以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る刷版の加工装置の正面図、図2は同じく平面図、図3は同じく吸着板の平面図、図4は同じく吸着板の正面図、図5は図3におけるV矢視図、図6は図3におけるVI-VI 線断面図、図7は図3におけるVII-VII 線断面図、図8は同じく折り曲げの動作を説明するための要部を示す正面図、図9は刷版ガイドの動作を説明するための図2におけるIX矢視図、図10は版位置決め板の動作を説明するための図2におけるX-X 線断面図である。
図11は図10におけるXI矢視図、図12は図11におけるXII 矢視図、図13は図1におけるXIII矢視図、図14は図13における XIIII矢視図、図15は図2におけるXV矢視図、図16は図15におけるXVI 矢視図、図17は吸着板を取り除いた状態で示す要部の平面図、図18は図17におけるXVIII-XVIII 線断面図、図19は図17におけるXVIIII-XVIIII 線断面図、図20は操作パネルを示し、同図(A)は電源スイッチを示し、同図(B)は始動スイッチを示し、同図(C)は刷版のサイズを選択するスイッチを示す。
図1に全体を符号1で示す刷版の加工装置は、4本の脚2(2本の脚は図示せず)によって水平状態に支持された機台3と、この機台3の上方において刷版9を位置決めして保持する版保持台4と、この版保持台4の矢印A−B方向の両端側に設けられたくわえ側版曲げ手段5および尻側版曲げ手段6と、これら2つの版曲げ手段5,6によって刷版9を折り曲げ加工するときに刷版9の移動を規制するくわえ側版押え手段7および尻側版押え手段8とを備えている。
くわえ側版曲げ手段5は、機台3上に固定されたくわえ側版曲げベース10と、このくわえ側版曲げベース10上にくわえ側版押え手段7によって移動が規制された刷版9のくわえ側端部を折り曲げる第1の版折り曲げ用金型11とによって概略構成されている。これらくわえ側版曲げベース10と第1の版折り曲げ用金型11とが、請求項2,3,4に記載された他方の版曲げ手段に相当する。尻側版曲げ手段6は、後述する第3の駆動手段としてのエアーシリンダ33によって矢印A−B方向に移動可能な尻側版曲げベース12と、この尻側版曲げベース12上に尻側版押え手段8によって移動が規制された刷版9の尻側端部を2段に折り曲げる第2の版折り曲げ用金型13および第3の版折り曲げ用金型14とによって概略構成されている。これら尻側版曲げベース12と第2の版折り曲げ用金型13および第3の版折り曲げ用金型14とが、請求項2,3,4に記載された一方の版曲げ手段に相当する。
次に、図3ないし図7を用いて、本発明の特徴である版保持台4の移動構造および尻側版曲げベース12の移動構造について説明する。図3で符号20で示すものは、版保持台4を矢印A−B方向へ移動自在に案内する版保持台用案内手段であって、矢印C−D方向に一対設けられている。この版保持台用案内手段20は、図5に示すように、矢印A−B方向に延在し機台3上に固定されたレール21と、このレール21に矢印A−B方向へ移動自在に支持された移動子22とを備えている。この移動子22と連結部材23a,23bを介して一体化された版保持台4は、機台3の上方において案内手段20によって矢印A−B方向に移動自在に支持されている。
図6において、25はブラケット26を介して機台3上に水平に固定された第2の駆動手段としてのエアーシリンダであって、矢印A−B方向に進退するロッド25aには、連結部材24a,24bを介して版保持台4が取り付けられている。図4において、27は連結部材23bに取り付けられた係合部材であって、矢印A方向の端面27aは、くわえ側版曲げベース10に螺入されたボルト28の先端が当接する。一方、係合部材27の矢印B方向の端面27bは、機台3に取り付けられたブロック29に螺入されたボルト30の先端が当接する。
31は尻側版曲げベース12に取り付けられた支持台であって、案内手段20によって矢印A方向の端部が支持される版保持台4の矢印B方向の端部がこの支持台31上に載置されている。32は機台3に取り付けられた係合ブロックであって、後述するように矢印A方向へ移動する尻側版曲げベース12がこの係合ブロック32に当接する。
33,33は機台3上に取り付けられた第3の駆動手段としてのエアーシリンダであって、ロッド33aには尻側版曲げベース12が取り付けられており、ロッド33aが後退することにより尻側版曲げベース12が矢印A方向へ移動する。
このように構成されていることにより、エアーシリンダ25のロッド25aが後退すると、図4に示すように、版保持台4が矢印B方向へ移動し係合部材27の端面27bがボルト30の先端に当接する。このとき、版保持台4の矢印A方向の端面とくわえ側版曲げベース10との間に長さL1の間隔が形成される。また、このとき、上述したエアーシリンダ33のロッド33aが前進し、尻側版曲げベース12が矢印B方向に移動していると、同図に示すように、尻側版曲げベース12の矢印A方向の端面と版保持台4の矢印B方向の端面との間に長さL2の間隔が形成される。
この状態、すなわち、尻側版曲げベース12が矢印B方向へ移動した状態のとき、尻側版曲げベース12の矢印B方向の端部とくわえ側版曲げベース10の矢印A方向の端部との間の間隔Lが、最小のサイズの刷版9の全長に対応した長さに設定されている。
図3において、35は版保持台4にマトリックス状に配置された多数の吸引孔であって、この吸引孔35の裏面側には、図7に示すように一端が吸引ポンプ(図示せず)に接続されたホース36の他端が接続されている。このように構成されていることにより、後述するように、版保持台4上に刷版9が位置決めされて載置し、図示を省略していないバルブを開いて吸引ポンプに接続すると、刷版9が版保持台4上に吸着されて保持される。なお、版保持台4の矢印C方向の端部には一対の切欠き4a,4aが設けられており、この切欠き4aは、版保持台4上に刷版9を載置するときまたは取り外すときに手を差し入れるためのものである。
次に、図2、図3および図9ないし図12を用いて、刷版9を版保持台4に位置決めする位置決め手段について説明する。図2および図3において、40は版保持台4の矢印D方向の端部で矢印A−B方向の中央部に螺合されたボルトであって、このボルト40の頭部が版保持台4上に載置された刷版9の幅方向の位置決めを行う位置決めピンとして機能する。
図2において、42,42は版保持台4に刷版9を載置する際に、刷版9のくわえ側端部をガイドする刷版ガイドであって、くわえ側版曲げベース10の矢印A方向の端縁に位置付けられている。この刷版ガイド42は、図9および図12に示すように、くわえ側版曲げベース10に取り付けられたエアーシリンダ43によって、くわえ側版曲げベース10の上端面から上下方向に出没する。
図2において、45,45は刷版9に設けたU字状に形成された基準溝(図示せず)に係入する基準ピンであって、図10に示すように、くわえ側版曲げベース10に固定されたエアーシリンダ46のロッド46aに取り付けられている。このように構成されていることにより、エアーシリンダ46のロッド46aが前進することにより、基準ピン45がくわえ側版曲げベース10の上端面から突出し、ロッド46aが後退することにより、くわえ側版曲げベース10の上端面から没入する。
図2において、50,50は刷版位置決め板であって、図11に示すように、機台3に支持板52を介して回動自在に軸支された回動軸51の両端部に基端部が軸着されており、揺動端部50aには基準ピン45が係入するU字溝50bが設けられている。図12において、53は図示を省略したブラケットを介して機台3に取り付けられたモータであって、出力軸に軸着されたギア54に回動軸51に軸着されたギア55が噛合している。
このように構成されていることにより、モータ53が正方向へ駆動するとギア54,55を介して回動軸51が、図10に示すように、反時計方向に回動して刷版位置決め板50が図中二点鎖線の位置から実線の位置に回動し、揺動端部50aのU字溝50bに基準ピン45が係入して揺動端部50aがくわえ側版曲げベース10の上端面を押圧する。
次に、図8および図13ないし図15を用いて、版保持台4上に位置決めされて載置された刷版9を版曲げ手段5,6によって折り曲げ加工を行うときに、刷版9をくわえ側版曲げベース10および尻側版曲げベース12上に固定する版押え手段60A,60Bについて説明する。なお、くわえ側版曲げベース10に設けられた版押え手段60Aと尻側版曲げベース12に設けられた版押え手段60Bとは同じ構造を有しているので、ここでは一方の版押え手段60Bについて説明し、必要に応じて他方の版押え手段60Aについても説明する。
版押え手段60Bは、図13および図14に示すように、機台3の矢印C−D方向の両端部に固定された第1の駆動手段としてのエアーシリンダ61B,61Bと、このエアーシリンダ61Bのロッド62Bの進退によって上下動し矢印C−D方向に延在する版押え63Bとを備えている。64Bはエアーシリンダ61Bのロッド62Bと版押え63Bを連結する連結ステーであって、矢印B方向の端部がロッド62Bに取り付けられ、矢印A方向の端部に複数のボルトを介して版押え63Bが高さ方向が一定になるように水平状態を維持できるように調整可能に取り付けられている。
このように構成されていることにより、エアーシリンダ61Bのロッド62Bを前進させると、版押え63Bは連結ステー64Bを介して上方に移動して尻側版曲げベース12の上端面から離間して版の押えを解除する位置に位置付けられる。一方、エアーシリンダ61Bのロッド62Bを後退させると、版押え63Bは連結ステー64Bを介して下方に移動して尻側版曲げベース12の上端面に刷版9を押し付ける位置に位置付けられる。65A,65Bはそれぞれの連結ステー64A,64Bの矢印C方向の端面に取り付けられた側板であって、後述するように第1および第2の版折り曲げ用金型11,13を版押え63A,63Bの上下動に追従して一体的に上下動させるものである。
次に、図8および図15ないし図19を用いて、第1ないし第3の版折り曲げ用金型11,13,14について説明する。先ず、図8、図15および図16を用いて、第1の版折り曲げ用金型11について説明する。図15において、66は側板65Aの下部に取り付けられた支持板であって、この支持板66にはピン68を介してエアーシリンダ67が枢支されており、このエアーシリンダ67のロッド67aにはピン69の一端部が回転自在に軸支され、ピン69の他端部にはレバー70の一端部が固定されている。
71は駆動軸であって、連結ステー64Aの矢印C−D方向の両端部に取り付けられた支持ブロック72,72間に回転自在に軸支されており、側板65Aから突出した突出端部にはレバー70の他端部が固定され、支持ブロック72,72間における部位には第1の版折り曲げ用金型11が取り付けられている。73は側板65Aに設けられたストッパであって、レバー70の回動端限を決めるものである。
このように構成されていることにより、エアーシリンダ67のロッド67aを後退させると、レバー70を介して駆動軸71が図15中時計方向に回動することにより、第1の版折り曲げ用金型11が、図8において実線の位置から二点鎖線の位置に回動して、刷版9のくわえ側端部を折り曲げする。
次いで、図8および図15を用いて、第2の版折り曲げ用金型13について説明する。75は側板65Bの下部に取り付けられた支持板であって、この支持板75にはピン77を介してエアーシリンダ76が枢支されており、ロッド76aにはピン78の一端部が回転自在に軸支され、ピン78の他端部にはレバー79の一端部が固定されている。80は駆動軸であって、連結ステー64Bの矢印C−D方向の両端部に取り付けられた支持ブロック81,81間に回転自在に軸支されており、側板65Bから突出した突出端部にはレバー79の他端部が固定され、支持ブロック81,81間における部位には第2の版折り曲げ用金型13が取り付けられている。
82は側板65Bに設けられたストッパであって、レバー79の回動端限を決めるものである。このように構成されていることにより、エアーシリンダ76のロッド76aを前進させると、レバー79を介して駆動軸80が図15中反時計方向に回動することにより、第2の版折り曲げ用金型13が、図8において実線の位置から二点鎖線の位置に回動して、刷版9の尻側端部を1段折り曲げする。
次いで、図8および図17ないし図19を用いて、第3の版折り曲げ用金型14について説明する。図19において、85は側面視L字状に形成されたブラケットであって、上部が尻側版曲げベース12に取り付けられており、機台3に設けた孔から機台3の裏面側に臨む下部側には断面コ字状に形成された枢支部材86が取り付けられ、この枢支部材86にはエアーシリンダ87が枢支されている。
88は尻側版曲げベース12に取り付けられた軸受板89に横架された軸であって、この軸88を中心としてレバー90が回動自在に支持されている。このレバー90の機台3に設けた孔から機台3の下方側に臨む下端部にはエアーシリンダ87のロッド87aが枢着されており、レバー90の機台3の上方側に位置する上端には第3の版折り曲げ用金型14が取り付けられている。
91は機台3に設けられたストッパであって、レバー90の回動端限を決めるものである。このように構成されていることにより、エアーシリンダ87のロッド87aを前進させると、レバー90が軸88を中心として図19中時計方向に回動することにより、第3の版折り曲げ用金型14が、図中二点鎖線の位置から実線の位置に回動して、刷版9の尻側端部を2段折り曲げする。
次に、図8を用いて版保持台4に位置決めされて載置された刷版9のサイズを検知する検知手段について説明する。同図において、92は第2の版折り曲げ用金型13に取り付けられた検知器であって、版保持台4に位置決めされ載置した刷版9の尻側端部を検知する。すなわち、版保持台4に位置決めされて載置された刷版9がサイズの小さい刷版にもかかわらず、検知器92によって尻側端部が検知された場合およびサイズが大きい刷版にもかかわらず尻側端部が検知されなかった場合には、刷版9が所定のサイズではないと判断し、版曲げ加工を中止する。
次に、図20を用いて操作パネルのスイッチについて説明する。同図(A)において、94は刷版の加工装置1の電源をONとする電源スイッチである。95はエラー表示ランプであって、検知器92によって刷版9が所定のサイズではないと検知したときに点灯する。同図(B)において、96は刷版の加工装置1を始動する始動スイッチ、97は作動している刷版の加工装置1を停止させる停止スイッチである。同図(C)において、98は刷版の加工装置1によって加工する刷版9のサイズを選択する選択スイッチである。
次に、このような構成の刷版の加工装置1における刷版の加工方法について説明する。先ず、サイズの小さい刷版を加工する方法について説明する。図20において、電源スイッチ94をONとして電源を投入する。選択スイッチ98によって刷版のサイズを「小」に選択する。
図2において、刷版9の一方の側端部を把持し、版保持台4上において刷版9のくわえ側端部を刷版ガイド42,42によって案内させるようにして刷版9を矢印D方向へ移動させ、他方の側端を位置決めピン40に突き当てて刷版9を版保持台4上に載置し刷版9を仮位置決めする。図20において、始動スイッチ96をONとし、装置内の制御部に書き込まれているプログラムを動作させる。
プログラムが動作を開始すると、図9および図12において、エアーシリンダ43のロッド43aが後退するように作動し、刷版ガイド42が図中下方に移動して版保持台4上から没入する。図10において、エアーシリンダ46のロッド46aが前進し、基準ピン45が上昇して版保持台4の上面から突出し、突出した基準ピン45が版保持台4に仮位置決めされた刷版9の基準溝(図示せず)内に係入する。
図12において、モータ53が正方向へ駆動し、ギア54,55を介して回動軸51が、図10において、反時計方向に回動することにより刷版位置決め板50が図中二点鎖線の位置から実線の位置に回動する。実線の位置に回動した刷版位置決め板50の揺動端部50aのU字溝50bに基準ピン45が係入し、揺動端部50aがくわえ側版曲げベース10の上端面に載置した刷版9を圧接することにより刷版9の位置決めがなされる。
図7において、図示を省略した吸引ポンプが作動し、吸引エアーがホース36に供給され、吸引孔35と刷版9との間が負圧状態になって、刷版9が版保持台4上に吸着されて保持される。図3において、エアーシリンダ33のロッド33aが前進し、尻側版曲げベース12が矢印B方向へ移動して版曲げのための所定位置に位置付けられる。図12において、モータ53が逆方向へ駆動し、ギア54,55を介して回動軸51が、図10において、時計方向に回動することにより刷版位置決め板50が図中実線で示す刷版9を圧接している位置から二点鎖線の位置に回動して上昇する。
図13において、エアーシリンダ61A,61B(エアーシリンダ61Aは図示を省略)のロッド62A,62Bが後退し、版押え63A,63Bが下降して、これら版押え63A,63Bによって刷版9のくわえ側端部と尻側端部とが、くわえ側版曲げベース10と尻側版曲げベース12とのそれぞれに固定される。
図8において、検知器92によって、上述した選択スイッチ98によって選択した刷版9のサイズと異なる検知がされた場合、すなわち、検知器92によって刷版9の尻側端部を検知した場合には、選択スイッチ98によって選択した小さいサイズの刷版ではないと判断し、プログラムが中断するとともに、エラー表示用ランプ95が点灯する。このように、選択スイッチ98と検知器92とを設けたことにより、所望のサイズ通りの曲げ加工を行うことができるため無駄な刷版の発生を防止することができるとともに、金型の破損を防止することができる。
一方、図8において、検知器92によって、上述した選択スイッチ98によって選択した刷版のサイズと合致する検知がされた場合、すなわち、検知器92によって刷版9の尻側端部を検知しない場合には、選択スイッチ98によって選択した小さいサイズの刷版であると判断し、プログラムが中断することはない。したがって、図10において、エアーシリンダ46のロッド46aが後退し、基準ピン45が下降して版保持台4の上面から没入するので、基準ピン45の刷版9の基準溝(図示せず)内への係入が解除される。
図15において、エアーシリンダ67のロッド67aが後退し、レバー70を介して駆動軸71が図中時計方向に回動することにより、第1の版折り曲げ用金型11が、図8において実線の位置から二点鎖線の位置に回動して、刷版9のくわえ側端部が折り曲げられる。同時に、エアーシリンダ76のロッド76aが前進し、レバー79を介して駆動軸80が図15中反時計方向に回動することにより、第2の版折り曲げ用金型13が、図8において実線の位置から二点鎖線の位置に回動して、刷版9の尻側端部の1段折り曲げ加工がなされる。
図19において、エアーシリンダ87のロッド87aが前進し、レバー90が軸88を中心として図中時計方向に回動することにより、第3の版折り曲げ用金型14が図中二点鎖線の位置から実線の位置に回動して、刷版9の尻側端部の2段折り曲げ加工がなされる。エアーシリンダ87のロッド87aが後退し、レバー90が軸88を中心として図中反時計方向に回動することにより、第3の版折り曲げ用金型14が図中実線の位置から二点鎖線の位置に回動して初期位置に復帰する。
図15において、エアーシリンダ67のロッド67aが前進し、レバー70を介して駆動軸71が図中反時計方向に回動することにより、第1の版折り曲げ用金型11が図8において二点鎖線の位置から実線の位置に回動して初期位置に復帰する。同時に、エアーシリンダ76のロッド76aが後退し、レバー79を介して駆動軸80が図15中時計方向に回動することにより、第2の版折り曲げ用金型13が図8において二点鎖線の位置から実線の位置に回動して初期位置に復帰する。
図13において、エアーシリンダ61A,61B(エアーシリンダ61Aは図示を省略)のロッド62A,62Bが前進し、版押え63A,63Bが上昇して版押えが解除される。図7において、図示を省略した吸引ポンプからの接続が閉じて吸引エアーのホース36への負圧の供給が停止することにより、刷版9の版保持台4上での保持が解除される。
図12において、エアーシリンダ43のロッドが前進するように作動し、刷版ガイド42が図中上方に移動して版保持台4上から突出して復帰する。図3において、エアーシリンダ33のロッド33aが後退し、尻側版曲げベース12が矢印A方向へ移動して復帰する。図2において、版保持台4の切欠き4a,4aに手を差し入れて刷版9の一方の側端部を把持し、矢印C方向へ刷版9を引き出すことにより、刷版の加工装置1から刷版9を取り出す。
このとき、事前に尻側版曲げベース12を矢印A方向、すなわちくわえ側版曲げベース10側に移動させているため、折り曲げ加工した刷版9の尻側端部が尻側版曲げベース12から離間しているから、刷版9の尻側端部が尻側版曲げベース12からの取り外しが容易になる。図20において、電源スイッチ94をOFFとして電源を切断する。
次に、サイズの大きい刷版を加工する方法について説明する。図20において、電源スイッチ94をONとして電源を投入する。選択スイッチ98によって刷版のサイズを「大」に選択する。図2において、刷版9の一方の側端部を把持し、版保持台4上において刷版9のくわえ側端部を刷版ガイド42,42によって案内させるようにして刷版9を矢印D方向へ移動させ、他方の側端を位置決めピン40に突き当てて刷版9を版保持台4上に載置し刷版9を仮位置決めする。図20において、始動スイッチ96をONとし、装置内の制御部に書き込まれているプログラムを動作させる。
プログラムが動作を開始すると、図12において、エアーシリンダ43のロッドが後退し、刷版ガイド42が図中下方に移動して版保持台4上から没入する。図10において、エアーシリンダ46のロッド46aが前進し、基準ピン45が上昇して版保持台4の上面から突出し、突出した基準ピン45が版保持台4に仮位置決めされた刷版9の基準溝(図示せず)内に係入する。
図12において、モータ53が正方向へ駆動し、ギア54,55を介して回動軸51が、図10において、反時計方向に回動することにより刷版位置決め板50が図中二点鎖線の位置から実線の位置に回動する。実線の位置に回動した刷版位置決め板50の揺動端部50aのU字溝50bに基準ピン45が係入し、揺動端部50aがくわえ側版曲げベース10の上端面に載置した刷版9を圧接することにより刷版9の位置決めがなされる。
図7において、図示を省略した吸引ポンプへの接続を開閉するバルブを開くことにより、吸引エアーがホース36に供給され、吸引孔35と刷版9との間が負圧状態になって、刷版9が版保持台4上に吸着されて保持される。図3において、エアーシリンダ33のロッド33aが前進し、尻側版曲げベース12が矢印B方向へ移動して版曲げのための所定位置に位置付けられる。図12において、モータ53が逆方向へ駆動し、ギア54,55を介して回動軸51が、図10において、時計方向に回動することにより刷版位置決め板50が図中実線で示す刷版9を圧接している位置から二点鎖線の位置に回動して上昇する。
図13において、エアーシリンダ61A,61B(エアーシリンダ61Aは図示を省略)のロッド62A,62Bが後退し、版押え63A,63Bが下降して、これら版押え63A,63Bによって刷版9のくわえ側端部と尻側端部とが、くわえ側版曲げベース10と尻側版曲げベース12とのそれぞれに固定される。
図8において、検知器92によって、上述した選択スイッチ98によって選択した刷版のサイズと異なる検知がされた場合、すなわち、検知器92によって刷版9の尻側端部を検知しなかった場合には、選択スイッチ98によって選択した大きいサイズの刷版ではないと判断し、プログラムが中断するとともに、エラー表示用ランプ95が点灯する。
一方、図8において、検知器92によって、上述した選択スイッチ98によって選択した刷版のサイズと合致する検知がされた場合、すなわち、検知器92によって刷版9の尻側端部を検知した場合には、選択スイッチ98によって選択した大きいサイズの刷版であると判断し、プログラムが中断することはない。したがって、図10において、エアーシリンダ46のロッド46aが後退し、基準ピン45が下降して版保持台4の上面から没入するので、基準ピン45の刷版9の基準溝(図示せず)内への係入が解除される。
図15において、エアーシリンダ67のロッド67aが後退し、レバー70を介して駆動軸71が図中時計方向に回動することにより、第1の版折り曲げ用金型11が図8において実線の位置から二点鎖線の位置に回動して、刷版9のくわえ側端部が折り曲げられる。刷版9のくわえ側端部の折り曲げ加工が終了すると、エアーシリンダ67のロッド67aが前進し、レバー70を介して駆動軸71が図中反時計方向に回動することにより、第1の版折り曲げ用金型11が、図8において二点鎖線の位置から実線の位置に回動して初期位置に復帰する。
図13において、エアーシリンダ61A,61B(エアーシリンダ61Aは図示を省略)のロッド62A,62Bが前進し、版押え63A,63Bが上昇して版押えが解除される。図6において、エアーシリンダ25のロッド25aが前進し、版保持台4が矢印A方向、すなわちくわえ側版曲げベース10側に移動する。この移動が本発明の特徴であり、この移動によって、大きいサイズの刷版の尻側端部の版曲げ加工の準備がなされる。
図13において、エアーシリンダ61A,61B(エアーシリンダ61Aは図示を省略)のロッド62A,62Bが後退し、版押え63A,63Bが下降して、これら版押え63A,63Bによって刷版9のくわえ側端部と尻側端部とが、くわえ側版曲げベース10と尻側版曲げベース12とのそれぞれに固定される。
図15において、エアーシリンダ76のロッド76aが前進し、レバー79を介して駆動軸80が図15中反時計方向に回動することにより、第2の版折り曲げ用金型13が、図8において実線の位置から二点鎖線の位置に回動して、刷版9の尻側端部の1段折り曲げ加工がなされる。
図19において、エアーシリンダ87のロッド87aが前進し、レバー90が軸88を中心として図中時計方向に回動することにより、第3の版折り曲げ用金型14が、図中二点鎖線の位置から実線の位置に回動して、刷版9の尻側端部の2段折り曲げ加工がなされる。刷版9の尻側端部の2段折り曲げ加工が終了すると、エアーシリンダ87のロッド87aが後退し、レバー90が軸88を中心として図中反時計方向に回動することにより、第3の版折り曲げ用金型14が、図中実線の位置から二点鎖線の位置に回動して初期位置に復帰する。
次いで、エアーシリンダ76のロッド76aが後退し、レバー79を介して駆動軸80が図15中時計方向に回動することにより、第2の版折り曲げ用金型13が、図8において二点鎖線の位置から実線の位置に回動して初期位置に復帰する。
図13において、エアーシリンダ61A,61B(エアーシリンダ61Aは図示を省略)のロッド62A,62Bが前進し、版押え63A,63Bが上昇して版押えが解除される。図7において、図示を省略した吸引ポンプからの接続が閉じて吸引エアーのホース36への負圧の供給が停止することにより、刷版9の版保持台4上での保持が解除される。
図12において、エアーシリンダ43のロッドが前進するように作動し、刷版ガイド42が図中上方に移動して版保持台4上から突出して復帰する。図3において、エアーシリンダ33のロッド33aが後退し、尻側版曲げベース12が矢印A方向へ移動して初期位置に復帰する。図6において、エアーシリンダ25のロッド25aが後退し、版保持台4が矢印B方向、すなわち尻側版曲げベース12側に移動する。
図2において、版保持台4の切欠き4a,4aに手を差し入れて刷版9を把持し、矢印C方向へ刷版9を引き出すことにより、刷版9の加工装置1から刷版9を取り出す。このとき、事前に尻側版曲げベース12を矢印A方向、すなわちくわえ側版曲げベース10側に移動させているため、折り曲げ加工した刷版9の尻側端部が尻側版曲げベース12から離間しているから、刷版9の尻側端部が尻側版曲げベース12からの取り外しが容易になる。図20において、電源スイッチ94をOFFとして電源を切断する。
このように、版保持台4をくわえ側版曲げ手段5と尻側版曲げ手段6との間で移動させるエアーシリンダ25を備え、サイズの大きい刷版の場合には、くわえ側版曲げ手段5によってくわえ側端部の曲げ加工を行った後、版保持台4をくわえ側版曲げ手段5側に移動させ、尻側版曲げ手段6によって尻側端部の曲げ加工を行うようにしたことにより、サイズの異なる刷版を1台の刷版の加工装置1によって加工できるため、経済性に優れかつ設置のスペースが狭くてもよい。
なお、本実施の形態においては、2種類のサイズの刷版に対応させるようにしたが、版保持台4の移動位置を3箇所以上とすることにより3種類以上のサイズの刷版に対応させることもできる。また、本実施の形態においては、尻側版曲げベース12をくわえ側版曲げベース10側に移動させるようにしたが、くわえ側版曲げベース10を尻側版曲げベース12側に移動させるようにしてもよく、また、くわえ側版曲げベース10と尻側版曲げベース12とを共に互いに近接する方向へ移動させるようにしてもよい。また、本実施の形態においては、版保持台4をくわえ側版曲げベース10側に移動させるようにしたが、尻側版曲げベース12側に移動させるようにしてもよい。
1…刷版の加工装置、3…機台、4…版保持台、5…くわえ側版曲げ手段、6…尻側版曲げ手段、7…くわえ側版押え手段、8…尻側版押え手段、10…くわえ側版曲げベース、11…第1の版折り曲げ用金型、12…尻側版曲げベース、13…第2の版折り曲げ用金型、14…第3の版折り曲げ用金型、20…版保持台用案内手段、25…エアーシリンダ(第2の駆動手段)、33…エアーシリンダ(第3の駆動手段)、35…吸引孔、40…位置決めピン、42…刷版ガイド、45…基準ピン、50…刷版位置決め、60A,60B…版押え手段、61A,61B…エアーシリンダ(第1の駆動手段)、63A,63B…版押え、67,76,87…エアーシリンダ、94…電源スイッチ、96…始動スイッチ、98…選択スイッチ。