JP3886980B2 - 改良土の配合設計方法 - Google Patents

改良土の配合設計方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3886980B2
JP3886980B2 JP2004091547A JP2004091547A JP3886980B2 JP 3886980 B2 JP3886980 B2 JP 3886980B2 JP 2004091547 A JP2004091547 A JP 2004091547A JP 2004091547 A JP2004091547 A JP 2004091547A JP 3886980 B2 JP3886980 B2 JP 3886980B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soil
improved
test
strength
blending
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004091547A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005273387A (ja
Inventor
寛昌 五十嵐
康之 早川
要 青山
哲也 脇山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kajima Corp
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Kajima Corp
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kajima Corp, Sumitomo Osaka Cement Co Ltd filed Critical Kajima Corp
Priority to JP2004091547A priority Critical patent/JP3886980B2/ja
Publication of JP2005273387A publication Critical patent/JP2005273387A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3886980B2 publication Critical patent/JP3886980B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、改良土の配合設計方法に関するものである。
従来、地中に改良材を投入して攪拌し、改良土を造成する工法において、改良土の配合設計では、まず、土を粘性土と砂質土に分類する。土を粘性土と砂質土に分類する方法としては、土質調査の際に経験的に粘性土と砂質土に分類する方法、液性限界と塑性限界が測定できるものを粘性土とする方法、地盤材料の工学的分類方法、所定の土粒子径の含有質量から分類する方法などが一般的である。そして、土を分類した後、配合試験を行う。配合試験では、供試体を作成し、強度試験を用いて評価を行う(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
(財)土木研究センター、陸上工事における深層混合処理工法設計・施工マニュアルpp.69−74、p47、1999 (財)沿岸開発技術研究センター、海上工事における深層混合処理工法工法技術マニュアル、pp.76−88、1999
配合試験における強度試験では、例えば、前述の非特許文献1、非特許文献2に示すように、一軸圧縮強さという力学試験の値から改良土を評価する。配合設計では、改良対象土の単位体積(例えば、1m)当たりに投入する改良材の配合から算出した固化材(セメントまたはセメント系固化材)添加量と改良土強度の関係から、改良対象土に投入する添加量を設定している。
しかしながら、従来の配合設計方法では、改良材をスラリー状、粉体状のいずれで用いる場合にも、改良土の体積変化がないことを前提にして、改良土中の固化材量(粉体量)を算出している。すなわち、改良対象土の体積をV、改良材の体積をVとした場合、硬化後の改良土の体積VをV+Vとしている。しかし、実際には、改良土中の改良対象土に粗粒分が多い(細粒分が少ない)という特性がある場合には、まだ固まらない改良土の状態においてブリーディングが生じ、硬化後の改良土の体積は、Vよりも減少する。
改良対象土中の細粒分が少ない場合については、上述したように、硬化後に改良土の体積が減少する可能性がある。体積減少により、実際の単位セメント質量、単位固化材質量は、設計時のセメント混入量より大きくなる。したがって、ブリーディングによる硬化後の改良土の体積減少を考慮しないと、経済的かつ目標強度に見合った合理的な配合設計が行えない。
また、改良対象土中の粗粒分以下の含有量が多い場合は、改良材が改良対象土と混ざることによって、改良土の粘性が増大して施工時における攪拌工程に支障を与える。従来の設計では、こうしたワーカビリティ性については考慮されていない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、固化後の改良土の強度を目標に見合ったものとし、また、設計時に施工性の改善対策を行うことができる、経済的かつ合理的な改良土の配合設計方法を提供することにある。
前述した目的を達成するための第1の発明は、改良対象土に対して、少なくとも1種類の土質試験を行う工程(a)と、前記土質試験から得られた結果に基づいて、前記改良対象土を、有機質土と、粒径0.075mm未満の細粒分の質量比率である細粒分含有率が30%未満の改良対象土(A)と30%以上の改良対象土(B)とに分類する工程(b)と、前記改良対象土について、改良対象土(A)のブリーディングの検討を行うか、または、改良対象土(B)の擬似凝結の検討を行う工程(c)と、改良対象土(A)または改良対象土(B)について、テスト配合を決定して改良土を得る工程(d)と、前記改良土について、所定の試験を行って判定値を取得する工程()と、前記判定値に基づいて、修正配合の要不要を判定する工程()と、を具備する改良土の配合設計方法において、前記工程(c)で、改良対象土(A)の飽和湿潤密度、飽和含水比を測定し、土の乾燥密度を求め、次に、改良対象土(A)を所定の飽和度に設定し、所定量の改良材を投入してブリーディング量を測定し、
前記工程(d)で、改良土の体積減少を考慮して、改良材の投入量を改良対象土の間隙量以上としてテスト配合を決定することを特徴とする改良土の配合設計方法である。
工程(f)で、判定値から、ブリーディングによる改良土の体積変化率が大きく、修正配合が必要と判定した場合、判定値を適正範囲にするために、セメントの比表面積を大きくした固化材、セメント以外のバインダー分を増加させた改良材、または、ブリーディング低減剤が含まれるセメント系固化材を用いて修正配合を決定する工程(g)をさらに設ける。
工程(b)で、改良対象土を有機質土に分類した場合、または、工程(e)で所定の試験として固化後の改良土の強度試験を行い、工程(f)で修正配合が必要と判定した場合、ポゾラン物質が混入した改良材、または、硬化促進性を施した改良材を用いる。
第2の発明は、改良対象土に対して、少なくとも1種類の土質試験を行う工程(a)と、前記土質試験から得られた結果に基づいて、前記改良対象土を、有機質土と、粒径0.075mm未満の細粒分の質量比率である細粒分含有率が30%未満の改良対象土(A)と30%以上の改良対象土(B)とに分類する工程(b)と、前記改良対象土について、改良対象土(A)のブリーディングの検討を行うか、または、改良対象土(B)の擬似凝結の検討を行う工程(c)と、改良対象土(A)または改良対象土(B)について、テスト配合を決定して改良土を得る工程(d)と、前記改良土について、所定の試験を行って判定値を取得する工程(e)と、前記判定値に基づいて、修正配合の要不要を判定する工程(f)と、を具備する改良土の配合設計方法において、前記工程(c)で、改良対象土(B)の塑性指数が所定の値以上である場合には、電気伝導率または陽イオン交換容量の値に応じて材料を選定して、まだ固まらない改良土を作製して撹拌性の判定試験を行うことを特徴とする改良土の配合設計方法である。
工程(f)で、判定値から改良土の擬似凝結を判定するための粘性、流動性またはせん断強さが所定の値を越えることを確認し、修正配合が必要と判定した場合、判定値を適正範囲にするために、改良材に遅効性を与える混和剤、土や粘土の解膠を施す混和剤、または、これらが混入している改良材を用いて前記修正配合を決定する工程(g)をさらに設ける。
工程(b)で、改良対象土を有機質土に分類した場合、または、工程(e)で所定の試験として固化後の改良土の強度試験を行い、工程(f)で修正配合が必要と判定した場合、ポゾラン物質が混入した改良材、または、硬化促進性を施した改良材を用いる。
本発明によれば、固化後の改良土の強度を目標に見合ったものとし、また、設計時に施工性の改善対策を行うことができる、経済的かつ合理的な改良土の配合設計方法を提供できる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は配合設計方法の基本のフローチャートを、図2(a)は改良対象土1の土性値を、図2(b)は改良材2の配合を示す。
本実施の形態の配合設計方法では、図1に示すように、まず、改良対象土1を採取し、土質試験を行う(ステップ101)。ステップ101では、改良対象土1を採取し、一般的な土質調査試験を実施する。
ステップ101で行われる土質調査試験は、物理試験、化学試験に大別される。物理試験には、例えば、土粒子の密度試験、含水比試験、液性限界・塑性限界試験、最大密度・最小密度試験等がある。化学試験には、有機炭素含有量試験、pH試験、強熱減量試験、腐植含有量試験等がある。また、土質調査とは別に、配合試験のためにサンプリングを行う場合もある。図2(a)に示す細粒分含有率3、土粒子の密度5、含水比7、乾燥密度9、湿潤密度11、間隙比13、飽和度15等は、改良対象土1に対して一般的な土質調査試験を行って得られる土性値の例である。
土質調査試験を行った後、改良対象土1が有機質土および高有機質土であるか否かを判定する(ステップ102)。有機質土および高有機質土(有機物が多く含まれる腐植土等)は、改良材2と混練して改良土4を得たときに、フミン酸、フルボ酸、瀝青等が改良土4の硬化遅延や硬化阻害を引き起こす可能性がある。そのため、図1に示す配合設計方法では、改良対象土1中の有機物量を第1の分類基準とし、ステップ102で、ステップ101での土質調査試験のうち、化学試験の結果に基づいて、改良対象土1を分類する。
ステップ102で、改良対象土1が有機質土および高有機質土でないと判定した場合、Noの矢印に進み、改良対象土1を細粒分含有率3により分類する(ステップ103)。ステップ103では、ステップ101で行った粒度試験で得た粒度分布に基づいて算出した細粒分含有率3(図2の(a)図)が、30%未満か、30%以上かを判定する。
土を粒径によって分類する際の区分は、日本統一分類法(地盤材料の工学的分類方法、JGS0051−2000)に示されており、粒径0.075mm未満のものが細粒分に分類される。ステップ103で用いる細粒分含有率3は、土の全質量のうち、粒径0.075mm未満の細粒分の質量比率である。
なお、ステップ103での細粒分含有率3を用いた判定は、粗粒分含有率や砂分含有率を用いた判定とすることもできる。粗粒分含有率、砂分含有率は、いずれも、土の全質量のうち、0.075mm以上のものの質量比率であり、この場合、粗粒分含有率または砂分含有率が70%より大きいか、70%以下かを判定することで、ステップ103と同様の分類を行うことができる。
図1に示す配合設計方法では、改良対象土1の細粒分含有率3を改良対象土1の第2の分類基準とする。ここで、ステップ103で、細粒分含有率3を分類基準に用い、判定ラインを30%とする理由について説明する。
図3(a)は改良土4の構成模式図、図3(b)は改良材2の分離模式図を示す。図3(a)に示すように、改良材2の体積をV、改良対象土1の体積をVとした場合、改良対象土1と改良材2を混合した直後の改良土4の体積はV=V+Vとなる。しかし、図3(a)、図3(b)に示すように、改良土4では、混合後のブリーディングによって、改良対象土1中から排出された自由水Wと空気量a、改良材2中から排出された改良材分離水Mbが分離する。そのため、固化後の改良土4の体積Vは、混合直後の改良土4の体積Vから、これらの合計体積V=W+Mb+aを引いたものとなる。
図4(a)は、まだ固まらない改良土のブリーディング試験結果を示す図である。図4(a)の横軸は、改良土4中の改良対象土1の種類を、縦軸は改良土4がまだ固まらない状態での構成要素の体積比率を示す。図4(a)に示す改良土4は、図2(a)に示す各改良対象土1と図2(b)に示す改良材2とを混合して得られたものである。図2(b)に示すように、改良材2の配合17は、固化材19と水21の比であるW/C23=100%とする。また、混合の際の改良対象土1の体積Vと改良材2の体積Vとの体積比は、V:V=1:0.5とする。
図4(a)から、混合後の改良土4ではブリーディングによる排出水31と排出空気33が生じ、固化後の改良土4の体積29が混合後の体積より減少することが確認できる。また、図2(a)と図4(a)から、固化後の改良土4の体積29は、細粒分含有率3が小さいほど減少することがわかる。
図4(b)は、図4(a)で試験に供した各改良土4について、設計時の単位固化材(セメント)質量と実際の単位固化材(セメント)質量との関係を示す図である。図4(b)の縦軸は固化材混入量、横軸は細粒分含有率3である。また、点線65は、設計時の固化材混入量すなわち混合時の固化材量を示す。実線67は、実際の固化材混入量すなわち固化後の固化材量を示す。
図4(b)に示すように、改良対象土の細粒分含有率3が小さくなるほど、実際の固化材混入量は、設計時の固化材混入量より大きくなる。これは、図4(a)に示すように、細粒分含有率3が小さくなるほど排出水31および排出空気33が増加し、固化後の改良土4の体積29の減少率が大きくなるためである。
図5は、固化後の改良土4の一軸圧縮強さと細粒分含有率3との関係を示す図である。図5の横軸は、改良土4に用いた改良対象土1の細粒分含有率3を、縦軸は、固化後の改良土4の一軸圧縮強さを示す。凡例39は材齢7日での、凡例41は材齢28日での一軸圧縮強さである。
図5から、細粒分含有率3が30%を下回る範囲では、細粒分含有率3が小さいほど一軸圧縮強さの変化が大きく、30%を上回る範囲では、細粒分含有率3の増加による一軸圧縮強さの変化は微小であることがわかる。これは、細粒分含有率3が30%未満で砂分が多い改良対象土1は、細粒分含有率3が30%以上の改良対象土1と比較して土粒子自体の強度が大きいこと、また、図4に示す各試験で確認されたように、細粒分含有率3が小さくなるほど実際のセメント混入量が大きくなること、などの相乗効果のためである。
図6は、改良対象土1の土性値を示す図、図7は、混練後からの経過時間とベーンせん断強さとの関係を示す図である。図7に示す試験では、図6に示す各改良対象土1と改良材2を混練して得た改良土4について、所定の経過時間においてベーンせん断強さを測定した。横軸43は混練後からの経過時間を、縦軸45はベーンせん断強さを示す。折れ線47は、図6に示す各改良対象土1の試験結果である。
図6、図7から、細粒分含有率3が大きいものは、混練後、時間が経過するにつれてベーンせん断強さが大きくなる傾向があることがわかる。これは、細粒分含有率3が大きい改良対象土1では、土粒子の比表面積が大きく陽イオン交換容量が大きいために、混練後に改良対象土1に改良材2が吸着する擬似凝結が起こり、粘性が増してベーンせん断強さが増大することを示す。施工における攪拌性を考慮すると、混練後30分以内はベーンせん断強さの経時変化が小さい方が良く、細粒分含有率3が大きい改良対象土1を用いて改良土4を得た場合、施工性を損ねる可能性がある。また、粘性が大きい状態で混ぜると、固化後の強度品質にバラツキが生じる。
図2から図7に示した試験結果から、ステップ103で、分類基準として細粒分含有率3を用いることにより、改良対象土1を、排水して体積変化が生じる改良土4となる可能性が高いものと、排水や体積変化は生じないが擬似凝結が生じる改良土4となる可能性が高いものとに大別することができる。また、判定ラインを30%とすることで、設計強度と実際の強度との差が大きいものと、小さいものとに分けることができる。
図1に示すステップ103で、改良対象土の細粒分含有率3が30%未満であった場合、Fc<30%の矢印に進み、図1の範囲Aに含まれる各ステップにより、改良材2に使用する固化材19の選定を行う。ステップ103に関する説明部分で述べたように、細粒分含有率3が小さい改良対象土1を用いて改良材4を得た場合、排水して体積変化が生じる場合がある。ステップ104以降は、体積変化が起こらないような改良土4を得るために行われる。
細粒分含有率3が30%未満の改良対象土1について、改良材2に使用する固化材19の選定を行うには、まず、ブリーディングの検討を行う(ステップ104)。ステップ104では、まず、体積Vの改良対象土1に混合する改良材2の体積V(図3の(a)図)を設定するために、改良対象土1の基準の体積を調整する。次に、テスト配合として、改良材2の配合、改良対象土1への改良材2の投入量を決定する。
改良材2は、素材であるセメントまたはセメント系固化材と水とで構成されるが、改良対象土1に改良材2を投入して得られる改良土4がブリーディングを生じる可能性を明らかに有する場合には、改良材2の素材として、ブリーディング防止を施したものを用いてもよい。ブリーディング防止を施した素材については、ステップ106についての説明部分で後述する。
ステップ104では、テスト配合を決定した後、改良対象土1に改良材2を投入して改良土4を得て、まだ固まらない改良土4のブリーディング試験を行う。その後、ブリーディング試験の結果から、ブリーディング対策を行うか否かを判断する(ステップ105)。ステップ105では、ブリーディング試験の結果を判定値として、目標となる値と比較する。そして、改良土4の体積変化を低減する効果のある改良材2を用いるかどうかを検討する。
ステップ105でブリーディング対策が必要であると判断した場合、Yesの矢印に進んで分離対策の材料選定を行う(ステップ106)。ブリーディング対策としては、例えば、改良材2にセメントの比表面積を大きくした固化材と用いる、改良材2に粘土鉱物などのポゾラン材、炭酸カルシウム、スラグ、ベントナイト等のバインダー分を混合した固化材を用いる、改良材2を混練する際に適量の沈降防止剤を加える、等が考えられる。沈降防止剤は、アタパルジャイト、セピオライト、メチルセルロース水溶性高分子からなる増粘材を主成分とするもの等が挙げられる。
ステップ106の後、および、ステップ105でブリーディング対策が不要であると判定してNoの矢印に進んだ場合には、改良土4の単位固化材質量による強度特性の検討を行う(ステップ107)。ステップ107では、固化後の改良土4について一軸圧縮試験等の強度試験を行う。
図1の範囲Aに含まれる各ステップにより、改良材2に使用する固化材19を選定して強度試験を行った後、図1の範囲Bに含まれる各ステップに進む。範囲Bでは、改良土4の修正配合および効果確認を行う。
細粒分含有率3が30%未満の改良対象土1について、修正配合および効果確認を行うには、まず、修正配合を行うか否かを判断する(ステップ108)。ステップ108では、ステップ107で行った強度試験結果を、改良土4の用途に応じて設定した目標強度と比較する。目標強度は、改良土4の用途に応じて適切に設定するが、目標強度を設定する際には、現場施工のばらつきを配慮した安全率を設定してもよい。なお、目標強度を満たす条件を、「強度試験結果がある強度以上となること」の他に、「強度試験結果がある範囲にあること」としてもよい。
ステップ108で、修正配合が不要であると判断した場合、Noの矢印に進み、配合を決定する(ステップ111)。ステップ108で、修正配合が必要であると判定した場合、Yesの矢印に進み、配合試験を行う(ステップ109)。ステップ109では、ステップ104で決定したテスト配合(改良材2の配合、改良材2の投入量)を、改良土4の強度が目標に見合うものとなるように変更して、修正配合を決定する。そして、配合試験として、まだ固まらない改良土4のブリーディング試験と、強度試験を行う。
ステップ109の後、改良土4が目標強度を満足するか否かを判断する(ステップ110)。ステップ110では、修正配合の効果確認のため、ステップ109で実施したブリーディング試験の結果を確認し、強度試験の結果を、改良土4の用途に応じて設定した目標強度と比較する。
ステップ109で、改良土4が目標強度を満足せず、修正配合の効果が確認できなかった場合、Noの矢印に進み、ステップ104以降を繰り返す。ステップ109で、改良土4が目標強度を満足し、修正配合の効果が確認できた場合、Yesの矢印に進み、配合を決定し(ステップ111)、配合設計を終了する。
図1に示すステップ103で、改良対象土1の細粒分含有率3が30%以上であった場合、Fc≧30%の矢印に進み、図1の範囲Cに含まれる各ステップにより、改良材2に使用する固化材19の選定を行う。ステップ103に関する説明部分で述べたように、細粒分含有率3が大きい改良対象土1を用いて改良材4を得た場合、混練後に擬似凝結を起こし、粘性が増す場合がある。ステップ113以降は、擬似凝結が起こらないような改良土4を得るために行われる。
細粒分含有率3が30%以上の改良対象土1について、改良材2に使用する固化材19の選定を行うには、まず、擬似凝結および撹拌性の検討を行う(ステップ113)。ステップ113では、体積Vの改良対象土1に混合する改良材2の体積V(図3の(a)図)を設定するために、改良対象土1の基準の体積を調整する。次に、テスト配合として、改良材2の配合、改良対象土1への改良材2の投入量を決定する。
テスト配合を決定した後、改良対象土1に改良材2を投入し、改良土4を得て、まだ固まらない改良土4の凝集による増粘性等に係わる試験を行う。まだ固まらない改良土4の凝集による増粘性等に係わる試験とは、初期段階での粘性や流動性を示す試験(粘度測定、フロー試験等)、または、硬化初期または擬似凝結の状態を示す試験(ベーンせん断試験、プロクター貫入試験等)である。
ステップ113の後、凝集による増粘性等に係わる試験の結果から、擬似凝結対策を行うか否かを判断する(ステップ114)。ステップ114では、まだ固まらない改良土4の凝集による増粘性等に係わる試験の結果を判定値として、目標となる値と比較し、増粘作用が支障になるかどうかを検討する。検討は、攪拌性を改善させた施工機械の使用等を考慮に入れて行ってもよい。
ベーンせん断強さ等、粘性や流動性を示す値の経時変化は、細粒分含有率3が大きく、中でも粘土分含有率が大きくてイオン交換能が大きい土粒子が混入している改良対象土1を用いて得た改良土4において、大きい。経時変化が大きいと、施工時の攪拌効率やスライムを排出する際の流動性が悪く、施工に支障を与える。さらには、改良土4の硬化後に均一な改良体が得られず、強度のばらつきの原因になる可能性がある。そのため、増粘作用が支障になる場合には擬似凝結対策が必要となる。
ステップ114で擬似凝結対策が必要であると判定した場合、Yesの矢印に進んで擬似凝結対策の材料選定を行う(ステップ115)。ステップ114では、擬似凝結を防ぐために、改良材2に遅効性を与える混和剤や土(粘土)の解膠を施すことが可能な混和剤を混入することを検討する。
遅効性を与える混和剤の素材としては、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、オキシカルボン酸もしくはその塩、糖および糖アルコール、ポリエチレングリコール、オキシアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。土(粘土)の解膠を施すことが可能な混和剤の素材としては、エチレン性不飽和モノカルボン酸及びエチレン性不飽和ジカルボン酸の重合体及び共重合体及びそれらの水溶性塩、水溶性重炭酸塩、有機酸及びその塩、ポリリン酸及びその塩、糖および糖アルコール、オキシアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。
ステップ115の後、および、ステップ114で擬似凝結対策が不要であると判定してNoの矢印に進んだ場合には、改良土4の擬似凝結の効果確認および強度特性の検討を行う(ステップ116)。ステップ116では、改良土4について一軸圧縮試験等の強度試験を行う。ステップ115で擬似凝結対策の材料選定を行った場合には、まだ固まらない改良土4の凝集による増粘性等に係わる試験を合わせて行い、その効果を確認する。
図1の範囲Cに含まれる各ステップにより、改良材2に使用する固化材19を選定し、強度試験等を行った後、図1の範囲Dに含まれる各ステップに進む。
細粒分含有率3が30%以上の改良対象土1について、修正配合および効果確認を行うには、まず、修正配合を行うか否かを判断する(ステップ117)。ステップ117では、ステップ116で行った強度試験結果を、改良土4の用途に応じて設定した目標強度と比較する。目標強度は、ステップ108と同様に、改良土4の用途に応じて適切に設定する。
ステップ117で、修正配合が不要であると判断した場合、Noの矢印に進み、配合を決定する(ステップ111)。ステップ117で、修正配合が必要であると判断した場合、Yesの矢印に進み、配合試験を行う(ステップ118)。ステップ118では、ステップ113で決定したテスト配合(改良材2の配合、改良材2の投入量)を、改良土4の強度が目標に見合うものとなるように変更して、修正配合を決定する。そして、配合試験として、まだ固まらない改良土4の凝集による増粘性等に係わる試験と、強度試験を行う。
ステップ118の後、改良土4が目標強度・混合性を満足するか否かを判断する(ステップ119)。ステップ119では、ステップ118で実施した凝集による増粘性等に係わる試験の結果を確認し、強度試験の結果を、改良土4の用途に応じて設定した目標強度と比較する。
ステップ119で、改良土4が目標強度・混合性を満足せず、修正配合の効果が確認できなかった場合、Noの矢印に進み、ステップ113以降を繰り返す。ステップ119で、改良土4が目標強度を満足し、修正配合の効果が確認できた場合、Yesの矢印に進み、配合を決定し(ステップ111)、配合設計を終了する。
ステップ102で、有機質土であると判定した場合、Yesの矢印に進み、有機物対策の材料選定・配合試験・効果確認を行う(ステップ112)。ステップ112では、まず、改良対象土1の調整として、体積Vの改良対象土1に投入する改良材2の体積Vの設定を行うために、改良対象土1の基準の体積を調整する。有機分を多く含む土の場合、改良対象土1の調整は、含水比7、湿潤密度11を用いて行う。
次に、有機質土対策固化材の選定と配合検討を行う。有機質土を用いた改良土4では、強度不足となる可能性がある。改良対象土1を用いて得られる改良土4の強度不足が想定される場合には、富配合とすることを検討するのが望ましい。
富配合とするには、改良材2に用いる有機質土対策固化材として、例えば、普通セメント、早強セメント、高炉セメントをベースにポゾラン物質(スラグ、フライアッシュ等)と石膏(二水石膏、無水石膏、半水石膏)とアルミナ分およびアーウィン系鉱物を組成にした固化材が混合されている固化材、もしくは、これらを原料として焼成した固化材を用いる。
有機質土対策固化材の選定と配合検討を行った後、これらにより決定したテスト配合での改良土4を得て、強度試験を行う。強度試験は、所定の材齢にて行うのが好ましい。そして、強度試験結果を判定値として、目標強度と比較する。このとき、安全率を見こんで要求品質を満足できるものであるかどうかを判断してもよい。
強度試験結果から、改良土4の修正配合が必要であると判断した場合には、テスト配合を基準に、有機質土対策固化材の選定と配合検討、強度試験を再度行う。強度試験結果から、改良土4の修正配合が不要であると判断した場合には、配合を決定し、配合設計を終了する。
このように、図1に示す基本フローによれば、ステップ103で改良対象土1を細粒分含有率3を分類基準として分類し、細粒分含有率3の小さい改良対象土1については、まだ固まらない改良土4のブリーディング試験を行って使用改良材(固化材)を選定する。さらに、強度試験を行って修正配合が必要か否かを判断し、必要に応じて配合を修正する。従来の配合設計では、ブリーディングによる改良土4の体積変化を無視しているため、設計時と固化後の改良土4の強度の差が大きいが、図1に示す基本フローを用いれば、設計強度に見合う適切な配合を提供することができる。
また、細粒分含有率3の大きい改良対象土1については、まだ固まらない改良土4の増粘性に係わる試験を行って使用改良材(固化材)を選定する。さらに、強度試験を行って修正配合が必要か否かを判断し、必要に応じて配合を修正する。従来の配合設計では、土の特性によらず強度試験のみで評価されるため、施工時に改良土4の増粘性が支障となる場合があるが、図1に示す基本フローを用いれば、改良土4の増粘性が施工の支障となる可能性を施工前に低減することができる。
さらに、ステップ102で有機質土であるか否かを分類基準とするため、改良対象土1が有機質土である場合にも、設計強度に見合う適切な配合を提供することができる。
なお、ステップ103では、細粒分含有率3により改良対象土を分類したが、分類方法は、これに限らない。一般に、土の特性として、細粒分含有率3と含水比は比例関係にあり、細粒分含有率3が大きい土は含水比が大きい。そのため、ステップ103で、ステップ101での土質調査試験で得た含水比を分類基準として改良対象土を大別しても良い。但し、含水比だけでは細粒土の評価が行えず、擬似凝結や有機質土の評価を行う必要があるので、細粒分含有率3で分類するのが望ましい。
以下に、図1に示す基本フロー図の範囲A、範囲Bについて、より詳細に説明する。図8は、図1に示す範囲Aの詳細なフロー図を示す。細粒分含有率3<30%の改良対象土1に混ぜる使用改良材(固化材)を選定するには、まず、改良対象土1を水浸させて飽和状態にする(ステップ121)。ステップ121では、自然状態の改良対象土1を水浸させ、改良対象土1の体積V(図3)に対する飽和湿潤密度ρsatと飽和含水比ωsatを測定し、土の乾燥密度ρを求める。
次に、改良対象土1を所定の飽和度に設定する(ステップ122)。ステップ122では、改良対象土1の間隙量をV(=V+V)(図3)として、所定の飽和度Srχに設定した含水比ωχをωχ=Srχ・V・ρ/ρより求め、含水比がωχとなるように改良対象土1を調整する。ここに、ρは水の密度である。飽和状態の改良対象土1を用いた改良土4の排水量を改良対象土1の空気間隙量に置き換えて算出した飽和度がSrχ=50〜70%の範囲であることから、改良対象土1の飽和度の調整は、Srχ=50〜100%の範囲内で3水準以上とするのが望ましい。
ステップ122の後、各飽和度に調整した改良対象土1に所定量Vの改良材2を投入してブリーディング量を測定する(ステップ123)。ステップ123では、テスト配合を決定し、その後3時間までのブリーディング量VDwを計測する。テスト配合では、改良材2の水セメント比もしくは水固化材比(W/C)と、設定した飽和度の改良対象土1に投入する改良材2の量を決定する。
テスト配合を決定する際、改良土4の体積減少を考慮して、改良材2の投入量Vを、改良対象土1の間隙量V以上とする。テスト配合では、例えば、改良材2の水セメント比もしくは水固化材比(W/C)=100%とする。また、体積V=1の改良対象土1に投入するの改良材2の体積V=0.5とする。テスト配合は、改良対象土1に改良材2を投入して得られる改良土4の特性(強度やブリーディング等)が不明な場合において、続くステップ109で修正配合を決定する際の基準となるものである。
ステップ123の後、体積減少率とブリーディング率を求める(ステップ124)。図3(a)に示すように、固化後の改良土4の体積は、ブリーディングにより、分離水VDwと空気量Va1の分、減少している。図3(a)に示す値を用いると、ブリーディング率Br=100・分離水VDw/(分離水の体積VDw+固化後の改良土4の体積V)で求められる。体積減少率Lv=100・(改良対象土1の体積V+改良材2の体積V−固化後の改良土4の体積V)/(改良対象土1の体積V+改良材2の体積V)で求められる。
ステップ124の後、体積減少率から単位固化材質量を算出する(ステップ125)。ステップ125では、改良材2の配合と投入量から、改良土4に投入した固化材質量Cを求め、配合上の単位固化材質量Cconp=改良土4に投入した固化材質量C/(改良材2の体積Vm+改良対象土1の体積V)を求める。次に、改良土1の真の単位固化材質量Cact=改良土4に投入した固化材質量C/固化後の改良土4の体積Vを求める。
ステップ125の後、改良材2の検討が必要か否かを判断する(ステップ126)。改良土4からのブリーディングが顕著に見られる場合、Yesの矢印に進み、分離対策用固化材を用いた改良材2を用いてステップ122以降を繰り返すことにより、通常の固化材との比較検討を行う。ブリーディング対策は、改良土4のブリーディングを抑制するだけでなく、固化材を均一に混合し、改良土4の強度のばらつきを抑えることも目標としているため、単位固化材質量も求める。
改良土4からのブリーディングが顕著でなかった場合、Noの矢印に進み、改良土4の強度試験を行う(ステップ127)。ステップ127では、各飽和度に設定した改良対象土1を用いた改良土4について、強度試験を行って、一軸圧縮強さを得る。
ステップ127で得た一軸圧縮強さは、図1に示すステップ108、ステップ109で、ステップ125で求めた真の単位固化材質量Cactとの比較検討に用いられる。以下に、ステップ108で修正配合を行うと判定し、ステップ109で配合試験を行う場合の、修正配合の設定方法について述べる。
図9は、改良土4の強度設定および単位固化材質量の設定を示す図である。図9(a)は、横軸が改良対象土1の飽和度を、縦軸が単位固化材質量を示す。図9(b)は、横軸が改良対象土1の飽和度を、縦軸が一軸圧縮強さを示す。図9(c)は、横軸が単位固化材質量を、横軸が一軸圧縮強さを示す。
ステップ124で算出した体積減少率Lvとステップ125で算出した単位固化材質量から改良土4の強度を推定する場合、飽和状態の改良対象土1を用いて作製した改良土4からの排水量を空気間隙量に置き換えて飽和度を換算した改良対象土1を用いた改良土4の強度を参考にする。ステップ122で所定の飽和度に設定した改良対象土1を用いた改良土4について、ステップ123からステップ125を行って単位固化材質量を算出すると、図9(a)のような関係が得られる。すなわち、体積減少後の強度と目標強度との関係から固化材質量を検討して、修正配合を設定する。
例えば、図9(a)、図9(b)に示す、飽和度Srχ(2)が改良土4の体積減少から換算した改良対象土1の飽和度である場合、飽和状態の改良対象土1を用いた改良土4の一軸圧縮強さはqu(3)であるが、改良土4に混入している改良対象土1の飽和度を換算した単位固化材質量はCact(2)となる。すなわち、Sr=100%の改良対象土1に単位固化材質量をCact(2)で設定した場合の強度はqu(3)になる。単位固化材質量を補正した改良材2の配合を設定し、修正配合試験の図9(c)に示す単位固化材質量と強度の関係から、目標強度を設定し、配合修正を行う。この例は、投入量を一定にして、改良材2の水セメント比もしくは水固化材比(W/C)を変更した場合の手法である。
改良土4の体積変化は、改良材2の投入量の影響も大きく、改良対象土1の間隙以上の投入量を確保して、ブリーディング対策を行い、改良材2のW/Cの変更により検討した方が固化後の改良土4の強度のばらつきを抑えられるものと考えられる。
図10は、図1に示す範囲Cの詳細なフロー図を示す。細粒分含有率3≧30%の改良対象土1に混ぜる改良材2に使用する固化材19を選定する際には、まず、改良対象土1からの検討を行うか(ステップ131)、改良土4からの検討を行うか(ステップ141)を決定する。
ステップ131から検討する場合は、改良対象土1が擬似凝結する可能性がある場合とない場合とを区別する必要がある。図11に示す試験では、複数の改良対象土1を用いて改良土4を得て、改良土4のベーンせん断強さを測定した。図11の各図は、改良対象土1の土性値と、改良土4のベーンせん断強さとの関係を示すものであり、縦軸は改良土4のベーンせん断強さを、横軸は改良対象土1の土性値を示す。
図11の各図から、改良対象土1の細粒分含有率3、5μm以下土粒子含有率51、2μm以下土粒子含有率53、陽イオン交換容量55、塑性指数57、電気伝導率59と、改良土4のベーンせん断強さとの間に相関性があることがわかる。すなわち、これらの土性値を、擬似凝結による粘性の増大の可能性の有無の評価に用いることができる。
ステップ131から開始した場合、まず、粘土分含有率が30%以上か否かを判断する(ステップ132)。ステップ132での粘土分含有率とは、図11に示す5μm以下土粒子含有率51である。粘土分含有率が30%未満のものは、一般的に、擬似凝結対策を行わなくても施工が可能であると考えられる。そのため、粘土分含有率が30%未満であった場合はNoの矢印に進み、強度検討を行う(ステップ145)。
粘土分含有率が30%以上であった場合はYesの矢印に進み、塑性指数57がIP=25以上か否かを判断する(ステップ133)。塑性指数57(IP)=25は、改良材2の擬似凝結の可能性がある参考下限値である。塑性指数57(IP)が25未満であった場合はNoの矢印に進み、確認のため、改良土4からの検討(ステップ141)から始めた場合と同様の手順を行う。
塑性指数57(IP)が25以上であった場合にはYesの矢印に進み、擬似凝結要因の分析と改良材2の選定を行うか否かを判断する(ステップ134)。ステップ134に到るのは、ステップ132とステップ133で擬似凝結の対策を材料から行わないと判断した場合である。ステップ134では、擬似凝結の対策を材料以外で行う場合(例えば、改良材2に頼らずに施工機械側から対応する場合)に、Noの矢印に進み、強度検討を行う(ステップ145)。
擬似凝結の対策を材料から行う場合は、Yesの矢印に進み、電気伝導率59が8000μs/cm以下か否かを判断する(ステップ135)。改良土4の擬似凝結は、改良材2との静電作用および多価金属の作用による影響があるが、電気伝導率が8000μs/cmより大きい場合には、多価金属の作用による影響が大きい。ステップ135で、電気伝導率が8000μs/cmより大きい場合には、Noの矢印に進み、多価金属対策に対して影響が大きい材料を選定する(ステップ138)。ステップ138では、多価金属対策に対しての効能がある材料を選定する。
電気伝導率が8000μs/cm以下の場合には、Yesの矢印に進み、陽イオン交換容量55(CEC)が30meq/100mg以下か否かを判断する(ステップ136)。陽イオン交換容量55(CEC)が30meq/100mgより大きい場合には、Noの矢印に進み、多価金属対策に対して影響が大きい材料を選定する(ステップ138)。
陽イオン交換容量55(CEC)が30meq/100mg以下の場合には、Yesの矢印に進み、静電対策に対して影響が大きい材料を選定する(ステップ137)。ステップ137では、静電対策に対して効能がある材料を選定する。なお、ステップ138で選定される多価金属対策用固化材には静電作用の対策も施されているが、材料の品種および配合量によっては経済的負担が大きいため、図10に示す手順では、擬似凝結対策用の固化材19について、ステップ137に示す静電作用対策と、ステップ138に示す金属イオン対策とに分けて検討している。
ステップ137、ステップ138で改良材2に使用する固化材19を選定した後は、擬似凝結対策効果の確認のため、改良土4からの検討(ステップ141)から始めた場合と同様の手順を行う。
ステップ131から検討を始めて、改良土4からの検討が必要と判断された場合や、ステップ141から検討を始めた場合には、まず、改良対象土1に所定量の改良材2を投入して、まだ固まらない改良土4を作製する(ステップ142)。まだ固まらない改良土4は、改良対象土1と改良材2とを混合して作製するが、先に改良対象土からの検討が終わっている場合には、ステップ137、ステップ138で選定した固化材を用いた改良材2を使用する。
ステップ142の後、まだ固まらない改良土4の供試体を用いて、撹拌性の判定試験を行う(ステップ143)。撹拌性の判定試験とは、まだ固まらない改良土4の擬似凝結による増粘性等に係わる試験(フロー試験、粘度測定、ベーンせん断試験等)である。
図12は、改良土4のフロー値、見かけの粘度、およびベーンせん断強さの関係を示す図である。図12の(a)図は、改良土4のフロー値とベーンせん断強さとの関係を、図12の(b)図は、改良土4の見かけの粘度とベーンせん断強さとの関係を、図12の(c)図は、改良土4の見かけの粘度とフロー値との関係示す。
見かけの粘度とは、セメント等の固化材が混入したビンガム流体を、回転粘度計で測定した値を示す。回転粘度計でニュートン流体を測定する場合、ずり速度が異なっても粘度は変わらない。しかし、図12に示す改良土4のような土は、ビンガム流体であり、回転粘度計の種類によって異なった値を示す。そのため、この値は、一般的に見かけの粘度と呼ばれている。
図12に示すように、まだ固まらない改良土4の擬似凝結の有無は、フロー値、見かけの粘度、およびベーンせん断強さのいずれかを用いて評価できるが、改良土4の状態によって、フロー試験や見かけの粘度が測定範囲外となることがある。ステップ143では、各種工法により設定値から測定可能範囲にある適切な試験方法から、擬似凝結の有無および擬似凝結の状態(流動性)についての経時変化を測定する。
ステップ143の後、ステップ143での試験結果から、擬似凝結の対策を行うか否かを判断する(ステップ144)。図12から、ステップ143でシリンダー法によるフロー試験(JIS A313−1992)を行った場合には、フロー値が80mmとなった時点が測定限界値であるため、この時点で流動不可と仮定されるが、このとき、見かけの粘度(回転粘度計(VT−04)の測定値)は概ね100dpa・s、ベーンせん断強さは、約1kN/mである。ステップ144では、例えば、これらの値を判定値として用いる。判定値は、施工方法等を考慮して設定される。
ステップ144で、改良土4の流動性に関する要求性能が満たされていないと判断された場合には、擬似凝結対策のために使用する改良材2(固化材19)の検討を行うため、Yesの矢印に進み、ステップ132以降を行う。要求性能が満たされていると判断された場合には、Noの矢印に進み、強度検討を行う(ステップ145)。
ステップ145では、改良土4の強度試験を行って、一軸圧縮強さを得る。ステップ145で得た一軸圧縮強さは、図1に示すステップ117での判定値となる。ステップ117で修正配合を行うと判断した場合、改良材2の配合量もしくは投入量と、改良土4の一軸圧縮強さから検討を行う。細粒分含有率30%以上の場合については、改良土4の体積減少が少ないことから、単位固化材質量と一軸圧縮強さの関係から行う場合、改良材2の投入量と改良対象土1の体積の和から算出した方が、施工における改良材2の素材である固化材19および混和剤等の使用量が算出しやすいものと考えられる。
以上、添付図面を参照しながら本発明にかかる改良土の配合設計方法の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、図1では、細粒分含有率3=30%を判定ラインとして改良対象土1を2分割したが、判定ラインや分割数はこれに限らない。但し、図5等を用いて説明したような理由から、細粒分含有率3による分類のための判定ラインは、運用上25〜35%の範囲で設定するのが望ましい。
また、改良土4のテスト配合を、改良材2の水セメント比もしくは水固化材比(W/C)=100%、体積V=1の改良対象土1に投入するの改良材2の体積V=0.5としたが、他の配合を用いてもよい。
配合設計方法の基本のフローチャート 改良対象土1の土性値及び改良材2の配合を示す図 改良土4の構成模式図、及び、改良材2の分離模式図 まだ固まらない改良土4のブリーディング試験結果を示す図、及び、図4(a)で試験に供した各改良土4について、設計時の単位固化材(セメント)質量と実際の単位固化材(セメント)質量との関係を示す図 固化後の改良土4の一軸圧縮強さと細粒分含有率3との関係を示す図 改良対象土1の土性値 図1に示す各改良対象土1の、混練後からの経過時間とベーンせん断強さとの関係を示す図 図1に示す範囲Aの詳細なフロー図 改良土4の強度設定および単位固化材質量の設定を示す図 図1に示す範囲Cの詳細なフロー図 改良対象土1の土性値と、改良土4のベーンせん断強さとの関係を示す図 改良土4のフロー値、見かけの粘度、およびベーンせん断強さの関係を示す図
符号の説明
1………改良対象土
2………改良材
3………細粒分含有率
4………改良土
5………土粒子の密度
7………含水比
9………乾燥密度
11………湿潤密度
15………飽和度
17………改良材2の配合
29………固化後の改良土4の体積
31………排出水
33………排出空気

Claims (6)

  1. 改良対象土に対して、少なくとも1種類の土質試験を行う工程(a)と、
    前記土質試験から得られた結果に基づいて、前記改良対象土を、有機質土と、粒径0.075mm未満の細粒分の質量比率である細粒分含有率が30%未満の改良対象土(A)と30%以上の改良対象土(B)とに分類する工程(b)と、
    前記改良対象土について、改良対象土(A)のブリーディングの検討を行うか、または、改良対象土(B)の擬似凝結の検討を行う工程(c)と、
    改良対象土(A)または改良対象土(B)について、テスト配合を決定して改良土を得る工程(d)と、
    前記改良土について、所定の試験を行って判定値を取得する工程(e)と、
    前記判定値に基づいて、修正配合の要不要を判定する工程(f)と、
    を具備する改良土の配合設計方法において、
    前記工程(c)で、改良対象土(A)の飽和湿潤密度、飽和含水比を測定し、土の乾燥密度を求め、次に、改良対象土(A)を所定の飽和度に設定し、所定量の改良材を投入してブリーディング量を測定し、
    前記工程(d)で、改良土の体積減少を考慮して、改良材の投入量を改良対象土(A)の間隙量以上としてテスト配合を決定することを特徴とする改良土の配合設計方法。
  2. 前記工程(f)で、前記判定値から、ブリーディングによる前記改良土の体積変化率が大きく、前記修正配合が必要と判定した場合、
    前記判定値を適正範囲にするために、セメントの比表面積を大きくした固化材、セメント以外のバインダー分を増加させた改良材、または、ブリーディング低減剤が含まれるセメント系固化材を用いて前記修正配合を決定する工程(g)をさらに具備することを特徴とする請求項記載の改良土の配合設計方法。
  3. 前記工程(b)で、前記改良対象土を有機質土に分類した場合、
    または、
    前記工程(e)で所定の試験として固化後の前記改良土の強度試験を行い、前記工程(f)で前記修正配合が必要と判定した場合、
    前記ポゾラン物質が混入した改良材、または、硬化促進性を施した改良材を用いることを特徴とする請求項1記載の改良土の配合設計方法。
  4. 改良対象土に対して、少なくとも1種類の土質試験を行う工程(a)と、
    前記土質試験から得られた結果に基づいて、前記改良対象土を、有機質土と、粒径0.075mm未満の細粒分の質量比率である細粒分含有率が30%未満の改良対象土(A)と30%以上の改良対象土(B)とに分類する工程(b)と、
    前記改良対象土について、改良対象土(A)のブリーディングの検討を行うか、または、改良対象土(B)の擬似凝結の検討を行う工程(c)と、
    改良対象土(A)または改良対象土(B)について、テスト配合を決定して改良土を得る工程(d)と、
    前記改良土について、所定の試験を行って判定値を取得する工程(e)と、
    前記判定値に基づいて、修正配合の要不要を判定する工程(f)と、
    を具備する改良土の配合設計方法において、
    前記工程(c)で、改良対象土(B)の塑性指数が所定の値以上である場合には、電気伝導率または陽イオン交換容量の値に応じて材料を選定して、まだ固まらない改良土を作製して撹拌性の判定試験を行うことを特徴とする改良土の配合設計方法。
  5. 前記工程(f)で、前記判定値から前記改良土の擬似凝結を判定するための粘性、流動性またはせん断強さが所定の値を越えることを確認し、前記修正配合が必要と判定した場合、
    前記判定値を適正範囲にするために、改良材に遅効性を与える混和剤、土や粘土の解膠を施す混和剤、または、これらが混入している改良材を用いて前記修正配合を決定する工程(g)をさらに具備することを特徴とする請求項記載の改良土の配合設計方法。
  6. 前記工程(b)で、前記改良対象土を有機質土に分類した場合、
    または、
    前記工程(e)で所定の試験として固化後の前記改良土の強度試験を行い、前記工程(f)で前記修正配合が必要と判定した場合、
    前記ポゾラン物質が混入した改良材、または、硬化促進性を施した改良材を用いることを特徴とする請求項記載の改良土の配合設計方法。
JP2004091547A 2004-03-26 2004-03-26 改良土の配合設計方法 Expired - Fee Related JP3886980B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004091547A JP3886980B2 (ja) 2004-03-26 2004-03-26 改良土の配合設計方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004091547A JP3886980B2 (ja) 2004-03-26 2004-03-26 改良土の配合設計方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005273387A JP2005273387A (ja) 2005-10-06
JP3886980B2 true JP3886980B2 (ja) 2007-02-28

Family

ID=35173349

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004091547A Expired - Fee Related JP3886980B2 (ja) 2004-03-26 2004-03-26 改良土の配合設計方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3886980B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008162831A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Kajima Corp 水硬性混練物
JP5875138B2 (ja) * 2011-03-31 2016-03-02 三谷セキサン株式会社 現場状況を考慮した基礎杭構築方法
JP2012220229A (ja) * 2011-04-05 2012-11-12 Ryudoka Shori Koho Sogo Kanri:Kk 発生土の細粒分含有率の測定方法と土工材料用の原料土製造方法
JP6000187B2 (ja) * 2013-05-10 2016-09-28 太平洋セメント株式会社 改良土の配合設計方法、およびセメント系固化材の製造方法
JP6589695B2 (ja) * 2016-03-02 2019-10-16 日本製鉄株式会社 水域投入用土壌の評価方法および品質管理方法
JP6960840B2 (ja) * 2017-12-14 2021-11-05 清水建設株式会社 ソイルセメントの強度判定方法および強度判定システム
JP7311853B2 (ja) * 2019-08-16 2023-07-20 ジャパンホームシールド株式会社 土質を判別するための方法、プログラム、及びシステム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005273387A (ja) 2005-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Bravo et al. Mechanical performance of concrete made with aggregates from construction and demolition waste recycling plants
Min et al. Effect of mixing time on the properties of phosphogypsum-based cemented backfill
Saly et al. Properties of steel slag and stainless steel slag as cement replacement materials: a comparative study
Li et al. Investigation of viscous behaviour and strength of microfine-cement-based grout mixed with microfine fly ash and superplasticiser
CN104817298A (zh) 一种控制物理性膨胀的可泵送钢渣混凝土及其制备方法
JP3886980B2 (ja) 改良土の配合設計方法
JP2012031618A5 (ja)
JP5790597B2 (ja) 改質土の強度予測方法及びこれを用いた改質土の製造方法
CN106032314B (zh) 一种混凝土及其制备方法
EP2598458A1 (en) Soil -containing cement and concrete compositions
Söderlund Stabilization of soft soil with lime and petritt-an experimental study
JP2016191286A (ja) 改質土の製造方法
Cheung et al. Engineering controlled low strength materials using scrap tire rubber
JP2017031656A (ja) 重量流動化処理土
JP2011006310A (ja) コンクリート用細骨材及びその評価方法
CN104266907A (zh) 一种低品质再生细骨料混合胶砂抗压强度比的测定方法
JP2015163589A (ja) 高強度モルタル組成物
JP2007032114A (ja) 地盤改良工法のセメントと細粒分との配合設計方法及び装置
CN109992924A (zh) 一种基于工作性能的多孔混凝土骨料设计方法
JP2001206757A (ja) コンクリート組成物及びトンネル覆工工法
JP7331309B2 (ja) 高流動コンクリート
JP5272541B2 (ja) 地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法
CN106896220A (zh) 一种竖井投料还原试验方法
JP2012149426A (ja) 改質土の製造方法及び水域環境修復施工法
JP5036104B2 (ja) コンクリート材料の配合方法およびコンクリート組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060522

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20060523

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060523

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20060614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060704

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060904

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3886980

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091201

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121201

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121201

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151201

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees