JP2006327268A - ドラムブレーキ - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両姿勢に拘らず高い出力が安定して得られるカム式ドラムブレーキ装置を提供する。
【解決手段】 姿勢検出手段F1によって車両姿勢すなわち車両の進行方向や路面の傾斜方向等が検出されると、その車両姿勢に基づき、回転方向判断手段F2によってブレーキ解除時における回転ドラム48の回転方向が判断され、更に、回動方向決定手段F3によって、その回転方向に一致する方向にT字ロッド74の回動方向が決定される。そのため、T字ロッド74の回動方向がブレーキ解除時の回転ドラム48の回転方向に一致するため、車両姿勢に拘らず高い出力が安定して得られる。
【選択図】図6

Description

本発明は、カム式のドラムブレーキを備えたドラムブレーキ装置に関し、特に、その拡開制御の改良に関するものである。
バッキングプレートの一面に拡開可能に支持された円弧状の一対のブレーキシューと、それら一対のブレーキシューの一端部間に設けられたカム部材とを備え、そのカム部材を所定の軸心回りに回動させることにより、そのカム部材の一対の押圧面で前記一対のブレーキシューを拡開する方向にそれぞれ押圧して制動する形式のドラムブレーキが知られている(例えば特許文献1等を参照)。
図1は、上記カムタイプのドラムブレーキの一例であって、例えばトラック等の大型車両の駐車専用ブレーキであるセンターブレーキに用いられるドラムブレーキ10の全体構成を説明するための平面図であり、図2、図3は、図1におけるA−A視断面およびB−B視断面をそれぞれ示す図である。このドラムブレーキ10には、バッキングプレート12の一面に、全体としてそれぞれ円弧状を成す一対のブレーキシュー14,16が互いに拡開可能に支持されている。
上記ブレーキシュー14,16は、円弧状に曲成された板状のシューリム18と、そのシューリム18の内周面に突設されてバッキングプレート12と略平行に位置させられる円弧状かつ板状のシューウェブ20と、シューリム18の外周面に固着されたライニング22とをそれぞれ備えて構成されている。ブレーキシュー14,16の一端部は、シューリターンスプリング24,24の付勢力に従って、バッキングプレート12上に固定された拡開機構を構成するためのカム部材26の側面にそれぞれ当接させられるようになっており、ブレーキシュー14,16の他端部は引張コイルスプリング28の付勢力に従ってストラット30に押し付けられている。ストラット30はシュー間隙調整機構を備えており、ねじにより軸方向へ伸縮させられるようになっている。
また、バッキングプレート12とブレーキシュー14,16との間には、車体に取り付けるための取付板32が備えられている。上記カム部材26は、その取付板32の板厚方向に沿って伸び且つこれを貫通する軸部34と、その軸部34の取付板32側に位置する一端において図1、図2における上下方向に沿って伸びるカム部36とを備えたT字状を成し、そのカム部36がブレーキシュー14,16のシューウェブ20,20間に位置する。このカム部36のバッキングプレート12側の一面は取付板32に当接させられている。また、軸部34の他端は、その取付板32の裏面に一対のピン38,38によって固定された支持部材40を貫通し、レバー42がピン44によって軸部34の軸心回りの相対回動不能に取り付けられている。レバー42は、カム部材26への固定部がバッキングプレート12に当接させられており、そのため、カム部材26は、図3における左右方向への移動が取付板32およびレバー42によって禁止されている。なお、図3においては、カム部材26およびレバー42を側面視にて描いている。また、図1、図2において46はシューウェブ20を案内するためのガイドプレートである。
以上のように構成されたドラムブレーキ10は、レバー42のカム部材26とは反対側に位置する端部に連結された図示しないブレーキケーブルが引張られることにより、レバー42が図1における右回りに回動させられると、カム部材26がその軸部34の軸心回りにおいて右回りに回動させられる。そのため、そのカム部36の図1における上端部右側面によってブレーキシュー16のシューウェブ20が右方向に押圧されると共に、下端部左側面によってブレーキシュー14のシューウェブ20が左方向に押圧される。これにより、ブレーキシュー14,16がシューリターンスプリング24,24の付勢力に抗して外周側に押し出される(すなわち拡開させられる)ので、それらのライニング22,22が回転ドラム48の内周面にそれぞれ押し付けられて制動が行われる。ブレーキケーブルの引張り操作が解除されると、レバー42は、その長手方向における中間部に掛止められたリターンスプリング50の付勢力に従って左回りに回動させられ、図1に示される原位置に復帰させられる。
なお、上記図1等に示されるものは、レバー42をブレーキケーブルで回動させる機械式ブレーキであるが、レバー42に代えてカム部材26に電動機の回転軸を接続して電動ブレーキを構成することも可能である。
このようなカムタイプのドラムブレーキ10によれば、図4に示されるようなブレーキシュー14とバッキングプレート12との間にパーキングレバー52が取り付けられたドラムブレーキ54に比較して、小型軽量化が容易になるので、車両搭載性が高められる利点がある。すなわち、ドラムブレーキ54においては、パーキングレバー52をブレーキシュー14の一端部側に設けられたピン56回りに回動させることにより、そのパーキングレバー52でストラット58を介してブレーキシュー16を外周側に押圧すると共に、その反力でブレーキシュー14を外周側に押圧することでこれらを拡開させる。そのため、パーキングレバー52およびストラット58をバッキングプレート12の内面に設けることが必須となることから、大型化・重量化して車両搭載性に劣っていたのである。
特開昭59−19726号公報 特公平2−17736号公報 特開2004−36823号公報
ところで、上記従来のカムタイプのドラムブレーキ10は、前述したようにカム部材26が例えば図1における右回りに回動させられるようになっているが、これは、その回動方向を前進走行における回転ドラム48の回転方向を右回りとして、これに一致させたものである。このような回動方向および回転方向が一致する組合せであれば、制動状態で回転ドラム48が回転しようとするとき、その右回りの回転方向においてリーディングシューとなるブレーキシュー16と回転ドラム48との間の摩擦力の作用方向が、カム部材26によるそのブレーキシュー16の押圧方向と略一致する。図5は、カム部材26の回動方向a,bと回転ドラム48の回転方向A,Bとをそれぞれ示したものであるが、上記態様では、カム部材回動方向aとブレーキドラム回転方向Aとの組合せとなる。このように回動方向と回転方向の一致する組合せの場合には、図6に示すように、カム部材の入力に対して高い出力すなわち大きなブレーキ発生トルクが得られる。回転ドラムの回転方向がB方向で、カム部材の回動方向がb方向の場合も同様である。
しかしながら、回転ドラム48の回転方向が反対に左回りになるとき、すなわち、カム部材26の回動方向とは反対方向になるときには、その回転方向においてリーディングシューとなるブレーキシュー14のそのカム部材26による押圧方向が、そのブレーキシュー14をやや外周側に向かって押圧する方向であって、回転ドラム48との間の摩擦力の作用方向とは一致しない。そのため、上記の図6にカム回動方向とドラム回転方向とが一致しない場合について示すように、一致する場合ほどの高い出力は得られないことになる。
したがって、例えば、後進走行中における常用ブレーキ操作や、上り坂における駐車ブレーキ操作等のように、ブレーキ解除時の回転ドラムの回転方向が前進走行時とは反対方向になる車両姿勢では、十分に高いブレーキ出力を得ることができない問題があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、車両姿勢に拘らず高い出力が安定して得られるカム式ドラムブレーキ装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、バッキングプレートの一面に拡開可能に支持された円弧状の一対のブレーキシューと、それら一対のブレーキシューの一端部間に設けられたカム部材とを備え、そのカム部材を所定の軸心回りに回動させることにより、そのカム部材の一対の押圧面で前記一対のブレーキシューを拡開する方向にそれぞれ押圧して、それら一対のブレーキシューを回転ドラムの内周面に押し当てて制動する形式のドラムブレーキ装置であって、(a)ブレーキ作動時の車両姿勢を検出するための姿勢検出手段と、(b)その姿勢検出手段によって検出された車両姿勢に基づいてブレーキ解除時における前記回転ドラムの回転方向を判断する回転方向判断手段と、(c)その回転方向判断手段によって判断された回転方向に一致する方向に前記カム部材の回動方向を決定する回動方向決定手段とを、含むことにある。
このようにすれば、前記姿勢検出手段によって車両姿勢すなわち車両の進行方向や路面の傾斜方向等が検出されると、その車両姿勢に基づき、前記回転方向判断手段によってブレーキ解除時における前記回転ドラムの回転方向が判断され、更に、前記回動方向決定手段によって、その回転方向に一致する方向に前記カム部材の回動方向が決定される。すなわち、ブレーキ解除時には車両は慣性力や路面傾斜方向等に応じた方向に進行しようとするので、その際の回転ドラムの回転方向は、その車両姿勢に応じて一方向に定まる。そのため、上記のようにしてカム部材の回動方向を決定すれば、その回動方向がブレーキ解除時の回転ドラムの回転方向に一致するため、車両姿勢に拘らず高い出力が安定して得られるカム式ドラムブレーキ装置が得られる。
上記姿勢検出手段は、例えば、加速度センサ或いは傾斜計等から構成することができる。このようなセンサは一般に運転制御等の他の目的で設けられていることから、本発明によれば、構成部品を追加することなくドラムブレーキ装置の性能を向上させることができる。このため、ドラムブレーキ装置の軽量化や小型化が容易な利点もある。更に、この結果、ブレーキ内外部の省スペース化を図ることができるので、高い設計自由度を得ることができる利点もある。すなわち、車両搭載性にも優れている。
ここで、好適には、前記姿勢検出装置は車両の傾斜方向を検出するものであり、前記回転方向判断手段は、その姿勢検出手段によって検出された車両傾斜方向に基づいてブレーキ解除時における前記回転ドラムの回転方向を判断するものである。このようにすれば、姿勢検出手段によって検出された車両の傾斜方向すなわち路面の傾斜方向に基づき、回転方向判断手段によってブレーキ解除時における前記回転ドラムの回転方向が判断される。そのため、路面の傾斜方向に応じて決まるブレーキ解除時の回転ドラムの回転方向に一致するようにカム部材の回動方向が定められるので、路面の傾斜方向に拘らず高い出力が安定して得られる駐車ブレーキが得られる。
また、好適には、前記ドラムブレーキ装置は、前記バッキングプレートの板面を貫通して前記軸心回りの回動可能にそのバッキングプレートに支持され、その一端部において、前記カム部材が前記軸心回りの相対回動不能且つその軸心に垂直であって前記一対の押圧面に対して交差する所定方向の相対移動可能に係合させられたロッドを含むものである。
このようにすれば、バッキングプレートを貫通するロッドがカム部材に軸心回りの相対回動不能且つその軸心に垂直で押圧面に交差する方向の相対移動可能に係合させられることから、制動するに際してそのロッドを軸心回りに回動させると、カム部材が同方向に回動させられ、一対のブレーキシューを拡開方向に押圧する。このとき、一対のブレーキシューの各々と回転ドラムとのシュー間隙が相違する場合には、相対的にシュー間隙が小さい一方のブレーキシューが回転ドラムに押し当てられた後に更にロッドが回転させられると、カム部材がその一方のブレーキシューから受ける反力が他方から受ける反力に比べて大きくなるので、その反力の大きさの相違に基づき、そのロッドに対してその一方のブレーキシューから離隔する所定方向にそのカム部材が相対移動させられる。すなわち、よく知られたオルダム継手と同様に、回転軸に対して垂直な方向の相対移動を許容しつつロッドからカム部材に回転が伝達される。
そのため、一方のブレーキシューの外周側への移動完了後にも、上記所定方向に相対移動させられるカム部材が継続して他方のブレーキシューを押圧し外周側へ移動させるので、シュー間隙が相違する場合にも一対のブレーキシューの双方が互いに同様な押圧力で回転ドラムに押し当てられる。すなわち、ロッドの回転に従ったカム部材の相対移動によって偏り摩耗に対して好適に追従する。しかも、この追従性は、ロッドの回転とそれに応じたカム部材の移動とによって、ロッドが揺動することなく発揮されることから、バッキングプレートを貫通するロッドの揺動に起因する防水性の低下が好適に抑制される。また、揺動しないことから回転ロスが少なく回転効率がよい利点もある。上記により、偏り摩耗に対する追従性が高く且つ防水性に優れたドラムブレーキ装置が得られる。本発明は、このようなドラムブレーキ装置に好適に適用される。
因みに、前記図1〜図3に示される従来のカム式ドラムブレーキにおいては、カム部材26がその一端部においてはレバー42に拘束されているものの、その他端部すなわちブレーキシュー14,16間に位置するカム部36は、その長手方向の両端が取付板32に当接しているだけである。そのため、そのカム部36が図1、図2における左右方向となるその幅方向には何ら拘束されていないので、図2に示す点Pを中心にして矢印C、Dに示すようにカム部材26が揺動し易い。このような揺動が生じると、バッキングプレート12や支持部材40とカム部材26との隙間からドラム内に水が侵入し易く、十分な防水性能が得られない問題があった。また、ブレーキシュー14,16と回転ドラム内周面48とのシュー間隙が偏り摩耗等に起因して異なるものとなった場合には、シュー間隙の相対的に小さい一方のブレーキシューが回転ドラム内周面48に押し付けられた後、レバー42の回動に従ってカム部材26が揺動させられることで他方のブレーキシューのみが外周側に押し出されることとなるが、揺動中心がP点で固定されないので揺動が不安定になり、偏り摩耗に対する十分な追従性が得られない問題もあった。本発明の上記態様によれば、これらの問題が緩和され或いは解消されるのである。
なお、上記「軸心回りの相対回動不能」は、完全に相対回動が禁止される場合に限られない。すなわち、係合部分の隙間等に起因する僅かな相対回動等、ブレーキの作動に支障の無い程度の相対回動は許容される。
また、「軸心に垂直」な方向は、厳密に垂直を成す方向に限られず、ブレーキシューからの反力を受けることによるカム部材とロッドとの相対移動が容易に生じる程度の傾斜は許容される。
また、「押圧面に交差する所定方向」は、押圧面に垂直を成す方向が好ましいが、ブレーキシューからの反力によって容易に相対移動が生じる限りにおいて、如何なる角度で交差する方向であっても差し支えない。
また、「バッキングプレートに支持され」とは、直接または間接的にバッキングプレートに取り付けられていることを意味するものである。
また、好適には、前記ドラムブレーキ装置は、前記ロッドをその軸心回りに回動させるための電動機と、前記バッキングプレートの裏面に固定され且つ入力軸が前記電動機の回転軸に接続されると共に出力軸が前記ロッドに接続されることにより、その回転軸の回転をそのロッドに伝達する遊星歯車構造の減速機とを、含むものである。このようにすれば、ロッドをその軸心回りに回動させるための電動機の回転軸の回転が、バッキングプレートの裏面に設けられた遊星歯車構造の減速機を介して伝達されるため、レバーを用いてロッドを回動させる場合に比較して駆動機構が小型になる。したがって、タイヤホイール内に配置されることに起因する設計上の制約が緩和されるので、ブレーキの設計自由度が高められる利点がある。
なお、回転軸と入力軸、出力軸とロッドとは、直接に接続されてもよいが、他の1個以上の部品を介して間接的に接続されても差し支えない。なお、入力軸および出力軸は、全体として円柱状を成すものであってもよいが、円筒状或いは有底円筒状を成し回転軸やロッドが嵌め入れられるように構成されても良い。本願においてはこのようなものも「軸」に含める。
また、電動機は、バッキングプレートの裏面に直接または間接に取り付けることができるが、他の部材に固定して(すなわち別置きにして)、回転軸の回転をワイヤ等を介して入力軸に伝達しても差し支えない。
なお、前記カム部材の回動手段としては、電動機の他、ワイヤ等を用いることもできる。
また、本発明は、駐車ブレーキに好適に適用されるが、常用ブレーキ(すなわちサービスブレーキ)にも適用し得る。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図7は、本発明の一実施例のドラムブレーキ装置の要部、すなわちドラムブレーキ59の要部とこれを制御するために車両に備えられている電子制御装置ECの制御機能の要部とを説明するための機能ブロック線図である。図7において、姿勢検出手段F1は、車両姿勢すなわち車両の停止時に或いは停止中においてはその傾斜方向を、進行中においてはこれに加えて或いはこれに代えて車両の進行方向を随時検出し、回転方向判断手段F2は、その検出された車両姿勢に基づいて、ドラムブレーキが解除された状態における回転ドラム48の回転方向を判断する。上記姿勢検出手段F1は、例えば、加速度センサや路面勾配センサ等の運転制御に用いられるセンサで構成される。電子制御装置ECは、予め記憶されたプログラムを実行することにより、その姿勢検出手段F1の出力信号から車両姿勢を判断し、更に、その車両姿勢からブレーキ解除時の回転ドラム48の回転方向を判断する。また、回動方向決定手段F3は、上記判断された回転ドラム48の回転方向に一致するように、カム部材F5の回動方向すなわち後述するT字ロッド74の回動方向を決定する。回動手段F4は、そのカム部材F5を回動させるためのものであって、例えば、後述する減速機90,ウォームギヤ132、およびモータ148等によって構成される回転駆動機構である。
図8は、上記ドラムブレーキ59の要部であって、前記図1におけるE部に対応する部分すなわち拡開機構を拡大して示す平面図であり、図9はその正面図、図10はその図9の左側面図、図11、図12はそれぞれ図8のF−F視断面図、G−G視断面であって、図12は右に90度回転させて示している。本発明は、例えば、図1に示されるドラムブレーキ10に好適に適用され、図8において省略されている部分は、後述する駆動機構や制御機構を除いて、例えばその図1と同様に構成される。
上記図8〜図12において、ダストカバー12と、バッキングプレート32とを板厚方向に貫通するアンカーピン60が、カシメ62,62等によって固定されている。このアンカーピン60は、ダストカバー12の一面に密接させられた取付部64と、バッキングプレート32を貫通して先端部がその裏面に突き出した貫通部66と、ダストカバー12の一面に突設されたシュー受け部68とから成る。また、その内周部には、貫通部66側端面からシュー受け部68側端面に貫通する貫通孔70が備えられている。シュー受け部68は、先端側が基部側よりも小径の段付き円筒形状に構成されており、一対のブレーキシュー14,16のシューウェブ20,20は、その小径部の外周面すなわちシュー受け面72に当接している。上記アンカーピン60は、このシュー受け面72において、非制動時にシューウェブ20を受けるためのものである。
また、上記貫通孔70内にはT字ロッド74が刺し通されており、アンカーピン60のシュー受け部68から突き出したその一端にはスライドカム76が係合させられている。本実施例においては、これらT字ロッド74およびスライドカム76がそれぞれ請求の範囲にいうロッドおよびカム部材に相当し、これらによってブレーキシュー14,16の拡開機構が構成される。
図13〜図15は、それぞれ上記T字ロッド74を示す平面図、正面図、および右側面図である。T字ロッド74は、全体が略円柱形状の軸部78と、その一端において径方向の一方向に沿って伸びる矩形断面の案内突部80とを備えてT字状を成している。軸部78は、案内突部80とは反対側の他端に軸方向に沿ったスプライン歯が形成されたスプライン部82を備えると共に、案内突部80側の残部のうち両端部が中間部に比べてやや大径とされたものである。この両端部の直径は前記貫通孔70の内径よりも僅かに小さい程度であって、実質的に貫通孔70内において軸部78が径方向に移動し得ない大きさに定められている。また、案内突部80は、図13に示されるように、幅寸法が軸部78の直径よりもやや小さく、高さ寸法がその幅寸法よりもやや小さくされると共に、長さ寸法がその軸部78の直径の3倍程度とされている。
図11、図12に戻って、T字ロッド74は、その軸部78において貫通孔70内に軸心回りの回転可能且つこれに垂直な方向の移動不能に刺し通されており、案内突部80の下面がアンカーピン60のシュー受け部68側の開口端面86に当接し、軸部78の他端部側の一部がアンカーピン60の貫通部66側から突き出している。この突き出し端のスプライン部82の基部には周溝が設けられており、止め輪88が嵌め着けられている。また、そのスプライン部82は、減速機90の出力軸92に設けられた有底穴94に嵌め入れられ、その有底穴94の内周面に設けられた軸心方向に沿って伸びる歯溝に噛み合わされている。すなわち、例えばスプライン嵌合させられている。この出力軸92の軸心は軸部78と同心である。これにより、T字ロッド74は出力軸92にその軸心回りの相対回動不能且つ軸方向の相対移動が許容された状態で接続されている。なお、上記図11においては、後述する駆動機構を省略した。
また、図16〜図18は、それぞれ前記スライドカム76を示す平面図、正面図、および右側面図である。スライドカム76は、平面視において円形の周縁部の一部が互いに平行且つ中心に関して対称的な2直線によって切除された形状を有する板状部96と、その外周縁のうち円弧形状が残存し且つ中心に関して対称的な2位置において、その板状部96の一面から垂直に突設された一対の脚部98とから構成されている。
上記板状部96は、その脚部98とは反対側の一面において、その脚部98上に位置する一対の半月状部100相互間の中央位置に平面視において矩形の段部102を備えると共に、脚部98側の一面の中央部に脚部98を結ぶ直線に対して垂直な方向に沿って伸びる案内溝104を備えたものである。この案内溝104は、上記垂直な方向すなわち案内方向に沿って相対移動可能に前記案内突部80が嵌め合わされるものであって、その案内突部80の幅寸法および高さ寸法よりもそれぞれ僅かに小さい幅寸法および深さ寸法を備えている。また、その案内方向における長さ寸法は、案内突部80の長さ寸法よりも十分に短い長さ、例えばその2/3程度である。
また、前記一対の脚部98,98は、板状部96の一面から垂直に伸びるカム部106と、そのカム部106の先端部から板状部96の円弧状外周縁に略沿って且つその一面に平行に伸びる一対のウェブガイド部108,108とを、それぞれ備えている。なお、脚部98,98の内周面の曲率は、それぞれアンカーピン60のシュー受け部68の円筒状外周面の曲率よりも小さい値である。また、脚部98,98の相互間隔は、そのシュー受け部68の外径よりも僅かに大きい値である。カム部106は、図16に示されるように略矩形断面を成し、前記案内溝104の長手方向における幅寸法が、非制動時における一対のブレーキシュー14,16のシューウェブ20,20の端部の間隔に略一致する(図8、図9参照)。また、そのカム部106の板状部96からウェブガイド部108に向か
う方向における長さ寸法hは、そのシューウェブ20の厚さ寸法tよりも僅かに大きくされている。
図8〜図12に戻って、スライドカム76は、その案内溝104がT字ロッド74の案内突部80に嵌め入れられ、そのシュー受け部68の小径部の外周側に脚部98,98が位置する状態で前記アンカーピン60の開口端面86に載せられている。そのため、スライドカム76は、T字ロッド74に案内溝104の長手方向に沿って相対移動可能且つその軸部78の軸心回りの相対回動不能に係合させられている。なお、スライドカム76は、そのウェブガイド部108がシューウェブ20の下側に位置させられるので、T字ロッド74の案内突部80で上側から、そのウェブガイド部108で下側から、シューウェブ20を挟んだ組付け状態になる。そのため、T字ロッド74に締結するための締結装置等を別途必要とすることなく、そのシューウェブ20によってスライドカム76の脱落が防止されている。また、シューウェブ20のバッキングプレート32から離隔し或いはこれに接近する方向の移動がT字ロッド74およびスライドカム76によって抑制されている。すなわち、本実施例においては、案内突部80の軸部78側の下面がシュー規制面に相当する。なお、図8において110は、ブレーキシュー14,16を非制動時の位置に復帰させるためのシューリターンスプリングである。
また、図10および図12において、前記減速機90は、フランジ部112において円柱状の複数個のスペーサ113を介して前記バッキングプレート32に取り付けられると共にアンカーピン60に向かって伸びたボス部114においてその貫通部66に外周側から嵌め合わされた出力軸支持部材でもあるケース116と、そのボス部114の基部側内周面に設けられた段付き部に嵌め入れられた軸受118とを備えており、その軸受118によって前記出力軸92をその軸心回りの回転可能に支持している。
また、上記出力軸92は、前記有底穴94の軸心方向における反対側の端部にフランジ120および有底穴122を有している。なお、フランジ120と前記ケース116との間には僅かな空隙が存在する。このフランジ120の外周縁の近傍には、複数本の内ピン124が図12における左方に向かって突設されている。この内ピン124は、図19にH−H視断面を示すように、例えば8本が一円周上に等間隔で配置されている。また、内ピン124の各々には、円筒状の内ローラ126が相対回転可能に嵌め合わされている。
また、上記出力軸92の有底穴122内には、軸心回りの回転可能に支持された入力軸128の一端が差し込まれている。これら出力軸92および入力軸128は、軸心が一致して設けられ且つ自由に相対回転可能である。入力軸128の出力軸92側の端部近傍には、偏心体130が相対回転不能に嵌め着けられ、他端部近傍にはウォームギヤ132のウォームホイール134が相対回転不能に嵌め着けられている。この偏心体130は、その外周面が入力軸124の回転軸心Lに対して偏心したL’を軸心とする偏心面になっている。
上記偏心体130の外周面には、外歯歯車136が相対回転可能に嵌め合わされている。これら偏心体130と外歯歯車136との間には、図19に示すように複数本の円柱状のコロ138が備えられているが、図12においてはこれを省略した。外歯歯車136は例えばエピトロコイド歯形を有し、フランジ部112の内周に設けられた内歯歯車140と噛み合わされるようになっている。なお、内歯歯車140は、その内周面に図19に示すように複数本の外ピン142が周方向において一様な間隔で設けられることによって形成された円弧状歯形を備えたものである。この円弧状歯形の軸心は前記図13に示すLであり、外歯歯車136の歯数は内歯歯車140の歯数よりも僅かに、例えば1〜2程度だけ少なくなっている。なお、外ピン142の各々には例えば円筒状の外ローラが相対回転可能に嵌め合わされているが、図12においては何れも省略し、図19においては外ローラを省略した。
また、外歯歯車136には、上記軸心L’回りの一円周上すなわちその外周面と同心円上に、板厚方向に貫通する複数個例えば8個の内ピン孔144が一様な相互間隔で設けられている。この内ピン孔144は、前記内ローラ126の直径よりも僅かに、例えば前記偏心体130の入力軸128に対する偏心量と同一かそれよりも僅かに大きい程度だけ大きい直径で設けられており、相互間に隙間が形成された状態で内ローラ126が嵌め入れられている。このように構成された減速機90は、入力軸128が回転させられると、外歯歯車136がこれに対して偏心して回転させられ、その回転が内ピン124を介して出力軸92に伝達される。このとき、外歯歯車136の歯数が内歯歯車140の歯数よりも僅かに少なくされているため、出力軸92には、歯数および歯数差に応じた減速比で回転が伝達されることになる。なお、減速機90の減速機構の詳細は良く知られたものであるので省略する。
また、前記入力軸128に嵌め着けられたウォームホイール134には、それらの軸心方向に垂直な軸心回りに回転可能なウォーム146が噛み合わされている。前記ウォームギヤ132は、これらウォーム146およびウォームホイール134によって構成される。バッキングプレート32の裏面には、図20、図21等に示されるようにモータ148が固定されており、その回転軸150が上記ウォーム146に接続されている。回転軸150の軸心は入力軸128と垂直であって、ウォーム146と一致する。この回転軸150の回転方向は、前記図7に示されるように、姿勢検出手段F1〜回動方向決定手段F3によってブレーキ解除時の回転ドラム48の回転方向にT字ロッド74の回動方向が一致するように定められる。すなわち、その決定に従って、例えばモータ148の入力電流の極性が反転させられる。なお、ウォーム146は、その両端部において軸受152に回転可能に支持されている。また、モータ148のハウジング154には前記減速機90の入力軸128側を覆うと共に上記ウォームギヤ132を収容するカバー156が取り付けられており、そのカバー156が前記ケース116と共にバッキングプレート32に取り付けられることによってモータ148がバッキングプレート32の裏面に同時に取り付けられている。なお、入力軸128は、図示しないメタルブッシュ等を介して上記カバー156の有底穴および出力軸92の有底穴122に自由に相対回転可能に嵌め入れられている。
本実施例においては、上記のような内接噛合式遊星歯車構造の減速機90,ウォームギヤ132、およびモータ148によってT字ロッド74の回転駆動機構が形成され、前記のように構成された拡開機構を、そのT字ロッド74を軸心回りに回転駆動することによって作動させる。図22〜図24は、拡開機構の作動を説明する図である。
図22は、拡開開始時に対応する図であり、制動するためにモータ148が回転駆動されると、T字ロッド74と共にスライドカム76が例えば、R方向に回動させられる。このスライドカム76の回動方向Rは、車両の傾斜方向等の車両姿勢に応じて定まるブレーキ解除時の回転ドラム48の回転方向が図1における右回りの場合の回動方向である。車両姿勢がその反対である場合、すなわちこれに基づいて判断されるブレーキ解除時のドラム回転方向が図22の場合とは反対方向である場合には、図示のR方向とは反対方向にT字ロッド74およびスライドカム76が回動させられる。
スライドカム76が回動させられると、カム部106の側面すなわち押圧面158,158によってブレーキシュー14,16のシューウェブ20,20の端部がそれぞれドラムブレーキの外周側に向かって押圧されるので、それらブレーキシュー14,16は、それぞれ他端部(図1等を参照)を中心として矢印P1,P2方向に回動させられる。すなわち、拡開させられる。このとき、ブレーキシュー14,16は、略対称的に回動することとなる。また、ブレーキシュー14,16からT字ロッド74には、前記シューリターンスプリング110の弾性的な復元力等に起因して押圧面158を押圧し延いては図示のR方向とは反対の回動方向の力が作用する。しかしながら、その回動力が入力軸128まで伝達されても、ウォームホイール134によってウォーム146が逆転させられることはないので、モータ148に逆転方向の力が作用することはない。なお、上記押圧面158は、前記図17と対比すれば明らかなように、板状部96とウェブガイド部108との間に形成された凹所の底面に設けられている。
図23は、上記のように拡開させられることにより、ブレーキシュー14,16の一方(図23においてはブレーキシュー16)が回転ドラム内周面48(図1参照)に押し付けられた拡開中の段階を示している。この状態から更にT字ロッド74をR方向に回動させると、ブレーキシュー14は、未だ回転ドラム内周面48に接していないことから外周側に回動させられるが、既に回転ドラム内周面48に押し付けられているブレーキシュー16は、回動することができない。
そのため、スライドカム76がブレーキシュー14,16から受ける反力は、ブレーキシュー16から作用するものが相対的に大きくなるので、スライドカム76は、そのブレーキシュー16からの大きな反力を押圧面158に受けて、R方向に回動しつつT字ロッド74に対して矢印S方向に移動させられる。前述したように、スライドカム76は、その案内溝104においてT字ロッド74の案内突部80にその長手方向の相対移動可能に嵌め合わされていることから、R方向の回動量に応じてそのT字ロッド74に対して相対移動(すなわちスライド)させられるのである。これにより、ブレーキシュー16が図示の位置に留まったまま、ブレーキシュー14のみが矢印P1方向に回動させられる。すなわち、本実施例の拡開機構は、回動軸であるT字ロッド74が全く揺動することなく、ブレーキシュー14,16のシュー間隙の相違(すなわち偏り摩耗)に追従させられる。なお、この図22から明らかなように、スライドカム76の案内溝104の長手方向すなわち案内方向は、押圧面158,158に交差する方向、例えばこれに垂直を成す方向である。
図24は、ブレーキシュー14が回転ドラム内周面48に押し付けられることによって拡開が終了した段階を示している。この図24において、ブレーキシュー16は図23に示す段階と同位置に留まっているが、スライドカム76が回動させられつつその案内溝104の長手方向すなわち案内方向に沿ってブレーキシュー14側に移動させられることにより、その押圧面158でブレーキシュー14を外周側に向かって押圧するので、そのブレーキシュー14が、図23に示す段階よりも更に回動させられていることが判る。なお、実際のシュー間隙は極めて微小な大きさであり、回動角度も僅かであるが、図22〜図24では図示の都合上、回動角度を誇張して描いている。
そして、このような拡開状態において、スライドカム76の回動方向Rがブレーキ解除時の回転ドラム48の回転方向に一致させられていることから、右側に位置するブレーキシュー16は、回転ドラム48との摩擦力の作用方向に略一致するQ1方向にそのスライドカム76で押圧されるが、左側に位置するブレーキシュー14は、回転ドラム48との摩擦力の作用方向に略直交するQ2方向にそのスライドカム76で押圧される。この結果、回転ドラム48の回転方向との関係でリーディングシューとなるブレーキシュー16からスライドカム76をブレーキ解除方向(R方向の反対方向)に押圧する力が作用しないので、高いブレーキ出力が得られる。一方、登坂路における駐車状態等で車両姿勢が検出され、ブレーキ解除時の回転ドラム48の回転方向が反対方向すなわち図1等における左回り方向になることが判断されると、T字ロッド74の回動方向が上記とは反対方向に決定される。この結果、図22〜図24におけるR方向とは反対方向にスライドカム76が回動させられるので、図24の左右を裏返した作動状態となり、全く同様にして高いブレーキ出力が得られることとなる。
なお、上記の作動は、一対のブレーキシュー14,16のシュー間隙が相違する場合のものであり、シュー間隙が同一である場合には、スライドカム76の押圧面158,158がそれら一対のブレーキシュー14,16から同様な大きさの反力を受けたまま、それら一対のブレーキシュー14,16が回転ドラム内周面48に同時に押し当てられることとなる。そのため、この場合には、そのT字ロッド74に対するスライドカム76の相対移動は生じない。
要するに、本実施例によれば、姿勢検出手段F1によって車両姿勢すなわち車両の進行方向や路面の傾斜方向等が検出されると、その車両姿勢に基づき、回転方向判断手段F2によってブレーキ解除時における回転ドラム48の回転方向が判断され、更に、回動方向決定手段F3によって、その回転方向に一致する方向にT字ロッド74の回動方向が決定される。そのため、T字ロッド74の回動方向がブレーキ解除時の回転ドラム48の回転方向に一致するため、車両姿勢に拘らず高い出力が安定して得られる。
また、本実施例によれば、ダストカバー12およびバッキングプレート32を貫通するT字ロッド74がスライドカム76に軸心回りの相対回動不能且つその軸心に垂直で押圧面158に交差する方向の相対移動可能に係合させられることから、制動するに際してそのT字ロッド74を軸心回りに回動させると、スライドカム76が同方向Rに回動させられ、一対のブレーキシュー14,16を拡開方向に押圧する。このとき、一対のブレーキシュー14,16の各々と回転ドラム内周面48とのシュー間隙が相違する場合には、相対的にシュー間隙が小さい一方が回転ドラムに押し当てられた後に更にT字ロッド74が回転させられると、スライドカム76がその一方から受ける反力が他方から受ける反力に比べて大きくなるので、その反力の大きさの相違に基づき、そのT字ロッド74に対してそれら一対のブレーキシュー14,16の一方から離隔するS方向に相対移動させられる。
そのため、一対のブレーキシュー14,16の一方の外周側への移動完了後にも、その所定方向に相対移動させられるスライドカム76が継続して他方を押圧し外周側へ移動させるので、シュー間隙が相違する場合にも一対のブレーキシュー14,16の双方が互いに同様な押圧力で回転ドラムに押し当てられる。すなわち、T字ロッド74の回転に従ったスライドカム76の相対移動によって偏り摩耗に対して好適に追従する。しかも、この追従性は、T字ロッド74の回転とそれに応じたスライドカム76の移動とによって、T字ロッド74が揺動することなく発揮されることから、バッキングプレート32を貫通するT字ロッド74の揺動に起因する防水性の低下が好適に抑制される。
また、本実施例においては、スライドカム76の一対の押圧面158,158は、軸部78の軸心に沿った方向におけるそのスライドカム76の中間部において一対のブレーキシュー14,16の各々に向かう一面に設けられた一対の凹所の底面にそれぞれ備えられているため、シューウェブ20がその凹所内に収容される。そのため、何ら部品を追加することなく、T字ロッド74の回動軸心に沿った方向におけるブレーキシュー14,16の動きが好適に抑制される。
また、本実施例においては、非制動時において一対のブレーキシュー14,16のシューウェブ20を受けるためにバッキングプレート32に突設されたアンカーピン60が備えられており、前記T字ロッド74は、その軸心に垂直な方向の相対移動不能且つ前記軸心回りの相対回動可能にそのアンカーピン60を貫通して設けられているため、アンカーピン60に直接貫通孔70を明けることによってT字ロッド74の支持構造を構成できる。そのため、拡開機構を小型且つ軽量に構成でき、延いてはドラムブレーキの製造コストが低下する。しかも、バッキングプレート32とT字ロッド74との間に隙間が生じ得ないので防水性も優れている利点がある。
また、本実施例によれば、T字ロッド74をその軸心回りに回動させるためのモータ148の回転軸150の回転は、バッキングプレート32の裏面に取り付けられた減速機90を介して伝達されるため、レバー42等を用いてT字ロッド74を回動させる場合に比較して駆動機構が小型になる。したがって、タイヤホイール内に配置されることに起因する設計上の制約が緩和されるので、ブレーキの設計自由度が高められる利点がある。
また、本実施例によれば、減速機90は、入力軸128の軸心Lから偏心した軸心L’上に軸心が位置する外周面を有する偏心体130と、その軸心L’上に軸心が位置する外周面を有すると共にその軸心L’回りの一円周上に複数の内ピン孔144を有し且つ偏心体130にその軸心L’回りの相対回転可能に嵌め合わされた外歯歯車136と、軸心L上に軸心を有し且つその外歯歯車136と噛合う内歯歯車140と、複数の内ピン孔144の各々に僅かな隙間を有して挿入される複数の内ピン124を有し且つ軸心L回りの回転可能に設けられた出力軸92とを備えた内接噛合式遊星歯車構造の減速機であるため、小型軽量でありながら大きな減速比を得ることができるため、ドラムブレーキの一層の小型化が可能である。
また、本実施例によれば、モータ148回転軸150の回転がウォームギヤ132によって減速機90の入力軸128に伝達されることから、ブレーキシュー14,16の縮径方向の力がT字ロッド74に作用しても、そのT字ロッド74に伝達された回転力によってウォーム146が逆転させられることはないので、安定した制動力が得られる利点がある。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
従来のカムタイプの機械式ドラムブレーキを示す平面図である。 図1におけるA−A視断面にてカムの揺動を説明する図である。 図1におけるB−B視断面図である。 パーキングレバーおよびストラットがバッキングプレート上に備えられた従来のドラムブレーキの平面図である。 カム部材の回動方向とブレーキドラムの回転方向との関係を説明する図である。 図5に示す各回動方向および回転方向の組合せにおけるカム部材の入力とブレーキ出力との関係を説明する図である。 本発明の一実施例の制御構成を説明するための機能ブロック線図である。 本発明の一実施例のドラムブレーキに備えられたブレーキシュー拡開機構を説明するための図1のE部に対応する要部平面図である。 図8に示す拡開機構の正面図である。 図8に示す拡開機構の左側面図である。 図8におけるF−F視断面図である。 図8におけるG−G視断面図である。 図8に示すブレーキシュー拡開機構を構成するT字ロッドを示す平面図である。 図13に示すT字ロッドの正面図である。 図13に示すT字ロッドの右側面図である。 図8に示すブレーキシュー拡開機構を構成するスライドカムを示す平面図である。 図16に示すスライドカムの正面図である。 図16に示すスライドカムの右側面図である。 図11におけるH−H視断面にて内接噛合式遊星歯車構造の減速機の要部構成を示す図である。 図11における右側面をバッキングプレートおよびその上の構成部品を省略して示す図である。 図19のエンドプレートの一部を切り欠いてモータ回転軸の回転伝達機構を説明する図である。 図8に示すブレーキシュー拡開機構の作動を説明するための拡開開始時の状態を示す図である。 図22に続く拡開作動中の状態を示す図である。 図23に続く拡開完了時の状態を示す図である。
符号の説明
48:回転ドラム、74:T字ロッド

Claims (4)

  1. バッキングプレートの一面に拡開可能に支持された円弧状の一対のブレーキシューと、それら一対のブレーキシューの一端部間に設けられたカム部材とを備え、そのカム部材を所定の軸心回りに回動させることにより、そのカム部材の一対の押圧面で前記一対のブレーキシューを拡開する方向にそれぞれ押圧して、それら一対のブレーキシューを回転ドラムの内周面に押し当てて制動する形式のドラムブレーキ装置であって、
    ブレーキ作動時の車両姿勢を検出するための姿勢検出手段と、
    その姿勢検出手段によって検出された車両姿勢に基づいてブレーキ解除時における前記回転ドラムの回転方向を判断する回転方向判断手段と、
    その回転方向判断手段によって判断された回転方向に一致する方向に前記カム部材の回動方向を決定する回動方向決定手段と
    を、含むことを特徴とするドラムブレーキ装置。
  2. 前記姿勢検出装置は車両の傾斜方向を検出するものであり、
    前記回転方向判断手段は、その姿勢検出手段によって検出された車両傾斜方向に基づいてブレーキ解除時における前記回転ドラムの回転方向を判断するものである請求項1のドラムブレーキ装置。
  3. 前記バッキングプレートの板面を貫通して前記軸心回りの回動可能にそのバッキングプレートに支持され、その一端部において、前記カム部材が前記軸心回りの相対回動不能且つその軸心に垂直であって前記一対の押圧面に対して交差する所定方向の相対移動可能に係合させられたロッドを含むものである請求項1または請求項2のドラムブレーキ装置。
  4. 前記ロッドをその軸心回りに回動させるための電動機と、
    前記バッキングプレートの裏面に固定され且つ入力軸が前記電動機の回転軸に接続されると共に出力軸が前記ロッドに接続されることにより、その回転軸の回転をそのロッドに伝達する遊星歯車構造の減速機と
    を、含むものである請求項3のドラムブレーキ装置。
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