JPH1136651A - 耐震建築構造 - Google Patents

耐震建築構造

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JPH1136651A
JPH1136651A JP21264697A JP21264697A JPH1136651A JP H1136651 A JPH1136651 A JP H1136651A JP 21264697 A JP21264697 A JP 21264697A JP 21264697 A JP21264697 A JP 21264697A JP H1136651 A JPH1136651 A JP H1136651A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】複数階を有する耐震壁構造体に耐震壁を持たな
い階を連層的に配置しながらも、経済性を損なうことな
く水平耐力や水平剛性あるいは靱性等の構造的特性に富
み、建築設計の融通性を大幅に向上させる、耐震建築構
造を提供する。 【解決手段】複数階を有する耐震壁構造体3の下部に、
耐震壁33を持たない階を少なくとも一部に有するラー
メン構造体4を接合して成る。耐震壁構造体3は各階の
対向する直立柱31と上下階の枠梁32とから成る骨組
と耐震壁とを一体化させてある。また、少なくとも一部
の階の耐震壁には開口部34が形成され、この開口部の
うちの任意に階の開口部の上辺に境界梁35が設けられ
ている。一方、ラーメン構造体4は、間隔を置き同一架
構面内で外方に向けて末広がりに傾斜した一対の傾斜柱
41を有し、これらの傾斜柱の柱頭部を上記耐震壁構造
体の脚部に連結させてある。また、ラーメン構造体の上
記した耐震壁を持たない階の上梁42’は、耐震壁構造
体の枠梁よりも耐力の大きな骨組み材によって形成され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、例えば集合住宅建築に
適用される耐震構造に関するものである。
【0002】
【従来技術】複数階を有する集合住宅建築などに適用さ
れる耐震構造は、従来、耐震壁を連層配置したものが一
般的である。図16はそうした耐震壁構造による集合住
宅の基準階の一例を示す。
【0003】図中符号Aは所要の間隔をおいて直立する
柱、Bは柱によって囲まれる住戸空間、Cは住戸空間B
の一側に設けられる共用廊下、Dは住戸空間の他側に設
けられるバルコニーである。片側廊下方式のこの建築物
は、図中矢印Xで示す桁行方向には、住戸空間Bと共用
廊下CもしくはバルコニーDとの境界面にラーメン骨組
が互いに対向するように配置される(梁は図示しな
い)。また、矢印Yで示すはり間方向には、各住戸の戸
境壁を耐震壁Eとすることによって上階から最下階まで
鉄筋コンクリート造の耐震壁構造が連層配置される。
【0004】耐震壁構造は柱と梁の骨組と壁とが一体化
されることで、鉛直荷重及び水平力に対しては骨組と壁
とが一体となって抵抗する。したがって、地震時に各階
に作用する水平力は骨組と一体化された耐震壁の水平耐
力によって抵抗され、耐震壁構造はこの種の水平荷重に
対して骨組の変形を防いで建物全体の剛性を高める。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、耐震壁構造
建築物の場合、最上階から最下階に至るまで全ての階を
耐震壁構造にしてこれを連層配置する必要がある。途中
階や下階に耐震壁を持たない階を形成すると、同一架構
面内でこの部分の水平耐力が極端に低くなり、当該階の
骨組に応力が集中しあるいは骨組が過大な軸力に耐えら
れなくなって建物の崩壊を招き易いからである。例えば
図17に見られるような連層耐震壁構造体Fの下部に直
立柱Hと上梁G及び支持梁Iとから成るラーメン骨組J
を接合した場合、地震時に、上部の連層耐震壁構造体F
は上記したように骨組と一体化した耐震壁Eの水平耐力
で抵抗する一方、下部のラーメン骨組Jは直立柱Hの水
平耐力で抵抗する機構となる。連層耐震壁構造体側端の
柱Aから下階のラーメン骨組Jの直立柱Hに大きな軸力
が加わる状況下では、ラーメン骨組Jにおいて直立柱H
の曲げ耐力またはせん断耐力によって決定される水平耐
力は上階の耐震壁構造体Fの水平耐力に比較して極端に
小さいという傾向がある。したがって、こうした複合構
造物は上部と下部とで水平剛性、水平耐力のバランスが
悪い骨組となり、地震時には下階のラーメン骨組Jで激
しく揺れ、柱が破壊し、建物の崩壊をもたらすことが多
くなる。
【0006】ラーメン骨組Jの柱Hの水平断面積を連層
耐震壁Eの柱Aの水平断面積の数倍にしてラーメン骨組
Jの水平剛性を上階の連層耐震壁構造体Fと同等にする
ことも考えられるが、実際の設計ではこのような大きな
柱にすることは困難である。しかも、建物が高層化、大
型化するに連れて、ラーメン骨組Jに加わる地震時の荷
重が大きくなり、柱の大きさ、耐力を極端に高めること
は困難となるばかりでなく、構造体のコストも高くな
る。
【0007】このため、耐震壁構造を連層させた集合住
宅のような建築物では、住宅とは異なる例えば事務所、
店舗、駐車場あるいはピロティや吹き抜きといった耐震
壁を持たない骨組部を途中階や下階に混在させにくく、
その分、設計の自由度が制限される。また、従来の耐震
壁構造において耐震壁を持たない階をあえて組み入れた
場合には、耐震壁構造物とはいえ十分な水平剛性を持た
ない構造体になる。
【0008】本発明の目的は、複数階を有する耐震壁構
造体に耐震壁を持たない階を連層的に配置しながらも経
済性を損なうことなく水平耐力や水平剛性あるいは靱性
等の構造的特性に富み、建築設計の融通性を大幅に向上
させる、耐震建築構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した目的
を達成するために次の構成を備える。すなわち、請求項
1の発明は、複数階を有する耐震壁構造体の下部に、耐
震壁を持たない階を少なくとも一部に有するラーメン構
造体を接合して成る。耐震壁構造体は各階の対向する直
立柱と上下階の枠梁とから成る骨組と耐震壁とを一体化
させてある。また、少なくとも一部の階の耐震壁には開
口部が形成され、この開口部のうちの任意に階の開口部
の上辺に境界梁が設けられている。一方、ラーメン構造
体は、間隔を置き同一架構面内で外方に向けて末広がり
に傾斜した一対の傾斜柱を有し、これらの傾斜柱の柱頭
部を上記耐震壁構造体の脚部に連結させてある。また、
ラーメン構造体の上記した耐震壁を持たない階の上梁
は、耐震壁構造体の枠梁よりも耐力の大きな骨組み材に
よって形成されている。
【0010】請求項2の発明は、請求項1記載の耐震建
築構造を前提とし、前記ラーメン構造体の下部に耐震壁
構造体を更に接合することにより、上下の耐震壁構造体
の間にラーメン構造体が配設されている点に特徴があ
る。
【0011】請求項3の発明では、前記耐震壁構造体は
同一階に中廊下を挟んで第一及び第二の耐震壁構造体が
はり間方向に並設されている。これらの第一及び第二の
耐震壁構造体は、それぞれ各階の中廊下側の直立内方柱
及びこれと対向する直立外方柱と上下階の枠梁とから成
る骨組に耐震壁を一体化させてある。耐震壁には境界梁
を持つ開口が形成されている。ラーメン構造体は、一対
の傾斜柱の他に直立補強柱を有する。この直立補強柱
は、両傾斜柱間に位置して第一及び第二の耐震壁構造体
の各内方柱の脚部近傍を支持する。
【0012】上記した開口部は設計計画に応じて耐震壁
の中央部あるいは側端部に一つもしくは複数形成され
る。また境界梁は構造上、低降伏点鋼によって形成する
と良い。ラーメン構造体は、その全体を耐震壁を持たな
い骨組とし、あるいは一部の階に耐震壁を持つ骨組とす
ることもでき、耐震壁構造体との境に位置する上梁と基
礎梁等の下梁と一対の前記した傾斜柱とによって略台形
状を成す。また、ラーメン構造体の傾斜柱と耐震壁構造
体の脚部との接合位置は、耐震壁構造体の直立柱直下が
望ましいがそれよりも内側に位置させる場合には耐震壁
構造体の直立柱の軸線上に傾斜柱とは別に支持柱を連結
するのが望ましい。更に、ラーメン構造体の両傾斜柱の
傾斜角度は、両傾斜柱の軸線を延長した交点(頂点)が
地震による建物への水平荷重の合力の作用点とその高さ
位置においてほぼ等しいかこれよりも上方に位置するよ
うに設定するのが構造上望ましい。上記頂点が作用点よ
りも下方に位置する場合には作用点にできるだけ近い位
置になるように両傾斜柱の傾斜角度を設定する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示した実施例に
基づいて詳説する。 実施例1 図1は、上記従来例と同じ片廊下方式集合住宅のはり間
方向の構造物に本発明を適用した場合の実施例を示す。
【0014】この構造物は、14階建ての構造物本体1
とそれを支持する基礎構造物2から成る。基礎構造物2
は所定の間隔(L1)を離して構築される複数の基礎2
1と、その基礎21を支持するために地盤中に打設する
複数の杭22と、基礎21を水平に連結する地中梁23
より成る。
【0015】構造物本体1は、はり間方向を1スパンで
構成され、最上階から4階までが住居階に、また3階か
ら1階までが非住居階にそれぞれ割り当てられている。
住居階は各階全て耐震壁構造になっており全体として耐
震壁構造体3を構成している。また、非住居階は耐震壁
を持たない骨組から成るラーメン構造体4によって構成
されている。上記した「スパン」とは対向配置される2
本の柱間の単位のことで、1スパンとはそれが1単位、
つまり柱が2本の場合のことである。また、スパン長さ
とは柱間の直線状の距離、スパン数とはスパンの数をそ
れぞれ意味する。
【0016】耐震壁構造体3は、所定の間隔をおいて対
向配置された2本の直立柱31と、各階の床位置(屋上
階を含む)で上記柱間に水平方向に架設される複数の枠
梁32と、前記直立柱31と上下階の枠梁32によって
囲まれ、これらと一体化された耐震壁33とより成る。
各階の耐震壁33の中央には開口部34が設けられ、柱
間の1スパンで左右2個の耐震壁33L,33Rに分割
されている。開口部34の上下には境界梁35が設けら
れている。開口部34は、略長方形で、その高さは階高
から上下階の境界梁35の梁成を控除したものになって
いる。開口部の形状、高さ及び幅は左右の2個の耐震壁
33L,33Rとの関係を考慮して水平剛性、水平耐力
等の構造性能上の観点または通路として必要な幅員とい
う建築計画上の観点から任意に決定できる。図1では、
枠梁32と耐震壁33が最上階から4階まで上下方向に
連層的に配置され、全体として1つの連層耐震壁を構成
している。この連層耐震壁に設けられた開口部34も連
層的に配置されて1つの連層開口部を形成している。
【0017】直立柱31は各住戸の耐震壁33の両側端
にあって最上階から途中階(4階床位置)まで鉛直方向
に真っ直ぐに延びている。スパン長さ(L2)は各住戸
の室内所要スペース条件を満たすように建築計画で決定
される。柱31の横断面形状は、矩形、長方形、円形等
が良く用いられるが、柱として機能を発揮することがで
きればどのような形状でもよい。これは、後述する傾斜
柱でも同様である。
【0018】枠梁32は、各階の床版の鉛直荷重を支え
ると共に、左右の耐震壁33L,33Rと互いに一体的
に接合され、耐震壁33の補強梁として機能する。補強
梁としての効果を高めるために枠梁32の梁幅を耐震壁
33の壁厚よりも大きくすることが多い。枠梁32の梁
幅を耐震壁の壁厚と等しくした場合には、壁面から梁型
が突出せず、型枠工事が簡素化し、完成後の居室内の美
観に優れ、家具の収納の障害物が無くなる。
【0019】耐震壁33は任意の壁厚を有する面状の構
造部材で、主として地震力などの水平力に対して有効に
応力を分担する。耐震壁33は各住戸間の境界を区画す
るために戸境壁として建築計画上配置されることが多い
が、その他に構造計画上から配置されることがある。そ
の壁厚は隣接する住戸間の遮音性能、構造部材としての
耐力、水平剛性から決定される。構造種別は鉄筋コンク
リート造(以下「RC造」と称す。)が一般的である
が、その壁体内部に鉄骨ブレースを内蔵することもあ
る。また、鉄骨のブレースで鉄骨造の耐震壁とすること
もできる。各階の図中左右2個の耐震壁33L,33R
は、柱31と上下階の枠梁32(補強梁)によって周囲
3辺が囲まれているが、開口部34に面している1辺は
鉛直荷重を下階まで伝達することができる鉛直部材に支
持されていないので、境界梁35によって2個の耐震壁
33L,33Rが一体化されることにより骨組として機
能する。
【0020】境界梁35の構造種別はRC造、鉄骨鉄筋
コンクリート造(SRC造)鉄骨コンクリート造(SC
造)、鉄骨造のいづれでも良い。地震時には境界梁35
に大きな曲げモーメントとせん断力が発生するので、特
にせん断耐力に有効な断面仕様とする。RC造では、あ
ばら筋の鉄筋経を太くし間隔を密にすることが必要であ
るが、高強度の鉄筋、X字型のせん断補強筋を使用すれ
ば更に効果的である。SRC造、SC造、鉄骨造では鉄
骨部材としてH形鋼、鋼材種別としては一般用鋼材(例
えば、SN400B,SN490B等)が良く用いられ
る。耐震壁構造体3とラーメン構造体4をRC造または
SRC造で、また境界梁35を鉄骨造で構成する構造物
は、境界梁35の変形性能を利用して構造物の靱性を高
めることができる。鉄骨造は靱性に富むので、地震時に
境界梁35の材端部が降伏しても変形性能を保持し、エ
ネルギーを吸収することによる。
【0021】境界梁35を靱性鋼材による鉄骨造とする
場合、靱性性能に優れた低降伏点鋼とするのが良い。一
般用鋼材の伸び性能は破断時で20%であるが、靱性鋼
材の伸び性能は破断時で40%以上である。しかも、靱
性鋼材の降伏点強度は一般用鋼材よりも小さい値を示
す。即ち、靱性鋼材は低い強度で降伏するが、降伏後破
断まで靱性に富んだ性能を発揮する。図示しないが、境
界梁35にH形鋼を使用する場合、フランジとウエブの
いづれか一方が靱性鋼材で他方が一般鋼材であっても良
い。靱性鋼材は上記H形鋼、鉄骨造に限定されるもので
はなく、他の形状の部材断面、構造種別(SRC造、S
C造等)であっても良い。床版の鉛直荷重は、枠梁32
と2個の耐震壁33L,33Rを介して両端の柱31に
伝達される。地震力が加わったときは、別々に挙動しよ
うとする2個の耐震壁33L,33Rを境界梁35が連
結し一体化するので、左右の耐震壁33L,33Rが1
つの構造部材として成立する。
【0022】図示しないが、境界梁35は、各階毎にで
はなく任意の階に設けることができる。例えば耐震壁構
造体3の最上階(図1では屋根)と最下階(図1では3
階)の2カ所に大きなものを設け、途中階には配置しな
いこともできる。数階毎に1箇所設けるようにしても良
い。耐震壁構造体3の最下部の支点が鉛直方向に移動す
るのを防ぐことのできる鉛直支持部材の機能を有する機
構であれば良い。
【0023】ラーメン構造体4は、前記耐震壁構造体3
の下階に接続され、傾斜柱41と支持梁42を有する。
傾斜柱41は所定の間隔をおいて2本対向して配設さ
れ、その頭部を耐震壁構造体3の柱31の脚部に接合し
て連結してある。傾斜柱41の脚部は耐震壁構造体3と
同一架構面内を外方に向けて末広がりに傾斜し、耐震壁
構造体3のスパン長L2よりも広い間隔L1で配設され
た前記基礎2上に固定されている。従って、左右の傾斜
柱41と、両傾斜柱41,41を基端において連結する
前記地中梁23(基礎梁)と、傾斜柱41の柱頭部を連
結する上梁42’(上記耐震壁構造体との境に位置する
梁で本実施例の場合には4階の梁)とは、互いに接合さ
れて略台形状のラーメン骨組を形成する。上梁42’は
耐震壁構造体3の他の梁材32よりも耐力のある骨組み
材によって形成される。後述するように地震時の作用力
によって大きな軸力がかかるからである。
【0024】また、このラーメン構造体4は、2本の傾
斜柱41の材軸線が八の字状を成し、その延長線の交点
が耐震壁構造体の中途に位置して頂点Tを形成する(図
2〜図7参照)。この頂点Tを含む耐震壁33と2本の
傾斜柱41と前記地中梁23が描く三角形は仮想のトラ
ス構造となる。このため、本ラーメン構造体4はラーメ
ン骨組の特性にトラス構造を加味した複合構造になって
いる。更に、傾斜柱間には各階の床位置で水平方向に支
持梁42が架設されている。これらの支持梁42は傾斜
柱41と一体的に接合した場合には同様にラーメン骨組
を構成する。各階の床版の鉛直荷重を支えるだけであれ
ば、支持梁42はその材端を傾斜柱41にピン接合する
ものであっても良い。また、支持梁は傾斜柱の態様ある
いは高さいかん等によっては必ずしも設ける必要はな
い。図示しないが、支持梁のスパン長が大きくなるとき
は、スパン中間部の任意位置に中間柱を立設することも
ある。
【0025】ラーメン構造体4は上記のようにしてその
内側に大きな空間Sを有する。この空間Sは建築計画の
要請にしたがって例えば駐車場、集会室、広場、公園、
遊技場等の幅広い用途に供される。尚、図中符号5は耐
震壁構造体の両側に張り出し形成した手摺付きの片持ち
スラブで図中右側は共用廊下として、また左側はバルコ
ニーとして利用される。
【0026】地震力が作用したときの図1の構造物の構
造的な特徴を図2から図7を参照しつつ説明する。これ
らの図において、地震力はいずれも簡略化された構造物
モデルの右側から各階に加わる水平力の合力として10
階床位置に集中荷重として加えている。そして、作用点
Pを前記した仮想のトラス構造の頂点Tとの関係で3態
様に変化させてある。図2と図3は上記作用点Pと頂点
Tとを一致させた場合、図4と図5は作用点Pを頂点T
よりも下側に位置させた場合、また図6と図7は作用点
Pを頂点Tよりも上側に位置させた場合である。関連し
て図8と図9に、耐震壁構造体3の下階(3階相当分)
に耐震壁を持たない直立柱と梁による骨組構造体4を接
合した従来構造物について、地震作用力によって生じる
構造的変化を対比的に示した。なお、図2から図7の構
造物モデルの傾斜柱の傾斜角度は一定である。
【0027】先ず、従来例(図8,9)を見るに、地震
力によって構造物に水平荷重が加わると、図8の曲げモ
ーメント図(以下、M図と称する)に見られるように直
立柱には軸力とせん断力が働くと共に曲げモーメントが
生じる。これらの力はそのまま骨組構造体を図9に示す
ように水平方向にずれるように大きく変形させ、耐震壁
構造体3の上部に激しい揺れを生じさせる。耐震壁構造
体3が大きな水平耐力や水平剛性を有するとしてもその
下部にあるラーメン骨組構造体の水平剛性や耐力が低い
ために、この構造物は上記作用力に耐えきれずに崩壊す
る。
【0028】図2は地震力の作用点がトラス構造の頂点
と一致する場合のM図である。この場合、地震力は前記
頂点Tに水平力のみとして加わる。従って、傾斜柱には
軸力だけが生じ、曲げモーメントは生じない。同様に上
梁及び基礎梁にも軸力のみの負荷がかかるにすぎない。
特に上梁は耐震壁構造体3の梁材に比べて大きな耐力の
骨組み材を使用してあるためにこの部分での変形や破断
を生じさせない。また、ラーメン構造体4はトラス構造
として機能する。傾斜柱の軸力変形は、ラーメン構造体
に対しては僅かな水平変形を生じさせ、耐震壁構造体3
に対しては支点の回転変形として働く。図3に見られる
ように耐震壁構造体3は作用力の方向に傾くがその量は
ほんの僅かであり、構造物全体は上部において大きな揺
れを生じることはなく安定している。
【0029】図4は、作用点Pが頂点TよりもH/14
だけ低い位置(Hは建物の高さ)にあるときのM図であ
る。地震力は前記頂点に水平力だけでなく反時計方向の
曲げモーメントとして加わる。従って、傾斜柱には軸力
及び曲げモーメントが生じる(各図のラーメン構造体参
照)。こうした作用力に対してラーメン構造体4はラー
メン骨組及びトラス構造の複合構造として機能する。図
5は、図4に対応した構造体の変形状態を示す。傾斜柱
の柱頭部では、図2,3の場合に生じる水平変形に、傾
斜柱の曲げモーメントによって地震力の荷重方向への水
平変形が加算される。作用点が頂点から離れるにしたが
って変形の度合いは大きくなる。しかし、耐震壁構造体
3はラーメン構造体4に対して作用力と逆方向に傾くよ
うに変形し、構造物全体としての揺れは比較的に小さく
抑えられている。
【0030】図6は、地震力の作用点を前記頂点より高
くした場合であり、作用点Pが頂点TよりもH/14だ
け高い位置にあるときのM図である。地震力は仮想のト
ラス構造の頂点に水平力及び時計方向の曲げモーメント
として加わる。従って、傾斜柱には軸力及び曲げモーメ
ントが生じ、ラーメン構造体4はラーメン骨組及びトラ
ス構造の複合構造として機能する。しかし、上記曲げモ
ーメントは時計方向に回転する力としてラーメン構造体
に働くので、傾斜柱の柱頭部の水平変形は、図1と2に
おける水平変形から曲げモーメントによる水平変形を控
除したものとなる。従って、上記曲げモーメントの値に
よっては、ラーメン構造体は僅かではあるが地震力の逆
方向に押し戻されるように変形し、架構としての水平剛
性は負の値(換言すれば無限大の水平剛性)を示す。し
かし、図7に見られるように上記した図5の場合とは異
なり、ラーメン構造体4の上部に位置する耐震壁構造体
3は上記作用力によって同作用力の方向に振られるの
で、作用点が上記頂点よりも大きく離れる場合には揺れ
が激しくなる。従って、作用点を仮想トラスの頂点より
も高い位置に設定するときには極力、作用点を頂点に近
い位置に選ぶ方が良い。
【0031】このようにして上記構造物は、耐震壁構造
体3の下部に接合されるラーメン構造体4がラーメン骨
組及びトラス構造の複合構造として機能するために、ラ
ーメン構造体4の水平剛性、水平耐力が柱を単に直立し
た従来のラーメン骨組(図8,9の例参照)に比べて極
めて高いものになり、上階に位置する耐震壁構造体3の
水平剛性に比肩し得る値を示す。この結果、耐震壁構造
体3にラーメン構造体4を接合した構造でありながら、
上下方向の水平剛性、水平耐力上のバランスが良い構造
物となる。
【0032】ラーメン構造体4は傾斜柱の傾斜角度を調
整することによって仮想トラス構造の形状が変化する。
したがって、傾斜角度の変更によってラーメン構造体4
の水平剛性を自由に調節できる。耐震壁構造体3よりも
大きな水平剛性を持たせることも勿論可能である。ま
た、傾斜柱の傾斜角度調整によるトラス構造の形状変化
は、前記した図2から図7の説明からも明らかなよう
に、構造物全体の耐震性能に大きく影響を与える。すな
わち、ラーメン構造体4がラーメン骨組とトラス構造の
複合構造としての機能を発揮し、その特徴を耐震壁構造
体3との組合せにおいて最大限に活かすためには、仮想
トラスの頂点と地震力作用点とが一致するかあるいは仮
想トラス頂点が地震力作用点よりも上位に位置するよう
ラーメン構造体4の傾斜柱の傾斜角度を設定するのが良
い。傾斜柱の傾斜角度がより鋭角になって仮想トラス頂
点が地震作用点よりも下位にある場合にも、構造力学上
のバランスの良さという点では従来例(図8と9)に勝
るものであるが、耐震性という点では仮想トラス頂点が
地震作用点になるべく近い位置になるように傾斜柱の傾
斜角度を設定するのが望ましい。
【0033】上記した実施例の構造物は次のような付随
する特徴点を備える。本構造物は傾斜柱41に生じる地
震時の応力は軸力が支配的となることから、傾斜柱41
の部材断面を小さくすることが可能となる。傾斜柱41
を設けることによって構造物の最下階の両端の柱間長さ
を大きくできるので、構造物の塔状比(=構造物の高さ
/柱間長さ)を小さくできる。従って、地震時に建物を
転倒させようとする曲げモーメントによって、基礎に生
じる鉛直力(引抜力または圧縮力)が小さくなるので、
基礎及び杭を小さくでき、建物の高層化も可能となる。
【0034】 図10は、2階分に相当する耐震壁構造体
を抽出し、簡単なモデルに置換し、図中右向きの地震力
が加わった時の一般的な変形図を示したものである。2
個の耐震壁33L,33Rはせん断力を負担して水平変
形及び回転変形する。しかし、開口部34に面する辺で
は鉛直方向の変形を拘束するのは境界梁35の戻し効果
しかない。従って、耐震壁構造体3は、境界梁35に大
きな応力(曲げモーメント及びせん断力)が発生する
が、そのエネルギーを吸収する。境界梁35の断面の大
きさ、耐力を調整することで、耐震壁33のせん断耐
力、水平剛性を実質的に調整することができる。即ち、
開口部34、耐震壁33、境界梁35の3つの要素の性
能、形状等を調整することによって、耐震壁構造の構造
的性能が決定される。換言すれば、本耐震壁構造では耐
震壁33にせん断力を負担させるとして、骨組としての
水平剛性、水平耐力は境界梁35で調整する。従って、
本構造物では、境界梁35を設けたことによって、上記
した傾斜柱を有するラーメン構造体と耐震壁構造体との
組合せによる構造的特徴に加えて、強固な耐震壁に靱性
が加味されている。このため、傾斜柱41によってラー
メン骨組の水平剛性、耐力が高められており、建物全体
としては上下方向に水平剛性、耐力のバランスの良いも
のになっている。
【0035】耐震壁構造体3とラーメン構造体4から成
る構造物本体1の構造種別はRC造、SRC造、SC
造、鉄骨造が一般的であるが、本発明はこれらの構造種
別に限定されるのではなく、それぞれの機能を発揮でき
るものであれば他のものでも良い。
【0036】本発明に係る耐震壁構造体とラーメン構造
体の複合構造は、種々の変形例を採ることができる。以
下、更に説明する。 第2実施例 図11は本発明の実施例2を示す。この実施例では、耐
震壁構造体103の下部に傾斜柱141を有するラーメ
ン構造体104を接合し、更にラーメン構造体104の
下部に耐震壁構造体203を接合してある。すなわち、
構造物本体101は、1スパン、7階建ての規模で、最
上階から順に耐震壁構造体103(7階から5階)、ラ
ーメン構造体104(4階)、耐震壁構造体203(3
階から1階)が配設されている。
【0037】上部及び下部の耐震壁構造体103,20
3は、共に上記した実施例1と同様に直立する柱間に各
階で耐震壁133,233を固定してある。上部の耐震
壁構造体103の耐震壁には中央に境界梁135を持つ
開口部134が形成され、下部の耐震壁構造体203の
耐震壁233にはその一側(図中左側)に境界梁235
を持つ開口部234が形成されている。上部の耐震壁構
造体103と中間のラーメン構造体104の関係は上記
した実施例1と同様である。ラーメン構造体104の傾
斜柱141は実施例1の仮想トラスと地震力作用点との
関係に基づいて傾斜角度が設定されている。ラーメン構
造体104と上部耐震壁構造体103の境部に位置する
梁材142’は、耐震壁構造体103の枠梁材132よ
りも高耐力の骨組み材を使用してある。
【0038】下部耐震壁構造体203は、ラーメン構造
体104の傾斜柱141の脚部に直立柱231を剛接合
してラーメン構造体104と一体化してある。ラーメン
構造体の傾斜柱141の柱脚部は柱頭部よりも間隔が広
くなるため、上部耐震壁構造体103のスパン長さより
も下部耐震壁構造体203のスパン長さの方を長くでき
る。これにより、ラーメン構造体104を挟んで上下階
の住戸プランを異なるものに選定でき、更に設計の自由
度が広がる。本実施例の構造体は、上下の耐震壁構造体
103,203の中間部に耐震壁を持たない階を有する
が、この階が傾斜柱141を持つラーメン構造体104
によって骨組み形成され、上下部の耐震壁構造体10
3,203と同等の水平剛性、水平耐性、靱性を具える
ため、全体が連層耐震壁構造とした構造物以上の耐震構
造となる。
【0039】実施例3 図12は本発明の実施例3に係る構造物の正面図であ
る。この建物は14階建てで、最上階から4階までを住
居空間が形成された住居階に、またその下部の3階を非
住居階にしてある。本構造物は3スパンで構成されてい
る。柱位置での通り符号を左側から右側に順に、I通、
II通、III通、IV通で表示する。即ち、第1スパンはI
通〜II通間、第2スパンはII通〜III通間、第3スパン
はIII通〜IV通間を示す。
【0040】第1スパン及び第3スパンでは、最上階か
ら4階まで耐震壁構造体303(303R,303L)
が中廊下306を挟んで構築されている。図中左右の耐
震壁構造体303R,303Lは、耐震壁333のそれ
ぞれ外側寄りに開口334が形成されている。左右の耐
震壁構造体303R,303Lは第2スパンの中廊下3
06によって接続されている。
【0041】本構造物は、3階から1階までがラーメン
構造体304となっている。耐震壁構造体303のI通
の直立柱とIV通の直立柱の脚部に柱頭部を剛接合された
ラーメン構造体304の傾斜柱341は、外方に向けて
末広がりに延びて基礎に至っている。両傾斜柱341の
柱頭部相互を連結する上梁342’(耐震壁構造体30
3の最下階の梁に相当)は、耐震壁構造体303の各階
の枠梁332あるいはラーメン構造体304の他の支持
梁342に比べて大きな耐力を有する骨組み材によって
形成されている。両傾斜柱341と上梁342’と基礎
梁323とは接合され、外形が略台形状を成す。また、
本構造物は、ラーメン構造体内部空間のII通とIII通に
補強柱307が立設され、これらの柱頭部をII通もしく
はIII通の耐震壁構造体303の直立柱の基部に接合し
てある。
【0042】本実施例によれば、図1の実施例と同様な
ラーメン構造体304と耐震壁構造体303の組合せに
よる構造的特徴を有するばかりでなく、中廊下を有する
比較的大きな建築物に耐震性に優れた本発明を適用でき
るものである。また、耐震壁構造体自体も開口に境界梁
を設けてあるので靱性に優れる。なお、本実施例では、
左右の耐震壁構造体303R,303Lに同一形状、同
一位置の開口部334を設けているが、本発明は必ずし
もこれに限定されるものではなく、異なる形状、異なる
位置に開口部を設けることもできる。
【0043】上記した各実施例以外に本発明は各種の変
形が可能である。耐震壁構造体の耐震壁に形成される開
口部の場合、設置位置は構造物の設計計画に応じて多様
に選択可能である。例えば、図13に示すように各階に
おいて一方の直立柱に接して1箇所設け(図中符号43
4参照)、あるいは図14に示すように各階において両
方の直立柱にそれぞれ接するように2箇所設ける(符号
534参照)ようにしても良く、また図15に見られる
ように途中階まで設けて(符号634参照)他の階を無
開口とすることもできる。これらの開口部はいずれも上
記した3つの実施例と同様な構造を有する。
【0044】ラーメン構造体についていえば、傾斜柱は
前記した略三角形の仮想のトラス構造を形成するもので
あれば種々の断面形状のものを採用し得る。図示しない
が、例えば、柱の見付け幅を柱頭部から1階の柱脚部に
向かうにつれて直線状に狭くした変断面材でも良い。逆
に柱の見付け幅を柱頭部から柱脚部に向かう程直線状に
広くした変断面材でも良い。また、柱の見付け幅は柱頭
部から屋外に面する外形線を傾斜させているが、内部に
面する外形線を鉛直にした変断面材を使用することもで
きる。
【0045】ラーメン構造体の傾斜柱はその柱頭部を耐
震壁構造体の直立柱の脚部に直接接続する必要はなく、
耐震壁構造体全体の脚部に接合すれば良い。図示しない
が、耐震壁構造体の直立柱をそのまま下方に延長して傾
斜柱の柱脚部と交差する位置に接続させ、傾斜柱の柱頭
部を直立柱の内方で耐震壁構造体の底部(例えば図1の
実施例で最下階である4階の耐震壁の側端位置)に接合
する。このように構成することで、傾斜柱が建物の外壁
面から突出しなくなり建物の外観が良くなる利点があ
る。なお、直立柱は上階の耐震壁構造体の両側の柱から
伝わる長期柱軸力を支持するためのもので、地震力には
余り抵抗しない。地震力は殆ど傾斜柱によって負担され
る。
【0046】また、ラーメン構造体は耐震壁を持たない
空間を少なくとも1つの階に有することが必要である
(上記した実施例ではいずれも傾斜柱によって囲まれた
階の全てを耐震壁のない階にしてある)。必要によって
は特定の階に耐震壁を組み込むようにしても良い。更
に、ラーメン構造体の傾斜柱の柱脚部の下に地下構造体
を設けることもできる。地下構造体は地下駐車場、機械
室、倉庫等に使用される。地下構造体のスパン長を住戸
階のスパン長より大きくして、駐車場計画を容易にする
ことができる利点がある。
【0047】上記した実施例はいずれも本発明を集合住
宅のはり間方向の構造物に適用したが、本発明はこれに
限定されるものではなく集合住宅のはり間方向以外の構
造物にも適用可能である。集合住宅の基準階の平面形式
は片廊下方式、中廊下方式に限定されず、中空コアー方
式、雁行方式等でも良い。また建物の用途も集合住宅に
限定されず、事務所、ホテル等の他の用途の建物の構造
物にも幅広く適用できる。更に基礎構造体は杭基礎につ
いて説明したが、本発明は勿論これに限定されるもので
はなく、直接基礎であっても良い。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、耐震
壁構造体の下階に末広がりに延びる傾斜柱を持つラーメ
ン構造体を接続してあり、ラーメン構造体はラーメン骨
組の特性に仮想のトラス構造を加味した複合構造を成
し、極めて高い水平剛性と水平耐力を有するので、耐震
壁を持たない階を耐震壁構造体の下方に配置する構造で
ありながら、水平剛性、水平耐力の点で上下にバランス
のとれた構造体を提供できる。また、耐震壁構造体は任
意の階の耐震壁に境界梁を備える開口部を有しているの
で、開口部の形状、位置、あるいは境界梁の部材性能を
変えることによって耐震壁構造体の構造的性能を適正に
調整できる。しかも、高い水平剛性と耐力を有する耐震
壁構造体に対して開口部及び境界梁を設けることによっ
て、地震応答値を低減し、変形性能に優れた構造靱性を
付与できるので、全体として水平剛性、水平耐力、及び
靱性に優れた構造体を提供できる。
【0049】また、本発明によれば、地震時に傾斜柱に
作用する応力は軸力が支配的で曲げモーメントやせん断
力が少なくなるので、地震時にはこの部分での揺れが少
なく、上階の耐震壁構造体の揺れも抑えることができ、
耐震壁構造体とラーメン構造体とが構造上有機的に結合
することによって柱を健全な状態に確保し、建物の耐震
性を向上させることができる。
【0050】また、ラーメン構造体は、その内部空間を
駐車場、集会室、広場、遊戯場、あるいはピロティ、吹
き抜きといった住宅とは異なる様々な用途空間として利
用できるので、設計の自由度あるいは融通性に富む構造
体を構築できる。
【0051】更に、ラーメン構造体は、傾斜柱の材軸の
傾斜角度を変えることによって仮想のトラス構造の形を
変更できるので、水平剛性の調節を自由に行うことがで
きる。構造物の最下階の両端の柱間長さを大きくするこ
とで、構造物の塔状比(=構造物の高さ/柱間長さ)を
小さくすることができ、これにより地震時の転倒モーメ
ントによる基礎に生じる鉛直力(引抜力または圧縮力)
が小さくなるので、基礎及び杭を小さくすることがで
き、建物の高層化も可能となる。これらはいずれも傾斜
柱の断面性能を大きくすることなく傾斜させることによ
ってもたらされる効果であり、コストも比較的に低く抑
えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るはり間方向構造物の正
面図。
【図2】図1の構造物の地震時における挙動を示す説明
図で、仮想トラス構造の頂点と地震作用点とが一致して
いる場合のM図。
【図3】図2の場合の構造物の変形状態を示す図。
【図4】図1の構造物の地震時における挙動を示す説明
図で、仮想トラス構造の頂点が地震作用点よりもH/1
4だけ上方に位置している場合のM図。
【図5】図4の場合の構造物の変形状態を示す図。
【図6】図1の構造物の地震時における挙動を示す説明
図で、仮想トラス構造の頂点が地震作用点よりもH/1
4だけ下方に位置している場合のM図。
【図7】図6の場合の構造物の変形状態を示す図。
【図8】図16(従来例)の構造物に地震作用力が負荷
されたときのM図。
【図9】図8の場合の構造物の変形状態を示す図。
【図10】図1の構造物の2階分の耐震壁構造体におけ
る地震時の挙動を示す説明図。
【図11】本発明の実施例2に係るはり間方向構造物の
正面図。
【図12】本発明の実施例3に係るはり間方向構造物の
正面図。
【図13】耐震壁に形成される開口部の位置の変形例を
示すはり間方向構造物の正面図。
【図14】耐震壁に形成される開口部の位置の別の変形
例を示すはり間方向構造物の正面図。
【図15】耐震壁に形成される開口部の位置の更に別の
変形例を示すはり間方向構造物の正面図。
【図16】従来例における基準階の平面図。
【図17】従来例のはり間方向構造物の正面図。
【図中符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・・・構造物本体 2・・・・・・・・・・・・・・基礎構造物 3,103,203,303・・耐震壁構造体 4、104,304・・・・・・ラーメン構造体 31,231・・・・・・・・・直立柱 32,332・・・・・・・・・枠梁 33,133,333・・・・・耐震壁 34,334、434,534,634・・・・開口部 41,141,341・・・・・傾斜柱 35,135,335・・・・・境界梁

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数階を有する耐震壁構造体の下部に、耐
    震壁を持たない階を少なくとも一部に有するラーメン構
    造体を接合して成り、 上記耐震壁構造体は、各階の対向する直立柱と上下階の
    枠梁とから成る骨組と耐震壁とを一体化させてあり、ま
    た少なくとも一部の階の耐震壁に開口部が形成され、こ
    の開口部のうちの任意の階の開口部の上辺に境界梁が設
    けられ、 一方、上記ラーメン構造体は、耐震壁構造体と同一架構
    面内で間隔を置き外方に向けて末広がりに傾斜した一対
    の傾斜柱を有し、これらの傾斜柱の柱頭部が上記耐震壁
    構造体の脚部に連結され、また、上記耐震壁を持たない
    階の上梁が上記耐震壁構造体の枠梁よりも耐力の大きな
    骨組み材によって形成されている、 ことを特徴とする耐震建築構造。
  2. 【請求項2】請求項1記載の耐震建築構造において、 前記ラーメン構造体の下部に耐震壁構造体を更に接合す
    ることにより、上下の耐震壁構造体の間に上記ラーメン
    構造体が配設されている、 ことを特徴とする耐震建築構造。
  3. 【請求項3】複数階を有する耐震壁構造体の下部に、耐
    震壁を持たない階を少なくとも一部に有するラーメン構
    造体を接合して成り、 上記耐震壁構造体は、同一階に中廊下を挟んで第一及び
    第二の耐震壁構造体がはり間方向に並設されており、 これらの第一及び第二の耐震壁構造体は、それぞれ各階
    の中廊下側の直立内方柱及びこれと対向する直立外方柱
    と上下階の枠梁とから成る骨組に耐震壁を一体化させて
    あり、また少なくとも一部の階の耐震壁に開口部が形成
    され、この開口部のうちの任意の階の開口部の上辺に境
    界梁が設けられ、 一方、上記ラーメン構造体は、耐震壁構造体と同一架構
    面内で間隔を置き外方に向けて末広がりに傾斜した一対
    の傾斜柱を有し、これらの傾斜柱の柱頭部が上記耐震壁
    構造体の脚部に連結され、また、上記耐震壁を持たない
    階の上梁が上記耐震壁構造体の枠梁よりも耐力の大きな
    骨組み材によって形成されており、 上記第一及び第二の耐震壁構造体の各内方柱の脚部近傍
    が上記一対の傾斜柱間に立設した直立補強柱によって支
    持されている、 ことを特徴とする耐震建築構造。
  4. 【請求項4】前記耐震壁の中央部に開口部が一つ形成さ
    れている、 請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐震建築構
    造。
  5. 【請求項5】前記開口部の境界梁が靱性に富む低降伏点
    鋼によって形成されている、 請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐震建築構
    造。
  6. 【請求項6】前記ラーメン構造体は、その全体が耐震壁
    を持たない階として骨組み形成され、 前記耐震壁構造体との境に耐震壁構造体の梁よりも耐力
    の大きな軸材から成る上梁が架設され、この上梁と基礎
    梁等の下梁と一対の前記した傾斜柱とによって略台形状
    の骨組が形成される、 請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐震建築構
    造。
  7. 【請求項7】前記ラーメン構造体の両傾斜柱の傾斜角度
    を、両傾斜柱の軸線を延長した交点が地震による建物へ
    の水平荷重の合力の作用点とその高さ位置においてほぼ
    等しいかこれよりも上方に位置するように設定した、 請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐震建築構
    造。
  8. 【請求項8】前記ラーメン構造体の両傾斜柱の傾斜角度
    を、両傾斜柱の軸線を延長した交点が地震による建物へ
    の水平荷重の合力の作用点よりも下方位置で当該作用点
    に近接するように設定した、 請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐震建築構
    造。
  9. 【請求項9】前記枠梁の梁幅は、枠梁と接続している耐
    震壁の壁厚と等しい、 ことを特徴とする請求項1から請求項3のいづれかに記
    載の耐震建築構造。
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