JP2006320849A - ガス透過フィルタ、ガス交換チップ、及び全有機体炭素測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
ガス交換膜におけるガスの移動速度を速くする。
【解決手段】
好ましい実施形態では、メンブレンフィルタの孔を通して液体が移動せずに液体に含まれるガス成分の移動だけができる隙間を形成するために、メンブレンフィルタの両面にガス透過層としてフルオロカーボン層を成膜する。ガス透過層は、CHF3を反応ガスとしてプラズマ処理することにより形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液体から酸素や炭酸ガス等のガス成分を除去したり、気体や他の液体に移動させたりするためのガス交換チップ、そのようなガス交換チップに使用するのに適するガス透過フィルタ、及びそのようなガス交換チップを用いた全有機体炭素測定装置に関するものである。
溶液中から気体成分のみを分離するガス交換膜としてはガス透過膜と、メンブレンフィルタがある。
ガス透過膜は、概略的には図2(A)に符合2として示されるような断面構造をもち、素材における分子と分子の隙間がランダムな方向に存在し、その隙間をガス成分が透過する。ガス透過膜はガスの透過速度は遅いが、液体が膜を通じて漏れることはない。
メンブレンフィルタは、概略的には図2(B)に符合4として示されるような断面構造をもち、膜を貫通した多数の孔6が形成されたものである。その孔6は互いに交わらない方向に形成されたものと、互いに交わるものとがあるが、いずれにしてもその孔6の直径は透過させようとするガス成分より遥かに大きい。そのため、ガス成分は気体の拡散速度で移動するため透過速度はガス透過膜に比べて非常に速いが、液体は膜表面の表面張力により保持されているため、液体の送液圧力が表面張力を上回るとメンブレンフィルタ4の孔6に液体が侵入して漏れる。
液体からガス成分を除去したり、逆に液体にガス成分を移動させて溶解させたりするためのガス交換装置としては、中空糸膜を利用したものが使用されている。中空糸膜は多数が束ねられてその両端にキャップが設けられたモジュールとして使用される。そのようなモジュールでは、中空糸膜内に液体を流し、外部を吸引することで液体に含まれるガスを除去したり、外部のガスを加圧することにより中空糸膜内の液体にガスを溶け込ませるように使用される(特許文献1参照。)。
試料水中の全有機体炭素を測定する全有機体炭素測定装置としては、有機体炭素を二酸化炭素に変換する有機物酸化分解部、有機物酸化分解部で発生した二酸化炭素を純水へ抽出する二酸化炭素抽出部、及び二酸化炭素抽出部で抽出した二酸化炭素量を測定するために二酸化炭素抽出部の純水の導電率を測定する検出部を備えたものがある。
そのような全有機体炭素測定装置において、二酸化炭素抽出部は有機物酸化分解部で酸化処理が施された試料水から二酸化炭素を純水に移動させるために、試料水と純水をガス透過膜で隔てて配置することにより、試料水中の二酸化炭素をそのガス透過膜を介して純水に移させるようにしている。
特許第3370407号公報
従来の中空糸膜を用いたガス交換装置では、中空糸膜を束ねて用いるために、その束の中央部の中空糸膜を流れる液体へその束の外部から気体を溶解させたり、中央部の中空糸膜を流れる液体からその束の外部に気体を取り出したりするためには、移動距離が長いために移動時間が長くかかり、ガス交換速度が遅くなる。
ガス透過膜は膜内部を移動するガス成分の透過速度が遅い欠点があり、メンブレンフィルタは液体の送液圧力が高くなると液体が漏れる欠点がある。
本発明の第1の目的は、ガス成分の透過速度がガス透過膜よりも早く、かつメンブレンフィルタに比べて液漏れしにくいガス交換膜を提供することである。
従来の中空糸膜を用いたガス交換装置では、中空糸膜を束ねて用いるために、その束の中央部の中空糸膜を流れる液体へその束の外部から気体を溶解させたり、中央部の中空糸膜を流れる液体からその束の外部に気体を取り出したりするためには、移動距離が長いために移動時間が長くかかり、ガス交換速度が遅くなる。
本発明の第2の目的は、ガス移動速度の速いガス交換装置を提供することである。
全有機体炭素測定装置における二酸化炭素抽出部でガス交換膜としてガス透過膜を用いたものは、ガス透過膜での二酸化炭素透過速度が遅いため、二酸化炭素抽出部で二酸化炭素を移動させる時間が長くなる。また、ガス透過膜に存在する隙間は全ての方向に通じているため二酸化炭素が膜全体に拡散し、二酸化炭素の移動開始直後は移動する二酸化炭素の濃度が薄まる現象が生じるので、二酸化炭素を含む試料水を流して膜中における二酸化炭素の濃度を一定にするための時間が必要になる。また、二酸化炭素抽出部でガス交換膜としてメンブレンフィルタを用いると、液漏れの虞がある。
本発明の第3の目的は、二酸化炭素抽出部での液漏れを防いで二酸化炭素の移動速度を速くした全有機体炭素測定装置を提供することである。
第1の目的を達成するための本発明のガス交換膜は、膜を貫通した多数の孔が形成されたメンブレンフィルタと、前記メンブレンフィルタに形成され前記孔を通して液体が移動せずに液体に含まれるガス成分の移動だけができる隙間を形成している疎水性材料からなるガス透過層とを備えたガス透過フィルタである。
メンブレンフィルタの孔は互いに交わっているものも含むが、互いに交わらない方向に形成されている方が好ましい。
前記ガス透過層はメンブレンフィルタの片面のみに形成されていてもよいが、液漏れをより有効に防ぐ点ではガス透過層はメンブレンフィルタの両面に形成されている方が好ましい。
本発明のガス透過フィルタで、ガス透過層がメンブレンフィルタの両面から形成されているものは、概略的には図2(C)〜(E)のいずれか、又はそれらの組み合わされた構造になっていると考えられる。
図2(C)の構造は、疎水性材料からなるガス透過層8がメンブレンフィルタ4の孔6を粗く埋めることにより、孔6を通じて液体が移動することを阻止し、液体に含まれるガス成分はガス透過層8の隙間を通って移動できるようになったものである。
図2(D)の構造は、疎水性材料からなるガス透過層10がメンブレンフィルタ4の孔6の径を小さくすることにより、孔6を通じて液体が移動することを阻止し、液体に含まれるガス成分はガス透過層10の隙間を通って移動できるようになったものである。
図2(E)の構造は、疎水性材料からなるガス透過層12がメンブレンフィルタ4の表面を薄く被うことにより、メンブレンフィルタ4の孔6を通じて液体が移動することをガス透過層12が阻止し、液体に含まれるガス成分がそのガス透過層12の隙間を通って移動できるようになったものである。
図2(C),(D)の構造によれば、ガス透過層8の隙間又は小さくされたメンブレンフィルタの孔6の径は、従来のガス透過膜における分子間の隙間よりは大きいため、ガス成分は膜中を気体の拡散速度で移動することができる。またメンブレンフィルタ4そのものの孔6よりは径が小さくなって表面張力の効果が高まっているので、使用できる液体の送液圧力上限が大きくなるように改善される。
図2(E)の構造によれば、ガス成分は従来の透過膜と同様にガス透過層12の素材における分子と分子の隙間をガス成分が透過することになるが、従来の技術で作製できる透過膜の厚みより薄く作製できるため、ガス成分が透過する時間が短縮される。
メンブレンフィルタの好ましい例は、膜を貫通している孔が膜に垂直方向に形成されたものであり、ガス透過層の一例はフッ素系堆積薄膜である。
第2の目的を達成するための本発明のガス交換装置は、本発明のガス透過フィルタと、液体を流すことのできる流路となる溝を形成した2つの基板とを備え、それらの2つの基板間にガス透過フィルタを挟んだ状態でそれぞれの基板の溝が対向するようにそれらの2つの基板が重ねられているガス交換チップである。
第3の目的を達成するための本発明の全有機体炭素測定装置は、試料水中の有機体炭素を二酸化炭素に変換する有機物酸化分解部、前記有機物酸化分解部で発生した二酸化炭素を純水へ抽出する二酸化炭素抽出部、及び前記二酸化炭素抽出部で抽出した二酸化炭素量を測定するために前記純水の導電率を測定する検出部を備え、二酸化炭素抽出部として本発明のガス交換チップを使用し、そのガス交換チップの一方の流路に有機物酸化分解部からの試料水を流し、他方の流路に純水を流し、そのガス交換チップを経た純水を検出部に導くように構成されたものである。
本発明のガス透過フィルタは、メンブレンフィルタに疎水性材料からなるガス透過層を形成してメンブレンフィルタの孔を通して液体が移動せずにガス成分のみを移動させるようにしたので、従来のガス透過膜におけるガス成分の移動速度が遅いという欠点が改善でき、メンブレンフィルタにおける高圧下での液体漏れという欠点を改善できる。
メンブレンフィルタの孔が互いに交わっていなければメンブレンフィルタ内部でのガスの拡散が少なく、ガス成分の移動速度がより速くなる。
本発明のガス交換チップを用いれば、送液圧力が高い条件においても液体がガス透過フィルタを通して漏れることがなく、高速でガス交換ができるので、短時間に試料のガス交換ができる。
液体が流れる流路の幅や深さを微細加工技術により小さく作製すれば、溝と液体が流れる流路との距離を短くし、液体に含まれる気体が流路から溝へ移動する距離、又は気体が溝から流路の液体へ移動する距離を短くできる。移動する時間は移動する距離の二乗に比例するため、交換又は抽出される気体の移動を短時間で行なうことができる。また、少ない試薬量を処理することができ、装置の小型化や試薬消費量の低減が可能である。
本発明の全有機体炭素測定装置では二酸化炭素抽出部に本発明のガス交換チップを使用するので、二酸化炭素抽出部での液漏れを防いで二酸化炭素の移動速度を速くすることができる。
二酸化炭素抽出部に従来のガス透過膜を用いたときはガス透過膜中に二酸化炭素が拡散したが、二酸化炭素抽出部のガス交換チップに本発明のガス透過フィルタを使用したので、微細な孔が他の孔と交わっていないために、二酸化炭素はガス透過フィルタ中に拡散せずに移動することができる。そのため、二酸化炭素を含む試料水を流してガス透過フィルタ中における二酸化炭素の濃度を一定にする時間がほとんど不要になる。
ガス透過フィルタは膜を貫通した多数の孔が形成されたメンブレンフィルタに疎水性材料からなるガス透過層を形成することにより、メンブレンフィルタの孔を通して液体が移動せずに液体に含まれるガス成分の移動だけができる隙間を形成したものである。
膜内で孔が交わっているメンブレンフィルタも使用することができるが、孔が互いに交わらない方向に形成されたメンブレンフィルタの例は、ポリカーボネート薄膜などの樹脂薄膜に面に垂直な方向から中性子を照射して多数の微細孔を開け、ウエットエッチングによりそれらの微細孔を適度な大きさにしたものである。
疎水性材料からなるガス透過層の形成は、例えばCHF3ガスやCF4ガスなどのフッ素化合物ガスを流しながら、プラズマ処理を施したり、エキシマレーザなどの光照射により分解させることにより行なうことができる。
図1(A)は膜を貫通し互いに交わらない方向に多数の孔が形成されたメンブレンフィルタの一例のSEM(走査型電子顕微鏡)画像を示したものである。メンブレンフィルタとして、厚さが10μm、孔径が0.2μm、気孔率が5〜20%のポリカーボネート製メンブレンフィルタ(ISOPORE MEMBRANE FILTER:MILLIPORE社の製品)を使用した。ポリカーボネート製メンブレンフィルタとしては、厚さが7〜22μm、孔径が0.05〜12μm、気孔率が5〜20%の範囲のものが市販されており、本発明では適当な規格のポリカーボネート製メンブレンフィルタを選択して使用することができる。メンブレンフィルタの表面には疎水性材料からなるガス透過層を形成するので、メンブレンフィルタ自体の材質は疎水性でも親水性でもよい。また、メンブレンフィルタの孔径は特に限定されるものではないが、大きすぎると液漏れが生じやすくなるので、ガス透過層を形成した状態で液漏れが生じないような大きさのものを選択する。逆に小さすぎるとガス透過層を形成した状態でガスの透過速度が遅くなる。
ガス透過フィルタの一実施例を図1(B)に示す。図1(A)のメンブレンフィルタの孔を通して液体が移動せずに液体に含まれるガス成分の移動だけができる隙間を形成するために、疎水性材料からなるガス透過層を表面と裏面の両面に形成した状態を示したのが図1(B)のSEM画像である。ここでは、CHF3を反応ガスとしてプラズマ処理することにより、メンブレンフィルタの両面にガス透過層としてフルオロカーボン層を成膜した。その成膜条件は、ガス流量50sccm、成膜圧力150mTorr、成膜時間が片面5分、印加パワー100Wであった。成膜レートは約16〜18nm/分で、成膜されたフルオロカーボン層の膜厚は約80〜90nmであった。
このガス透過フィルタの疎水化の評価は、メンブレンフィルタ表面と水滴の接触角を測定することにより行ない、接触角は未処理の場合(図1(A))は51°であったのに対し、処理後(図1(B))には96°へと増大し、疎水化されていることを確認できた。
図3はガス交換チップの一実施例であり、(A)は流路と溝の配置を示す平面図、(B)は(A)のA−A線位置での断面図である。
基板1,2はガラス基板、例えば石英基板である。一方のガラス基板1の片面には数mm以下の幅と深さをもつ流路3が形成され、流路3の両端の位置には液体や気体の導入や排出に利用する貫通孔5,7が形成されている。他方のガラス基板2の片面にも数mm以下の幅と深さをもつ流路4が形成され、流路4の両端の位置にも液体や気体の導入や排出に利用する貫通孔6,8が形成されている。一例として、流路3,4の幅を1mm、深さを100μmとした。
9は図1(B)に示したガス透過フィルタである。
ガラス基板1,2は間にガス透過フィルタ9を挟み、流路3,4が形成されている面が内側になるように対面させ、流路3,4がガス透過フィルタ9を挟んで対向するように位置決めされた状態で接合されて、一体化された基体となっている。ガス透過フィルタ9を挟んだガラス基板1,2の接合は接着剤により行なうことができる。
流路3,4は例えばフォトリソグラフィとエッチングを用いた微細加工技術により、穴5,6,7,8は例えばサンドブラスト法により形成することができる。
これらのガス交換チップを使用するガス抽出方法の一例は、両方の流路に液体を流し、一方の流路の液体中のガス成分を他方の流路の液体に移動させることである。
両方の流路に液体を流したとき、ガス透過フィルタ9の孔に液体が浸入することがなく、ガス透過フィルタ9には気体が残り、流路を流れる液体中に含まれるガスは、その気体を通じて交換される。
その具体的な一例は、一方の流路の液体は二酸化炭素を含む試料水とし、他方の流路の液体は純水、例えば脱イオン水、として、試料水中の二酸化炭素を純水中に移動させることである。
これらの2流路型ガス交換チップを使用するガス抽出方法の他の例は、一方の流路に液体を流し、他方の流路に気体を流し、その気体をガス透過フィルタ9の孔を介して一方の流路の液体に溶解させることである。
これらのガス交換チップを使用するガス抽出方法のさらに他の例は、一方の流路に液体を流し、他方の流路を減圧にして一方の流路の液体中のガス成分をガス透過フィルタ9の孔を介して他方の流路に移動させることである。
図3の実施例に示すガス交換チップを用いた全有機体炭素測定装置の一実施例を図4に示す。
その全有機体炭素測定装置は、試料水中の有機体炭素を二酸化炭素に変換する有機物酸化分解部13、有機物酸化分解部13で発生した二酸化炭素を純水へ抽出する二酸化炭素抽出部15、及び二酸化炭素抽出部15で抽出した二酸化炭素量を測定するために二酸化炭素抽出部15からの純水の導電率を測定する検出部16を備えている。
二酸化炭素抽出部15として図3の実施例に示すガス交換チップを使用する。ガス交換チップの一方の流路が試料側となって有機物酸化分解部13からの試料水が流され、他方の流路が測定側となって測定水として純水が流され、その純水が検出部16に導かれて導電率が測定される。測定水の純水の流路は、純水がガス交換チップの測定側から検出部16に導かれて導電率が測定され、その後、イオン交換樹脂(図示略)を経て脱イオン水として純水に再生された後、再びガス交換チップの測定側に供給される循環流路を構成している。
この全有機体炭素測定装置において、有機物を含む試料水は、試料水中に最初から溶け込んでいる二酸化炭素を除去するために、IC(無機炭素)除去部10を介して有機物酸化分解部13に供給される。IC除去部10では、試料水に酸が添加されて疎水性多孔質膜11を介して真空ポンプ12を用いて減圧することで二酸化炭素が除去される。二酸化炭素は、水中では解離しているために水中から取り出すことは難しいが、酸を加えることで解離を防いで取り出すことができる。
次に、試料水は有機物酸化分解部13に送られ、二酸化炭素が除去された試料水中の有機物は、紫外線ランプ14によって照射された紫外線エネルギーと酸化剤の添加や触媒(例えば、酸化チタン)により酸化され、二酸化炭素になる。有機物の酸化分解により生じた二酸化炭素が溶存している試料水は、二酸化炭素抽出部15のガス交換チップに送られ、試料水に含まれる二酸化炭素が純水へ移動する。純水は検出部16へ送られ、純水の導電率が測定されることで、二酸化炭素の濃度が定量される。
図4に示した実施例に示されているような、ガス交換チップを用いた二酸化炭素抽出部15と検出部16を用いて図3の実施例のガス交換チップの性能を評価した。
ガス交換チップの流路3,4の幅を1mm、深さを100μmとした。ガス交換チップに用いられている実施例のガス透過フィルタは、メンブレンフィルタの両面にガス透過層としてフルオロカーボン層を成膜した図1(B)のものであり、それに対する比較例としてのガス透過膜はポリテトラフルオロエチレン多孔質膜である。ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜は図2(A)により概略的に示した構造をもつ膜である。
二酸化炭素抽出部15のガス交換チップの測定側に純水を流しておき、ガス交換チップでのガスの透過は二酸化炭素抽出部15のガス交換チップから検出部16へ送られる純水の比導電率を測定し、その変化を見ることにより確認した。
まず二酸化炭素抽出部15のガス交換チップの試料側に純水のみを流速100μL/分で流した。検出部16で検出する測定水としての純水の比導電率が一定の値に落ち着いたところで、二酸化炭素を含んだサンプル(NaHCO3とNa2CO3で調整したlmgC/Lの液とリン酸lNを100:1の割合で混合したもの)を同じ流速で流し、比導電率が安定するまでの立ち上がり時間を測定した。
図5にその結果を示す。サンプルを流してから比導電率が一定になるまでの立ち上がり時間は、比較例のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜(符号Aで示されたグラフ)では55秒、実施例によるガス透過フィルタ(符号Bで示されたグラフ)では28秒となり、約2倍の速さで濃度が平衡に達していることがわかる。この結果から膜に対して垂直孔を有する実施例のガス透過フィルタが、ガス交換の高速化に有効であることが明らかとなった。
本発明では交わった貫通孔をもつメンブレンフィルタも使用することができる。そのようなメンブレンフィルタの一例として、ポアフロン(登録商標)メンブレン(住友電工ファインポリマー株式会社の製品)を挙げることができる。
本発明のガス透過フィルタを用いたガス交換チップは液体間でガス成分を交換したり、液体からガス成分を除去したり、ガス成分を気体や他の液体に移動させたりするためのガス交換装置として、またそのガス交換チップを用いた全有機体炭素測定装置は、製薬用水、半導体製造用行程水、冷却水、ボイラー水、水道水等、特に純水や超純水と呼ばれる不純物の少ない水の有機性汚染を評価する分析計として利用することができる。
(A)メンブレンフィルタの一例のSEM画像、(B)は一実施例のガス透過フィルタを示すSEM画像である。 種々の膜構造を概略的に示す断面図であり、(A)は従来のガス透過膜、(B)は従来のメンブレンフィルタ、(C)から(E)は本発明によるガス透過フィルタである。 ガス交換チップの一実施例を示す図であり、(A)は流路と溝の配置を示す平面図、(B)は(A)のA−A線位置での断面図である。 全有機体炭素測定装置の一実施例を示す概略構成図である。 一実施例のガス透過フィルタと比較例のガス透過膜とのガス透過特性を比較して示すグラフである。
符号の説明
1,2 ガラス基板
3,4 流路
9 ガス透過フィルタ
10 IC除去部
13 有機物酸化分解部
15 二酸化炭素抽出部
16 検出部

Claims (6)

  1. 膜を貫通した多数の孔が形成されたメンブレンフィルタと、
    前記メンブレンフィルタに形成され前記孔を通して液体が移動せずに液体に含まれるガス成分の移動だけができる隙間を形成している疎水性材料からなるガス透過層とを備えたことを特徴とするガス透過フィルタ。
  2. 前記メンブレンフィルタの孔は互いに交わらない方向に形成されている請求項1に記載のガス透過フィルタ。
  3. 前記ガス透過層は前記メンブレンフィルタの両面に形成されている請求項1又は2に記載のガス透過フィルタ。
  4. 前記メンブレンフィルタは前記孔が膜に垂直方向に形成されたものであり、前記ガス透過層はフッ素系堆積薄膜である請求項1から3のいずれかに記載のガス透過フィルタ。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のガス透過フィルタと、
    液体を流すことのできる流路となる溝を形成した2つの基板とを備え、
    前記2つの基板間に前記ガス透過フィルタを挟んだ状態でそれぞれの基板の溝が対向するように前記2つの基板が重ねられていることを特徴とするガス交換チップ。
  6. 試料水中の有機体炭素を二酸化炭素に変換する有機物酸化分解部、前記有機物酸化分解部で発生した二酸化炭素を純水へ抽出する二酸化炭素抽出部、及び前記二酸化炭素抽出部で抽出した二酸化炭素量を測定するために前記純水の導電率を測定する検出部を備えた全有機体炭素測定装置において、
    前記二酸化炭素抽出部として請求項5に記載のガス交換チップを使用し、その一方の流路に前記有機物酸化分解部からの試料水を流し、他方の流路に前記純水を流し、そのガス交換チップを経た前記純水を前記検出部に導くことを特徴とする全有機体炭素測定装置。
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