光記録媒体の記録容量を高める方法の一つとして、光記録媒体に複数の記録層を設ける方法がある。2層の記録層を有する光記録媒体は、DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)規格において既に実用化されている。このような複数の記録層を有する光記録媒体に対し、従来の一般的な光ヘッド装置を用いて記録や再生を行う場合、光ヘッド装置は、光源からの出射光を対物レンズにより記録や再生を行う層である対象層に集光し、対象層からの反射光を光検出器により受光する。その場合、記録や再生を行わない層である非対象層からの反射光の一部も外乱光として光検出器へ入射する。対象層に記録されたマーク/スペース信号、フォーカス誤差信号およびトラック誤差信号は、検出器からの出力に基づいて検出される。そのため、外乱光が光検出器へ入射すると、マーク/スペース信号、フォーカス誤差信号およびトラック誤差信号の品質が低下し、記録や再生を正しく行うことができなくなる場合がある。このような背景から、外乱光の光検出器への入射を抑制した光ヘッド装置が、「オプティカルデータストレージ2006テクニカルダイジェスト」という文献において提案されている。
図1に、「オプティカルデータストレージ2006テクニカルダイジェスト、第31頁〜第33頁」に記載されている従来の光ヘッド装置の第1の例を示す。半導体レーザ31からの出射光は、コリメータレンズ32により平行光化され、偏光ビームスプリッタ33へS偏光として入射して殆んど全てが反射され、1/4波長板34を透過して直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ35によりディスク36の対象層に集光される。ディスク36の対象層からの反射光は、対物レンズ35を逆向きに透過し、1/4波長板34を透過して円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換される。直線偏光に変換された光は、偏光ビームスプリッタ33へP偏光として入射して殆んど全てが透過し、凸レンズ37、分割型波長板38、分割型波長板39、凸レンズ40を透過し、偏光ビームスプリッタ41へS偏光として入射して殆んど全てが反射され、凸レンズ42、円筒レンズ43を透過し、光検出器44で受光される。
図2A〜図2Cに分割型波長板38、39の働きを説明するための図が示される。分割型波長板38、39は、入射光の光軸に垂直な断面内において、光軸を通り紙面に垂直な直線により2つの領域にそれぞれ分割されている。分割型波長板38の上側領域、分割型波長板39の下側領域においては、光軸に垂直な断面内で紙面に平行な方向に対して光学軸の方向が+45°の角度をなしており、+45°方向の偏光成分と−45°方向の偏光成分との光路長差は+λ/4である。一方、分割型波長板38の下側領域、分割型波長板39の上側領域においては、光軸に垂直な断面内で紙面に平行な方向に対して光学軸の方向が−45°の角度をなしており、+45°方向の偏光成分と−45°方向の偏光成分との光路長差は−λ/4である。但し、λは半導体レーザ31の波長である。分割型波長板38への入射光の偏光方向は、光軸に垂直な断面内で紙面に平行な方向である。
半導体レーザ31からの出射光が対物レンズ35によりディスク36の対象層に集光されている場合、分割型波長板38、39は、図2Aに示されるように、ディスク36の対象層からの反射光が、凸レンズ37により分割型波長板38、39の中間の位置に集光されるように配置されている。このとき、分割型波長板38の上側領域、下側領域を通った光は、それぞれ分割型波長板39の下側領域、上側領域を通る。これらの光に対しては、光路長差がそれぞれ+λ/2、−λ/2となるため、分割型波長板38、39は1/2波長板として働く。従って、分割型波長板39からの出射光の偏光方向は、光軸に垂直な断面内で紙面に垂直な方向となる。
これに対し、ディスク36の対象層に比べて対物レンズ35に近い層からの反射光は、図2Bに示されるように、凸レンズ37により分割型波長板39より後ろの位置に集光される。このとき、分割型波長板38の上側領域、下側領域を通った光は、それぞれ分割型波長板39の上側領域、下側領域を通る。これらの光に対しては、光路長差がどちらも0となるため、分割型波長板38、39は全波長板として働く。従って、分割型波長板39からの出射光の偏光方向は、光軸に垂直な断面内で紙面に平行な方向となる。
また、ディスク36の対象層に比べて対物レンズ35から遠い層からの反射光は、図2Cに示されるように、凸レンズ37により分割型波長板38より前の位置に集光される。このとき、分割型波長板38の上側領域、下側領域を通った光は、それぞれ分割型波長板39の上側領域、下側領域を通る。これらの光に対しては、光路長差がどちらも0となるため、分割型波長板38、39は全波長板として働く。従って、分割型波長板39からの出射光の偏光方向は、光軸に垂直な断面内で紙面に平行な方向となる。
その結果、ディスク36の対象層からの反射光は、偏光ビームスプリッタ41にS偏光として入射し、殆んど全てが反射されて光検出器44へ向かうが、ディスク36の非対象層からの反射光は、偏光ビームスプリッタ41にP偏光として入射し、殆んど全てが透過して光検出器44へ向かわない。これにより、外乱光の光検出器44への入射が抑制される。
図3に、「オプティカルデータストレージ2006テクニカルダイジェスト、第31頁〜第33頁」に記載されている従来の光ヘッド装置の第2の例が示される。半導体レーザ45からの出射光は、偏光ビームスプリッタ46にP偏光として入射して殆んど全てが透過し、コリメータレンズ47により平行光化され、1/4波長板48を透過して直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ49によりディスク50の対象層に集光される。ディスク50の対象層からの反射光は、対物レンズ49を逆向きに透過し、1/4波長板48を透過して円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換される。直線偏光に変換された光は、コリメータレンズ47を逆向きに透過し、偏光ビームスプリッタ46へS偏光として入射して殆んど全てが反射され、分割型波長板51を透過し、ミラー52で反射され、分割型波長板51を逆向きに透過し、偏光ビームスプリッタ46へP偏光として入射して殆んど全てが透過し、凸レンズ53、円筒レンズ54を透過し、光検出器55で受光される。
図4A〜図4Cに、分割型波長板51の働きを説明するための図が示される。分割型波長板51は、入射光の光軸に垂直な断面内において、光軸を通り紙面に垂直な直線により2つの領域に分割されている。分割型波長板51の左側領域には屈折率異方性がない。一方、分割型波長板51の右側領域においては、光軸に垂直な断面内で紙面に平行な方向に対して光学軸の方向が45°の角度をなしており、+45°方向の偏光成分と−45°方向の偏光成分との光路長差はλ/2である。但し、λは半導体レーザ45の波長である。偏光ビームスプリッタ46からの分割型波長板51への入射光の偏光方向は、光軸に垂直な断面内で紙面に垂直な方向である。
半導体レーザ45からの出射光が対物レンズ49によりディスク50の対象層に集光されている場合、分割型波長板51、ミラー52は、図4Aに示されるように、ディスク50の対象層からの反射光が、コリメータレンズ47によりミラー52の位置に集光されるように配置されている。このとき、ミラー52で反射される前に分割型波長板51の左側領域、右側領域を通った光は、ミラー52で反射された後にそれぞれ分割型波長板51の右側領域、左側領域を通る。これらの光に対しては、光路長差がどちらもλ/2となるため、分割型波長板51は往復で1/2波長板として働く。従って、偏光ビームスプリッタ46への分割型波長板51からの出射光の偏光方向は、光軸に垂直な断面内で紙面に平行な方向となる。
これに対し、ディスク50の対象層に比べて対物レンズ49に近い層からの反射光は、図4Bに示されるように、コリメータレンズ47により、ミラー52で反射された後の分割型波長板51より後ろの位置に集光される。このとき、ミラー52で反射される前に分割型波長板51の左側領域、右側領域を通った光は、ミラー52で反射された後にそれぞれ分割型波長板51の左側領域、右側領域を通る。これらの光に対しては、光路長差がそれぞれ0、λとなるため、分割型波長板51は往復で全波長板として働く。従って、偏光ビームスプリッタ46への分割型波長板51からの出射光の偏光方向は、光軸に垂直な断面内で紙面に垂直な方向となる。
また、ディスク50の対象層に比べて対物レンズ49から遠い層からの反射光は、図4Cに示されるように、コリメータレンズ47により、ミラー52で反射される前の分割型波長板51より前の位置に集光される。このとき、ミラー52で反射される前に分割型波長板51の左側領域、右側領域を通った光は、ミラー52で反射された後にそれぞれ分割型波長板51の左側領域、右側領域を通る。これらの光に対しては、光路長差がそれぞれ0、λとなるため、分割型波長板51は往復で全波長板として働く。従って、偏光ビームスプリッタ46への分割型波長板51からの出射光の偏光方向は、光軸に垂直な断面内で紙面に垂直な方向となる。
その結果、ディスク50の対象層からの反射光は、偏光ビームスプリッタ46にP偏光として入射し、殆んど全てが透過して光検出器55へ向かうが、ディスク50の非対象層からの反射光は、偏光ビームスプリッタ46にS偏光として入射し、殆んど全てが反射されて光検出器55へ向かわない。これにより、外乱光の光検出器55への入射が抑制される。
その他、特開2002−74728号公報には、光ピックアップ装置に関する技術が開示されている。この光ピックアップ装置は、光源と、ファイバプローブと、透明部材と、対物レンズと、無偏光ビームスプリッタと、集光レンズと、光検出器と、を備える。ファイバプローブは、コアとクラッドとにより形成されて記録媒体側に位置する端面側に前記コア径より小さい開口を有する。透明部材は、このファイバプローブの屈折率に等しい屈折率を有して、ファイバプローブの光源側に位置する端面に密着させて配置されている。対物レンズは、光源からの光を、透明部材を介してファイバプローブに入射させる。無偏光ビームスプリッタは、記録媒体により反射されてファイバプローブ内を導波して戻ってくる光を光源側とは異なる方向に偏向させる。集光レンズは、この無偏光ビームスプリッタにより偏向された光を集光させる。光検出器は、無偏光ビームスプリッタにより偏向されて集光レンズにより集光される光の強度を検出する。
また、特開2006−252716号公報には、信号光成分と迷光成分とが混在する光束から前記信号光成分を抽出する抽出光学系に関する技術が開示されている。この抽出光学系は、集光光学素子と、第1の変更光学素子と、第1の分離素子と、第2の分離素子と、第2の変更光学素子とを備える。集光光学素子は、光束の光路上に配置され、光束を集光する。第1の変更光学素子は、集光光学素子と、集光光学素子で集光された信号光成分の第1の集光位置よりも集光光学素子側にある迷光成分の第2の集光位置との間に配置され、その光軸に直交する分割線の一側にある領域に入射した光束の偏光方向を90°変更する。第1の分離素子は、第2の集光位置と第1の集光位置との間に配置され、第1の集光位置よりも集光光学素子側に集光する迷光成分を反射あるいは吸収する。第2の分離素子は、第1の集光位置と、第1の分離素子を透過した迷光成分の第3の集光位置との間に配置され、第1の分離素子を透過した迷光成分を反射あるいは吸収する。第2の変更光学素子は、第2の分離素子を透過した光束が入射し、その光軸に直交する分割線の一側にある領域、あるいは一側と反対の他側にある領域の一方に入射した光束の偏光状態を90°変更する。
さらに、特開平10−83558号公報によれば、光ヘッドは、光源と、レンズと、分離器と、光検出器を備える。レンズは、光源から出射された光を光記録媒体に集光する。分離器は、光記録媒体で反射された光を分離する。光検出器は、分離器で分離された光を光電変換する。この光ヘッドにおいて、光源とレンズの間に円形開口部と偏光部とを形成した検光子が設置され、かつ分離器と光検出器との間に偏光分離器が設置されている。光源は、異なる偏光成分を含んだ光を前記検光子に供給する。検光子の偏光部は、一方向の偏光成分のビーム径を円形開口部の大きさに制限し、他方向の偏光成分のビーム径を円形開口部の大きさに制限しない構成とされる。偏光分離器は、一方向の偏光成分と他方向の偏光成分とを偏光成分ごとに分離する構成とされる。一方向の偏光成分のビームは誤差信号の検出に用いられ、他方向の偏光成分のビームはデータ信号の検出に用いられる。
また、WO2004/008196号公報には、波長板および偏光子に関する技術が開示されている。
上記のように、従来の光ヘッド装置においては、ディスク36の対象層からの反射光を凸レンズ37により一度集光したのち、拡がった光を凸レンズ42により再度集光して光検出器44へ導く。また、図3に示される光ヘッド装置においては、ディスク50の対象層からの反射光をコリメータレンズ47により一度集光したのち、拡がった光を凸レンズ53により再度集光して光検出器55へ導く。このため、ディスクから光検出器までの光路長が非常に長くなり、光ヘッド装置を小型化することが困難である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。しかしながら、係る形態は本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図5に、本発明を実施するための最良の形態に係る情報記録再生装置の構成を示すブロック図が示される。光学式情報記録再生装置は、光ヘッド装置60、コントローラ22、変調回路23、記録信号生成回路24、半導体レーザ駆動回路25、増幅回路26、再生信号処理回路27、復調回路28、誤差信号生成回路29、対物レンズ駆動回路30を具備する。これらの回路は、コントローラ22により制御される。変調回路23、記録信号生成回路24、半導体レーザ駆動回路25は第1の回路系に相当し、増幅回路26、再生信号処理回路27、復調回路28は第2の回路系に相当し、増幅回路26、誤差信号生成回路29、対物レンズ駆動回路30は第3の回路系に相当する。光ヘッド装置60は、半導体レーザ1、光検出器12、対物レンズ5を具備し、その詳細は後述される。
ディスク6へデータを記録する場合、変調回路23は、記録すべきデータを変調規則に従って変調する。記録信号生成回路24は、変調回路23で変調された信号に基づいて、記録ストラテジに従って半導体レーザ1を駆動するための記録信号を生成する。半導体レーザ駆動回路25は、記録信号生成回路24で生成された記録信号に基づいて、半導体レーザ1へ記録信号に応じた電流を供給して半導体レーザ1を駆動する。これに対し、ディスク6からデータを再生する場合、半導体レーザ駆動回路25は、半導体レーザ1からの出射光のパワーが一定になるように、半導体レーザ1へ一定の電流を供給して半導体レーザ1を駆動する。
増幅回路26は、光検出器12の各受光部から出力される電圧信号を増幅する。ディスク6からデータを再生する場合、再生信号処理回路27は、増幅回路26で増幅された電圧信号に基づいて、ディスク6に記録されたマーク/スペース信号である再生信号の生成、波形等化、2値化を行う。復調回路28は、再生信号処理回路27で2値化された信号を復調規則に従って復調する。誤差信号生成回路29は、増幅回路26で増幅された電圧信号に基づいて、対物レンズ5を駆動するためのフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号を生成する。対物レンズ駆動回路30は、誤差信号生成回路29で生成されたフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号に基づいて、アクチュエータ(図示せず)へフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号に応じた電流を供給して対物レンズ5を駆動する。さらに、光ヘッド装置60は、ポジショナ(図示せず)によりディスク6の半径方向へ駆動され、ディスク6はスピンドル(図示せず)により回転駆動される。以下に、光ヘッド装置60の詳細が説明される。
図6に、本発明の第1の実施の形態に係る光ヘッド装置60の構成を示すブロック図が示される。この光ヘッド装置は、半導体レーザ1、コリメータレンズ2、偏光ビームスプリッタ3、1/4波長板4、対物レンズ5、円筒レンズ7、凸レンズ8、1/2波長板9、分割型波長板10、分割型偏光子11、光検出器12を具備する。
光源である半導体レーザ1からの出射光は、コリメータレンズ2により平行光化され、偏光ビームスプリッタ3へP偏光として入射して殆んど全てが透過し、1/4波長板4を透過して直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ5により光記録媒体であるディスク6の対象層に集光される。ディスク6の対象層からの反射光は、対物レンズ5を逆向きに透過し、1/4波長板4を透過して円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光へ変換される。直線偏光へ変換された光は、偏光ビームスプリッタ3へS偏光として入射して殆んど全てが反射され、非軸対称光学系を構成する円筒レンズ7および凸レンズ8を透過し、1/2波長板9、分割型波長板10、分割型偏光子11を透過し、光検出器12で受光される。円筒レンズ7はディスク6の対象層からの反射光に非点収差を付与する働きをし、凸レンズ8はディスク6の対象層からの反射光を集光する働きをする。
図7A〜図7Bに、ディスク6の対象層および非対象層からの反射光の集光点と分割型波長板10、分割型偏光子11、光検出器12の位置関係を示す。ディスク6の対象層からの反射光は、円筒レンズ7および凸レンズ8により前側焦線、最小錯乱円、後側焦線を形成する。円筒レンズ7の母線は、ディスク6の半径方向(情報トラックに垂直な方向)に対応する方向および接線方向(情報トラックに平行な方向)に対応する方向に対して45°の角度をなしている。円筒レンズ7が円筒凸レンズである場合、前側焦線は円筒レンズ7の母線に平行であり、円筒凹レンズである場合、前側焦線は円筒レンズ7の母線に垂直である。図中の実線、破線は、それぞれ光軸を含み前側焦線に平行、垂直な面内における、ディスク6の対象層および非対象層からの反射光を表している。
半導体レーザ1からの出射光が対物レンズ5によりディスク6の対象層に集光されている場合、図7Aに示されるように、光検出器12は、ディスク6の対象層からの反射光の最小錯乱円の位置に配置されている。また、分割型波長板10は、ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線の位置と凸レンズ8との間に配置されており、分割型偏光子11は、ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線の位置と光検出器12との間に配置されている。このように光検出器12と分割型波長板10と分割型偏光子11とが配置されていると、ディスク6の対象層より対物レンズ5に近い層からの反射光は、図7Bに示されるように、円筒レンズ7および凸レンズ8により、光検出器12より後ろの位置に前側焦線、最小錯乱円、後側焦線を形成する。また、ディスク6の対象層より対物レンズ5から遠い層からの反射光は、図7Cに示されるように、円筒レンズ7および凸レンズ8により、分割型波長板10より前の位置に前側焦線、最小錯乱円、後側焦線を形成する。
光検出器12は、ディスク6の半径方向に対応する分割線および接線方向に対応する分割線で隔てられた4つの受光部を有する。4つの受光部からの出力に基づいてフォーカス誤差信号、トラック誤差信号、および情報トラックに沿って記録されたマーク/スペース信号が検出される。フォーカス誤差信号は、公知の非点収差法により検出される。トラック誤差信号は、ディスク6が再生専用型のディスクである場合は公知の位相差法、ディスク6が追記型または書換可能型のディスクである場合は公知のプッシュプル法により検出される。マーク/スペース信号は、4つの受光部からの出力の和の高周波成分から検出される。
図8は、分割型波長板10および分割型偏光子11の斜視図である。分割型波長板10および分割型偏光子11は、周期的な溝が形成された基板13上に、高屈折率層14、低屈折率層15が交互に堆積されている。例えば、基板13の材質としては石英、高屈折率層14の材質としてはTa2O5、低屈折率層15の材質としてはSiO2等が用いられる。基板13に形成される溝の基板面内の周期、高屈折率層14と低屈折率層15の厚さ方向の周期等を適切に調整することにより、所望の特性の波長板および偏光子を作製することができる。このような波長板および偏光子は、例えばWO2004/008196号公報に開示されている。図8に示される構成の波長板において、光学軸の方向は、基板13に形成された溝に平行な方向である。また、図8に示される構成の偏光子においては、偏光方向が基板13に形成された溝に平行な方向の光(TE偏光)は反射され、偏光方向が基板13に形成された溝に垂直な方向の光(TM偏光)は透過する。
本実施の形態における分割型波長板10は、入射光の光軸に垂直な断面内において、それぞれを透過した光の偏光方向を互いに直交させる2つの領域群に分割されている分割型波長板10aである。分割型波長板10aは、2つの領域群の間で、基板13に形成された溝の方向を互いに異ならせることにより実現できる。
図9A〜図9Cに分割型波長板10aのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図9Aに示されるように、分割型波長板10aは領域17a、17bの2つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における光学軸の方向を表している。領域17aにおける光学軸の方向はX軸方向に対して+22.5°の角度をなしており、領域17bにおける光学軸の方向は、X軸方向に対して+67.5°の角度をなしている。光学軸に平行な方向の偏光成分と光学軸に垂直な方向の偏光成分との位相差は180°である。なお、図中の破線で囲まれた領域は、分割型波長板10a上の光の断面を表している。
図9Bは、分割型波長板10aへの入射光の断面を表している。偏光ビームスプリッタ3で反射された光の偏光方向はY軸方向であるが、1/2波長板9の働きにより、分割型波長板10aへの入射光の偏光方向は、図中に矢印で示されるように、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図9Cは、このときの分割型波長板10aからの出射光の断面を表している。分割型波長板10aからの出射光は、断面内で領域19a、19bの2つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。領域19a、19bは、それぞれ分割型波長板10aの領域17a、17bを透過した光に対応している。領域19aにおける偏光方向はX軸方向であり、領域19bにおける偏光方向はY軸方向である。
本実施の形態における分割型偏光子11は、入射光の光軸に垂直な断面内において、それぞれが透過させる光の偏光方向が互いに直交している2つの領域群に分割されている分割型偏光子11aである。分割型偏光子11aは、2つの領域群の間で、基板13に形成された溝の方向を互いに異ならせることにより実現できる。
図10A〜図10Bに分割型偏光子11aのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図10Aに示されるように、分割型偏光子11aは、領域18a、18bの2つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域が透過させる光の偏光方向を表している。領域18aが透過させる光の偏光方向はY軸方向であり、領域18bが透過させる光の偏光方向はX軸方向である。なお、図中の破線で囲まれた領域は、分割型偏光子11a上の光の断面を表している。
図10Bは分割型偏光子11aへの入射光の断面を表している。分割型偏光子11aへの入射光は、断面内で領域19a、19bの2つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。領域19a、19bは、それぞれ分割型偏光子11aの領域18a、18bへの入射光に対応している。
ディスク6の対象層からの反射光は、分割型波長板10aと分割型偏光子11aとの間で、前側焦線に関して対称に断面内の偏光方向の分布が入れ替わる。このため、領域19aにおける偏光方向は図9Cの領域19bと同じY軸方向となり、領域19bにおける偏光方向は図9Cの領域19aと同じX軸方向となる。すなわち、領域19a、19bにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11aの領域18a、18bが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からの反射光は、全てが分割型偏光子11aを透過して光検出器12へ入射する。
これに対し、ディスク6の非対象層からの反射光は、分割型波長板10aと分割型偏光子11aとの間で断面内の偏光方向の分布が変化しない。このため、領域19aにおける偏光方向は図9Cの領域19aと同じX軸方向となり、領域19bにおける偏光方向は図9Cの領域19bと同じY軸方向となる。すなわち、領域19a、19bにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11aの領域18a、18bが透過させる光の偏光方向と垂直になる。その結果、ディスク6の非対象層からの反射光は、全てが分割型偏光子11aで反射されて光検出器12へ入射しない。
本実施の形態においては、分割型波長板10aへの入射光の偏光方向は、1/2波長板9により、分割型波長板10aの各領域における光学軸の方向に対して適切な方向になるように設定されている。しかし、1/2波長板9を削除し、分割型波長板10aの各領域における光学軸の方向を、分割型波長板10aへの入射光の偏光方向に対して適切な方向になるように設定することも可能である。
本発明の光ヘッド装置の第2の実施の形態は、第1の実施の形態における分割型波長板10a、分割型偏光子11aをそれぞれ分割型波長板10b、分割型偏光子11bで置き換えたものである。
図11A〜図11Cに分割型波長板10bのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図11Aに示されるように、分割型波長板10bは、領域17c〜17fの4つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における光学軸の方向を表している。領域17c、17dにおける光学軸の方向は、X軸方向に対して+22.5°の角度をなしている。領域17e、17fにおける光学軸の方向は、X軸方向に対して+67.5°の角度をなしている。光学軸に平行な方向の偏光成分と光学軸に垂直な方向の偏光成分の位相差は180°である。なお、図中の破線で囲まれた領域は、分割型波長板10b上の光の断面を表している。
図11Bは、分割型波長板10bへの入射光の断面を表している。偏光ビームスプリッタ3で反射された光の偏光方向はY軸方向であるが、1/2波長板9の働きにより、分割型波長板10bへの入射光の偏光方向は、図中に矢印で示されるように、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図11Cは、このときの分割型波長板10bからの出射光の断面を表している。分割型波長板10bからの出射光は、断面内で領域19c〜19fの4つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。領域19c〜19fは、それぞれ分割型波長板10bの領域17c〜17fを透過した光に対応している。領域19c、19dにおける偏光方向はX軸方向であり、領域19e、19fにおける偏光方向はY軸方向である。
図12A〜図12Bに分割型偏光子11bのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図12Aに示されるように、分割型偏光子11bは、領域18c〜18fの4つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域が透過させる光の偏光方向を表している。領域18c、18dが透過させる光の偏光方向はY軸方向であり、領域18e、18fが透過させる光の偏光方向はX軸方向である。なお、図中の破線で囲まれた領域は、分割型偏光子11b上の光の断面を表している。
図12Bは分割型偏光子11bへの入射光の断面を表している。分割型偏光子11bへの入射光は、断面内で領域19c〜19fの4つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。領域19c〜19fは、それぞれ分割型偏光子11bの領域18c〜18fへの入射光に対応している。
ディスク6の対象層からの反射光は、分割型波長板10bと分割型偏光子11bとの間で、前側焦線に関して対称に断面内の偏光方向の分布が入れ替わる。このため、領域19c、19dにおける偏光方向はそれぞれ図11Cの領域19f、19eと同じY軸方向となり、領域19e、19fにおける偏光方向はそれぞれ図11Cの領域19d、19cと同じX軸方向となる。すなわち、領域19c〜19fにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11bの領域18c〜18fが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からの反射光は、全てが分割型偏光子11bを透過して光検出器12へ入射する。
これに対し、ディスク6の非対象層からの反射光は、分割型波長板10bと分割型偏光子11bとの間で断面内の偏光方向の分布が変化しない。このため、領域19c、19dにおける偏光方向はそれぞれ図11Cの領域19c、19dと同じX軸方向となり、領域19e、19fにおける偏光方向はそれぞれ図11Cの領域19e、19fと同じY軸方向となる。すなわち、領域19c〜19fにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11bの領域18c〜18fが透過させる光の偏光方向と垂直になる。その結果、ディスク6の非対象層からの反射光は、全てが分割型偏光子11bで反射されて光検出器12へ入射しない。
本実施の形態においては、光検出器12へ入射するディスク6の対象層からの反射光の偏光方向が、領域19c、19dにおいてはY軸方向となり、領域19e、19fにおいてはX軸方向となるように、分割型波長板10bの各領域における光学軸の方向、および分割型偏光子11bの各領域が透過させる光の偏光方向が適切に設定されている。これに対し、光検出器12へ入射するディスク6の対象層からの反射光の偏光方向が、領域19c、19dにおいてはX軸方向となり、領域19e、19fにおいてはY軸方向となるように、分割型波長板10bの各領域における光学軸の方向、および分割型偏光子11bの各領域が透過させる光の偏光方向を適切に設定することも可能である。
ディスク6の対象層のデフォーカス量の変化に伴い、光検出器12の受光部上に形成される光スポットは、X軸方向に対して+45°の角度をなす方向(+45°方向)の径と、X軸方向に対して−45°の角度をなす方向(−45°方向)の径との比である楕円率が変化する。第1の実施の形態においては、光検出器12への入射光は、+45°方向を基準とした断面内の偏光方向の分布と−45°方向を基準とした断面内の偏光方向の分布が異なっている。このため、ディスク6の対象層のデフォーカス量の変化に伴う光スポットの楕円率の変化は、デフォーカスの符号により異なる挙動を示す。その結果、非点収差法によるフォーカス誤差信号の波形は、デフォーカス量が0の点に関して対称にならない。これに対し、第2の実施の形態においては、光検出器12への入射光は、+45°方向を基準とした断面内の偏光方向の分布と−45°方向を基準とした断面内の偏光方向の分布とが同じである。このため、ディスク6の対象層のデフォーカス量の変化に伴う光スポットの楕円率の変化は、デフォーカスの符号によらず同じ挙動を示す。その結果、非点収差法によるフォーカス誤差信号の波形は、デフォーカス量が0の点に関して対称になる。
本発明の光ヘッド装置の第3の実施の形態は、第1の実施の形態におけるコリメータレンズ2と偏光ビームスプリッタ3との間に、半導体レーザ1からの出射光をメインビームである0次光、2つのサブビームである±1次回折光の3つの光に分割する回折光学素子が設けられる。また、第3の実施の形態における光ヘッド装置には、分割型波長板10c、分割型偏光子11cが備えられている。
対物レンズ5はメインビームおよび2つのサブビームをディスク6の対象層に集光し、光検出器12はディスク6の対象層からのメインビームの反射光および2つのサブビームの反射光を受光する。
光検出器12は、メインビームに対しては、ディスク6の半径方向に対応する分割線および接線方向に対応する分割線で隔てられた4つの受光部を有し、2つのサブビームのそれぞれに対しては、ディスク6の半径方向に対応する分割線で隔てられた2つの受光部を有する。8つの受光部からの出力に基づいてフォーカス誤差信号、トラック誤差信号、および情報トラックに沿って記録されたマーク/スペース信号が検出される。フォーカス誤差信号は、公知の非点収差法により検出される。トラック誤差信号は、ディスク6が再生専用型のディスクである場合は公知の位相差法、ディスク6が追記型または書換可能型のディスクである場合は公知の差動プッシュプル法により検出される。マーク/スペース信号はメインビームに対する4つの受光部からの出力の和の高周波成分から検出される。
図13A〜図13Cに分割型波長板10cのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図13Aに示されるように、分割型波長板10cは領域17g〜17jの4つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における光学軸の方向を表している。領域17h、17jにおける光学軸の方向は、X軸方向に対して+22.5°の角度をなしている。領域17g、17iにおける光学軸の方向は、X軸方向に対して+67.5°の角度をなしている。光学軸に平行な方向の偏光成分と光学軸に垂直な方向の偏光成分との位相差は180°である。なお、図中の破線で囲まれた3つの領域は、分割型波長板10c上の光であるメインビームおよび2つのサブビームの断面を表している。
図13Bは、分割型波長板10cへの入射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。偏光ビームスプリッタ3で反射された光の偏光方向はY軸方向であるが、1/2波長板9の働きにより、分割型波長板10cへの入射光の偏光方向は、図中に矢印で示されるように、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図13Cは、このときの分割型波長板10cからの出射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。分割型波長板10cからの出射光であるメインビーム16aは、断面内で領域19a、19bの2つの領域に分割されている。サブビーム16bは、断面内で領域20a、20bの2つの領域に分割されている。サブビーム16cは、断面内で領域21a、21bの2つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。
メインビーム16aの領域19a、19bは、それぞれ分割型波長板10cの領域17h、17iを透過した光に対応している。領域19aにおける偏光方向はX軸方向であり、領域19bにおける偏光方向はY軸方向である。サブビーム16bの領域20a、20bは、それぞれ分割型波長板10cの領域17g、17hを透過した光に対応している。領域20aにおける偏光方向はY軸方向であり、領域20bにおける偏光方向はX軸方向である。サブビーム16cの領域21a、21bは、それぞれ分割型波長板10cの領域17i、17jを透過した光に対応している。領域21aにおける偏光方向はY軸方向であり、領域21bにおける偏光方向はX軸方向である。
図14A〜図14Bに分割型偏光子11cのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図14Aに示されるように、分割型偏光子11cは、領域18g〜18jの4つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域が透過させる光の偏光方向を表している。領域18h、18jが透過させる光の偏光方向はY軸方向であり、領域18g、18iが透過させる光の偏光方向はX軸方向である。なお、図中の破線で囲まれた3つの領域は分割型偏光子11c上の光であるメインビームおよび2つのサブビームの断面を表している。
図14Bは、分割型偏光子11cへの入射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。分割型偏光子11cへの入射光であるメインビーム16aは、断面内で領域19a、19bの2つの領域に分割されている。サブビーム16bは、断面内で領域20a、20bの2つの領域に分割されている。サブビーム16cは、断面内で領域21a、21bの2つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。メインビーム16aの領域19a、19bは、それぞれ分割型偏光子11cの領域18h、18iへの入射光に対応している。サブビーム16bの領域20a、20bは、それぞれ分割型偏光子11cの領域18g、18hへの入射光に対応している。サブビーム16cの領域21a、21bは、それぞれ分割型偏光子11cの領域18i、18jへの入射光に対応している。
ディスク6の対象層からの反射光は、分割型波長板10cと分割型偏光子11cとの間で、前側焦線に関して対称に断面内の偏光方向の分布が入れ替わる。このため、メインビーム16aの領域19aにおける偏光方向は、図13Cの領域19bと同じY軸方向となり、領域19bにおける偏光方向は、図13Cの領域19aと同じX軸方向となる。すなわち、領域19a、19bにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11cの領域18h、18iが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのメインビーム16aの反射光は、全てが分割型偏光子11cを透過して光検出器12へ入射する。一方、サブビーム16bの領域20aにおける偏光方向は、図13Cの領域20bと同じX軸方向となり、領域20bにおける偏光方向は、図13Cの領域20aと同じY軸方向となる。すなわち、領域20a、20bにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11cの領域18g、18hが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのサブビーム16bの反射光は、全てが分割型偏光子11cを透過して光検出器12へ入射する。また、サブビーム16cの領域21aにおける偏光方向は、図13Cの領域21bと同じX軸方向となり、領域21bにおける偏光方向は、図13Cの領域21aと同じY軸方向となる。すなわち、領域21a、21bにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11cの領域18i、18jが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのサブビーム16cの反射光は、全てが分割型偏光子11cを透過して光検出器12へ入射する。
これに対し、ディスク6の非対象層からの反射光は、分割型波長板10cと分割型偏光子11cとの間で断面内の偏光方向の分布が変化しない。このため、メインビーム16aの領域19aにおける偏光方向は、図13Cの領域19aと同じX軸方向となり、領域19bにおける偏光方向は、図13Cの領域19bと同じY軸方向となる。すなわち、領域19a、19bにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11cの領域18h、18iが透過させる光の偏光方向と垂直になる。その結果、ディスク6の非対象層からのメインビーム16aの反射光は、全てが分割型偏光子11cで反射されて光検出器12へ入射しない。一方、サブビーム16bの領域20aにおける偏光方向は、図13Cの領域20aと同じY軸方向となり、領域20bにおける偏光方向は、図13Cの領域20bと同じX軸方向となる。すなわち、領域20a、20bにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11cの領域18g、18hが透過させる光の偏光方向と垂直になる。その結果、ディスク6の非対象層からのサブビーム16bの反射光は、全てが分割型偏光子11cで反射されて光検出器12へ入射しない。また、サブビーム16cの領域21aにおける偏光方向は、図13Cの領域21aと同じY軸方向となり、領域21bにおける偏光方向は、図13Cの領域21bと同じX軸方向となる。すなわち、領域21a、21bにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11cの領域18i、18jが透過させる光の偏光方向と垂直になる。その結果、ディスク6の非対象層からのサブビーム16cの反射光は、全てが分割型偏光子11cで反射されて光検出器12へ入射しない。
複数の記録層を有する光記録媒体に対し、従来の一般的な3ビームの光ヘッド装置を用いて記録や再生を行う場合、対物レンズはメインビームおよび2つのサブビームを対象層に集光し、光検出器は、対象層からのメインビームの反射光および2つのサブビームの反射光を受光する。このとき、非対象層からのメインビームの反射光の一部が、対象層からのメインビームの反射光を受光する受光部だけでなく、対象層からの2つのサブビームの反射光を受光する受光部へもメインビームの外乱光として入射する。また、非対象層からの2つのサブビームの反射光の一部が、対象層からの2つのサブビームの反射光を受光する受光部だけでなく、対象層からのメインビームの反射光を受光する受光部へも2つのサブビームの外乱光として入射する。本実施の形態によれば、メインビームの外乱光および2つのサブビームの外乱光の光検出器への入射が抑制される。
本発明の光ヘッド装置の第4の実施の形態は、第3の実施の形態における分割型波長板10c、分割型偏光子11cをそれぞれ分割型波長板10d、分割型偏光子11dで置き換えたものである。
図15A〜図15Cに分割型波長板10dのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図15Aに示されるように、分割型波長板10dは、領域17k〜17pの6つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における光学軸の方向を表している。領域17k〜17nにおける光学軸の方向は、X軸方向に対して+22.5°の角度をなしている。領域17o、17pにおける光学軸の方向は、X軸方向に対して+67.5°の角度をなしている。光学軸に平行な方向の偏光成分と光学軸に垂直な方向の偏光成分の位相差は180°である。なお、図中の破線で囲まれた3つの領域は、分割型波長板10d上の光であるメインビームおよび2つのサブビームの断面を表している。
図15Bは、分割型波長板10dへの入射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。偏光ビームスプリッタ3で反射された光の偏光方向はY軸方向であるが、1/2波長板9の働きにより、分割型波長板10dへの入射光の偏光方向は、図中に矢印で示されるように、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図15Cは、このときの分割型波長板10dからの出射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。分割型波長板10dからの出射光であるメインビーム16aは、断面内で領域19c〜19fの4つの領域に分割されている。サブビーム16bは、断面内で領域20c〜20fの4つの領域に分割されている。サブビーム16cは、断面内で領域21c〜21fの4つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。メインビーム16aの領域19c、19d、19e、19fは、それぞれ分割型波長板10dの領域17l、17m、17o、17pを透過した光に対応している。領域19c、19dにおける偏光方向はX軸方向であり、領域19e、19fにおける偏光方向はY軸方向である。サブビーム16bの領域20c、20d、20e、20fは、それぞれ分割型波長板10dの領域17k、17l、17o、17pを透過した光に対応している。領域20c、20dにおける偏光方向はX軸方向であり、領域20e、20fにおける偏光方向はY軸方向である。サブビーム16cの領域21c、21d、21e、21fは、それぞれ分割型波長板10dの領域17m、17n、17o、17pを透過した光に対応している。領域21c、21dにおける偏光方向はX軸方向であり、領域21e、21fにおける偏光方向はY軸方向である。
図16A〜図16Bに分割型偏光子11dのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図16Aに示されるように、分割型偏光子11dは、領域18k〜18pの6つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域が透過させる光の偏光方向を表している。領域18k〜18nが透過させる光の偏光方向はY軸方向であり、領域18o、18pが透過させる光の偏光方向はX軸方向である。なお、図中の破線で囲まれた3つの領域は、分割型偏光子11d上の光であるメインビームおよび2つのサブビームの断面を表している。
図16Bは、分割型偏光子11dへの入射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。分割型偏光子11dへの入射光であるメインビーム16aは、断面内で領域19c〜19fの4つの領域に分割されている。サブビーム16bは断面内で領域20c〜20fの4つの領域に分割されている。サブビーム16cは断面内で領域21c〜21fの4つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。メインビーム16aの領域19c、19d、19e、19fは、それぞれ分割型偏光子11dの領域18l、18m、18o、18pへの入射光に対応している。サブビーム16bの領域20c、20d、20e、20fは、それぞれ分割型偏光子11dの領域18k、18l、18o、18pへの入射光に対応している。サブビーム16cの領域21c、21d、21e、21fは、それぞれ分割型偏光子11dの領域18m、18n、18o、18pへの入射光に対応している。
ディスク6の対象層からの反射光は、分割型波長板10dと分割型偏光子11dとの間で、前側焦線に関して対称に断面内の偏光方向の分布が入れ替わる。このため、メインビーム16aの領域19c、19dにおける偏光方向は、図15Cの領域19f、19eと同じY軸方向となり、領域19e、19fにおける偏光方向は、図15Cの領域19d、19cと同じX軸方向となる。すなわち、領域19c、19d、19e、19fにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11dの領域18l、18m、18o、18pが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのメインビーム16aの反射光は、全てが分割型偏光子11dを透過して光検出器12へ入射する。一方、サブビーム16bの領域20c、20dにおける偏光方向は、図15Cの領域20f、20eと同じY軸方向となり、領域20e、20fにおける偏光方向は図15Cの領域20d、20cと同じX軸方向となる。すなわち、領域20c、20d、20e、20fにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11dの領域18k、18l、18o、18pが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのサブビーム16bの反射光は、全てが分割型偏光子11dを透過して光検出器12へ入射する。また、サブビーム16cの領域21c、21dにおける偏光方向は、図15Cの領域21f、21eと同じY軸方向となり、領域21e、21fにおける偏光方向は、図15Cの領域21d、21cと同じX軸方向となる。すなわち、領域21c、21d、21e、21fにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11dの領域18m、18n、18o、18pが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのサブビーム16cの反射光は、全てが分割型偏光子11dを透過して光検出器12へ入射する。
これに対し、ディスク6の非対象層からの反射光は、分割型波長板10dと分割型偏光子11dとの間で断面内の偏光方向の分布が変化しない。このため、メインビーム16aの領域19c、19dにおける偏光方向は図15Cの領域19c、19dと同じX軸方向となり、領域19e、19fにおける偏光方向は図15Cの領域19e、19fと同じY軸方向となる。すなわち、領域19c、19d、19e、19fにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11dの領域18l、18m、18o、18pが透過させる光の偏光方向と垂直になる。その結果、ディスク6の非対象層からのメインビーム16aの反射光は、全てが分割型偏光子11dで反射されて光検出器12へ入射しない。一方、サブビーム16bの領域20c、20dにおける偏光方向は、図15Cの領域20c、20dと同じX軸方向となり、領域20e、20fにおける偏光方向は、図15Cの領域20e、20fと同じY軸方向となる。すなわち、領域20c、20d、20e、20fにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11dの領域18k、18l、18o、18pが透過させる光の偏光方向と垂直になる。その結果、ディスク6の非対象層からのサブビーム16bの反射光は、全てが分割型偏光子11dで反射されて光検出器12へ入射しない。また、サブビーム16cの領域21c、21dにおける偏光方向は、図15Cの領域21c、21dと同じX軸方向となり、領域21e、21fにおける偏光方向は、図15Cの領域21e、21fと同じY軸方向となる。すなわち、領域21c、21d、21e、21fにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11dの領域18m、18n、18o、18pが透過させる光の偏光方向と垂直になる。その結果、ディスク6の非対象層からのサブビーム16cの反射光は、全てが分割型偏光子11dで反射されて光検出器12へ入射しない。
本発明の光ヘッド装置の第5の実施の形態は、第3の実施の形態における分割型波長板10c、分割型偏光子11cをそれぞれ分割型波長板10a、分割型偏光子11eで置き換えたものである。
図17A〜図17Cに分割型波長板10aのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図17Aに示されるように、分割型波長板10aは、領域17a、17bの2つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における光学軸の方向を表している。領域17aにおける光学軸の方向はX軸方向に対して+22.5°の角度をなしており、領域17bにおける光学軸の方向はX軸方向に対して+67.5°の角度をなしている。光学軸に平行な方向の偏光成分と光学軸に垂直な方向の偏光成分との位相差は180°である。なお、図中の破線で囲まれた3つの領域は、分割型波長板10a上の光であるメインビームおよび2つのサブビームの断面を表している。
図17Bは、分割型波長板10aへの入射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。偏光ビームスプリッタ3で反射された光の偏光方向はY軸方向であるが、分割型波長板10aへの入射光の偏光方向は、1/2波長板9の働きにより、図中に矢印で示されるように、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図17Cは、このときの分割型波長板10aからの出射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。分割型波長板10aからの出射光であるメインビーム16aは、断面内で領域19a、19bの2つの領域に分割されている。サブビーム16bは、断面内で単一の領域から構成されている。サブビーム16cは、断面内で単一の領域から構成されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。
メインビーム16aの領域19a、19bは、それぞれ分割型波長板10aの領域17a、17bを透過した光に対応している。領域19aにおける偏光方向はX軸方向であり、領域19bにおける偏光方向はY軸方向である。サブビーム16bは、分割型波長板10aの領域17aを透過した光に対応しており、その偏光方向はX軸方向である。サブビーム16cは、分割型波長板10aの領域17bを透過した光に対応しており、その偏光方向はY軸方向である。
図18A〜図18Bに分割型偏光子11eのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図18Aに示されるように、分割型偏光子11eは、領域18q、18rの2つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域が透過させる光の偏光方向を表している。領域18qが透過させる光の偏光方向はY軸方向であり、領域18rが透過させる光の偏光方向はX軸方向である。なお、図中の破線で囲まれた3つの領域は、分割型偏光子11e上の光であるメインビームおよび2つのサブビームの断面を表している。
図18Bは、分割型偏光子11eへの入射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。分割型偏光子11eへの入射光であるメインビーム16aは、断面内で領域19a、19bの2つの領域に分割されている。サブビーム16b、16cは、それぞれ断面内で単一の領域から構成されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。メインビーム16aの領域19a、19bは、それぞれ分割型偏光子11eの領域18q、18rへの入射光に対応している。サブビーム16bは、分割型偏光子11eの領域18rへの入射光に対応している。サブビーム16cは、分割型偏光子11eの領域18qへの入射光に対応している。
ディスク6の対象層からの反射光は、分割型波長板10aと分割型偏光子11eとの間で、前側焦線に関して対称に断面内の偏光方向の分布が入れ替わる。このため、メインビーム16aの領域19aにおける偏光方向は、図17Cの領域19bと同じY軸方向となり、領域19bにおける偏光方向は、図17Cの領域19aと同じX軸方向となる。すなわち、領域19a、19bにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11eの領域18q、18rが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのメインビーム16aの反射光は、全てが分割型偏光子11eを透過して光検出器12へ入射する。一方、サブビーム16bの偏光方向は図17Cと同じX軸方向となり、分割型偏光子11eの領域18rが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのサブビーム16bの反射光は、分割型偏光子11eを透過して光検出器12へ入射する。また、サブビーム16cの偏光方向は図17Cと同じY軸方向となり、分割型偏光子11eの領域18qが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのサブビーム16cの反射光は、分割型偏光子11eを透過して光検出器12へ入射する。
これに対し、ディスク6の非対象層からの反射光は、分割型波長板10aと分割型偏光子11eとの間で断面内の偏光方向の分布が変化しない。このため、メインビーム16aの領域19aにおける偏光方向は、図17Cの領域19aと同じX軸方向となり、領域19bにおける偏光方向は、図17Cの領域19bと同じY軸方向となる。すなわち、領域19a、19bにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11eの領域18q、18rが透過させる光の偏光方向と垂直になる。その結果、ディスク6の非対象層からのメインビーム16aの反射光は、全てが分割型偏光子11eで反射されて光検出器12へ入射しない。一方、サブビーム16bの偏光方向は、図17Cと同じX軸方向となり、分割型偏光子11eの領域18rが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の非対象層からのサブビーム16bの反射光は、分割型偏光子11eを透過して光検出器12へ入射する。また、サブビーム16cの偏光方向は、図17Cと同じY軸方向となり、分割型偏光子11eの領域18qが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の非対象層からのサブビーム16cの反射光は、分割型偏光子11eを透過して光検出器12へ入射する。
メインビームの光量は2つのサブビームの光量に比べて大きいため、メインビームの外乱光の影響は2つのサブビームの外乱光の影響に比べて大きい。本実施の形態によれば、影響が比較的小さい2つのサブビームの外乱光の光検出器への入射は抑制されないが、影響が比較的大きいメインビームの外乱光の光検出器への入射は抑制される。
2つのサブビームが断面内で複数の領域に分割されており、分割型偏光子の複数の領域へ入射する場合、光源の波長の設計からのずれ等により、メインビームと2つのサブビームの間隔が設計からずれると、光記録媒体の対象層からのサブビームの反射光の一部は、分割型偏光子で反射されて光検出器へ入射しない。しかし、本実施の形態によれば、2つのサブビームは断面内で単一の領域から構成されている。したがって、分割型偏光子の単一の領域へ入射するため、光源の波長の設計からのずれ等により、メインビームと2つのサブビームの間隔が設計からずれても、光記録媒体の対象層からのサブビームの反射光は、全てが分割型偏光子を透過して光検出器へ入射する。
本発明の光ヘッド装置の第6の実施の形態は、第3の実施の形態における分割型波長板10c、分割型偏光子11cをそれぞれ分割型波長板10b、分割型偏光子11fで置き換えたものである。
図19A〜図19Cに分割型波長板10bのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図19Aに示されるように、分割型波長板10bは、領域17c〜17fの4つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域における光学軸の方向を表している。領域17c、17dにおける光学軸の方向はX軸方向に対して+22.5°の角度をなしており、領域17e、17fにおける光学軸の方向はX軸方向に対して+67.5°の角度をなしている。光学軸に平行な方向の偏光成分と光学軸に垂直な方向の偏光成分との位相差は180°である。なお、図中の破線で囲まれた3つの領域は、分割型波長板10b上の光であるメインビームおよび2つのサブビームの断面を表している。
図19Bは、分割型波長板10bへの入射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。偏光ビームスプリッタ3で反射された光の偏光方向はY軸方向であるが、分割型波長板10bへの入射光の偏光方向は、1/2波長板9の働きにより、図中に矢印で示されるように、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図19Cは、このときの分割型波長板10bからの出射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。分割型波長板10bからの出射光であるメインビーム16aは、断面内で領域19c〜19fの4つの領域に分割されている。サブビーム16bは、断面内で単一の領域から構成されている。サブビーム16cは、断面内で単一の領域から構成されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。
メインビーム16aの領域19c〜19fは、それぞれ分割型波長板10bの領域17c〜17fを透過した光に対応している。領域19c、19dにおける偏光方向はX軸方向であり、領域19e、19fにおける偏光方向はY軸方向である。サブビーム16bは、分割型波長板10bの領域17cを透過した光に対応しており、その偏光方向はX軸方向である。サブビーム16cは、分割型波長板10bの領域17dを透過した光に対応しており、その偏光方向はX軸方向である。
図20A〜図20Bに分割型偏光子11fのパタンおよび働きを説明するための図が示される。図中のX軸方向、Y軸方向は、それぞれディスク6の半径方向、接線方向に対応している。ディスク6の対象層からの反射光の前側焦線は、X軸方向に対して+45°の角度をなしている。図20Aに示されるように、分割型偏光子11fは、領域18s〜18uの3つの領域に分割されている。図中の矢印は各領域が透過させる光の偏光方向を表している。領域18s、18tが透過させる光の偏光方向はY軸方向であり、領域18uが透過させる光の偏光方向はX軸方向である。なお、図中の破線で囲まれた3つの領域は、分割型偏光子11f上の光であるメインビームおよび2つのサブビームの断面を表している。
図20Bは、分割型偏光子11fへの入射光であるメインビーム16aおよび2つのサブビーム16b、16cの断面を表している。分割型偏光子11fへの入射光であるメインビーム16aは、断面内で領域19c〜19fの4つの領域に分割されている。サブビーム16b、16cは、それぞれ断面内で単一の領域から構成されている。図中の矢印は各領域における偏光方向を示している。メインビーム16aの領域19c、19d、19e、19fは、それぞれ分割型偏光子11fの領域18s、18t、18u、18uへの入射光に対応している。サブビーム16bは、分割型偏光子11fの領域18uへの入射光に対応している。サブビーム16cは、分割型偏光子11fの領域18uへの入射光に対応している。
ディスク6の対象層からの反射光は、分割型波長板10bと分割型偏光子11fとの間で、前側焦線に関して対称に断面内の偏光方向の分布が入れ替わる。このため、メインビーム16aの領域19c、19dにおける偏光方向は、図19Cの領域19f、19eと同じY軸方向となり、領域19e、19fにおける偏光方向は、図19Cの領域19d、19cと同じX軸方向となる。すなわち、領域19c、19d、19e、19fにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11fの領域18s、18t、18u、18uが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのメインビーム16aの反射光は、全てが分割型偏光子11fを透過して光検出器12へ入射する。一方、サブビーム16bの偏光方向は図19Cと同じX軸方向となり、分割型偏光子11fの領域18uが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのサブビーム16bの反射光は、分割型偏光子11fを透過して光検出器12へ入射する。また、サブビーム16cの偏光方向は図19Cと同じX軸方向となり、分割型偏光子11fの領域18uが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の対象層からのサブビーム16cの反射光は、分割型偏光子11fを透過して光検出器12へ入射する。
これに対し、ディスク6の非対象層からの反射光は、分割型波長板10bと分割型偏光子11fとの間で断面内の偏光方向の分布が変化しない。このため、メインビーム16aの領域19c、19dにおける偏光方向は、図19Cの領域19c、19dと同じX軸方向となり、領域19e、19fにおける偏光方向は、図19Cの領域19e、19fと同じY軸方向となる。すなわち、領域19c、19d、19e、19fにおける偏光方向は、それぞれ分割型偏光子11fの領域18s、18t、18u、18uが透過させる光の偏光方向と垂直になる。その結果、ディスク6の非対象層からのメインビーム16aの反射光は、全てが分割型偏光子11fで反射されて光検出器12へ入射しない。一方、サブビーム16bの偏光方向は、図19Cと同じX軸方向となり、分割型偏光子11fの領域18uが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の非対象層からのサブビーム16bの反射光は、分割型偏光子11fを透過して光検出器12へ入射する。また、サブビーム16cの偏光方向は、図19Cと同じX軸方向となり、分割型偏光子11fの領域18uが透過させる光の偏光方向と平行になる。その結果、ディスク6の非対象層からのサブビーム16cの反射光は、分割型偏光子11fを透過して光検出器12へ入射する。
当業者は上記の実施の形態の様々な変形を容易に実施することができる。したがって、本発明は上記実施例に限定されることはなく、請求の範囲やその均等物によって参酌される最も広い範囲で解釈される。また、この出願は、2007年2月8日に出願された日本出願特願2007−029049を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。