JP2006327922A - 無機材料組成物、無機膜およびプラズマディスプレイパネル用隔壁部材 - Google Patents
無機材料組成物、無機膜およびプラズマディスプレイパネル用隔壁部材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】焼成収縮率が低いにもかかわらず、焼成後に高い機械的強度を維持することのできる無機材料組成物、無機膜およびプラズマディスプレイパネル用隔壁部材を提供すること。
【解決手段】(A)無機粉末、(B)バインダー樹脂および(C)溶剤を含有し、前記(A)無機粉末は、ガラス粉末と前記ガラス粉末より軟化温度の高いフィラー粉末とを含み、前記ガラス粉末は、粒子径1.0μm以下である粒子の割合が40〜70質量%であり、かつ前記ガラス粉末を35〜65質量%およびフィラー粉末を35〜65質量%含有することを特徴とする無機材料組成物。該組成物を400℃以上の温度で焼成して得られる無機膜。該無機膜を含むプラズマディスプレイパネル用隔壁部材。
【選択図】なし
【解決手段】(A)無機粉末、(B)バインダー樹脂および(C)溶剤を含有し、前記(A)無機粉末は、ガラス粉末と前記ガラス粉末より軟化温度の高いフィラー粉末とを含み、前記ガラス粉末は、粒子径1.0μm以下である粒子の割合が40〜70質量%であり、かつ前記ガラス粉末を35〜65質量%およびフィラー粉末を35〜65質量%含有することを特徴とする無機材料組成物。該組成物を400℃以上の温度で焼成して得られる無機膜。該無機膜を含むプラズマディスプレイパネル用隔壁部材。
【選択図】なし
Description
本発明は、無機材料組成物、無機膜およびプラズマディスプレイパネル用隔壁部材に関するものであり、詳しくは、焼成収縮率が低いにもかかわらず、焼成後に高い機械的強度を維持することのできる無機材料組成物、無機膜およびプラズマディスプレイパネル用隔壁部材に関するものである。
プラズマディスプレイパネルは自己発光型のディスプレイであり、軽量、薄型、高視野角、高輝度など数々の優れた特性を兼ね備えており、かつ大画面化が可能であることから、液晶ディスプレイと並んで最も有望な次世代表示装置として注目されている。
図1は、従来より用いられている交流型のプラズマディスプレイパネルの断面形状の模式図である。図1に示すように、プラズマディスプレイパネル10は、隔壁3を介して互いに対向して配置された前面ガラス基板1及び背面ガラス基板2と、前面ガラス基板1に固定されたバス電極4と、背面ガラス基板2に固定されたアドレス電極5と、蛍光体6と、バス電極4を被覆するようにガラス基板1の表面に形成された誘電体層7と、保護膜8とを備えている。隔壁3はガラス焼結体により形成され、その膜厚は通常、100〜200μmである。
隔壁3の形成方法としては、無機粉末、バインダー樹脂、溶剤を含むペーストを背面ガラス基板2の表面にスクリーン印刷により塗布し、加熱焼成することにより有機物質を除去して無機粉末を焼結させる方法が知られている。また別の方法として、同様のペーストを背面ガラス基板2の表面全体に均一に塗布した後、乾燥することにより隔壁形成材料層を形成、さらにこの隔壁形成材料層の上に感光性のドライフイルムを貼り付けた後、光露光により所望のパターンを形成した後、サンドブラストによりドライフイルムで覆われていない部分を食削したのち加熱焼成する方法が知られている。
ここに、ペーストに含まれるバインダー樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが知られている。
また、無機粉末としては加熱焼成時の溶融が良好な低融点ガラスが用いられるのが一般的で、必要により隔壁強度を保つために焼成時に溶融しないフィラーを低融点ガラスと共に用いることもある。
ここに、ペーストに含まれるバインダー樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが知られている。
また、無機粉末としては加熱焼成時の溶融が良好な低融点ガラスが用いられるのが一般的で、必要により隔壁強度を保つために焼成時に溶融しないフィラーを低融点ガラスと共に用いることもある。
例えば、特許文献1には、形状精度や不純物ガス放出を抑制できる隔壁から製造されるプラズマディスプレイパネル及びその製造方法が開示されている。
背面ガラス基板2の表面に塗布するペーストの厚さは、焼成工程における有機物質の飛散消失、および無機粉末の溶融焼結による体積収縮に伴う膜厚減少を考慮して、形成すべき隔壁3の厚さの1.5〜2.0倍程度とすることが必要である。例えば隔壁3の最終的な厚さを100〜200μmとするためには、焼成前のペーストの形成段階において150〜400μm程度のペースト層を形成する必要がある。
ここで、焼成前のペースト層の膜厚に対する焼成後の隔壁の厚さの比率(%)を「焼成残膜率」、100%から焼成残膜率(%)を差し引いた数値(%)を「焼成収縮率」と定義する。焼成収縮率が高いペーストは、特に大型ガラス基板にこれを適用した場合、基板全体での焼成温度の局所的差異により、焼成後の基板全体での膜厚均一性(公差としてたとえば±5%が要求される)が悪くなり、結果として基板面内での誘電特性のバラツキ、ひいては表示欠陥(輝度ムラ)に繋がり好ましくない。また焼成後の隔壁としての加工精度の維持も難しくなる。さらに焼成収縮率が高いペーストを用いると、焼成収縮率が低いペーストを用いる場合に比べて、より多くのペースト材料を塗布しなければならないため、省資源の観点から見ても好ましくない。
なお、ペースト中に焼成温度よりも高い軟化温度を持つフィラーを添加すれば焼成後の膜に多孔質構造をもたらすことができ、結果的に焼成収縮率を減少させる効果がある。しかしこれによって焼成後の膜の機械的強度が低下してしまうという問題がある。
例えば前述の特許文献1には、ガラス粉末の溶融焼結による体積収縮を低減するために、ペースト中に焼成温度より高い軟化温度を持つフィラーを多量に添加すると、焼成後の隔壁の緻密度が低下し、機械的強度が著しく低下してしまうことが記載されている。
例えば前述の特許文献1には、ガラス粉末の溶融焼結による体積収縮を低減するために、ペースト中に焼成温度より高い軟化温度を持つフィラーを多量に添加すると、焼成後の隔壁の緻密度が低下し、機械的強度が著しく低下してしまうことが記載されている。
この問題点を解決するために、特許文献2には、それぞれ特定の範囲の平均粒子径をもつガラス粉末と無機粉末(フィラー)を混合することによりフィラーの凝集を防ぎ、機械的強度を高める方法が開示されている。しかし、本発明者らの検討結果によれば、特許文献2の方法でも確かに強度向上の効果は認められるものの、開示されている範囲の平均粒子径を持つフィラーを用いた場合でも低い焼成収縮率で十分な機械的強度を得ることは困難であった。
また、特許文献3には、特定の範囲の平均粒子径をもつフィラーと、粒径がフィラーの粒径の3分の1以下のガラス粉末を用いることで焼成後の膜を緻密にし、強度を高める方法が記載されている。しかしこの方法では膜が緻密なため機械的強度は高いものの、非多孔質な焼成膜を得る方法であるため結果的に収縮率が大きいという問題が残る。
さらに特許文献4には、それぞれ特定の範囲の平均粒子径をもつガラス粉末とフィラー粉末を混合することにより隔壁の透光性を高める方法が述べられているが、膜の機械的強度や焼成収縮率についての記載はない。
さらに特許文献5および6には、それぞれ特定の範囲の平均粒子径をもつガラス粉末とフィラー粉末を混合することにより焼成後に特定の空隙構造を持つ膜を得ることで焼成時の収縮率や膜の誘電率を小さくする方法が述べられているが、膜の機械的強度については何の示唆も与えていない。
このように低い焼成収縮率の膜を形成しようとすると、結果として焼成後の膜が多孔質になり、必然的に高い機械的強度が得られないというのがこれまでの問題点であった。
特開平8−129958号公報
特開平11−1343号公報
特開平4−74751号公報
特開2002−110035号公報
特開2004−345917号公報
特開2005−8514号公報
また、特許文献3には、特定の範囲の平均粒子径をもつフィラーと、粒径がフィラーの粒径の3分の1以下のガラス粉末を用いることで焼成後の膜を緻密にし、強度を高める方法が記載されている。しかしこの方法では膜が緻密なため機械的強度は高いものの、非多孔質な焼成膜を得る方法であるため結果的に収縮率が大きいという問題が残る。
さらに特許文献4には、それぞれ特定の範囲の平均粒子径をもつガラス粉末とフィラー粉末を混合することにより隔壁の透光性を高める方法が述べられているが、膜の機械的強度や焼成収縮率についての記載はない。
さらに特許文献5および6には、それぞれ特定の範囲の平均粒子径をもつガラス粉末とフィラー粉末を混合することにより焼成後に特定の空隙構造を持つ膜を得ることで焼成時の収縮率や膜の誘電率を小さくする方法が述べられているが、膜の機械的強度については何の示唆も与えていない。
このように低い焼成収縮率の膜を形成しようとすると、結果として焼成後の膜が多孔質になり、必然的に高い機械的強度が得られないというのがこれまでの問題点であった。
本発明の目的は、焼成収縮率が低いにもかかわらず、焼成後に高い機械的強度を維持することのできる無機材料組成物、無機膜およびプラズマディスプレイパネル用隔壁部材を提供することである。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ペースト中の無機粉末を構成するガラス粉末としてある特定の粒度分布を持たせたものを用い、かつそのガラス粉末とフィラー粉末との比率が特定範囲になるように構成させたときに限って、焼成後の膜において焼成収縮率の大幅な改良をもたらしつつ、しかも本来のガラス粉末の焼成で得られる膜とほぼ同等となるような高い機械的強度を有する膜を得ることが可能であることを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1)(A)無機粉末、(B)バインダー樹脂および(C)溶剤を含有する無機材料組成物であって、前記(A)無機粉末は、ガラス粉末と前記ガラス粉末より軟化温度の高いフィラー粉末とを含み、前記ガラス粉末は、粒子径1.0μm以下である粒子の割合が40〜70質量%であり、かつ前記ガラス粉末を35〜65質量%およびフィラー粉末を35〜65質量%含有することを特徴とする無機材料組成物。
2)前記フィラー粉末の平均粒子径(D50)が3.2μm以下であることを特徴とする上記1)に記載の無機材料組成物。
3)前記(B)バインダー樹脂の含有割合が、前記(A)無機粉末100質量部に対して、1〜30質量部であることを特徴とする上記1)または2)に記載の無機材料組成物。
4)上記1)〜3)のいずれかに記載の無機材料組成物を400℃以上の温度で焼成して得られる無機膜。
5)上記4)に記載の無機膜を含むプラズマディスプレイパネル用隔壁部材。
1)(A)無機粉末、(B)バインダー樹脂および(C)溶剤を含有する無機材料組成物であって、前記(A)無機粉末は、ガラス粉末と前記ガラス粉末より軟化温度の高いフィラー粉末とを含み、前記ガラス粉末は、粒子径1.0μm以下である粒子の割合が40〜70質量%であり、かつ前記ガラス粉末を35〜65質量%およびフィラー粉末を35〜65質量%含有することを特徴とする無機材料組成物。
2)前記フィラー粉末の平均粒子径(D50)が3.2μm以下であることを特徴とする上記1)に記載の無機材料組成物。
3)前記(B)バインダー樹脂の含有割合が、前記(A)無機粉末100質量部に対して、1〜30質量部であることを特徴とする上記1)または2)に記載の無機材料組成物。
4)上記1)〜3)のいずれかに記載の無機材料組成物を400℃以上の温度で焼成して得られる無機膜。
5)上記4)に記載の無機膜を含むプラズマディスプレイパネル用隔壁部材。
本発明の無機材料組成物は、焼成収縮率が低いにもかかわらず、焼成後に高い機械的強度を維持することができる無機膜を形成することができるので、これを例えばプラズマディスプレイパネルの隔壁部材に加工する際、そのの加工性に優れる。
また、本発明の無機材料組成物を用いることで、基板面内での誘電特性が均一で、輝度ムラ等の表示欠陥が生じないプラズマディスプレイパネル用隔壁部材を提供できる。
また、本発明の無機材料組成物を用いることで、基板面内での誘電特性が均一で、輝度ムラ等の表示欠陥が生じないプラズマディスプレイパネル用隔壁部材を提供できる。
以下、本発明の無機材料組成物について詳細に説明する。
本発明の無機材料組成物(以下、ペーストともいう)は、(A)無機粉末、(B)バインダー樹脂、(C)溶剤を必須成分として含有する。(A)の無機粉末としてはガラス粉末とそれよりも軟化温度の高いフィラー粉末とを主成分として含有する。
ガラス粉末は、高い耐電圧を有する無機膜を形成するための基本材料であり、その含有量は(A)の無機粉末中の35〜65質量%であることが好ましく、40〜55質量%であることがさらに好ましい。ガラス粉末が35質量%より少なくなると焼結性が低下し、緻密な焼結体とならず十分な機械的強度を有する隔壁が得られなくなるおそれがある。一方、65質量%より多くなると相対的にフィラー粉末が少なくなるために焼成収縮率が高くなり本発明の目的が達せられなくなるおそれがある。
本発明の無機材料組成物(以下、ペーストともいう)は、(A)無機粉末、(B)バインダー樹脂、(C)溶剤を必須成分として含有する。(A)の無機粉末としてはガラス粉末とそれよりも軟化温度の高いフィラー粉末とを主成分として含有する。
ガラス粉末は、高い耐電圧を有する無機膜を形成するための基本材料であり、その含有量は(A)の無機粉末中の35〜65質量%であることが好ましく、40〜55質量%であることがさらに好ましい。ガラス粉末が35質量%より少なくなると焼結性が低下し、緻密な焼結体とならず十分な機械的強度を有する隔壁が得られなくなるおそれがある。一方、65質量%より多くなると相対的にフィラー粉末が少なくなるために焼成収縮率が高くなり本発明の目的が達せられなくなるおそれがある。
また、本発明におけるガラス粉末としては、その軟化温度が400〜600℃の範囲内にあるものが望ましい。軟化温度が400℃未満である場合は、ペーストの焼成工程において、バインダー樹脂などの有機成分が完全に分解されない段階でガラス粉末が溶融してしまい、形成される無機膜中に有機物質の一部が残留し、この結果として誘電体としての特性が損なわれたり、無機膜が着色することにより光透過率が低下してしまうことがある。一方、ガラス粉末の軟化温度が600℃を超える場合は、600℃より高温で焼成する必要があり、ガラス基板に歪みなどが発生しやすくなり好ましくない。このようなガラス粉末は、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどの酸化物、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。前記軟化温度を有するガラス粉末の具体的な例としては、(1)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO-B2O3-SiO2)からなるもの、(2)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(ZnO- B2O3-SiO2) からなるもの、(3)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カルシウム(ZnO- B2O3- SiO2-CaO) からなるもの、(4)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カルシウム(PbO- B2O3- SiO2-CaO) からなるもの、(5)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化ナトリウム(ZnO- B2O3- SiO2-CaO-Na2O) からなるものなどが挙げられるが、本発明の適用範囲はこれらに限定されるものではない。
また、ガラス粉末の粒子径として、粒子径が1.0μm以下である粒子の割合が40質量%以上でかつ70質量%以下であることが必要である。粒子径が1.0μm以下である粒子の割合が40質量%未満である場合は、機械的強度が小さくなり好ましくない。また、粒子径が1.0μm以下である粒子の割合が70質量%を超える場合は、その取り扱いが困難になるばかりでなく、隔壁の機械的強度と収縮率の良好なバランスを得ることが困難である。
また、ガラス粉末の最小粒子径は、D10で定義した場合に0.3μm以上、好ましくは0.4μm以上である。さらにガラス粉末の最大粒子径は、D90で定義した場合に10μm以下が望ましいが、上記要件が満たされさえすれば、ガラス粉末の最大粒子径の大小によらず、本発明の効果が得られる。
また、ガラス粉末の最小粒子径は、D10で定義した場合に0.3μm以上、好ましくは0.4μm以上である。さらにガラス粉末の最大粒子径は、D90で定義した場合に10μm以下が望ましいが、上記要件が満たされさえすれば、ガラス粉末の最大粒子径の大小によらず、本発明の効果が得られる。
なお、ここでいうガラス粉末の粒子径はレーザー回折散乱法により測定された粒子径であり、粒子径分布の質量%は粒度計のチャート面積の比率から算出されたものと定義する。
本発明の(A)無機粉末には、上記ガラス粉末のほかに、焼成収縮率を低めるためのフィラー粉末が添加される。フィラー粉末の含有量は(A)の無機粉末中、35〜65質量%であることが好ましく、45〜60質量%であることがさらに好ましい。フィラー粉末が35質量%より少なくなると焼成収縮率が増加するおそれがあり、65質量%より多くなると焼成後の隔壁の機械的強度が低くなるおそれがある。
フィラー粉末としては、通常、その軟化温度はペーストの焼成温度より高いものが選択される。好適なフィラー粉末の具体例としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコン、ジルコニア、コーディエライトなどが挙げられる。また、フィラー粉末の軟化温度は、ガラス粉末の軟化温度よりも高い必要があり、具体的には、600℃以上、好ましくは800℃以上である。
フィラー粉末としては、通常、その軟化温度はペーストの焼成温度より高いものが選択される。好適なフィラー粉末の具体例としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコン、ジルコニア、コーディエライトなどが挙げられる。また、フィラー粉末の軟化温度は、ガラス粉末の軟化温度よりも高い必要があり、具体的には、600℃以上、好ましくは800℃以上である。
また、フィラー粉末としては上記ガラス粉末よりも大きな平均粒子径のものを用いることが望ましいが、D50で定義される平均粒子径としては3.2μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは2.5μm以下である。平均粒子径(D50)が大きすぎるフィラーを用いると、焼成収縮率には大きな影響を与えないものの、ペースト焼成後の隔壁の機械的強度が低下する傾向がある。なお、ここでいう平均粒子径(D50)は、レーザー回折散乱法により、横軸に粒子径を縦軸に頻度(質量)をとってプロットし、該頻度の累積質量の総和を100%とした時に累積質量が50%となる粒子径を言う。また、前記のD10およびD90も同様に、該頻度の累積質量の総和を100%とした時に累積質量がそれぞれ10%および90%となる粒子径を言う。
本発明のペーストの必須成分である(B)バインダー樹脂としては、具体的には、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが好適に用いられる。これらのうち、ガラス粉末の分散性、ペーストの塗布性、焼成時の飛散消失性(燃焼の容易性)などの点で、エチルセルロースが特に好ましい。エチルセルロースは、アルカリセルロースを加圧下で塩化エチルと反応させて得られる。そのほかのアルキルセルロースも同様の方法で合成できる。
本発明のペーストにおける(B)バインダー樹脂の含有割合としては、(A)の無機粉末100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、さらに好ましくは2〜20質量部である。バインダーの量が1質量部未満であると、無機粉末を確実に結着できず、一方、バインダー樹脂が30質量部を超えると焼成残膜率が低下したり、焼成工程に長時間を要し好ましくない。
本発明のペーストにおける(B)バインダー樹脂の含有割合としては、(A)の無機粉末100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、さらに好ましくは2〜20質量部である。バインダーの量が1質量部未満であると、無機粉末を確実に結着できず、一方、バインダー樹脂が30質量部を超えると焼成残膜率が低下したり、焼成工程に長時間を要し好ましくない。
本発明のペーストの必須成分である(C)溶剤としては、(B)のバインダー樹脂の溶解性、ガラス粉末やフィラー粉末との親和性が良好で、ペーストに適度な粘性を与え、また乾燥時には容易に蒸発除去できるものが好ましい。このような溶剤の具体例としては、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明のペーストにおける(C)溶剤の含有割合としては、ペーストに適度な粘度を与える割合とし、塗布膜厚や焼成後の無機膜の膜厚により決定される。
本発明のペーストにには上記の必須成分のほかに、分散剤、安定剤、可塑剤、消泡剤などの各種添加物が含まれていても良い。
本発明のペーストにおける(C)溶剤の含有割合としては、ペーストに適度な粘度を与える割合とし、塗布膜厚や焼成後の無機膜の膜厚により決定される。
本発明のペーストにには上記の必須成分のほかに、分散剤、安定剤、可塑剤、消泡剤などの各種添加物が含まれていても良い。
本発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁部材は、本発明のペーストを例えば400℃以上の温度で焼成し、所望の形状に無機膜を形成することにより得ることができる。
本発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁部材の製造方法について、感光性ドライフィルムレジストを使用する方法を例にとって説明する。
まず本発明のペーストを基板上に塗布し、得られた塗布層の表面に感光性ドライフィルムをラミネートし、該感光性ドライフィルム上にパターン露光、現像を順次行って形成したレジストパターンを用い、サンドブラスト法により該基板上に所望のパターンを形成し、次いでこれを焼成して隔壁構造を形成する。
この塗布層の表面にラミネートされる感光性ドライフィルムは、PETフィルムのような仮支持体上に感光性樹脂組成物層(レジスト層ともいう)が設けられてなるものであり、ポジ型のレジスト材料であってもネガ型のレジスト材料であってもよい。ポジ型では、例えばアルカリ可溶性フェノール樹脂とナフトキノンジアジドの混合物からなるポジ型レジストなどが用いられる。ネガ型としては、アリシクロ環を有する鎖状ポリマーなどの環化ゴムと芳香族ビスアジド化合物などのビスアジド化合物が組み合わされた環化ゴムービスアジド系レジスト、メタクレゾールノボラック樹脂に1−アジドピレンが組み合わせられたノボラック樹脂−アジド系レジスト、アクリル系モノマーと光重合開始剤が組み合わさったアクリル系レジスト液などが挙げられる。これらは、市販品として入手できる。
塗布層が形成される基板とは、ガラス等の単体の基板、電極等を有した基板等プラズマディスプレイパネルの背面ガラス基板となるものを言う。
本発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁部材の製造方法について、感光性ドライフィルムレジストを使用する方法を例にとって説明する。
まず本発明のペーストを基板上に塗布し、得られた塗布層の表面に感光性ドライフィルムをラミネートし、該感光性ドライフィルム上にパターン露光、現像を順次行って形成したレジストパターンを用い、サンドブラスト法により該基板上に所望のパターンを形成し、次いでこれを焼成して隔壁構造を形成する。
この塗布層の表面にラミネートされる感光性ドライフィルムは、PETフィルムのような仮支持体上に感光性樹脂組成物層(レジスト層ともいう)が設けられてなるものであり、ポジ型のレジスト材料であってもネガ型のレジスト材料であってもよい。ポジ型では、例えばアルカリ可溶性フェノール樹脂とナフトキノンジアジドの混合物からなるポジ型レジストなどが用いられる。ネガ型としては、アリシクロ環を有する鎖状ポリマーなどの環化ゴムと芳香族ビスアジド化合物などのビスアジド化合物が組み合わされた環化ゴムービスアジド系レジスト、メタクレゾールノボラック樹脂に1−アジドピレンが組み合わせられたノボラック樹脂−アジド系レジスト、アクリル系モノマーと光重合開始剤が組み合わさったアクリル系レジスト液などが挙げられる。これらは、市販品として入手できる。
塗布層が形成される基板とは、ガラス等の単体の基板、電極等を有した基板等プラズマディスプレイパネルの背面ガラス基板となるものを言う。
前記塗布層に感光性ドライフィルムをラミネートした後、感光性ドライフィルム上に露光装置を用いてパターン露光を行う。感光性ドライフィルムのラミネートでは、塗布層上に感光性ドライフィルムを密着させ、熱ローラーを通し、その後、感光性ドライフィルムの仮支持体を剥離する。この感光性ドライフィルムの仮支持体の剥離は露光工程の前でも後にでも行うことができる。
露光工程は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的である。用いるマスクは、レジスト層の感光性有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色の可視光レーザー光、Arイオンレーザー、UVイオンレーザーなどで直接描画する方法を用いることもある。
露光工程は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的である。用いるマスクは、レジスト層の感光性有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色の可視光レーザー光、Arイオンレーザー、UVイオンレーザーなどで直接描画する方法を用いることもある。
露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板を搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
露光後、レジスト層の感光部分と非感光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行なうが、この場合、浸漬法やスプレー法、ブラシ法で行なうことができる。用いる現像液は、レジスト材料に合わせ、水、アルカリ水溶液、有機溶剤などから選定する。
次に、レジスト層に形成されたパターンに応じて塗布層を除去する工程に移る。この工程にはサンドブラスト法が一般的に用いられる。サンドブラスト法は、圧縮気体と混合された研磨剤微粒子を高速で噴射して物理的に転写塗布層にエッチングを施す加工方法である。
なお、塗布層のエッチングには、特開2000−16412号公報に記載の高圧スプレー現像を用いることもできる。
塗布層のエッチングの後、塗布層上のレジストパターンを除去する工程を設けてもよいし、そのまま焼成工程へ移ってもよい。このレジストパターンを除去する工程では、剥離液に浸漬するか、スプレー塗布して除去することができる。
なお、塗布層のエッチングには、特開2000−16412号公報に記載の高圧スプレー現像を用いることもできる。
塗布層のエッチングの後、塗布層上のレジストパターンを除去する工程を設けてもよいし、そのまま焼成工程へ移ってもよい。このレジストパターンを除去する工程では、剥離液に浸漬するか、スプレー塗布して除去することができる。
次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や温度は、塗布層や基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素等の雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は400℃以上、好ましくは400〜600℃で行う。焼成時間は10〜60分間である。焼成温度は、低い方がエネルギー経済的に好ましいが、有機成分を除去するためと、ガラスの焼結を促すためには、400℃の温度が必要である。また、以上の露光、現像、焼成の各工程中に、乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃加熱工程を導入しても良い。
このようにして得られた基板上の本発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁部材は、前記図1で説明したような各部材と組み合わされ、プラズマディスプレイパネルとすることができる。
なお、隔壁の高さは、前述のように一般的に100〜200μm、アスペクト比は1〜10である。また前記では感光性ドライフィルムを用いる方法について説明したが、こうした方法によらず、基板上にペーストをスクリーン印刷によって塗布して直接所望のパターンを形成する方法を適用してもよい。また塗布後のペースト層をレジストとサンドブラストの組み合わせで加工する方法によらず、型押しによって塗布層を隔壁の形状に形成させる方法を用いることもできる。いずれの方法においても、隔壁状の形状に加工した後にこの層を焼成して、最終的にガラス質の隔壁部材を得る。
このようにして得られた基板上の本発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁部材は、前記図1で説明したような各部材と組み合わされ、プラズマディスプレイパネルとすることができる。
なお、隔壁の高さは、前述のように一般的に100〜200μm、アスペクト比は1〜10である。また前記では感光性ドライフィルムを用いる方法について説明したが、こうした方法によらず、基板上にペーストをスクリーン印刷によって塗布して直接所望のパターンを形成する方法を適用してもよい。また塗布後のペースト層をレジストとサンドブラストの組み合わせで加工する方法によらず、型押しによって塗布層を隔壁の形状に形成させる方法を用いることもできる。いずれの方法においても、隔壁状の形状に加工した後にこの層を焼成して、最終的にガラス質の隔壁部材を得る。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を表す。
(実施例1〜12および比較例1〜15)
(1)ペーストの調製
ガラス粉末の調製のために、酸化鉛65質量%、酸化ホウ素15質量%、酸化ケイ素20質量%の組成を有する混合物からなる粉末を用意した。上記混合物を白金坩堝に入れて1300℃で2時間溶融し、その後、溶融状態のガラスを薄板状に成形した。次いで、これらをボールミルで粉砕、分級して平均粒子径(D50)が2.5μmのガラス粉末を得た。このガラス粉末はその粒子径が1.0μm以下である粒子の割合は9質量%であった。このガラス粉末を試料名G−1とした。これを更にボールミルで粉砕して粒子径が1.0μm以下である粒子の割合がさらに異なる7種類のガラス粉末G−2〜G−8を得た。
また同様に、酸化亜鉛45質量%、酸化ホウ素30質量%、酸化ケイ素20質量%、酸化カルシウム5質量%の組成を有する混合物からなるガラス原料粉末を用意した。上記混合物を白金坩堝に入れて1300℃で2時間溶融し、その後、溶融状態のガラスを薄板状に成形した。次いで、これらをボールミルで粉砕して粒子径が1.0μm以下である粒子の割合が異なる4種類のガラス粉末H−1〜H−4を得た。
また同様に酸化鉛65質量%、酸化ホウ素15質量%、酸化ケイ素20質量%の組成を有する混合物からなるガラス原料粉末を用意した。上記混合物を同様に溶融し成形した後にボールミルで粉砕、分級して平均粒子径が1.2μmのガラス粉末を得た。このガラス粉末はその粒子径が1.0μm以下である粒子の割合は30質量%であった。このガラス粉末を試料名J−1とした。これを更にボールミルで粉砕して粒子径が1.0μm以下である粒子の割合がさらに異なる3種類のガラス粉末J−2〜J−4を得た。
これらを表1に示す。これらのガラス粉末の軟化温度はいずれも470℃〜550℃の範囲であった。粒子径が1.0μm以下である粒子の割合は、日機装株式会社製のレーザー回折式粒度分布計「マイクロトラックSPA」の粒径−頻度チャートの面積から算出した。
また、フィラー粉末として平均粒子径(D50)が異なる4種類のアルミナF−1〜F−4を用意した。これらを表1に示す。なお、ガラス粉末と同様にフィラー粉末の平均粒子径(D50)も日機装株式会社製のレーザー回折式粒度分布計「マイクロトラックSPA」を用いて測定した。
(1)ペーストの調製
ガラス粉末の調製のために、酸化鉛65質量%、酸化ホウ素15質量%、酸化ケイ素20質量%の組成を有する混合物からなる粉末を用意した。上記混合物を白金坩堝に入れて1300℃で2時間溶融し、その後、溶融状態のガラスを薄板状に成形した。次いで、これらをボールミルで粉砕、分級して平均粒子径(D50)が2.5μmのガラス粉末を得た。このガラス粉末はその粒子径が1.0μm以下である粒子の割合は9質量%であった。このガラス粉末を試料名G−1とした。これを更にボールミルで粉砕して粒子径が1.0μm以下である粒子の割合がさらに異なる7種類のガラス粉末G−2〜G−8を得た。
また同様に、酸化亜鉛45質量%、酸化ホウ素30質量%、酸化ケイ素20質量%、酸化カルシウム5質量%の組成を有する混合物からなるガラス原料粉末を用意した。上記混合物を白金坩堝に入れて1300℃で2時間溶融し、その後、溶融状態のガラスを薄板状に成形した。次いで、これらをボールミルで粉砕して粒子径が1.0μm以下である粒子の割合が異なる4種類のガラス粉末H−1〜H−4を得た。
また同様に酸化鉛65質量%、酸化ホウ素15質量%、酸化ケイ素20質量%の組成を有する混合物からなるガラス原料粉末を用意した。上記混合物を同様に溶融し成形した後にボールミルで粉砕、分級して平均粒子径が1.2μmのガラス粉末を得た。このガラス粉末はその粒子径が1.0μm以下である粒子の割合は30質量%であった。このガラス粉末を試料名J−1とした。これを更にボールミルで粉砕して粒子径が1.0μm以下である粒子の割合がさらに異なる3種類のガラス粉末J−2〜J−4を得た。
これらを表1に示す。これらのガラス粉末の軟化温度はいずれも470℃〜550℃の範囲であった。粒子径が1.0μm以下である粒子の割合は、日機装株式会社製のレーザー回折式粒度分布計「マイクロトラックSPA」の粒径−頻度チャートの面積から算出した。
また、フィラー粉末として平均粒子径(D50)が異なる4種類のアルミナF−1〜F−4を用意した。これらを表1に示す。なお、ガラス粉末と同様にフィラー粉末の平均粒子径(D50)も日機装株式会社製のレーザー回折式粒度分布計「マイクロトラックSPA」を用いて測定した。
これらの無機粉末、バインダー樹脂としてエチルセルロース(GPCによるポリスチレン換算の質量平均分子量が77,000)、溶剤としてターピネオールとブトキシカルビトールアセテートを質量比で1:1で混合した混合溶剤を表2に示す組成で混合した後、3本ロールを用いて混練することにより、ペーストを得た。
(2)ペーストの塗布と焼成
(1)で得たペーストをバーコーターを用いて、ガラス基板上に乾燥後の膜厚が約200μmとなるように塗布した。塗布後、120℃に設定した乾燥機(空気雰囲気)中で30分間保持してペースト中の溶媒を除去した。乾燥後の基板を焼成炉に入れ、炉内の温度を室温から毎分10℃の昇温速度で昇温し、その雰囲気で30分間保持し、その後、自然放冷した。ガラス粉末としてG−1〜G−8、およびJ−1〜J−4を用いたものについては580℃の焼成温度を、H−1〜H−4を用いたものについては600℃の焼成温度を適用した。
(1)で得たペーストをバーコーターを用いて、ガラス基板上に乾燥後の膜厚が約200μmとなるように塗布した。塗布後、120℃に設定した乾燥機(空気雰囲気)中で30分間保持してペースト中の溶媒を除去した。乾燥後の基板を焼成炉に入れ、炉内の温度を室温から毎分10℃の昇温速度で昇温し、その雰囲気で30分間保持し、その後、自然放冷した。ガラス粉末としてG−1〜G−8、およびJ−1〜J−4を用いたものについては580℃の焼成温度を、H−1〜H−4を用いたものについては600℃の焼成温度を適用した。
(3)焼成後のペーストの評価
表2に示す組成で調整した各ペーストに関して、1.焼成収縮率と2.機械的強度を評価した。
表2に示す組成で調整した各ペーストに関して、1.焼成収縮率と2.機械的強度を評価した。
1.焼成収縮率
焼成前後の膜厚を接触式膜厚計で測定し、下記式より焼成収縮率を算出した。
焼成前のペースト層の膜厚(μm)=A
焼成後の膜の厚さ(μm)=B
焼成収縮率(%)=(1−(B/A))× 100
2.機械的強度
上記(2)で得られた焼成膜を島津製作所(株)製微小硬度計M型を用いてビッカース硬さを測定し、機械的強度とした。測定条件は下記とした。
加重時間:15秒
圧子:ビッカースダイアモンドピラミッド圧子(対面角136℃)
ビッカース硬さ(Hv)を下記式により算出した。
Hv=((圧子に負荷する試験荷重)/(試料表面に生じたくぼみの表面積))x1000
以上の結果をまとめて表2に示す。
焼成前後の膜厚を接触式膜厚計で測定し、下記式より焼成収縮率を算出した。
焼成前のペースト層の膜厚(μm)=A
焼成後の膜の厚さ(μm)=B
焼成収縮率(%)=(1−(B/A))× 100
2.機械的強度
上記(2)で得られた焼成膜を島津製作所(株)製微小硬度計M型を用いてビッカース硬さを測定し、機械的強度とした。測定条件は下記とした。
加重時間:15秒
圧子:ビッカースダイアモンドピラミッド圧子(対面角136℃)
ビッカース硬さ(Hv)を下記式により算出した。
Hv=((圧子に負荷する試験荷重)/(試料表面に生じたくぼみの表面積))x1000
以上の結果をまとめて表2に示す。
表2の評価結果より明らかなように、本発明によればガラスの組成を問わずガラス粉末としてG5〜G7、H3〜H4あるいはJ-2〜J-3のものを用い、かつ特定の範囲の量のフィラー粉末と混合してペーストを調製したときに限り、特異的に焼成後の膜収縮が10%以下と小さく、かつ高い機械強度を維持した膜が得られることが分かる。フィラーの添加量が35%以下のペーストではむろん機械的強度の高い膜が得られたものの、焼成収縮率は30%にも達した(比較例1〜2、及び7、15)。一方これにフィラーを添加すると共に焼成収縮率を小さくしてゆくことは可能だったが(比較例3)、このような手段では機械的強度の著しい劣化を伴い、焼成収縮率と機械的強度をともに満足することはできなかった。またその他の比較例でも明らかなように、本発明に基づくガラス粉末の粒度分布およびフィラー粉末の含有率を満たさない場合は、焼成収縮率が高いかあるいは機械的強度が低く、その双方の改善を両立させることは不可能であった。本実施例はガラス粉末の粒子サイズ分布に関してあたかも閾値が存在するかのように、特定の粒子サイズ分布の範囲でのみ焼成膜の高い機械的強度を得ることができたことを示している。
1 前面ガラス基板
2 背面ガラス基板
3 隔壁
4 バス電極
5 アドレス電極
6 蛍光体
7 誘電体層
8 保護膜
2 背面ガラス基板
3 隔壁
4 バス電極
5 アドレス電極
6 蛍光体
7 誘電体層
8 保護膜
Claims (5)
- (A)無機粉末、(B)バインダー樹脂および(C)溶剤を含有する無機材料組成物であって、前記(A)無機粉末は、ガラス粉末と前記ガラス粉末より軟化温度の高いフィラー粉末とを含み、前記ガラス粉末は、粒子径1.0μm以下である粒子の割合が40〜70質量%であり、かつ前記ガラス粉末を35〜65質量%およびフィラー粉末を35〜65質量%含有することを特徴とする無機材料組成物。
- 前記フィラー粉末の平均粒子径(D50)が3.2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の無機材料組成物。
- 前記(B)バインダー樹脂の含有割合が、前記(A)無機粉末100質量部に対して、1〜30質量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の無機材料組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の無機材料組成物を400℃以上の温度で焼成して得られる無機膜。
- 請求項4に記載の無機膜を含むプラズマディスプレイパネル用隔壁部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005363787A JP2006327922A (ja) | 2005-04-28 | 2005-12-16 | 無機材料組成物、無機膜およびプラズマディスプレイパネル用隔壁部材 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005132763 | 2005-04-28 | ||
JP2005363787A JP2006327922A (ja) | 2005-04-28 | 2005-12-16 | 無機材料組成物、無機膜およびプラズマディスプレイパネル用隔壁部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006327922A true JP2006327922A (ja) | 2006-12-07 |
Family
ID=37550004
Family Applications (1)
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JP2005363787A Withdrawn JP2006327922A (ja) | 2005-04-28 | 2005-12-16 | 無機材料組成物、無機膜およびプラズマディスプレイパネル用隔壁部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006327922A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011502947A (ja) * | 2007-11-20 | 2011-01-27 | コーニング インコーポレイテッド | ガラスシートに焼結フリットパターンを生成するためのフリット含有ペースト |
-
2005
- 2005-12-16 JP JP2005363787A patent/JP2006327922A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011502947A (ja) * | 2007-11-20 | 2011-01-27 | コーニング インコーポレイテッド | ガラスシートに焼結フリットパターンを生成するためのフリット含有ペースト |
JP2014040366A (ja) * | 2007-11-20 | 2014-03-06 | Corning Inc | ガラスシートに焼結フリットパターンを生成するためのフリット含有ペースト |
JP2014170941A (ja) * | 2007-11-20 | 2014-09-18 | Corning Inc | ガラスシートに焼結フリットパターンを生成するためのフリット含有ペーストを用いて気密シールを形成する方法 |
KR101508027B1 (ko) | 2007-11-20 | 2015-04-08 | 코닝 인코포레이티드 | 유리 시트상에 소결 프릿 패턴을 생성하기 위한 프릿-포함 페이스트 |
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Date | Code | Title | Description |
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RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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