JP3804020B2 - 無機材料膜、無機材料膜構造物、およびその製造方法並びに転写フィルム - Google Patents

無機材料膜、無機材料膜構造物、およびその製造方法並びに転写フィルム Download PDF

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Description

本発明は、無機材料膜、無機材料膜構造物、およびその製造方法並びに転写フィルムに関するものである。詳しくは、プラズマディスプレイパネル(PDP)やプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイパネルなどの隔壁や誘電体の構造に関するものであり、それを形成する方法並びにその形成に用いられる転写フィルムに関するものである。これら無機材料膜は、さらに、その他の液晶、FED、有機や無機のELなどの各種ディスプレイ回路材料などの回路パターンなどに組み込まれた構造物としても利用することができる。
近年、ディスプレイや回路材料の分野で、無機材料を高精度にパターン加工する技術が強く求められている。特に、ディスプレイの分野において、小型・高精細化が進んでおり、それに伴って、パターン加工技術も技術向上が望まれている。
一方、誘電率などの電気的特性を制御するため、材料を選定することで、誘電率を低下させる試みがなされている。しかしながら、さらに低下させることが望まれており、それを実現する方法の開発が望まれていた。
従来、無機材料のパターン加工を行う場合、無機粒子と有機バインダーからなるペーストを印刷した後、焼成する方法が多く用いられている。しかしながらスクリーン印刷は精度の高いパターンが形成できないという問題があった。また、高アスペクト比のパターンを形成する場合、多層印刷を行う必要があり、工程が多くなるという問題があった。
このような欠点を解消するため、特許文献1、特許文献2には、サンドブラスト法を用いた隔壁形成方法が開示されている。
この方法は、高アスペクト比のパターンが形成できることや精度が高いなどの特徴を有している。しかしながら、サンドブラスト工程において、誘電体形成層と隔壁形成層のサンドブラスト性の相違させ、サンドブラスト加工に際して、レジストパターンの開口部の隔壁形成層のみを除去し、その下層である誘電体形成層を残存させることが望ましいが、サンドブラスト性の差異をつけるのが難しかった。
又、誘電体層を感光性のドライフィルムとサンドブラスト法を用いて、パターン形成するとき、隔壁形成層と感光性レジストとの密着が弱く、現像中やサンドブラスト中にはがれるという問題があった。
また、誘電体層の誘電率を下げる場合、ガラス組成から軟化点が高くなってしまう問題があった。
更に、焼成工程において、収縮の場所的ムラがあったり、収縮が大きいためか、ひび割れが起こりやすいことや、サンドブラスト後の焼成時において、隔壁がダレやすく変形してしまうという問題があった。また、焼成してできた隔壁の誘電率が高く、発熱や電力消費などの問題があった。
サンドブラスト性を損なうことなく、感光性のサンドブラスト用レジストとの密着性がよく、焼成時にダレや変形、ひび割れの少ない、低誘電率の隔壁形成層に用いられる材料が望まれていた。
特許文献3には、無機組成物の塗布時における欠陥やサンドブラスト時におけるパターンの欠け、さらに、焼成時のひび割れなどの問題に対して、2種類の平均粒子サイズを有する無機粒子を混合したリブペーストを用いて、スクリーン印刷にてパターンを形成する方法が述べられている。
しかしながら、焼成後の高解像度の微細なパターンを形成することはできず、又、印刷法を用いているため、均一性などの点で十分満足のいくものではなかった。
特許文献4には、粒度分布において、2つのピークを有するガラスを用いた誘電体ペーストが述べられている。しかしながら、本発明で用いるフィラーを含有しておらず、隔壁形成に供することはできなかった。また、転写フィルムを用いる方法については記載されていなかった。
又、特許文献5〜13などには、型を使用した隔壁形成法が述べられている。しかしながら、これらの方法を用いても、厚膜でひびわれのなく、高さが均一な膜を形成することは難しかった。
また、特許文献14には、蛍光体ペーストを画素内面に押し込む際に画素面内の空気の抜けをよくするために多孔質の隔壁を使用するPDPの製造方法が記載されている。しかしながら、隔壁の加工性や低誘電率にするために、どのような材質にしたらよいのか、また、多孔性を形成する空隙サイズや空隙率などの多孔性の度合いについての記載がない。
更に、特許文献15には、隔壁の表面に隔壁よりも多孔質な層を形成することにより、パネル発光時に放電空間内に不純ガスが混入しにくくして、放電空間内の不活性ガスの純度を保持、発光輝度を向上させることが記載されている。しかし、低誘電率にするための指針については何も開示がなく、隔壁表面の層の空隙サイズや空隙率などの多孔性の度合いについての記載がない。焼成時のひび割れについての記載はいっさいなかった。
特開平10−144206号公報 特開平10−172424号公報 特開平11−1343号公報 特開2002−15664号公報 特開2003−123637号公報 特開2000−185938号公報 特開2001−167698号公報 特開2002−75175号公報 特開2002−93313号公報 特開2002−134005号公報 特開2000−173456号公報 特開2001−58352号公報 特開2001−1436128号公報 特開平5−47303号公報 特開2002−324491号公報
本発明は、低誘電率であって、発熱が抑制された省電力なPDP等が提供可能な無機材料膜、無機材料膜構造物、およびその製造方法並びにその製造に用いられる転写フィルムを提供することにある。
また、本発明は、焼成後の隔壁や誘電体の各種パターンの線幅や膜厚の変化がほとんどない、高精度で微細な構造を有した無機材料膜、無機材料膜構造物、およびその製造方法並びにその製造に用いられる転写フィルムを提供することにある。
また、本発明は、隔壁や誘電体の各種パターンを、スクリーン印刷などの塗布する方式に比べて、簡単に、基板上に形成させることができる転写フィルム、及びそれを用いた無機材料膜構造物の製造方法を提供することにある。
更に、本発明は、隔壁や誘電体の各種パターン形成用の非感光性組成物が基板に良好に密着し、また感光性レジストとの密着も良好な組成物を有する転写フィルム、及びそれを用いた無機材料膜構造物の製造方法を提供することである。
本発明は以下に記載のものであり、これにより上記課題を解決することができる。
(1)少なくとも無機粉末を含む非感光性組成物を焼成して得られる多孔性のPDP隔壁用の無機材料膜であって、該無機材料膜は、空隙面積率が10〜65%で、空隙サイズが0.3〜15μmであり、前記無機粉末は、軟化点が焼成温度以下の平均粒子径0.2〜2.5μmの無機粉末Aと、軟化点が焼成温度を超える平均粒子径2.5μmより大きく12μm以下の無機粉末Bとを含むことを特徴とするPDP隔壁用の無機材料膜。
(2)上記(1)に記載の無機材料膜を基板上に設けてなることを特徴とするPDP隔壁用の無機材料膜構造物。
(3)上記(1)に記載の非感光性組成物を基板上に設け、該非感光性組成物上に感光性組成物を設け、露光、現像処理した後、非感光性組成物にパターンを形成し、次いで焼成して上記(2)に記載のPDP隔壁用の無機材料膜構造物を得ることを特徴とするPDP隔壁用の無機材料膜構造物の製造方法。
(4)上記(3)に記載の基板上に設けられる非感光性組成物は、可撓性仮支持体上に形成してなる塗布層を有する転写フィルムから該塗布層を基板上に転写したものであることを特徴とする上記(3)に記載のPDP隔壁用の無機材料膜構造物の製造方法。
(5)可撓性仮支持体上に上記(3)に記載の非感光性組成物からなる塗布層を有することを特徴とする転写フィルム。
本発明は、平均粒子径及び軟化点が互いに異なる2種以上の無機粉末を含む非感光性組成物を用いることにより、低誘電率の多孔性PDP隔壁用の無機材料膜及びそれを有するPDP隔壁用の無機材料膜構造物を得ることができる。以下、「PDP隔壁用の無機材料膜」を「無機材料膜」、「PDP隔壁用の無機材料膜構造物」を「無機材料膜構造物」とも略記する。
また、本発明は、上記非感光性組成物の塗布層を可撓性仮支持体上に有した転写フィルムとしたことにより、転写塗布層と基板、及び感光性ドライフィルムと転写塗布層との密着性が良好で、現像により、未焼成のパターンが精度よく、かつ容易に作製でき、焼成後も線幅や膜厚の変化の少ない、高精度で省電力なパターンを有したPDPなどの精密電子装置を提供することができる。
本発明の無機材料膜及びそれを基板上に設けた無機材料膜構造物の無機材料膜は、多孔性であることを特徴とし、空隙面積率と空隙サイズを特定範囲に規定したものである。
該無機材料膜は上記構成としたことにより、非感光性組成物を隔壁や誘電体の各種パターン形成後に焼成して得られる各種パターンが、その中に適正な空隙が存在する多孔性となるので耐収縮率が改善されると共に誘電率が低減するという効果がある。誘電率の低減は、PDP等の発熱を抑えかつ電力消費を低減する効果がある。
また、本発明は転写フィルム形態としたことにより、非感光性組成物の塗布層を支持体に転写して得られた転写塗布層の表面性を平滑にすることができるので、精度のよいプロファイルの優れたパターンを所望の支持体上に形成することができる。
本発明において、空隙サイズ及び空隙面積は、無機材料膜の断面における孔の断面から求められる。
空隙サイズは、該断面の最長の直径(2点間の距離)を意味し、本発明では0.1〜30μmであり、0.3〜15μmが更に好ましい。
空隙面積は、孔の断面の総和を意味し、個々の断面の面積は、SEMの断面写真の孔の部分をトレーシングペーパーに写し取り、それをきりとって質量をはかることで求めることができる。
孔の断面形状は、特に制限はなく、不定形であり、円形でもかまわない。
また、本発明では、無機材料膜の断面積に対する空隙面積の割合を空隙面積率と定義する。ここで、空隙面積率は、無機材料膜の断面をSEM写真にとり、100μm×100μmの大きさ3個の断面からの測定値の平均を求めたものを言う。本発明では無機材料膜の空隙面積率は、5〜75%であり、10〜65%が更に好ましい。
本発明において、無機材料膜の多孔性を上記範囲に制御する手段としては、以下の手段が挙げられる
(1)無機粉末として、軟化点が焼成温度以下の平均粒子径0.2〜2.5μmの無機粉末Aと、軟化点が焼成温度を超える平均粒子径2.5μmより大きく12μm以下の無機粉末Bを含むものを用いること。
(2)無機粉末として、軟化点が焼成温度以下の平均粒子径0.2μm以上0.9μm未満の無機粉末Aと、軟化点が焼成温度を超える平均粒子径2〜12μmの無機粉末Bを含むものを用いること。
上記(1)及び(2)の手段において無機粉末の軟化点が無機粉末の軟化点より50℃以上高いことが好ましく、更に好ましくは100℃以上高くなるように選定する。この高い方の軟化点は600〜1500℃が好ましく、700〜1400℃がさらに好ましい。また、無機粉末と無機粉末は、元素組成および/または結晶構造が異なる
上記()の手段において、無機粉末Aと無機粉末Bの平均粒子径を上記の通り特定することが重要である。即ち、無機粉末Aの平均粒子径は0.2〜2.5μmであり、好ましくは0.3〜2.0μmであり、無機粉末Bの平均粒子径は2.5より大きく12μm以下ある。また、無機粉末Aと無機粉末Bは、元素組成および/または結晶構造は同じでもよい
上記(2)の手段において、無機粉末Aと無機粉末Bの平均粒子径を上記の通り特定することが重要である。即ち、無機粉末Aの平均粒子径は0.2〜2.5μmであり、好ましくは0.3〜2.0μmであり、無機粉末Bの平均粒子径は2〜12μm、好ましくは2.5〜9μmである。また、無機粉末Aと無機粉末Bは、元素組成および/または結晶構造は同じでもよい。
また、本発明に用いる無機粉末は、その粒子サイズ分布曲線が少なくとも二つの極大ピークを有することが好ましい。この無機粉末としては、例えば無機粉末AまたはB並びにそれらの混合物が挙げられる。この粒子サイズ分布曲線は、レーザー回折散乱法により、横軸に粒子径を縦軸に頻度(体積)をとってプロットしたものである。尚、本発明において平均粒子径とは該頻度の累積体積の総和を100%とした時に累積体積が50%となる粒子径(D50)を言う(ただし、粒子サイズ分布曲線において、必ずしも極大ピークを有しなくとも良いが、D50近辺に極大ピークを有していることが好ましい)。
無機粉末が少なくとも二つの極大ピークを有するようにするには、その極大ピークを与える粉末成分の配合割合を、各々の粉末全体の平均粒子径が本発明範囲となるように調整すればよい。

従って、この場合、極大ピークを与える粉末成分の粒子サイズ分布曲線は、種々選定されうる。 尚、本発明において粒子サイズ分布曲線の累積体積の総和を100%とした時の累積体積が10%となる粒子径(D10)は、機粉末Aでは0.1〜2.0μmが好ましく、機粉末Bでは1.0〜8.0μmが好ましい。
また、本発明において粒子サイズ分布曲線の累積体積の総和を100%とした時の累積体積が90%となる粒子径(D90)は、機粉末Aでは2.5〜8.0μmが好ましく、機粉末Bでは5〜15μmが好ましい。
上記のように無機粉末を特定すると非感光性組成物の塗布層において無機粉末Bの間隙に無機粉末Aが充填される構造となり、かつ焼成したときにサイズと軟化点の相違の寄与により上記のような空隙は生成されるものと考えられる。
尚、上記サイズや軟化点を特定することと共に空隙面積率を調整するために寄与する要素としては、非感光性組成物の組成、例えば、バインダー、溶剤、可塑剤などを適宜選定すること、焼成条件を選定すること等が挙げられる。
また、本発明の非感光性組成物は、上記特定の粉末成分以外の無機成分を含有してもよい。該無機成分として、例えば、サイズ、軟化点の異なる無機粉末等を用いることができる。例えば、平均粒子径50nm以下のコロイダルシリカ等を用いることもできる。
本発明の無機材料膜の高さは、50〜800μm、隔壁として使用する場合、アスペクト比は1〜10であることが好ましい。
また、本発明の無機材料膜の誘電率は、3.5〜12が好ましい。
本発明の非感光性組成物は、基板上に直接塗布することもできるし、フィルムに塗布し、その後、基板上に転写して膜を形成することができる。
本発明の転写フィルムは、非感光性組成物の塗布層と可撓性仮支持体との間に離型性層を有することが好ましい。
離型性層は、非感光性組成物の塗布層をガラスなどの基板上に容易にかつ正確に転写できるように設けられる。
離型性層としては、離型剤を基板上に設けたものが挙げられ、離型剤としては、シリコーン系化合物(例えば、高粘度シリコーン化合物、低粘度シリコーン化合物、変性シリコーン化合物)、フッ素系化合物、植物油脂系化合物(例えば、植物性の燐脂体(レシチン)を主成分としたもの)、ワックス等が挙げられる。
本発明の転写フィルムは、離型性層と塗布層が共に基板上に転写されてもよいし、離型性層は可撓性仮支持体上に留まり塗布層のみが転写されるようにしてもよい。従って、本発明の転写フィルムを用いて、基板上に非感光性組成物の塗布層を転写して得られる転写塗布層は、離型性層を有していてもよい。
また、本発明の転写フィルムを用いると転写塗布層の表面を平滑にすることができ、その中心線平均表面粗さ(Ra)は、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることが更に好ましい。
本発明における無機材料膜構造物の製造方法の一つは、上記本発明の転写フィルムから基板上に該転写塗布層を形成し、その転写塗布層の上に感光性組成物を設け、露光、現像処理した後、非感光性組成物にパターンを形成し、次いで焼成することが挙げられる。
以下、本発明の構成要素ごとに詳述する。
A.可撓性仮支持体
本発明の転写フィルムに用いる可撓性仮支持体は、非感光性組成物を塗布により担持させるものである。この塗設された非感光性組成物からなる塗布層は、経時的に保存され、使用時にガラス基板等の基板に転写されると共に可撓性仮支持体は剥離される。
このような可撓性仮支持体としては、上記機能が発揮されるのであれば、その素材、形態等は特に制限されるものではない。可撓性仮支持体の素材としては、通常、樹脂フィルムが使用され、例えば、ポリエステル系(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリオレフィン系(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド系(例えば、ナイロン、アラミド等)、ポリイミド系、ポリスルホン系、セルロース系等が挙げられ、使用目的に応じてその種類、物性(例えば、ヤング率、熱膨張率、表面粗さ等)、厚み等が適宜選定される。
また、可撓性仮支持体には、樹脂成分以外に他の素材、例えば、無機粉末、離型剤等を含有させることができる。また、可撓性仮支持体の非感光性組成物が設けられる側の面を物理的及び/又は化学的に処理してもよい。例えば、トップコート処理(前記離型性層を設けること、例えば、ワックスコート、シリコーンコート等の樹脂コート等)、金属蒸着処理、スパッタ処理、メッキ処理、除塵埃処理、アルカリ処理、熱処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等が挙げられる。
B.非感光性組成物
本発明の非感光性組成物、または可撓性仮支持体に塗布され塗布層となる非感光性組成物は、少なくとも無機粉末を含有し、更に樹脂及び溶剤を成分とする。非感光性組成物は、上記成分以外に公知の各種添加剤、例えば、可塑剤、保存剤、界面活性剤等を含むことができる。
ただし、非感光性組成物は、無機粉末成分の配合率を高めた組成であり、その利点を有効に発揮させるためには有機成分はできるだけ少ない方が望ましい。
B−a.無機粉末
無機粉末としては、特に制限されるべきものではないが、焼成された無機材料膜に主として不透明性を与える機能を有した無機物質、例えば、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、コーディライト等の金属酸化物、金属等、焼成された無機材料膜に主として透明性を与える機能を有した無機物質、例えば、ガラス、好ましくは低融点ガラス等を挙げることができる。
低融点ガラス粉末とは、軟化点が390〜990℃であるものを意味し、線熱膨張係数が(45〜100)×10-7-1、さらには、(50〜90)×10-7-1のものが好ましい。
低融点ガラス粉末の組成としては、酸化ケイ素は3〜80質量%の範囲で配合することが好ましく、より好ましくは10〜70質量%である。3質量%未満の場合はガラス層の緻密性、強度や安定性が低下し、また熱膨張係数が所望の値から外れ、ガラス基板とのミスマッチが起こりやすい。また70質量%以下にすることによって、熱軟化点が低くなり、ガラス基板への焼き付けが可能になるなどの利点がある。
低融点ガラス粉末の組成として、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうちのうち少なくとも1種類を5〜60質量%含むもの、もしくは酸化ホウ素、酸化ビスマスもしくは酸化鉛を合計で8〜60質量%含有し、かつ、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうち少なくとも1種類を0〜15質量%含有するガラス粒子を用いたガラスが融点が低く好ましい。
低融点ガラス粉末の組成の好ましい例としては、(1) 酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−B2 3 −SiO2 系)の混合物、(2) 酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(ZnO−B2 3 −SiO2 系)の混合物、(3) 酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム(PbO−B2 3 −SiO2 −Al2 3 系)の混合物、(4) 酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−ZnO−B2 3 −SiO2 系)の混合物などを例示することができる。
更に、(5)酸化スズ、酸化亜鉛、酸化リン系(SnO−ZnO−P25系)の混合物、(6)酸化銅、酸化リン系(CuO−P25系)の混合物、(7)酸化ビスマス、酸化ホウ素系(Bi23−B23系)の混合物を例示することができる。
特に、上記(1)〜(7)において鉛成分を除去した混合物、所謂、非鉛ガラスは、環境保全上好ましいだけでなく、無機材料膜の誘電率を低下させるのに有効であり、PDP用部材に応用した場合、省電力性に優れ、また、アルミナ等の金属酸化物粉末との混練性もよくなり、無機質膜均一性が改良できる。
また、非鉛ガラスとしては、上記成分の他、BaO、CaO、MgO、Na2O、K2O、Li2O、Al23、TiO2、ZrO2、Nb25、Bi23、SrO、V25、CuO等から選択される1種以上を含むことができ、更に所望の元素を配合することができる。
非鉛ガラスとしては、少なくともZnO、B23、SnO、SiO2、P25、BaO及びBi23のうちの少なくとも一種以上を含むものが望ましい。この組成としては、モル比でZnO/B23/SnO/SiO2/P25/BaO/Bi23/その他=20〜70/0〜80/0〜55/0〜45/0〜60/0〜50/0〜15/0〜15が好ましく、25〜65/0〜75/0〜50/0〜40/0〜55/0〜45/0〜13/0〜13が更に好ましい。
非感光性組成物に特定の無機粉末成分以外の種々の金属酸化物を添加することによって、パターンに着色することができる。例えば、非感光性組成物に黒色の金属酸化物を1〜10質量%含ませることによって、黒色のパターンを形成することができる。この目的に用いる黒色あるいはその他の着色した酸化物として、Cr、Fe、Co、Mn、Cuの酸化物の内、少なくとも1種、好ましくは3種以上を含ませることによって、黒色化が可能になる。特に、FeとMnの酸化物をそれぞれ0.5質量%以上含有させることによって、より黒色のパターンを形成できる。
さらに、黒色以外に、赤、青、緑等に発色する無機顔料を添加した非感光性組成物を用いることによって、各色の隔壁やカラーフィルター等、着色したパターンの無機材料膜を形成できる。
B−b.樹脂
非感光性組成物に含まれる樹脂としては、特に制限されるべきものではないが、セルロース化合物やアクリル化合物を用いることができる。
(セルロース化合物)
非感光性組成物に用いるセルロース化合物は、セルロース及びその誘導体を含む。セルロース化合物は、エチルセルロース、メチルセルロース、エチルプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレートなどのセルロース系樹脂である。
セルロース誘導体の置換基の置換率は、セルロース水酸基の0〜90%,好ましくは10〜80%である。たとえばエチルセルロースでは、10〜70%の置換率のものが適している。これらのバインダーは、単一種のポリマーを用いてもよく、また互いに混和するポリマー同士であれば上記した他のセルロース誘導体又は非セルロース系ポリマーと混合して使用してもよい。混合比率は、混和できて、かつバインダーとしての機能が維持されるかぎり任意である。
バインダーとして用いるセルロース誘導体は、上記のほかに水溶性基で置換されたセルロース誘導体を副次的成分として加えてもよく、この樹脂は、水溶性基のほかに低級アルキル基又は低級アシル基を置換基として含んでいてもよい。置換基の水溶性基は、ヒドロキシアルキル基(炭素数1〜3)及びカルボキシメチル基である。
これらのヒドロキシアルキルセルロースのヒドロキシアルキル基の置換率は、グルコース1単位当たり1.3〜7.0当量であり、好ましくは1.5〜5.0当量である。置換率は、グルコース1単位当たり3.0を超える場合は、ヒドロキシアルキル置換したそのヒドロキシアルキル基にさらに置換が行われることを意味する。置換率が1.3当量以下では溶解性、混和性が不十分となり、7.0当量を超えると置換度を上げにくく、製造コストが高くなる。とくに好ましい水溶性基置換セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルフタール酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、硫酸セルロースである。
メチルセルロースは、アルカリセルロースと塩化メチル又はジメチル硫酸から常法により合成される。さらにエチレンオキサイドと常法によって反応させることによってヒドロキシエチルメチルセルロースが得られる。エチルセルロースは、アルカリセルロースを加圧下で塩化エチルと反応させて得られる。そのほかのアルキルセルロースも同様の方法で合成できる。ヒドロキシエチルセルソースは、セルロースとエチレンオキサイドから常法により合成される。カルボキシメチルセルロースは、苛性アルカリの存在下でセルロースとモノクロル酢酸を常法により反応させて得られる。また、硫酸セルロースはセルロースとジメチルホルムアミドとを定法によって反応させて得られる。そのほかのセルロース誘導体も同様の公知の方法で合成できる。また、市販もされている。
(アクリル化合物)
アクリル化合物としては、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(R1が水素原子の場合のアクリレート化合物及びR1がメチル基の場合のメタクリレート化合物の総称)の単独重合体(1a)、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の2種以上の共重合体(1b)、および下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物と他の共重合性単量体との共重合体(1c)が含まれる。
2C=C(R1)COOR2 (1)
〔式中、R1 は水素原子またはメチル基を示し、R2 は1価の有機機を示す。有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ポリアルキレングリコールのハーフエステル残基、ポリアルキレングリコールモノエーテルのエステル残基等が挙げられる。〕
単独重合体(1a)及び共重合体(1b)を生成するために用いる上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、上記一般式(1)中、R2 で示される基が、アルキル基またはオキシアルキレン基を含有する基であることが好ましく、特に好ましい(メタ)アクリレート化合物として、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレートおよび2−エトキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
共重合体(1c)を生成するために用いる(メタ)アクリレート化合物との共重合に供される他の共重合性単量体としては、上記(メタ)アクリレート化合物と共重合可能な化合物であれば特に制限はなく、例えば(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、ビニルフタル酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物を挙げることができる。共重合体(1c)において、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物由来の共重合成分は、通常40質量%以上、好ましくは50質量%以上である。
単独重合体(1a)、共重合体(1b)または(1C)であるアクリル化合物の分子量としては、GPCによるポリスチレン換算の質量平均分子量として1,000〜300,000であることが好ましく、さらに好ましくは2,000〜200,000である。
非感光性組成物における樹脂の含有割合としては、低融点ガラス粉末成分100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、さらに好ましくは15〜18質量部である。樹脂の割合が過小である場合には、低融点ガラス粉末成分を確実に結着保持することができず、一方、この割合が過大である場合には、焼成工程に長い時間を要したり、形成される焼結体(無機材料膜)が十分な強度や膜厚を有するものとならなかったりする。
B−c.溶剤及び可塑剤
本発明の非感光性組成物を構成する溶剤としては、無機粉末との親和性、樹脂の溶解性が良好で、非感光性組成物に適度な粘性を付与することができると共に、乾燥されることにより容易に蒸発除去できるものであることが好ましい。また、特に好ましい溶剤として、標準沸点(1気圧における沸点)が60〜300℃であるケトン類、アルコール類およびエステル類等を挙げることができる。
かかる溶剤の具体例としては、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ヘプタノン、オクタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドンなどのケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール類、n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、7−ブロモ−ヘプタノール、オクタノール、ジアセトンアルコール、グリセリン、ベンジルアルコール、テレビン油、テーピネオールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエーテル系エステル類などを例示することができ、これらのうち、ターピネオール、N−メチルピロリドン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネートなどが好ましい。これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
又、無機材料膜の柔軟性を高めたり、自己接着性を付与するために可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、ブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレートなど単独あるいは混合して使用できる。
本発明の非感光性組成物(塗布層形成前)における溶剤の含有割合としては、非感光性組成物の粘度を好適な範囲に維持する観点から、無機粉末100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、さらに好ましくは8.0〜40質量部である。又、可塑剤の割合は、無機粉末100質量部に対して、0〜20質量部であるのが好ましい。
B−d.非感光性組成物の調製
本発明の非感光性組成物には、上記の必須成分のほかに、分散剤、レベリング剤、粘着性付与剤、表面張力調整剤、安定剤、消泡剤などの各種添加剤が任意成分として含有されていてもよい。好ましい非感光性組成物(塗布層形成前)の一例を示せば、無機粉末100質量部に対して、樹脂1〜20質量部、溶剤10〜50質量部、可塑剤2〜10質量部を含有する非感光性組成物を挙げることができる。本発明の非感光性組成物は、上記成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、サンドミルなどの混練・分散機を用いて混練することにより調製することができる。上記のようにして調製される本発明の非感光性組成物は、塗布層の形成に適した流動性を有する非感光性組成物である。
C.転写フィルムの作製
上記非感光性組成物は、可撓性仮支持体上に塗布層を形成するために使用される。
塗布に供される非感光性組成物の粘度としては、1〜300Pa・secであることが好ましい。塗布機としては、ロールコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、ワイヤーコーターなどが挙げられ、これにより可撓性仮支持体上に非感光性組成物の塗布層を塗布することができ、塗布層をロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。可撓性仮支持体の厚さとしては、例えば10〜100μmが挙げられる。転写フィルムを構成する塗布層は、本発明の非感光性組成物を可撓性仮支持体上に塗布し、塗膜を乾燥して溶剤の一部又は全部を除去することにより形成することができる。本発明の非感光性組成物を可撓性仮支持体上に塗布する方法としては、膜厚の均一性に優れた膜厚の大きい(例えば20μm以上)塗膜を効率よく形成することができるものであることが好ましい。
なお、本発明の非感光性組成物が塗布される可撓性仮支持体の表面には離型性層を有していることが好ましい。これにより、基板上への塗布層の転写工程において、可撓性仮支持体の剥離操作を容易に行うことができる。また、転写フィルムには、塗布層の表面に保護フィルム層が設けられてもよい。このような保護フィルム層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどを挙げることができる。
本発明の非感光性組成物は、上記のように、転写フィルムを製造する際に使用してもよいし、スクリーン印刷法などによって当該非感光性組成物をガラス基板等の表面に直接塗布し、塗膜を乾燥することにより塗布層を形成する方法にも使用することができる。ここに、スクリーン印刷法による基板への塗布工程に供される非感光性組成物の粘度としては、10〜2000Pa・secであることが好ましい。
D.無機材料膜構造物の製造方法
本発明の無機材料膜構造物の製造方法は、転写フィルムからガラス板のような基板上に転写塗布層を形成し、該転写塗布層の表面に感光性ドライフィルムをラミネートし、該感光性ドライフィルム上にパターン露光、現像を順次行って形成したレジストパターンを用い、サンドブラスト法により該基板上にパターンを形成し、次いで焼成して形成する方法が好ましい。
この転写塗布層の表面にラミネートされる感光性ドライフィルムは、PETフィルムのような仮支持体上に感光性樹脂組成物層(レジスト層ともいう)が設けられてなるものであり、ポジ型のレジスト材料であってもネガ型のレジスト材料であってもよいが、ネガ型の方が好ましい。ポジ型では、とくにアルカリ可溶性フェノール樹脂とナフトキノンジアジドの混合物からなるポジ型レジストが好ましい。その中でもクレゾールノボラック樹脂とo−ナフトキノンジアジドスルホン酸誘導体からなるものが好ましい。ネガ型としては、アリシクロ環を有する鎖状ポリマーなどの環化ゴムと芳香族ビスアジド化合物などのビスアジド化合物が組み合わされた環化ゴムービスアジド系レジスト、メタクレゾールノボラック樹脂に1−アジドピレンが組み合わせられたノボラック樹脂−アジド系レジスト、アクリル系モノマーと光重合開始剤が組み合わさったアクリル系レジスト液などが挙げられる。これらは、市販品として入手できる。
転写塗布層が形成される基板とは、ガラス等の単体の基板、電極乃至回路等を有した基板等を言い、基板面とは基板の表でも裏でもよい。
転写塗布層に感光性ドライフィルムをラミネートした後、感光性ドライフィルム上に露光装置を用いてパターン露光を行う。上記転写塗布層の形成、及び該ラミネートは、熱ローラーを用いることができる。転写塗布層の形成は、本発明の転写フィルムの塗布層と基板を密着させて熱ローラーを通し、その後、仮支持体を剥離し、転写塗布層を得る。感光性ドライフィルムのラミネートは、その転写塗布層上に感光性ドライフィルムを密着させ、上記と同様に熱ローラーを通し、その後、感光性ドライフィルムの仮支持体を剥離することが挙げられる。この感光性ドライフィルムの仮支持体の剥離は露光工程の前でも後にでも行うことができる。
露光工程は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的である。用いるマスクは、レジスト層の感光性有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色の可視光レーザー光、Arイオンレーザー、UVイオンレーザーなどで直接描画する方法を用いても良い。
露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板を搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
この際使用される活性光源は、たとえば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中で紫外線が好ましく、その光源としてはたとえば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みによって異なるが、1〜100mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて0.1〜30分間露光を行なう。
露光後、レジスト層の感光部分と非感光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行なうが、この場合、浸漬法やスプレー法、ブラシ法で行なうことができる。用いる現像液は、水現像が可能であるが、レジスト層中の有機成分が溶解可能である有機溶媒も使用できる。レジスト層中にカルボキシル基等の酸性基を持つ化合物が存在する場合、水よりもアルカリ水溶液で現像する方が好ましい場合もある。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム水溶液などのような金属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。また、樹脂によっては水で現像することも可能である。
有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがあり好ましくない。また、現像時の現像温度は、20〜40℃で行うことが工程管理上好ましい。
次に、レジスト層に形成されたパターンに応じて転写塗布層を除去する工程に移る。この工程はサンドブラスト法が好ましい。サンドブラスト法は、圧縮気体と混合された研磨剤微粒子を高速で噴射して物理的に転写塗布層にエッチングを施す加工方法である。
尚、転写塗布層のエッチングには、特開2000−16412号公報に記載の高圧スプレー現像を用いることもできる。
転写塗布層のエッチングの後、転写塗布層上のレジストパターンを除去する工程を設けてもよいし、そのまま焼成工程へ移ってもよい。このレジストパターンを除去する工程では、剥離液に浸漬するか、スプレー塗布して除去することができる。
次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や、温度は転写塗布層や基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素等の雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は400〜600℃で行う。焼成時間は10〜60分間である。焼成温度は、低い方がエネルギー経済的に好ましいが、有機成分を除去するためと、ガラスの焼結を促すためには、400℃の温度が必要である。また、600℃以上に高くする必要はない。また、以上の露光、現像、焼成の各工程中に、乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃加熱工程を導入しても良い。
本発明の無機材料膜構造物の製造方法としては、感光性ドライフィルムを用いる方法の他に、本発明の転写フィルムを用いて形成した転写塗布層を、感光性ドライフィルムを用いずに型押し法によりパターンを基板上に形成する方法を用いて製造する方法を用いることができる。この型押し法は、型を転写塗布層に当てて直接的に転写塗布層にパターンを形成する方法が挙げられる。用いられる型としては、凸状パターンに対応する部分が凹形状であり、凹状パターンに対応する部分が凸形状の型(回転型、平型等)が挙げられ、この型を転写塗布層に所定深さまで押し付けて転写塗布層を型に応じて塑性変形させて、パターンを形成する方法である。
他の型押し法としては、パターンの凸部に対応した穴を有した雌型を転写塗布層に当てて該凸部のみを取り込み、次いで雌型に取り込まれた転写塗布層を基板上に該穴に対応した雄型や液圧や気圧にて押し出すことによりパターンを形成する方法が挙げられる。
これら型の表面及び/又は転写塗布層表面には前記離型性層に用いたような離型剤が施されていることが好ましい。また、本発明は、例えば、特開平10−326562号公報、特開2002−93313号公報に記載の方法が採用できる。
この場合の転写塗布層は、上記型成形が可能なようにその転写塗布層の組成(特に溶剤、可塑剤等の種類、量)が選定され、その可塑性が適正に調整される。
以下に、本発明について実施例を用いて、具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定はされない。
実施例1−1〜1−11、比較例1−1〜1−4
1)塗布用非感光性組成物の調製
塗布用非感光性組成物1の調製
平均粒子径が1.2μmの無機粉末ア(A)(表1に記載)70gと平均粒子径が7μmの無機粉末イ(アルミナ、軟化点:1200℃)30gからなる無機粉末成分を、ターピネオールとプロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶剤に2gの樹脂(エチルセルロース)を溶解した溶液に分散、その後、可塑剤として、ジブチルフタレートを加え、混練して、塗布用非感光性組成物1を得た。尚、無機粉末アの種類は組成成分の比率を設定して所定の軟化点を得た。
塗布用非感光性組成物2〜15の調製
塗布用非感光性組成物1において、表2に記載のように無機粉末成分、樹脂、可塑剤、及び溶剤を変更した以外は同様にして、塗布用非感光性組成物2〜12を得た。塗布用非感光性組成物2〜4は、樹脂、可塑剤、溶剤を変更した例であり、同組成物5〜8及び11並びに12は、無機粉末成分のサイズを変更した例であり、同組成物9〜10は無機粉末成分の素材を変更した例である。
2)転写フィルムの製造
上記の塗布用非感光性組成物1を、予め離型性層が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる可撓性仮支持体(幅400mm、長さ30m、厚さ70μm)上にロールコーターを用いて塗布し、形成された塗膜を100℃で30分間乾燥することにより溶剤を除去し、これにより、厚さ120μmの塗布層が形成されてなる転写フィルムを製造した。この転写フィルムについて、塗布層の表面状態を顕微鏡を用いて観測したところ、ガラス粉末の凝集物、筋状の塗装跡、クレーター、ピンホールなどの膜欠陥は認められず、クレーター状のへこみも観測されなかった。
3)塗布層の転写
20インチパネル用のガラス基板の表面(バス電極の固定面)に、塗布層の表面が当接されるよう、転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラーにより熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ロールの表面温度を110℃、ロール圧を3kg/cm2(294kPa)、加熱ロールの移動速度を1m/分とした。熱圧着処理の終了後、塗布層から仮基板を剥離除去した。これにより、ガラス基板の表面に塗布層が転写されて密着した状態になった転写塗布層が得られた。転写塗布層の密着性は良好であった。また、転写塗布層の中心線平均表面粗さRaは、0.1μmであった。
4)感光性ドライフィルムのラミネート
次いで、転写塗布層上に、保護膜を有するネガ型ドライフイルムレジスト(日本合成化学工業(株)製、NCP225、25μm)を100℃の熱ロールでラミネートした。
5)パターンの形成
レジスト層上に、線幅220μm、スペース80μmのラインアンドスペースのパターンマスクを位置合わせして配置し、紫外線照射(364nm、強度20mW/cm2 、照射量120mJ/cm2 )し、露光した後フォトレジスト層上の保護膜を剥離し、液温30℃の炭酸ナトリウム1質量%水溶液を使用しスプレー現像した。ラインパターンマスクに応じたレジストパターンが得られた。
次いで、このレジストパターンをマスクとして、サンドブラスト加工装置を使用し、レジストパターン開口部の転写塗布層をサンドブラスト処理した。
その後、パターン処理された転写塗布層を有した基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を常温から5℃/分の昇温速度で570℃まで昇温し、570℃の温度雰囲気で30分間にわたって焼成処理することにより、ガラス基板表面に、白色で不透明な焼成パターンを形成した。形成された焼成パターンを目視で観測したところ、ひび割れ、基板からの剥離などは認められなかった。
さらに電子顕微鏡にて無機材料膜の断面を観察した結果、0.5〜10μmの無数の空隙が確認され、多孔性のパターンが形成されたことが認められた。
形成されたパターンの多孔性、耐収縮率、解像性につき評価し、結果を表2に示した。また、塗布用非感光性組成物2〜12についても、上記2)〜5)を実施し、同様に評価した。塗布用非感光性組成物2〜12を用いた作製した転写フィルムを用いて形成したパターンは、塗布用非感光性組成物1を用いたものと同様に目視観測された。
多孔性:空隙面積率を求めた。
耐収縮率(%):(100×焼成後膜厚/焼成前膜厚)で求めた。
解像性:露光量を変更して線幅を替え、焼成後のパターンの限界解像力を調べた。この解像力は焼成後の無機材料膜の幅である。
Figure 0003804020
Figure 0003804020
上表より、本発明の転写フィルムを用いた実施例は、比較例に比べて、適度な空隙を有し、焼成時の収縮が少ないパターンが得られることが分かる。又、焼成後の線幅変化も少なく、高い解像性が得られることが分かった。一方、比較例は、無機材料膜内部は緻密で、空隙はほとんど見られなかった。なお、実施例1−6は、請求項1の補正により、本願発明外となるものである。
実施例2−1〜2−11、比較例2−1〜2−4
1)塗布用非感光性組成物の調製
塗布用非感光性組成物13の調製
平均粒子径が1.2μmの無機粉末ア(A1)(表3に記載)70gと平均粒子径が7μmの無機粉末イ(B1)(表3に記載)30gからなる無機粉末成分を、ターピネオールとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合溶剤に樹脂(エチルセルロース)を溶解した溶液に分散、その後、可塑剤として、ジブチルフタレートを加え、混練して、塗布用非感光性組成物13を得た。尚、無機粉末の種類は組成成分の比率を設定して所定の軟化点を得た。
塗布用非感光性組成物14の調製
塗布用非感光性組成物1のエチルセルロースの代わりにポリメチルメタクリレートを用い、同様に塗布用非感光性組成物14を得た。
塗布用非感光性組成物15〜27の調製
塗布用非感光性組成物13において、表4に記載のように無機粉末ア及びイの組合せを変更した以外は同様にして、塗布用非感光性組成物15〜27を得た。
2)転写フィルムの製造
上記の塗布用非感光性組成物13を、予め離型性層が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる可撓性仮支持体(幅400mm、長さ30m、厚さ90μm)上にロールコーターを用いて塗布し、形成された塗膜を100℃で30分間乾燥することにより溶剤を除去し、これにより、厚さ50μmの塗布層が形成されてなる転写フィルムを製造した。この転写フィルムについて、塗布層の表面状態を顕微鏡を用いて観測したところ、ガラス粉末の凝集物、筋状の塗装跡、クレーター、ピンホールなどの膜欠陥は認められず、クレーター状のへこみも観測されなかった。
3)塗布層の転写
20インチパネル用のガラス基板の表面(バス電極の固定面)に、塗布層の表面が当接されるよう、転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラーにより熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ロールの表面温度を110℃、ロール圧を3kg/cm2(294kPa)、加熱ロールの移動速度を1m/分とした。熱圧着処理の終了後、塗布層から仮支持体を剥離除去した。これにより、ガラス基板の表面に塗布層が転写されて密着した状態になった転写塗布層が得られた。転写塗布層の密着性は良好であった。また、転写塗布層の中心線平均表面粗さRaは、0.1μmであった。
4)感光性ドライフィルムのラミネート
次いで、転写塗布層上に、保護膜を有するネガ型ドライフイルムレジスト(日本合成化学工業(株)製、NCP225、25μm)を100℃の熱ロールでラミネートした。
5)パターンの形成
レジスト層上に、線幅200μm、スペース50μmのラインアンドスペースのパターンマスクを位置合わせして配置し、紫外線照射(364nm、強度20mW/cm2 、照射量120mJ/cm2 )し、露光した後フォトレジスト層上の保護膜を剥離し、液温30℃の炭酸ナトリウム1質量%水溶液を使用しスプレー現像した。ラインパターンマスクに応じたレジストパターンが得られた。
次いで、このレジストパターンをマスクとして、サンドブラスト加工装置を使用し、レジストパターン開口部の転写塗布層をサンドブラスト処理した。
その後、パターン処理された転写塗布層を有した支持体を焼成炉内に配置し、炉内の温度を常温から5℃/分の昇温速度で570℃まで昇温し、570℃の温度雰囲気で30分間にわたって焼成処理することにより、ガラス基板表面に透明な焼成パターンを形成した。形成された焼成パターンを目視で観測したところ、ひび割れ、支持体からの剥離などは認められなかった。
さらに電子顕微鏡にて誘電体層の断面を観察した結果、0.1〜10μmの無数の空隙が確認され、多孔性の無機材料膜が形成されたことが認められた。また、透明性も良好であった。
形成された焼成パターンの多孔性、耐収縮率、解像性につき上記と同様に評価し、結果を表4に示した。また、塗布用非感光性組成物12〜27についても、上記2)〜5)を実施し、同様に評価した。塗布用非感光性組成物12〜27を用いた作製した転写フィルムを用いて形成した焼成パターンは、塗布用非感光性組成物1を用いたものと同様に目視観測された。
Figure 0003804020
Figure 0003804020
上表より、本発明の転写フィルムを用いた実施例(「実」と記載、以下同様。)は、比較例(「比」と記載、以下同様。)に比べて、適度な空隙を有し、焼成時の収縮が少ないパターンが得られることが分かる。又、焼成後の線幅変化も少なく、高い解像性が得られることが分かった。一方、比較例は、無機材料膜内部は緻密で、空隙はほとんど見られなかった。なお、実施例2−7は、請求項1の補正により、本願発明外となるものである。
実施例3−1〜3−26、比較例3−1
1)塗布用非感光性組成物の調製
塗布用非感光性組成物28〜54の調製
平均粒子径が各0.1、0.2、0.5、1.2、2.5、3.5μmの無機粉末ア(表5に種類と組成を記載)70gと平均粒子径が1、2、3、7、10、12μmの無機粉末イ(アルミナ、軟化点:1200℃)30gからなる無機粉末成分を、表6及び7のように組み合わせ、ターピネオールとブチルカルビトールアセテートの混合溶剤に2gの樹脂(エチルセルロース)を溶解した溶液に分散、その後、可塑剤として、ジブチルフタレートを加え、混練して、塗布用非感光性組成物28〜54を得た。
2)ペースト層の形成
上記塗布用非感光性組成物28〜54をガラス基板(1m×1m)上に所定の膜厚でブレードコーターで塗布し、各々のペースト層を作製した。
3)感光性ドライフィルムのラミネート
次いで、ペースト層上に、保護膜を有するネガ型ドライフイルムレジスト(日本合成化学工業(株)製、NCP225、25μm)を100℃の熱ロールでラミネートした。
4)パターンの形成
レジスト層上に、線幅220μm、スペース80μmのラインアンドスペースのパターンマスクを位置合わせして配置し、紫外線照射(364nm、強度20mW/cm2、照射量120mJ/cm2)し、露光した後フォトレジスト層上の保護膜を剥離し、液温30℃の炭酸ナトリウム1質量%水溶液を使用し、スプレー現像した。ラインパターンマスクに応じたレジストパターンが得られた。
次いで、このレジストパターンをマスクとして、サンドブラスト加工装置を使用し、レジストパターン開口部のペースト層をサンドブラスト処理した。
その後、パターン処理されたペースト層を有した基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を常温から5℃/分の昇温速度で570℃まで昇温し、570℃の温度雰囲気で30分間にわたって焼成処理することにより、ガラス基板表面に、隔壁焼成パターンを形成した。
形成された隔壁パターンのアスペクト比、隔壁高さ、空隙面積率、空隙サイズ、耐収縮率、ひび割れ、誘電率及び解像性につき評価し、結果を表6及び7に示した。下記以外は、前記と同様の評価法を用いた。
空隙サイズ:空隙面積率を求めるとき、100μm×100μmの大きさの3個の断面写真からトレースした複数の孔の最長の直径の平均値を求めた。
ひび割れ:目視にて詳細に観察した。観察してなければなしと、観察されればありとした。
誘電率:横河電機製誘電率測定器(1MHz)にて測定した。
解像性:露光量を変更して線幅を替え、焼成後のパターンの限界解像力を調べた。この解像力は焼成後の隔壁の幅である。
Figure 0003804020
Figure 0003804020
Figure 0003804020
実施例3−1〜13及び比較例3−1は、特に無機粉末アと無機粉末イの各々の平均粒子径を変更することにより、空隙サイズが調整されることを示したものであり、実施例は、ひび割れなく、高アスペクト比で焼成時の収縮率が低い、低誘電率で、多孔性(空隙のある)の隔壁を形成することができたことが分かる。
実施例3−14〜19は、無機粉末アと無機粉末イの各々の平均粒子径を固定し、無機粉末アとして種々の無鉛ガラスを用いた例であり、無鉛ガラスを用いても、ひび割れなく、高アスペクト比で焼成時の収縮率が低い、低誘電率で、多孔性(空隙のある)の隔壁を形成することができたことが分かる。
実施例3−20〜26は、無機粉末アと無機粉末イの各々の平均粒子径を固定し、特にペースト層の塗布厚を変更した例であるが、収縮率が低いため、膜厚が厚くても、ひび割れが起きていないことが分かる。なお、実施例3−8、3−12及び3−13は、請求項1の補正により、本願発明外となるものである。

Claims (5)

  1. 少なくとも無機粉末を含む非感光性組成物を焼成して得られる多孔性のPDP隔壁用の無機材料膜であって、該無機材料膜は、空隙面積率が10〜65%で、空隙サイズが0.3〜15μmであり、前記無機粉末は、軟化点が焼成温度以下の平均粒子径0.2〜2.5μmの無機粉末Aと、軟化点が焼成温度を超える平均粒子径2.5μmより大きく12μm以下の無機粉末Bとを含むことを特徴とするPDP隔壁用の無機材料膜。
  2. 請求項1に記載のPDP隔壁用の無機材料膜を基板上に設けてなることを特徴とするPDP隔壁用の無機材料膜構造物。
  3. 請求項1に記載の非感光性組成物を基板上に設け、該非感光性組成物上に感光性組成物を設け、露光、現像処理した後、非感光性組成物にパターンを形成し、次いで焼成して請求項2に記載のPDP隔壁用の無機材料膜構造物を得ることを特徴とするPDP隔壁用の無機材料膜構造物の製造方法。
  4. 請求項3に記載の基板上に設けられる非感光性組成物は、可撓性仮支持体上に形成してなる塗布層を有する転写フィルムから該塗布層を基板上に転写したものであることを特徴とする請求項3に記載のPDP隔壁用の無機材料膜構造物の製造方法。
  5. 可撓性仮支持体上に請求項3に記載の非感光性組成物からなる塗布層を有することを特徴とする転写フィルム。
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