JP2006328652A - 安全手摺 - Google Patents

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Abstract

【課題】万一の作業者の墜落を阻止できる安全手摺を提供する。
【解決手段】両建枠4,4の横架材間に足場板6を架け渡しながら多段状に組み立てられる枠組足場に取り付ける安全手摺であって、夫々鋼管製の左右縦枠11、上下横枠12,13及び中桟15により形成され、両建枠4,4の対向する脚柱1,1間に配置される手摺本体7と、手摺本体7を脚柱1に取り付ける取付手段Bとからなる安全手摺において、手摺本体7の左右各縦枠11の所要部を補強する補強部材5を縦枠11に取り付けることにより、作業者Mの身に付ける安全帯AのフックFを手摺本体7の上横枠12に取り付けた状態で上横枠12側に手摺内側方向の所定の衝撃引張荷重が作用した時に、手摺本体7の縦枠11が補強部材5で補強された縦枠部分の上端近傍から手摺内側へ折れ曲がるようにした。
【選択図】図6

Description

本発明は、建設作業現場で枠組足場を多段状に組み立てる際に、既設の下段側足場板から、新設した上段側足場板の先行仮設手摺として取り付ける安全手摺に関する。
従来のこの種の安全手摺として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この安全手摺は、両側一対の脚柱と両脚柱の上端部をつなぐ横架材とからなる門形の建枠を対向させて両建枠の横架材間に足場板を架け渡しながら多段状に組み立てられる枠組足場に取り付ける安全手摺であって、左右縦枠、上下横枠及び縦横の中桟によって形成され、両建枠の対向する脚柱間に配置される手摺本体と、この手摺本体を両建枠の対向する脚柱に着脱自在に取り付ける取付手段とから構成される。
ところで、このような安全手摺は、使用時の安全を期するために、一定の使用基準に基づいて落下阻止性能試験を行い、この試験に適合したものしか使用できないようになっている。この落下阻止性能試験は、例えば図10に示すように、枠組足場Kの足場用建枠4に安全手摺Tを取り付け、この安全手摺Tの所定位置に安全帯AのランヤードYのフックFを引っ掛け、ランヤードYの他端に取り付けた85kgの重りWを、安全手摺1から内側へ80cm離れた所定高さ位置(足場板6から90cmの高さ位置)から落下させようとするもので、重りWの落下を阻止できれば、その安全手摺Tの強度的に安全であって、使用可能としている。
特開2003−343079号公報
然るに、特許文献1に記載のような従来の安全手摺にあっては、上記のような落下阻止性能試験には十分耐えうる強度を持ちながら、上記重りWを落下させた時に安全手摺1の取付部が足場用建枠4から外れて、落下するという問題があった。しかして、上記落下阻止性能試験における重りWは作業者に相当するものであるから、重りWの落下によって安全手摺1が取付部から外れて落下するということは、作業者が墜落することであるから、非常に致命的な問題である。
上記の問題を解決するためには、安全手摺1を足場用建枠4に取り付ける取付手段を極めて頑丈な構造のものにすることが考えられるが、そうすると、安全手摺の取付け作業に非常に手間がかかる上に、取付手段を特別に製作する必要があるためコストが非常に高くつくという別の問題が生じることになる。
本発明は、安全手摺の取付手段を特別に頑丈な構造にすることなく、普通のものを使用することができながら、落下阻止性能試験での重りの落下、即ち作業者の万一の墜落を確実に阻止することのできる安全手摺を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、両側一対の脚柱1,1と両脚柱1,1の上端部をつなぐ横架材2とからなる建枠4を対向させて両建枠4,4の横架材2,2間に足場板6を架け渡しながら多段状に組み立てられる枠組足場に取り付ける安全手摺であって、夫々鋼管製の左右縦枠11,11、上下横枠12,13及び中桟14a,14bによって形成され、両建枠4,4の対向する脚柱1,1間に配置される手摺本体7と、この手摺本体7を両建枠4,4の対向する脚柱1,1に着脱自在に取り付ける取付手段Bとからなる安全手摺において、手摺本体7の左右各縦枠11の所要部を補強する補強部材5を縦枠11に取り付けることによって、作業者Mの身に付ける安全帯AのフックFを手摺本体7の上横枠12に取り付けた状態でこの上横枠12側に手摺内側方向の所定の衝撃引張荷重が作用した時に、手摺本体7の縦枠11が補強部材5で補強された縦枠部分の上端近傍から手摺内側へ折曲変形するようにしたことを特徴とする。
請求項2は、請求項1に記載の安全手摺において、取付手段Bは、手摺本体7の各縦枠11の中間部に設けられ、建枠4の横架材2に掛止される位置決め用フック10と、各縦枠11の下端部に設けられ、手摺本体7を建枠4の脚柱1の上部側に固定する下部固定金具8と、各縦枠11の上端部に設けられ、手摺本体7を上段側建枠4の脚柱1に固定する上部固定金具9とからなるもので、位置決め用フック10は前記補強部材5に固着されていることを特徴とする。
請求項3は、請求項1又は2に記載の安全手摺において、手摺本体7の左右各縦枠11と上横枠12とのコーナー側所要部には、作業者Mの身に付ける安全帯AのフックFを手摺本体7の上横枠12に取り付けた状態でこのフックFに手摺内側方向の所定の衝撃引張荷重が作用した時にフックFが破損しないように保持するために、手摺本体7の縦枠11、上横枠12よりも曲げ強度の弱い鋼材からなる斜材15を取り付けたことを特徴とする。
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明によれば、作業者Mが自分の身に付けた安全帯Aの先端部を安全手摺Tの手摺本体7に取り付けた状態で作業をしている時に、作業者Mが足場板6から足を滑らせるなどして墜落状態となり、手摺本体7に、落下阻止性能試験の試験荷重に対応する手摺内側方向の所定の衝撃荷重がかかると、手摺本体7の縦枠11は、補強部材5により補強された縦枠部分の上端近傍、即ち縦枠11の断面形状が変化する部位から手摺本体7の内側へ折れ曲がって変形し、これによって作業者Mの墜落を阻止することができる。
請求項2に係る発明によれば、位置決め用フック10を補強部材5に固着することによって、位置決め用フック10を手摺本体7の縦枠11に対し強固に固定することができ、手摺本体7に所定の衝撃荷重がかかった時の、補強部材5で補強された縦枠部分の上端近傍からの縦枠11の折曲変形をより的確なものとすることができる。
請求項3に係る発明によれば、作業者Mが自分の身に付けた安全帯AのフックFを、手摺本体7の上横枠12の、斜材15より内方側に取り付けた状態で作業をしている時に、作業者Mが足場板6から足を滑らせるなどして墜落状態となって、安全帯AのフックFに、妻側落下試験の試験荷重に対応する手摺内側方向で手摺妻側端から外方への所定の衝撃引張荷重が作用すると、フックFは、上横枠12に沿ってその端部側へスライドするが、そのスライド途上で斜材15に引っ掛かって、それ以上のスライドを阻止され、そのため上記衝撃引張荷重が斜材15に作用して、枠11,12よりも曲げ強度の弱い斜材15を変形させる。この斜材15の変形によって、フックFが斜材15に引っ掛かる時の衝撃を緩和され、それによりフックFは、破損することなく従って口を開くことなく、斜材15に引っ掛かった位置に正常状態で保持され、作業者Mの墜落を阻止することができる。
以下に本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明すると、図1の(a) 及び(b) は本発明に係る安全手摺Tの取付方法を示す説明斜視図であり、図2の(a) は同安全手摺Tの正面図、(b) は平面図、(c) は側面図であり、図3の(a) は図2の(a) の矢印イで示す部分の拡大図、(b) はその平面図である。枠組足場は、図1に示すように、両側一対の脚柱1,1と両脚柱1,1の上端部をつなぐ横架材2と補強枠3とからなる門形の建枠4を、一定間隔に対向配置し、両建枠4,4の対向する横架材2,2間に足場板6を架け渡すと共に、両脚柱1,1間に一対のブレースC,CをX形に架け渡しながら順次多段状に組み立てられるようになっている。
この枠組足場に取り付けられる本発明の安全手摺Tは、図2の(a) から分かるように、夫々鋼管製の左右縦枠11,11、上下横枠12,13、横中桟14a及び縦中桟14b,14bによって形成され、両建枠4,4の対向する脚柱1,1間に配置される手摺本体7と、この手摺本体7を両建枠4,4の対向する脚柱1,1に夫々着脱自在に取り付ける取付手段Bとからなる。取付手段Bは、手摺本体7の各縦枠11の中間部に取り付けられ、建枠4の横架材2に掛止される位置決め用フック10と、手摺本体7の各縦枠11,12の下端部に取り付けられ、手摺本体7を建枠4の脚柱1の上部側に固定する下部固定金具8と、各縦枠11の上端部に設けられ、同手摺本体7を上段側建枠4の脚柱1の下部側に固定する上部固定金具9とによって構成される。
そして、手摺本体7の左右各縦枠11には、図2の(a) 及び図3から分かるように、縦枠11の中間部を所要長さに亘って補強する補強部材5が取り付けられていて、図6に示すように作業者Mの身に付けた安全帯Aの先端部を安全手摺Tの手摺本体7の上横枠12に取り付けた状態でこの手摺本体7に手摺内側方向の所定の衝撃荷重がかかった時に、手摺本体7の縦枠11が、図2の(c) に示すように補強部材5で補強された部分の上端近傍部位から手摺内側へ折れ曲がって変形するようになっている。
また、手摺本体7の各縦枠11と上横枠12とのコーナー側所要部には、作業者Mの身に付ける安全帯AのフックFを手摺本体7の上横枠12に取り付けた状態でこのフックFに手摺内側方向の所定の衝撃引張荷重が作用した時にフックFが破損しないように保持するために、手摺本体7の縦枠11、上横枠12よりも曲げ強度の弱い鋼材からなる斜材15が一体的に取り付けられている。
前記安全帯Aは、図6に示すように、長さ1.7mのランヤードYと、このランヤードYの一端部に設けてあって、作業者Mの胴ベルトNに取り付けるための取付リングRと、ランヤードYの先端部に設けられて、安全手摺Tに引っ掛けられるフックFとからなる。フックFは、図7に示すように、フック本体f1と、このフック本体f1が係脱自在な外れ止め装置f2とからなる。また、安全帯AのフックFの取付位置は、図6に示すように手摺本体7の上横枠12における斜材5の取付位置の内方側となっている。
尚、手摺本体7の寸法を参考までに例示すれば、縦枠11及び上下横枠12,13は、夫々直径が約27mmの鋼管からなるもので、縦枠の長さが約1400mm、上下各横枠12,13の長さが約1600mmであり、中桟14a,14bは夫々直径が約20mmの鋼管からなり、斜材15は、縦枠11及び上横枠12より曲げ強度の弱い直径8mmの鉄筋等の丸棒在からなり、そして補強部材5の長さは、例えば168mmとされる。
前記補強部材5は、図3の(a) ,(b) 及び図4の(a) に示すように、手摺本体7の各縦枠11の左右両側面に係合する両側一対断面円弧状の形鋼材5a,5aからなるもので、各円弧状形鋼材5aは溶接によって縦枠11に固着され、図3の(a) ,(b) にはその溶接部をWで示す。そして、この両側一対の形鋼材5a,5aの片方の形鋼材5aの下端部に位置決め用フック10の取付アーム10aが溶接によって固着され、図3の(a) ,(b) にその溶接部をWで示す。尚、図3の(a) ,(b) と図4の(a) とは同じ補強部材5を示したものである。
図4の(b) 〜(e) 及び図5の(a) 〜(d) は補強部材5の種々の例を示す。図4の(b) に示す補強部材5は、縦枠11の左右何れかの側面に係合する一つの断面円弧状形鋼材からなるもので、図示は省略するが、溶接によって縦枠11に一体的に固着されている。(c)
に示す補強部材5は、縦枠11の外側面全周に係合する円環状鋼材からなるもので、溶接によって縦枠11に一体的に固着されている。この円環状鋼材は、一体物(パイプ状)でもよいし、二つ割りした物でもよい。(d) に示す補強部材5は、縦枠11の左右両側面に当接する両側一対の断面内向きコ字状形鋼材5a,5aからなるもので、各内向きコ字状形鋼材5aは溶接により縦枠11に一体的に固着されている。(e) に示す補強部材5は、縦枠11の左右両側面に当接する両側一対の断面外向きコ字状形鋼材5a,5aからなるもので、各外向きコ字状形鋼材5aは溶接により縦枠11に一体的に固着されている。
図5の(a) に示す補強部材5は、縦枠11の左右両側面に当接する両側一対の断面L字状形鋼材5a,5aからなるもので、各L字状形鋼材5aは溶接により縦枠11に一体的に固着されている。(b) に示す補強部材5は、縦枠11の左右両側面に当接する両側一対の平板状鋼材5a,5aからなるもので、各平板状鋼材5aは溶接により縦枠11に一体的に固着されている。(c) に示す補強部材5は、縦枠11の片側の側面に当接する、縦枠11と同様な円管材からなるもので、この円管材は溶接によって縦枠11に一体的に固着されている。また、(d) に示す補強部材5は、縦枠11の左右両側面に当接する両側一対の山形状形鋼材5a,5aからなるもので、各山形状鋼材5aは溶接によって縦枠11に一体的に固着されている。
取付手段Bのフック10は、図3の(a) ,(b) に示すように、取付アーム10aの先端部下側に、建枠4の横架材2に上方より嵌合係止するフック部10bを形成し、且つ取付アーム10aの先端部上側に、安全手摺T2の取り付け又は取り外し時に安全手摺Tを逆様にした状態で建枠4の横架材2に嵌合係止するフック部10cを形成してなるもので、取付アーム10aの基端部は、補強部材5又は5aの下端部側に溶接によって固着されている。このように位置決め用フック10を補強部材5に溶接して固着すれば、位置決め用フック10を手摺本体7の縦枠11に対し強固に固定することができて、手摺本体7に所定の衝撃荷重がかかった時の、補強部材5で補強された縦枠部分の上端近傍からの縦枠11の折曲変形をより的確なものとすることができる。
下部固定金具8と上部固定金具9とは同じ構造で、詳細な構造を図8〜図10に示す。図8の(a) は図2の(a) の矢印ロで示す部分の拡大図で、固定金具8,9が固定位置にある時の正面図であり、(b) はその平面図であり、また(c) は固定金具8,9が収納位置にある時の正面図である。図9は図8の(b) のハ−ハ線拡大断面図であり、図10はロック手段19のバネ20(第1バネ31と第2バネ32とからなる)を示す斜視図である。
図8及び図9を参照すると、各固定金具8,9は、手摺本体7の縦枠11に固着された取付部材16と、建枠4の脚柱1に係脱自在に係合する脚柱係合部17を一端部に有し、脚柱係合部17が脚柱1に係合する固定位置と脚柱係合部17が脚柱1から離脱して手摺本体7の縦枠11に沿うように折り畳み収納される収納位置との間で回動可能に取付部材16に枢軸28によって枢着された回動部材18と、この回動部材18を固定位置及び収納位置にロックするロック手段19とによって構成される。回動部材18の他端部、即ち脚柱係合部17と反対側の端部には、固定位置において手摺本体7の縦枠11に係合し、収納位置において手摺本体7の縦枠11から離脱する縦枠係合部25が設けてある。
各固定金具8,9のロック手段19は、取付部材16と回動部材18との互いの摺接面部の一方側に係合突片21をバネ20(第1バネ31と第2バネ32とからなる)によって他方の摺接面部側に弾接するように設けると共に、他方の摺接面部側に、回動部材18が回動して固定位置及び収納位置に来た時に係合突片21が係合して回動部材18を固定位置及び収納位置に夫々ロックする固定位置用ロック孔22Aと収納位置用ロック孔22Bとを設けたものからなる。
取付部材16は、両側板16a,16aとこれらをつなぐ連結板16bとにより下向きコ字状に形成されたもので、両側板16a,16aの一端側が手摺本体7の各縦枠11に固着され、両側板16a,16aの夫々先端部には下部側に枢軸挿通孔(図示せず)が、上部側には図9に示すように貫通孔24が設けてある。回動部材18は、図8に示すように、両側板18a,18aと背板18bとからなるもので、その先端部に脚柱係合部17が連設されており、両側板18a,18aには夫々の中央部に枢軸挿通孔26が設けられ、この枢軸挿通孔26を中心とする一定半径上の夫々所定位置に固定位置用ロック孔22Aと収納位置用ロック孔22Bとが90°の角度間隔で設けられている。また、背板18bの後端側に手摺本体7の縦枠11に係合する円弧状凹部からなる縦枠係合部25が形成してある。脚柱係合部17は、脚柱1の前後両側面部を把持する把持板部17a,17aと、脚柱1の左右側面部に係合する上下係合部17b,17bとからなり、一方の把持板部17aにはロック用のボルト23が取り付けてある。
上記ロック手段19のバネ20は第1バネ31と第2バネ32とによって構成される。図10に示すように、第1バネ31は、基板部31aの両端部から両側板31b,31bを末広がり状に延出した台形枠状の幅広板バネからなるもので、両側板31b,31bには枢軸挿通孔27が設けられている。第2バネ32は、基板部32aの両端部から両側板32b,32bを末広がり状に延出した台形枠状の幅狭板バネからなるもので、両側板32b,32bの夫々先端側に、外側方へ突出する係合突片21,21がプレス加工により一体形成され、各係合突片21の先端部は半球状を成している。
上記固定金具8,9を組み立てるには、先ず、台形枠状の幅広板バネからなる第1バネ31に、台形枠状の幅狭板バネからなる第2バネ32を、図10に示すように両側板32b,32bが両側板31b,31bを横方向から挟み付けるように嵌合し、この状態で両バネ31,32を、手摺本体7の縦枠11に固着された取付部材16の両側板16a,16a間に配置して、第2バネ32の両側板32b,32bにある両係合突片21,21を取付部材16の両側板16a,16aの貫通孔24,24に貫通させると共に、両係合突片21,21の先端部分を、回動部材18の両側板18a,18aに設けられた例えば固定位置用ロック孔22B,22Bに係合させる。これによって、第2バネ32の両側板32b,32bが圧縮されて略平行に位置し、これに伴って第1バネ31の両側板31b,31bも圧縮され、図9に示す状態となる。
それから第1バネ31の両側板31b,31bに設けられた枢軸挿通孔27,27と、取付部材16の両側板16a,16aに設けられた枢軸挿通孔(図示せず)と、回動部材18の両側板18a,18aに設けられた枢軸挿通孔26,26とを同軸に位置させて、これらの枢軸挿通孔にボルトからなる枢軸28を挿通し、そのボルトの挿通端部にナット29を螺合することにより、固定金具8,9の組立が完了し、図8の(a) 〜(c) に示すような状態となる。
図8の(c) は、第1バネ31及び第2バネ32を介して取付部材16側に取り付けられた係合突片21が回動部材18側の収納位置用ロック孔22Aに係合して、回動部材18を収納位置にロックした状態を示す。この収納位置では回動部材18の長手方向が手摺本体7の縦枠11の長手方向と平行になり、回動部材18の後端側の脚柱係合部17が上向きとなり、その先端側の縦枠係合部25が下向きとなる。この図8の(c) に示すように収納位置において上向き状態にある回動部材18の脚柱係合部17に対し、作業者が手作業で回転力を与えると、回動部材18側の収納位置用ロック孔22Aに係合している係合突片21の先端半球状部分21aが、第1バネ31及び第2バネ32の付勢力に抗して収納位置用ロック孔22Aから離脱して回動部材18の側板18aの内側面に乗り上げ、この側板18aの内側面に弾接した状態で、回動部材18は図10の(c) に関して半時計回りに回動する。
そして、回動部材18を図8の(c) に示す収納位置から90°回動させることにより、回動部材18の脚柱係合部17が建枠4の脚柱1に係合すると同時に、縦枠係合部25が手摺本体7の縦枠11に係合し、同時にまた係合突片21の先端部分が回動部材18の固定位置用ロック孔22Bに係合し、これにより回動部材18は収納位置から固定位置に位置変更されると同時に固定位置にロックされて、図8の(a) ,(b) に示すような状態となる。
上記のように構成される安全手摺Tの使用方法について説明するならば、先ず、図1の(a) に示すように、一対の建枠4,4を対向配置し、両建枠4,4の対向する脚柱1,1間にブレースC,CをX状に掛張した後、両建枠4,4に安全手摺Tを取り付け、その後に両建枠4,4の対向する横架材2,2に足場板6を架け渡して、1段目足場を組み立てる。安全手摺Tの取付けにあたっては、取付手段Bの上下固定金具8,9を何れも、図8の(c) に示すように回動部材18を手摺本体7の縦枠11に沿って折り畳んだ収納位置にセットして、ロック手段19によりロックした状態で、手摺本体7の両側の位置決め用フック10,10を、図1の(a) 及び図2の(a) に示すように両建枠4,4の対向する横架材2,2に引っ掛けて、手摺本体7の位置を決定する。
上記のようにして位置決め用フック10,10を両建枠4,4の対向する横架材2,2に引っ掛けて位置決めしたならば、各下部固定金具8の回動部材18を固定位置へ回動操作して、回動部材18の一端部の脚柱係合部17を建枠4の脚柱1に係合させると共に、他端部の縦枠係合部25を手摺本体7の縦枠11に係合し、同時にまたロック手段19によって回動部材18を固定位置にロックし、これによって各下部固定金具8を1段目足場用建枠4の脚柱1に固定する。
次に、図1の(a) に示すような1段目足場の足場板1に昇って、1段目側建枠4,4に2段目側の建枠4,4を夫々継ぎ足し、そして未だ固定していなかった安全手摺Tの上部固定金具9,9を、上述した下部固定金具8の場合と同様な方法で2段目側建枠4,4の脚柱1に固定し、この2段側建枠4,4の対向する脚柱1,1間にブレースC,CをX状に掛張して、図1の(b) に示すような状態とする。
この2段目足場の組立作業は、1段目足場の足場板6の上で行うことになるが、この2段目足場には、下部固定金具8によって建枠4の脚柱1の上部側に固定して安全手摺Tの上側半分以上が足場板6より上方に突出しているから、作業を安全に行うことができる。また、安全手摺Tの手摺本体7は、上下の固定金具8,9により、1段目足場の建枠4,4と2段目足場の建枠4,4とに亘って確実強固に固定されることになる。
そして、この2段目足場には、両建枠4,4の対向する横架材2,2に足場板6を架け渡した後、両建枠4,4に安全手摺Tを上述した1段目の場合と同様にして取り付ける。以降は、上記同様な方法によって安全手摺Tを設置しながら、多段状に足場を組み上げてゆく。尚、この実施形態では、図面の表示が複雑になる関係上、両側一対の建枠4,4に足場板6を架け渡した最小限の足場を図示すると共に、この足場の手前側にのみ安全手摺Tを設置した状態を示しているが、実際には、足場は水平方向に連続スパンで連設され、また安全手摺Tは各足場の手前側と奥側の両側に設置されるものである。
上記のようにして足場用建枠4に安全手摺Tを取り付けた枠組足場の上で作業をする時に、作業者Mは、図6に示すように、安全帯Aの一端部を自身の胴ベルトNに取り付けると共に、その先端部をフックF介して安全手摺Tの手摺本体7に取り付けて作業を行う。この安全帯Aは、ランヤードYと、このランヤードYの一端部に設けてあって、作業者Mの胴ベルトNに取り付けるための取付リングRと、ランヤードYの先端部に設けてあり、手摺本体7の上横枠12に引っ掛けられるフックFとからなる。このフックFの取付位置は、図6から分かるように、手摺本体7の上横枠12における斜材15の内方側となっている。
こうして作業者Mが自分の身に付けた安全帯AのフックFを手摺本体7に取り付けた状態で作業をしている時に、作業者Mが足場板6から足を滑らせるなどして墜落状態となって、手摺本体7に、落下阻止性能試験の試験荷重に対応する手摺内側方向の衝撃荷重がかかると、手摺本体7に、落下阻止性能試験の試験荷重に対応する手摺内側方向の所定の衝撃荷重がかかると、手摺本体7の縦枠11は、図2の(c) に仮想線で示すように、補強部材5により補強された部分の上端近傍、即ち縦枠11の断面形状が急に変化する部位から手摺本体7の内側へ折れ曲がって変形し、これによって作業者Mの墜落を阻止することができる。
このように上横枠12に安全帯AのフックFが取り付けられた状態で手摺本体7に落下阻止性能試験の試験荷重に対応する手摺内側方向の所定の衝撃荷重がかかった時に手摺本体7の縦枠11が補強部材5により補強された部分の上端近傍部位から折れ曲がるのは、縦枠11の上部側の補強されていない縦枠部分と、補強部材5により補強されている縦枠部分との境界部分は、断面形状が急変する部分であるため、この部分に大きな曲げ応力が発生し、この部分から手摺本体7の縦枠11が内側へ折曲変形することになる。因みに、縦枠11の所要部が補強部材5によって補強されていない場合には、手摺本体7は、取付手段Bである上下固定金具8,9のところから外れて落下するおそれがあり、非常に危険を事態をまねくことになる。
また、手摺本体7には、左右各縦枠11と上横枠12とのコーナー側所要部に、縦枠11、上横枠12よりも曲げ強度の弱い鋼材からなる斜材15を取り付けていることから、作業者Mが自分の身に付けた安全帯AのフックFを、手摺本体7の上横枠12の、斜材15より内方側に取り付けた状態で作業をしている時に、作業者Mが足場板6から足を滑らせるなどして墜落状態となって、安全帯AのフックFに、妻側落下試験の試験荷重に対応する手摺内側方向で手摺妻側端から外方への所定の衝撃引張荷重が作用すると、フックFは、上横枠12に沿ってその端部側へスライドするが、そのスライド途上で斜材15に引っ掛かって、それ以上のスライドを阻止され、そのため上記衝撃引張荷重が斜材15に作用して、枠11,12よりも曲げ強度の弱い斜材15を変形させる。この斜材15の変形によって、フックFが斜材15に引っ掛かる時の衝撃を緩和され、それによりフックFは、破損することなく従って口を開くことなく、斜材15に引っ掛かった位置に正常状態で保持され、作業者Mの墜落を阻止することができる。
(a) 及び(b) は本発明に係る安全手摺の取付方法を説明する説明斜視図である。 (a) は同安全手摺の正面図、(b) は平面図、(c) は側面図である。 (a) は図2の(a) の矢印イで示す部分の拡大図、(b) は平面図である。 (a) 〜(e) は補強部材の種々の例を示すもので、上側は各補強部材の取付状態の横断面図、その下側は取付状態の正面図である。 (a) 〜(d) は補強部材の他の種々の例を示し、上側は各補強部材の取付状態の横断面図、その下側は取付状態の正面図である。 (a) は安全手摺に安全帯を取り付けた状態を示す正面図である。 手摺本体に取り付けた斜材の作用を説明する説明図である。 (a) は図2の(a) の矢印ロで示す部分の拡大図で、上下各固定金具が固定位置にある状態を示し、(b) はその平面図であり、(c) は上下各固定金具が収納位置にある状態での正面図である。 図8の(b) のハ−ハ線拡大断面図である。 ロック手段の第1バネ及び第2バネを示す斜視図である。 安全手摺の落下阻止性能試験の例を示す説明図である。
符号の説明
T 安全手摺
A 安全帯
F 安全帯のフック
1 脚柱
2 横架材
4 足場用建枠
5 補強部材
5a 鋼材
6 足場板
7 手摺本体
B 取付手段
8 下部固定金具
9 上部固定金具
10 位置決め用フック
11 手摺本体の縦枠
12,13 手摺本体の上下横枠
14a 横中桟
14b 縦中桟
15 斜材

Claims (3)

  1. 両側一対の脚柱と両脚柱の上端部をつなぐ横架材とからなる建枠を対向させて両建枠の横架材間に足場板を架け渡しながら多段状に組み立てられる枠組足場に取り付ける安全手摺であって、夫々鋼管製の左右縦枠、上下横枠及び中桟によって形成され、両建枠の対向する脚柱間に配置される手摺本体と、この手摺本体を両建枠の対向する脚柱に着脱自在に取り付ける取付手段とからなる安全手摺において、
    手摺本体の左右各縦枠の所要部を補強する補強部材を縦枠に取り付けることによって、作業者の身に付ける安全帯のフックを手摺本体の上横枠に取り付けた状態でこの上横枠側に手摺内側方向の所定の衝撃引張荷重が作用した時に、手摺本体の縦枠が補強部材で補強された縦枠部分の上端近傍から手摺内側へ折曲変形するようにしたことを特徴とする安全手摺。
  2. 取付手段は、手摺本体の各縦枠の中間部に設けられ、建枠の横架材に掛止される位置決め用フックと、各縦枠の下端部に設けられ、手摺本体を建枠の脚柱の上部側に固定する下部固定金具と、各縦枠の上端部に設けられ、手摺本体を上段側建枠の脚柱に固定する上部固定金具とからなるもので、位置決め用フックは前記補強部材に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の安全手摺。
  3. 手摺本体の左右各縦枠と上横枠とのコーナー側所要部には、作業者の身に付ける安全帯のフックを手摺本体の上横枠に取り付けた状態でこのフックに手摺内側方向の所定の衝撃引張荷重が作用した時にフックが破損しないように保持するために、手摺本体の縦枠、上横枠よりも曲げ強度の弱い鋼材からなる斜材を取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の安全手摺。
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