JP2006328801A - 軒樋構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 頂部分A11と、頂部分A11から左右外側方向に折り下げられた傾斜面A12・A12とから成っていて、水下側が、軒樋3の中に雨水を導くことができる形状に形成された突部A1が形成された入隅部材Aを用い、突部A1の後端が谷板1の水下側の中央部近傍に位置し、前端が軒樋3の前端近傍に位置し、頂部分A11が谷板よりも低い位置になるように、軒樋上の入隅部に取り付ける。
【選択図】 図5
Description
そして、このような軒樋用入隅カバー材Bが、入隅部に設置された曲がり樋に固定され、さらに軒樋用入隅カバー材Bの左右には、軒樋カバーが接続されている。
この雨水案内具Cは、谷部に集中する雨水が、谷部の軒先から多量にまとまって落下するのを防止するために、屋根材5上の軒先に設置されている。
このため、水下側に向かって谷部を流れて来た雨水は、特開2000−136604号公報が課題として挙げている通り、平面部B2を乗り越えてしまい、軒樋にははいらずに軒下に落ちてしまう恐れがあった。
また、突片B1の水上側突端が集中して積雪荷重を受けることになり、軒樋用入隅カバー材Bごと外れる恐れがあった。
また、図14の雨水案内具Cは、「軒先に向かって拡開すると共に上り傾斜となった平面視略三角形状で、その両側外面を雨水案内傾斜面として形成した」ものである。このため、略三角形状の雨水案内傾斜面C3は、雪が集中する谷部において雪止めのような役目を果たして抵抗を受け、外れやすいという問題もあった。さらに、屋根材と雨水案内具の下面との隙間を無くさないと、その隙間の雪が凍ったときに外れやすくなるため、屋根材ごとにそのような形状に設計する必要があった。
その入隅部材は、軒樋上の入隅部に取り付けられるが、突部を有している。その突部は、頂部分と、頂部分から左右外側方向に折り下げられた傾斜面とから成っている。そして、突部の水下側は、軒樋内に雨水を導くことができる形状に形成されている。
このような形状の入隅部材を、軒樋上の入隅部に取り付けた軒樋構造とすることで、課題を解決しているのが、請求項1に記載した軒樋構造である。
そして、その軒樋構造は、前記入隅部材が軒樋上の入隅部に取り付けられたときに、突部の後端は谷板の水下側の中央部近傍に位置しており、突部の前端は軒樋の前端近傍に位置しており、突部の頂部分は谷板よりも低い位置に取り付けられることを特徴としている。
このため、軒先に向かって谷部を流れて来た雨水は、特開2000−136604号公報で課題として挙げている通り、平面部を乗り越えてしまい、軒樋にははいらずに軒下に落ちてしまう恐れがあった。
しかし、本願によれば、水下側に向かって谷部を流れて来た雨水が飛び出した場合には、雨水は、突部に接触して勢いが落ち、すぐに左右に分かれ、分かれた雨水は、軒樋にスムーズに導かれる。
また、図13の場合には、突片の水上側突端が集中して積雪荷重を受けることになり、軒樋用入隅カバー材ごと外れる恐れがあった。
これに比べて本願の突部は、後端が谷板の水下側の中央部近傍に位置していて、水上側に図13のような突端を有していないので、谷部を軒先に向かって滑って来る雪に対しての抵抗が少なく、従って、入隅部材が破損する恐れが少ない。
しかし、本願の突部は、谷部から飛び出した雨水をそこにすぐに当てて左右に分散させることを目的としており、勢いよく流れて来た雨水は、すぐに突部に当たって左右に分散され、軒樋に導かれる。
また、図14の雨水案内具は、「軒先に向かって拡開すると共に上り傾斜となった平面視略三角形状で、その両側外面を雨水案内傾斜面として形成した」ものである。このため、略三角形状の雨水案内傾斜面は、雪が集中する谷部において雪止めのような役目を果たして抵抗を受け、外れやすいという問題もあった。さらに、屋根材と雨水案内具の下面との隙間を無くさないと、その隙間の雪が凍ったときに外れやすくなるため、屋根材ごとにそのような形状に設計する必要があった。
しかし、本願の入隅部材は、雪国に見られる雪割り棟のような形状をしており、その突部の後端が谷板の水下側の中央部近傍に位置しているので、谷部を軒先に向かって滑って来る雪に対して抵抗が少なく、破損しにくい。
請求項に基づいて説明すると、本願の軒樋構造に用いる入隅部材は、軒樋上の入隅部に取り付けられるが、突部を有している。その突部は、頂部分と、頂部分から左右外側方向に折り下げられた傾斜面とから成っている。そして、突部の水下側は、軒樋内に雨水を導くことができる形状に形成されている。
このような形状の入隅部材を軒樋上の入隅部に取り付けたときに、谷部に集中した雨水が谷板の水下側の中央部から飛び出したとしても、突部の後端は谷板の水下側の中央部近傍に位置しており、突部の頂部分は谷板よりも低い位置に取り付けられているので、谷部から勢いよく飛び出した雨水を頂部分でほとんど受けることができ、頂部分に接触した雨水の勢いを落とすことができる。そして、頂部分から傾斜面を伝わって軒樋内にスムーズに導かれる。また、突部の水下側は雨水を軒樋内に導くことができる形状に形成されていて、前端は軒樋の前端近傍に位置しているため、傾斜面を水下側に向かって雨水が走ったとしても、軒樋の中に雨水がはいっていく。
しかも、従来技術とは異なり、入隅部材の突部の後端が谷板の水下側の中央部近傍に位置し、頂部分が谷板よりも低い位置となるように取り付けられるため、谷部を軒先に向かって滑って来た雪に対して抵抗が少なく、入隅部材が雪で壊れにくい軒樋構造となっている。
また、軒側面A2と軒側面A2から延出して折り下げられた下がり辺A6とで一部材としている。軒側面A2は下方に行くに連れて外側方向に開いており、下がり辺A6は、軒樋カバー4の前端の形状に添うように湾曲している。そして、傾斜面A12と傾斜面A12との間に軒側面A2が組み合わせられており、本実施例の場合には、傾斜面A12・A12と軒側面A2とを止着具8で接続することで入隅部材Aを成している。
本実施例の場合には二部材から成っており、比較的薄い金属板でできているが、金属製で一部材から成るものでもよいし、硬質樹脂等で製作してもよい。
図2に示した通り、鼻隠し7に、軒樋取り付け金具2が取り付けられ、さらに軒樋カバー3が取り付けられている。この軒樋取り付け金具2は、軒樋吊り金具22と固定金具21とから成っている。軒樋吊り金具22には面部22aが形成されており、その上縁は、軒樋カバー4を取り付けることができる形状に形成されている。また、軒樋吊り金具22の面部22aの下方には、軒樋取り付け部22bが形成されており、軒樋吊り金具22の面部22aには、軸穴と係止穴が設けられている。
さらに軒樋取り付け金具2の軒樋取り付け部22bには、軒樋押さえ金具22cが、回動可能に取り付けられている。
固定金具21は、面板部21aと、固定面21bとを有しており、面板部21aには、軒樋吊り金具22の軸穴に対応する位置に軸穴が、軒樋吊り金具22の係止穴に対応する位置に係止穴が、それぞれ設けられており、係止穴は長穴である。軒樋取り付け金具2は、軒樋吊り金具22の軸穴と固定金具21の軸穴とを合わせて、軸ピン20を通し、軒樋吊り金具22の係止穴に固定金具21の係止穴を合わせ、ボルトを通し、軒樋吊り金具22と固定金具21とを組み合わせて成っている。
また、前述の通り、軒樋吊り金具22と固定金具21をあらかじめ組み合わせておくが、軸ピンを中心にして回動させ、固定金具21の係止穴を鼻隠し7の角度に合わせて適宜選んで、軒樋吊り金具22の係止穴に合わせることで、鼻隠し7の勾配に合わせて軒樋吊り金具22の角度を調整しておくことができる。
このようにして軒樋吊り金具22と固定金具21が組み合わせられた軒樋取り付け金具2を、鼻隠し7に固定するが、固定金具21の固定面21bを鼻隠し7に止着具等で固定することで取り付けていく。
軒樋カバー4をはめる際には、軒樋カバー後端43を軒樋吊り金具22の上縁後端に引っ掛ける。そして、軒樋カバー4を上から押して、軒樋カバー水下端部44を軒樋吊り金具22の上縁に沿って斜め下方に滑らせ、スプリングバックの力で元の状態に戻りながら、軒樋吊り金具22にはまるようにする。
このような仕組みの軒樋構造において、特に入隅部に、本実施例の入隅部材Aを用いた場合には、図2や図5に示した通り、後から軒樋カバー4の上に載せて固定するので、入隅部の左右の軒樋カバー4・4の切り口は隠れてしまう。従って、入隅部材Aの下側となる軒樋カバー4・4の端部は、図3のようにまっすぐにきれいに切らなくてもよい。図4のような状態でもよい。しかも、下がり辺A6が形成されていることで、いっそう美観を向上させることができる。
もし、入隅部材Aを先に入隅部の軒樋上に取り付け、あとから軒樋カバー4を取り付けるならば、入隅部の左右の軒樋カバー4・4の切り口が見えることになる。この場合には、軒樋カバー4のそれぞれの端部をまっすぐに、きれいに切る必要があり、手間がかかる。
そして、入隅部材Aの載置面A4・A4には穴A7があけられているので、この穴A7に止着具8を通して軒樋カバー4に取り付ける。本実施例の場合には、このように取り付けるが、接着剤を使用する等、別の方法で取り付けてもよい。
このように、本実施例の場合には、軒樋カバー4・4の切り口を隠して意匠性を向上させることができ、しかも施工手間がかからないという利点もある。
また、傾斜面A12・A12を水下側に向かって雨水が多少伝わったとしても、軒側面A2が形成されており、しかも外側方向に向かって開き気味になっており、さらに軒側面A2からは軒樋カバー4の前端の形状に沿った下がり辺A6が延出されているので、雨水は、軒樋3内にスムーズに導かれる。そのうえ、傾斜面A12・A12には、リブA14が形成されているので、雨水の勢いをいっそう落とすことができる。
もし突部A1の頂部分A11が平らであったり、鋭角ではなく円弧状であったならば、谷部から飛び出した雨水は、円弧状の上面を滑って軒下に飛び跳ねてしまい、目的を達成することができない。
しかし、本願の入隅部材Aは、入隅部の軒樋上に設置され、谷部から飛び出した雨水を突部A1の頂部分A11に接触させてすぐに左右に分けるので、勢いを落とすという目的を果たす。勢いが強い場合には、頂部分A11の水下側に雨水が落ち、勢いが弱い場合には、頂部分A11の水上側に落ちる。突部A1は、後端が谷板1の水下側中央部近傍に位置するので、雨水の勢いが弱い場合でも、頂部分A11に当たることになり、雨水は左右に分かれて流れていく。
このように、突部A1の形状が異なり、また突部A1の位置も前述の通りなので、谷部から飛び出した雨水を確実に受け止めることができ、従って確実に勢いを落とすこともでき、しかも水上側からの雨水を突部A1の水下側や傾斜面A12・A12からスムーズに軒樋内に導くことができるという、従来技術にはない作用効果を発揮する。
また、本実施例の入隅部材Aは、雪に強いという特徴も持つ。本実施例の入隅部材Aの突部A1は頂部分A11と傾斜面A12・A12とから成っていて、軒樋カバー4の水上側から水下側までの幅とほぼ同じ長さであり、鋭角な山を築いており、左右両側から雪に押されてもつぶれにくいからである。
従来技術のように水上側の突端がなく、取り付け位置も、突部Aの後端が谷板1の水下側中央部近傍であり、頂部分A11が谷板1よりも低いため、谷部を軒先に向かって滑って来た雪は頂部分A11で割れ、傾斜面A12・A12に沿って水下側に滑っていく。
このように、本願の軒樋構造に用いる入隅部材Aは、図13のように、水下側に向かって開いていて垂直の側面を有し、雪の抵抗を受けやすい小さな突片が水下側中央部に設けられたものではない。また、図14のように、雪止めのような役目を果たす形状ではなく、取り付け位置も谷部の軒先の屋根板上ではない。本願の軒樋構造に用いる入隅部材Aは、雪割り棟のような形状をしていて、しかも、突部A1の後端が谷板1の水下側中央部近傍に位置しており、頂部分A11は谷板1よりも低く位置しているため、谷部を軒先に向かって滑って来る雪に対しての抵抗が少なく、従って、雪で破損しにくい。
そして、このような形状の入隅部材Aが、突部A1の後端が谷板1の水下側中央部近傍に位置し、突部A1の前端が軒樋3の前端近傍に位置し、突部A1の頂部分A11が谷板1よりも低い位置になるように、軒樋上の入隅部に取り付ける。
さらに、本実施例の場合には、前端が円弧状である軒樋カバー4をかぶせてある。このような軒樋構造であるため、突部A1の頂部分A11に接触させられて勢いの落ちた雨水が、軒樋カバー湾曲部42を伝わっていっそうスムーズに軒樋に導かれる。そして、雪は軒樋カバー4の前端に添って軒下に滑って落ちていくので、雪の重みで軒樋3や軒樋取り付け金具2が壊れるようなことがなくなる。
入隅部材Aの突部A1の後端が谷板1の水下側中央部近傍にあり、頂部分A11が谷板1よりも低く位置しているので、谷部から飛び出した雨水を確実に受け止めてすぐに左右に分かれさせることができる。
また、突部A1の前端が軒樋3の前端の近傍に位置するため、本実施例の入隅部材Aのように、湾曲している下がり辺6が形成されていて、軒樋3よりわずかに水下側に出ていても、雨水は軒樋3に導かれる。第一実施例の軒樋構造は、このような構造となっている。
まず、第二実施例の軒樋構造について、図6により説明する。
ここに示した軒樋構造には、軒樋カバー4が取り付けられていない。このため、本実施例に用いられる入隅部材Aは、軒樋カバー4に載せるための載置面A4・A4が無い。本実施例の入隅部材Aには固定部A8が形成されており、それらを軒樋3・3にはめて固定させて用いる。
本実施例は、軒樋カバー4が無くても、谷板1の水下側中央部からの雨水が突部A1の頂部分A11に接触することで雨水の勢いが落ち、雪害にも強い形状や位置であることを示す例である。また、
本実施例の場合にも、突部A1に接触させられた雨水が勢いを落としてすぐに左右に分かれ、傾斜面A12・A12を伝わったり、軒側面A2を伝わったりして軒樋3・3の中にはいっていく。また、本実施例の入隅部材Aには、下がり辺A6が形成されていないが、突部A1の水下側前端である軒側面A2の下縁が軒樋の前端近傍に位置しているため、雨水は、軒樋3の中に導かれる。
雪も、突部A1の頂部分A11で割れるので、入隅部材Aが壊れにくい。
たとえば、逆U字状の突部A1のように、側面が傾斜していない場合には、ほぼ垂直の面を雨水が水下側に向かって走ってしまうことがある。
しかし、本実施例のように、側面の下方がわずかに垂直になっているような場合には、そのようなことにはなりにくいので、本実施例のような形状でもよい。
このような例であっても、谷部から飛び出した雨水は、突部A1の頂部分A11に接触させられることで勢いが落ち、傾斜面A12・A12を滑って載置面A4・A4を伝わって軒樋3の中に導かれる。
また、傾斜面A12・A12を水下側に向かって雨水が走ったとしても、軒側面A4が形成されているので、軒側面A4を伝わって、雨水は軒樋3の中に導かれる。
本実施例は、下がり辺A6が形成されていなくても、少なくとも、突部A1の頂部分A11に雨水がぶつかって勢いを落とすことができればよいという例を示している。
本実施例の入隅部材Aは、第一実施例の軒樋構造で示した入隅部材Aとは異なり、一部材から成っている。
ただし、第一実施例の下がり辺A6は、入隅部材Aの下側に位置する軒樋3・3の端部がきれいに切断されていなくても、それを隠すことができる。さらに軒樋の前端の湾曲に添った形状にしてあれば、そこを伝わって、雨水が軒樋の中にいっそうはいりやすい。
また、傾斜面A12・A12を水下側に向かって雨水が走ったとしても、巻き込み辺A13が形成されていることで、巻き込み辺A13を伝わった雨水は、その端部から入隅部材Aの突部A1の内側に入り込み、軒樋3に導かれる。
このため、谷部を飛び出した雨水が突部A1の水上側に回って、軒先唐草6と突部A1との間に落ちた場合、この箇所の立ち上げ面A5により雨水が水下側に戻され、左右の載置面A4・A4を伝わって軒樋3の中にはいる。雨水が突部A1の後ろ側に回って鼻隠し7を濡らすことが、ほとんどなくなる。
A1 突部
A11 頂部分
A12 傾斜面
A13 巻き込み辺
A14 リブ
A2 軒側面
A3 棟側面
A4 載置面
A5 立ち上げ面
A6 下がり辺
A7 穴
A8 固定部
B 軒樋用入隅カバー材
B1 突片
B2 平面部
C 雨水案内具
C3 雨水案内傾斜面
1 谷板
2 軒樋取り付け金具
20 軸ピン
21 固定金具
21a 面板部
21b 固定面
22 軒樋吊り金具
22a 面部
22b 軒樋取り付け部
22c 軒樋押さえ金具
3 軒樋
4 軒樋カバー
41 軒樋カバー上面
42 軒樋カバー湾曲部
43 軒樋カバー後端
44 軒樋カバー水下端部
5 屋根材
6 軒先唐草
7 鼻隠し
8 止着具
Claims (2)
- 入隅部材が用いられる軒樋構造であって、
前記入隅部材には突部が形成されており、
該突部は、
頂部分と、
頂部分から左右外側方向に折り下げられた傾斜面とから成っており、
前記突部の水下側は、軒樋内に雨水を導くことができる形状に形成されており、
該入隅部材が軒樋上の入隅部に取り付けられたときに、
前記突部の後端は谷板水下側の中央部近傍に位置しており、
前記突部の前端は軒樋の前端近傍に位置しており、
前記突部の頂部分は谷板よりも低い位置に取り付けられることを特徴とする軒樋構造。 - 請求項1記載の軒樋構造であって、
軒樋上には、前端が円弧状である軒樋カバーがかぶせられていることを特徴とする軒樋構造。
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