JP2006327850A - 再生コンクリートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 泥水の混入等によって上部が弱強度部となっている杭頭余盛り部のコンクリート塊を破砕して、弱強度部と該弱強度部よりも強度が大きい下方部の健全部との破砕物の混合割合を製造すべき再生コンクリートの要求強度を満たすように調整し、これらの破砕物を再生コンクリートの骨材として使用して、必要強度を有する再生コンクリートを製造する。
【選択図】 なし
Description
まず、杭頭余盛り部1の深さ方向の強度分布を確認するために、2本の場所打ちコンクリート杭(これらの杭をそれぞれNoA、NoBとする)の杭頭から図2に示すように、各3本の直径10cm、全長150cm のコンクリートコア3を採取した。さらに、各コア3から弱強度部分1aから下方部の健全部分1b側で長さ20cmの試験体を3本、弱強度部分1a側で2本採取し、見掛け密度試験と一軸圧縮試験とをJIS 規格に準拠して実施した。なお、上記弱強度部分1aと健全部分1bとはその色違いが明確であるため、両者の境界をこの色違いを目視観察することによって判断した。さらに、残りのコアでシュミットハンマーによる強度推定を行い、強度分布の捕捉データとした。また、圧縮試験終了後のコアを試験室用1t/h ジョークラッシャにより破砕し、杭頭余盛り部1の破砕物の粒度分布を測定した。
(1).杭頭余盛り部の強度と密度分布
図3に杭頭余盛り部1のコア圧縮強度および推定強度分布を示す。弱強度部分1aと健全部分1bとの境界面2をゼロ点、下向きを正とした。シュミットハンマーによる推定強度分布図は境界面2からの距離110cm の推定強度に対する相対値とした。コア圧縮強度分布図は深度の増加によって強度も増加し、境界面2からの距離50〜70cmの範囲で40N/mm2 以上の圧縮強度が得られている。推定強度の相対値が30〜60cmの範囲で低下していないことからも、杭頭余盛り部1は境界面2から30cm以上で40N/mm2 の圧縮強度を発現し、比較的浅い位置で標準養生試験体と同等の圧縮強度となっていると考えられる。
圧縮試験終了後の杭頭余盛り部1を弱強度部分1aと健全部分1bとに分けて試験室用1t/h ジョークラッシャにより破砕した粒度分布を図5に示す。破砕前の目視観察では健全部分1bは粗骨材には砂利が使用され、弱強度部分1aは土色で粗骨材を全く含まない塊であった。破砕後の流動分布は、健全部分1b(以下、この破砕された健全部分1bを単に健全部分という)に比べて弱強度部分1a(以下、この破砕された弱強度部分1aを単に弱強度部分という)の方が微粒子の割合がかなり多く、粒径5mm以下の割合は、健全部分で27.1%、弱強度部分で47.5%であった。実際の杭頭余盛り部では、弱強度部分と健全部分の割合が杭毎に異なっており、杭頭余盛り部1(以下、単に杭頭余盛り部という)の破砕物を骨材に使用する再生コンクリートの品質は、弱強度部分の混入割合に影響されると考えられる。
(1).試験概要
表3に使用材料と配合を示す。骨材となる杭頭余盛り部の破砕物は、弱強度部分と健全部分とに分けて試験室用1t/h ジョークラッシャにより破砕したものを使用した。配合は過去の実績をもとに水とセメント比42.5%、単位破砕物容積0.63m3 /m3を一定とし、再生コンクリートの性能に及ぼす弱強度部分混入の影響を評価するために、杭頭余盛り部の破砕部全重量に対する弱強度部分の重量混入率(以下、弱強度部分混入率とする)を0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%の6水準とした。練混ぜは、容量50リットルのパン型強制練りミキサーを使用した。スランプは目標値の8±2.5cm となるように高性能AE減水剤の添加量により調整した。試験項目はスランプおよび圧縮強度をJIS 規格に準拠し測定した。
(2-1).弱強度部分混入率とスランプ
図6に水−セメント比42.5%で且つ単位破砕物容積を0.63m3 /m3と一定にした場合の弱強度部分混入率とスランプの関係を示す。弱強度部分混入率の増加により粘性が高くなり、スランプは小さくなのことが分かる。弱強度部分混入率15%までは高性能AE減水剤の使用量の増加により使用可能なワーカビリティを示した。弱強度部分混入率20%以上では粘性が高くなり、特に30%では使用困難な性状となった。これは、高性能AE減水剤の標準使用量以上の添加と水−セメント比の増加により改善可能であるが、硬化性状やコストへの影響が大きく、現実的でないと考えられる。
表4に健全部分混入率(杭頭余盛り部全重量に対する健全部分の重量混入率)を乗じた杭頭余盛り部換算強度と再生コンクリートの圧縮強度を示す。なお、杭頭余盛り部換算強度は上記表2に示す健全部分の長さに対する高さ比で加重平均した圧縮強度である。
上記図7および図8により、弱強度部分混入率20〜30%でワーカビリティ確保のために、水−セメント比を5.0 %程度増加した場合、圧縮強度は10〜20%低下すると考えられる。さらに、コンクリート製造の変動係数、養生条件、環境条件などを考慮すると、弱強度部分混入率30%で上記設計基準強度18N/mm2 を下回る可能性がある。従って、水−セメント比が42.5%、単位破砕物容積が0.63m3/m3 の場合に、ワーカビリティと設計基準強度を満足する弱強度部分混入率の上限値を20%と考え、弱強度部分混入率の標準値を10%とした計画配合を表5に示す。
(1).品質管理方法
再生コンクリートの品質管理項目を杭頭余盛り部の弱強度部分混入率とスランプおよび圧縮強度とした。スランプは、コンクリートバケツでの打設と平らに仕上げられるワーカビリティおよび運搬時間を考慮して、再生コンクリートの製造後、50分で8±2.5cm を管理目標値とした。また、圧縮強度は18N/mm2 以上とした。弱強度部分混入率の管理方法は、ワーカビリティと圧縮強度を確保するために、杭頭余盛り部中の弱強度部分混入率の管理目標値を中央値で10%、上限値で20%以下となるように10±10%とした。
下記の表5に室内試験により選定した計画配合を示す。この表5をもとに橋梁の均しコンクリートに施工する直前に専用製造装置での実機試験練りを実施した。実機と室内試験の破砕粒度、粒径、練混ぜ性能の差、および運搬時間を考慮して、再生コンクリートの製造後、50分の目標スランプが8±2.5cm となるように計画配合を微調整して使用した。
(3-1).製造および施工方法
専用製造装置はクラッシャ、振動スクリーン、還流用ベルトコンベア、計量機、容量が0.4 m3 のパン型ミキサ、アジテータ車からなり、まず、30〜45cm程度に小割りした杭頭余盛り部のコンクリート塊を0.7 m3 級バックホウでクラッシャに投入して破砕する。次いで、振動スクリーンにより粒径が40mm以下の破砕物に選別すると共に40mm以上の粒径の破砕物は還流用ベルトコンベアでクラッシャに還流し、再度破砕処理する。一方、粒径が40mm以下の破砕物は、無処理で100 %骨材として1バッチ分、計量機で自動計量される。この破砕物と同時に自動計量した水、セメント、混和剤を上記パン型ミキサに投入して70秒間練り混ぜて再生コンクリートを製造し、この再生コンクリートをアジテータ車に投入する。橋梁における均しコンクリートの打設場所までは運搬に50分程度かかるため、2台のアジテータ車を使用し、打設はクレーンによる容量0.5 m3 コンクリートバケツで行った。
上記均しコンクリートの厚さは100 〜130mm であり、簡易な100 Vの棒状バイブレータにより容易に締固め可能であった。表面仕上げは、多少粘性が高く、ブリーディングが少なかったが、作業員の慣れにより大きな問題とはならなかった。
図9に製造後、40〜60分経過した再生コンクリートのスランプ試験結果を、図10に材齢28日の圧縮試験結果を示す。図9から明らかなように、スランプは目標値の8±2.5cm の範囲内にあり、安定していることが分かる。図10から平均強度は35.2N/mm2 、標準偏差は3.37N/mm2 、変動係数は9.6 %であり、圧縮強度は−2σ以上となっている。これは、スランプと同様に杭頭余盛り部の弱強度部分混入量を高さ比で管理したことが有効に作用したものと考えられる。
杭頭余盛り部を原料とした再生コンクリートの配合設計と品質管理方法を検討した後、橋脚の均しコンクリートに適用し、以下の結果を得た。
(1).杭頭余盛り部の圧縮強度は、弱強度部分と健全部分との境界面からの距離(深さ)が30cm以上で標準養生試験体と同様の40N/mm2 が得られた。
(2).健全部分混入率を乗じた杭頭余盛り部の換算強度により再生コンクリートの圧縮強度を予測することが可能である。
(3).弱強度部分混入率の増加により再生コンクリートのスランプおよび圧縮強度は低下する。弱強度部分混入率の上限値を20%とすることで均しコンクリートに必要なワーカビリティと設計基準強度18N/mm2 を満足する配合が得られた。
(4).弱強度部分混入率の管理目標値を10±10%とし、弱強度部分と健全部分の高さ比が0.2:1.0 となるように弱強度部分を撤去することで安定した再生コンクリートの品質が得られた。
1a 弱強度部分
1b 健全部分
2 境界面
Claims (6)
- 水とセメントと骨材とからなり、場所打ちコンクリート杭の打設後に撤去される杭頭余盛り部のコンクリート塊を破砕して、その破砕物全量を上記骨材として用いる再生コンクリートの製造方法であって、再生コンクリートに要求される強度に基づいて、杭頭余盛り部における上部弱強度部分のコンクリート塊と下部健全部分のコンクリート塊との混合割合を調整し、これらの破砕物全量を骨材として用いることを特徴とする再生コンクリートの製造方法。
- 杭頭余盛り部の上部の弱強度部分と下部の健全部分との境界の色違いを目視観察により判断すると共にそれぞれの強度を測定する工程と、弱強度部分及び健全部分を斫り取ってそれぞれに区分けしておく工程と、製造すべき再生コンクリートの要求強度を満たす原料コンクリート塊の必要強度を求めておく工程と、測定した弱強度部分および健全部分の強度を互いの容積比に応じて加重平均した強度が上記原料コンクリート塊の必要強度となるように上記容積比を決定する工程と、決定した容積比となるように区分けされた弱強度部分および健全部分のコンクリート塊を採取してこれらを破砕し、その全量を再生コンクリートの骨材として用いて再生コンクリートを製造する工程とからなることを特徴とする請求項1に記載の再生コンクリートの製造方法。
- 水とセメントと骨材とからなり、場所打ちコンクリート杭の打設後に撤去される杭頭余盛り部のコンクリート塊を破砕して、その破砕物を上記骨材として用いる再生コンクリートの製造方法であって、杭頭余盛り部の下部の健全部分のみを骨材の原料として用いることを特徴とする再生コンクリートの製造方法。
- 杭頭余盛り部の高さ方向に強度分布を測定し、強度が一定である余盛り部分のみを骨材の原料として用いることを特徴とする請求項3に記載の再生コンクリートの製造方法。
- 強度が一定である余盛り部分は、目視による色の違いから判定される杭頭余盛り部の上部の弱強度部分と下部の健全部分との境界より30cm以上の深い健全部分であることを特徴とする請求項4に記載の再生コンクリートの製造方法。
- 水とセメントと骨材とからなり、場所打ちコンクリート杭の打設後に撤去される杭頭余盛り部のコンクリート塊を破砕して、その破砕物全量を上記骨材として用いる再生コンクリートの製造方法であって、再生コンクリートに要求されるワーカビリティに基づいて、杭頭余盛り部における上部弱強度部分のコンクリート塊と下部健全部分のコンクリート塊との混合割合を調整し、これらの破砕物全量を骨材として用いることを特徴とする再生コンクリートの製造方法。
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JP2001130944A (ja) * | 1999-10-28 | 2001-05-15 | Okumura Corp | 生コンクリート |
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