JP2006321842A - ポリエーテル類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホスファゼンカチオン触媒を用いてポリエーテルを製造する方法に関し、特に多量の吸着剤を用いることなく、容易に精製されたポリエーテル類を製造できる方法の提供。
【解決手段】(a)ホスファゼンカチオンの存在下において、アルキレンオキシドを開環付加重合して粗製ポリエーテルを得た後、(b)該粗製ポリエーテルに、水を混合して乳化液とし、ついで、(c)該乳化液が、水相とポリエーテル相に分離されるような条件下に、該乳化液を凝集媒質を通過させ、ついで、(d)水相を分離することにより、ホスファゼンカチオンを、ホスファゼン水酸化物としてポリエーテルより分離することを特徴とする、ポリエーテルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アニオン重合用の非金属触媒である、ホスファゼンカチオンを用いてポリエーテルを製造する方法に関する。
ポリウレタン樹脂の原料であるポリエーテル類は、KOHなどアルカリ金属化合物類の重合触媒を用い、開始剤の存在下、アルキレンオキシドを重合して製造されている。アルキレンオキシドを重合後、得られた粗製ポリエーテル類から重合触媒を除去するのが通常である。重合触媒の除去方法としては種々の方法が知られているが、例えば、アルカリ金属化合物触媒の場合は、ポリエーテル類に残存する重合触媒を、無機酸または有機酸で中和し塩を濾過する方法が一般的に行われてきた。また、粗製ポリエーテル類を有機溶液に溶解した後、触媒残を中和分解し、含水吸着剤で加熱し、濾過分離する方法も行われた。また、水酸化セシウム等のアルカリ金属化合物を用いた粗製ポリエーテルに水を添加して得られた乳化液を凝集媒質に通過させ、水相とポリエーテル相に分離する方法も提案されている(特許文献1)。
一方、副反応による末端不飽和基を有するモノオールの生成が抑制された、高分子量かつ低不飽和度のポリエーテル類を製造することが可能な非金属化合物で、高活性のアニオン重合用触媒としてホスファゼンカチオン触媒が提案された(特許文献2〜5)。
この重合方法においても、粗製ポリエーテルから触媒の除去が必要である。ホスファゼンカチオンの除去は、アルカリ金属化合物触媒と同様に、ホスファゼンカチオンを無機酸または有機酸で中和し、水を加えて触媒を含む水相と有機相を分液して水相からは触媒を回収し、有機相は吸着剤処理して精製ポリオールを製造する方法(特許文献4、6、7)が提案されている。
しかしながら、ホスファゼン化合物は、アルカリ金属化合物のような金属イオン化合物とは違って、ポリエーテル類に対する親和性が高いことから、酸で中和して得られる中和塩もポリエーテル類に残存する割合が多い。従ってポリエーテル類から触媒残渣を少なくするためには、吸着剤の使用が避けられず、アルカリ金属化合物触媒の場合に比べて、多量の吸着剤を必要とする問題があった。また、高価なホスファゼン触媒を容易に再利用に供する方法が求められていた。
特表2003−507550号公報 特開平10−36499号公報 特開平10−273512号公報 特開平11−106500号公報 特開平11−302371号公報 特開平10−330475号公報 特開平11−322918号公報
ホスファゼンカチオン触媒を用いてポリエーテルを製造する方法に関し、特に多量の吸着剤を用いることなく、容易に精製されたポリエーテル類を製造できる方法に関する。
本発明は上記課題を解決する下記の発明である。
(a)ホスファゼンカチオンの存在下において、アルキレンオキシドを開環付加重合して粗製ポリエーテルを得た後、
(b)該粗製ポリエーテルに、水を混合して乳化液とし、ついで、
(c)該乳化液が、水相とポリエーテル相に分離されるような条件下に、該乳化液を凝集媒質を通過させ、ついで、
(d)水相を分離することにより、
ホスファゼンカチオンを、ホスファゼン水酸化物としてポリエーテルより分離することを特徴とする、ポリエーテルの製造方法、および、(a)ホスファゼンカチオンの存在下において、アルキレンオキシドを開環付加重合して粗製ポリエーテルを得た後、
(b)該粗製ポリエーテルに、水を混合して乳化液とし、ついで、
(c)該乳化液が、水相とポリエーテル相に分離されるような条件下に、該乳化液を凝集媒質を通過させ、ついで、
(d)水相を分離することにより、
ホスファゼンカチオンを、ホスファゼン水酸化物としてポリエーテルより分離し、
(e)分離されたホスファゼン水酸化物の少なくとも一部を、工程(a)に再循環することを特徴とする、ポリエーテルの製造方法。
多量の吸着剤を用いることなく、容易に精製されたポリエーテル類が得られる。
(ホスファゼンカチオン)
本発明において使用するホスファゼンカチオンについて説明する。ホスファゼンカチオンは、公知であり、具体的には下記に説明するホスファゼン、ホスファゼンの塩、ホスフィンオキシドなどから誘導されるカチオンである。ただし、Me基はCH基を示す。また、Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基(OH)、アルコキシ基(OR)、フェノキシ基(OPh)、またはカルボキシル基(OCOR)を表す。Rは炭素数1〜20の炭化水素基を表す。好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基である。
(MeN)P=N−R系:Rがtert−ブチル基である1−tert−ブチル−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、Rがテトラメチルブチル基である1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、および、これらの塩([(MeN)−NH−R]X)など。
(MeN)[(MeN)P=N]P=N−R:Rがエチル基である1−エチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)、Rがtert−ブチル基である1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)、および、これらの塩([(MeN)[(MeN)P=N]P−NH−R]X)など。
[(MeN)P=N]P=N−R系:Rがtert−ブチル基である1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)、Rがエチル基である1−エチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)、および、これらの塩[(MeN)P=N]−NH−R)X)など。
[(MeN)P=N]系。
[(MeN)P=N]P=O系:トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド、ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ][トリス(n−オクチルメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド。
上記のうち、特に好ましいのは、[(MeN)P=N]系のホスファゼン化合物である。より具体的には、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド{[(MeN)P=N]OH}、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムメトキシド{[(MeN)P=N]OMe}、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムアセトキシド{[(MeN)P=N]MeCOO}、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリド{[(MeN)P=N]Cl}が好ましい。
前記のホスファゼン化合物のうち、(MeN)P=N−R、(MeN)[(MeN)P=N]P=N−R、[(MeN)P=N]P=N−R、および[(MeN)P=N]P=Oを使用する場合は、直接重合反応系に添加することにより、ホスファゼンカチオンが形成される。
また、ホスファゼンの水酸化物を用いる場合は、開始剤であるアルコールと反応させ、脱水することにより、開始剤アルコキシドアニオンとホスファゼンカチオンが形成される。
ホスファゼンアルコキシドまたはホスファゼンカルボキシドを用いる場合は、開始剤であるアルコールと反応させ、脱低分子量アルコール反応または脱カルボン酸反応を行うことにより、開始剤アルコキシドアニオンとホスファゼンカチオンが形成される。
また、ホスファゼンハライドを用いる場合は、あらかじめアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドと反応させ、生成したアルカリ金属塩を濾過分離し、ホスファゼン水酸化物またはホスファゼンアルコキシドとした後、上記と同様の方法でホスファゼンカチオンを形成させることができる。
(アルキレンオキシドの開環付加重合法)
本発明において、触媒としてホスファゼンカチオンの存在下、少なくとも一個の活性水素を有する開始剤に、アルキレンオキシドを開環付加重合して粗製ポリエーテル類を製造する。
開始剤としては、メタノール、エタノール、ブタノール等の1価アルコール類、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の2価アルコール類、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪酸アミン類、トルイレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族アミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のフェノール類等が挙げられる。さらにこれらの活性水素化合物に従来公知の方法でアルキレンオキシドを付加重合して得られる水酸基価が18〜950の化合物も使用できる。これらの活性水素化合物は2種以上併用して使用することもできる。
また、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコールからなる群から選ばれる化合物を開始剤として用いることもできる。
アルキレンオキシドとしては、開環付加重合可能なアルキレンオキシドであればよく、特に限定されない。具体的にアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、グリシジル化合物などを例示することができる。本発明においては、一種類のアルキレンオキシドのみを用いてもよく、または所望により二種以上のアルキレンオキシドを併用することもできる。二種類以上のアルキレンオキシドを併用する場合は、ブロック重合でもよく、ランダム重合でもよく、それらを併用してもよい。
アルキレンオキシドとしてエチレンオキシドを含有する場合、ポリエーテル中のオキシエチレン基含有量が60質量%以下が好ましい。オキシエチレン基含有量が大きいポリエーテルは親水性が高くなりすぎて、水相との分離が悪くなる。オキシエチレン基含有量は40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下が好ましい。
アルキレンオキシドの重合は公知の方法によって行うことができ、開始剤と、ホスファゼンカチオン触媒の存在する反応容器内にアルキレンオキシドを供給して行うが、反応容器内へのアルキレンオキシドの供給速度を調節することによって反応容器内の温度を所望の温度に維持しながら行うことが好ましい。この場合、反応容器内にアルキレンオキシドとともに活性水素含有化合物および/または触媒を連続的に供給することもできる。
重合温度は通常60〜150℃、好ましくは70〜130℃、特に好ましくは75〜120℃である。重合時間は通常、1〜24時間、好ましくは6〜12時間である。
触媒使用量は、重合後の粗製ポリエーテル類に含まれるホスファゼンカチオンが200〜3000ppm、好ましくは300〜2500ppmとなる割合が好ましい。
3000ppmを超えると、水相へのホスファゼン水酸化物の抽出効率が悪く、ポリエーテル類の残存触媒量も多くなる。200ppm未満では重合反応速度が小さくなり、経済的でない。
(粗製ポリエーテルの性状)
得られる粗製ポリエーテルの水酸基価は5〜100が好ましく、9〜80が特に好ましく、9〜60が最も好ましい。また、総不飽和度は、0.05meq/g以下であることが好ましく、0.008〜0.04meq/gであることが特に好ましい。
なお、水酸基価および総不飽和度は、JIS K 1557に準拠して測定する。また、水酸基価換算分子量は下記の式より求められる。
(水酸基価換算分子量)=56100×水酸基価/ポリエーテルの水酸基数
ポリエーテルの水酸基数は、開始剤の活性水素数と等しい。
(ポリエーテル類の精製方法)
本発明は、上記の方法により得られた粗製ポリエーテルに、水を混合して乳化液とし、ついで、該乳化液が、水相とポリエーテル相に分離されるような条件下に、該乳化液を凝集媒質を通過させ、ついで、水相を分離することにより、ホスファゼンカチオンを、ホスファゼン水酸化物としてポリエーテルより分離することを特徴とする、ポリエーテルの製造方法、である。
まず、粗製ポリエーテル類に水を混合して乳化液とする工程を行う。この工程において、粗製ポリエーテル類に含まれるホスファゼンカチオンは、水との反応でホスファゼン水酸化物に変わり、水相に溶解する。
粗製ポリエーテル類に水を混合し、乳化させる条件としては、混合、攪拌を充分に行えるすべての方法が採用できる。水の使用量は粗製ポリエーテル類100質量部に対して通常4〜50質量部、好ましくは5〜30質量部、特に好ましくは8〜20質量部である。水分の使用量が4質量部未満ではホスファゼン水酸化物への転化反応が不十分となり、水分量が多いと排水の量が多くなり経済的に好ましくない。
また、乳化させる際、50〜160℃、好ましくは90〜130℃の温度で処理を行うことが好ましい。さらに、乳化に際して、公知の強制攪拌混合器を使ってもよい。また、ポリエーテル類と水を連続的に向流接触させる連続法にて乳化液を得てもよい。
本発明においては、次いで、粗製ポリエーテル類と水とから形成された乳化液を、水相とポリエーテル相に分離されるような条件下に、凝集媒質を通過させる工程を行う。
この工程において、必要に応じて浮遊物を予め取り除くためのプレフィルター、水相を凝集する凝集媒質、および、油相と凝集水相の分離器から構成されるコアレッサーシステムを用いることが好ましい。コアレッサーシステムにおいては、凝集媒質はカートリッジフィルターとしてシステムに組み込まれている。
凝集媒質としては、例えば、ガラス繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、またはレイヨン繊維などの繊維を用いた繊維膜や繊維フィルター;ケイ砂、活性炭、金属酸化物、金属などの粒子状の無機物をカラムに充填してなるもの;無機質または有機質の多孔質媒体が挙げられる。
凝集媒質としては、特に金属酸化物が好ましく、中でも二酸化ジルコニウムが好ましい。さらに好ましくは、50〜2000μm、より好ましくは100〜800μmの粒子径の粒子状の二酸化ジルコニウムが、カラムに充填されてなるものを用いることが好ましい。
凝集媒質を通過させる際の乳化液の温度は、40〜170℃が好ましく、さらに70〜150℃が好ましく、90〜140℃が最も好ましい。この場合、凝集媒質を保持したカートリッジ自体を加温することが好ましい。
また、乳化液を通過させる際の流速は、毎分1〜50g/cm、好ましくは毎分3〜20g/cmとすることが好ましい。
上記凝集媒質を通過させることにより、粗製ポリエーテル類に含まれるホスファゼンカチオンは、ホスファゼン水酸化物として水に抽出される。そこで、水相を分離することにより、ホスファゼンカチオンを、ホスファゼン水酸化物として、ポリエーテル類より分離することが可能である。
したがって、乳化液から分離されたポリエーテル類相に含まれるホスファゼンカチオンは、ホスファゼン水酸化物としてわずかに残存するか、実質的にほとんど存在しない。ホスファゼン水酸化物は精製ポリエーテル中100ppm以下であることが好ましく、さらに50ppm以下、特に30ppm以下となることが好ましい。
また、本発明においては、有機相から無機化合物が溶解した水相を分離するために電極を有する特殊構造のコアレッサーや水と粗製ポリエーテル類を連続的に接触させ、乳化させた後、水相分離を行う循環型乳化器も使用できる。
本発明によれば、分離したポリエーテル類相には、ほとんどホスファゼン水酸化物は残存しないが、さらにその残存量を少なくするために吸着処理をすることも可能である。
具体的には、吸着剤を添加し、加熱後、減圧脱水し、吸着剤を濾過分離することにより精製ポリエーテル類を製造することができる。
吸着剤としては、ポリエーテル類の精製に一般的に使われるシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムなどの複合金属酸化物を用いることができる。合成または天然の複合金属酸化物が特に好ましい。
本発明においては、ポリエーテル類相に残存する触媒残渣が非常に少ないので、吸着剤を使用する必要がないか、使用したとしても、その使用量は非常に少ない。従って吸着剤によるポリエーテル類の損失、廃棄の問題が小さい。
吸着剤はポリエーテル類に対して0.8質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以下である。吸着剤を添加後の加熱温度は、60〜160℃が好ましく、80〜140℃がより好ましい。また、加熱時間は、1〜10時間が好ましく、2〜5時間がより好ましい。吸着剤処理によって、ポリエーテル類相に含まれるホスファゼン水酸化物は25ppm以下、好ましくは18ppm以下、特に好ましくは10ppm以下とすることができる。
(再利用)
本発明において、凝集媒質を通過させることにより得られたホスファゼン水酸化物を含む水相を、さらに、新たな重合反応に使用することが可能である。
ホスファゼン化合物は一般に高価であることから、再利用できれば経済的に有利である。本発明では、分離されたホスファゼン水酸化物を含む水相をそのまま、または、濃縮したものを使用し、さらにホスファゼン水酸化物を、ホスファゼンカチオンに転化させることにより、再び重合反応に使用することができる。
ポリエーテル類の精製段階において、酸素に接触するとポリエーテル類は酸化されて、過酸化物、アルデヒド類を生成し、着色、悪臭の原因となる。従って、酸素のない条件、不活性ガス雰囲気下を保つことが好ましい。特に、溶液温度が70℃以上に加熱される条件下で酸素との接触を避けるようにすることが好ましい。また、酸化を防ぐために、加熱処理前に、抗酸化剤を添加することが好ましく、ポリエーテル類に対して通常200ppm以上、好ましくは500ppm以上である。
(本発明のポリエーテル類、その用途)
本発明の方法により得られる精製ポリエーテル類は、高分子量体でも不飽和度が低く、触媒残が少なく、ポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマー、貯蔵安定性の高いプレポリマーの製造、ポリマー分散ポリエーテル類、機能油の原料に適する。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。ポリエーテルジオールP1とは、ジプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加した水酸基価112(水酸基価換算分子量1000)のポリエーテルジオールである。
なお、ポリエーテル中の残存ホスファゼン水酸化物の割合は、サンプルとして取り出したポリエーテル類をトルエン溶液とし、微量全窒素分析装置(三菱化学製TN−100)を用いて、窒素濃度を測定し、得られた値から、使用したホスファゼンカチオンが分解しないと仮定して算出した。
(例1)「ホスファゼンカチオン含有の開始剤の調製」
撹拌翼を備えた3Lのセパラブルフラスコ内にポリエーテルジオールP1の1000gおよび、48%KOH水溶液を23.4g混合し、100℃で2時間加熱し、その後、減圧下で6時間脱水した。そこにテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリド{[(CHN)P=N]Cl、Fluka社製、純度98%以上}をKOHと当モル量添加し、100℃で2時間加熱後、ろ紙(ADVANTEC社製のNo.5C)を用いて0.25MPaの加圧下で濾過を行い、ホスファゼンカチオンを対カチオンとするポリエーテルジオールのアルコキシドアニオン溶液(0.2mmol/g)を調製した(以下、ホスファゼンカチオンを含むアルコキシドアニオン溶液という。)。
(例2)「粗製ポリエーテル類(ポリエーテルポリオール)の製造」
窒素置換した100L反応容器中に、ポリエーテルジオールP1の9200g、ホスファゼンカチオンを含むアルコキシドアニオン溶液800gを投入した。反応容器内の温度を80℃に昇温し、2時間減圧脱水した後、220rpmの回転速度で撹拌を行い、プロピレンオキシドを徐々に導入しながら40kgを反応させて、50kgの粗製ポリエーテルを得た。このとき、粗製ポリエーテル中のホスファゼンカチオン含有量は仕込み量から2000ppmと算出された。
(実施例1)「粗製ポリエーテル類の精製」
反応容器内に、さらに抗酸化剤として3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(以下、BHT)を300ppm、および水の5kg(粗製ポリエーテルに対して10質量%)を添加し、120℃で2時間、攪拌を行い、乳化させた。
長さ2m、内径5cmのステンレス管の片末端部に、150〜300μmの粒子状の二酸化ジルコニウムが50cmの長さに渡って(ベッド長=50cm)保持されたものをコアレッサーカートリッジとして用いた、横型の管状コアレッサーを100℃に保温し、これに、乳化液を毎分9.2g/cmの速度で流通した。
カートリッジを通過した液は、水相とポリエーテル相に分離しながら捕集された。
得られた精製ポリエーテルの水酸基価は22.3(mgKOH/g)、不飽和度0.017(mmol/g)、および窒素分析の結果から算定した残存ホスファゼン水酸化物の割合は、48ppmであった。
さらに、得られたポリエーテルポリオールの0.25質量%に相当する量の合成珪酸マグネシウム(商品名:KW600S、協和化学工業社製)とBHTの300ppmポリエーテルに添加し、100℃で2時間、加熱、攪拌し、120℃で減圧脱気を120分間行い、濾過して精製ポリエーテルを得た。窒素分析の結果から算定した残存ホスファゼン水酸化物の割合は、10ppmであった。
(実施例2)「再生ホスファゼン水酸化物による粗製ポリエーテルポリオールの製造、精製)
窒素置換した100L反応容器中に、ポリエーテルジオールP1の10kgおよび、上記実施例1でで分離した水相の一部の1500gを300gに濃縮して投入した。反応容器内の温度を100℃に昇温し、4時間減圧脱水した後、80℃で220rpmの回転速度で撹拌を行い、POを徐々に導入しながら40kgを反応させた。
得られた精製ポリエーテルの、水酸基価は22.2(mgKOH/g)、不飽和度0.018(mmol/g)、および窒素分析の結果から算定した残存ホスファゼン水酸化物の割合は、25ppmであった。
実施例に示したように本発明によれば、不飽和度が低くく触媒残渣が少ない精製ポリエーテル類を、廃棄物が少なく、経済的な方法で製造することができる。

Claims (3)

  1. (a)ホスファゼンカチオンの存在下において、アルキレンオキシドを開環付加重合して粗製ポリエーテルを得た後、
    (b)該粗製ポリエーテルに、水を混合して乳化液とし、ついで、
    (c)該乳化液が、水相とポリエーテル相に分離されるような条件下に、該乳化液を凝集媒質を通過させ、ついで、
    (d)水相を分離することにより、
    ホスファゼンカチオンを、ホスファゼン水酸化物としてポリエーテルより分離することを特徴とする、ポリエーテルの製造方法。
  2. (a)ホスファゼンカチオンの存在下において、アルキレンオキシドを開環付加重合して粗製ポリエーテルを得た後、
    (b)該粗製ポリエーテルに、水を混合して乳化液とし、ついで、
    (c)該乳化液が、水相とポリエーテル相に分離されるような条件下に、該乳化液を凝集媒質を通過させ、ついで、
    (d)水相を分離することにより、
    ホスファゼンカチオンを、ホスファゼン水酸化物としてポリエーテルより分離し、
    (e)分離されたホスファゼン水酸化物の少なくとも一部を、工程(a)に再循環することを特徴とする、ポリエーテルの製造方法。
  3. 凝集媒質として、二酸化ジルコニウムを用いる、請求項1または2に記載の製造方法。
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