JP2005321265A - ガス交換装置および水中炭素成分測定装置 - Google Patents
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Abstract
試料水に溶存するCO2をガス透過膜を用いることなく抽出する。
【解決手段】
CO2抽出部8は、2枚の石英ガラス板14a、14bが空気層を隔てて平面部分が向き合うようにして配置され、その向き合った平面部分には液体を流すことができる流路が形成されており、その流路と基板にはそれぞれ光触媒層として、酸化チタン膜16a、16bが形成されている。酸化反応部6から出た試料水は酸化チタン膜16aの表面を流れるようになっている。また、酸化チタン膜16bの表面はイオン交換水が流れる。これら酸化チタン膜16a、16bの表面を流れる液体は酸化チタンの触媒作用により薄い液膜となって流れ、試料水とイオン交換水との間でCO2の授受が行なわれる。CO2抽出部8を経た試料水は排出され、イオン交換水は検出部10に導かれる。
【選択図】 図1
Description
そこで本発明は、試料水からのCO2などの溶存成分の抽出をガス透過膜を用いずに安定に行なうことのできるガス交換装置と、それを用いた水中炭素成分の測定装置を提供することを目的とする。
その場合、超親水性の表面は光触媒層が形成されたものであってもよい。
光触媒の作用を高めるために、光触媒層に向けて光を照射する光源を設けるのが好ましい。これにより、光触媒層の超親水性作用を維持し、またその表面の清浄を保つことができる。
(1)有機物の分解除去作用。
(2)超親水性により物体表面に付着する水分を薄い一様な膜として水滴となるのを防ぐ超親水作用。
塗布などの方法により板状部材の表面に酸化チタン膜を形成することで、その超親水作用により板状部材表面の濡れ性が高まり、板状部材の表面上を流下する液体は一様な薄い液膜となる。
粗面は多孔性又はスリガラス状に加工された表面のことである。例えばガラス板の表面をサンドブラスト法や化学的エッチング法により加工して得ることができる。
ガス抽出部において、炭酸ガスなどの授受を行なう2つの液体はガイドに沿うことで飛散や水滴になることが抑えられ、安定した流れになる。
ガス抽出部において、液体の流れの安定化方法として、酸化チタン膜などの特別な超親水性膜を必要条件としない。
以下に図1を参照して一実施例を詳細に説明する。
図1は本発明をTOC(全有機体炭素)測定装置に適用した実施例の構成を概略的に示す図である。
上流側(図の左側)から、pH調整部2、IC除去部4、酸化反応部6、CO2抽出部8及び検出部10が配置されている。pH調整部2、IC除去部4及び酸化反応部6によって試料調整部を構成している。
pH調整部2は、例えば、採取した試料水にpH調整剤として一定割合の無機酸、例えばリン酸を添加することで試料水のpHを酸性に調整する。
IC除去部4はpH調整部2の出口流路に接続されている。IC除去部4では、例えば真空ポンプ5により減圧にすることで試料水中のICをガス透過膜3を介して吸引し、試料水からICを除去する。
酸化反応部6はIC除去部4の出口流路に接続されており、IC除去部4と酸化反応部6の流路中において、試料水中の有機物の酸化を促進させる酸化剤としてペルオキソ二硫酸カリウムが試料水に添加される。酸化反応部6は低圧水銀ランプ7とその低圧水銀ランプ7を取り巻く石英ガラス管9とから構成されている。低圧水銀ランプ7より発生する紫外線を試料水に照射することで溶存酸素と有機物とを反応させ、有機物をCO2に変換する。
CO2抽出部8は、板状部材である2枚の石英ガラス板14a、14bが気相としての閉じられた空間の空気層を隔てて平面部分が向き合うようにして配置されており、酸化反応部6で生成したCO2を試料水から抽出して純水としてのイオン交換水に移行させる。
領域16aの中央部には、液体を流すことができる凹部となった流路17bが設けられており、流路17bに沿って液体が流れるガイド状の突起物17aが形成されている。
領域16aは光触媒層に表面加工することができ、例えば酸化チタン膜が0.1μm〜0.5μmの厚さに形成されて超親水性となっている。
他方の石英ガラス板14bにも、前記領域16aと同じ形状の領域16bが設けられており、前期領域16bにも光触媒層が形成されている。
領域16aの上端には貫通穴としての入り口22aが設けられている。入り口22aは酸化反応部6に接続されており、酸化反応部6からの試料水を光触媒層16aの表面に導く。領域16aの下端にも貫通穴としての出口22bが設けられている。出口22bはドレインに接続されており、試料水をこの平面部分から外部に排出する。また、他方の石英ガラス板14bでも領域16bの上端に入り口23aが設けられて、入り口23aはイオン交換水を光触媒層16bの表面に導き、領域16bの下端に設けられた出口23bは検出部10に接続されており、試料水からCO2を吸収したイオン交換水を検出部10に導く。
このCO2抽出部8では、向き合った酸化チタン膜16a、16bの表面を膜状に流れる液体間でCO2の授受が行なわれる。液体が沿って流れることができるガイド状の突起物に沿って酸化チタン膜16a表面を流れる試料水中に溶存するCO2は、空気層を介して酸化チタン膜16b表面を流れるイオン交換水に吸収される。
検出部10で導電率と温度を測定されたイオン交換水はポンプ11によってイオン交換樹脂カラム12に導かれてCO2の除去と脱イオンが行なわれ、循環流路によってポンプ11からイオン交換樹脂カラム12へ送られて純度が高められる。循環中のイオン交換水は、電磁弁13を介して酸化チタン膜16b表面に送られる。電磁弁13は制御装置(図示略)によって開閉及び開口度が制御されており、イオン交換水の流量を調節できるようになっている。
この装置に導入された試料は、まずpH調整部2でpHを酸性に調整された後、IC除去部4でICが除去されて酸化反応部6に導かれる。酸化反応部6で試料は石英ガラス管9内を、例えば、流量100μL/minで流れ、試料中に含まれる有機物が低圧水銀ランプ7により照射される波長185nmの紫外光によって酸化分解されてCO2となる。
イオン交換水の導電率と温度はイオン交換水に吸収されているCO2量と予め関係付けられており、イオン交換水の導電率と温度を測定することによってイオン交換水が吸収したCO2量を測定することができ、それにより試料水中の有機物濃度を推測することができる。
この実施例で、IC除去部4の真空ポンプ5を作動させなかった場合は、ICと有機体炭素がともに測定されてTC計となる。また、IC除去部4の真空ポンプ5を作動させず、酸化反応部6でランプ7を点灯しなかった場合は、IC測定がなされる。
領域16a、16bの形状は図2に示されたものに限らない。
第2の実施例として、CO2抽出部8の2枚の石英ガラス板14a、14bが気相としての閉じられた空間の空気層を隔てて向き合った平面部分の表面に図3(A)に示されるような加工を施したものを挙げることができる。
この実施例のCO2抽出部8において、石英ガラス板14a、14bの平面部分の表面に流路21aを加工することによって、試料水とイオン交換水とを液膜状で流下させるようになっている。
流路21aの上端には入り口22aが設けられている。この入り口22aは酸化反応部6と接続されており、酸化反応部6からの試料水を流路21aに導く。また、流路21bの下端には出口22bが設けられている。出口22bはドレインに接続されており、流路21bを流下してきた試料水を外部へ排出する。また、他方の石英ガラス板14bにも同形状の粗面部、流路及び入り口23a、出口23bが設けられている。入り口23aはイオン交換水を上側の流路に導き、下端に設けられた出口23bは検出部10に接続されており、試料水からCO2を吸収したイオン交換水を検出部10に導く。
実施例2において、粗面部24は粗面に限定されず、超親水性に加工してもよい。
これに対し、本発明に示すようなガイドを形成することで、表面張力を利用した安定した流れを形成できる。
また、石英ガラス板14a、14bの表面を粗面に加工する場合、加工する流路や粗面の形状は図3に示した以外のものであってもよく、流下する液体が液膜状になるように加工すればよい。
板状部材は石英ガラス板に限らず、他のガラス板やプラスチックなどでもよい。
酸化反応部6は、紫外線を照射する以外にも、例えば試料液にペルオキソ二硫酸カリウムを添加し加熱して有機物をCO2に変換するものであってもよい。
3 ガス透過膜
4 IC除去部
5 真空ポンプ
6 酸化反応部
7 低圧水銀ランプ
8 CO2抽出部
9 石英ガラス管
10 検出部
11 ポンプ
12 イオン交換樹脂カラム
13 電磁弁
14a、14b 石英ガラス板
16a、16b 酸化チタン膜
17a ガイド
18a、18b 光源
17b,21a、21b 流路
22a、22b、23a、23b 入り口および出口
24 透過部
30 スペーサ
32 スリガラス状の流路(純水が流れている部位)
34 スリガラス状の流路(純水が流れていない部位)
Claims (6)
- 2枚の板状部材の平面部分が向き合うように配置され、板状部材の平面部分には液体を流すことができる凹部となった流路と、前記流路へ試料水を導入することができる入り口が形成されており、
前記流路には液体が流れるガイド状の突起物が形成されており、前記一方の流路には試料水が液膜となって流れ、他方の流路には純水が液膜となって流れ、両液膜間の間隔は試料側の液膜から純水側の液膜へ気相を介して溶存ガス成分が移動しうる微少間隔に設定されていることを特徴とするガス交換装置。 - 前記流路の表面は超親水性又は粗面となっている請求項1に記載のガス交換装置。
- 前記超親水性表面は光触媒層が形成されたものである請求項2に記載のガス交換装置。
- 試料水中の炭素成分を抽出可能なCO2に変換する試料調整部と、前記試料調整部から供給された試料水中のCO2を抽出するCO2抽出部と、前記CO2抽出部で取り出したCO2を検出する検出部とを備えた測定装置において、
請求項1から3のいずれかに記載のガス交換装置を、前記CO2抽出部として使用することを特徴とする水中炭素成分測定装置。 - 前記CO2抽出部は前期流路の表面に光触媒層が形成されたものであり、前記光触媒層に向けて光を照射する光源を備えている請求項4に記載の水中炭素成分測定装置。
- 前記試料調整部は試料水中の有機体炭素を酸化分解させてCO2に変換する酸化反応部と酸性化部の少なくとも一方を備えている請求項4又は5に記載の水中炭素成分測定装置。
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