JP2006323926A - 記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】収差補正用光学系とフレア除去光学系に共通のエキスパンダレンズを用いる。レーザ光源31から出て平行光となったS偏光は、ビームスプリッタ33を透過してエキスパンダレンズ34aに入る。一旦集光した光束はピンホール39aを透過し、エキスパンダレンズ34bを経てλ/4波長板40を通ることで円偏光化される。多層記録媒体30からの戻り光はλ/4波長板40によりP偏光に変換され、信号光はピンホール39aを通るがフレア光は遮光性の周辺部分39bに到り遮断される。
【選択図】 図2
Description
この問題の解決方法として、別途光学素子を光路中に設け、対物レンズへの入射光の状態を変換して収差補正を行う。光学素子は、光軸方向に移動できるように、例えば一軸のアクチュエータに搭載されて、電流制御によって駆動され、所望の記録層にアクセスする場合、同時に、前記光学素子を、記録層間に充填されている透明材料の厚みによっておよそ決定されている最適位置に移動し、収差補正を行う。
最適位置への移動は、他のフォーカス、トラック位置制御のように、検出信号をフィードバックして制御するクローズドループと異なり、目標値を予め決める、またはその都度目標信号を検出して目標値を決定する、オープンループ制御で行われる。そのため、従来例では、特に2層以上の多層において、前記駆動誤差(アクチュエータの感度誤差、コイル抵抗誤差)、目標信号の検出誤差等の要因によって収差補正に誤差が生じ、結果、各種信号の劣化により記録再生が不安定になる不具合が懸念される。
従来技術においては、エキスパンダを用いて収差補正の例はあるが(例えば、特許文献1 参照。)、層間隔が広く収差補正は必須であるがフレア光除去は必要ない事例であり、狭層間隔、多層に対応した、収差補正とフレア除去を会わせた例はない。
図17は従来紹介されている多層記録媒体対応の構成例を示す図である。
同図において符号30は多層記録媒体、31は光源、32はコリメータレンズ、33はビームスプリッタ、34は収差補正用エキスパンダレンズ、35は対物レンズ、36は検出レンズ、37は受光素子、38はピンホール用エキスパンダレンズ、39はほぼ中央にピンホール39aを有する開口素子をそれぞれ示す。
収差補正光学系34a、34bと、開口素子39を用いたフレア光除去をそれぞれ組み合わせて光ピックアップを構成した一般的な例であり、照明系に収差補正用エキスパンダレンズ素子34a、34b、を配置し多層記録媒体30の層間隔に応じてエキスパンダレンズのいずれか一方を稼働させて収差補正を行う。信号検出系にはピンホール39a、ピンホール用エキスパンダレンズ38a、38bの部品を配置し、他層からのフレア光をこれらの系によって分離を行っている。すなわち、信号光は丁度ピンホール39aに集光するのに対し、フレア光はその前後に集光するため殆どのフレア光はピンホール39aを透過できない。この構成でそれぞれの目的は達成できているが、構成がやや複雑になっている。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、互いに異なる正の焦点距離を有する少なくとも2群2枚以上の光学素子を共通の光軸上に配置し、前記レーザ光源から見て近い方の光学素子の後側焦点位置と、遠い方の光学素子の前側焦点位置とがほぼ一致させてあることを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、2群2枚構成の正の焦点距離を有する非球面レンズであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、請求項1または2に記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、2群2枚構成の正の焦点距離を有する回折型レンズであることを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記収差補正手段のうち、少なくとも光源に近い側の光学素子は、異なった波長に対して焦点位置がずれないように色収差補正が施されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、前記偏光ビームスプリッタと前記対物レンズとの間に配置されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、前記対物レンズに近い方の光学素子のみを光軸方向に移動させることによって収差補正することを特徴とする。
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、前記レーザ光源に近い方の光学素子と前記信号分離素子とをほぼ一体的に光軸方向に移動させることによって収差補正することを特徴とする。
請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の記録再生装置において、前記開口は外部信号によって開口径が任意、または段階的に可変できる透過型素子であることを特徴とする。
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の記録再生装置において、前記開口は液晶素子による円形開口であるを特徴とする。
請求項13に記載の発明では、請求項11に記載の記録再生装置において、前記開口は電気信号によって光の透過率が変化するエレクトロクロミック素子による円形開口であるを特徴とする。
請求項14に記載の発明では、請求項11に記載の記録再生装置において、前記開口は液晶素子を微細な領域に区切った開口の集合体であって、前記液晶素子上に集光される記録媒体からの信号スポット光の位置によって、任意に開口領域、開口径を設定することができることを特徴とする。
請求項16に記載の発明では、請求項10に記載の記録再生装置において、前記開口は偏光方向に無関係な光透過性の微細開口と、該微細開口以外の部分は前記レーザ光源からの入射光の偏光方向のみを透過させる偏光板で構成されることを特徴とする。
請求項17に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記信号分離素子は、直線偏光の入射光束にλ/4の位相差を発生させる微細開口と、該微細開口領域以外は、該微細開口を透過して多層記録媒体から反射された戻り光が透過したとき元の偏光方向と平行な方向の直線偏光となるような偏光光学特性を有する複合素子であることを特徴とする。
請求項18に記載の発明では、請求項17に記載の記録再生装置において、前記開口は、外部信号の電圧印加量によって印加した領域の位相差を可変することができる透過型素子であって、印加電圧領域によって同位相領域の開口径が任意、または段階的に可変できるように同心円状の領域に複数分割されてあって、分割領域の選択によって同位相の開口径を変化させることを特徴とする。
請求項20に記載の発明では、請求項18に記載の記録再生装置において、前記開口は、液晶素子を微細な領域に区切った開口の集合体であって、前記液晶素子上に集光される記録媒体からの信号スポット光の位置によって任意な領域に信号を印可して前記同位相の開口位置および開口径を可変させることを特徴とする。
請求項21に記載の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記信号分離素子は、前記収差補正手段の前記光軸に直交する向きで、前記レーザ光源に近い側の光学素子の後側焦点を挟んで互いに所定距離隔てて配置された2枚の波長板により構成され、前記収差補正手段の前記光軸を通り該光軸に直交する直線で2つの領域に分割され、それぞれの波長板は前記2つの領域のうち一方の領域に存在する部分は1/4波長板として形成され、他方の領域に存在する部分は−1/4波長板に形成されていることを特徴とする。
ピンホールを照明光学系の途中に入れることにより、照明光学系の空間フィルターとしても作用するために、光源の品質が十分で無い場合でも良好な結像性能を確保できる。
収差補正手段の構成は正の焦点距離を有する2群のレンズ構成とすることにより、比較的簡単な構成でありながら、非球面レンズ、ダブレットレンズ、あるいは回折型レンズ等を用いることができ、球面収差や色収差等が十分小さくなるよう設計できる。2群のレンズの焦点距離を異ならせることにより、エキスパンダの倍率を任意に設計でき、収差補正に対する感度を選ぶことができる。
収差補正のためにエキスパンダレンズのいずれか一方を光軸方向に移動させても、中間の集光点がピンホールから外れることがなく、したがって、PBS33にて分離される光束角は常に一定に保たれ、受光素子上の受光スポットにオフセット等の影響は出ない。
回折限界近くの微少開口は初期調整が困難であるが、電気信号によって開口を任意に制御可能にすることにより、初期設定をしやすくでき、微少開口のアライメントを正確に行うことが可能である。
正確な読み出しを行う必要がある再生時は開口を小さくし、書き込み時は光出力のロスを減らす為に開口を大きくすることができ、それぞれの動作について使い分けが可能である。
微少開口を透過するスポット位置に応じて開口部が素子面内で移動出来るように電極を設けておき、スポットの移動等に伴い最適な位置に開口を移動して光束の蹴られを解消することができる。
同図において符号10は光ディスク、11はスピンドルモーター、12は光ピックアップ装置、13はLDドライバ、14はLD制御回路、15はスピンドルモータドライバ、16はモーター制御回路、17はActドライバ、18はサーボ制御回路、19はCPU、20はFRAM、21はバッファマネージャ、22はバッファRAM、23はエンコーダ、24はデコーダ、25はインターフェイス、26は再生信号処理回路をそれぞれ示す。
再生信号処理回路26は主にI/V変換回路26a、RF検出回路26b、サーボ検出回路26c、β検出回路26d、ウォブル検出回路26d等によって構成されている。
前記I/V変換回路26aは、光ピック内に設けられた光受光素子からの信号を光電変換すると共に、所望のゲインに増幅する。
サーボ検出回路26cは、I/Vアンプ26aから増幅された出力信号に基づいて、フォーカス信号、およびトラックエラー信号などのサーボ信号を演算検出し、サーボ制御回路18に出力され、Actドライバ17を介してフォーカス、トラック制御を行う。
RF検出回路26bは、I/Vアンプ26aから増幅された出力信号をもとに、再生信号としてデコーダ24に出力され、復調処理され再生信号として、インターフェイス25を介して、ホスト(PC)100に伝達される。
ウォブル検出回路26dは、記録媒体に予め埋め込まれているウォブル信号を検出する。検出された前記信号はデコーダ24によってアドレス情報、同期信号、記録媒体ベンダー情報、ストラテジ情報等を抽出される。
LD制御回路14は、光ピックアップ12に搭載されている半導体レーザーの光出力制御を、光ピックアップに搭載されている、光出力のモニタ信号をフィードバックさせながら、LDドライバ13を介して制御を行っている。
FRAM(フラッシュメモリ)20は、記録再生装置を駆動するためのプログラム領域と、サーボ制御パラメータ、ストラテジパラメータ、LD発光パラメータ等のデータ領域にて構成されており、必要に応じてCPU19からの制御命令によりアクセス制御される。プログラム領域は記録再生装置の動作中は書き換えを行わないが、データ領域は、パラメータ値の更新等により書き換えが可能となっている。
同図において符号30は多層光ディスク、31は半導体レーザー光源、32はコリメータレンズ、33はビームスプリッタ、34は収差補正手段としてのエキスパンダレンズ、35は対物レンズ、36は検出レンズ、37は受光素子、39は開口素子、40はλ/4波長板をそれぞれ示す。
光ピックアップ内に設けられた半導体レーザー光源31は、例えば、波長λ=780(nm)のレーザー光を発する。半導体レーザー光源31から射出された特定の方向の直線偏光からなる光ビームはコリメータレンズ32により平行光ビームにされる。平行光ビームは、その偏光方向の光束を透過させるビームスプリッタ33、エキスパンダレンズ34a、開口素子39、エキスパンダレンズ34b、λ/4波長板40を経て、円偏光に変換され、対物レンズ35により集光されて多層光ディスク30に照射される。照射された光ビームは多層光ディスク30により反射され、反射光は対物レンズ35、λ/4波長板40を経て、入射時とは90°ずれた直線偏光に変換されてエキスパンダレンズ34b、開口素子39、エキスパンダレンズ34a、ビームスプリッタ33に到り、ここでこの偏光方向の光束は反射され、検出レンズ36を経て受光素子37で検出される。
開口素子39は、光源からの光をビームエキスパンダ34aで集光した焦点位置に設置されており、従来例における説明と同様、他層からのフレア光除去と、光源に対する空間フィルターの役割を果たしている。
対物レンズ35には図示しない対物レンズアクチュエータが設けられている。この対物レンズアクチュエータは、例えば複数の板バネとボイスコイルを有している。受光素子37により、反射光が検出され、電気信号に変換される。当該検出信号は信号処理回路に供給され、記録層に記録されたデータ信号やアドレス情報信号等の読取信号が生成されるとともに、フォーカスエラー信号(FE)、トラッキングエラー信号(TE)等の誤差信号が生成される。これら誤差信号(FE、TE等)に基づいて対物レンズアクチュエータを動作させ、対物レンズ35を駆動することによって、フォーカシング、トラッキング制御等のサーボループが形成され、サーボ制御が実行される。
本実施例においては、収差補正手段34を対物レンズ35とPBS33の間に設置する。エキスパンダレンズ34bが収差補正のために光軸方向に移動して、発散、または集光光束になった場合においても、多層記録媒体30の情報記録面に集光した光束は逆の光路を辿り、ピンホール39aに集光する。したがって、戻りの光束はエキスパンダ34aにて再び元の光束に変換されるので、PBS33にて分離される光束角は常に一定に保たれ、受光素子37上の受光スポットにオフセット等の影響は出ない。
ただし、エキスパンダレンズ34aの方を光軸方向に動かすと、エキスパンダレンズ34aの焦点位置が開口素子39の開口位置とズレを生じてしまい、光束の蹴られが発生することになる。したがって、エキスパンダレンズ34aの方を移動させる構成の場合は、開口素子39と一体的に移動させるのがよい。そうすれば移動による光束の蹴られの問題は発生しない。
すなわち、本光学系を用いて収差補正を行う場合、エキスパンダレンズ34bのみによって行うか、エキスパンダレンズ34aと開口素子39を一体化して行うかのいずれかになる。
本実施例では、開口素子39とλ/4波長板が同一の部品として構成され、部品の複合化による部品点数の削減と省スペース化を実現している。
詳しくは、円形開口部分(以下ピンホールという)39aがλ/4波長板で構成され、それ以外の周辺部分39bが例えば遮光性部材で構成されている。こうすることにより、光学系の構成はより簡単になる。また、ピンホール39aは照明光学系の空間フィルターとしても作用するために、光源の品質が十分で無い場合でも良好な結像性能を確保できる。
ビームスプリッタ33を透過した直線偏光性の光束は、収差補正用エキスパンダレンズ34aによりピンホール39aに集光し、λ/4波長板で位相を付加されて円偏光化され、エキスパンダレンズ34bにより平行光に戻され対物レンズ35によって多層記録媒体30の所望の情報記録面に入射し集光する。そこからの反射光(戻り光)は入射と逆の経路を通り、ピンホール39aを通ったところで、光束は元の偏光方向とは90°ずれた直線偏光に変換されてエキスパンダレンズ34aを透過する。したがって、戻り光の偏光方向はビームスプリッタ33にとって反射性となり、検出レンズ36を経て受光素子37に到る。
所望でない情報記録面からの反射光、いわゆる不要光(あるいは迷光とも言う)は、対物レンズ35により平行光にならず、例えば発散光になるか、あるいは収束光になり、エキスパンダレンズ34bに入射する。したがって、エキスパンダレンズ34bによる収束点がピンホール位置から前後にずれた場所になり、その光束の殆どはピンホール39a以外の周辺部分39bによって遮光される。
開口素子39の周辺部分39bを単なる遮光性部材とするほかに、−λ/4波長板、あるいは3λ/4波長板とする方法もある。周辺部分39bを通った不要光は、元の偏光方向の直線偏光に戻るか、ピンホール39aを通った信号光束に対しλ/2位相がずれた直線偏光の光束となる。いずれにしても、不要光はピンホール39aを通った光束とは90°ずれた直線偏光となり、ビームスプリッタ33で反射されることなく、光源側へ透過する。
図5は実施例の収差補正特性図である。
図6は実施例の収差補正素子設定感度を示す図である。
本実施例においては、フレア光除去を円形開口による遮光を利用しているため、収差補正手段内で光束を集光させる必要がある。よって収差補正手段の構成は正の焦点距離を有し、光軸を一致させた(共軸)2群のレンズ構成となり、この間に円形開口を設ける。収差補正素子の配置は、対象とする多層記録媒体の層数と対物レンズの仕様によって決定されるが、図5の設計例においては、多層記録媒体の仕様が総基板厚み0.41mm〜0.65mmであった場合、対物レンズの設計仕様が0.53mmにおいて最適設計がなされている無限系対物レンズを使用すると、対物レンズに入射する光束は平行光束が最適となるので、収差補正手段は入射平行光束が出射側においても平行光束となるように、それぞれの光学素子の焦点距離を加えた距離を離した配置に設定する。すなわち、レーザ光源に近い側のエキスパンダレンズ34aの後側焦点fa2と、遠い側のエキスパンダレンズ34bの前側焦点fb1とが原則として一致させてあり、この位置に円形開口を配置する。収差補正のためにどちらか一方のレンズを移動させるときは上記2つの焦点位置が若干ずれることになる。
また、収差補正素子に用いているレンズの焦点距離を互いに異なった焦点距離にすることによって、エキスパンダの倍率を拡大、または縮小に任意に設定することが可能となり、収差補正に対する感度(レンズの移動量)を任意に設定することができる。図6の設計例では、異なったレンズ系の組み合わせにより感度の異なった2種類の感度を設定している。高倍率の線図は、図4に示す構成において左側を入射側とした場合の例であり、低倍率の図は同図において右側を入射側とした場合の例を示している。駆動感度は搭載する光ピックアップの機構ストローク量、感度を考慮して倍率を設定する。
本実施例においてはフレア光を除去する開口素子をナノ構造を有した基板を用いる。前記基板上は信号分離用の微細開口領域とその他の領域に分割され、分割された一方の光学軸に対して他方は90度回転した軸となるように光学軸を設定する。
記録再生装置に対しては、装置内に設けられているPBSの透過(または反射)偏光面に対して45度になるように設置し光アイソレータを構成する。
本ナノ構造素子を図3の光学系に適用した構成を説明する。LD31より発光したレーザ光はエキスパンダレンズ34aにより集光され開口素子39に到達する、開口素子39のピンホール39aはλ/4の位相差とレーザ光の偏光方向に対して45度となる偏光軸に設定してあり、ピンホール39aでほとんどケラレることなく透過すると同時に円偏光に変換され記録媒体に集光される。記録媒体から反射され再度ピンホール39aを透過した信号光は90度回転した直線偏光に変換されビームスプリッタ33にて反射され検出光学系に導かれる。一方、記録媒体から反射された円偏光の不要光はデフォーカスしているために開口素子39のピンホール39aの外側である周辺部分39bを光線が通過する。この領域は光学軸がピンホール39aとは90°回転した方向になっているので、透過後は直線偏光になるがその偏光方向はピンホール39a入射前の光束の偏光方向と同じ方向に戻っている。すなわち、周辺部分39bを透過した光束は、ピンホール39aを透過する光束(主として信号光)に対してλ/2の位相差を付加され、前記信号光と90度回転した直線偏光に変換され、ビームスプリッタ33を透過してしまい検出系には入射せず信号光と不要光が分離できる。
同図において横軸は層間隔を表し、3相の場合の真ん中の層を基準にした値を示す。単位はμmである。縦軸はセンサ出力を表し、最大値を100として規準化した値である。また、黒マークはセンサ出力の総合値でRF信号と呼ばれる値である。白マークはフォーカスエラーFE信号を表している。
本件の原理は、エキスパンダレンズ34a、34bの間に配置された開口素子39は微少開口の径と、対物レンズとエキスパンダレンズの倍率によって信号層の信号のみピンホール39aを通過させ、他層のフレア光は開口素子39にて遮光して信号分離を行う。
同図は対物レンズ35を光軸方向に移動させたときにセンサ37が受ける光量をピンホールの大きさ別に計算したものである。ピンホール径は同図(b)に示すように小口径にすればするほど分離度が増加するが、一方でピンホール39aでの光線ケラレ率も増加する。エアリーディスクの第一暗環以下の径に設定してしまうと所望の層からの信号光も遮光してしまうので好ましくない。これらの課題を両立させるためにピンホール径は、後述するエアリーディスク径に設定することが望ましく、エアリーディスク径を十分な光束を通過させるために、ピンホール上に集光されたスポットは回折限界近くまで集光されている必要がある。よって、本件でのエキスパンダレンズ34a、34bは、例えば非球面レンズを用いるなど、それぞれの収差補正手段を施したレンズとなっている。
本実施例ではピンホール39aの径をこの回折限界に達しないようにすることにより、フレア光と信号光を分離すると同時に照明効率の向上が実現でき、多層記録メディアの良好な記録再生を実現できる。一般的にエアリーディスクの第一暗環のスポット径は波長と集光レンズのNAによって決定され1.22λ/NAによって表される。また、このときのNAはピンホール光学系の実効NAで表される。
図10はビームエキスパンダレンズの構成の他の実施例を示す図である。
一般的に、単純な球面レンズでは収差がとりきれないので、図9におけるエキスパンダレンズ34a、34bは、複数の球面レンズの貼り合わせによるいわゆるダブレットレンズの組み合わせによって収差が最小になるように設計している。
同様に図10におけるエキスパンダレンズ34a、34bは、光学基板に回折溝を形成してレンズ作用を持たせた回折型レンズとし、尚かつ収差も最小としたものになっている。
本実施例においては、動作原理に示したようにエキスパンダレンズにて集光された光はピンホール上に微小なスポットを結像する必要がある。そのため波長変動による焦点ズレが発生しないようにエキスパンダレンズは色収差補正が必要である。同図に色収差補正を施した組み合わせレンズに対する波長変動時のピンホール透過率を示す。色補正を行わない場合は波長変動によって透過率が減少してしまうことが分かる。特にピンホールの大きさが十分小さい場合には透過率の変動が著しい。これは波長変動により収束点が移動することによる光束の蹴られが生ずるためである。
同図において符号Eは引き出し電極、TEは透明電極をそれぞれ示す。
フレア光を除去する液晶、エレクトロクロミック開口素子は、同心円状に複数の領域に分割された透明電極によって構成されそれぞれの電極に電圧を印加することによって光の透過率を変化させて開口径を可変させる。
開口を可変する効果としては、本件で用いられている開口は回折限界近くの微少開口であるため光を通過させるための初期調整が困難である。そのため工程等の初期調整段階では同図に示す電極に印加無し、または電極E1のみの印加として開口を大きくして初期設定をしやすくしておき、光の通過を確認しながら徐々に電極E2、電極E3に電圧を印加して開口径を小さくすることによって微少開口のアライメントを正確に行うことが可能である。
また、実際に記録媒体を記録再生する場合、例えば他層からの漏れ込み信号を除去し高密度なデータ信号を正確に読み出す必要がある再生時は開口を小さくし、逆に漏れ込み光に強いサーボ信号を主に使用する書き込み時は光出力のロスを減らす為に開口を大きくするようなそれぞれの動作について使い分けが可能である。電圧印加による開口動作は液晶、エレクトロクロミック素子共に同様の動作を行う。
図14は印加電圧と生ずる位相差との関係を示す図である。
本実施例は上記実施例と電極構成が同じでよい。ただし、基板の構成が異なっており、本実施例では、印加する電圧によって透過する光に付加する位相差の設定が可能である材料を用いている。
上記実施例と同様、それぞれの電極に電圧を印加することができるようになっており、選択する電極によって同電位の領域を任意に設定、分割することができる。また、印加する電圧によって透過する光に付加する位相差の設定が可能であるために、図14に示す液晶素子印加電圧と位相差の関係から印加電圧を設定することによって実施例4の例と同等の位相特性を実現できる。例えば、波長400nmの光源を使用した場合において、図13の電極E3の領域に2.8Vの電圧を印加してλ/4の位相差を与え、電極E1、E2の領域に0.9Vの電圧を印加して3λ/4の位相差を与えることによって、実施例4と同等の信号分離が行える。
開口を可変する効果としては、実施例8の効果と同様、本件で用いられている開口は回折限界近くの微少開口であるため光を通過させるための初期調整が困難である。そのため工程等の初期調整段階では例えば図13に示す電極を全て同電位にしておき、見かけ上、検出系に導かれる開口を大きくして初期設定をしやすくしておき、光の通過を確認しながら徐々に電極E2、電極E3に別電圧を印加して開口径を小さくすることによって微少開口のアライメントを正確に行うことが可能である。
実施例9においては、円形開口は同心円状に設けられており開口径は可変出来るが、通過する光のスポット位置が移動した場合は円形開口を通過できず記録再生光がケラレれてしまう不具合が発生してしまう。
本実施例では、円形開口にはならないが、微少開口を透過するスポット位置に応じて素子面内で移動出来るように、同図に示すような電極を設けておき、マトリックス状に電位差を付加することにより、任意の位置の領域の開口を制御してスポット位置の誤差、または移動等に開口を追従させる。
例えば、中央の微細領域にλ/4の位相差を付加し、その他の領域は3λ/4の位相差を付加したい場合、図14に示す位相特性により決定された印加電圧を、位相を変化させたい領域のマトリックス座標(X−Y)のそれぞれの短冊電極に互いに逆電位の電圧を電位差が所望の印加電圧になるように付加する。実施例ではλ/4の位相差部分に±1.4V、3λ/4の位相差部分に±0.46Vを印加することによって実施例9と同様の位相特性が得られ、また、短冊電極の印加位置を移動させることによって開口領域を移動出来る。
開口を可変する効果としては、実施例8と同様に、微少開口に対して光を通過させるための初期調整を容易に行える点と、加えて、対物レンズの可動、温特等によるスポット移動に対しても追従が可能となる。
なお、この構成は、電圧を印加することによって光の透過率が変化する液晶を用いても実施例8と同様の効果を得ることができる。
同図において符号62、63は開口素子としての波長板、Fは集光点位置、Lは光束、Oは光軸をそれぞれ示す。
本実施例は図2に示した記録再生装置の収差補正手段の部分を置き換えるものであり、図16に示されていない部分は図2に示された部分と同等である。
本実施例においてはフレア光(迷光)を除去する開口素子62、63を、偏光特性を有する膜、または薄板を積層した構造で構成し、それぞれの層は所定の分割線により分割された領域ごとに異なった光学軸を有する構造とする。同図においてエキスパンダレンズ34a、34bの共通の光学軸Oに対し、上側を第1領域、下側を第2領域と名付ける。開口素子62は第1領域の部分をλ/4波長板62aとし、第2領域の部分を−λ/4波長板62bとなるよう構成する。同様に開口板63も、第1領域の部分を+λ/4波長板63aとし、第2領域の部分を−λ/4波長板63bとなるよう構成する。
信号光は図示しない対物レンズによって平行光束となってエキスパンダレンズ34bに入射するので、同図(b)における戻り光のうち信号光成分L1は同図(a)における入射光L0と同じ光路を逆に辿る。光束が波長板63と同62の間の位置F0で焦点を結ぶ場合、先に示した入射光束L0の場合と同様に、片方の波長板で円偏光に変換されるがもう一方の波長板で偏光方向が元の直線偏光に戻されて、この場合はP偏光としてエキスパンダレンズ34aを平行光束になって出ていく。
これに対し、第2層で反射した光束は、見かけ上第2層よりさらに奥の方からの発散光となって対物レンズに入射するため、エキスパンダレンズ34bに対しては収束光として入射する。したがって、その光束は信号光よりもエキスパンダレンズ34bに近い側の光軸O上の位置F2に焦点を結ぶ。この位置は記録媒体の第1層と第2層の層間距離によって定まるほぼ固定位置になる。よって、波長板63を上記二つの焦点位置F0とF2の中間部に配置すれば、迷光として除去したい第2層からの反射光は、波長板63と同62を共に第1領域の側か、共に第2領域の側を透過することになる。すなわち、第1領域を進む光束は1/4波長板を2回、第2領域を進む光束は−1/4波長板を2回それぞれ透過することになり、結果としてP偏光で入ってきた光束が、レンズ34aを出ていくときはS偏光に変えられていることになる。
先の説明で分かるように、どの層を読む場合でも信号光は必ず入射光と同じ光路を逆に辿るので詳しい説明は省略する。
この場合は第1層からの反射光L1が迷光となる。この反射光L1は、見かけ上第一層よりさらに表面側、すなわち対物レンズに近い側からの発散光のようになる。したがって、同図(c)に示すように、対物レンズを経てエキスパンダレンズ34bに入射する光束は発散光束となっている。そのため、エキスパンダレンズ34bによる収束点は信号光の収束点F0よりもエキスパンダレンズ34aに近い側の光軸O上の位置F1になる。この収束点の位置F1も記録媒体の層の厚さに依存するほぼ固定位置である。よって、両収束点F0とF1のほぼ中間位置に波長板62を配置すれば、迷光は両波長板を共に第1領域か共に第2領域を透過することになり、先の説明同様、信号光はP偏光、迷光はS偏光となってエキスパンダレンズ34aを出ていく。
図示を省略しているが、エキスパンダレンズ34aの左側には、S偏光は透過し、P偏光は反射するビームスプリッタが配置されている。したがって、P偏光となった信号光はビームスプリッタで反射され検出素子に向かうが、S偏光に戻された迷光は光源側に透過してしまい、検出素子には感知されない。
以上の説明では記録媒体が2層の例を用いたが、層数がさらに増えても、信号光束と隣接する層からの迷光光束との関係は、それらの収束点の位置が常に上記F1、F0、F2の位置関係になるので、この構成は任意の層数を有する記録媒体に対してフレア除去として適用できる。
12 光ピックアップ
31 レーザ光源
33 偏光ビームスプリッタ(PBS)
34 収差補正手段としてのビームエキスパンダ
35 対物レンズ
39 開口素子
62、63 波長板
Claims (21)
- レーザ光源と、偏光ビームスプリッタと、1/4波長板と、対物レンズとを有し、光軸方向に複数層に積層され、各々の層に対して記録再生が可能な多層記録媒体に対しレーザの光を対物レンズで絞って、任意の記録層に照射して情報の再生または記録を行う記録再生装置であって、該記録再生装置は、前記多層記録媒体の記録層間に充填されている透明材料の厚み変化による波面収差の劣化を、前記レーザ光源と前記対物レンズの間に設けられ、共軸に配置された複数の光学素子を有し該複数の光学素子の少なくとも一部を光軸方向に移動させることにより前記対物レンズに入射する光束径を変換して補正する収差補正手段と、前記多層記録媒体の任意の層を記録再生中に発生する他層からの不要光を除去する信号分離素子とを有し、該信号分離素子は前記収差補正手段内に設けられていることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項1に記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、互いに異なる正の焦点距離を有する少なくとも2群2枚以上の光学素子を共通の光軸上に配置し、前記レーザ光源から見て近い方の光学素子の後側焦点位置と、遠い方の光学素子の前側焦点位置とがほぼ一致させてあることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項1または2に記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、2群2枚構成の正の焦点距離を有する非球面レンズであることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項1または2に記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、2群4枚構成の正の焦点距離を有するダブレット型レンズであることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項1または2に記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、2群2枚構成の正の焦点距離を有する回折型レンズであることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記収差補正手段のうち、少なくとも光源に近い側の光学素子は、異なった波長に対して焦点位置がずれないように色収差補正が施されていることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、前記偏光ビームスプリッタと前記対物レンズとの間に配置されていることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、前記対物レンズに近い方の光学素子のみを光軸方向に移動させることによって収差補正することを特徴とする記録再生装置。
- 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記収差補正手段は、前記レーザ光源に近い方の光学素子と前記信号分離素子とをほぼ一体的に光軸方向に移動させることによって収差補正することを特徴とする記録再生装置。
- 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記信号分離素子は微細口径の開口を有する開口板であり、前記収差補正レンズの実効開口数をNA、前記レーザ光源の発光波長をλとするとき、前記微細口径はエアリーディスクの第一暗環のスポット径1.22λ/NAによって求められる径以上であること特徴とする記録再生装置。
- 請求項10に記載の記録再生装置において、前記開口は外部信号によって開口径が任意、または段階的に可変できる透過型素子であることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項11に記載の記録再生装置において、前記開口は液晶素子による円形開口であることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項11に記載の記録再生装置において、前記開口は電気信号によって光の透過率が変化するエレクトロクロミック素子による円形開口であることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項11に記載の記録再生装置において、前記開口は液晶素子を微細な領域に区切った開口の集合体であって、前記液晶素子上に集光される記録媒体からの信号スポット光の位置によって、任意に開口領域、開口径を設定することができることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項11に記載の記録再生装置において、前記開口はエレクトロクロミック素子を微細な領域に区切った開口の集合体であって、前記エレクトロクロミック素子上に集光される記録媒体からの信号スポット光の位置によって任意に開口領域、開口径を設定することができることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項10に記載の記録再生装置において、前記開口は偏光方向に無関係な光透過性の微細開口と、該微細開口以外の部分は前記レーザ光源からの入射光の偏光方向のみを透過させる偏光板で構成されることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項1ないし10のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記信号分離素子は、直線偏光の入射光束にλ/4の位相差を発生させる微細開口と、該微細開口領域以外は、該微細開口を透過して多層記録媒体から反射された戻り光が透過したとき元の偏光方向と平行な方向の直線偏光となるような偏光光学特性を有する複合素子であることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項17に記載の記録再生装置において、前記開口は、外部信号の電圧印加量によって印加した領域の位相差を可変することができる透過型素子であって、印加電圧領域によって同位相領域の開口径が任意、または段階的に可変できるように同心円状の領域に複数分割されてあって、分割領域の選択によって同位相の開口径を変化させることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項18に記載の記録再生装置において、前記開口は、液晶素子による円形開口であって、外部信号の電圧印加量によって印加した領域の位相差を可変し、電圧印加の領域の選択によって同位相の開口径を変化させることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項18に記載の記録再生装置において、前記開口は、液晶素子を微細な領域に区切った開口の集合体であって、前記液晶素子上に集光される記録媒体からの信号スポット光の位置によって任意な領域に信号を印加して前記同位相の開口位置および開口径を可変させることを特徴とする記録再生装置。
- 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の記録再生装置において、前記信号分離素子は、前記収差補正手段の前記光軸に直交する向きで、前記レーザ光源に近い側の光学素子の後側焦点を挟んで互いに所定距離隔てて配置された2枚の波長板により構成され、前記収差補正手段の前記光軸を通り該光軸に直交する直線で2つの領域に分割され、それぞれの波長板は前記2つの領域のうち一方の領域に存在する部分は1/4波長板として形成され、他方の領域に存在する部分は−1/4波長板に形成されていることを特徴とする記録再生装置。
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