JP2006327683A - コルク栓用貫通針 - Google Patents

Abstract

【課題】コルク栓で封入されたビン内の液体を，外気から機密性を保ったまま注出するための手段を低コストかつ衛生的に提供すること。
【解決手段】ビンに装着されたコルク栓に対し，先端部を鋭角状あるいは刀刃状に成形し，かつ，内部に液体あるいは気体の経路を設けた貫通針を穿刺貫通させて，機密性を保ったまま液体及び気体の流路を設ける。
【選択図】 図３

Description

本発明は，開封後のワインの酸化を防ぎつつ必要量を注出する装置において、ビン内に外気を混入させることなく，内容物である液体と，この液体と置換する不活性ガス等の流通経路を確保することを可能とするコルク栓用の貫通針に関するものである。

従来より，開封後のワインの酸化を防ぎつつ必要量を注出する装置において，内容物である液体の注出経路とこの液体と置換する不活性ガス等の置換気体の注入経路とを確保する方法として，ビン外に設けた気密室内において既設のコルク栓とこれに代替する上記２経路を備えた新規の栓とを交換する手法が知られていた（例えば，特許文献１参照。）。
特開２００４−４３０３０号公報 また，栓自体の交換という手段をとらず，既設のコルク栓にあらかじめ貫通しない程度の深さの盲穴を設け，その穴底部分を切開しうる形状に成形した貫通針で切開，貫通させることにより，気密性を保ちつつ，内容物たる液体及び置換気体の通路の開設を行うという手法も考案されていた。

しかし，上記ビン外に設けた気密室内において栓を交換する手法では，気密室内で通常のコルク抜きの作業を行わなければならず，その作業のための旋回力を与えつつ気密性をも保持しなければならないという両立しがたい２つの要請から機構が複雑となり製造コストが高くなるという問題点があった。

また，部品点数が多いことからパッキン交換等のメンテナンスコストもかさみ，また洗浄の手間もかかることから衛生面でも問題があった。

また，既設のコルク栓にあらかじめ貫通しない程度の深さの盲穴を設け，その穴底部分を貫通針で切開するという手法では，盲穴を開削する際に生じたコルクの砕片が注出した液体の中に混入するおそれがあり，飲食店などにおける顧客への提供に際して，顧客から異物が混入しているとのクレームを受けるおそれがあった。

そこで本発明は，上記の問題点に鑑み，機構が簡単で製造コストが低廉で済み，メンテナンスが簡単で，コルクの砕片が混入するおそれのないコルク栓用の貫通針を提供することを課題とする。

上記課題を解決するために，本発明では，栓自体の交換という手段をとらず，また，盲穴の開設等を行うことなく，内部に中空部分を形成し，先端部分を鋭角状あるいは刀刃状に成形した貫通針をコルク栓に穿刺，貫通させることにより，気密性を保ちつつ内容物たる液体および置換気体の通路の開設を行うこととし，機構の単純化，部品点数の削減，メンテナンス性の向上，および異物の混入の防止を図った。

具体的には，請求項１記載の発明は，ビン内部の液体をビン外部に注出する注出通路あるいは置換気体である不活性ガスをビン内部に供給する送気通路が形成され，かつ、コルク栓を穿刺できるように先端部を鋭角状あるいは刀刃状に成形されていることを特徴とする貫通針であり，これを液体経路用，置換気体経路用としてそれぞれ１本づつ，コルク栓のビン開口部側端面から押圧して挿入し，コルク栓のビン内部側端面まで穿刺，貫通させることにより，ビン内に外気を混入させることなく，内容物である液体および置換気体の流通経路を確保するものである。

請求項２記載の発明は，請求項１に記載の貫通針であって，液体の注出経路と置換気体の注入経路とを１本で同時に備えたことを特徴とする。

請求項１記載または請求項２記載の発明によれば，ビン内への外気の進入を阻止できるため，外気による酸化等の内容物の劣化を有効に防止しつつ，必要時に必要な量の内容物を取り出す装置を構成することができる。また，構造が単純であるため，洗浄が容易であり衛生的に使用することができる。さらに，貫通針の構造が単純であるため成型が容易であり製造コストを低減できる。ひいてはこれを使い捨て部品とすることも可能となり衛生上も好ましい結果をもたらす。

請求項２記載の発明によれば，一動作で，液体の注出経路と置換気体の注入経路とを設けることができ，貫通針でのコルク栓の貫通工程を容易かつ短時間で行うことができる。

以下，図１から図３を参照して本発明の実施形態について説明する。図１を参照して，（１）は開封前のワインのビンであり，（２）はビン口に設置されているコルク栓である。

（３）は，貫通針であり，その先端（３ａ）には，コルク栓を穿刺，貫通できるように鋭角状あるいは刀刃状の穿刺部が形成されている。また，貫通針（３）内には，内容物である液体（本実施形態ではワイン）をビン外部に注出するための注出通路，あるいは置換気体である不活性ガスをビン内部に供給するための送気通路（３ｂ）が形成されている。また，これら通路（３ｂ）に対する不活性ガス供給手段，あるいは液体注出手段の接続口（３ｃ）が，ビン外部側の端部に接続形成されている。

この貫通針（３）は，以下の手順でコルク栓（２）に対して取り付けられる。まず，作業者は，貫通針（３）の上端部を握持し，コルク栓（２）に対して貫通針（３）の先端（３ａ）を挿入する。続いて，さらに貫通針（３）をビン底方向に押圧していき，先端（３ａ）の穿刺部でコルク栓（２）を穿刺，貫通させる。

この貫通針取り付け段階において，外気の混入防止を更に徹底するために，貫通針の外側端部に機密性のキャップを施しても良いし，経路部分（３ｂ）に充填物を施しておいてもよい。

この取付作業により形成されたビン（１）及びコルク栓（２）と貫通針（３）とのユニットは，使用する際には，図３に示すように倒立状態に配置される。そして，貫通針（３）の接続口（３ｃ）に対してそれぞれガス供給手段（４）あるいは液体注出管（５）が接続されて，液体注出装置が構成される。

ガス供給手段（４）は，ガスボンベまたは不活性ガス発生装置等の，不活性ガス供給源（４ａ）と，そのガス供給源（４ａ）と貫通針（３）の接続口（３ｃ）とを接続するガス供給管（４ｂ）と，そのガス供給管（４ｂ）の中途に設けられてガス供給源（４ａ）から接続口（３ｃ）へのガスの供給及び遮断を行う開閉バルブ（４ｃ）とを備えている。また，液体注出管（５）は，略Ｌ字形に形成されており，貫通針の接続口（３ｃ）に接続されない側の端部が下方に向けられて設置される。なお，本実施形態では，液体注出管（５）の中途には何も設けられておらず，常に開放状態になっているが，本発明はこれに限定されるものではない。例えば，衛生状態の維持のために，または酸化防止機能をより高めるために，中途に開閉栓を設けてもよく，あるいは逆止弁や単なる蓋等を設けても良い。

続いて，本実施形態の作用について説明する。図３に示すように構成された液体注出装置において，ビン（１）内部の液体を注出する場合，操作者は開閉バルブ（４ｃ）を開く。これにより，ガス供給源（４ａ）からガス供給管（４ｂ），接続口（３ｃ）及び送気通路（３ｂ）を介してビン（１）内部に不活性ガスが供給される。すると，ビン（１）内部の気体の圧力によって液体が貫通針（３）の注出通路（３ｂ），液体注出口（３ｃ）及び液体注出管（５）を介してビン（１）外部に抽出される。すなわち，ビン（１）内部の液体はガス供給手段（４）からの不活性ガスと置換されてビン（１）外部に抽出される。

なお，本発明は上記実施形態に限定されるものではなく，必要に応じて種々変更することが可能である。

本発明の実施形態に係るビン，コルク栓及び貫通針を示す要部断面図 貫通針が液体流路と気体流路とをともに備える場合のビン，コルク栓及び貫通針を示す要部断面図 本発明の実施形態に係る液体注出装置を示す概略図

符号の説明

１ ビン
２ コルク栓
３ 貫通針
３ａ 先端部
３ｂ 注出通路あるいは注入通路
３ｃ 不活性ガス供給手段の接続口，あるいは液体注出手段の接続口
４ ガス供給手段
５ 液体注出管

Claims (2)

1. 内部に液体が注入された状態で開口部をコルク栓によって密栓したビンから，内部の液体を所定の不活性ガスと置換することによりビン外部に注出する液体注出装置において，
   ビン内部の液体をビン外部に注出する注出通路あるいは不活性ガスをビン内部に供給する送気通路と，
   ビンに装着されたコルク栓に対し，コルク栓の開口部側の端面からビン底方向に向かって，コルク栓を貫通できるように鋭角状あるいは刀刃状に成形された先端部とを
   設けたことを特徴とするコルク栓の貫通針。
2. ビン内部の液体をビン外部に注出する注出通路と，
   不活性ガスをビン内部に供給する送気通路とを
   同時に備えることを特徴とする請求項１のコルク栓の貫通針。

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