JP2006328760A - ピロティ階を設けた建築物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ピロティ階において構造柱を減数できると同時に、ピロティ階における構造柱の位置に自由度を付与することができる構造を提供する。
【解決手段】 ラーメン構造の上層階2とその下層階であるピロティ階3とを設けた建築物1において、ピロティ階の一辺両端部に立設された構造支持手段11と、これらを連結する構造梁41と、2つ以上の上層階の柱51の両端間領域の鉛直下方にて構造梁41から垂下しかつ構造支持手段11から離間した構造垂れ壁21と、上層階の柱より少数で構造垂れ壁の下端のいずれの位置でも接合可能でありかつ構造垂れ壁の下端からピロティ階の下端まで延びる構造中柱31とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数階からなり梁と柱で構成されるラーメン構造の上層階と、その下層階であるピロティ階とを設けた建築物に関し、特に、ピロティ階の設計において大きなフレキシビリティが得られる建築物に関する。
建築物、特に高層建築物においては、柱と梁とを骨組みとするラーメン構造が広く知られている。このような高層建築物を複合的用途に適用するために、例えば、複数階からなる上層階を住居等の比較的小区画の用途に適用する階とし、その下に位置する1又は複数の下層階を事務所、店舗、駐車場、病院、種々の施設等の比較的大区画の用途に適用する階、いわゆるピロティ階とすることがしばしば行われている。その場合、上層階では通常ラーメン構造を構成する柱と梁(いわゆる構造柱と構造梁)をそのまま利用して各住居の区画を形成すればよいが、下層階であるピロティ階では構造柱の存在により大区画の開放空間を得ることが困難であり設計上の制約が大きかった。
斯かるピロティ階の設計上の制約に対処するべく、例えば特許文献1に記載の技術が提示されている。特許文献1の図1〜図4に記載の建築物は、住戸階として適用する複数階からなる上部骨組部と、その下の設備階や店舗等のピロティ階として適用する支持骨組部とを有する。上部骨組部は、上部柱と、上部梁と、上部柱間に設けた中間柱を骨組みとするラーメン構造である。上部骨組部において隣り合う上部柱同士は、桁行方向及びはり間方向のいずれの方向においても上部梁により連結されている。一方、中間柱は、隣り合う上部柱の中間位置にて上部梁に接合されているが、中間柱同士は梁によって直接連結されていない(特許文献1の段落0012、図3)。よって、上部柱は中間柱よりも構造的にみて主要な柱(以下、これを「主柱」と称する)と考えることができる。尚、特許文献1では、下層階である支持骨組部において中間柱を排除することにより大スパンの開放空間を実現することを課題としている。
特許文献1ではこの課題を解決する手段として、支持柱と伝達梁手段とを骨組みとするラーメン構造により支持骨組部を構築している。支持柱は、上部骨組部の上部柱の直下に接合されている。伝達梁手段は、スパン中間部の梁成を大きくスパン端部の梁成を小さくしかつ支持柱と剛接合した梁機能を有する横架材である。この伝達梁手段のスパン中央から上部骨組部の最下階の中間柱が管柱状に立設している(特許文献1の段落0013〜0016)。
従って、上部骨組部の中間柱から伝達される柱軸力は、伝達梁手段によってその両端に剛接合された支持柱へとそれぞれ柱軸力として伝達される。支持骨組部の支持柱に柱軸力として伝達した鉛直荷重は最終的に基礎で支持される。伝達梁手段は上部骨組部の中間柱から加わる鉛直力を受けるべく強固な断面性能を付与するためにスパン中間部における梁成の断面形状を大きくしている(特許文献1の図5、段落0020)。
特許文献1の建築物では、斯かる伝達梁手段を設けたことにより支持骨組部において中間柱が省かれ、その結果、支持骨組部のピロティ階への適用を実現としたことを効果として挙げている(特許文献1の段落0019)。
特開2003−193698号公報
しかしながら、特許文献1の建築物においては、上部骨組部のラーメン構造を構成する上部柱と中間柱に接合されるべき支持骨組部の柱のうち、中間柱に接合されるべき柱のみを減数することが可能である。すなわち、上部骨組部のラーメン構造を構成する主柱である上部柱の直下には、必ず支持骨組部の支持柱が接合されており、これを省くことはできない。従って、上部骨組部と支持骨組部の各々のラーメン構造における主柱のスパンについてみれば、全く同じであるといえる。
このように、特許文献1で解決しようとする直接的な課題は、上部骨組部の中間柱の直下に接合されるべき柱を支持骨組部において省くことのみである。つまり、支持骨組部における主柱である支持柱までも省くことは想定していない。加えて、支持骨組部における支持柱を上部骨組部の上部柱の直下以外の別の位置に接合可能とすることについても、全く想定していない。よって、上層階の上部柱に接合されるべき柱の数を支持骨組部において減らすこと、並びに支持骨組部における柱の位置に自由度をもたせることは、特許文献1に記載の技術では実現することができない。
従来、ピロティ階の設計上の制約となっている問題点としては、むしろ上層階の主柱の直下に接合されるピロティ階の主柱を排除できない、あるいはその位置を自由に設定できないという問題の方がより深刻かつ解決困難なものである。従って、特許文献1の建築物の如く、単に中間柱を省いたのみであってピロティ階の主柱の配置が上層階の主柱の配置となんら変わらないのであれば、この問題点を本質的に解決したことにはならない。
以上の現状に鑑み、本発明は、ピロティ階を設けた建築物において、上層階においてラーメン構造を構成する構造柱(主柱か中間柱かによらない)に接合されるべきピロティ階における構造柱を減数できると同時に、ピロティ階における構造柱の位置に自由度を付与することができる構造を提供することを目的とする。
上記の目的は、以下の本発明の構成により達成される。
(1)請求項1に記載のピロティ階を設けた建築物は、複数階からなり梁と柱で構成されるラーメン構造の上層階と、その下層階であって1または複数の階からなるピロティ階とを設けた建築物において、
前記ピロティ階の少なくとも一辺の両端部に立設された構造支持手段と、
前記構造支持手段の上端同士を互いに連結する構造梁と、
水平方向に位置する少なくとも2つの前記上層階の柱の両端間領域の鉛直下方にて前記構造梁から垂下しかつ前記構造支持手段のいずれからも離間した構造垂れ壁と、
前記少なくとも2つの前記上層階の柱よりも少数であって前記構造垂れ壁の下端のいずれの位置にても接合可能でありかつ該構造垂れ壁の下端から前記ピロティ階の下端まで延びる構造中柱とを有することを特徴とする。
(2)請求項2に係るピロティ階を設けた建築物は、請求項1において前記両端部に立設された構造支持手段の一方が前記一辺に沿って延びる構造壁でありかつ他方が隣り合う辺に沿って延びる構造壁であることを特徴とする。
(3)請求項3に係るピロティ階を設けた建築物は、請求項1において前記両端部に立設された構造支持手段の一方が前記一辺に沿って延びる構造壁でありかつ他方が構造柱であることを特徴とする。
(4)請求項4に係るピロティ階を設けた建築物は、請求項1において前記両端部に立設された構造支持手段が構造柱であることを特徴とする。
(5)請求項5に係るピロティ階を設けた建築物は、複数階からなり梁と柱で構成されるラーメン構造の上層階と、その下層階であって1または複数の階からなるピロティ階とを設けた建築物において、
前記ピロティ階の少なくとも一辺における一方の端部に立設された構造支持手段と、
前記構造支持手段の上端から前記一辺に沿って延在する構造梁と、
水平方向に位置する少なくとも2つの前記上層階の柱の両端間領域の鉛直下方にて前記構造梁から垂下しかつ前記構造支持手段から離間した構造垂れ壁と、
前記少なくとも2つの前記上層階の柱よりも少数であって前記構造垂れ壁の下端のいずれの位置にても接合可能でありかつ該構造垂れ壁の下端から前記ピロティ階の下端まで延びる構造中柱とを有することを特徴とする。
(6)請求項6に係るピロティ階を設けた建築物は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記構造垂れ壁が直方体形状であることを特徴とする。
(7)請求項7に係るピロティ階を設けた建築物は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記構造中柱が1つであり前記構造垂れ壁が該構造中柱の接合部を頂点とする正面三角形状であることを特徴とする。
(8)請求項8に係るピロティ階を設けた建築物は、請求項1〜7のいずれかにおいて前記構造垂れ壁が開口部を具備することを特徴とする。
(9)請求項9に係るピロティ階を設けた建築物は、請求項1〜8のいずれかにおいて前記構造垂れ壁がその内部に格子状配筋を具備することを特徴とする。
(10)請求項10に係るピロティ階を設けた建築物は、請求項1〜9のいずれかにおいて前記構造垂れ壁の上端から前記構造中柱の接合部まで延びる負荷伝達部材を該構造垂れ壁の内部に具備し、該負荷伝達部材の上端は前記少なくとも2つの前記上層階の柱の各々の鉛直下方に位置することを特徴とする。
(11)請求項11に係るピロティ階を設けた建築物は、複数階からなり梁と柱で構成されるラーメン構造の上層階と、その下層階であって1または複数の階からなるピロティ階とを設けた建築物において、
前記ピロティ階の上端にて格子状に連結されかつ該格子の各交点にて前記上層階の柱を受ける構造梁と、
1つの前記格子における互いに交わる対角線の鉛直下方に位置して該構造梁の下端に接合され垂下したX字平面形状の構造垂れ壁と、
前記X字平面形状の構造垂れ壁の下端のいずれの位置にても接合可能でありかつ該構造垂れ壁の下端から該ピロティ階の下端まで延びる1つの構造中柱とを有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、ラーメン構造の上層階とその下層階であるピロティ階とを設けた建築物が、ピロティ階の隅部に立設された構造支持手段の上端同士を連結する構造梁から垂下する構造垂れ壁と、構造垂れ壁下端のいずれの位置にも接合可能な構造中柱とを有する。構造垂れ壁は、上層階において水平方向に位置する少なくとも2つの柱の両端間領域の鉛直下方に位置する。また、構造垂れ壁は両端の構造支持手段のいずれからも離間している。
斯かる構成により、上層階からの鉛直方向の力の負荷を構造垂れ壁において収束し、負荷集約してその下端の任意の位置に接合された構造中柱へと伝え、支持することができる。この結果、ピロティ階の構造中柱の数は、上層階の柱の数より少なくすることができる。
加えて、構造中柱は、構造垂れ壁に接合できる範囲でいずれの位置にも接合することができる。これにより構造中柱と両端の構造支持手段の間のスパンの自由度が付与される。例えば、構造垂れ壁と構造中柱を設けた辺上にピロティ階の出入口とするための開口部を設ける場合、構造中柱の位置によってその開口部の幅を自在に設定できる。
請求項2に係る発明では、構造支持手段を構造壁としたことにより、水平力に対する支持力が向上する。特に、強風時及び地震時の短期的な力の負荷を負担するために有効である。このように、ピロティ階隅部を構造壁とし、外周の辺上に位置する構造中柱と組み合わせた形態は、短期的及び長期的な荷重負荷のいずれにも有効な本発明の最適形態である。この構造壁と構造中柱との組合せは、必要十分な耐震構造及び耐風構造を確保できると同時に、構造中柱の接合位置の自由度により種々の用途に好適な空間を自在に設計することを可能とする。
構造支持手段を構造壁とした請求項2の構成は、その適用対象とする建築物の高さを限定しないが、特に高層及び超高層建築物に好適である。低層または中層建築物に比べて自重及び積載荷重の大きな高層または超高層建築物では、地震力に対するよりもむしろ風圧力に対する耐力を確保することが非常に重要である。従って、ピロティ階隅部の構造支持手段を構造壁とした構成により、風圧力に対して十分な支持力を実現することが可能となる。
また、同じ荷重負荷を支持する場合、一般的に、壁は柱と比べて厚みが薄い。従って、構造支持手段を柱ではなく壁とすることにより、壁厚方向においては空間を広くとることが可能となる。
請求項3に係る発明では、構造支持手段の一方を構造壁、他方を構造柱としたことにより、一方の構造壁については請求項2について記載したように水平力に対する支持力が得られる。また、構造壁はピロティ階の一辺に沿って延びるため、それにより開口の大きさを狭める場合があり得るが、構造柱とすることにより、構造壁に比べてこの辺上における開口をより広くとることが可能となる。
請求項4に係る発明では、構造支持手段の双方を構造柱としたことにより、構造壁とした場合と比べてこれらを両端とする辺上の開口をより広くとることが可能となる。
請求項5に係る発明では、上記のピロティ階の一辺上の両端部に構造支持手段を設けた請求項1に係る発明と異なり、一方の端部にのみ構造支持手段を設けている。この場合も、構造梁から垂下する構造垂れ壁により上層階からの鉛直方向の負荷を収束し、構造中柱へと伝える。これにより、ピロティ階の構造中柱の数を、上層階の柱の数より少なくすることができる。特に本構成では、辺上の他方の端部に構造支持手段がないため、より広い空間をとることが可能となる。また、構造垂れ壁の位置を他方の端部まで寄せることができるため構造中柱の位置のフレキシビリティも向上する。
請求項6〜8の各々に係る発明では、構造垂れ壁の形状が直方体形状であったり、正面三角形状であったり、開口部を設けたりすることができる。構造垂れ壁の形状に種々のバリエーションが可能であることにより、多様な空間設計が可能となる。
請求項9に係る発明では、構造垂れ壁がその内部に格子状配筋を具備することによる上層階からの柱軸力を構造垂れ壁の曲げ剛性により負担して、構造中柱へと伝達することができる。
請求項10に係る発明では、構造垂れ壁の上端から前記構造中柱の接合部まで延びる負荷伝達部材を具備することにより、柱軸力を負荷伝達部材の軸力に変換して構造中柱へと伝達することができる。
請求項11に係る発明によれば、ラーメン構造の上層階とその下層階であるピロティ階とを設けた建築物が、ピロティ階の格子状の構造梁と、一格子の対角線の鉛直下方に接合され垂下したX字平面形状の構造垂れ壁と、構造垂れ壁下端のいずれの位置にも接合可能な1つの構造中柱とを有する。
斯かる構成により、上層階からの鉛直方向の力の負荷を構造垂れ壁において収束し、負荷集約してその下端の任意の位置に接合された構造中柱へと伝え、支持することができる。この結果、ピロティ階の構造中柱の数は、上層階の柱の数より少なくすることができる。すなわち、一格子の対角線の各端部上で受ける合計4つの上層階の柱を、ピロティ階における1つの構造中柱へと減数できる。
加えて、構造中柱は、構造垂れ壁に接合できる範囲でいずれの位置にも接合することができる。これにより構造中柱とピロティ階隅部の各構造支持手段との間のスパンの自由度が付与される。
請求項11に係る発明は、ピロティ階の外周上ではなく内部において広い空間と設計上の自由度を確保する上で有用である。
上記の各請求項に係る発明におけるピロティ階は、耐震構造及び耐風構造としての安全性能を確保できると同時に、商業施設や事務所、介護施設、病院、駐車場等の種々の用途に好適な空間を自在に設計することが可能となる。これにより、限られた都市空間の中で建築空間の有効利用を図る上で必要な空間特性を実現することができる。
また、ピロティ階において構造梁に接合するスラブを耐火構造とすることによって、上層階とピロティ階とを区画遮断することができる。これにより、ピロティ階を全て施設として使用することが可能となる。また、ピロティ階において、自立した構造体を有するスラブを1または複数設けることにより、自由な施設のレイアウトや吹き抜け、階段やエスカレータの設置が可能となる。
さらに、ピロティ階における構造梁及び/または構造垂れ壁の存在により比較的大きな天井空間を確保できるため、上層階から降下してくる設備配管類の設置自由度が向上する。例えば、ピロティ階の天井空間において複数の設備配管類をまとめ、水平方向へ屈曲させて構造垂れ壁及び構造中柱の位置まで誘導してその位置から降ろしたり、建築物外部へ導出したりできる。この点から、本発明による構造は、SI分離工法(建物構造躯体であるスケルトンと、配管や内装を含むインフィルとを分離して施工する工法)にも好適である。
以下、図面に示した実施例を参照しつつ本発明の形態を説明する。
図1は、本発明によるピロティ階を設けた建築物の架構を概略的に示す斜視図である。建築物1は、複数階からなり梁と柱で構成されるラーメン構造の上層階2と、その下層階であって1または複数の階からなるピロティ階3とを設けたものである。本発明の適用対象は、好適には高層及び超高層建築物であるが、低層及び中層建築物にも適用可能であり階数は限定されない。また、上層階及びピロティ階の構造種別は、それぞれ鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、コンクリート充填鋼管造等とすることができる。また、プレキャストコンクリート造として予め工場生産して現場手間を削減し、短工期化を図ることもできる。
一般的に、上層階2は、集合住宅、SOHO、小規模事務所、ホテル、社員寮等の比較的小さい区画を必要とする用途に使用される。一方、下層階であるピロティ階3は、商業施設、大規模事務所、介護施設、病院、駐車場等の比較的大きい区画を必要とする用途に使用される。
複数階からなる上層階2は、柱51と梁61とで構成されるラーメン構造により構築される。このラーメン構造の柱51は、安全基準及び建設コストに基づき適正に設定される一般的なスパンで立設される。尚、本明細書では、上層階2の柱及び梁については「構造柱」及び「構造梁」と称さないが、これは後述するピロティ階における構造柱及び構造梁と区別するためであり、上層階2における柱及び梁もまた、当該建築物の構造耐力上主要な部分に用いられる部材である。
ピロティ階3の平面形状は、一般的に、四辺からなる正方形または長方形である矩形が構造上望ましいが、構造力学上許容できる限りにおいて他の形状(四辺以外の辺数の多角形、隅部が直角以外の多角形、凹部をもつ多角形等)であってもよい。図1に実施例として示すピロティ階3は、矩形平面形状の四隅に構造支持手段として構造壁11がそれぞれ立設されている。各構造壁11は、矩形平面形状の各辺に沿って所定の幅だけ延びている。矩形平面形状の外周を囲むように、隣り合う構造壁11同士の上端を連結する構造梁41が設けられている。構造梁41は、上層階2の柱51を受ける。
本発明の特徴は、構造梁41から垂下する構造垂れ壁21及びその下端に接合する構造中柱31を有することである。構造垂れ壁21は、その構造梁41の両側に立設された構造支持手段である構造壁11のいずれとも離間している。また、図1の例では、構造垂れ壁21の上端の鉛直上方には構造梁41を介して上層階2の2つの柱51が立設されている。言い換えるならば、上層階2における隣り合う2つの柱51同士の間に亘る領域の鉛直下方に、構造梁41を介して構造垂れ壁21が位置することになる。図1では構造垂れ壁21は直方体形状であり、構造垂れ壁21の下端は、ピロティ階3の全高のほぼ中間の高さ位置にある。
構造中柱31は、構造垂れ壁12の下端からピロティ階3の下端まで延びている。図1では、構造中柱31が構造垂れ壁21の下端のほぼ中央に接合されているが、構造中柱31は構造垂れ壁21の下端のいずれの位置にも接合可能である。
図1の例では、上層階2における2つの柱51が、構造梁41を介してピロティ階3の構造垂れ壁21及び1つの構造中柱31により支持されることとなる。従って、上層階2における2つの柱がピロティ階3において1つの構造中柱に減数されたことになる。加えて、構造中柱31の位置は、構造垂れ壁21に接合可能な範囲内で接合位置に自由度をもつ。これにより、構造中柱31と両端部の各構造壁11との間のスパンにフレキシビリティをもたせることができる。
図2〜図7は、ピロティ階の外周上の一辺に構造垂れ壁と構造中柱とを設けた種々の実施例を示した建築物の部分正面図である。
図2は、ピロティ階3が2層3a、3bからなる例である。各層3a、3bの階高はそれぞれ異なっていてもよい。図1の例と同様に、ピロティ階3の一辺の両端部にそれぞれ立設された構造支持手段は、構造壁11である。構造壁11の上端同士を構造梁41が連結している。構造梁41から垂下する構造垂れ壁21は直方体形状であり、構造垂れ壁21の下端は、ピロティ階3における上層3aの下端位置にある。構造垂れ壁21の両端21aは、構造梁41を支持するいずれの構造壁11からも離間している。そして、構造垂れ壁21の下端に接合された構造中柱31が、ピロティ階3における下層3bの下端まで延びている。構造中柱31は、両矢印でその自由度を示す通り、構造垂れ壁21の下端であればいずれの位置にも接合できる。図2中の点線は、構造中柱31の最端位置を示している。構造垂れ壁21は、上層階2における水平方向に位置する中央の2つの柱51aと51bの間に亘る領域の鉛直下方に位置し、構造梁41を介して延在している。尚、上層階の柱51のうち、構造垂れ壁21が構造梁41を介して受けることになる柱を51a、51b..の符号で示すこととする。
図2を参照して、本発明における上層階2からピロティ階3へそしてピロティ階3から基礎(図示せず)への構造上の力の負荷の伝わり方を説明する。先ず、上層階2の中央の2つの柱51a、51bの鉛直方向の負荷が構造梁41を介して構造垂れ壁21に伝わる。そして、構造垂れ壁21の内部で負荷が収束され、構造垂れ壁21に接合された1つの構造中柱31に負荷集約されて伝わり、その後さらに基礎へと伝わる。
こうして、ピロティ階3における長期の荷重等の負荷は、隅部に配置された構造壁11と辺上に配置された構造中柱31との組合せにより負担する。一方、強風時及び地震時等における短期的な力の負荷は主として隅部に立設された構造壁11が負担する。この点で、ピロティ階3の隅部の全てを構造壁で構成することが最適である。
尚、構造梁41の形状及び寸法、構造壁11の厚さ及び幅、構造垂れ壁21の厚さ、幅及び高さ、並びに構造中柱31の形状(円柱か角柱か等)、径及び長さ等は、構造力学的なバランスがとれるように適宜設計する。以下の各実施例においても同様である。これにより、耐震構造及び耐風構造としての必要十分な安全性能を確保することができる。
図3は、図2とほぼ同様の実施例であるが、正面が三角形状の構造垂れ壁22を設けている。構造垂れ壁22の上端が三角形の底辺であり下端が三角形の頂点となる。構造垂れ壁22と構造中柱31との接合部は、三角形の頂点の位置にある。図3中の点線は、構造中柱31の最端位置とそのときの構造垂れ壁22の形状を示している。
図4は、図2とほぼ同様の実施例であるが、開口部23aまたは壁厚方向に窪んだ凹部23bを具備する構造垂れ壁23を設けている。これらの開口部または凹部の位置及び大きさは、上述の構造上の力の負荷の伝達機構に影響を及ぼさないよう構造力学上のバランスを考慮して設計する。
図5は、ピロティ階3が3層3a、3c、3bからなる例である。各層3a、3c、3bの階高がそれぞれ異なっていてもよい。図2の例とほぼ同様であるが、ピロティ階3の一辺の両端部にそれぞれ立設された構造支持手段は、3層分の高さをもつ構造壁12である。構造壁12の上端同士を構造梁41が連結している。構造梁41から垂下する構造垂れ壁21は直方体形状であり、構造垂れ壁21の下端は、ピロティ階3における上層3aの下端位置にある。そして、構造垂れ壁21の下端には、2層分の長さをもつ構造中柱32が、ピロティ階3における下層3bの下端まで延びている。図2の例と同様に構造中柱32は、両矢印で示す通り、構造垂れ壁21の下端であればいずれの位置にも接合できる。図5中の点線は、構造中柱32の最端位置を示している。構造垂れ壁21は、上層階2における水平方向に連続する中央の2つの柱51と51bの間に亘る領域の鉛直下方に位置し、構造梁41を介して延在している。
図6は、図2の例と同様にピロティ階が2層からなる例である。図6の例では、構造垂れ壁24が、上層階2における水平方向に位置する3つの柱51a、51b、51cの鉛直下方に位置し、構造梁41を介して延在している。さらに、2つの構造中柱33a、33bが、構造垂れ壁24の下端に接合されている。各構造中柱33a、33bを接合可能な範囲をそれぞれ両矢印で示す。図示の通り、左側の構造中柱33aは、構造垂れ壁24が受ける上層階2の柱51aと51bの間の領域の鉛直下方で接合位置を選択でき、一方、右側の構造中柱33bは、構造垂れ壁24が受ける上層階2の柱51bと51cの間の領域の鉛直下方で接合位置を選択できる。図6中の点線は、各構造中柱33a、33bのそれぞれのの最端位置を示している。
図6の例では、上層階2における3つの柱51a、51b、51cが、構造梁41を介してピロティ階3の構造垂れ壁24及び2つの構造中柱33a、33bにより支持されることとなる。従って、上層階2における3つの柱がピロティ階3において2つの構造中柱に減数されたことになる。また、構造中柱33a及び33bの各々と両端部の各構造壁11との間、並びに、構造中柱33aと33b同士の間のスパンにフレキシビリティをもたせることができる。
図7は、図2の例と同様にピロティ階が2層からなり、また図6の例と同様に構造垂れ壁25が上層階2における3つの柱51a、51b、51cの鉛直下方に位置し、構造梁41を介して延在している。図7の例では、1つの構造中柱34が構造垂れ壁25の下端に接合されている。構造中柱34を接合可能な範囲を両矢印で示す。図示の通り、構造中柱34は、構造垂れ壁25が受ける上層階の柱51a〜51cの間の領域の鉛直下方で接合位置を選択できる。図7中の点線は、構造中柱34の最端位置を示している。
図7の例では、上層階2における3つの柱51a、51b、51cが、構造梁41を介してピロティ階3の構造垂れ壁25及び1つの構造中柱34により支持されることとなる。従って、上層階2における3つの柱がピロティ階3において1つの構造中柱に減数されたことになる。また、構造中柱34と両端部の各構造壁11との間のスパンにフレキシビリティを付与できる。
図2〜図7に実施例を示したように、本発明では、上層階における水平方向に位置する複数の柱の両端間領域の鉛直下方において、ピロティ階の構造梁から垂下する構造垂れ壁を設け、さらに構造垂れ壁の下端からピロティ階の下端まで延びる構造中柱を設けた建築物構造が提示される。加えて、この構造における構造中柱の数は、当該上層階における連続する複数の柱よりも減数した数であり、かつ構造中柱は、構造垂れ壁の下端における接合可能な範囲で接合位置を自在に選択できる。尚、本発明において構造垂れ壁及び構造中柱により受けることができる上層階の柱の数及び省略される柱の数は特に限定されないが、構造力学上許容される限りにおいてであることはいうまでもない。
また、本発明の最適な形態は、ピロティ階隅部を図2〜図7のように構造壁とした場合である。隅部の構造壁と辺上の構造中柱と組み合わせた形態は、短期的及び長期的な荷重負荷のいずれにも有効であり、必要十分な耐震構造及び耐風構造を確保できる。特に、高層及び超高層建築物においてその真価を発揮することができる。それと同時に、構造中柱の接合位置の自由度により種々の用途に好適な空間を自在に設計することができる。
尚、以上の実施例においてピロティ階3において構造梁41に接合するスラブを耐火構造とすることによって、上層階2とピロティ階3とを区画遮断することができる。これにより、ピロティ階3を全て施設として使用することが可能となる。また、ピロティ階3において、自立した構造体を有するスラブを1または複数設けることにより、自由な施設のレイアウトや吹き抜け、階段やエスカレータの設置が可能となる。
図8A〜図11Bは、ピロティ階に設ける構造垂れ壁の種々の実施例を示す正面図である。
図8Aに示す構造垂れ壁21は、上端から構造中柱31を接合した接合部まで延在する鉄骨21bをその内部に具備する。この鉄骨21bは、上層階2の柱51から構造梁41を介して受ける負荷を構造中柱31へ伝達する負荷伝達部材である。従って、鉄骨21bの上端は、負荷を受ける上層階2の2つの柱51のそれぞれの鉛直下方にて構造梁41に接合されている。尚、構造垂れ壁21の内部全体には、後述する図9Aと同様の格子状鉄筋も配筋されている。本実施例は、鉄骨鉄筋コンクリート造において好適である。
図8Bは、図8Aの実施例において構造中柱31を構造垂れ壁21下端の最端部に接合した場合を示す。
図9Aに示す構造垂れ壁21は、その内部において格子状に配筋された鉄筋21cを具備する。さらに、負荷伝達部材として斜筋鉄筋21dを具備する。斜筋鉄筋21dの上端は、負荷を受ける上層階2の2つの柱51のそれぞれの鉛直下方に位置し、下端は構造柱31との接合部に位置する。本実施例は鉄筋コンクリート造において好適である。
図9Bは、図9Aの実施例において構造中柱31を構造垂れ壁21下端の最端部に接合した場合を示す。
図10Aに示す構造垂れ壁21は、図9の例と同様に格子状配筋21cを具備し、負荷伝達部材として柱状配筋21eを具備する。柱状配筋21eの上端は、上層階2の2つの柱51のそれぞれの鉛直下方に位置し、下端は構造柱31の接合部に位置する。本実施例は鉄筋コンクリート造において好適である。
図10Bは、図10Aの実施例において構造中柱31を構造垂れ壁21下端の最端部に接合した場合を示す。
図11Aに示す構造垂れ壁21は、鉄骨トラス構造からなる。鉄骨21gは、断面がH形、円形または角形のいずれでもよく、直方体形状の外郭を構成する部材21g1と、負荷伝達部材21g2とを具備する。
図11Bは、図11Aの実施例において構造中柱31を構造垂れ壁21下端の最端部に接合した場合を示す。
図12は、本発明による構造垂れ壁21と構造中柱31を有するピロティ階3を設けた建築物における水平力P4、P5に対する曲げモーメント図である。図13は、構造垂れ壁21をトラス構造とした場合の柱軸力N1、N2に対する曲げモーメント図である。図14は、鉄筋コンクリート造の剛性の高い構造垂れ壁21の場合の中軸力N1、N2に対する曲げモーメント図である。
図12に示す通り、水平力に対しては主としてピロティ階3の外周隅部に設けた構造壁11が負担する。
図13に示す通り、上層階2からの柱軸力を構造中柱31へ集約するメカニズムの一つは、柱軸力のベクトルを負荷伝達部材である鉄骨を介して構造中柱31へ集約する方向の軸力に変換して伝えるものである。前述の図8A及び図8B、図11A及び図11Bの実施例がこれに相当する。
他のメカニズムとしては、図14に示す通り、鉄筋コンクリート造の構造垂れ壁の如く、柱軸力の負荷を構造垂れ壁21の曲げ剛性に変換して構造中柱31へ伝達するものがある。さらに、構造中柱31への効果的な伝達を担保するために、負荷伝達部材として斜筋鉄筋や柱状鉄筋を併設している。前述の図9A及び図9B、図10A及び図10Bがこれに相当する。
図15〜図20は、本発明におけるピロティ階の別の実施例を模式的に示した平面図である。また、図21は、構造柱51で構成される上層階の平面図の一例であり、参考のために示す。図15〜図20の各図は、ピロティ階外周の辺上部分の構成の実施例と、ピロティ階の中央領域部分の構成の実施例の双方を含んでいるので、それぞれの構成を順に説明する。
先ず、ピロティ階外周の辺上部分の構成について説明する。図15は、図1に示した実施例と同じであり、矩形平面形状のピロティ階の四隅における構造支持手段として構造壁11がそれぞれ立設されている。各構造壁11は、矩形平面形状の各辺に沿って所定の幅だけ延びている。図15では、4つの辺全てに例えば図2〜図5で示した構造垂れ壁と構造中柱31とをそれぞれ設けている。点線で示した各円は、上層階における柱51の位置を示している。四隅全てを構造壁とした構成は、上述のように強風時及び地震時等における短期的な力の負荷に耐えうる上で最も好適である。
図16では、四隅のうち3箇所の構造支持手段が構造壁11であり、残りの1箇所の構造支持手段が構造柱52である。構造壁11を少なくとも一端部に有する3辺にのみ構造垂れ壁と構造中柱31が設けられ、残りの一辺(図中の向かって右の辺)上には上層階の柱を受ける構造柱53が設けられる。
図17では、四隅のうち対角線両端に位置する2箇所の構造支持手段が構造壁11であり、残りの2箇所の構造支持手段が構造柱52である。構造壁11を一端部に有する対向する2辺(図中の上辺と下辺)にのみ構造垂れ壁と構造中柱31が設けられ、残りの2辺上には上層階の柱を受ける構造柱53が設けられる。
図18では、隅のうち1箇所の構造支持手段のみが構造壁11であり、残りの3箇所の構造支持手段が構造柱52である。構造壁11を一端部に有する一辺(図中の下辺)にのみ構造垂れ壁と構造中柱31が設けられ、残りの3辺上には上層階の柱を受ける構造柱53が設けられる。
図19では、四隅の全ての構造支持手段が構造柱52である。1つの辺(図中の下辺)にのみ構造垂れ壁と構造中柱31が設けられている。この場合、構造梁の両端部の構造支持手段は、双方とも構造柱52である。上述の通り、隅部の構造支持手段としては、構造壁の方が水平力に対する支持力に優れるため、特に高層及び超高層建築物では両端部とも、または少なくとも一端部を構造壁とすることが望ましいが、構造力学上許容できる限りにおいて両端部とも構造柱としてもよい。階層が高い建築物では、より断面積の大きい柱またはより強度のある柱を用いるべきである。
図20では、1つの辺(図中の下辺)に構造垂れ壁と構造中柱31を設けている。そして、構造支持手段である構造壁11を一方の端部にのみ立設し、他方の端部である隅部(図中の右下)には構造支持手段を設けていない。この場合図示のように、構造支持手段のない隅部にまで構造垂れ壁を寄せて設置することも可能である。この実施例では、一方の隅部に構造支持手段である構造壁や構造柱がないことから設計上のフレキシビリティは大きいが、構造力学上許容される限りにおいてであることはもちろんのことである。
次に、図15〜図20の平面図における矩形で囲まれた中央領域部分の構成について説明する。本発明における建築物のピロティ階の上端には図中点線で示す格子状に連結された構造梁42が形成される。尚、本発明では、ピロティ階に設ける梁については、構造耐力上主要な部分に用いる梁を全て「構造梁」と称している。構造梁42は、ピロティ階隅部の構造支持手段11、52の上端を連結する構造梁41の対向する辺同士の間に横架されている。これらの構造梁42が形成する格子の各交点はそれぞれ、図21に示す上層階における柱51を受けている。
従来は、格子の各交点の鉛直下方においてピロティ階にも構造柱を設けることが必要であったが、本発明では、図15〜図20の平面図中央に模式的に示したX字平面形状の構造垂れ壁26と構造中柱35を設けることにより、ピロティ階における構造柱の数を減らすと共に、その位置のフレキシビリティを実現している。
図22は、図15に模式的に示した実施例について、上層階の最下層(柱51と梁61からなる)とピロティ階とを斜め下方から観た分解斜視図である。上層階の柱51とピロティ階3の構造梁41との間、構造梁41と構造壁11との間、及び構造梁41と構造垂れ壁21、26との間を、実際とは異なり離間させて示している。
図22を参照すると、構造垂れ壁26は、直方体形状の2枚の壁を互いに交差させた形状である。従って、構造垂れ壁26の平面形状及び横断面形状はX字状となる。このX字平面形状の構造垂れ壁26は、格子状に架け渡された構造梁42の1つの格子における互いに交わる対角線の鉛直下方に位置するように構造梁42の下端に接合され垂下している。すなわち、構造垂れ壁26上端のX字形の4つの端点の各々において格子の各交点と接合される。さらに、構造垂れ壁26下端のX字形のいずれの位置にても構造中柱35を接合可能である。図22では、構造中柱35が構造垂れ壁26のX字形の中心に接合されている。そして構造中柱35は、構造垂れ壁26の下端からピロティ階の下端まで延びる。
力の負荷の伝達メカニズムは前述の構造垂れ壁21〜25と同様であり、上層階の構造柱51の鉛直方向の力の負荷を構造垂れ壁26を介して構造中柱35に伝達する。
図20に示すX字平面形状の構造垂れ壁26を、梁42の1つの格子に適用することにより上層階における4つの柱51を、ピロティ階において1つの構造中柱35に減数することができる。この場合、4つの柱51の鉛直力を受け支持することになるため、図2〜図7に示した2つまたは3つの柱51a〜51cを受ける構造中柱31〜34の場合よりも断面積の大きい柱または強度のある柱を用いるべきである。
加えて、X字平面形状の構造垂れ壁26では、構造中柱35の位置をX字形の範囲内で選択できる。これにより、構造中柱35とピロティ階における他の構造壁または構造柱との距離にフレキシビリティをもたせることができる。
尚、図15〜図20及び図22では、縦横3スパンの格子状構造梁の中央の格子に対してX字平面形状の構造垂れ壁26及び構造中柱35を適用した実施例を示したが、縦横のスパン数がさらに多い格子状構造梁における任意の格子(但し、構造垂れ壁21〜25を設けた辺を含まない格子)に対して同様に適用できる。
本発明によるピロティ階を設けた建築物の架構を概略的に示す斜視図である。 本発明における矩形平面形状のピロティ階の一辺上における種々の実施例を示した建築物の部分正面図である。 本発明における矩形平面形状のピロティ階の一辺上における種々の実施例を示した建築物の部分正面図である。 本発明における矩形平面形状のピロティ階の一辺上における種々の実施例を示した建築物の部分正面図である。 本発明における矩形平面形状のピロティ階の一辺上における種々の実施例を示した建築物の部分正面図である。 本発明における矩形平面形状のピロティ階の一辺上における種々の実施例を示した建築物の部分正面図である。 本発明における矩形平面形状のピロティ階の一辺上における種々の実施例を示した建築物の部分正面図である。 ピロティ階に設ける構造垂れ壁の一実施例を示す正面図である。 ピロティ階に設ける構造垂れ壁の一実施例を示す正面図である。 ピロティ階に設ける構造垂れ壁の一実施例を示す正面図である。 ピロティ階に設ける構造垂れ壁の一実施例を示す正面図である。 ピロティ階に設ける構造垂れ壁の一実施例を示す正面図である。 ピロティ階に設ける構造垂れ壁の一実施例を示す正面図である。 ピロティ階に設ける構造垂れ壁の一実施例を示す正面図である。 ピロティ階に設ける構造垂れ壁の一実施例を示す正面図である。 本発明によるピロティ階を設けた建築物における水平力P4、P5に対する曲げモーメント図である。 構造垂れ壁をトラス構造とした場合の柱軸力N1、N2に対する曲げモーメント図である。 鉄筋コンクリート造の剛性の高い構造垂れ壁の場合の中軸力N1、N2に対する曲げモーメント図である。 本発明の別の実施例を示すピロティ階を模式的に示した平面図である。 本発明の別の実施例を示すピロティ階を模式的に示した平面図である。 本発明の別の実施例を示すピロティ階を模式的に示した平面図である。 本発明の別の実施例を示すピロティ階を模式的に示した平面図である。 本発明の別の実施例を示すピロティ階を模式的に示した平面図である。 本発明の別の実施例を示すピロティ階を模式的に示した平面図である。 構造柱で構成される上層階の平面図の一例である。 図15に示した実施例について、上層階の最下層とピロティ階とを斜め下方から観た展開斜視図である。
符号の説明
1 建築物
2 上層階
3 ピロティ階
11、12 構造壁
21、22、23、24、25 構造垂れ壁
21a 構造垂れ壁両端
21b 格子状配筋
21c 内部鉄骨
21d 斜筋鉄筋
21e 柱状配筋
21g トラス鉄骨
26、26 斜構造垂れ壁
31、32、33a、33b、34、35 構造中柱
41、42 構造梁
51、51a、51b、51c、52、53 柱(上層階)
53 構造柱
61 梁(上層階)

Claims (11)

  1. 複数階からなり梁と柱で構成されるラーメン構造の上層階と、その下層階であって1または複数の階からなるピロティ階とを設けた建築物において、
    前記ピロティ階の少なくとも一辺の両端部に立設された構造支持手段と、
    前記構造支持手段の上端同士を互いに連結する構造梁と、
    水平方向に位置する少なくとも2つの前記上層階の柱の両端間領域の鉛直下方にて前記構造梁から垂下しかつ前記構造支持手段のいずれからも離間した構造垂れ壁と、
    前記少なくとも2つの前記上層階の柱よりも少数であって前記構造垂れ壁の下端のいずれの位置にても接合可能でありかつ該構造垂れ壁の下端から前記ピロティ階の下端まで延びる構造中柱とを有することを特徴とするピロティ階を設けた建築物。
  2. 前記両端部に立設された構造支持手段の一方が前記一辺に沿って延びる構造壁でありかつ他方が隣り合う辺に沿って延びる構造壁であることを特徴とする請求項1に記載のピロティ階を設けた建築物。
  3. 前記両端部に立設された構造支持手段の一方が前記一辺に沿って延びる構造壁でありかつ他方が構造柱であることを特徴とする請求項1に記載のピロティ階を設けた建築物。
  4. 前記両端部に立設された構造支持手段が構造柱であることを特徴とする請求項1に記載のピロティ階を設けた建築物。
  5. 複数階からなり梁と柱で構成されるラーメン構造の上層階と、その下層階であって1または複数の階からなるピロティ階とを設けた建築物において、
    前記ピロティ階の少なくとも一辺における一方の端部に立設された構造支持手段と、
    前記構造支持手段の上端から前記一辺に沿って延在する構造梁と、
    水平方向に位置する少なくとも2つの前記上層階の柱の両端間領域の鉛直下方にて前記構造梁から垂下しかつ前記構造支持手段から離間した構造垂れ壁と、
    前記少なくとも2つの前記上層階の柱よりも少数であって前記構造垂れ壁の下端のいずれの位置にても接合可能でありかつ該構造垂れ壁の下端から前記ピロティ階の下端まで延びる構造中柱とを有することを特徴とするピロティ階を設けた建築物。
  6. 前記構造垂れ壁が直方体形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のピロティ階を設けた建築物。
  7. 前記構造中柱が1つであり前記構造垂れ壁が該構造中柱の接合部を頂点とする正面三角形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のピロティ階を設けた建築物。
  8. 前記構造垂れ壁が開口部を具備することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のピロティ階を設けた建築物。
  9. 前記構造垂れ壁がその内部に格子状配筋を具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のピロティ階を設けた建築物。
  10. 前記構造垂れ壁の上端から前記構造中柱の接合部まで延びる負荷伝達部材を該構造垂れ壁の内部に具備し、該負荷伝達部材の上端は前記少なくとも2つの前記上層階の柱の各々の鉛直下方に位置することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のピロティ階を設けた建築物。
  11. 複数階からなり梁と柱で構成されるラーメン構造の上層階と、その下層階であって1または複数の階からなるピロティ階とを設けた建築物において、
    前記ピロティ階の上端にて格子状に連結されかつ該格子の各交点にて前記上層階の柱を受ける構造梁と、
    1つの前記格子における互いに交わる対角線の鉛直下方に位置して該構造梁の下端に接合され垂下したX字平面形状の構造垂れ壁と、
    前記X字平面形状の構造垂れ壁の下端のいずれの位置にても接合可能でありかつ該構造垂れ壁の下端から該ピロティ階の下端まで延びる1つの構造中柱とを有することを特徴とするピロティ階を設けた建築物。
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