することができる。
次に、薄膜トランジスタや配線の形成部を避けて、後にエッチング剤を導入するための開口部213を選択的に形成する(図17(B))。開口部213は、第1の絶縁膜202、第2の絶縁膜203、ゲート絶縁膜205、層間絶縁膜207、及び絶縁膜212を除去して剥離層201が露出されるように形成する。
続いて、必要に応じて開口部213へエッチング剤を導入し、剥離層201を除去する。本実施の形態では、剥離層とエッチング剤を化学的に反応させて、剥離層201の除去を行う。剥離層201は完全に除去してもよいが、ここでは、剥離層201を完全には除去せずに、画素電極210の下方に位置する剥離層を少なくとも一部残すようにする(図17(C))。剥離層をどのくらい残すかは、剥離層とエッチング剤の反応を考慮して、エッチング流量と反応時間を設定することによって制御することができる。剥離層201を一部残すことによって、剥離層201を除去した後も基板200から表示装置を構成する素子形成部215(以下、「素子形成部215」と記す。)が完全には離れず、ばらばらになるのを防止することができる。
エッチング剤としては、剥離層と反応しやすいフッ化ハロゲンを含む気体または液体を使用することができる。例えば、剥離層201としてW膜を用いた場合には、Wとよく反応する三フッ化塩素ガス(ClF3)を用いることが好ましい。また、エッチング剤としては、この他にもCF4、SF6、NF3、F2等を用いてもよく、実施者が適宜選択すればよい。
次に、基板200の反対側から第1のシート材214を絶縁膜212に接着させて、基板200から剥離層201を介して基板200上に設けられた素子形成部215を剥離する(図17(D))。第1のシート材214は、可撓性のフィルムからなっており、少なくとも素子形成部215と接する面に粘着剤が設けられている。例えば、ポリエステル等からなるベースフィルム上にアクリル樹脂等を含んだ粘着力が弱い粘着剤が設けられたフィルムを用いることができる。
次に、素子形成部215の第1のシート材214が接着している面と反対側の面を第2のシート材216に接着させて、第1のシート材214から素子形成部215を剥離する(図18(A))。
次に、画素電極210上に発光層217を選択的に形成する(図18(B))。発光層217は、液滴吐出法を用いて選択的に形成してもよいし、スクリーン印刷法やグラビア印刷法を用いて形成してもよい。また、蒸着マスクを用いた蒸着法を用いてもよい。本実施の形態では、液滴吐出法を用いることによって選択的に発光層217を形成する。また、カラー表示可能な表示装置を形成する場合には、R、G、Bの3色を発光する発光層をそれぞれ選択的に形成する方法を用いればよい。このように液滴吐出法や印刷法を用いて発光層を形成することによって、無駄な材料を減らすことができるためコストを削減することが可能となる。
発光層217を形成する材料としては、低分子系材料、中分子材料(オリゴマー、デンドリマーを含む)、または高分子系材料等による有機化合物を用いて単層または積層構造とすればよい。また、発光層217を形成する材料として、有機化合物の他に無機化合物を用いることも可能である。一般的に、発光層に用いられる発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれており、本実施の形態ではどちらを適用してもよい。
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、後者は、蛍光材料の薄膜からなる発光層を有している点に違いがある。しかし、そのメカニズムは共通しており、高電界で加速された電子による母体材料又は発光中心の衝突励起により発光が得られる。本実施の形態では、無機EL素子を設ける場合には、分散型無機EL素子又は薄膜型無機EL素子のいずれかを適用すればよい。
また、強度の面等で問題がある場合には、発光層217を形成する前に開口部213に絶縁膜等を形成してもよい。この場合も、液滴吐出法を用いて選択的に絶縁膜を形成することができる。
また、発光素子から発せられる光の射出方式は、基板側に光を射出させる上面射出と、その反対側に光を射出させる下面射出と、一対の電極を透明材料、又は光を透過できる程度の厚さに電極を形成することで基板側とその反対側の両方に光を射出させる両面射出とがあり、いずれを適用してもよい。また、発光層217は、単層型、積層型、層の界面がない混合型のいずれでもよい。さらに、発光層217は、シングレット材料、トリプレット材料、又はそれらを組み合わせた材料のいずれを用いてもよい。また、低分子材料、高分子材料及び中分子材料を含む有機材料、電子注入性に優れる酸化モリブデン等に代表される無機材料、有機材料と無機材料の複合材料のいずれを用いてもよい。
その後、対向電極218を形成する(図18(B))。対向電極218も液滴吐出法を用いて導電体を含む組成物を吐出して選択的に形成することができる。また、対向電極218の材料としては、陽極として用いるか陰極として用いるかによって上記画素電極210の材料で示した材料のいずれかを用いることができる。
次に、第2のシート材216に接着している面とは反対側の素子形成部215の面に第3のシート材220を接着させると共に、第2のシート材216と第3のシート材220により素子形成部215を封止する(図18(C))。素子形成部215は第2のシート材216と第3のシート材220により封止された状態となる。なお、発光層の耐水性等が懸念される場合には、封止を行う前に保護膜219を形成しておいてもよい。保護膜219は、発光層を外部の空気や水分と接触させないために形成する。そのため、保護膜219としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料や、撥液性の材料としてフッ素原子が含まれた樹脂、炭化水素のみで構成された樹脂等を用いることができる。より詳しくは、分子内にフッ素原子を含有するモノマーを含む樹脂、或いは全て炭素と水素原子のみから構成されるモノマーを含む樹脂が挙げられる。他にも、アクリル、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリレンエーテル、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物等を用いることができる。また、無機材料で形成してもよい。
また、第2のシート材216と第3のシート材220は、可撓性のフィルムであり、例えばフィルムを積層したものを用いることができる。より具体的には、ポリエステル等のベースフィルム上にホットメルトフィルムが形成されたものを利用することができる。第2のシート材216及び第3のシート材220を素子形成部215に接着するときに、加圧処理または加熱処理の一方または両方を行うことによって、短時間で接着することができる。また、第3のシート材の表面に対向電極を設けておくことによって、素子形成部215を封止する際に対向電極を併せて形成することができる。
なお、本実施の形態において、剥離された基板200は再利用することができる。その結果、基板を用いた表示装置の作製において、同じ基板を繰り返して用いることが可能となるため、ガラス基板より原価の高い石英基板を用いた場合でも低コスト化を達成することができる。なお、基板を再利用する場合、剥離の工程において基板に傷が生成されないように制御するのが望ましい。しかし、傷が生成された場合であっても、有機樹脂膜や無機樹脂膜を塗布法や液滴吐出法によって形成したり、研削、研磨することによって平坦化処理を行えばよい。
以上の工程により、可撓性を有するフィルム状表示装置が完成する。なお、本実施の形態では、電界発光層を用いたEL表示装置に関して例を示したが、これに限定されず液晶表示装置や他の自発光素子を用いる表示装置にも同様に適用することができる。
液晶表示装置に上記工程を適用した場合について、図19に示す。まず、上述したように、剛性を有する基板(たとえば、ガラス基板)上に液晶表示装置の一部を構成する素子形成部230を形成し、その後素子形成部230の一方の面に第1のシート材214を接着させて素子形成部230を基板から剥離する。なお、本実施の形態では、基板上に素子形成部を形成する際に画素電極を覆うように配向膜281を形成しておく。次に、素子形成部230の他方の面に第2のシート材216を接着させて素子形成部230を第1のシート材214から剥離する(図19(A))。その後、加工手段によって、素子形成部230に液晶層および対向電極を形成する。液晶層は、公知の方法を用いて形成すればよく、例えば滴下注入法等によって形成する(図19(B))。続いて、素子形成部230上に形成された液晶層219および対向電極229上に第3のシート材220を接着させて、第2のシート材216と第3のシート材220で封止することによって、液晶表示装置を形成することができる(図19(C))。液晶層は、配向膜281と配向膜282との間に形成されており、液晶表示装置の上下に偏光板を設けることによって表示を行うことができる。
本実施の形態を用いて作製した可撓性を有するフィルム状表示装置は画素と画素の間に開口部283が形成されているため、完成したフィルム状表示装置を折り曲げやすくなっている。つまり、開口部283を設けることによって、折り曲げた際に画素にかかる圧力が減少するという利点を有している。
なお、本実施の形態では、トップゲート型の薄膜トランジスタに関して具体例を挙げて説明を行ったが、ボトムゲート型の薄膜トランジスタを用いてもよい。また、アクティブマトリクス型に関して例を示したが、パッシブマトリクス型の構成を用いてもよい。また、画素領域に関して説明を行ったが、画素部を駆動するための駆動回路も同様に基板に形成し、画素領域と同時に剥離を行って可撓性基板上に設けてもよい。画素領域と駆動回路を接続するための配線は剥離前に形成しておいてもよいし、剥離後に可撓性基板に配線を設けた後に加工手段を用いて形成してもよい。他にも駆動回路や画素領域を制御する回路等を別の基板に形成し、基板から剥離して可撓性基板にそれぞれ設けた後に、これらを電気的に接続する配線を形成してもよい。この場合、基板ごとによって、それぞれの構成を作り分けることができるため、表示装置を効率的に形成することができる。
本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。つまり、上記実施の形態で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも利用することができるし、本実施の形態で示した材料や形成方法は上記実施の形態でも利用することができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の半導体装置を非接触でデータの送受信が可能であるRFIDタグとして利用した場合の一実施形態に関して図20を用いて説明する。
RFIDタグ2020は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路2011、クロック発生回路2012、データ復調/変調回路2013、他の回路を制御する制御回路2014、インターフェース回路2015、メモリ2016、データバス2017、アンテナ(アンテナコイル)2018を有する(図20(A))。
電源回路2011は、アンテナ2018から入力された交流信号を基に、半導体装置の内部の各回路に供給する各種電源を生成する回路である。クロック発生回路2012は、アンテナ2018から入力された交流信号を基に、半導体装置内の各回路に供給する各種クロック信号を生成する回路である。データ復調/変調回路2013は、リーダライタ2019と交信するデータを復調/変調する機能を有する。制御回路2014は、メモリ2016を制御する機能を有する。アンテナ2018は、電波の送受信を行う機能を有する。リーダライタ2019は、半導体装置との交信、制御及びそのデータに関する処理を制御する。なお、RFIDタグは上記構成に制約されず、例えば、電源電圧のリミッタ回路や暗号処理専用ハードウエアといった他の要素を追加した構成であってもよい。
また、RFIDタグは、各回路への電源電圧の供給を電源(バッテリ)を搭載せず電波により行うタイプとしてもよいし、各回路への電源電圧の供給をアンテナの代わりに電源(バッテリ)を搭載させて行うタイプとしてもよいし、電波と電源により電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
本発明の半導体装置をRFIDタグ等に利用した場合、非接触で通信を行う点、複数読取りが可能である点、データの書き込みが可能である点、様々な形状に加工可能である点、選択する周波数によっては、指向性が広く、認識範囲が広い点等の利点を有する。RFIDタグは、非接触による無線通信で人や物の個々の情報を識別可能なICタグ、ラベル加工を施して目標物への貼り付けを可能としたラベル、イベントやアミューズメント向けのリストバンド等に適用することができる。また、RFIDタグを樹脂材料により成型加工してもよいし、無線通信を阻害する金属に直接固定してもよい。さらに、RFIDタグは、入退室管理システムや精算システムといった、システムの運用に活用することができる。
次に、本発明の半導体装置をRFIDタグとして実際に使用するときの一形態について説明する。表示部2031を含む携帯端末の側面には、リーダライタ2030が設けられ、品物2032の側面にはRFIDタグ2033が設けられる(図20(B))。品物2032に設けられたRFIDタグ2033にリーダライタ2030をかざすと、表示部2031に品物の原材料や原産地、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が表示される。また、商品2036をベルトコンベアにより搬送する際に、リーダライタ2034と、商品2036に設けられたRFIDタグ2035を用いて、該商品2036の検品を行うことができる(図20(C))。このように、システムにRFIDタグを活用することで、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。
本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態11)
本発明の半導体装置の用途は広範にわたるが、例えば、電子機器に用いることができる。電子機器として、例えばテレビ受像器、コンピュータ、携帯電話機をはじめとする携帯情報端末、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ナビゲーションシステム、プロジェクター等に利用することができる。本発明の半導体装置を携帯電話機に適用した場合に関して図21を用いて説明する。
携帯電話機は、筐体2700、2706、パネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703、操作ボタン2704、バッテリ2705とを有する。パネル2701はハウジング2702に脱着自在に組み込まれ、ハウジング2702はプリント配線基板2703に嵌着される。ハウジング2702はパネル2701が組み込まれる電子機器に合わせて、形状や寸法が適宜変更される。プリント配線基板2703には、パッケージングされた複数の半導体装置が実装されており、このうちの1つとして、本発明の半導体装置を用いることができる。プリント配線基板2703に実装される複数の半導体装置は、コントローラ、中央処理ユニット(CPU、Central Processing Unit)、メモリ、電源回路、音声処理回路、送受信回路等のいずれかの機能を有する。
パネル2701は、接続フィルム2708を介して、プリント配線基板2703と接続される。上記のパネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703は、操作ボタン2704やバッテリ2705と共に、筐体2700、2706の内部に収納される。パネル2701が含む画素領域2709は、筐体2700に設けられた開口窓から視認できるように配置されている。
本発明の半導体装置は、小型、薄型、軽量であることを特徴としており、上記特徴により、電子機器の筐体2700、2706内部の限られた空間を有効に利用することができる。
また、本発明の半導体装置はRFIDタグとしても利用可能である。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの具体例に関して図22を用いて説明する。
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指す(図22(A))。証書類とは、運転免許証、住民票等を指す(図22(B))。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す(図22(C))。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指す(図22(D))。書籍類とは、書物、本等を指す(図22(E))。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指す(図22(F))。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指す(図22(G))。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指す(図22(H))。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話機等を指す。
紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類等にRFIDタグを設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、食品類、生活用品類、電子機器等にRFIDタグを設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。乗物類、保健用品類、薬品類等にRFIDタグを設けることにより、偽造や盗難の防止、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防止することができる。RFIDタグの設け方としては、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりして設ける。例えば、本ならば紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりするとよい。
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等にRFIDタグを設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類にRFIDタグを設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物にRFIDタグを埋め込むことによって、生まれた年や性別または種類等を容易に識別することが可能となる。
以上のように、本発明の半導体装置は物品であればどのようなものにでも設けて使用することができる。本実施の形態は、上述した他の実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。