JP5272541B2 - 地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法 - Google Patents

地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法 Download PDF

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Description

本発明は、軟弱地盤を所定の一軸圧縮強さを有するように改良するに際して、固化材として使用されるセメント系材料の種類および添加量を選定するための地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法に関するものである。
軟弱地盤を地盤改良する際に、対象土に添加する固化材として普通ポルトランドセメント、高炉セメントあるいはセメント系固化材等のセメント系材料が広く用いられている。
このようなセメント系材料を用いて軟弱地盤の改良を行う場合には、まず改良後に所定の一軸圧縮強さが得られるように、上記軟弱地盤の土質に対応したセメント系材料の種類および添加量を選定する必要がある。
このため、従来、上記地盤改良工事に先立って、当該地盤の土を採取して室内配合試験を実施している。この室内配合試験は、対象土質に各種のセメント系材料を添加・混合して供試体を作製し、材齢7日や28日において、上記供試体の強度試験を実施して強度発現性を検証することにより、現場における上記セメント系材料の種類および添加量を決定するものである。
ところで、上記従来のセメント系材料の選定方法にあっては、上記室内配合試験を行う際に、2〜4種類のセメント系材料に対して、さらに添加量を3〜4種類に変えた多数の上記試供体を作製して上記強度試験を行う必要があるために、手間やコストが嵩むとともに、多くの無駄が発生して経済性に劣るという問題点があった。
しかも、上記室内配合試験に用いるセメント系材料やその添加量を設定するに際して、上記対象土質に対するセメント系材料の強度発現性の良し悪しを事前に知る方法としては、専ら目視や作業者の経験に負うところが多いうえに、砂質土や粘性土といった大雑把な分類によって推測しているのが実情である。
そこで、特定の対象土質に対して、上記セメント系材料の種類やその添加量を定量的に判断する方法として、例えば下記特許文献1においては、改良対象土に対して、その粒度分布、含水比、湿潤密度、飽和度等に係る少なくとも1種類の土質試験を行い、これによって得られた結果に基づいて設定された分類基準により改良対象土を分類し、さらに上記改良対象土について、テスト配合を決定して改良土を得た後に、当該改良土について所定の試験を行って判定値を取得し、次いでこの判定値に基づいて、修正配合の要不要を判定することを特徴とする改良土の配合設計方法が提案されている。
特開2005−273387号公報 セメントコンクリート No.511(1989)、P104〜115 軟弱地盤改良技術と環境問題 木次恭一
しかしながら、上記改良土の配合設計方法にあっては、従来の作業者の経験等に頼る方法と比較して、より定量的な選定を行うことができるものの、数種類の土質試験を実施し、条件によってはテスト配合などを行う必要があるために、工程や作業手順が複雑化して、同様に多くの手間を要するという問題点がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、簡便な方法によって、短期間に高い確度で地盤改良を行う対象土に好適なセメント系材料の種類およびその添加量を選定することができる地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、地盤改良を行う対象土について、要求される一軸圧縮強さが得られるセメント系材料からなる固化材の種類および添加量を選定するための地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法であって、予め数種類の土質の試料土について、各々の上記試料土とpHが11〜12の水酸化カルシウム水溶液とを1:3〜1:20の範囲の割合で混合して一定時間静置した後にpHの低減量を測定する工程と、各々の上記試料土にセメント系材料を異なる添加量で加えた複数の供試体を作製して各上記供試体の一軸圧縮強さを測定する工程とを、複数の種類の上記セメント系材料に対して行うことにより、各種類の上記セメント系材料について、上記数種類の土質の試料土におけるpHの低減量と一軸圧縮強さとの関係式を求め、次いで、上記対象土とpHが11〜12の水酸化カルシウム水溶液とを上記割合で混合して上記一定時間静置した後にpHの低減量を測定し、得られたpH値および上記要求される一軸圧縮強さの値と上記関係式とを対比することにより、上記対象土について要求される一軸圧縮強さが得られる上記セメント系材料およびその添加量を選定することを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記一定時間が、5分〜24時間であることを特徴とするものである。
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記セメント系材料が、普通ポルトランドセメント、高炉セメントまたはセメント系固化材であることを特徴とするものである。
請求項1〜3のいずれかに記載の発明によれば、予め一般的な数種類の土質の試料土について、水酸化カルシウムを加えた場合のpHの低減量と、複数の種類のセメント系材料を、各々添加量を変えて添加した場合の一軸圧縮強さとの関係式を求めておくことにより、地盤改良を行う対象土のpHの低減量から、当該対象土に対してどのセメント系材料をどの程度の添加量で加えればどの程度の一軸圧縮強さが得られるかを、即座に判断することができる。
そして、一度求めた上記数種類の土質におけるpHの低減量と複数の種類のセメント系材料を加えた場合の強度発現性との上記関係式は、異なる場所での異なる対象土に対して地盤改良を行う際にもそのまま利用することができる。
この結果、極めて簡便な方法によって、短期間に高い確度で地盤改良を行う対象土に好適なセメント系材料の種類およびその添加量を選定することができる。
ところで、土に水酸化カルシウムを加えると、当該土に水酸化カルシウム中のカルシウムイオンが吸着され、OH基が少なくなることによって、時間の経過とともにpHが低下する。この特性を利用して、例えば上記非特許文献1には、地盤改良を行った土にpHが12.8である水酸化カルシウムの過飽和水溶液を添加し、当該改良を行った地盤と周囲の地盤とにおけるpHの低減量を計測することにより、地盤改良によるアルカリの影響が周囲の地盤に及ばない事が開示されている。
これに対して、本発明は、水酸化カルシウム水溶液を加えた場合にpHが低減する特性が土質によって相違すること、すなわち水酸化カルシウム水溶液を加えて一定時間経過した後のpHの低減量が、土質によって異なることに着目してなされたものである。
このため、本発明においては、試料土にpHが11〜12の水酸化カルシウム水溶液を加えることを特徴としている。
上記水酸化カルシウム水溶液のpHを12以下としたのは、水酸化カルシウムは、水に対する溶解度が低く、僅かな量で飽和水溶液となってpHが12.5程度になる。そして、このような水酸化カルシウムの飽和水溶液を土に加えると、当該水溶液から無尽蔵にカルシウムイオンが供給される結果、pHの低減が少なくなり、よってpHの低減量の相違から土の種類を正しく評価・判断することができなくなってしまうからである。
また、上記pHを11以上としたのは、上記水酸化カルシウム水溶液を作製するに際して、例えば水1000mlに対して粉末状の水酸化カルシウムを0.1g添加・混合した場合に、そのpHは11.6〜12.0の範囲となり、水1000mlに対して粉末状の水酸化カルシウムを0.05g添加・混合した場合に、そのpHは11.0〜11.5の範囲となる。このため、水酸化カルシウム水溶液のpH調整は、11.0程度までが限度であるとともに、一般の固化処理土のpHが11〜12の範囲にあるからである。
これに加えて、本発明においては、土質の相違によるpHの低減量の差を明確化させるために、試料土とpHが11〜12の水酸化カルシウム水溶液とを1:3〜1:20の範囲の割合で混合することとした。
すなわち、後述するよう、上記試料土1に対する水酸化カルシウム水溶液の混合割合が3に満たないと、試料土の割合が過多になり、この結果、混合後の水溶液と試料土の分離が遅くなってpH測定値にバラツキが生じるために、正確な評価を行うために不適当だからである。
加えて、試料土の量が多すぎるために、水酸化カルシウムの吸着量も多くなり、この結果、測定に要する時間が長くなって、迅速に高い確度で好適なセメント系材料の種類およびその添加量を選定することが難しくなるからである。
これに対して、上記試料土1に対する水酸化カルシウム水溶液の混合割合が20を超えると、逆に試料土の割合が少な過ぎて水酸化カルシウムを吸着する能力が低く、適正な測定結果が得られなくなるからである。
また、上記試料土と水酸化カルシウム水溶液とを混合して静置する時間は、基本的には適宜設定することが可能であるが、特に請求項2に記載の発明のように、少なくとも5分間静置した後に測定すれば充分である。また、時間的な余裕がある場合や、より正確な測定結果を得たい場合には、24時間静置した後に測定することもできる。なお、このような場合においても、後述するように、24時間を経過した後は、一般にpHの低減量に変化を生じる可能性が低いことから、24時間以内に設定することが好ましい。
以下、図面に基づいて本発明に係る地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法(以下、選定方法と略す。)の一実施形態について説明する。
この選定方法は、事前に数種類の土質の試料土におけるpHの低減量と一軸圧縮強さとの関係式を求めておく準備段階の工程(図1のフローチャート)と、上記関係式を用いて実際の地盤改良を行う対象土について、要求される一軸圧縮強さが得られるセメント系材料の種類および添加量を選定する工程(図2のフローチャート)とから構成されたものである。
本実施形態においては、図1に示す準備段階の工程において、先ず試料土として、図3に示す土質の14種類の土を用いた。そして、蒸留水に試薬の水酸化カルシウムを添加し、ミキサーで混合してpHを調整することにより、pHが12.8である水酸化カルシウム飽和水溶液(A水溶液)と、pHが11.7である水酸化カルシウム水溶液(B水溶液)と、およびpHが11.2である水酸化カルシウム水溶液(C水溶液)との合計3種類の水溶液を作製した。
次いで、図3に示す土質の14種類の試料土に対して、各々当該試料土と上記B水溶液とを1:5の割合で混合して5分間静置した後のpHの低減量を測定した。これにより、上記14種類の試料土ごとのpHの低減量を得た。
次に、固化材となるセメント系材料として、高炉セメントB種(宇部三菱セメント株式会社製、以下、A固化材)、特殊土用セメント系固化材ユースタビラー50(宇部三菱セメント株式会社製、以下、B固化材)、普通ポルトランドセメント(宇部三菱セメント株式会社製、以下、C固化材)および一般軟弱土用セメント系固化材ユースタビラー10(宇部三菱セメント株式会社製、以下、D固化材)の4種類のセメント系材料を準備した。
そして、上記A固化材〜D固化材を、上記14種類の試料土に、水固化材比を80%として各々100kg/m3、200kg/m3、300kg/m3の3種類の添加量で加えるとともに、地盤工学会規格(JGS) 0821-2000「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」に準じて試供体を作製した。
次いで、得られた上記試供体について、JIS A 1216 「土の一軸圧縮試験方法」により、材齢28日において一軸圧縮強さを測定した。
次に、図4〜図7に示すように、上記A固化材〜D固化材ごとに、横軸をpHの低減量とし、縦軸を一軸圧縮強さとするグラフに、上記14種類の試料土におけるpHの低減量と一軸圧縮強さとの関係式をプロットし、上記A固化材〜D固化材の添加量ごとに、上記pHの低減量(X)と一軸圧縮強さ(Y)との関係式を求めた。
これにより得られた関係式は、以下の通りである。
(1)図4(A固化材を添加した場合)の関係式
添加量100kg/m3; Y=−1355・X+2589 相関係数r=0.77
添加量200kg/m; Y=−2110・X+4818 相関係数r=0.93
添加量300kg/m3; Y=−3262・X+7794 相関係数r=0.93
(2)図5(B固化材を添加した場合)の関係式
添加量100kg/m3; Y=−630・X+1846 相関係数r=0.85
添加量200kg/m3; Y=−1122・X+3895 相関係数r=0.87
添加量300kg/m3; Y=−1575・X+6110 相関係数r=0.95
(3)図6(C固化材を添加した場合)の関係式
添加量100kg/m3; Y=−1316・X+2925 相関係数r=0.78
添加量200kg/m3; Y=−2244・X+5389 相関係数r=0.93
添加量300kg/m3; Y=−2897・X+7490 相関係数r=0.95
(4)図7(D固化材を添加した場合)の関係式
添加量100kg/m3; Y=−538・X+1893 相関係数r=0.85
添加量200kg/m3; Y=−1186・X+4314 相関係数r=0.86
添加量300kg/m3; Y=−1761・X+7082 相関係数r=0.94
次に、図2〜図7に基づいて、上記関係式を用いて、実際に地盤改良を行う対象土に適した上記A固化材〜D固化材およびその添加量を選定する工程について説明する。
先ず、地盤改良を行う現場から、その土(対象土)を採取し、これにpHが11〜12の水酸化カルシウム水溶液を、上記対象土1に対して3〜20の割合で混合して5分間静置した後に、pHの低減量を測定する。
そして、得られたpH値および上記地盤に要求される一軸圧縮強さの値と、図4〜図7に示したpHの低減量と一軸圧縮強さとの関係式を対比することにより、上記対象土について要求される一軸圧縮強さが得られる上記A固化材〜D固化材のいずれか、およびその添加量を選定する。
これをより具体的に説明すると、例えば上記対象土におけるpHの低減量が3であって、かつ上記地盤改良による目標強度が1000kN/m2である場合には、図4からA固化材では所望の強度発現が期待できないことが判る。そして、図5からB固化材を200〜300kg/m3の範囲で添加すれば、要求される地盤強度を得られることが判る。
また、対象土における5分後のpHの低減量が1であって、かつ上記地盤改良による目標強度が1000kN/m2である場合には、図4に示すA固化材によっても、100〜200kg/m3の範囲で所望の強度発現が期待できることが判る。
この結果、上記地盤改良に要求される基準が比較的緩く、よって簡便な配合方法で充分対応することが可能な場合には、図4〜図7に基づいてA固化材〜D固化材のうちの最適なセメント系材料を選択するとともに、これら図4〜図7から読みとれる充分な強度発現が期待できる添加量を選択することにより、室内配合試験を行うことなく、短期間に高い確度で地盤改良を行う対象土に好適なセメント系材料の種類およびその添加量を選定することができる。
また、上記地盤改良に要求される基準が比較的厳しい場合には、図4〜図7から読みとれる範囲から添加量を絞って、当該添加量により室内配合試験を行うことにより、簡便な方法によって、より高い確度で地盤改良を行う対象土に好適なセメント系材料の種類およびその添加量を選定することができる。
これに対して、比較例として、図3の14種類の試料土に対して、各々当該試料土とpHが12.8である上記A水溶液を1:5の割合で混合して、5分間静置した後のpHの低減量を測定した。次いで、上記試料土に、上記A固化材を加えて得られた供試体および上記B固化材を加えて得られた供試体について、同様の強度試験を行った。図8は、上記pHの低減量を横軸とし、上記A固化材を用いた場合の一軸圧縮強度を示すものであり、図9は上記pHの低減量を横軸とし、上記B固化材を用いた場合の一軸圧縮強度を示すものである。
これらの図から、上記試料土に水酸化カルシウムの飽和水溶液を加えた場合には、上記飽和水溶液から無尽蔵にカルシウムイオンが供給される結果、pHの低減が極端に少なくなり、この結果土質別によるpHの低減量の差が明確にならないために、土の種類を正しく評価・判断することができなることが判る。
次に、図3に示した試料土のうち7〜14番の8種類の関東ロームと上記B水溶液とを1:5の割合で混合して5分間静置した後のpHの低減量(図10)と、24時間静置した後のpHの低減量(図11)とを測定した。図10および図11の縦軸に示した一軸圧縮強さは、いずれも上記関東ロームの試料土に、水固化材比を80%として300kg/m3の添加量で加えた試供体について測定した値である。
図10および図11に見られるように、水酸化カルシウム水溶液を加えた場合のpHが低減する時間は、土質によって差があるために、特に上記関東ロームの場合は、5分後のpHの低減量に基づく関係式と比べて、24時間後のpHの低減量に基づく関係式の方が、精度の良いことが判る。
このため、同じ土質の試料土によって上記関係式を作製すれば、一層詳細な評価・判断を行うことが可能になる。
さらに、図3の7番に示す関東ロームの試料土について、当該試料土を1とした場合の上記B水溶液の混合割合を2、3、5、20、25に変えてpHの低減量を5分後、30分後、1時間後、3時間後、6時間後、24時間後および30時間後に測定した。また、上記試料土との混合割合が1:5については、上記C水溶液を用いた場合についても測定した。
図12は、上記測定結果を示すものである。上記試料土とB水溶液との割合が1:2においては、固液が分離しないために、pHの測定を行うことができなかった。また、上記試料土とB水溶液との割合が1:25においては、水溶液に対して試料土の量が少ないための、吸着能力が小さく、よってpHの低減量も小さくなって、セメント系材料の添加量の選定には不適当であった。
この結果、上記試料土と水酸化カルシウム水溶液とを1:3〜1:20の範囲の割合で混合してpHの低減量を測定することにより、当該試料土のpHの低減量の差を明確に測定し得ることが実証された。
また、同図から、24時間を経過した後は、pHの値に差が生じないことから、pHの低減量の測定は、24時間以内に行えば良いことも確認された。
(実施例)
先ず試料土として、下記の4種類の土を使用した。
粘性土:さいたま市採取、湿潤密度1.61g/cm3、含水比61.8%
関東ローム:宇都宮市採取、湿潤密度1.43g/cm3、含水比111%
砂質土:千葉市採取、湿潤密度1.97g/cm3、含水比24.8%
有機質土:さいたま市採取、湿潤密度1.22g/cm3、含水比185%
ここで、目標とする一軸圧縮強さは、粘性土および砂質土が1500kN/m2、関東ロームおよび有機質土が1000kN/m2であった。
そして、蒸留水に試薬の水酸化カルシウムを添加し、ミキサーで混合してpHを調整することにより、pHが11.8である水酸化カルシウム飽和水溶液を作製した。
次いで、湿潤状態の上記4種類の試料土に対して、上記水酸化カルシウム水溶液の割合を1:5として混合し、5分間静置した後に上澄み液のpHの低減量を測定した。
得られたpHの低減量と、図4〜図7に示した関係式とから、目標とする一軸圧縮強さが得られると思われる固化材の種類および添加量は、下記表1に示すとおりである。
Figure 0005272541
そこで次に、4種類の試料土に、各々上記A固化材〜D固化材から選択された固化材を用いて、室内配合試験を行った。この室内配合試験においては、いずれも上記試料土に水固化材比を80%の固化材のスラリーを添加し、5分間練り混ぜて固化処理土を作製した。そして、これらの固化処理土を用いて、地盤工学会規格(JGS) 0821-2000「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」に準拠して、φ50mm×高さ100mmの試供体を作製した。
次いで、上記試供体の作製直後に、当該試供体の上面をポリエチレンフィルムで多い、20℃の室内で密閉養生した。そして、各々の上記試供体について、材齢28日においてJIS A 1216 「土の一軸圧縮試験方法」に準拠した圧縮強度試験を実施して一軸圧縮強さを得た。
各々の試料土における試験結果は、以下の通りである。
(1)粘性土の結果
pHの低減量は1.4であった。これにより、図4から目標強度1500kN/m2を満足させることができる上記A固化材の添加量は、100〜200kg/m3であることが判る。したがって、室内配合試験を省略した場合には、安全側である200kg/m3を添加すれば良いことが判る。また、100〜200kg/m3の範囲の添加量で室内配合試験を実施して、最適な添加量を求めたところ、180kg/m3となり、安全側の200kg/m3の添加量が妥当であることが確認された。
(2)関東ロームの結果
pHの低減量は3.1であった。これにより、図4から上記A固化材によって目標強度1500kN/m2を満足させることが困難であることが推測できた。この結果、上記A固化材を用いた室内配合試験については省くことができ、よって経済的かつ合理的な地盤改良の設計が可能になる。
次いで、図5から、上記B固化材を用いれば、200〜300kg/m3の範囲の添加量によって上記目標強度を満足させ得ることが判る。したがって、室内配合試験を省略した場合には、安全側である300kg/m3を添加すれば良いことが判る。また、200〜300kg/m3の範囲の添加量で室内配合試験を実施して、最適な添加量を求めたところ、280kg/m3となり、安全側の300kg/m3の添加量が妥当であることが確認された。
(3)砂質土の結果
pHの低減量は0.9となり、図6から目標強度1500kN/m2を満足させることができる上記C固化材の添加量は、100kg/m3弱であることが判る。そこで、室内配合試験を省略した場合には、安全側の100kg/m3を添加すれば良いことが判る。また、80〜150kg/m3の範囲の添加量で室内配合試験を実施して、最適な添加量を求めたところ、室内配合試験を省略した場合と同じ100kg/m3となり、妥当性が確認された。
(4)有機質土の結果
pHの低減量は3.6であり、図4および図6から目標強度1000kN/m2を満足させることが困難であることが推測できた。この結果、上記A固化材およびC固化材を用いた室内配合試験については省くことができるために、経済的かつ合理的な地盤改良の設計が可能になる。
また、図7から上記D固化材を300kg/m3以上の添加量で用いれば、上記目標強度を満足させることができることが推定できる。そこで、300〜500kg/m3の範囲の添加量で室内配合試験を実施して、最適な添加量を求めた結果300kg/m3となり、予想される添加量が妥当であることが確認された。
本発明に係る地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法の一実施形態における試料土のpHの低減量と一軸圧縮強さとの関係式を求めるためのフローチャートである。 図1のフローチャートで得られた関係式から、実際の地盤改良を行う対象土に用いる固化材の種類と添加量を求めるためのフローチャートである。 本実施例に用いた試料土の種類と土質を示す図表である。 A固化材を添加した場合の関係式を示すグラフである。 B固化材を添加した場合の関係式を示すグラフである。 C固化材を添加した場合の関係式を示すグラフである。 D固化材を添加した場合の関係式を示すグラフである。 水酸化カルシウム飽和水溶液を用いた場合の試料土のpH低減量とA固化材を用いた一軸圧縮強さとの関係を示すグラフである。 水酸化カルシウム飽和水溶液を用いた場合の試料土のpH低減量とB固化材を用いた一軸圧縮強さとの関係を示すグラフである。 水酸化カルシウム水溶液を添加して5分後のpHの低減量から得られた関係式を示すグラフである。 水酸化カルシウム水溶液を添加して24時間後のpHの低減量から得られた関係式を示すグラフである。 土と水酸化カルシウム水溶液との混合割合を変化させた場合の経時的なpHの低減量を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 地盤改良を行う対象土について、要求される一軸圧縮強さが得られるセメント系材料からなる固化材の種類および添加量を選定するための地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法であって、
    予め数種類の土質の試料土について、各々の上記試料土とpHが11〜12の水酸化カルシウム水溶液とを1:3〜1:20の範囲の割合で混合して一定時間静置した後にpHの低減量を測定する工程と、各々の上記試料土にセメント系材料を異なる添加量で加えた複数の供試体を作製して各上記供試体の一軸圧縮強さを測定する工程とを、複数の種類の上記セメント系材料に対して行うことにより、各種類の上記セメント系材料について、上記数種類の土質の試料土におけるpHの低減量と一軸圧縮強さとの関係式を求め、
    次いで、上記対象土とpHが11〜12の水酸化カルシウム水溶液とを上記割合で混合して上記一定時間静置した後にpHの低減量を測定し、得られたpH値および上記要求される一軸圧縮強さの値と上記関係式とを対比することにより、上記対象土について要求される一軸圧縮強さが得られる上記セメント系材料およびその添加量を選定することを特徴とする地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法。
  2. 上記一定時間は、5分〜24時間であることを特徴とする請求項1に記載の地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法。
  3. 上記セメント系材料は、普通ポルトランドセメント、高炉セメントまたはセメント系固化材であることを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良用セメント系材料と添加量の選定方法。
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